(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044401
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】樹脂供給装置、樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 31/02 20060101AFI20240326BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20240326BHJP
B29C 31/04 20060101ALI20240326BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20240326BHJP
B29C 45/18 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B29C31/02
H01L21/56 C
B29C31/04
B29C45/02
B29C45/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149898
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】市橋 秀男
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
【テーマコード(参考)】
4F201
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F201AC01
4F201AH37
4F201AJ08
4F201AL01
4F201AL08
4F201AL10
4F201BA06
4F201BC02
4F201BC12
4F201BC20
4F201BD04
4F201BP32
4F201BQ07
4F201BQ22
4F201BQ32
4F201BQ36
4F201BQ40
4F206AA36
4F206AC01
4F206AD03
4F206AD04
4F206AD05
4F206AD08
4F206AD19
4F206AD20
4F206AG03
4F206AH33
4F206AH36
4F206AH37
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JF01
4F206JF12
4F206JF23
4F206JF36
4F206JF46
4F206JL02
4F206JL07
4F206JM01
4F206JQ90
5F061CA21
5F061DE06
(57)【要約】
【課題】縦向きの樹脂タブレットが通過することにより生じる詰まり等の不具合を簡単な構成により解消する。
【解決手段】樹脂成形に用いられる円柱状の樹脂タブレットTを供給する樹脂供給装置8であって、振動によって樹脂タブレットTを送り出す樹脂送出部81と、送り出し部81により送り出された樹脂タブレットTが通過する樹脂通路部821と、樹脂通路部821を移動した樹脂タブレットTを搬出する樹脂搬出部822とを備え、樹脂通路部821は、横向きの樹脂タブレットTの外側周面に接触して、横向きの樹脂タブレットTを樹脂搬出部822側に通過させるようにガイドするガイド溝111と、樹脂搬出部822側に通過する通過方向Xに対して傾斜して形成され、縦向きの樹脂タブレットTの外側周面に接触可能な傾斜接触面121とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形に用いられる円柱状の樹脂タブレットを供給する樹脂供給装置であって、
振動によって前記樹脂タブレットを送り出す樹脂送出部と、
前記樹脂送出部により送り出された前記樹脂タブレットが通過する樹脂通路部と、
前記樹脂通路部を移動した前記樹脂タブレットを搬出する樹脂搬出部とを備え、
前記樹脂通路部は、
横向きの前記樹脂タブレットの外側周面に接触して、横向きの前記樹脂タブレットを前記樹脂搬出部側に通過させるようにガイドするガイド溝と、
前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に対して傾斜して形成され、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面に接触する傾斜接触面とを有する、樹脂供給装置。
【請求項2】
前記傾斜接触面は、前記ガイド溝の平面視において、前記ガイド溝を横切るように形成されている、請求項1に記載の樹脂供給装置。
【請求項3】
前記樹脂通路部は、縦向きの前記樹脂タブレットが前記傾斜接触面に接触して移動する側に、縦向きの前記樹脂タブレットを前記樹脂通路部から落下させるための切り欠き部を有する、請求項1又は2に記載の樹脂供給装置。
【請求項4】
前記傾斜接触面は、前記樹脂通路部における通過方向から視て、横向きの前記樹脂タブレットの通過領域の外側に設けられている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の樹脂供給装置。
【請求項5】
前記傾斜接触面は、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面における下部又は上部に接触するものである、請求項1乃至4の何れか一項に記載の樹脂供給装置。
【請求項6】
前記樹脂通路部は、縦向きの前記樹脂タブレットが前記傾斜接触面に接触するまで縦向きの前記樹脂タブレットの底面に接触する平面部を有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の樹脂供給装置。
【請求項7】
前記ガイド溝及び前記傾斜接触面が、前記樹脂通路部の一部を構成するユニット部材に形成されている、請求項1乃至6の何れか一項に記載の樹脂供給装置。
【請求項8】
前記ガイド溝は、前記ユニット部材において、前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に沿って一端部から他端部に亘って形成されており、
前記傾斜接触面は、前記ユニット部材において前記ガイド溝の両側それぞれに設けられ、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面における下部に接触する、請求項7に記載の樹脂供給装置。
