IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-樹脂製容器 図1
  • 特開-樹脂製容器 図2
  • 特開-樹脂製容器 図2A
  • 特開-樹脂製容器 図3
  • 特開-樹脂製容器 図3A
  • 特開-樹脂製容器 図4
  • 特開-樹脂製容器 図5
  • 特開-樹脂製容器 図6
  • 特開-樹脂製容器 図7
  • 特開-樹脂製容器 図8
  • 特開-樹脂製容器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004440
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/10 20060101AFI20240109BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65D43/10
B65D1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003972
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2022103761
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】前川 政貴
(72)【発明者】
【氏名】原田 拓治
(72)【発明者】
【氏名】三田 とも子
(72)【発明者】
【氏名】辻井 雅人
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA13
3E033BA16
3E033DA08
3E033GA02
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084DB09
3E084DB13
3E084DB18
3E084DC03
3E084FC09
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB17
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】薄型化を図りつつ容器本体と蓋体との嵌合を確実に行うことができる樹脂製容器を提供する。
【解決手段】樹脂製容器1は、容器本体10及び蓋体20を備えている。容器本体10は、容器周壁12、係合周壁14、及び、嵌合リブ15を有する。蓋体20は、蓋体周壁22、及び、嵌合リブ23を有する。係合周壁14は、長手方向に延在する第1係合壁14aと、第2係合壁14bとを含む。蓋体周壁22は、長手方向に延在する第1蓋体壁22aと、第2蓋体壁22bとを含む。係合周壁14の平均厚さは0.25~0.4mmであり、蓋体周壁22の平均厚さは0.25~0.4mmである。嵌合リブ15と嵌合リブ23とが嵌合する際のかかり量は0.2~0.5mmである。樹脂製容器1では、第1係合壁14aの外周上に嵌合リブ16が設けられ、第1蓋体壁22aの内周上に嵌合リブ16と嵌合可能な嵌合リブ24が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形形状の開口を有する容器本体と、前記容器本体の前記開口を覆うように構成された蓋体と、を備えた樹脂製容器であって、
前記容器本体は、底板と、前記底板の周縁から上方に延在する容器周壁と、前記容器周壁の上端から外側に突出するフランジと、前記フランジから上方に延在し、前記蓋体が係合する係合周壁と、前記係合周壁の四隅の外周上に設けられる第1嵌合部と、を有し、
前記蓋体は、天板と、前記天板の周縁から下方に延在する蓋体周壁と、前記蓋体周壁の四隅の内周上に設けられ、前記第1嵌合部に嵌合可能な第2嵌合部と、を有し、
前記係合周壁は、長手方向に延在する一対の第1係合壁と、前記第1係合壁よりも短かく短手方向に延在する一対の第2係合壁とを含んで構成され、
前記蓋体周壁は、長手方向に延在する一対の第1蓋体壁と、前記第1蓋体壁よりも短く短手方向に延在する一対の第2蓋体壁とを含んで構成され、
前記係合周壁の平均厚さは、0.25~0.4mmであり、
前記蓋体周壁の平均厚さは、0.25~0.4mmであり、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合する際のかかり量は0.2~0.5mmであり、
前記容器本体の前記一対の第1係合壁の外周上に第3嵌合部が更に設けられると共に、前記蓋体の前記一対の第1蓋体壁の内周上に、前記第3嵌合部と嵌合可能な第4嵌合部が更に設けられている、樹脂製容器。
【請求項2】
前記第3嵌合部は、前記一対の第1係合壁の前記長手方向の中央に設けられ、
前記第4嵌合部は、前記一対の第1蓋体壁の前記長手方向の中央に設けられている、
請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記第3嵌合部と前記第4嵌合部とが嵌合する際のかかり量は、0.15~0.5mmである、
請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記第3嵌合部及び前記第4嵌合部それぞれの突出量は、0.4~0.8mmである、
請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
前記第3嵌合部及び前記第4嵌合部の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさが10N以上となるように構成されている、
請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項6】
前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさが4.5N以下となるように構成されている、
