IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

特開2024-44403サクションローラ、インクジェット印刷装置およびサクションローラによる吸引幅の調整方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044403
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】サクションローラ、インクジェット印刷装置およびサクションローラによる吸引幅の調整方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20240326BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65H5/06 B
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149901
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】松谷 一志
(72)【発明者】
【氏名】山下 真祐
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆治
【テーマコード(参考)】
2C056
3F049
【Fターム(参考)】
2C056EB12
2C056EB13
2C056EB34
2C056EB46
2C056EC12
2C056EC32
2C056EC33
2C056EE18
2C056HA29
2C056HA30
2C056HA47
3F049AA01
3F049CA06
(57)【要約】
【課題】サクションローラに吸引される基材にしわが発生するという課題を解決する。
【解決手段】外筒通風口525と内筒通風口535とが重なることで重なり領域Lが形成され、内筒53の吸引口536がブロア72からの吸引力を受けると、複数の吸引室54のうち、内筒通風口535と外筒通風口525との重なり領域Lに対向する吸引室54から重なり領域Lを介して吸引口536に向けてエアが吸引される。軸方向Daの中央から両端に向かうに伴って回転方向Drにおいて重なり領域Lが狭くなるように、外筒52および内筒53が構成されている。そのため、円筒ローラ51が印刷媒体Mを吸引する圧力は、円筒ローラ51の中央から端に向かうに連れて低下し、換言すれば、円筒ローラ51の中央部では、円筒ローラ51は強い圧力で印刷媒体Mを吸引するとともに、円筒ローラ51の両端部では、円筒ローラ51は中央部より低い圧力で印刷媒体Mを吸引する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を吸着支持しながら搬送するためのサクションローラであって、
前記基材を吸着支持するための複数の開口が形成された外周面を有し、円筒軸の周りに回転可能に構成される円筒ローラと、
エアが通過可能な外筒通風口が形成された外周面を有し、前記円筒ローラ内に挿通される外筒と、
吸引源からの吸引力を受ける吸引口を有するとともに、エアが通過可能な内筒通風口が形成された外周面を有し、前記外筒内に挿通された内筒と、
前記円筒ローラの内周面と前記外筒の前記外周面との間において、長手方向に並んで形成された複数の吸引室と、
を備え、
前記円筒ローラは、前記複数の開口の各々が、前記複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、
前記外筒通風口と前記内筒通風口とが重なることで重なり領域が形成され、
前記内筒の吸引口が前記吸引源からの吸引力を受けると、前記複数の吸引室のうち、前記内筒通風口と前記外筒通風口との前記重なり領域に対向する前記吸引室から前記重なり領域を介して前記吸引口に向けてエアが吸引されるように、前記外筒および前記内筒は構成され、
前記長手方向の中央から両端に向かうに伴って前記重なり領域が狭くなるように、前記外筒および前記内筒が構成されている、
サクションローラ。
【請求項2】
前記外筒の前記外周面には、それぞれエアが通過可能な複数の外筒通風口が前記長手方向の互いに異なる位置に形成され、
前記外筒は、前記複数の外筒通風口の各々が、前記複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、
前記内筒の吸引口が前記吸引源からの吸引力を受けると、前記内筒通風口と前記重なり領域を形成する前記外筒通風口に連通する前記吸引室に対応する前記開口がエアを吸引する、
請求項1に記載のサクションローラ。
【請求項3】
前記内筒の前記外周面には、それぞれをエアが通過可能な複数の内筒通風口が前記長手方向の異なる位置に形成される、
請求項2に記載のサクションローラ。
【請求項4】
前記長手方向の中央から両端に向かうに伴って前記重なり領域の長さが短くなるように、前記外筒通風口が配置される方向と前記内筒通風口が配置される方向とが互いに傾斜する、
請求項1に記載のサクションローラ。
【請求項5】
前記長手方向において、前記外筒の中心を挟んでそれぞれ逆側に位置して前記中心から等距離に位置する2つの位置について、前記吸引口から遠い位置における前記重なり領域の長さは、前記吸引口に近い位置の前記重なり領域の長さより長くなるように、前記外筒および前記内筒が構成されている、
請求項1に記載のサクションローラ。
【請求項6】
前記内筒は、前記外筒に対して所定の移動方向に相対移動可能に構成され、
前記外筒に対して前記内筒を前記移動方向に相対移動させて前記外筒通風口と前記内筒通風口との位置関係を前記移動方向に変更することで、前記長手方向の中央から両端に向かうに伴って前記重なり領域の前記移動方向の長さが短くなるように調整可能であるように、前記外筒および前記内筒が構成されている、
請求項1に記載のサクションローラ。
【請求項7】
前記外筒は、
前記外筒通風口が形成された取付部品と、
前記取付部品が嵌合可能な部品嵌合部が形成された外周面を有して前記内筒が挿通される外筒本体と、
を有し、
前記取付部品は、前記部品嵌合部に嵌合した状態で前記外筒本体に着脱可能に取り付けられる、
請求項1に記載のサクションローラ。
