(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044399
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】プリーツ衣類及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A41H 43/00 20060101AFI20240326BHJP
A41D 27/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A41H43/00 A
A41D27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149894
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】501348449
【氏名又は名称】株式会社スペッチオ
(71)【出願人】
【識別番号】522373404
【氏名又は名称】関根 準
(71)【出願人】
【識別番号】522373415
【氏名又は名称】関根 由理
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】関根 準
(72)【発明者】
【氏名】関根 由理
【テーマコード(参考)】
3B035
【Fターム(参考)】
3B035AA01
3B035AB20
3B035AC06
3B035AD13
(57)【要約】
【課題】本発明は、縦方向とこれに直交する横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした形態でもって形成された生地の利点を利用して、軽い着心地を得ることができ、360度各方向への伸縮性を持ち、かつ、風合いに優れたプリーツ生地を用いたプリーツ衣類及びその製造方法を提供するものである。
【解決手段】本発明に係るプリーツ生地を用いたプリーツ衣類は、縦方向とこれに直交する横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした生地を含む構成としたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリーツ加工の対象生地の縦方向と、縦方向に直交する横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした形態で得られるプリーツ生地を用いたことを特徴とするプリーツ衣類。
【請求項2】
プリーツ加工の対象生地の横方向に1.5mm幅のプリーツ幅を有する第1プリーツを形成する工程と、当該第1プリーツを形成した生地の縦方向に4.5mm幅のプリーツ幅を有する第2プリーツを形成する工程とによりプリーツを2度掛けする工程を含むことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類の製造方法。
【請求項3】
予め作成したパターン(型紙)に沿って裁断されたプリーツ加工の対象生地に対し、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした後、これをバキューム台上で当該裁断したサイズを固定させることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類。
【請求項4】
予め作成したパターン(型紙)に沿って裁断されたプリーツ加工の対象生地に対し、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした後、バキューム台上に載せてアイロン処理とバキューム吸引処理とにより当該裁断した所望のサイズを固定させる工程を含むことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類の製造方法。
【請求項5】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断して、肩要素生地、脇要素生地を予め継いでから前後の襟ぐりが違う場合、前記生地と共布の当て布を止め付けて、前記生地と共布とを重ねた状態で縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けすることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツ。
【請求項6】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断して、肩要素生地、脇要素生地を予め継いでから前後の襟ぐりが違う場合、前記生地と共布の当て布をミシン又は毛皮用ミシンにより止め付けて、前記生地と共布とを重ねた状態で縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツ衣類生地を2度掛けする工程を含むことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツの製造方法。
【請求項7】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断した後、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けしたプリーツ加工の対象生地を用いて、袖要素生地を予め継いでから当該袖要素生地にフレアを出すことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツ。
【請求項8】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断した後、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けしたプリーツ加工の対象生地を、同生地からなる袖要素生地を予め継いでから当該袖要素生地にフレアを出し、フリル袖として機能させる工程を含むことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツの製造方法。
【請求項9】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断した後、前記生地の一部を硬質とする際において、前記生地の一部の裏面側に芯布又は接着布を配置して、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、前記生地の一部を硬質とすることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツ。
【請求項10】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断した後、前記生地の一部を硬質とする際において、前記生地の一部の裏面側に芯布の挟み又は接着布を接着配置して、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、前記生地の一部を硬質とし当該一部を立て襟として、又は袖口リブ、若しくは裾口リブとして機能させることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツの製造方法。
【請求項11】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断し、予め肩要素生地、脇要素生地を予め継ぎ、ポケット要素を付けてから縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、ポケット要素の縫い代の当たりが出ないようにレーザーカットを施すことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツ。
【請求項12】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断し、予め肩要素生地、脇要素生地を予め継ぎ、ポケット要素をつけてから縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、ポケット要素の縫い代の当たりが出ないようにレーザーカット処理にて縫い代の除去を行うことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツの製造方法。