請求項5に記載の樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バターやマーガリン等の食品を収納することができる薄型の樹脂製容器が開示されている。この樹脂製容器では、容器本体の側壁の厚みを0.38~0.50mmと薄くし、これにより、使用する樹脂の量を低減させている。また、この樹脂製容器では、容器本体の係合縁の四隅に嵌合リブを設けており、これにより、容器本体に対して蓋部が確実に取り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-068397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した樹脂製容器では、容器本体の側壁等の厚さを0.38~0.5mmと薄くしているものの、樹脂製容器に使用する樹脂の量の更なる削減が望まれており、樹脂製容器の側壁等の更なる薄型化が検討されている。しかしながら、樹脂製容器の薄型化が進むと、嵌合リブが四隅に設けられている容器本体の係合縁等の厚みも薄くする必要がある。この場合、嵌合リブの土台部分が変形しやすくなるため嵌合リブの嵌合力が弱くなり、樹脂製容器を持ち運びする際に嵌合リブが外れてしまい、容器本体が意図せずに蓋体から外れてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、容器の薄型化を図りつつ、容器本体と蓋体との嵌合をより確実に行うことができる樹脂製容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、一側面として、矩形形状の開口を有する容器本体と、容器本体の開口を覆うように構成された蓋体とを備えた樹脂製容器に関する。容器本体は、底板と、底板の周縁から上方に延在する容器周壁と、容器周壁の上端から外側に突出するフランジと、フランジから上方に延在し、蓋体が係合する係合周壁と、係合周壁の四隅の外周上に設けられる第1嵌合部と、を有している。蓋体は、天板と、天板の周縁から下方に延在する蓋体周壁と、蓋体周壁の四隅の内周上に設けられ、第1嵌合部に嵌合可能な第2嵌合部と、を有している。係合周壁は、長手方向に延在する一対の第1係合壁と、第1係合壁よりは短かく短手方向に延在する一対の第2係合壁とを含んで構成される。蓋体周壁は、長手方向に延在する一対の第1蓋体壁と、第1蓋体壁よりは短く短手方向に延在する一対の第2蓋体壁とを含んで構成される。係合周壁の平均厚さは、0.25~0.4mmであり、蓋体周壁の平均厚さは、0.25~0.4mmである。第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合する際のかかり量は0.2~0.5mmである。この樹脂製容器では、容器本体の一対の第1係合壁の外周上に第3嵌合部が更に設けられると共に、蓋体の一対の第1蓋体壁の内周上に、第3嵌合部と嵌合可能な第4嵌合部が更に設けられている。
【0007】
この樹脂製容器では、係合周壁の平均厚さが0.25~0.4mmであると共に、蓋体周壁の平均厚さが0.25~0.4mmである。これにより、容器の薄型化を図ることできる。一方、この樹脂製容器では、係合周壁の四隅に設けられた第1嵌合部と蓋体周壁の四隅に設けられた第2嵌合部とに加え、係合周壁及び蓋体周壁のそれぞれに長手方向に沿って第3嵌合部及び第4嵌合部が設けられている。このような追加の嵌合部により、この容器の構成によれば、容器本体と蓋体との嵌合をより確実に行うことが可能である。特に容器の長手方向の部分は、樹脂製容器を使用者が保持する際に自然と把持する部分であり、この部分に追加の嵌合部を設けることにより、使用者が樹脂製容器を持ち運びする際に容器本体が意図せずに蓋体から外れてしまうことを防止することができる。
【0008】
[2]上記[1]の樹脂製容器において、第3嵌合部は、一対の第1係合壁の長手方向の中央に設けられることが好ましく、第4嵌合部は、一対の第1蓋体壁の長手方向の中央に設けられることが好ましい。この場合、使用者が樹脂製容器を掴む際に通常把持する部分に第3嵌合部と第4嵌合部とが位置することになり、使用者が樹脂製容器を持ち運びする際等に第3嵌合部と第4嵌合部との嵌合状態がより確実に維持されるようになる。これにより、この樹脂製容器によれば、容器本体と蓋体との嵌合をより確実に行うことが可能となる。なお、ここでいう「長手方向の中央に設けられる」とは、長手方向における幅を100%とした場合に、その中心から±30%の幅の範囲内に第3嵌合部及び第4嵌合部が位置していることを意味する。
【0009】
[3]上記[1]または[2]の樹脂製容器において、第3嵌合部と第4嵌合部とが嵌合する際のかかり量は、0.15~0.5mmであることが好ましい。第3嵌合部と第4嵌合部とのかかり量が0.15mm以上であることにより、第3嵌合部と第4嵌合部とがより確実に嵌合することができる。一方、第3嵌合部と第4嵌合部とのかかり量が0.5mm以下であることにより、蓋体を容器本体から取り外す際に第3嵌合部と第4嵌合部との嵌合がかかる取外しを阻害することを防止できる。
【0010】
[4]上記[1]~[3]の何れかの樹脂製容器において、第3嵌合部及び第4嵌合部それぞれの突出量は、0.4~0.8mmであってもよい。この場合、第3嵌合部と第4嵌合部との嵌合をより確実に実現することが可能となる。
【0011】
[5]上記[1]~[4]の何れかの樹脂製容器は、第3嵌合部及び第4嵌合部の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさが10N以上となるように構成されていることが好ましい。樹脂製容器がこのような嵌合力を有していることにより、使用者が樹脂製容器を持ち運びする際に容器本体が意図せずに蓋体から外れてしまうことを防止することができる。なお、ここでいう「第3嵌合部及び第4嵌合部の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさ」は、第3嵌合部及び第4嵌合部に対応する蓋体の部分を使用者が外側から把持した際に第3嵌合部及び第4嵌合部の嵌合が解消する荷重の大きさを意味する。