【請求項8】
前記取付部品は、前記外筒本体から、前記外筒本体と前記内筒の外周面との間の隙間に突出して、当該隙間をシールする隙間シール部を有する、
請求項7に記載のサクションローラ。
【請求項9】
基材を吸着支持しながら搬送するためのサクションローラであって、
前記基材を吸着支持するための複数の開口が形成された外周面を有し、円筒軸の周りに回転可能に構成される円筒ローラと、
エアが通過可能な外筒通風口が形成された外周面を有し、前記円筒ローラ内に挿通される外筒と、
吸引源からの吸引力を受ける吸引口を有するとともに、エアが通過可能な内筒通風口が形成された外周面を有し、前記外筒内に挿通されて、前記外筒に対して所定の移動方向に相対移動可能に構成された内筒と、
前記円筒ローラの内周面と前記外筒の前記外周面との間において、長手方向に並んで形成された複数の吸引室と、
を備え、
前記円筒ローラは、前記複数の開口の各々が、前記複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、
前記外筒通風口と前記内筒通風口とが重なることで重なり領域が形成され、
前記内筒の吸引口が前記吸引源からの吸引力を受けると、前記複数の吸引室のうち、前記内筒通風口と前記外筒通風口との前記重なり領域に対向する前記吸引室から前記重なり領域を介して前記吸引口に向けてエアが吸引されるように、前記外筒および前記内筒は構成され、
前記重なり領域の前記移動方向への長さは、前記長手方向の位置に応じて変化し、
前記外筒に対して前記内筒を前記移動方向に相対移動させて前記外筒通風口と前記内筒通風口との位置関係を前記移動方向に変更することで、前記重なり領域の前記移動方向への長さを調整可能である、
サクションローラ。
【請求項10】
前記外筒の前記外周面には、それぞれエアが通過可能な複数の外筒通風口が前記長手方向の互いに異なる位置に形成され、
前記外筒は、前記複数の外筒通風口の各々が、前記複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、
前記内筒の吸引口が前記吸引源からの吸引力を受けると、前記内筒通風口と前記重なり領域を形成する前記外筒通風口に連通する前記吸引室に対応する前記開口がエアを吸引する、
請求項9に記載のサクションローラ。
【請求項11】
前記内筒の前記外周面には、それぞれをエアが通過可能な複数の内筒通風口が前記長手方向の異なる位置に形成される、
請求項10に記載のサクションローラ。
【請求項12】
前記移動方向は、前記円筒軸の周りの回転方向であり、
前記重なり領域の前記回転方向への長さが前記長手方向への位置に応じて変化するように、前記外筒通風口が配置される方向と前記内筒通風口が配置される方向とが互いに傾斜する、
請求項9に記載のサクションローラ。
【請求項13】
前記外筒通風口および前記内筒通風口のうち、一方が前記長手方向に平行に配置され、他方が前記長手方向に対して傾斜するように配置される、
請求項11に記載のサクションローラ。
【請求項14】
前記他方は、前記長手方向に対して傾斜する方向に直線状に配置される、
請求項13に記載のサクションローラ。
【請求項15】
前記他方は、前記長手方向の両端から中央側に向かって前記円筒軸に対して傾くV字状に並べて配置される、
請求項13に記載のサクションローラ。
【請求項16】
前記外筒は、
前記外筒通風口が形成された取付部品と、
前記取付部品が嵌合可能な部品嵌合部が形成された外周面を有して前記内筒が挿通される外筒本体と、
を有し、
前記取付部品は、前記部品嵌合部に嵌合した状態で前記外筒本体に着脱可能に取り付けられる、
請求項9に記載のサクションローラ。
【請求項17】
前記取付部品は、前記外筒本体の内周面から、前記外筒本体の内周面と前記内筒の外周面との間の隙間に突出して、当該隙間をシールする隙間シール部を有する、
請求項16に記載のサクションローラ。
【請求項18】
請求項9ないし17のいずれか一項に記載のサクションローラを含む、前記基材を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記基材にインクジェットノズルからインクを吐出して画像の印刷を行う印刷部と、
前記外筒に対して前記内筒を前記移動方向に相対的に移動させる駆動部と、
前記吸引源に流路接続されるとともに、前記内筒の前記吸引口に流路接続される吸引路を有する接続部と、
前記吸引口にかかる前記吸引力を測定する測定部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記測定部によって測定された前記吸引力の値に基づき、前記外筒に対する前記内筒の回転量を制御する回転制御部を含む、
インクジェット印刷装置。
【請求項19】
基材を搬送しつつ前記基材にインクを供給して画像の印刷を行うインクジェット印刷装置であって、
前記基材を吸引支持するサクションローラを含む、前記基材を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記基材にインクジェットノズルからインクを吐出して画像の印刷を行う印刷部と、
前記基材の幅を示すデータを入力する入力部と、
前記サクションローラを吸引する吸引部と、
前記サクションローラが前記基材を吸引する吸引幅を切り替える切替部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記入力部で入力された前記基材の幅に応じて、前記サクションローラの前記吸引幅を切り替えるように前記切替部を制御する切替制御部を備えた、
インクジェット印刷装置。
【請求項20】
複数の前記基材の幅と前記吸引部により前記サクションローラを吸引する吸引力の値とをそれぞれ対応付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、
前記入力部で入力された前記基材の幅に応じて、対応する前記吸引力を前記記憶部から読み出し、読み出した前記吸引力で前記サクションローラを吸引するように前記吸引部を制御する吸引制御部を備えた、
請求項19に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項21】