【請求項13】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断、縫製して、前中心に縫い目がない物に対して、前記前中心にレーザーカットを施してスリットを生成させた後、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けしてなることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツ。
【請求項14】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断し、縫製して、前中心に縫い目がない物に対して、前記前中心に共布のあて布の存在下でのレーザーカットによる前中心の一部除去によりスリットを生成させた後、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けする工程を含むことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツの製造方法。
【請求項15】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断し、三つ折りした後、最前面の生地要素に縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けしてなることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツ。
【請求項16】
予め作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断し、三つ折りした後、最前面の生地要素に縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、三つ折りパーツ同士を複数段にわたって縫製し製品として機能させることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツの製造方法。
【請求項17】
プリーツ加工の対象生地に対して、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツ衣類生地を2度掛けすることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツであって、その一部が縦方向のプリーツのみで横方向のプリーツ領域を有さずに下消し領域としたことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツ。
【請求項18】
プリーツ加工の対象生地の上部領域を、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして形成し、当該生地の下部領域を縦方向のプリーツのみで下消し領域を形成することを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツの製造方法。
【請求項19】
プリーツ前にプリーツ加工の対象生地を外袖用、内袖同形の筒状とし、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、プリーツ後に内袖付け側に出る縫い代端を除去してなることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツ。
【請求項20】
プリーツ前にプリーツ加工の対象生地を外袖用、内袖同形の筒状に形成し、縦方向と横方向とで各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、プリーツ後に内袖付け側に出る縫い代端を挟みにて除去してなることを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類のパーツの製造方法。
【請求項21】
予め作成したパターン(型紙)に沿って裁断された2枚のプリーツ加工の対象生地を2枚重ねて行うようにした縦方向の第1プリーツ加工と、前記縦方向に直交する横方向の第2プリーツ加工の順でプリーツ加工を行って、プリーツ加工後の仕上がりを寸法どおりに仕上げることができるようにしたとともに、プリーツ加工した生地の仕上がりの風合いが硬くならず、柔らかな仕上がりとなるようにしたことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類の製造方法。
【請求項22】
予め作成したパターン(型紙)に沿って裁断された2枚のプリーツ加工の対象生地を2枚重ねて行うようにした縦方向の第1プリーツ加工と、前記縦方向に直交する横方向の第2プリーツ加工の順でプリーツ加工を行って形成したことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類。
【請求項23】
予め作成したパターン(型紙)に沿って裁断された2枚のプリーツ加工の対象生地を2枚重ねて行うようにした縦方向の第1プリーツ加工と、前記縦方向に直交する横方向の第2プリーツ加工の順でプリーツ加工を行うプリーツ生地を用いたプリーツ衣類の製造方法において、
前記プリーツ加工の対象が黒無地生地の場合は、前記第1プリーツ加工時の加熱温度を約175℃、前記第2プリーツ加工時の加熱温度を約190℃とし、
前記プリーツ加工の対象がプリント生地の場合は、前記第1プリーツ加工時の加熱温度は約180℃、前記第2プリーツ加工時の加熱温度は約195℃としてプリーツ加工を行なうことを特徴とするプリーツ衣類生地を用いたプリーツ衣類の製造方法。
【請求項24】
予め作成したパターン(型紙)に沿って裁断された2枚のプリーツ加工の対象生地を2枚重ねて行うようにした縦方向の第1プリーツ加工と、前記縦方向に直交する横方向の第2プリーツ加工の順でプリーツ加工を行って形成したプリーツ生地を用いたプリーツ衣類であって、
前記プリーツ加工の対象生地が黒無地生地の場合は、前記第1プリーツ加工時の加熱温度を約175℃、前記第2プリーツ加工時の加熱温度を約190℃とし、
前記プリーツ加工の対象生地がプリント生地の場合は、前記第1プリーツ加工時の加熱温度は約180℃、前記第2プリーツ加工時の加熱温度は約195℃としてプリーツ加工を行って形成したことを特徴とするプリーツ生地を用いたプリーツ衣類。
【請求項25】
前記予め作成するパターン(型紙)は、
プリーツ加工の対象生地が無地定番生地の場合は、仕上がり寸法に対して230%位とし、プリーツ加工の対象生地が定番プリント生地の場合は、仕上がり寸法に対して220%~225%位に拡大した裁断用の展開パターンと、
前記第2プリーツ加工を施した後、アイロンを用いて仕上がり寸法に仕上げるために使用する仕上がりパターンと、
からなる2種類のパターンを使用するものであり、
プリーツ加工後の仕上がりを寸法どおりに仕上げることができるようにしたとともに、プリーツ加工した生地の仕上がりの風合いが硬くならず、柔らかな仕上がりとなるようにしたことを特徴とする請求項21又は請求項23記載のプリーツ生地を用いたプリーツ衣類の製造方法。
【請求項26】
前記予め作成するパターン(型紙)は、
プリーツ加工の対象生地が無地定番生地の場合は、仕上がり寸法に対して230%位とし、プリーツ加工の対象生地が定番プリント生地の場合は、仕上がり寸法に対して220%~225%位に拡大した裁断用の展開パターンと、
前記第2プリーツ加工を施した後、アイロンを用いて仕上がり寸法に仕上げるために使用する仕上がりパターンと、
からなる2種類のパターンを使用して形成したことを特徴とする請求項22又は請求項24記載のプリーツ衣類生地を用いたプリーツ衣類。
【請求項27】
前記プリーツ加工の対象生地がプリント生地である場合、当該プリント生地を2枚重ねて前記第1プリーツ加工をする際に、生地の間にスパンボンド不織布によるあて布を挟んでプリーツ加工を行うようにして、生地の色柄が移染してしまうことを予防するようにしたことを特徴とする請求項21、請求項23又は請求項25のいずれか1項に記載のプリーツ生地を用いたプリーツ衣類の製造方法。
【請求項28】