【請求項9】
前記ガイド溝は、前記ユニット部材において、前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に沿って一端部から他端部に亘って形成されており、
前記傾斜接触面は、前記ユニット部材において前記ガイド溝の上方に設けられ、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面における上部に接触する、請求項7に記載の樹脂供給装置。
【請求項10】
前記傾斜接触面により除去された前記樹脂タブレットを回収する回収ボックスをさらに備える、請求項1乃至9の何れか一項に記載の樹脂供給装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の樹脂供給装置を有する樹脂成形装置。
【請求項12】
成形対象物に対して樹脂成形する樹脂成形品の製造方法であって、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の樹脂供給装置により前記樹脂タブレットを前記ローダに供給する樹脂供給工程と、
前記ローダにより前記樹脂タブレット及び前記成形対象物を成形型に搬送する搬送工程と、
前記成形型を型締めして樹脂成形を行う成形工程とを備える、樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂供給装置、樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂成形装置には、成形型に円柱状の樹脂タブレットを供給し、当該樹脂タブレットにより樹脂成形するものがある。この樹脂成形装置では、複数の樹脂タブレットをローダに保持させて成形型に搬送しており、ローダには樹脂供給装置によって樹脂タブレットが供給される。
【0003】
ここで、ローダに樹脂タブレットを供給する際には、ローダに合わせて樹脂タブレットを整列させる必要があり、横向き及び縦向きの樹脂タブレットが混ざった状態ではローダに供給する前に詰まってしまう等の不具合が生じるおそれがある。
【0004】
このため、樹脂タブレットをローダに供給する前に、何れか一方の向きに整列させることが考えられている。例えば特許文献1には、立位状態のタブレットをタブレットホルダに収納して、当該タブレットホルダを成形用金型に移動させて成形用金型にタブレットを供給するタブレット供給装置が開示されている。
【0005】
このタブレット供給装置は、ランダムな方向に配置されたタブレットをかき上げるタブレットかき上げ部と、かき上げられたタブレットを整列させるタブレット整列部とを有し、タブレット整列部が、横位状態にあるタブレットを立位状態とするリフト機構が設けられている。具体的にはタブレット整列部に、タブレットが横位状態か立位状態かを判定するための確認センサが設けられており、確認センサによりタブレットが横位状態であると判定したときに、リフト機構がタブレットの端部を持ち上げて立位状態としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように横位状態のタブレットの立位状態にする等のように一方の姿勢に揃える機構は複雑であり、また、その設置スペースも必要となってしまう。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、横向きの樹脂タブレットが通過すべき部分に縦向きの樹脂タブレットが入って生じる詰まり等の不具合を簡単な構成により解消することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る樹脂供給装置は、樹脂成形に用いられる円柱状の樹脂タブレットを供給する樹脂供給装置であって、振動によって前記樹脂タブレットを送り出す樹脂送出部と、前記樹脂送出部により送り出された前記樹脂タブレットが通過する樹脂通路部と、前記樹脂通路部を移動した前記樹脂タブレットを搬出する樹脂搬出部とを備え、前記樹脂通路部は、横向きの前記樹脂タブレットの外側周面に接触して、横向きの前記樹脂タブレットを前記樹脂搬出部側に通過させるようにガイドするガイド溝と、前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に対して傾斜して形成され、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面に接触する傾斜接触面とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように構成した本発明によれば、横向きの樹脂タブレットが通過すべき部分に縦向きの樹脂タブレットが入って生じる詰まり等の不具合を簡単な構成により解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る一実施形態の樹脂成形装置の構成を示す模式図である。
【
図2】同実施形態のプレス部の要部を示す部分断面図である。
【
図3】同実施形態の樹脂供給装置(樹脂供給モジュール)の構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】同実施形態の樹脂供給モジュールの構成を模試的に示す正面図である。
【
図5】同実施形態のユニット部材を示す斜視図である。
【
図6】同実施形態の(a)ユニット部材の平面図、(b)ユニット部材の通過方向Xから視た図、及び(c)樹脂タブレットの重心と切り欠き部との関係を示す図である。
【
図7】同実施形態のユニット部材における(a)横向きの樹脂タブレットの通過領域R1、(b)縦向きの樹脂タブレットの通過領域R2、及び(c)傾斜接触面を設けることが可能な領域R3を示す図である。
【
図8】同実施形態において横向きの樹脂タブレットがユニット部材を通過する様子を示す斜視図及び平面図である。
【
図9】同実施形態において縦向きの樹脂タブレットがユニット部材を通過する様子を示す斜視図及び平面図である。
【
図10】変形実施形態のユニット部材を示す斜視図である。
【