前記サクションローラは、前記印刷部によって前記画像が印刷された直後の前記基材を吸引搬送可能な位置に配置される、
請求項19または20に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項22】
前記サクションローラは、
前記基材を吸着支持するための複数の開口が形成された外周面を有し、円筒軸の周りに回転可能に構成される円筒ローラと、
エアが通過可能な外筒通風口が形成された外周面を有し、前記円筒ローラ内に挿通される外筒と、
吸引源からの吸引力を受ける吸引口を有するとともに、前記外筒内に挿通されて、前記円筒軸を中心とする回転方向に回転可能な内筒と、
前記円筒ローラの内周面と前記外筒の前記外周面との間において、長手方向に並んで形成された複数の吸引室と、
を備え、
前記円筒ローラは、前記複数の開口の各々が、前記複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、
前記内筒の外周面においては、前記回転方向の互いに異なる位置に設けられて互いに長手方向に異なる幅を有する複数の内筒通風口形成範囲が設けられ、
前記複数の内筒通風口形成範囲のそれぞれでは、エアが通過可能な内筒通風口が設けられ、
前記外筒通風口と、前記外筒通風口に対向する前記内筒通風口形成範囲の前記内筒通風口とが重なることで重なり領域が形成され、
前記内筒の吸引口が前記吸引源からの吸引力を受けると、前記複数の吸引室のうち、前記内筒通風口と前記外筒通風口との前記重なり領域に対向する前記吸引室から前記重なり領域を介して前記吸引口に向けてエアが吸引されるように、前記外筒および前記内筒は構成され、
前記切替部は、前記内筒を回転させて、前記複数の内筒通風口形成範囲のうち、前記外筒通風口に対向する前記内筒通風口形成範囲を切り替えることで、前記吸引幅を切り替え、
前記回転方向において、前記外筒通風口および前記内筒通風口のうち、一方の長さは他方の長さより長い、
請求項19に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項23】
前記外筒は、
前記外筒通風口が形成された取付部品と、
前記取付部品が嵌合可能な部品嵌合部が形成された外周面を有して前記内筒が挿通される外筒本体と、
を有し、
前記取付部品は、前記部品嵌合部に嵌合した状態で前記外筒本体に着脱可能に取り付けられる、
請求項22に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項24】
前記取付部品は、前記外筒本体の内周面から、前記外筒本体の内周面と前記内筒の外周面との間の隙間に突出して、当該隙間をシールする隙間シール部を有する、
請求項23に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項25】
基材を吸引支持するサクションローラを含む搬送部によって前記基材を搬送しつつ前記基材にインクを供給して画像の印刷を行うインクジェット印刷装置におけるサクションローラによる吸引幅の調整方法であって、
前記基材の幅を示すデータを入力部に入力する工程と、
前記入力部で入力された前記基材の幅に応じて、前記サクションローラが前記基材を吸引する吸引幅を切り替えるように、前記吸引幅を切り替える切替部を制御する工程と、
を備えたサクションローラによる吸引幅の調整方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サクションローラによって基材を吸引する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基材にインクを吐出することで基材に画像を印刷するインクジェット印刷装置では、基材を搬送するためにローラが使用される。また、基材を安定的に搬送するために、例えば特許文献1に記載されているサクションローラを用いることができる。このサクションローラは、多数の開口が形成されたローラを有し、ローラに接触する基材(ウェブ)を開口によって吸引する。
【0003】
具体的には、ローラの内部に挿通された固定筒と、ローラの内周面と固定筒の外周面との間で基材の幅方向に並ぶ複数のサクション室とが設けられている。固定筒の周面では複数の孔が基材の幅方向に並んでおり、固定筒の各孔は、複数のサクション室のうちの対応する一つと連通可能である。さらに、固定筒の内側には軸部材が挿通されており、軸部材は固定筒に対して回転可能である。この軸部材の周面では、複数の孔が基材の幅方向に並んでいる。そして、固定筒の孔と軸部材の孔との重なり領域が形成された状態で、軸部材の内部が吸引されると、この重なり領域を介して対応するサクション室が吸引されて、このサクション室に連通するローラの開口によって基材が吸引される。また、軸部材では、回転方向に180度だけ異なる2個の回転位置のそれぞれにおいて、複数の孔が幅方向に並んでいる。これらの孔が設けられる幅は、2個の回転位置の間で異なっている。したがって、軸部材を回転させることで、固定筒の孔と軸部材の孔との重なり領域が形成される幅を変更できる。こうして、サクションローラが基材を吸引する吸引幅が変更可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-072997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のサクションローラには、少なくとも次のような課題が存在した。つまり、基材の幅方向、換言すればサクションローラの軸方向における吸引圧力の分布が不適切であるために、サクションローラによって吸引される基材にしわが発生してしまうといった課題があった。