前記プリーツ加工の対象生地がプリント生地である場合、当該プリント生地を2枚重ねて前記第1プリーツ加工をする際に、生地の間にスパンボンド不織布によるあて布を挟んでプリーツ加工を行って、生地の色柄が移染してしまうことを予防するようにして形成したことを特徴とする請求項22、請求項24又は請求項26のいずれか1項に記載のプリーツ生地を用いたプリーツ衣類。
【請求項29】
前記第1プリーツ加工が1.5mm幅のプリーツ幅で、前記第2プリーツ加工が4.5mm幅のプリーツ幅であることを特徴とする請求項21、請求項23、請求項25又は請求項27のいずれか1項に記載のプリーツ生地を用いたプリーツ衣類の製造方法。
【請求項30】
前記第1プリーツ加工が1.5mm幅のプリーツ幅で、前記第2プリーツ加工が4.5mm幅のプリーツ幅であることを特徴とする請求項22、請求項24、請求項26又は請求項27のいずれか1項に記載のプリーツ生地を用いたプリーツ衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリーツ加工の対象である布地を縦・横に2回のプリーツ加工を施したプリーツ衣類及びその製造法に関するものであり、詳しくは、縦・横に直交して2回のプリーツ加工を施したプリーツの利点を利用して形成される軽い着心地を得ることができ、また、360度各方向への伸縮性を持ち、かつ、風合いに優れたプリーツ衣類及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリーツ加工の対象素材に対するプリーツ加工は、立体的な縫製品を平面のプリーツマシンにて加工するために、直線的な加工となり、もともとの縫製品の持つ立体感を損なう傾向があった。なお、従来のプリーツ加工においては、直線的な加工以外のものも存在する。
【0003】
上記従来におけるプリーツ加工の対象素材に対するプリーツ加工においては、立体的な縫製品を平面のプリーツマシンにて加工するために、直線的な加工となり、もともとの縫製品の持つ立体感を損なう傾向があった。
【0004】
このように、従来のプリーツ加工の対象素材に対してプリーツ加工を施した衣類は、衣類としての高級感が出し難く、例えばエレガントなシルエットが要求される衣類にはこれを用いることが難しい等の欠点があった。
【0005】
また、素材、生地にプリーツ加工を施したプリーツ加工済みの生地を使って作られた衣類のほとんどが一方向にのみ伸縮するものが多く、このようなプリーツ加工済みの生地で作る衣類には、それに見合ったものしか製造できず自ずと制約があった。
【0006】
また、従来におけるプリーツ加工の対象素材に対してプリーツ加工を施した衣類は、エレガント性を強調した素材の加工製品の着心地が劣り、着用時に動き難いという欠点があった。
【0007】
以上のような状況から、従来におけるプリーツ加工を施した素材をもって製造した衣類にあっては、そのデザイン性とも相まって、脱いだり、着たりする手間がかかるために体の不自由な着用者等にとってはそもそもその着用が不可能なものが多かった。
【0008】
更に、従来の問題例について述べると、従来はメーカー毎に衣類サイズに個々別々の差異があり、需要者・着用者にとって、自己にフィットするサイズ選びに悩まされるというのが実情であり、また、着用する人の体型によって一般的なサイズ分けには収まらない個体差があるために、単にサイズ選びだけでなく当該衣類の着心地自体にも問題があった。
【0009】
そして、上述したように、需要者・着用者の個々の体型の変化に対応できる衣類がなかったり、脱いだり、着たりする手間の悪さ、着用時の動作性の悪さ等の悩みや長時間の着用による苦痛が惹起する等の欠点があった。
【0010】
特許文献1には、身頃の表地を構成する複数の生地片を準備し、前記複数の生地片をプリーツの形成方向に繋ぎ合わせて、開いた生地を形成し、前記開いた生地にプリーツ加工を施し、プリーツ加工後の前記開いた生地において前身頃及び後身頃に相当する部位の上端部同士を縫い合わせて、肩部を形成する工程を含む衣類の製造方法が開示されている。
【0011】
しかし、特許文献1の衣類の製造方法の場合、例えばジャージ生地のような比較的厚手の生地片を繋ぎ合わせることで主にジャケット等を作成するものであり、軽い着心地が得られ、360度各方向への伸縮性を持ち、風合いに優れた衣類を提供し得るようなものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来における上記実情に鑑みて開発されたものであり、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした形態でもって形成された生地の利点を利用して、軽い着心地を得ることができ、360度各方向への伸縮性を持ち、かつ、風合いに優れたプリーツ衣類及びプリーツ衣類の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るプリーツ衣類は、縦方向と横方向とに直交する各プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした形態の生地を用いたことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした形態のプリーツ衣類生地の利点を利用し、軽い着心地を得ることができ、360度各方向への伸縮性を持ち、かつ、風合いに優れたプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明に係る特徴を具有するプリーツ衣類を簡略に製造することができるプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、プリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした生地を用いて形成した衣類をバキューム台上で簡略にサイズを固定させることができるプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明に係る衣類の所望サイズへの固定を簡略に行うことが可能なプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、生地を所定のサイズに裁断し、肩要素生地、脇要素生地を予め継いでから前後の襟ぐり(襟がつけられる部分)が違う場合に、前記生地と共布の当て布を止め付けて、前記生地と共布とを重ねた状態で縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツ衣類生地を2度掛けする構成により、全ての要素にプリーツが存在するプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明に係る前記生地と共布の当て布とをミシン又は毛皮用ミシンにより、止め付ける工程を含むことで、簡略にプリーツ衣類パーツを得ることができるプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、予め(設定した拡大率に応じて)作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断した後、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なる2種のプリーツを2度掛けした生地を用いて、当該生地からなる袖要素生地を予め継いでから当該袖要素生地にフレア(後述するように当該生地部分があさがお形に開くという意味)を形成することにより、フレア領域にもプリーツが存在するプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、フレア(あさがお形に開く)領域をプリーツ付きのフリル袖として機能させることができるプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0023】
請求項9記載の発明によれば、予め(設定した拡大率に応じて)作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断した後、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした生地を用いて、2度掛けした生地の一部の裏面側に芯布又は接着布を配置する構成の基に、当該生地の一部を簡略に硬質化することができるプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0024】