図11】変形実施形態のユニット部材を示す(a)斜視図、(b)通過方向Xから視た図(通過領域R1を示している。)、及び(c)通過方向Xから視た図(通過領域R2を示している。)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る技術について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の技術により限定されない。
【0013】
本発明に係る技術1の樹脂供給装置は、樹脂成形に用いられる円柱状の樹脂タブレットを供給する樹脂供給装置であって、振動によって前記樹脂タブレットを送り出す樹脂送出部と、前記樹脂送出部により送り出された前記樹脂タブレットが通過する樹脂通路部と、前記樹脂通路部を移動した前記樹脂タブレットを搬出する樹脂搬出部とを備え、前記樹脂通路部は、横向きの前記樹脂タブレットの外側周面に接触して、横向きの前記樹脂タブレットを前記樹脂搬出部側に通過させるようにガイドするガイド溝と、前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に対して傾斜して形成され、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面に接触する傾斜接触面とを有することを特徴とする。
この樹脂供給装置であれば、樹脂通路部に横向きの樹脂タブレットの通過をガイドするガイド溝を設けているので、安定して横向きの樹脂タブレットを通過させることができる。また、樹脂搬出部側に通過する通過方向に対して傾斜し、縦向きの樹脂タブレットの外側周面に接触する傾斜接触面を設けているので、縦向きの樹脂タブレットは、樹脂通路部を進むに連れて、傾斜接触面に接触しながら通過方向から逸れる方向に移動して、樹脂通路部から除去される。これにより、横向きの樹脂タブレットが通過すべき部分に縦向きの樹脂タブレットが入って生じる詰まり等の不具合を解消することができる。したがって、ローダに安定して樹脂タブレットを供給することができる。さらに、本発明は、樹脂タブレットを振動によって送り出す構成であり、振動によって縦向きになりやすい形状を有する樹脂タブレット(例えば軸方向長さが直径の1倍以下の樹脂タブレット場合)において特に有効となる。
【0014】
本発明に係る技術2の樹脂供給装置は、上記の技術1の構成に加えて、前記傾斜接触面が、前記ガイド溝の平面視において、前記ガイド溝を横切るように形成されていることが望ましい。
この構成であれば、傾斜接触面がガイド溝を横切るように形成されているので、縦向きの樹脂タブレットを樹脂通路部から除去しやすくすることができる。
【0015】
本発明に係る技術3の樹脂供給装置は、上記の技術1又は2の構成に加えて、前記樹脂通路部が、縦向きの前記樹脂タブレットが前記傾斜接触面に接触して移動する側に、縦向きの前記樹脂タブレットを前記樹脂通路部から落下させるための切り欠き部を有することが望ましい。
このように切り欠き部を設けることで、縦向きの樹脂タブレットを樹脂通路部から除去しやすくすることができる。
【0016】
本発明に係る技術4の樹脂供給装置は、上記の技術1乃至3の何れか1つの構成に加えて、前記傾斜接触面が、前記樹脂通路部における通過方向から視て、横向きの前記樹脂タブレットの通過領域の外側に設けられていることが望ましい。
この構成であれば、傾斜接触面が横向きの樹脂タブレットに接触せずに横向きの樹脂タブレットを通過させることができる。
【0017】
円柱状の樹脂タブレットは、軸方向から見た形状は円形状であり、軸方向に直交する方向から見た形状は矩形状であることから、樹脂通路部における通過方向から視て、横向きの樹脂タブレットの通過領域は円形状となり、縦向きの樹脂タブレットの通過領域は矩形状となる。このことを利用して縦向きの樹脂タブレットを好適に除去するためには、本発明に係る技術5の樹脂供給装置は、上記の技術1乃至4の何れか1つの構成に加えて、前記傾斜接触面が、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面における下部又は上部に接触するものであることが望ましい。
【0018】
本発明に係る技術6の樹脂供給装置は、上記の技術1乃至5の何れか1つの構成に加えて、前記樹脂通路部が、縦向きの前記樹脂タブレットが前記傾斜接触面に接触するまで縦向きの前記樹脂タブレットの底面に接触する平面部を有することが望ましい。
この構成であれば、縦向きの樹脂タブレットが縦向きの状態のまま傾斜接触面に移動して傾斜接触面に接触することになり、傾斜接触面による縦向きの樹脂タブレットの除去を確実にすることができる。
【0019】
本発明に係る技術7の樹脂供給装置は、上記の技術1乃至6の何れか1つの構成に加えて、前記ガイド溝及び前記傾斜接触面が、前記樹脂通路部の一部を構成するユニット部材に形成されていることが望ましい。
この構成であれば、ユニット部材を樹脂通路部に設けるだけで、当該樹脂通路部に縦向きの樹脂タブレットを除去する構成を簡単に設置することができる。
【0020】
ユニット部材におけるガイド溝及び傾斜接触面の具体的な実施の態様としては以下が考えられる。
つまり、本発明に係る技術8の樹脂供給装置は、上記の技術6の構成に加えて、前記ガイド溝は、前記ユニット部材において、前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に沿って一端部から他端部に亘って形成されており、前記傾斜接触面は、前記ユニット部材において前記ガイド溝の両側それぞれに設けられ、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面における下部に接触することが考えられる。
【0021】
また、ユニット部材におけるガイド溝及び傾斜接触面の別の具体的な実施の態様としては以下が考えられる。
つまり、本発明に係る技術9の樹脂供給装置は、上記の技術6の構成に加えて、前記ガイド部は、前記ユニット部材において、前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に沿って一端部から他端部に亘って形成されており、前記傾斜接触面は、前記ユニット部材において前記ガイド溝の上方に設けられ、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面における上部に接触することが考えられる。