また、基材の幅に応じてサクションローラの吸引幅を変更する作業が作業者の負担になるといった課題があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、サクションローラに吸引される基材にしわが発生するという課題およびサクションローラの吸引幅の変更作業に要する負担の軽減といった課題の少なくとも一方を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るサクションローラは、基材を吸着支持しながら搬送するためのサクションローラであって、基材を吸着支持するための複数の開口が形成された外周面を有し、円筒軸の周りに回転可能に構成される円筒ローラと、エアが通過可能な外筒通風口が形成された外周面を有し、円筒ローラ内に挿通される外筒と、吸引源からの吸引力を受ける吸引口を有するとともに、エアが通過可能な内筒通風口が形成された外周面を有し、外筒内に挿通された内筒と、円筒ローラの内周面と外筒の外周面との間において、長手方向に並んで形成された複数の吸引室と、を備え、円筒ローラは、複数の開口の各々が、複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、外筒通風口と内筒通風口とが重なることで重なり領域が形成され、内筒の吸引口が吸引源からの吸引力を受けると、複数の吸引室のうち、内筒通風口と外筒通風口との重なり領域に対向する吸引室から重なり領域を介して吸引口に向けてエアが吸引されるように、外筒および内筒は構成され、長手方向の中央から両端に向かうに伴って重なり領域が狭くなるように、外筒および内筒が構成されている。
【0008】
このように構成されたサクションローラでは、円筒ローラと、円筒ローラ内に挿通された外筒と、円筒ローラの内周面と外筒の外周面との間において長手方向に並んで形成された複数の吸引室とが設けられている。円筒ローラの外周面には、基材を吸着支持するための複数の開口が形成されており、円筒ローラは、複数の開口の各々が複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成されている。また、外筒の外周面には、エアが通過可能な外筒通風口が形成されている。さらに、エアが通過可能な内筒通風口が形成された外周面を有し、外筒内に挿通された内筒が設けられている。そして、外筒通風口と内筒通風口とが重なることで重なり領域が形成され、内筒の吸引口が吸引源からの吸引力を受けると、複数の吸引室のうち、内筒通風口と外筒通風口との重なり領域に対向する吸引室から重なり領域を介して吸引口に向けてエアが吸引される。しかも、長手方向の中央から両端に向かうに伴って重なり領域が狭くなるように、外筒および内筒が構成されている。そのため、円筒ローラが基材を吸引する圧力は、円筒ローラの中央から端に向かうに連れて低下し、換言すれば、円筒ローラの中央部では、円筒ローラは強い圧力で基材を吸引するとともに、円筒ローラの両端部では、円筒ローラは中央部より低い圧力で基材を吸引する。したがって、円筒ローラの中央部に接触する基材にしわが生じたとしても、円筒ローラの中央部では強い圧力で基材が吸引されるため、基材のしわは円筒ローラの外周面に沿って矯正される。また、円筒ローラの両端部では、弱い圧力で基材が吸引されるため、中央部における基材のしわの矯正に伴って、基材の両端部は長手方向にずれることができる。これによって、基材のしわは長手方向に延ばされることとなる。その結果、サクションローラに吸引される基材にしわが発生するという課題を解決することが可能となっている。
【0009】
また、外筒通風口あるいは内筒通風口を設ける具体的な態様は種々想定できる。例えば、外筒の外周面には、それぞれエアが通過可能な複数の外筒通風口が長手方向の互いに異なる位置に形成され、外筒は、複数の外筒通風口の各々が、複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、内筒の吸引口が吸引源からの吸引力を受けると、内筒通風口と重なり領域を形成する外筒通風口に連通する吸引室に対応する開口がエアを吸引するように、サクションローラを構成してもよい。また、内筒の外周面には、それぞれをエアが通過可能な複数の内筒通風口が長手方向の異なる位置に形成されるように、サクションローラを構成してもよい。
【0010】
また、長手方向の中央から両端に向かうに伴って重なり領域の長さが短くなるように、外筒通風口が配置される方向と内筒通風口が配置される方向とが互いに傾斜するように、サクションローラを構成してもよい。これによって、外筒通風口が配置される方向と内筒通風口が配置される方向とが互いに傾斜するといった比較的簡便な構成によって、円筒ローラの中央部と両端部とで基材を吸引する圧力を上記のように変化させて、サクションローラに吸引される基材にしわが発生するという課題を解決することが可能となる。
【0011】
また、長手方向において、外筒の中心を挟んでそれぞれ逆側に位置して中心から等距離に位置する2つの位置について、吸引口から遠い位置における重なり領域の長さは、吸引口に近い位置の重なり領域の長さより長くなるように、外筒および内筒が構成されているように、サクションローラを構成してもよい。つまり、吸引口からの距離が遠いほど、吸引源が重なり領域に与える圧力が弱くなって、円筒ローラが基材を吸引する圧力が、長手方向の中心に対して非対称になるおそれがある。これに対して、かかる構成では、基材を吸引する圧力が非対称となるのを抑制することができる。
【0012】
また、内筒は、外筒に対して所定の移動方向に相対移動可能に構成され、外筒に対して内筒を移動方向に相対移動させて外筒通風口と内筒通風口との位置関係を移動方向に変更することで、長手方向の中央から両端に向かうに伴って重なり領域の移動方向の長さが短くなるように調整可能であるように、外筒および内筒が構成されているように、サクションローラを構成してもよい。かかる構成では、外筒に対して内筒を移動方向に相対的に移動させることで、長手方向の中央から両端に向かうに伴って重なり領域の移動方向への長さが短くなるように調整して、サクションローラに吸引される基材におけるしわの発生を抑制できる。
【0013】