【0012】
[6]上記[1]~[5]の何れかの樹脂製容器は、第1嵌合部及び第2嵌合部の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさが4.5N以下となるように構成されていることが好ましい。樹脂製容器がこのような嵌合力を有していることにより、容器本体から蓋体を外したい際、容易に蓋体を外すことができる。なお、ここでいう「第1嵌合部及び第2嵌合部の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさ」は、第1嵌合部及び第2嵌合部に対応する蓋体の部分(4隅の何れかの隅部)を使用者が上方に持ち上げる際に第1嵌合部及び第2嵌合部の嵌合が解消する荷重の大きさを意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、薄型化を図りつつ、容器本体と蓋体との嵌合を確実に行う容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂製容器を示す斜視図であり、容器本体から蓋体を取り外した状態を示す。
図2図2は、図1に示す樹脂製容器の容器本体を示す斜視図である。
図2A図2Aは、容器本体の変形例を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す樹脂製容器の蓋体を示す斜視図である。
図3A図3Aは、蓋体の変形例を示す斜視図である。
図4図4は、容器本体の追加嵌合リブと蓋体の追加嵌合リブとの嵌合状態を示す断面図である。
図5図5は、容器本体の追加嵌合リブと蓋体の追加嵌合リブとの嵌合状態が外れる様子を順に示す断面図である。
図6図6は、容器本体の係合壁の厚みと追加嵌合リブの突出量を示す断面図である。
図7図7は、蓋体の周壁の厚みと追加嵌合リブの突出量を示す断面図である。
図8図8は、容器本体の追加嵌合リブと蓋体の追加嵌合リブとが嵌合した際のかかり量を示す断面図である。
図9図9は、比較例2に係る樹脂製容器を示す斜視図であり、(a)は、蓋体を示し、(b)は、容器本体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る樹脂製容器について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂製容器を示す斜視図であり、容器本体から蓋体を取り外した状態を示す。図1に示すように、樹脂製容器1は、矩形形状の開口10aを有する容器本体10と、容器本体10の開口10aを覆うように構成された蓋体20とを備えている。樹脂製容器1は、平面視において、例えば、四隅が丸みを帯びている略長方形の形状を有する樹脂からなる容器である。樹脂製容器1は、例えば、デザートカップ、飲料カップ、又は、バターやマーガリン、クリームチーズなどを収容する薄肉容器として使用することができる。樹脂製容器1は、優れた強度(例えば、座屈強度及び落下耐性)を有することから、比較的大容量であってよい。樹脂製容器1の内容積は、例えば、280cc以上であり、280~400ccであってもよい。
【0017】
図2は、樹脂製容器1の容器本体10を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、容器本体10は、底板11、容器周壁12、フランジ13、係合周壁14、四個の嵌合リブ15(第1嵌合部)、及び、二対の嵌合リブ16(第3嵌合部)を有している。
【0018】
底板11は、平面視において、四隅が丸みを帯びている略長方形状を有する板部である。底板11の長辺の長さは、例えば、5~15cmであり、7~12cm又は8~10.5cmであってもよい。底板11の短辺の長さは、例えば、3~12cmであり、5~10cm又は6~8.5cmであってもよい。また、底板11の厚さは、例えば、0.3~0.6mmであり、0.4~0.5mmであってもよい。底板11の厚さが0.3mm以上であることで、落下耐性を確保することができる。他方、底板11の厚さが0.6mm以下であることで、薄型化や軽量化を図ることができる。
【0019】
容器周壁12は、底板11の周縁から上方に延在して容器の内側部分を周方向に囲む壁部分である。容器周壁12は、一対の第1側壁部12aと、一対の第2側壁部12bとを含んで構成される。平面視において、一対の第1側壁部12aは、容器本体10の長辺をなし、他方、一対の第2側壁部12bは容器本体10の短辺をなしている。第1側壁部12aと第2側壁部12bとの各連結部分は曲面形状であってもよい。第1側壁部12a及び第2側壁部12bのそれぞれは、底板11の周縁から斜め上方に延びている部分であり、例えば、図2に示すように、底板11から遠ざかるにしたがって容器本体10の開口10aが拡大するように傾斜している。なお、第1側壁部12a及び第2側壁部12bは、底板11に対して実質的に鉛直方向に延びていてもよい。
【0020】
第1側壁部12a及び第2側壁部12bの厚さは、例えば、0.25~0.4mmであり、0.3~0.35mmであってもよい。第1側壁部12a及び第2側壁部12bの厚さが0.25mm以上であることで、落下耐性を確保することができる。他方、第1側壁部12a及び第2側壁部12bの厚さが0.4mm以下又は0.38mm未満であることで、軽量化や薄型化を図ることができ、また使用するプラスチック量の低減を図ることができる。ここでは、第1側壁部12a及び第2側壁部12bの全体が上記範囲の厚さを有する態様を例示するが、側壁部の一部が上記範囲の厚さを有する薄肉部であってもよい。プラスチック使用量削減の観点から、側壁部における薄肉部の面積割合は好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは90%以上である。