【0022】
本発明に係る技術10の樹脂供給装置は、上記の技術1乃至9の何れか1つの構成に加えて、前記傾斜接触面により除去された前記樹脂タブレットを回収する回収ボックスをさらに備えることが望ましい。
この構成であれば、樹脂タブレットを回収できるだけでなく、回収した樹脂タブレットを樹脂送出部に戻すことによって再利用することもできる。
【0023】
また、上記の技術1乃至10の何れか1つの樹脂供給装置を有する樹脂成形装置も本発明の一態様である。
【0024】
その上、成形対象物に対して樹脂成形する樹脂成形品の製造方法であって、上記の技術1乃至10の何れか1つの樹脂供給装置により前記樹脂タブレットを前記ローダに供給する樹脂供給工程と、前記ローダにより前記樹脂タブレット及び前記成形対象物を成形型の搬送する搬送工程と、前記成形型を型締めして樹脂成形を行う成形工程とを備える樹脂成形品の製造方法も本発明の一態様である。
【0025】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る樹脂成形装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0026】
<樹脂成形装置の全体構成>
本実施形態の樹脂成形装置100は、電子部品が固定された成形対象物W1を、樹脂材料を用いたトランスファ成形によって樹脂成形するものである。また、この樹脂成形装置100は、樹脂材料として、円柱状をなすタブレット状の例えば熱硬化性樹脂を含む複合材料(以下、「樹脂タブレットT」という。)を使用するものである。さらに、樹脂タブレットTは、例えば軸方向長さLが直径Dの1倍以下のもの(L/D≦1.0)である。なお、樹脂タブレットTの形状は、L/D≦1.0に限られない。
【0027】
なお、成形対象物W1としては、例えば金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミックス製基板、回路基板、半導体製基板、リードフレーム、シリコンウエハ、ガラスウエハ等であり、配線の有無は問わない。また、電子部品としては、例えば半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子、又はこれら電子素子の少なくとも1つが樹脂封止された形態の電子部品を挙げることができる。
【0028】
具体的に樹脂成形装置100は、
図1に示すように、成形前の成形対象物W1及び樹脂タブレットTを供給する供給モジュール2と、樹脂成形する例えば2つの樹脂成形モジュール3A、3Bと、成形後の成形対象物W2(以下、「樹脂成形品W2」という。)を収容する収納モジュール4とを、それぞれ構成要素として備えている。なお、構成要素である供給モジュール2と、樹脂成形モジュール3A、3Bと、収納モジュール4とは、それぞれ他の構成要素に対して互いに着脱されることができ、かつ、交換されることができる。
【0029】
また、樹脂成形装置100は、供給モジュール2により供給される成形対象物W1及び樹脂タブレットTを樹脂成形モジュール3A、3Bに搬送する搬送機構5(以下、「ローダ5」という。)と、樹脂成形モジュール3A、3Bにより樹脂成形された樹脂成形品W2を収納モジュール4に搬送する搬送機構6(以下、「アンローダ6」という。)とを備えている。
【0030】
本実施形態の供給モジュール2は、成形対象物供給モジュール7及び樹脂供給モジュール8を一体化したものである。
【0031】
成形対象物供給モジュール7は、成形対象物送出部71と、成形対象物供給部72を有している。成形対象物送出部71は、マガジン内の成形対象物W1を成形対象物供給部72に送り出すものである。成形対象物供給部72は、成形対象物送出部71から成形対象物W1を受け取り、受け取った成形対象物W1を所定方向に整列させて、ローダ5に受け渡すものである。
【0032】
樹脂供給モジュール8は、ローダ5に樹脂タブレットTを供給する樹脂供給装置であり、樹脂送出部81と、樹脂供給部82とを有している。樹脂送出部81は、複数の樹脂タブレットTを収容するストッカ83から樹脂タブレットTを受け取り、樹脂供給部82に樹脂タブレットTを送り出すものである。樹脂供給部82は、樹脂送出部81から樹脂タブレットTを受け取り、受け取った樹脂タブレットTを所定方向に整列させて、ローダ5に受け渡すものである。なお、樹脂供給モジュール8の詳細構成は後述する。
【0033】
樹脂成形モジュール3A、3Bは、それぞれプレス部31を有している。各プレス部31は、
図2に示すように、昇降可能な成形型である下型311と、下型311の上方に相対向して固定された成形型である上型312と、下型311及び上型312を型締めするための型締め機構313とを有している。下型311は、可動盤314の上面に固定されており、上型312は、上部固定盤315の下面に固定されている。型締め機構313は、可動盤314を上下移動させることによって、上型312及び下型311を型締め又は型開きするものである。
【0034】
下型311には、ローダ5により搬送された成形対象物W1が装着される装着部311aが形成されている。下型311には、ローダ5により搬送された樹脂タブレットTが装着される複数のポット311bが形成されている。また、下型311には、ポット311b内に樹脂タブレットTを例えば上型312に形成された樹脂流路312a及びキャビティ312bに注入するためのプランジャ316が設けられている。
【0035】
その他、上型312と下型311とには、それぞれヒータ等の加熱部(
図2のヒータ317参照)が埋め込まれている。この加熱部により上型312及び下型311は、通常は180℃程度に加熱される。
【0036】
<樹脂成形装置100の樹脂成形動作>
以下、本実施形態の樹脂成形装置100の樹脂成形の基本動作を説明する。
【0037】
成形対象物送出部71は、マガジン内の成形対象物W1を成形対象物供給部72に送り出す。成形対象物供給部72は、受け取った成形対象物W1を所定の方向へ整列させて、ローダ5に引き渡す。これと並行して、樹脂送出部81は、ストッカ83から受け取った樹脂タブレットTを樹脂供給部82に送り出す。樹脂供給部82は、受け取った樹脂タブレットTのうち必要な個数(