本発明の第2態様に係るサクションローラは、基材を吸着支持しながら搬送するためのサクションローラであって、基材を吸着支持するための複数の開口が形成された外周面を有し、円筒軸の周りに回転可能に構成される円筒ローラと、エアが通過可能な外筒通風口が形成された外周面を有し、円筒ローラ内に挿通される外筒と、吸引源からの吸引力を受ける吸引口を有するとともに、エアが通過可能な内筒通風口が形成された外周面を有し、外筒内に挿通されて、外筒に対して所定の移動方向に相対移動可能に構成された内筒と、円筒ローラの内周面と外筒の外周面との間において、長手方向に並んで形成された複数の吸引室と、を備え、円筒ローラは、複数の開口の各々が、複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、外筒通風口と内筒通風口とが重なることで重なり領域が形成され、内筒の吸引口が吸引源からの吸引力を受けると、複数の吸引室のうち、内筒通風口と外筒通風口との重なり領域に対向する吸引室から重なり領域を介して吸引口に向けてエアが吸引されるように、外筒および内筒は構成され、重なり領域の移動方向への長さは、長手方向の位置に応じて変化し、外筒に対して内筒を移動方向に相対移動させて外筒通風口と内筒通風口との位置関係を移動方向に変更することで、重なり領域の移動方向への長さを調整可能である。
【0014】
このように構成されたサクションローラでは、円筒ローラと、円筒ローラ内に挿通された外筒と、円筒ローラの内周面と外筒の外周面との間において長手方向に並んで形成された複数の吸引室とが設けられている。円筒ローラの外周面には、基材を吸着支持するための複数の開口が形成されており、円筒ローラは、複数の開口の各々が複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成されている。また、外筒の外周面には、エアが通過可能な外筒通風口が形成されている。さらに、エアが通過可能な内筒通風口が形成された外周面を有し、外筒内に挿通された内筒が設けられている。そして、外筒通風口と内筒通風口とが重なることで重なり領域が形成され、内筒の吸引口が吸引源からの吸引力を受けると、複数の吸引室のうち、内筒通風口と外筒通風口との重なり領域に対向する吸引室から重なり領域を介して吸引口に向けてエアが吸引される。しかも、重なり領域の移動方向への長さは、円筒軸に平行な長手方向の位置に応じて変化し、さらには、外筒に対して内筒を移動方向に相対移動させて外筒通風口と内筒通風口との位置関係を移動方向に変更することで、重なり領域の移動方向への長さを調整可能である。したがって、基材の特性に応じて基材を吸引する圧力を長手方向において変化させることができる。その結果、サクションローラに吸引される基材にしわが発生するという課題を解決することが可能となっている。
【0015】
また、外筒通風口あるいは内筒通風口を設ける具体的な態様は種々想定できる。例えば、外筒の外周面には、それぞれエアが通過可能な複数の外筒通風口が長手方向の互いに異なる位置に形成され、外筒は、複数の外筒通風口の各々が、複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、内筒の吸引口が吸引源からの吸引力を受けると、内筒通風口と重なり領域を形成する外筒通風口に連通する吸引室に対応する開口がエアを吸引するように、サクションローラを構成してもよい。また、内筒の外周面には、それぞれをエアが通過可能な複数の内筒通風口が長手方向の異なる位置に形成されるように、サクションローラを構成してもよい。
【0016】
また、移動方向は、円筒軸の周りの回転方向であり、重なり領域の回転方向への長さが長手方向への位置に応じて変化するように、外筒通風口が配置される方向と内筒通風口が配置される方向とが互いに傾斜するように、サクションローラを構成してもよい。かかる構成では、外筒に対して内筒を相対的に回転させることで、重なり領域の移動方向への長さを調整して、基材の特性に応じて基材を吸引する圧力を長手方向において変化させることができる。その結果、サクションローラに吸引される基材にしわが発生するという課題を解決することが可能となる。
【0017】
なお、外筒通風口と内筒通風口の具体的な配置態様は種々想定される。例えば、外筒通風口および内筒通風口のうち、一方が長手方向に平行に配置され、他方が長手方向に対して傾斜するように配置されるように、サクションローラを構成してもよい。さらに、他方は、長手方向に対して傾斜する方向に直線状に配置されるように、サクションローラを構成してもよい。あるいは、他方は、長手方向の両端から中央側に向かって円筒軸に対して傾くV字状に並べて配置されるように、サクションローラを構成してもよい。
【0018】
また、上記のサクションローラを含む、基材を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される基材にインクジェットノズルからインクを吐出して画像の印刷を行う印刷部と、外筒に対して内筒を移動方向に相対的に移動させる駆動部と、吸引源に流路接続されるとともに、内筒の吸引口に流路接続される吸引路を有する接続部と、吸引口にかかる吸引力を測定する測定部と、制御部と、を備え、制御部は、測定部によって測定された吸引力の値に基づき、外筒に対する内筒の回転量を制御する回転制御部を含むように、インクジェット印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、測定部によって測定された吸引力の値に基づき外筒に対する内筒の移動量を制御することで、基材のしわの抑制に応じた適切な圧力で基材を吸引して、基材におけるしわの発生を抑制できる。
【0019】
本発明の第3態様に係るインクジェット印刷装置では、基材を搬送しつつ基材にインクを供給して画像の印刷を行うインクジェット印刷装置であって、基材を吸引支持するサクションローラを含む、基材を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される基材にインクジェットノズルからインクを吐出して画像の印刷を行う印刷部と、基材の幅を示すデータを入力する入力部と、サクションローラを吸引する吸引部と、サクションローラが基材を吸引する吸引幅を切り替える切替部と、制御部と、を備え、制御部は、入力部で入力された基材の幅に応じて、サクションローラの吸引幅を切り替えるように切替部を制御する切替制御部を備える。
【0020】