請求項10記載の発明によれば、請求項9記載の発明に係る前記生地の一部を立て襟又は袖口リブ、若しくは裾口リブとして機能させることができるプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0025】
請求項11記載の発明によれば、予め(設定した拡大率に応じて)作成したパターン(型紙)に沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断した後、予め肩要素生地、脇要素生地を予め継ぎ、ポケット要素を付けてから縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、ポケット要素の縫い代の当たりが出ないようにレーザーカットを施すことにより、ポケット要素の領域に縫い代の当たりが出ないようにしたプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0026】
請求項12記載の発明によれば、請求項11記載の発明に係る前記ポケット要素の領域に縫い代の当たりが出ないようにしたプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0027】
請求項13記載の発明によれば、予め(設定した拡大率に応じて)作成したパターンに沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断した後、これを縫製して、前中心に縫い目がない物に対して、前記前中心にレーザーカットを施してスリットを生成させた後に、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けしてなる構成により、前中心にスリットを備えるようにしたプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0028】
請求項14記載の発明によれば、請求項13記載の発明に係る前中心にスリットを備えるようにしたプリーツ衣類パーツを簡略に製造できるプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0029】
請求項15記載の発明によれば、予め(設定した拡大率に応じて)作成したパターンに沿ってプリーツ加工の対象生地を裁断し、二つ折りした後、最前面の生地要素に縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした構成の基に、紳士服によくあるスラックスの折り山を作ることができるとともに、プリーツ付き二つ折り生地をプリーツ衣類パーツとして提供することができるプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0030】
なお、スラックス(パンツ)をつくる際に、股ぐりの縫い代のプリーツのアタリが脇側に発生するので、脇にポケットを付けてプリーツのアタリを見え無いようにする場合があり、それができないようなデザインの場合は、二枚袖の内袖の時と同様に、プリーツ後に股ぐりを挟みで一着ずつカットする場合もある。
【0031】
請求項16記載の発明によれば、請求項15記載の発明に係るプリーツ衣類をパーツ縫製用製品として機能させることができるプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0032】
請求項17記載の発明によれば、プリーツ加工の対象生地の一部を縦方向のプリーツのみでもって、横方向のプリーツ領域を具有しない下消し(途中から2度目のプリーツをかけない)領域とした個性的なプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0033】
請求項18記載の発明によれば、プリーツ加工の対象生地の上部領域を縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして形成して、生地の下部領域を縦方向のプリーツのみでもって下消し(途中から2度目のプリーツをかけない)領域を形成する工程の基に、プリーツ衣類パーツを製造するようにしたプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0034】
請求項19記載の発明によれば、プリーツ前にプリーツ加工の対象生地を外袖用、同形の内袖用の筒状とし、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、プリーツ後に内袖付け側に出る縫い代端を除去した構成としているので、袖部を備える上着類等の衣類の作成に好適な袖部を備えるようにしたプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類を実現し提供することができる。
【0035】
請求項20記載の発明によれば、請求項19記載の発明に係る前記袖部を備える上着類等の衣類の作成に好適なプリーツ衣類パーツを用いたプリーツ衣類の製造方法を実現し提供することができる。
【0036】
請求項21乃至24記載の発明によれば、従来技術のように生地を1枚でプリーツ加工をするとプリーツ生地の仕上がりの風合いが悪く(かたくなる)なることを解消することができ、プリーツ加工した生地の仕上がりの風合いが硬くならず、柔らかな仕上がりとなるプリーツ衣類及びその製造方法を実現し提供することができる。
【0037】
請求項25及び26記載の発明によれば、予め設定した前記した拡大率に応じて作成したパターン(型紙)に沿って、プリーツ加工の対象生地を裁断してから特徴1のような製造方法・製造工程のプリーツ加工を行うことにより、容易に仕上がり寸法どおりに仕上げることが可能となるプリーツ衣類及びその製造方法を実現し提供することができる。
【0038】
請求項27及び28記載の発明によれば、プリーツ加工の対象がプリント生地である場合、当該プリント生地を重ねてプリーツ加工をする際に生地の色柄が移染してしまうことを予防することができるプリーツ衣類及びその製造方法を実現し提供することができる。
【0039】
請求項29及び30記載の発明によれば、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした形態のプリーツ衣類生地の利点を利用し、軽い着心地を得ることができ、360度各方向への伸縮性を持ち、かつ、風合いに優れたプリーツ衣類及びその製造方法を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は本発明の実施例1に係るプリーツ衣類を構成するプリーツ衣類生地を縦方向と横方向とに2度掛けして形成する生地の形成工程を示す概略説明図である。
【
図2】
図2は本実施例1に係るプリーツ衣類生地に縦方向に第1プリーツを形成した生地を写真形態で示す概略説明図である。
【
図3】
図3は本実施例1に係るプリーツ衣類生地において、縦方向に第1プリーツを形成した生地に対して2度掛けして横方向にも第2プリーツを形成した生地の一例を写真形態で示す概略説明図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例2に係る縫製したプリーツ衣類における2度掛けして縫製した生地を所定のサイズに仕上げる状態を示す概略説明図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例3に係る縫製したプリーツ衣類パーツにおける2度掛けし、縫製し肩要素生地、脇要素生地を予め継いで前後の襟ぐりが違う場合に、前記生地と共布の当て布を止め付ける状態を示す概略説明図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例3に係る縫製したプリーツ衣類パーツにおける2度掛けし、縫製し肩要素生地、脇要素生地を予め継いで前後の襟ぐりが違う場合に、前記生地と共布の当て布を止め付ける状態を写真形態で示す概略説明図である。
【
図7】
図7は
図8のアイロン前の状態を示し、本発明の実施例4に係るプリーツ衣類パーツにおいて、プリーツ加工の対象生地を所定のサイズに裁断した後、2度掛けして形成した生地を縫い付ける袖要素生地を写真形態で示す概略説明図である。