【0021】
フランジ13は、容器周壁12の上端から外側に突出する部分であり、平面視において、四隅が丸みを帯びる略長方形の枠形状を有している。フランジ13は、第1側壁部12a及び第2側壁部12bに連なって形成されており、第1側壁部12a及び第2側壁部12bよりも外側に突出する。フランジ13は、内側から外側に向けて突出する部分(横方向の突出長さ)を有しているため、第1側壁部12a及び第2側壁部12bよりも肉厚に形成されている。フランジ13の上下方向における厚さは、第1側壁部12a及び第2側壁部12bの厚さ(内側から外側に向けた横方向における厚さ)と同じであってもよいし、それより薄くてもよいし、厚くてもよい。フランジ13は、容器周壁12の上端から内側に突出する部分を含んでいてもよい。この場合、フランジ13の内側の上面はフラットな面であり、内容物を覆う各種のシートをヒートシールできる構成であってもよい。
【0022】
係合周壁14は、フランジ13から更に上方に延在し、蓋体20を容器本体10に係合する際に蓋体20をガイドすると共に係合を行わせる部分である。係合周壁14は、一対の第1係合壁14aと一対の第2係合壁14bとを含んで構成されており、周方向に延びる壁部である。平面視において、一対の第1係合壁14aは、長手方向に延在して、容器本体10の長辺をなしている。他方、一対の第2係合壁14bは、第1係合壁14aよりも短く、短手方向に延在して、容器本体10の短辺をなしている。第1係合壁14aと第2係合壁14bとの各連結部分は曲面形状であってもよい。係合周壁14の厚さは、容器周壁12の厚さと同様であってもよく、例えば、0.25~0.4mmであり、0.3~0.35mmであってもよく、また、容器周壁12より薄くてもよい。なお、ここでいう厚さは、係合周壁14の平均厚さである。係合周壁14の厚さが0.25mm以上であることで、落下耐性を確保することができる。他方、係合周壁14の厚さが0.4mm以下又は0.38mm未満であることで、軽量化や薄型化を図ることができ、また使用するプラスチック量の低減を図ることができる。
【0023】
嵌合リブ15は、容器本体10に蓋体20を係合させた際に、蓋体20の嵌合リブ23(詳細は後述する)に嵌合して、蓋体20を容器本体10に取り付けるための嵌合部である。嵌合リブ15は、係合周壁14の四隅の外周上に外側に突出するようにそれぞれ設けられており、蓋体20において同じく四隅に設けられた嵌合リブ23にそれぞれ嵌合して、蓋体20から容器本体10が外れないようにされている。嵌合リブ15は、例えば、係合周壁14の丸みを帯びた四隅に設けられており、平面視した際に、隅部が丸みを帯びるように一部曲線を含むように形成されている。嵌合リブ15は、フランジ13よりも薄肉となるように形成されており、フランジ13を含む開口端部において肉厚差を生じさせる部分となっている。
【0024】
嵌合リブ16は、容器本体10に蓋体20を係合させた際に、嵌合リブ15と共に、蓋体20を容器本体10に取り付けるための嵌合部である。嵌合リブ16は、蓋体20の嵌合リブ24(詳細は後述する)に嵌合する。樹脂製容器1では、容器周壁12、係合周壁14、及び蓋体周壁22等を厚み0.4mm以下と薄型化しているため、使用者が容器を把持する際の力によって容器形状が変形することがあり、四隅に設けられた嵌合リブ15及び嵌合リブ23による嵌合が外れてしまうことがあり得る。そこで、樹脂製容器1では、四隅以外の領域に追加の嵌合リブ16を設け、これにより、容器本体と蓋体20との係合を維持するようにしている。
【0025】
二対の嵌合リブ16は、より詳細には、係合周壁14において長手方向に延在する第1係合壁14aの外周上にそれぞれ設けられている。一対の嵌合リブ16は、第1係合壁14aの外周上であって、その中心を挟むように長手方向の中央に設けられていることが好ましい。一対の嵌合リブ16は、第1係合壁14aの長手方向における幅を100%とした場合に、その中心から±30%の幅の範囲内に配置されていることが好ましく、その中心から±20%の幅の範囲内に配置されていることがより好ましい。一対の嵌合リブ16の各リブの長手方向における幅は、例えば、5~12mmである。
【0026】
嵌合リブ16は、第1係合壁14aから外に向かって突出する部分である。嵌合リブ16の突出量T2は、嵌合リブ15の突出量と同じであってもよく、例えば、0.4~0.8mmであってもよく、0.5~0.7mmであってもよい(図6を参照)。また、嵌合リブ16は、嵌合される嵌合リブ24の突出量より大きくてもよいし、逆に小さくてもよいし、同じであってもよい。
【0027】
図2に示す例では、一つの第1係合壁14aに一対の嵌合リブ16が設けられているが(即ち2つの部分にリブが分割された形態となっているが)、1つの第1係合壁14aに設けられる嵌合リブが3つ以上の突出部から構成されていてもよい。この場合、1つの第1係合壁14aに設けられる嵌合リブ16の合計の幅は、例えば、10~30mmであってもよい。なお、図2Aに示すように、更なる変形例として、容器本体10Aは、1つの突出部から成る嵌合リブ16Aを有する構成であってもよい。また、容器本体10Bは、上下方向に並ぶ二列の嵌合リブ16Bを有する構成であってもよいし、容器本体10Cは、一対の嵌合リブ16Cが上下方向に並ぶ構成であってもよい。図2Aでは、手前側の第1係合壁14aに設けられた嵌合リブのみを示しているが、奥側の第1係合壁14aにも同様の嵌合リブが設けられている。
【0028】
図3は、樹脂製容器1の蓋体20を示す斜視図である。図1及び図3に示すように、蓋体20は、天板21、蓋体周壁22、四個の嵌合リブ23(第2嵌合部)、二対の嵌合リブ24(第4嵌合部)、及び、把持部25を有している。
【0029】