本発明の第3態様に係るサクションローラによる吸引幅の調整方法は、基材を吸引支持するサクションローラを含む搬送部によって基材を搬送しつつ基材にインクを供給して画像の印刷を行うインクジェット印刷装置におけるサクションローラによる吸引幅の調整方法であって、基材の幅を示すデータを入力部に入力する工程と、入力部で入力された基材の幅に応じて、サクションローラが基材を吸引する吸引幅を切り替えるように、吸引幅を切り替える切替部を制御する工程と、を備える。
【0021】
このように構成されたインクジェット印刷装置では、入力部に基材の幅を示すデータが入力されると、この基材の幅に応じてサクションローラの吸引幅を切り替えるように切替部が制御される。したがって、作業者は、基材の幅を示すデータを入力するといった作業を実行するだけで、サクションローラの吸引幅を変更できる。その結果、サクションローラの吸引幅の変更作業に要する負担の軽減という課題を解決することが可能となっている。
【0022】
また、複数の基材の幅と吸引部によりサクションローラを吸引する吸引力の値とをそれぞれ対応付けて記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、入力部で入力された基材の幅に応じて、対応する吸引力を記憶部から読み出し、読み出した吸引力でサクションローラを吸引するように吸引部を制御する吸引制御部を備えるように、インクジェット印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、入力部に基材の幅を示すデータが入力されると、制御部の吸引制御部は、この基材の幅に対応する吸引力を記憶部から読み出し、読み出した吸引力でサクションローラを吸引するように吸引部を制御する。したがって、基材の特性に応じた吸引力で基材を適切に吸引することができる。
【0023】
また、サクションローラは、印刷部によって画像が印刷された直後の基材を吸引搬送可能な位置に配置されるように、インクジェット印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、画像が印刷された直後の基材をサクションローラによって安定的に支持することができる。
【0024】
また、サクションローラは、 基材を吸着支持するための複数の開口が形成された外周面を有し、円筒軸の周りに回転可能に構成される円筒ローラと、エアが通過可能な外筒通風口が形成された外周面を有し、円筒ローラ内に挿通される外筒と、吸引源からの吸引力を受ける吸引口を有するとともに、外筒内に挿通されて、円筒軸を中心とする回転方向に回転可能な内筒と、円筒ローラの内周面と外筒の外周面との間において、長手方向に並んで形成された複数の吸引室と、を備え、円筒ローラは、複数の開口の各々が、複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成され、内筒の外周面においては、回転方向の互いに異なる位置に設けられて互いに長手方向に異なる幅を有する複数の内筒通風口形成範囲が設けられ、複数の内筒通風口形成範囲のそれぞれでは、エアが通過可能な内筒通風口が設けられ、外筒通風口と、外筒通風口に対向する内筒通風口形成範囲の内筒通風口とが重なることで重なり領域が形成され、内筒の吸引口が吸引源からの吸引力を受けると、複数の吸引室のうち、内筒通風口と外筒通風口との重なり領域に対向する吸引室から重なり領域を介して吸引口に向けてエアが吸引されるように、外筒および内筒は構成され、切替部は、内筒を回転させて、複数の内筒通風口形成範囲のうち、外筒通風口に対向する内筒通風口形成範囲を切り替えることで、吸引幅を切り替え、回転方向において、外筒通風口および内筒通風口のうち、一方の長さは他方の長さより長いように、インクジェット印刷装置を構成してもよい。
【0025】
このように構成されたインクジェット印刷装置では、円筒ローラと、円筒ローラ内に挿通された外筒と、円筒ローラの内周面と外筒の外周面との間において長手方向に並んで形成された複数の吸引室とが設けられている。円筒ローラの外周面には、基材を吸着支持するための複数の開口が形成されており、円筒ローラは、複数の開口の各々が複数の吸引室のうちの対応する一つの吸引室と連通するように構成されている。また、外筒の外周面には、エアが通過可能な外筒通風口が形成されている。さらに、エアが通過可能な内筒通風口が形成された外周面を有し、外筒内に挿通された内筒が設けられている。そして、外筒通風口と、外筒通風口に対向する内筒通風口形成範囲の内筒通風口とが重なることで重なり領域が形成され、内筒の吸引口が吸引源からの吸引力を受けると、複数の吸引室のうち、内筒通風口と外筒通風口との重なり領域に対向する吸引室から重なり領域を介して吸引口に向けてエアが吸引される。そのため、複数の内筒通風口形成範囲のうち、外筒通風口に対向する位置の内筒通風口形成範囲を変更することで、重なり領域が形成される幅を変更して、円筒ローラが基材を吸引する吸引幅を変更できる。つまり、切替部は、内筒を回転させて、複数の内筒通風口形成範囲のうち、外筒通風口に対向する内筒通風口形成範囲を切り替えることで、吸引幅を切り替えることができる。しかも、回転方向において、外筒通風口および内筒通風口のうち、一方の長さは他方の長さより長い。そのため、外筒通風口に対向させる内筒通風口の位置が回転方向に若干ずれても、所望の長さの重なり領域を形成できる。その結果、内筒を回転方向に回転させる切替部を制御する切替制御部に求められる位置精度は高くなく、簡便な制御で吸引幅を切り替えることができる。
【0026】
また、外筒は、外筒通風口が形成された取付部品と、取付部品が嵌合可能な部品嵌合部が形成された外周面を有して内筒が挿通される外筒本体と、を有し、取付部品は、部品嵌合部に嵌合した状態で外筒本体に着脱可能に取り付けられるように、サクションローラを構成してもよい。かかる構成では、外筒本体の部品嵌合部に装着される取付部品を交換することで、外筒通風口の大きさを変更して、基材を吸引する圧力を適宜変更することができる。
【0027】