図1では4個)をローダ5に引き渡す。
【0038】
次に、ローダ5が、受け取った2枚の成形対象物W1と4個の樹脂タブレットTとを、プレス部31へ同時に搬送する。ローダ5は、成形対象物W1を下型311の装着部311aに、樹脂タブレットTを下型311に形成されたポット311bの内部に、それぞれ供給する。
【0039】
その後、型締め機構313を用いて上型312と下型311とを型締めする。そして、各ポット311b内の樹脂タブレットTを加熱して溶融させて溶融樹脂を生成し、プランジャ316によって溶融樹脂を押圧する。これにより、溶融樹脂は、樹脂流路312aを通して上型312に形成されたキャビティ312bの内部に注入される。引き続き、硬化に必要な所要時間だけ溶融樹脂を加熱することによって、溶融樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成する。これにより、キャビティ312b内の電子部品とその周辺部とは、キャビティ312bの形状に対応して成形された硬化樹脂(封止樹脂)内に封止される。
【0040】
次に、硬化に必要な所要時間の経過後において、上型312と下型311とを型開きして、樹脂成形品W2を離型する。その後、アンローダ6を使用して、プレス部31により樹脂封止された樹脂成形品W2を、収納モジュール4の樹脂成形品収容部41に収容する。
【0041】
上記の一連の動作を含む樹脂成形装置100全体の動作は、制御部9により制御される。この制御部9は、
図1においては、供給モジュール2に設けているが他のモジュールに設けてもよい。なお、制御部9は、例えば、CPU、内部メモリ、AD変換器、入出力インバータ等を有する専用又は汎用のコンピュータから構成される。
【0042】
<樹脂供給モジュール8の具体的な構成>
次に、本実施形態の樹脂供給モジュール8は、
図1、
図3及び
図4に示すように、振動によって樹脂タブレットTを送り出す樹脂送出部81と、樹脂送出部81により送り出された樹脂タブレットTをローダ5に供給する樹脂供給部82とを有している。
【0043】
樹脂送出部81は、いわゆるパーツフィーダを用いたものであり、
図1、
図3及び
図4に示すように、複数の樹脂タブレットTを収容する樹脂受け部811と、当該樹脂受け部811を振動させて樹脂タブレットTを移動させる振動部812と、振動により移動する樹脂タブレットTを一列状に配列させる配列部813とを有している。樹脂受け部811には、樹脂受け部811の上方に設けられたストッカ83から樹脂タブレットTが補充される。また、配列部813は、樹脂タブレットTを横向き状態で配列させるものである。ここで、「横向き」とは、横倒し又は横位とも言うことができ、円柱状の樹脂タブレットTの中心軸が横向きである。なお、後述する「縦向き」とは、起立又は立位とも言うことができ、円柱状の樹脂タブレットTの中心軸が縦向きである。
【0044】
なお、配列部813には、当該配列部813に所定数の樹脂タブレットTが配列されているかを検出する検出センサ(例えば光透過型のセンサ、不図示)が設けられている。そして、検出センサの検出信号により、配列部813に所定数の樹脂タブレットTが配列されていない場合に、制御部9が振動部812を起動させて、配列部813に所定数の樹脂タブレットTが配列されるようにする。
【0045】
樹脂供給部82は、
図1、
図3及び
図4に示すように、樹脂送出部81から送り出された樹脂タブレットTが通過する樹脂通路部821と、樹脂通路部821を移動した樹脂タブレットTをローダ5に受け渡すことにより搬出する樹脂搬出部822とを有している。
【0046】
樹脂通路部821は、一端部が樹脂送出部81の配列部813の出口に設けられており、配列部813から送り出される樹脂タブレットTが移動するものである。ここで、樹脂通路部821の一端部(入口)は、配列部813の出口に接触しないように隙間を空けて設けられている。これにより、樹脂送出部81の振動が配列部813を介して樹脂通路部821に伝わらないようにしている。また、配列部813の出口と樹脂通路部821の一端部との隙間は、配列部813から樹脂通路部821への樹脂タブレットTの移動を阻害しない程度(例えば2mm)である。
【0047】
その他、樹脂送出部81は、
図4に示すように、防振ゴム85を介して樹脂成形装置100に支持されており、これによって、樹脂送出部81の振動が周辺部材を介して樹脂通路部821に伝わらないようにしている。なお、
図4では、樹脂送出部81を支持する支持脚84の底面に防振ゴム85を設けた例を示している。
【0048】
また、樹脂通路部821は、
図3及び
図4に示すように、配列部813から送り出される横向きの樹脂タブレットTが一列に配列させて、樹脂搬出部822によるローダ5への受け渡し位置DPまで直線上に移動させるものである。具体的に樹脂通路部821には、配列部813から送り出される横向きの樹脂タブレットTが1つ1つ入り、配列部813から送り出される樹脂タブレットTが既に樹脂通路部821に入っている樹脂タブレットTを押す。これにより、次々に横向きの樹脂タブレットTが樹脂通路部821に入り、横向きの樹脂タブレットTが一列に配列されながら樹脂通路部821を通過して受け渡し位置DPまで移動する。
【0049】
樹脂搬出部822は、樹脂通路部821を通過した横向きの樹脂タブレットTを複数個ずつ整列させてローダ5に受け渡すことにより搬出するものである。この樹脂搬出部822は、ローダ5に設けられた樹脂タブレット収容部51(
図4参照)に対応させて樹脂タブレットTを整列するものである。具体的に樹脂搬出部822は、樹脂通路部821の受け渡し位置DPにある横向きの樹脂タブレットTを横向きの状態のまま、それらが並列となるように整列させる。そして、樹脂搬出部822は、その整列後に、樹脂タブレットTが縦向きとなるように回転し、縦向きとされた整列後の樹脂タブレットTをローダ5の樹脂タブレット収容部51に収容して受け渡す。
【0050】
<樹脂通路部821において縦向きの樹脂タブレットTを除去する構成>
そして、本実施形態の樹脂供給モジュール8は、縦向きの樹脂タブレットTを樹脂通路部821から除去する構成を有している。
【0051】
具体的に樹脂供給モジュール8の樹脂通路部821は、
図5及び