天板21は、平面視において、四隅が丸みを帯びている略長方形の形状を有している。天板21の長辺の長さは、例えば、5~15cmであり、7~12cm又は8~10.5cmであってもよい。天板21の短辺の長さは、例えば、3~12cmであり、5~10cm又は6~8.5cmであってもよい。また、天板21の厚さは、例えば、0.3~0.6mmであり、0.4~0.5mmであってもよい。天板21の厚さが0.3mm以上であることで、落下耐性を確保することができる。他方、天板21の厚さが0.6mm以下であることで、軽量化を図ることができる。
【0030】
蓋体周壁22は、天板21の周縁から下方に延在して蓋体の内側部分を周方向に囲む壁部である。蓋体周壁22は、容器本体10に蓋体20が取り付けられた際に、容器本体10の係合周壁14の外側を取り囲むように位置して係合周壁14と対向する。蓋体周壁22は、一対の第1蓋体壁22aと、一対の第2蓋体壁22bとを含んで構成されている。平面視において、一対の第1蓋体壁22aは、蓋体20の長辺をなし、他方、一対の第2蓋体壁22bは蓋体20の短辺をなしている。第1蓋体壁22aと第2蓋体壁22bとの各連結部分は曲面形状であってもよい。第1蓋体壁22a及び第2蓋体壁22bの厚さは、例えば、0.25~0.4mmであり、0.3~0.35mmであってもよい。第1蓋体壁22a及び第2蓋体壁22bの厚さが0.25mm以上であることで、落下耐性を確保することができる。他方、第1蓋体壁22a及び第2蓋体壁22bの厚さが0.4mm以下又は0.35mm以下であることで、軽量化や薄型化を図ることができ、また使用するプラスチック量の低減を図ることができる。なお、蓋体周壁22は、対向する係合周壁14よりも厚みが薄くてもよい。
【0031】
嵌合リブ23は、容器本体10に蓋体20を係合させた際に、容器本体10の嵌合リブ15に嵌合して、蓋体20を容器本体10に取り付けるための嵌合部である。嵌合リブ23は、蓋体周壁22の四隅の内周上に内側に突出するようにそれぞれ設けられている。嵌合リブ23は、例えば、蓋体周壁22の丸みを帯びた四隅に設けられており、平面視した際に、隅部が丸みを帯びるように一部曲線を含むように形成されている。
【0032】
嵌合リブ24は、容器本体10に蓋体20を係合させた際に、嵌合リブ23と共に、蓋体20を容器本体10に取り付けるための嵌合部である。嵌合リブ24は、容器本体10の嵌合リブ16に嵌合し、嵌合リブ15と嵌合リブ23との嵌合が外れた場合の容器本体10と蓋体20との係合状態を維持するためのものである。二対の嵌合リブ24は、蓋体周壁22において長手方向に延在する第1蓋体壁22aの内周上に内側に向けて突出するようにそれぞれ設けられている。より具体的には、一対の嵌合リブ24は、第1蓋体壁22aの内周上であって、その中心部分を挟むように長手方向の中央に設けられている。一対の嵌合リブ24は、第1蓋体壁22aの長手方向における幅を100%とした場合に、その中心から±30%の幅の範囲内に配置されていることが好ましく、その中心から±20%の幅の範囲内に配置されていることがより好ましい。一対の嵌合リブ24の各リブの長手方向における幅は、例えば、5~12mmである。
【0033】
また、嵌合リブ24は、第1蓋体壁22aから内に向かって突出する部分であり、その突出量T4は、嵌合リブ23の突出量と同じであってもよく、例えば、0.4~0.8mmであってもよく、0.4~0.6mmであってもよい(図7を参照)。嵌合リブ24は、嵌合される嵌合リブ16の突出量よりも大きくてもよいし、逆に小さくてもよいし、同じであってもよい。
【0034】
図3に示す例では、一つの第1蓋体壁22aに一対の嵌合リブ24が設けられているが(即ち2つの部分に分割された形態となっているが)、上述したように嵌合リブ16が3つ以上の部分から構成されている場合には、1つの第1蓋体壁22aに設けられる嵌合リブ24も3つ以上の部分から構成されていてもよい。この場合、1つの第1蓋体壁22aに設けられる嵌合リブ24の合計の幅は、例えば、10~30mmであってもよい。また、嵌合リブ16が図2Aに示される変形例の構成を有している場合には、蓋体20の嵌合リブ24は、これらに対応する形態を有している。より具体的には、蓋体20の嵌合リブ24は、1つの突出部から構成されてもよく、上下方向に並ぶ二列の嵌合リブを有する構成であってもよく、一対の嵌合リブが上下方向に並ぶ構成であってもよい。但し、ここでいう「対応する形態」は、同様又は同じ形態である場合に限られず、相互に補完し得る異なる形態をも含むものである。
【0035】
把持部25は、樹脂製容器1を使用者が保持する際に自然と把持するように誘導させる部分である。把持部25は、図3に示すように、例えば、側面から見て台形形状の凹部及びその上の突出部を有する構成である。このような構成により、使用者が把持部25を自然と把持するようになる。把持部25は、一対の第1蓋体壁22aそれぞれの外周面であって嵌合リブ24の外側に対応する領域に設けられている。このような構成により、把持部25を使用者が自然と把持するようになり、使用者が樹脂製容器1を保持した際に、嵌合リブ16と嵌合リブ24との嵌合がより確実に行われるようになる。なお、蓋体に設けられる把持部は、この構成に限られず、使用者が把持するように誘導させる他の構成であってもよい。例えば、図3Aに示すように、凹部を設けずに平面上に長手方向に伸びる複数の突出部からなる把持部25Aを設けた蓋体20Aであってもよい。
【0036】
ここで、図4を参照して、容器本体10の嵌合リブ16と蓋体20の嵌合リブ24との嵌合状態について説明する。図4は、容器本体10の嵌合リブ16と蓋体20の嵌合リブ24との嵌合状態を示す断面図である。図4に示すように、容器本体10の嵌合リブ16が外側に突出すると共に、蓋体20の嵌合リブ24が内側に突出する。このような形状によって、容器本体10に蓋体20が取り付けられた際に、嵌合リブ16と嵌合リブ24とが互いに嵌合する。なお、図4では、説明を容易にするため、嵌合リブ16と嵌合リブ24とが接触していないが、実際に嵌合する場合、嵌合リブ16(下方の面)と嵌合リブ24(上方の面)とは互いに接触した状態となる。