また、取付部品は、外筒本体から、外筒本体と内筒の外周面との間の隙間に突出して、当該隙間をシールする隙間シール部を有するように、サクションローラを構成してもよい。かかる構成では、外筒本体と内筒の外周面との間の隙間へのエアのリークを、取付部品の隙間シール部によって抑制でき、外筒通風口に所望の圧力を確実に発生させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明の第1および第2態様によれば、サクションローラに吸引される基材におけるしわの発生を抑制でき、本発明の第3態様によれば、サクションローラの吸引幅の変更作業に要する負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係るインクジェット印刷装置を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図。
図2図1の印刷システムが備えるインクジェット印刷装置を模式的に示す正面図。
図3A】サクションローラの軸方向に平行な断面を模式的に示す部分断面図。
図3B】サクションローラの軸方向に平行な断面を模式的に示す部分断面図。
図3C】サクションローラの軸方向に平行な断面を模式的に示す部分断面図。
図4】サクションローラの軸方向に垂直な断面における外筒および内筒を模式的に示す部分断面図。
図5A】第1内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図。
図5B】第2内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図。
図5C】第3内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図。
図6】内筒回転機構の一例を模式的に示す図。
図7】サクションローラの吸引口を吸引する吸引機構を模式的に示す図。
図8A】内筒回転機構および吸引機構の動作を制御するコントローラの電気的構成を示すブロック図。
図8B】回転位置テーブルの一例を示す図。
図9A】変形例に係るコントローラの電気的構成を示すブロック図。
図9B】回転位置テーブルの一例を示す図。
図10A】変形例における第1内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図。
図10B】変形例における第2内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図。
図10C】変形例における第3内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図。
図11】コントローラによって実行される制御の一例を示すフローチャート。
図12図11のフローチャートを実行するコントローラの電気的構成を示すブロック図。
図13A】外筒通風口および内筒通風口の第1変形例を模式的に示す図。
図13B】外筒通風口および内筒通風口の第1変形例を模式的に示す図。
図14A】外筒通風口および内筒通風口の第2変形例を模式的に示す図。
図14B】外筒通風口および内筒通風口の第2変形例を模式的に示す図。
図15】重なり領域の回転方向における長さの軸方向における変化の態様の変形例をグラフにより示す図。
図16A】サクションローラの取付部品を示す斜視図。
図16B】サクションローラの取付部品を示す斜視図。
図16C】サクションローラの取付部品を示す部分断面図。
図17A】吸引室に関する構成の変形例を模式的に示す図。
図17B】吸引室に関する構成の変形例を模式的に示す図。
図17C】吸引室に関する構成の変形例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は本発明に係るインクジェット印刷装置を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。図1および以下に示す図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。図1に示すように、印刷システム1は、X方向に配列されたインクジェット印刷装置3および乾燥装置9を備える。この印刷システム1は、繰出ロール11から巻取ロール12へロール・トゥ・ロールで長尺帯状の印刷媒体Mを搬送する。なお、印刷媒体Mの素材は、OPP(oriented polypropylene)あるいはPET(polyethylene terephthalate)等のフィルムである。ただし、印刷媒体Mの素材はフィルムに限られず、紙等でもよい。かかる印刷媒体Mは可撓性を有する。また、以下では、印刷媒体Mの両面のうち、画像が印刷される面を表面M1と、表面M1の反対側の面を裏面M2と適宜称する。
【0031】
インクジェット印刷装置3は、繰出ロール11から巻取ロール12へ搬送される印刷媒体Mの表面M1に対してインクジェット方式で水性インクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1に画像を印刷する。かかるインクジェット印刷装置3の詳細な構成は後述する。こうして画像が印刷された印刷媒体Mは、インクジェット印刷装置3から乾燥装置9へ向けてX方向に搬送される。
【0032】
乾燥装置9は乾燥炉90を備え、繰出ロール11から巻取ロール12への搬送に伴ってインクジェット印刷装置3から搬出された印刷媒体Mを乾燥させる。乾燥炉90内には、X方向に配列された2個の上段送風ユニット91uと、これら上段送風ユニット91uの下側でX方向に配列された2個の中段送風ユニット91mと、これら中段送風ユニット91mの下側でX方向に配列された2個の下段送風ユニット91lとが具備されている。
【0033】
インクジェット印刷装置3の搬出口312から搬出された印刷媒体Mは、2個の上段送風ユニット91uをX方向に通過した後に、1対のローラ92によって2個の中段送風ユニット91mへ向けて折り返される。続いて、印刷媒体Mは、2個の中段送風ユニット91mをX方向に通過した後に、1対のエアターンバー93によって2下段送風ユニット91lに向けて折り返される。さらに、印刷媒体Mは、2個の下段送風ユニット91lをX方向に通過した後に、乾燥装置9の外部へ搬出される。
【0034】