図6に示すように、横向きの樹脂タブレットTの外側周面に接触して、横向きの樹脂タブレットTの通過をガイドするガイド部11と、縦向きの樹脂タブレットTの外側周面に接触して、縦向きの樹脂タブレットTの通過を妨げて取り除く除去部12とを有している。ここで、樹脂タブレットTの外側周面とは、樹脂タブレットTの軸方向両端面を除いた側面であり、軸方向に直交する断面形状が円形状である側面である。
【0052】
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、樹脂通路部821の一端部(入口)に、ガイド部11及び除去部12を有するユニット部材10が設けられている。なお、
図3、
図4においてユニット部材10には、ガイド部11及び除去部12は図示していない。そして、ユニット部材10は、樹脂通路部821の一部を構成するものである。このユニット部材10が樹脂通路部821の一端部となることから、当該ユニット部材10は、配列部813の出口に接触しないように隙間を空けて設けられている。
【0053】
また、ユニット部材10は、
図5及び
図6に示すように、一端部10aから樹脂タブレットTが入り、他端部10bから横向きの樹脂タブレットTが出るように構成されており、その上面部を樹脂タブレットTが移動する。具体的にユニット部材10は、その上面部にガイド部11及び除去部12が設けられている。本実施形態のユニット部材10は、ガイド部11及び除去部12が一体形成されたものである。
【0054】
ガイド部11は、
図5及び
図6に示すように、ユニット部材10の上面部において、横向きの樹脂タブレットTをその軸方向に沿って直線状に移動させるものである。
【0055】
具体的にガイド部11は、ユニット部材10の上面部において、樹脂通路部821の樹脂搬出部822側に通過する通過方向Xに沿って一端部10aから他端部10bに亘って形成されたガイド溝111を有する。ガイド溝111の通過方向Xに直交する断面形状としては、横向きの樹脂タブレットTの外側周面に沿った円弧形状であっても良いし、横向きの樹脂タブレットTの外側周面に周方向において複数点で接触する例えば断面V字状をなす多角溝形状であっても良い。
【0056】
また、ガイド溝111は、
図6(a)及び(c)に示すように、除去部12よりも一端部10a(入口)側において、その開口幅WD(通過方向Xに直交する幅寸法)は、樹脂タブレットTの直径未満であり、具体的には樹脂タブレットTの直径Dの半分以下である。なお、ガイド溝111は、除去部12よりも他端部10b側において、その開口幅WDが広くなっているが、一端部10aから他端部10bまで一定の開口幅であっても良い。
【0057】
除去部12は、縦向きの樹脂タブレットTの外側周面に接触する傾斜接触面121を有する。この傾斜接触面121は、平面視において樹脂通路部821の樹脂搬出部822側に通過する通過方向Xに対して傾斜するように形成されている。ここで、傾斜接触面121の通過方向Xに対する傾斜角度θ(
図6(a)参照)は、例えば20~60°であり、好ましくは30~45°である。本実施形態の傾斜接触面121は、ユニット部材10の上面部に形成された垂直な平面である。
【0058】
また、本実施形態の傾斜接触面121は、
図5及び
図6に示すように、ガイド溝111の平面視において、ガイド溝111を横切るように形成されており、ガイド溝111の両側それぞれに設けられている。一方の傾斜接触面121aは、ガイド溝111を挟んで一端部10a側(上流側)に設けられており、他方の傾斜接触面121bは、ガイド溝111を挟んで他端部10b側(下流側)に設けられている。そして、これら傾斜接触面121a、121bは、平面視において一直線上となるように形成されている(
図6(a)参照)。
【0059】
ここで、通過方向Xから視て、ユニット部材10における横向きの樹脂タブレットTの通過領域R1は、
図7(a)となる。また、通過方向Xから視て、ユニット部材10における縦向きの樹脂タブレットTの通過領域R2は、
図7(b)となる。このため、傾斜接触面121は、通過方向Xから視て、横向きの樹脂タブレットTの通過領域R1の外側、且つ、縦向きの樹脂タブレットTの通過領域R2の内側の領域R3に設けられている(
図7(c)参照)。そして、傾斜接触面121は、縦向きの樹脂タブレットTの外側周面における下部又は上部に接触して、縦向きの樹脂タブレットTの除去をガイドする。本実施形態では、縦向きの樹脂タブレットTの外側周面における下部に接触する。
【0060】
また、本実施形態のユニット部材10は、
図5及び
図6に示すように、縦向きの樹脂タブレットTが除去部12の傾斜接触面121に接触するまで、縦向きの樹脂タブレットTの底面に接触する平面部13を有している。この平面部13は、ユニット部材10において除去部12の傾斜接触面121よりも一端部10a(入口)側において、ガイド部11を構成するガイド溝111の両側に形成されている。この平面部13の高さ位置は、配列部813の底面の高さ位置と同じか若干低い位置とされている。また、平面部13の通過方向Xに直交する幅寸法は、樹脂タブレットTの直径Dよりも大きくしてある。これにより、縦向きの樹脂タブレットTが配列部813からユニット部材10に入るときに、ユニット部材10に引っかかることを防止している。また、上述した通り、ガイド溝111の幅方向Yの開口幅WDが、樹脂タブレットTの直径未満(具体的には樹脂タブレットTの直径Dの半分以下)であることから、縦向きの樹脂タブレットTは、ガイド溝111を跨った状態で平面部13上を移動する。そして、縦向きの樹脂タブレットTは、縦向きの状態を維持したまま傾斜接触面121に向かって移動して傾斜接触面121に接触する。
【0061】
さらに、本実施形態のユニット部材10は、
図5及び
図6に示すように、縦向きの樹脂タブレットTが傾斜接触面121に接触して移動する側(除去される側)に、縦向きの樹脂タブレットTをユニット部材10から落下させるための切り欠き部14を有している。ここで、切り欠き部14は、縦向きの樹脂タブレットTが除去される側において、ユニット部材10の側面をガイド溝111側に切り欠いて形成されてものである。
【0062】