【0037】
また、樹脂製容器1では、この嵌合の際に嵌合リブ16と嵌合リブ24とが引っ掛かる量を「かかり量」と定義すると(図8のかかり量T5も参照)、かかり量は、例えば、0.15~0.5mmであり、より好ましくは、0.2~0.4mmである。なお、四隅に設けられる嵌合リブ15と嵌合リブ23とが嵌合する際のかかり量は、例えば0.2~0.5mmであり、0.3~0.4mmであってもよい。嵌合リブ16と嵌合リブ24とが嵌合する際のかかり量は、嵌合リブ15と嵌合リブ23とのかかり量と同等またはそれよりも小さいことが好ましい。これにより、容器本体10から蓋体20を取り外す際に、嵌合リブ16と嵌合リブ24とによる嵌合が、嵌合リブ15と嵌合リブ23との嵌合解除を阻害しないようにすることができる。なお、嵌合リブ16と嵌合リブ24とのかかり量は、嵌合リブ15と嵌合リブ23とのかかり量よりも大きくてもよい。
【0038】
樹脂製容器1は、上述したような引っ掛かり構造により、嵌合リブ16及び嵌合リブ24の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさが10N以上となるように構成されていることが好ましい。即ち、嵌合リブ16及び嵌合リブ24の嵌合力は10N以上であることが好ましい。このような嵌合力を有することにより、使用者が樹脂製容器1を持ち運びする際に容器本体10が意図せずに蓋体20から外れてしまうことが防止される。また、樹脂製容器1は、上記に加えて、嵌合リブ15及び嵌合リブ23の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさが4.5N以下となるように構成されていることが更に好ましい。これにより、容器本体10から蓋体20を取り外したい場合、容易に蓋体20を取り外すことができる。なお、ここでいう「嵌合リブ16及び嵌合リブ24の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさ」は、嵌合リブ16及び嵌合リブ24に対応する蓋体20の部分を使用者が外側から把持した際に嵌合リブ16及び嵌合リブ24の嵌合が解消する荷重の大きさを意味する。また、ここでいう「嵌合リブ15及び嵌合リブ23の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさ」は、嵌合リブ15及び嵌合リブ23に対応する蓋体20の部分(4隅の何れかの隅部)を使用者が上方に持ち上げる際に嵌合リブ15及び嵌合リブ23の嵌合が解消する荷重の大きさを意味する。
【0039】
次に、上述した構成を有する樹脂製容器1による嵌合力の向上について、シミュレーションによる解析結果を用いて説明する。ここで、嵌合リブ16及び嵌合リブ24の嵌合力とは、図5に示すように、嵌合リブ16と嵌合リブ24とが嵌合した状態(図5の(a)を参照)から、嵌合リブ16と嵌合リブ24との突起同士が接触する状態(図5の(b)を参照)を経て、嵌合リブ24が嵌合リブ16から外れた状態(図5の(c)を参照)となる際の荷重を示すものである。この嵌合リブ16及び嵌合リブ24の嵌合力を算出するシミュレーションでは、蓋体20の2つの把持部25のそれぞれを外側から1mm/秒で押圧して上述した動作を行い、嵌合が外れた際の荷重を算出する。このようなシミュレーションにより、樹脂製容器1の長手方向の両側部を使用者が把持した際に嵌合リブ15と嵌合リブ23との嵌合が外れてしまう際の開閉荷重を算出することができる。また、嵌合リブ15及び嵌合リブ23の嵌合力は、嵌合リブ15と嵌合リブ23とが嵌合した状態において、蓋体20の指掴み部26(図1を参照)を下方から押し上げて嵌合が外れた状態となる際の荷重を示すものである。この嵌合リブ15及び嵌合リブ23の嵌合力を算出するシミュレーションでは、樹脂製容器1の1/4モデル(平面視した際に指掴み部26が設けられた隅部を含む1/4の領域)に対して鏡面機能を使ってフルモデル化し、4隅のうちの1の隅部(指掴み部26)に下方から1mm/秒で押圧して(押し上げて)、嵌合が外れた際の荷重を算出する。このようなシミュレーションにより、樹脂製容器1の隅部に位置する指掴み部26を使用者が押し上げて嵌合リブ15と嵌合リブ23との嵌合を外したい場合の開閉荷重を算出することができる。
【0040】
まず、実施例1として、以下に示す厚み及び突出量を有する樹脂製容器を設定して、この樹脂製容器における開閉荷重(嵌合力、単位はN(ニュートン))を算出する。この設定した樹脂製容器の基本的な構成は、図1図3に示す構成の樹脂製容器である。
(実施例1の容器構成)
容器周壁12の厚み:0.25mm
係合周壁14の第1係合壁14aの厚みT1:0.35mm
嵌合リブ15の突出量:0.68mm
嵌合リブ16の突出量T2:0.64mm
嵌合リブ16それぞれの長手方向における幅:9mm
蓋体の天板21の厚み:0.30mm
蓋体周壁22の厚み(嵌合リブ23付近):0.35mm
蓋体周壁22の第1蓋体壁22aの厚みT3:0.35mm
嵌合リブ23の突出量:0.55mm
嵌合リブ24の突出量T4:0.51mm
嵌合リブ24それぞれの長手方向における幅:9mm
嵌合リブ15と嵌合リブ23とのかかり量:0.34mm
嵌合リブ16と嵌合リブ24とのかかり量T5:0.25mm
【0041】
また、実施例2として、以下に示す厚み及び突出量を有する樹脂製容器を設定して、この樹脂製容器における開閉荷重(嵌合力)を算出する。この設定した樹脂製容器の基本的な構成は、実施例1と同様に、図1図3に示す構成の樹脂製容器である。
(実施例2の容器構成)
容器周壁12の厚み:0.25mm
係合周壁14の第1係合壁14aの厚みT1:0.35mm