【
図8】
図8は本実施例4に係るプリーツ加工の対象生地を所定サイズに裁断した後に2度掛けした当該生地をに縫い付ける要素生地にフレアを出した状態を写真形態で示す概略説明図である。
【
図9】
図9は本実施例4に係るプリーツ衣類生地を用いて、プリーツ加工の対象生地を所定のサイズに裁断した後、袖要素生地を予めプリーツをかけた後に当該袖要素生地にフレアを出しこの袖要素生地をフリル袖とする態様を写真形態で示す概略説明図である。
【
図10】
図10は本発明の実施例5に係るプリーツ衣類パーツにおいて、2度掛けした生地の一部を硬質とする際に、前記生地の一部の裏面側に芯布を配置して前記生地の一部を硬質とする工程を示す概略説明図である。
【
図11】
図11は本実施例5に係るプリーツ衣類パーツにおいて、2度掛けした生地の一部を硬質とする際に、前記生地の一部の裏面側に芯布を配置して前記生地の一部を硬質と当該一部を立て襟として機能させる態様を写真形態で示す概略説明図である。
【
図12】
図12は本実施例5に係るプリーツ衣類パーツにおいて、2度掛けした生地の一部を硬質とする際に、前記生地の一部の裏面側に接着布を配置して前記生地の一部を硬質とする工程を示す概略説明図である。
【
図13】
図13は本発明の実施例5に係るプリーツ衣類パーツにおいて、2度掛けした生地の一部を硬質とする際に、前記生地の一部の裏面側に接着布を配置して前記生地の一部を硬質とし、当該一部を袖口リブ若しくは裾口リブとして機能させる態様を写真形態で示す概略説明図である。
【
図14】
図14は本発明の実施例5に係る生地を所定のサイズに裁断して、予め肩要素生地、脇要素生地を予め継ぎ、ポケット要素を付けてから縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けしてポケット要素の縫い代の当たりがでないようにポケット要素の周囲にレーザーカットを施したプリーツ衣類パーツを示す概略説明図である。
【
図15】
図15は本発明の実施例6に係るポケット要素を付けたワンピース類等を写真形態で示す概略説明図である。
【
図16】
図16は本発明の実施例6に係る生地を所定サイズに裁断し、縫製し、前中心に縫い目がない物に対して前記前中心に共布のあて布の存在下でのレーザーカットを施したプリーツ衣類パーツを示す概略説明図である。
【
図17】
図17は本発明の実施例6に係る生地を所定サイズに裁断し、縫製し、前中心に縫い目がない物に対して前記前中心に共布のあて布の存在下でのレーザーカットを施したプリーツ衣類パーツを写真形態で示す概略説明図である。
【
図18】
図18は本発明の実施例7に係る生地を所定のサイズに裁断し、三つ折りした後に縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした状態を示す概略説明図である。
【
図19】
図19は本発明の実施例7に係る生地を所定のサイズに裁断し、三つ折りした後に縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした状態のパーツを複数段にわたって縫製し製品として機能させる状態を写真形態で示す概略説明図である。
【
図20】
図20は本発明の実施例8に係る生地の下部領域が縦方向のプリーツのみで横方向の生地のプリーツ領域を有さず下消し領域としたプリーツ衣類パーツを写真形態で示す概略説明図である。
【
図21】
図21は本発明の実施例8に係る生地の下部領域が縦方向のプリーツのみで横方向の生地のプリーツ領域を具備せずに下消し領域としたプリーツ衣類パーツをジャケット仕様とし、かつ、写真形態とした状態を示す概略説明図である。
【
図22】
図22は本発明の実施例9に係るプリーツ前に生地を外袖用、内袖同形の筒状とし、プリーツを実施してプリーツ後に内袖付け側に出る縫い代端を挟みにて除去してなるプリーツ衣類パーツの構成例を示す概略説明図である。
【
図23】
図23は本発明の実施例9に係るプリーツ衣類パーツをジャケットの袖仕様とし、かつ、写真形態とした状態を示す概略説明図である。
【
図24】
図24はプリーツ加工後の袖部を入れてアイロンセットを行うための仕上がり型を示す概略説明図である。
【
図25】
図25はプリーツ加工後の袖部を仕上がり型に入れてアイロンセットを行う状態を示す概略説明図である。
【
図26】
図26は前行程時、第1プリーツ加工工程後、第2プリーツ加工工程後の各プリーツ加工対象生地を示す概略説明図である。
【
図27】
図27はプリーツ加工の対象生地がプリント生地である場合の移染防止しつつプリーツ加工を行う状態を示す概略説明図である。
【
図30】
図30はプリーツ加工装置の加熱ドラムとくし歯の関係を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けした形態の生地の利点を利用して、軽い着心地、360度各方向への伸縮性を持つ、風合いに優れたプリーツ衣類を実現し提供するという目的を、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なる2度掛けしたプリーツを形成した生地を含み、前記生地は、横方向に1.5mm幅のプリーツ幅を有する第1プリーツ衣類生地、縦方向に4.5mm幅のプリーツ幅を有する第2プリーツ衣類生地を用いて2度掛けした構成により実現した。
【実施例0042】
以下、本発明の実施例に係るプリーツ衣類及びその製造方法、更に、プリーツ衣類のパーツ及びその製造方法について説明する。
【0043】
(実施例1)
概略すると、
図1は本発明の実施例1に係るプリーツ衣類1を構成する2種のプリーツを縦方向と横方向とに2度掛けした生地の形成工程を示し、
図2は本実施例1に係るプリーツ衣類生地に縦方向に第1プリーツを形成した生地の一例を写真形態で示し、
図3は
図2の第1プリーツを形成した生地に更に横方向に第2プリーツを形成し、縦方向と横方向とに2度掛けしたプリーツ衣類生地の一例を写真形態で示すものである。
【0044】
この場合、フラットな生地に対し、横方向に1.5mm幅のプリーツ幅を有する第1プリーツ加工を施し、次に縦方向に4.5mm幅のプリーツ幅を有する第2プリーツ加工を施す、すなわち、プリーツの2度掛けにより形成されたプリーツ衣類生地2を用いてプリーツ衣類1を得るものである。
【0045】
このように、フラットな生地に1回目のミリ単位の平行した細かい多数のプリーツ加工を施し、それと直交させて2回目のプリーツ加工を1回目同様に施すことで平面的で伸縮性のない生地(プリーツ衣類1)を立体的な伸縮性を持つプリーツ態様へと昇華させるものである。
【0046】
本実施例1のプリーツ衣類1によれば、プリーツ加工を2度掛けることで、プリーツ衣類1としては360度の伸縮性が生まれる。
【0047】
このように、生地に対する幾重ものプリーツ加工で縦・横・斜めへの抜群の伸縮性が得られる。このプリーツ加工により伸縮性のない軽く薄い素材を用いて軽い着心地、360度の伸縮性を持つ、風合いに優れた衣類素材として提供できる。
【0048】
すなわち、着用して、初めて体感することのできるプリーツ製の衣類の優れた伸縮性は動きやすい着心地、着脱のしやすさ、長時間の着用でも疲れない軽さ、サイズ選びに悩まされず、あたかもオートクチュールのようなフィット感を得られる等々の利点が生じる。
【0049】
この結果、サイズ感に一切捉われることなく自由にファッションを謳歌できる。
【0050】
更に説明すると、本実施例1に係るプリーツ衣類1によれば、当該プリーツ加工品により、a.フリーサイズ、b.シーズンレス、c.シーンレス、d.ストレスフリー(ストレスの軽減)等の利点を実現でき、機能性だけでなく利便性も良く長く愛用できる服作りが可能となる。
【0051】
具体的には、本実施例1のプリーツ加工をすることで、平面的で伸縮性のない生地が立体的な伸縮性を持つ素材に生まれ変わり、見た目にも高級感がでて、軽い着心地で風合いもよくなった。
【0052】
更に、既存のフリーサイズを超越したサイズフリーな服作りが可能になり、シーズンレスなマテリアルとして活用でき、シーンレスに着用可能な高級感のある素材であらゆるデザインに落とし込める上に着心地の良さをキープできる。更に、ストレスフリーな着心地の実現(着用ストレスの軽減)等の機能性だけでなく利便性も良く長く愛用できる服等を実現できる。