また、本実施形態の切り欠き部14は、縦向きの樹脂タブレットTが、ガイド溝111を挟んで一端部側(上流側)の傾斜接触面121aに接触して移動した後に、ガイド溝111を挟んで他端部側(下流側)の傾斜接触面121bの角部に噛み合わないように形成されている。具体的には、切り欠き部14は、縦向きの樹脂タブレットTがガイド溝111を挟んで一端部側(上流側)の傾斜接触面121aに接触して移動し、ガイド溝111を挟んで他端部側(下流側)の傾斜接触面121bに移動する前に、縦向きの樹脂タブレットTの重心位置Gが切り欠き部14よりも外側に位置するように形成されている(
図6(c)参照)。これにより、縦向きの樹脂タブレットTは、他端部側の傾斜接触面121bに接触する前に、自重による回転モーメントにより、切り欠き部14から外側に回転して落下する。
【0063】
本実施形態の樹脂供給モジュール8は、
図4に示すように、傾斜接触面121により除去された樹脂タブレットTを回収する回収ボックス15をさらに備えている。具体的に回収ボックス15は、ユニット部材10の下方に設けられており、ユニット部材10から落下した樹脂タブレットTを受け取る。回収ボックス15に回収された樹脂タブレットTは、廃棄しても良いし、ストッカ83又は樹脂送出部81の樹脂受け部811に戻すようにしても良い。
【0064】
その他、樹脂供給モジュール8の樹脂通路部821には、樹脂タブレットTの重量を計測する計量部(不図示)が設けられている。この計量部により計量された結果、樹脂タブレットTの重量が許容範囲内にない場合には、当該樹脂タブレットTは、樹脂通路部821から廃棄される。ここでは、
図4に示すように、樹脂通路部821の底部分に開閉可能な廃棄部16が形成されており、廃棄部16が開くことにより、重量が許容範囲内にない樹脂タブレットTが落下して廃棄ボックス17に廃棄される。本実施形態の廃棄部16は、樹脂通路部821においてユニット部材10及び受け渡し位置DPの間に設けられている。なお、廃棄ボックス17は回収ボックス15とは別に設けられている。
【0065】
<ユニット部材10における樹脂タブレットTの挙動>
次に、横向きの樹脂タブレットT及び縦向きの樹脂タブレットTがユニット部材10に入った場合の樹脂タブレットTの挙動について簡単に説明する。
【0066】
まず、横向きの樹脂タブレットTがユニット部材10に入った場合(
図8(a))には、ユニット部材10に形成されたガイド溝111に横向きの樹脂タブレットTがガイドされる。そして、横向きの樹脂タブレットTの外側周面における周方向の一部がガイド溝111に接触して、その横向き姿勢を維持しながら樹脂搬出部822側に通過する(
図8(b)→(c))。このとき、横向きの樹脂タブレットTは、傾斜接触面121には接触しない。
【0067】
次に、縦向きの樹脂タブレットTがユニット部材10に入った場合(
図9(a))には、ユニット部材10に形成された平面部13に沿って縦向きの樹脂タブレットTが移動する。そして、平面部13を移動した縦向きの樹脂タブレットTは、ガイド溝111を挟んで一端部側(上流側)の傾斜接触面121aに接触して、通過方向Xから逸れた方向に移動し(
図9(b))、切り欠き部14側に向かって移動する。縦向きの樹脂タブレットTの重心位置Gが切り欠き部14よりも外側に移動すると(
図6(c)参照)、自重による回転モーメントにより外側に回転して落下する(
図9(c))。
【0068】
<本実施形態の効果>
本実施形態の樹脂成形装置100によれば、樹脂供給モジュール8の樹脂通路部821に横向きの樹脂タブレットTの通過をガイドするガイド溝111を設けているので、安定して横向きの樹脂タブレットTを通過させることができる。また、樹脂搬出部822側に通過する通過方向Xに対して傾斜し、縦向きの樹脂タブレットTの外側周面に接触する傾斜接触面121を設けているので、縦向きの樹脂タブレットTは、樹脂通路部821を進むに連れて、傾斜接触面121に接触しながら通過方向Xから逸れる方向に移動して、樹脂通路部821から除去される。このように除去部12の傾斜接触面121は、樹脂通路部821における縦向きの樹脂タブレットTの通過を妨げて取り除くため、横向きの樹脂タブレットTが通過すべき部分に縦向きの樹脂タブレットTが入って生じる詰まり等の不具合を解消することができる。したがって、ローダ5に安定して樹脂タブレットTを供給することができる。特に本実施形態は、樹脂タブレットTを振動によって送り出す構成であり、振動によって縦向きになりやすい形状を有する樹脂タブレットT(例えば軸方向長さLが直径Dの1倍以下(L/D≦1.0)の樹脂タブレットT)において有効である。
【0069】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0070】
例えば、前記実施形態のユニット部材10では、ガイド溝111の両側に傾斜接触面121a、121bを設けた構成であったが、ガイド溝111を挟んで他端部側の傾斜接触面121bを設けずに、ガイド溝111を挟んで一端部側の傾斜接触面121aのみを設けた構成としても良い。
【0071】
また、前記実施形態では、ユニット部材10に切り欠き部14を設けた構成であったが、
図10に示すように、切り欠き部14の無い構成としても良い。この構成の場合、縦向きの樹脂タブレットTは、まず、ガイド溝111を挟んで一端部側(上流側)の傾斜接触面121aに接触して、通過方向Xから逸れた方向に移動し、その後、ガイド溝111を挟んで他端部側(下流側)の傾斜接触面121bに接触して、ユニット部材10から落下して除去される。
【0072】
さらに、ユニット部材10において除去部12(傾斜接触面121)は、
図11(a)に示すように、ガイド部11のガイド溝111の上方に設けられ、縦向きの樹脂タブレットTの外側周面における上部に接触する構成としても良い。具体的にこのユニット部材10は、ガイド部11のガイド溝111が形成された下側部材10Pと、当該下側部材10Pの上部に設けられ、除去部12である傾斜接触面121が形成された上側部材10Qとを有している。この構成において、除去部12の傾斜接触面121は、
図11(b)に示すように、樹脂通路部821における通過方向Xから視て、横向きの樹脂タブレットTの通過領域R1の上部を取り囲むように形成される。そして、ユニット部材10に縦向きの樹脂タブレットTが入った場合には、