嵌合リブ15の突出量:0.68mm
嵌合リブ16の突出量T2:0.68mm
嵌合リブ16それぞれの長手方向における幅:9mm
蓋体の天板21の厚み:0.30mm
蓋体周壁22の厚み(嵌合リブ23付近):0.35mm
蓋体周壁22の第1蓋体壁22aの厚みT3:0.35mm
嵌合リブ23の突出量:0.55mm
嵌合リブ24の突出量T4:0.55mm
嵌合リブ24それぞれの長手方向における幅:9mm
嵌合リブ15と嵌合リブ23とのかかり量:0.34mm
嵌合リブ16と嵌合リブ24とのかかり量T5:0.34mm
なお、上記の条件のうち、「嵌合リブ16の突出量T2」「嵌合リブ24の突出量T4」及び「嵌合リブ16と嵌合リブ24とのかかり量T5」以外の条件は、実施例1と同様である。
【0042】
また、実施例3として、以下に示す厚み及び突出量を有する樹脂製容器を設定して、この樹脂製容器における開閉荷重(嵌合力)を算出する。この設定した樹脂製容器の基本的な構成は、実施例1と同様に、図1図3に示す構成の樹脂製容器である。
(実施例3の容器構成)
容器周壁12の厚み:0.25mm
係合周壁14の第1係合壁14aの厚みT1:0.35mm
嵌合リブ15の突出量:0.68mm
嵌合リブ16の突出量T2:0.724mm
嵌合リブ16それぞれの長手方向における幅:9mm
蓋体の天板21の厚み:0.30mm
蓋体周壁22の厚み(嵌合リブ23付近):0.35mm
蓋体周壁22の第1蓋体壁22aの厚みT3:0.35mm
嵌合リブ23の突出量:0.55mm
嵌合リブ24の突出量T4:0.593mm
嵌合リブ24それぞれの長手方向における幅:9mm
嵌合リブ15と嵌合リブ23とのかかり量:0.34mm
嵌合リブ16と嵌合リブ24とのかかり量T5:0.42mm
なお、上記の条件のうち、「嵌合リブ16の突出量T2」「嵌合リブ24の突出量T4」及び「嵌合リブ16と嵌合リブ24とのかかり量T5」以外の条件は、実施例1及び実施例2と同様である。
【0043】
一方、比較例1として、以下に示す厚み及び突出量を有する樹脂製容器を設定して、この樹脂製容器における開閉荷重(N)を算出する。この設定した樹脂製容器の構成は、図1図3に示す構成の樹脂製容器から追加の嵌合リブ16及び嵌合リブ24を除いた構成である。それ以外の条件は、上述した実施例1と同様である。
(比較例1の容器構成)
容器周壁12の厚み:0.25mm
係合周壁14の第1係合壁14aの厚み:0.35mm
嵌合リブ15の突出量:0.68mm
蓋体の天板21の厚み:0.30mm
蓋体周壁22の第1蓋体壁22aの厚み:0.35mm
嵌合リブ23の突出量:0.55mm
嵌合リブ15と嵌合リブ23とのかかり量:0.34mm
【0044】
また、比較例2として、図9に示す構成の樹脂製容器を設定して、この樹脂製容器における開閉荷重(N)を算出する。図9に示す比較例の容器では、係合周壁14の一対の第2係合壁14bのそれぞれに一対の嵌合リブ116を設けると共に、蓋体周壁22の一対の第2蓋体壁22bのそれぞれに一対の嵌合リブ124を設けている。嵌合リブ116と嵌合リブ124とが嵌合する。それ以外の条件は比較例1と同様である。
係合周壁14の第2係合壁14bの厚み:0.35mm
嵌合リブ116の突出量:0.68mm
嵌合リブ116それぞれの短手方向の幅:6.8mm
蓋体の天板21の厚み:0.30mm
蓋体周壁22の第2蓋体壁22bの厚みT3:0.35mm
嵌合リブ124の突出量:0.55mm
嵌合リブ124それぞれの短手方向の幅:6.8mm
嵌合リブ116と嵌合リブ124とのかかり量:0.34mm
【0045】
以下の表1に実施例1、実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2における厚みやリブのかかり量をまとめたものを示す。なお、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2に係る樹脂製容器1における容器本体10,110の容器周壁12の平均厚み、蓋体20,120の天板21の平均厚み、蓋体20,120の蓋体周壁22の平均厚みは、それぞれ0.25mm、0.30mm、0.35mmである。
【表1】
【0046】
次に、上述した実施例1、実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2に係る樹脂製容器における開閉荷重(N)を解析シミュレーションにより評価する。このシミュレーションでは、市販の構造解析ソフトウェア(例えば、Ansys LS-DYNA)を用いて、樹脂製容器1の長手方向における両側部を使用者が把持する状態を想定し、当該部分(把持部25)に指を模した圧子を押し込んでいき、図5に示すように嵌合を解除する際の荷重(辺中央を把持して開ける際の開閉荷重)を算出する。また、同様の構造解析ソフトウェアを用いて、樹脂製容器1の隅部に位置する指掴み部26に対して、指を模した圧子を下方から押し上げて嵌合を解除する際の荷重(四隅を把持して開ける際の開閉荷重)を算出する。予め、解析対象である樹脂製容器1のヤング率および密度等の物理量を、実際にポリプロピレン樹脂から作製した同形状の容器の測定結果を基に入力しておく。以下の表2に、解析により得られたそれぞれの開閉荷重(N)について記載する。
【0047】
【表2】
【0048】
追加の嵌合リブを設けない比較例1と実施例1~実施例3との対比結果から明らかなように、係合周壁14や蓋体周壁22の四隅以外に追加の嵌合リブを設けることにより、薄型の容器であっても嵌合力を向上できることがわかる。より具体的には、実施例1~実施例3では、比較例1の容器よりも、辺中央を把持した際の嵌合力が20%以上向上している。また、追加の嵌合リブを短辺に設けた比較例2と実施例1~実施例3との対比から明らかなように、追加の嵌合リブを設ける箇所はどこでもよいという訳ではなく、使用者が把持する傾向の高い長辺方向に嵌合リブを設けることにより、薄型の容器であっても嵌合力を向上できることがわかる。