【0053】
更には、本実施例1に係るプリーツ加工をした素材の諸種布製品の提供もできるようになる。
【0054】
(実施例2)
図4は本発明の実施例2に係る2度掛けし、所望の形態に縫製したプリーツ衣類1を所定のサイズに仕上る工程を示すものである。
【0055】
この場合、2度掛けし、縫製したプリーツ衣類1をバキューム台上でスチームアイロンを用い下方からバキューム吸引して熱を吸収して、プリーツ衣類1のサイズを仕上げサイズに固定させるものである。
【0056】
(実施例3)
図5、
図6は本発明の実施例3に係るプリーツ衣類生地を所定のサイズに裁断し、肩要素生地、脇要素生地を、予め継いでから前後の襟ぐり(襟がつけられる部分)が違う場合に、前後の襟ぐりが違う領域に前記生地と共布の当て布4を止め付けて、前記生地と共布とを重ねた状態で縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツ加工を2度掛けすることで、すべての領域にプリーツがかかっているようにするプリーツ衣類パーツ及びその製造方法の概略を示すものである。
【0057】
上記襟ぐりとは、襟がつけられる部分のことで、ネックラインとも言い、襟ぐりの寸法で衣類使用者の頭が入るか等を考えて、洋服の設計を行うものである。
【0058】
この場合に、前記生地と共布の当て布はミシン又は毛皮用ミシンを用いて前後の襟ぐりが違う領域に止め付けるものである。
【0059】
(実施例4)
図7乃至
図9は本発明の実施例4に係るプリーツ衣類パーツ及びその製造方法の概略を示すものでものであり、プリーツ加工の対象生地を所定のサイズに裁断した後、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツ加工を2度掛けして得た生地を、同生地からなる袖要素生地を予め継いでから当該袖要素生地にフレア(あさがお形に開く)5を出す構成としたものである。
【0060】
なお、フレア5は、袖部分のみの他、スカートやパンツなどにも出すことができ、例えば、スカートの裾に近い部分にだけフレアを出すことで、長方形型にでき上がったプリーツスカートをマーメイドスカートにしたり、フレアパンツの袖幅の分量を単に平面的に一方向に幅を広げるだけでは得られないような立体的できれいな(アサガオのような)フレアが出すことができる。
【0061】
上記フレア(flare)とは、あさがお形に開くという意味であり、スカートや袖等をフレア調にすると、シルエットがあさがおのように開き、波のような形状がうまれ、優雅なイメージをつくり出すことができる。
【0062】
この場合、プリーツ衣類パーツである袖要素生地の製造方法としては、袖要素生地に対してアイロン処理で広げてフレア5を出し、フリル袖として機能させる工程を含むものである。
【0063】
図9にフリル袖を備えるプリーツ衣類パーツを写真形態で示す。
【0064】
(実施例5)
図10乃至
図13は本発明の実施例5に係るプリーツ衣類パーツ及びその製造方法の概略を示すものであり、
図10はプリーツ加工の対象生地を所定のサイズに裁断した後、生地の一部の裏面側に芯布6を配置して、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けして、前記生地の一部を硬質とした態様を示すものである。
【0065】
また、
図11は当該一部を立て襟として機能させるプリーツ衣類パーツの製造方法の概略を写真形態で示すものである。
【0066】
更に、
図12はプリーツ加工の対象生地を所定のサイズに裁断した後、生地の一部の裏面側に接着芯7を配置して、縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けし、前記生地の一部を硬質とした態様を示すものである。
【0067】
また、
図13は当該一部を袖口リブ若しくは裾口リブとして機能させるプリーツ衣類パーツの製造方法の概略を写真形態で示すものである。
【0068】
(実施例6)
図14乃至
図17は本発明の実施例6に係るプリーツ衣類パーツ及びその製造方法の概略を示すものであり、このうち、
図14は生地4aを所定のサイズに裁断し、予め肩要素生地、脇要素生地を予め継ぎ、ポケット要素8を付けてから縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けし、ポケット要素8の縫い代の当たりがでないようにレーザーカットを施すプリーツ衣類パーツを示すものである。
【0069】
また、
図15は当該レーザーカット処理にて縫い代端の除去を行ったポケット要素8を含むプリーツ衣類パーツの製造方法の概略を写真で示すものである。
【0070】
更に、
図16は生地4aを所定のサイズに裁断し、縫製して、前中心9に縫い目がない物に対して前記前中心にレーザーカットを施してスリットを生成させた後縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けしたプリーツ衣類パーツを示すものである。
【0071】
また、
図17は、生地4aを所定のサイズに裁断し、縫製して、前中心9に縫い目がない物に対して前記前中心9に共布のあて布の存在下でのレーザーカットによる前中心の一部除去によりスリットを生成させるプリーツ衣類パーツを示すものである。
【0072】
(実施例7)
図18、
図19は本発明の実施例7に係るプリーツ衣類パーツ、及びその製造方法の概略を示すものであり、本実施例7のプリーツ衣類パーツは
図18に示すように、生地5aを所定のサイズに裁断し、三つ折りした後縦方向と横方向とでプリーツ幅の異なるプリーツを2度掛けしてなるものである。
【0073】
また、
図19に示すように、本実施例7に係るプリーツ衣類パーツの製造方法は、上述した三つ折りパーツ同士を例えば上下二段等の複数段にわたって縫製(縫製部分を太点線で示す)し、例えばセーター類等の製品として機能させるプリーツ衣類パーツの製造方法である。
【0074】
(実施例8)
図20、
図21は本実施例8に係るプリーツ衣類パーツ及びその製造方法の概略を示すものであり、本実施例8に係るプリーツ衣類パーツは、
図20に示すように、生地全体に縦方向のプリーツ加工を行った後に、上部領域のみ横方向のプリーツを2度掛けするもので、下部領域は縦方向のプリーツ11のみでもって横方向の生地のプリーツ領域を有さずに下消し領域12としたものである。
【0075】
また、
図21は、上述したような、プリーツ衣類パーツを利用して縫製した下消し領域を備える上着類等のプリーツ衣類パーツの製造形態を写真態様で示す。
【0076】
(実施例9)
図22、
図23は本発明の実施例9に係るプリーツ衣類パーツ及びその製造方法の概略を示すものであり、本実施例9に係るプリーツ衣類パーツは、
図22に示すように、プリーツ前に生地を外袖21用、内袖22同形の筒状とし、プリーツを実施してプリーツ後に内袖付け側に出る縫い代端23を鋏等で切除して形成した袖部24を備える上着類等のプリーツ衣類パーツの製造形態を概略説明図及び写真態様で示すものである。
【0077】
以上説明したように、本実施例によれば生地の裁断後に一部縫製してからプリーツ加工を施し、それぞれに伸縮性のあるプリーツパーツとして完成させる技術も含んでパーツ同士を伸縮性を持たせたまま縫製、製品化する方法を考案しており、このことにより従来はプリーツ加工が不可能だったアイテムにもプリーツ商品を展開することを可能にした。
【0078】
以下、上述概略した本発明の実施例に係るプリーツ衣類、プリーツ衣類パーツの製造方法・製造工程に関して、一層詳しく説明する。
【0079】
本発明の実施例に係るプリーツ衣類・プリーツ衣類パーツの具体的な製造方法・製造工程、すなわち、プリーツ加工を施す前の生地の状態からプリーツ加工完了に至るまでの製造方法・製造工程を、一層詳細に説明すると、以下のとおりである。
【0080】
(1)生地を延反する工程
プリーツ加工の対象である生地をまっすぐに伸ばしながら裁断するために生地を重ねていく工程。
【0081】
(2)生地の柄合わせ工程
【0082】
(3)生地を裁断する工程
【0083】
(4)ナンバーリングする工程
プリーツ加工の対象である生地によって各々の生地の目的に合わせて、裁断した生地にナンバーをつけて振り分ける工程、すなわち、裁断した生地の左右の組合わせ、前後の組合わせ、各パーツ間での色合わせ(パーツの組合わせやロットの違い等による色の相違を防ぐ)、各パーツ間での柄合わせを行う。