図11(c)に示すように、縦向きの樹脂タブレットTの通過領域R2に傾斜接触面121が存在し、傾斜接触面121は、縦向きの樹脂タブレットTの外側周面の上部に接触して、縦向きの樹脂タブレットTを除去する。
【0073】
前記実施形態では、ユニット部材10を樹脂通路部821の一端部に設けた構成であったが、ユニット部材10を設ける位置は、樹脂通路部821の受け渡し位置DPの上流側であれば、適宜変更可能である。
【0074】
その上、前記実施形態では、ガイド部11及び除去部12を有するユニット部材10を用いた構成であったが、それらはユニット部材10を用いることなく、ガイド部11及び除去部12それぞれを樹脂通路部821に設ける構成としても良い。
【0075】
前記実施形態の樹脂搬出部822は、樹脂通路部821を通過した横向きの樹脂タブレットTを複数個ずつ整列させてローダ5に受け渡して搬出するものであったが、それ以外の構成であってもよい。例えば、樹脂搬出部822は、樹脂通路部821を通過した横向きの樹脂タブレットTを例えば樹脂製のチューブで形成される搬送経路により搬出するものであってもよい。この構成において、樹脂通路部821を通過した横向きの樹脂タブレットTは搬送経路に送り出される。搬送経路に送り出された複数のタブレットTは、負圧による吸引力によって搬送経路を通じて搬出される。この場合、樹脂搬出部822を有する樹脂供給装置8と樹脂成形装置100とが別々の場所に置かれている構成とすることが考えられる。例えば、樹脂成形装置100がクリーンルーム内に設置されていても、クリーンルーム外に設置した樹脂供給装置8から搬送経路を介して樹脂成形装置100に樹脂タブレットTが供給できる。
【0076】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
100・・・樹脂成形装置
W1 ・・・成形対象物
W2 ・・・樹脂成形品
T ・・・樹脂タブレット
311・・・下型(成形型)
5 ・・・ローダ
8 ・・・樹脂供給モジュール(樹脂供給装置)
81 ・・・送り出し部
821・・・樹脂通路部
822・・・樹脂搬出部
10 ・・・ユニット部材
X ・・・通過方向
11 ・・・ガイド部
111・・・ガイド溝
12 ・・・除去部
121・・・傾斜接触面
R1 ・・・横向きの樹脂タブレットの通過領域
R2 ・・・縦向きの樹脂タブレットの通過領域
13 ・・・平面部
14 ・・・切り欠き部
15 ・・・回収ボックス
【手続補正書】
【提出日】2022-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形に用いられる円柱状の樹脂タブレットを供給する樹脂供給装置であって、
振動によって前記樹脂タブレットを送り出す樹脂送出部と、
前記樹脂送出部により送り出された前記樹脂タブレットが通過する樹脂通路部と、
前記樹脂通路部を移動した前記樹脂タブレットを搬出する樹脂搬出部とを備え、
前記樹脂通路部は、
横向きの前記樹脂タブレットの外側周面に接触して、横向きの前記樹脂タブレットを前記樹脂搬出部側に通過させるようにガイドするガイド溝と、
前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に対して傾斜して形成され、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面に接触する傾斜接触面とを有する、樹脂供給装置。
【請求項2】
前記傾斜接触面は、前記ガイド溝の平面視において、前記ガイド溝を横切るように形成されている、請求項1に記載の樹脂供給装置。
【請求項3】
前記樹脂通路部は、縦向きの前記樹脂タブレットが前記傾斜接触面に接触して移動する側に、縦向きの前記樹脂タブレットを前記樹脂通路部から落下させるための切り欠き部を有する、請求項1に記載の樹脂供給装置。
【請求項4】
前記傾斜接触面は、前記樹脂通路部における通過方向から視て、横向きの前記樹脂タブレットの通過領域の外側に設けられている、請求項1に記載の樹脂供給装置。
【請求項5】
前記傾斜接触面は、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面における下部又は上部に接触するものである、請求項1に記載の樹脂供給装置。
【請求項6】
前記樹脂通路部は、縦向きの前記樹脂タブレットが前記傾斜接触面に接触するまで縦向きの前記樹脂タブレットの底面に接触する平面部を有する、請求項1に記載の樹脂供給装置。
【請求項7】
前記ガイド溝及び前記傾斜接触面が、前記樹脂通路部の一部を構成するユニット部材に形成されている、請求項1に記載の樹脂供給装置。
【請求項8】
前記ガイド溝は、前記ユニット部材において、前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に沿って一端部から他端部に亘って形成されており、
前記傾斜接触面は、前記ユニット部材において前記ガイド溝の両側それぞれに設けられ、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面における下部に接触する、請求項7に記載の樹脂供給装置。
【請求項9】
前記ガイド溝は、前記ユニット部材において、前記樹脂搬出部側に通過する通過方向に沿って一端部から他端部に亘って形成されており、
前記傾斜接触面は、前記ユニット部材において前記ガイド溝の上方に設けられ、縦向きの前記樹脂タブレットの外側周面における上部に接触する、請求項7に記載の樹脂供給装置。
【請求項10】
前記傾斜接触面により除去された前記樹脂タブレットを回収する回収ボックスをさらに備える、請求項1に記載の樹脂供給装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の樹脂供給装置を有する樹脂成形装置。
【請求項12】
成形対象物に対して樹脂成形する樹脂成形品の製造方法であって、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の樹脂供給装置により前記樹脂タブレットを前記ローダに供給する樹脂供給工程と、
前記ローダにより前記樹脂タブレット及び前記成形対象物を成形型に搬送する搬送工程と、
前記成形型を型締めして樹脂成形を行う成形工程とを備える、樹脂成形品の製造方法。