【0049】
また、比較例1と実施例1及び実施例3との対比結果における四隅を把持して開ける際の開閉荷重の結果から明らかなように、実施例1や実施例3のような構成であっても、蓋体20を容器本体10から取外しをしたい際には、従来(比較例1)と同様に容易に蓋体20を取り外すことができることがわかる。なお、図1に示す構成と同様の構成を有し、係合周壁や蓋体周壁の平均厚さが0.5mm程度の樹脂製容器(従来品)では、このような開閉荷重は、例えば4.7Nである。この4.7Nは、指掴み部を引っ張りあげる方法での実測値の平均(N=5)である(デジタルフォースゲージFGN-5B(SHIMPO製)を使用して測定)。このように、本実施例に係る樹脂製容器1によれば、従来品の樹脂製容器よりも、蓋体を開けたい際には、より容易に開けることができることもわかる。
【0050】
以上、本実施形態に係る樹脂製容器1では、係合周壁14の平均厚さが0.25~0.4mmであると共に、蓋体周壁22の平均厚さが0.25~0.4mmである。これにより、容器の薄型化を図ることできる。一方、樹脂製容器1では、係合周壁14の四隅に設けられた嵌合リブ15と蓋体周壁22の四隅に設けられた嵌合リブ23とに加え、係合周壁14及び蓋体周壁22のそれぞれに長手方向に沿って嵌合リブ16及び嵌合リブ24が設けられている。このような追加の嵌合部により、この容器の構成によれば、容器本体10と蓋体20との嵌合をより確実に行うことが可能である。特に容器の長手方向の部分は、樹脂製容器1を使用者が保持する際に自然と把持する部分であり、この部分に追加の嵌合部を設けることにより、使用者が樹脂製容器1を持ち運びする際に容器本体10が意図せずに蓋体20から外れてしまうことを防止することができる。
【0051】
また、樹脂製容器1では、嵌合リブ16は、一対の第1係合壁14aの長手方向の中央に設けられており、嵌合リブ24は、一対の第1蓋体壁22aの長手方向の中央に設けられている。これにより、使用者が樹脂製容器1を掴む際に通常把持する部分(把持部25)に追加の嵌合リブ16と嵌合リブ24とが位置することになり、使用者が樹脂製容器1を持ち運びする際等に嵌合リブ16と嵌合リブ24との嵌合状態がより確実に維持されるようになる。これにより、樹脂製容器1によれば、容器本体10と蓋体20との嵌合をより確実に行うことが可能となる。また、嵌合リブ16及び嵌合リブ24を中央に配置することにより、嵌合リブ16と嵌合リブ24とが嵌合した際の嵌合力が容器本体10及び蓋体20の各方向に均等にかかりやすくなり、これにより、どの方向に対しても蓋体20から容器本体10が意図せずに外れにくくなる。なお、嵌合リブ16及び嵌合リブ24が各壁の長手方向の中心を含むように設けられることが上記の観点から特に望ましいが、本実施形態のように嵌合リブ16及び嵌合リブ24のそれぞれが分割され、嵌合リブの中心に隙間がある場合でも、嵌合リブ全体として中心を含む構成であれば、嵌合力を容器本体10及び蓋体20の各方向に均等にかけることが可能であり、蓋体20から容器本体10が意図せずに外れてしまうことをより確実に防止することができる。
【0052】
また、樹脂製容器1では、嵌合リブ16と嵌合リブ24とが嵌合する際のかかり量は、0.15~0.5mmであることが好ましい。嵌合リブ16と嵌合リブ24とのかかり量が0.15mm以上であることにより、嵌合リブ16と嵌合リブ24とがより確実に嵌合することができる。一方、嵌合リブ16と嵌合リブ24とのかかり量が0.5mm以下であることにより、蓋体20を容器本体10から取り外す際に嵌合リブ16と嵌合リブ24との嵌合がかかる取外しを阻害することを防止できる。
【0053】
また、樹脂製容器1では、嵌合リブ16及び嵌合リブ24それぞれの突出量は、0.4~0.8mmであってもよい。この場合、嵌合リブ16と嵌合リブ24との嵌合をより確実に実現することが可能となる。
【0054】
また、樹脂製容器1は、嵌合リブ16及び嵌合リブ24の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさが10N以上となるように構成されており、より好ましくは、11N以上となるように構成されている。樹脂製容器1がこのような嵌合力を有していることにより、使用者が樹脂製容器1を持ち運びする際に容器本体10が意図せずに蓋体20から外れてしまうことを防止することができる。
【0055】
また、樹脂製容器1は、嵌合リブ15及び嵌合リブ23の嵌合を解消するのに必要な荷重の大きさが4.5N以下となるように構成されており、より好ましくは4.0N以下となるように構成されている。樹脂製容器1がこのような嵌合力を有していることにより、容器本体10から蓋体20を外したい際、容易に蓋体20を外すことができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、嵌合リブ16と嵌合リブ24とをそれぞれの長手方向に設けたが、これに加えて、更なる追加の嵌合リブを第2係合壁14bと第2蓋体壁22bとに設けてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…樹脂製容器、10,10A~10C…容器本体、11…底板、12…容器周壁、13…フランジ、14…係合周壁、14a…第1係合壁、14b…第2係合壁、15…嵌合リブ(第1嵌合部)、16,16A~16C…嵌合リブ(第3嵌合部)、20,20A…蓋体、21…天板、22…蓋体周壁、22a…第1蓋体壁、22b…第2蓋体壁、23…嵌合リブ(第2嵌合部)、24…嵌合リブ(第4嵌合部)、T1,T3…厚み、T2,T4…突出量、T5…かかり量。
図1
図2
図2A
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9