【0084】
(5)第1プリーツ加工前の前工程
第1プリーツ加工前に、プリーツ加工の対象である生地のアイテムやデザインによって必要箇所を縫製する。例えば、肩線や脇線のはぎ、アウトポケット、裾や衿ぐりの始末や(衿ぐり・あて布)、縫いしろのロック始末等を行う。
【0085】
この点、本実施例におけるプリーツ衣類の製造方法・製造工程では、従来技術のように、生地を1枚でプリーツ加工をすると、プリーツの仕上がりの風合いが悪く(かたくなる)なるために、第1プリーツ加工で施すプリーツ加工の対象生地・パーツは必ず生地を2枚重ねた状態でプリーツを掛けることを必須条件としている。
【0086】
(6)第1プリーツ加工工程
以下の各工程・手順で行う。
【0087】
すなわち、(a)プリーツ加工対象生地のパーツごとに汚れやシミなどないか確認して、(b)パーツごとにアイロンで平らにしてから、(c)2枚重ねたプリーツ加工対象生地を左右平行的にプリーツマシンに入れる、(d)生地の目に対し90度(直角)にしてパーツをプリーツマシンに入れる。
【0088】
なお、本発明で使用する衣類用の生地にプリーツを形成するプリーツ加工装置は、例えば、以下記述するように、既存する各種の構成のものを使用することができる。
【0089】
すなわち、例えば、プリーツ加工装置としては、衣類用の生地を回転により搬送してこの生地を加温するヒータローラと、前記ヒータローラを所要の回転速度で回転駆動するヒータローラモータと、前記ヒータローラに対して生地を押えて、この生地の搬送方向に延びるスリットが列設された押えベルトと、前記押えベルトのスリットに挿通されて、このスリットに沿って往復動しつつ生地を折込みこれにプリーツを形成する櫛歯状に列設された歯を有する折り歯と、前記折り歯を所要の速度で往復動させるようにして折り歯に連係した回転軸を所要の回転速度で回転駆動する折り歯モータと、を備えているとともに、前記ヒータローラモータと折り歯モータとを所定の回転比の関係で同期して作動させる制御部を備え、当該制御部は、前記折り歯モータが回転駆動する回転軸の回転速度を設定する回転速度設定手段と、該回転速度設定手段により設定された回転速度で上記折り歯に連係した回転軸を回転させるように上記折り歯モータを作動させる折り歯モータドライバと、上記回転速度設定手段により設定された回転速度に対して所定の回転比で定められる上記ヒータローラの回転速度を決定する回転速度決定手段と、該回転速度決定手段が決定した回転速度で上記ヒータローラを回転させるように上記ヒータローラモータを同期して作動させるヒータローラモータドライバと、を具備して構成したプリーツ加工装置を挙げることができる。
【0090】
更に、本発明に使用可能なプリーツ加工装置の一例としては、生地を支持して送り出しながら加熱する加熱ドラムと、この加熱ドラムの表面に対して前後動するくし歯と、このくし歯は、バンドに形成してある挿入孔内に入って前後動することによって、生地に互いに平行なヒダを形成するようにした構成のプリーツ加工装置であって、前記くし歯は、先端に多数の歯部を有し、前記バンドは、歯部が挿入される多数の挿入孔を有し、当該くし歯、バンドは相互に組み合わされながら配置され、バンドはプリーツ加工装置側に所定の張力を付与した状態で取り付けられて、バンドの各挿入孔内にくし歯の各歯部が挿入されて、各くし歯の歯部はくし歯の前後動によって、バンドの挿入孔の裏側に突出して、生地に接しつつ加熱ドラムと各バンドとの間にある生地にプリーツを順次形成するように構成されているプリーツ加工装置を挙げることができる。
【0091】
上記プリーツ加工装置においては、くし歯、バンドによって形成されたヒダが、くし歯の前後動による押し込みと、加熱ドラムの回転によって、ゆっくりと前方に送られて行き、送られる間に加熱ドラムによる加熱がなされ、これによって当該ヒダが固定化されプリーツ形成されるようになっている。
【0092】
以上のような例示するプリーツ加工装置によって、本発明における特徴ある縦・横の2回のプリーツ加工が行われて実施される。
【0093】
上記(c)、(d)の工程において、生地を左右平行で入れないとプリーツのかかりが歪んで、仕上がりが変形してしまう(型が崩れる)おそれがあるために、第1プリーツで例えばアイテムや型によって一つのパーツがとても大きいものは、プリーツマシンに入れる際、二人がかりで行うのが好都合である。
【0094】
第1プリーツ加工工程におけるプリーツ加工時の加熱温度については、プリーツ加工の対象生地が黒無地生地の場合は、第1回目の第1プリーツ加工工程:175℃位、後記第2回目の第2プリーツ加工工程:190℃位が好都合である。
【0095】
そして、プリーツ加工の対象生地がプリント生地 の場合は、第1回目の第1プリーツ加工工程:180℃位、後記第2回目の第2プリーツ加工工程:195℃位が好都合である。
【0096】
(7)第2プリーツ加工前のチェック工程事項
すなわち、(a)万一、前記第1プリーツ加工工程後の2枚重ねたプリーツ加工の対象生地・パーツのプリーツ山がずれたままで第2プリーツ加工を行うとプリーツ不良が発生するために、前記第1プリーツ加工後のプリーツ加工の対象生地・パーツにおいて重なった2枚のそれぞれのプリーツ山がぴったり合っているか確認する。
【0097】
次に、(b)前記第1プリーツ加工後の採寸をする。すなわち、倍率により指定採寸があり、生地(柔硬)と温度により、採寸変化もあることから行うものである。
【0098】
(8)第2プリーツ加工工程
以下の各工程・手順で行う。
【0099】
すなわち、(a)パーツの上下が合うように注意してプリーツマシンに入れる、(b)プリーツマシンにパーツを入れる際、前記第1プリーツ加工と直角に(角度を90度に)して水平的にプリーツマシンに入れる(90度でなければ、プリーツ不良、歪みが出るおそれがある)。
【0100】
(9)第2プリーツ加工後のアイロンセット工程
すなわち、(a)すべてのプリーツ製品、プリーツパーツ製品は、仕上がり寸法になるように、仕上がりパターンに合わせて1つずつアイロンでセットする。
【0101】
プリーツ加工の対象製品によって、(b)後縫製がないようなアイテム・製品は、上記(a)のセットで終了する。
【0102】
また、(c)後縫製が必要なプリーツ加工の対象製品は、(a)でセットされたパーツ同士をプリーツ加工によって付加されたストレッチ性を活かして、伸びるように縫い合わせる。
【0103】
なお、上記ストレッチ性とは、伸縮性のこと、すなわち、伸縮性を活かしたまま、伸縮性を失わないように縫い合わせ、縫い目部分にも伸縮性が出るように縫い合わせることをいう。
【0104】
更に、(d)
図24及び
図25に示すように、袖部24や衿など、パーツ毎に仕上がり型31に入れてアイロンセットを行うものもある。なお、上記仕上がり型31はその都度必要に応じて、プリーツ製品の製造工場で仕上がりパターン(型紙)に合わせてパーツごとに作るものである。
【0105】
次に、本発明の実施例に係るプリーツ衣類・プリーツ衣類パーツの製造方法・製造工程において用いるパターン(型紙)について
図26を参照して説明する。
【0106】
(1)本発明の実施例に係るプリーツ衣類・プリーツ衣類パーツの製造方法・製造工程において用いるパターン(型紙)は、下記2種類のパターンを必要とする点において、通常のカットソーや布帛と大きく相違する。
【0107】
すなわち、実施例に係るプリーツ衣類・プリーツ衣類パーツの製造方法・製造工程において用いるパターンは、(a)パターン1:展開パターン(裁断用型紙)であって、後記仕上がりパターンに対し230%位の拡大したサイズのパターンと、(b)パターン2:仕上がりパターン(上がり置き寸用型紙)であって、2回のプリーツ加工、アイロンセット後の上がり寸法を仕上がりパターンに合わせるようにする。
【0108】
(2)実施例に係るプリーツ衣類・プリーツ衣類パーツの製造方法・製造工程において用いるパターンに関して、注意を要する点は以下のとおりである。
【0109】
(a)着用時、着丈の伸びが有るので、その分見越した着丈設定にする。
(b)ドロップショルダーの際の裄丈の着用寸法の設定は、特に注意を要する(プリーツ後の着用時の肩線の伸びの見込みの点)。
(c)着用時に、固定すべき箇所に対するプリーツの伸び分量の設定(前立てとの接ぎ、ファスナー付け、衿付け寸法固定の場合等)。
(d)生地巾に入らない場合のパターン調整(デザイン加味)。
(e)用尺で収率上げる為のパターン調整。
(f)素材に依る展開倍率の調整(定番素材は確定している)(定番素材のプリントでも差が出ることもある)。
(g)プリーツと布帛の縫合の際のプリーツパターン調整(伸ばし寸法の見極め、着用時のプリーツ巾寸法の見極め等)。
【0110】
(3)上がり寸法に対する展開パターンの倍率について
プリーツ加工の対象生地が無地で定番生地である場合の展開パターンの倍率は、仕上がりパターンに対しタテ、ヨコを230%位の倍率とし、プリーツ加工の対象生地が定番プリント生地である場合の展開パターンの倍率は、仕上がりパターンに対し、タテ、ヨコを220%(225%の場合もある)位の倍率とする。
【0111】
次に、本発明の実施例に係るプリーツ衣類・プリーツ衣類パーツの製造方法・製造工程において、プリーツ加工の対象生地がプリント生地である場合の移染防止について、以下説明する。
【0112】
すなわち、本発明の実施例に係るプリーツ衣類・プリーツ衣類パーツの製造方法・製造工程においては、前記したように、第1回プリーツ加工の条件として、プリーツ加工の対象生地を2枚重ねて第1回プリーツ加工を施すことになることから、プリーツ加工の対象生地がプリント生地の場合、重ねた生地の色柄が、薄い色の部分に濃い色の部分が、プリーツ加工によって移染するので、デザインによってはその移染を防ぐために、
図27に示すような手法をとる。
【0113】
図27を用いて詳述すると、プリーツ加工の対象生地がプリント生地である場合、2枚重ねたプリーツ加工の対象生地の間に、スパンボンド不織布等の当て布4を挟んだ後にプリーツ加工を施すと好都合である。
【0114】
以上詳細に説明した本発明の実施例に係るプリーツ衣類・プリーツ衣類パーツの製造方法・製造工程の特徴点を以下に説明する。
【0115】
(特徴1)
プリーツ加工の対象生地を裁断してから前記した第1プリーツ加工、第2プリーツ加工を行うこと。前記製造工程(3)のことをいう。
【0116】
予め設定した前記した拡大率に応じて作成したパターン(型紙)に沿って、プリーツ加工の対象生地を裁断してからプリーツ加工を行うことにより、仕上がり寸法どおりに仕上げることが可能となる。
【0117】
(特徴2)
前記製造工程(5)第1プリーツ加工前の前工程において、第1プリーツ加工で施すプリーツ加工の対象生地は必ず生地を2枚重ねることを必須条件としていること。
【0118】
このような本発明の実施例に係る製造方法・製造工程における特徴2によって、従来技術のように生地を1枚でプリーツ加工をするとプリーツ生地の仕上がりの風合いが悪く(かたくなる)なることを解消することができ、プリーツ加工した生地の仕上がりの風合いが硬くならず、柔らかな仕上がりとなる。
【0119】
(特徴3)
本発明の実施例に係る製造方法・製造工程においては、プリーツ加工時の加熱温度をプリーツ加工対象である生地により最適なプリーツ加工の温度設定を設けていること。
【0120】
すなわち、プリーツ加工対象生地が黒無地生地の場合、第1回目のプリーツ加工時の加熱温度は約175℃で、第2回目プリーツ加工時の加熱温度は約190℃であり、プリーツ加工対象生地がプリント生地の場合、第1回目のプリーツ加工時の加熱温度は約180℃で、第2回目のプリーツ加工時の加熱温度は約195℃である。
【0121】
このような温度設定により、プリーツ加工を施した生地に対して過熱によるダメージを与えることなく風合いに優れたプリーツ衣類を得ることができる。
【0122】
(特徴4)
前記製造工程(7)の第2プリーツ加工前のチェック工程において、第1回目プリーツ加工後のプリーツ加工の対象生地・パーツについて、前記(特徴2)における重なった2枚のそれぞれのプリーツ加工の対象生地・パーツのプリーツ山がぴったり合っているか確認すること。
【0123】
前記した重なった2枚のプリーツ加工の対象生地・パーツのプリーツ山がずれたままで第2回目プリーツ加工を行うと、プリーツ不良が発生するので、これを防ぐことが可能となる。
【0124】
(特徴5)
前記製造工程(7)の第2プリーツ加工前のチェック工程において、第1回目プリーツ加工後の採寸をすること。
【0125】
前記設定した倍率で第1回目プリーツ加工ができているか否かを採寸により確認することで、第2プリーツ加工前に不良がないか否かを確認することができる。なお、設定する倍率は、生地の柔硬度合や温度により、適宜変更される。
【0126】
(特徴6)
前記製造工程(9)の第2プリーツ加工後のアイロンセット工程において、袖や衿など、1パーツずつ仕上がり型に入れてアイロンセットすること。なお、仕上がり型は必要に応じて、仕上がりパターン(型紙)に合わせてパーツごとに作る。
【0127】
プリーツ加工の対象生地・パーツごとに作成した仕上がり型を用いてアイロンセットを行うことにより、仮にプリーツ加工の対象生地・パーツの形状が複雑であったとしても正確な仕上がり寸法に仕上げることが可能となる。
【0128】
(特徴7)
本発明の実施例に係る製造方法・製造工程においては、前記したように、2種類のパターン(型紙)を使用すること。すなわち、従来一般の通常のカットソーや布帛の場合は1種類のパターンのみであるのに対して、本発明の実施例に係る製造方法・製造工程においては、下記2種類のパターンを使用すること。
【0129】
詳述すると、第1に、展開パターン(裁断用)を使用し、仕上がりパターンに対して230%位に拡大したサイズのパターンとし、プリーツ加工の対象生地の違いによりに拡大率は異なる設定にする。
【0130】
プリーツ加工の対象生地が無地定番生地の場合の展開パターンの倍率は、仕上がりパターンに対し、タテ、ヨコ:230%位で、プリーツ加工の対象生地が定番プリント生地の場合の展開パターンの倍率は、仕上がりパターンに対し、タテ、ヨコ:220%位とする(但し225%の時もある)。
【0131】
第2に、仕上がりパターン(上がり置き寸用)、すなわち、第2回目のプリーツ加工を施し、アイロンセット後、仕上がりパターンに合わせて仕上げる。
【0132】
このような(特徴7)によって、前記(特徴1)と同様に、予め設定した前記した拡大率に応じて作成したパターン(型紙)に沿って、プリーツ加工の対象生地を裁断してから特徴1のような製造方法・製造工程のプリーツ加工を行うことにより、容易に仕上がり寸法どおりに仕上げることが可能となる。
【0133】
(特徴8)
プリーツ加工の対象がプリント生地である場合、当該プリント生地を2枚重ねて第1回目プリーツ加工をする際に、生地の間にスパンボンド不織布等によるあて布を挟んで行うこと。
【0134】
前記したように、このような施工により、プリーツ加工の対象がプリント生地である場合、当該プリント生地を重ねてプリーツ加工をする際に生地の色柄が移染してしまうことを予防することができる。
【0135】
以上詳述した本発明の実施例に係る製造方法・製造工程で形成された本発明のプリーツ衣類の主な用途と利点について、以下のとおり言及する。
・本発明に係るプリーツ衣類は、例えば日本の伝統文化である「折り紙」や着物(和服地)の「絞り」のように、平面を立体にする技術であるとともに、脱いだり、着たりする動作が楽であり、身体の不自由な女性にも優しく、心と身体に美しさと快適感を与えることができる。
・旅行用衣類に最適である。すなわちシワにならない、軽い、コンパクトに持ち運べる。
・リラックスした着心地で、カジュアルにもドレッシーにも対応することができる。着回しアイテムが揃う。
・プレゼントにも最適である。
・サイズや年齢を気にすることなく贈ることができる。
・贈られた方は、一年を通して様々なシーンで着ることができる。
・気軽に手洗いができ、すぐに乾くので、手入れも簡略である。
・究極のオートクチュール感覚で着ることができる。
・1サイズであらゆる体型や幅広いサイズに対応が可能で、驚くほどの軽い着心地感がある。
・マタニティとしても推奨できる。
【0136】
すなわち、マタニティとして着用する場合、妊娠初期からご出産に伴う体の変化にもジャストフィットする。
【0137】
着用時の締め付け感がないのでストレスもなく、勿論、産後も更に着映えする優れたものであり、手入れが簡単である。