上段送風ユニット91uは、X方向に通過する印刷媒体MをZ方向から挟むように配置された2個の送風チャンバ94を有する。各送風チャンバ94は、X方向に配列された複数のノズル95を有し、各ノズル95から温風(60度以上の気体)を印刷媒体Mへ噴射する。こうして、印刷媒体Mは、上下に設けられた2個の送風チャンバ94の間を通過しつつ、これら送風チャンバ94のノズル95から噴射された温風によって乾燥される。また、中段送風ユニット91mおよび下段送風ユニット91lのそれぞれも、上段送風ユニット91uと同様に、印刷媒体MをZ方向から挟む2個の送風チャンバ94を有する。
【0035】
ちなみに、上段送風ユニット91uの具体的構成はここの例に限られない。例えば、上段送風ユニット91uの上下の送風チャンバ94のうち下側の送風チャンバ94に代えて、X方向に配列された複数のローラを設けてもよい。かかる構成では、複数のローラによって印刷媒体Mの裏面M2を下側から支持しつつ、上側の送風チャンバ94から印刷媒体Mの表面M1に温風を噴射できる。
【0036】
図2図1の印刷システムが備えるインクジェット印刷装置を模式的に示す正面図である。図2では、X方向の一方側X1および他方側X2を適宜示す。ここで、一方側X1はインクジェット印刷装置3から乾燥装置9へ向う側であり、他方側X2は一方側X1の反対側である。インクジェット印刷装置3は、筐体31と、筐体31内に配置されたカラー印刷部32と、筐体31内においてカラー印刷部32の上方に配置された白印刷部33と、筐体31内に配置された複数のローラによって印刷媒体Mを搬送する搬送部4とを備える。
【0037】
カラー印刷部32は、搬送部4によって搬送される印刷媒体Mの上方において、印刷媒体Mの進行方向(他方側X2から一方側X1へ向かう方向)に配列された複数(6個)のヘッドユニット321を有する。複数のヘッドユニット321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、互いに異なる色のカラーインクをインクジェット方式でノズルから吐出する。ここで、カラーインクとは、白色以外のインクを意味し、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック等のインクを含む。こうして、カラー印刷部32の複数のヘッドユニット321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方からカラーインクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1にカラー画像を印刷する。
【0038】
また、白印刷部33は、搬送部4によって搬送される印刷媒体Mの上方に配置された単一のヘッドユニット331を有する。ヘッドユニット331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、白インクをインクジェット方式でノズルから吐出する。こうして、白印刷部33のヘッドユニット331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から白インクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1に白画像を印刷する。
【0039】
筐体31の他方側X2の側壁には搬入口311が開口する一方、筐体31の一方側X1の側壁には搬出口312が開口している。そして、搬送部4は、上記のカラー印刷部32および白印刷部33を経由しつつ、搬入口311から搬出口312へ印刷媒体Mを搬送する。
【0040】
この搬送部4は、カラー印刷部32の下側に設けられた搬入部41と、カラー印刷部32の一方側X1に設けられた上昇搬送部42と、カラー印刷部32の上側に設けられた上方搬送部43と、カラー印刷部32の他方側X2に設けられた下降搬送部44とを有する。搬入部41は、搬入口311から搬入された印刷媒体Mをローラ411によって一方側X1に搬送し、上昇搬送部42は、搬入部41によって搬送されてきた印刷媒体Mをローラ421によって上側に搬送し、上方搬送部43は、上昇搬送部42によって搬送されてきた印刷媒体Mをローラ431によって他方側X2へ搬送し、下降搬送部44は、上方搬送部43によって搬送されてきた印刷媒体Mをローラ441によって下側に搬送する。
【0041】
さらに、搬送部4は、カラー印刷部32に対向する印刷媒体Mを下方から支持するカラー搬送部45を有し、下降搬送部44を通過した印刷媒体Mはカラー搬送部45に進入する。このカラー搬送部45は、他方側X2から一方側X1へ配列された複数のローラ451を有し、各ローラ451が印刷媒体Mの裏面M2に下方から接触する。こうして、カラー搬送部45によって支持される印刷媒体Mの表面M1は上方を向き、カラー印刷部32の各ヘッドユニット321は、この表面M1に上方から対向しつつカラーインクを吐出する。
【0042】
また、搬送部4は、印刷媒体Mの進行方向においてカラー搬送部45と下降搬送部44との間に配置されたローラ461、462、463を有する。ローラ461は、印刷媒体Mを駆動する駆動ローラである。ローラ462、463は印刷媒体Mに従動して回転する従動ローラであり、印刷媒体Mの搬送方向において、ローラ462は駆動ローラ461の上流側で印刷媒体Mに接触し、ローラ463は、駆動ローラ461の下流側で印刷媒体Mに接触する。
【0043】
さらに、搬送部4は、カラー搬送部45から一方側X1に搬送されてきた印刷媒体Mを二回上下反転させる反転搬送部47を有する。この反転搬送部47は、駆動ローラ471を含む複数のローラ471~477を有し、これらローラ471~477が印刷媒体Mの裏面M2に接触しつつ、印刷媒体Mを二回上下反転させる。つまり、反転搬送部47は、カラー搬送部45から搬送された印刷媒体Mを、ローラ471、472によって下方向に向けて搬送し、さらに印刷媒体Mの進行方向をローラ472によって他方側X2に変更して搬送することにより、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを上下反転させる。続いて、反転搬送部47は、複数のローラ473によって印刷媒体Mを一方側X1から他方側X2に向けて搬送し、次いで、ローラ474、475、476によって印刷媒体Mを上方向に向けて搬送する。さらに、反転搬送部47は、ローラ476によって印刷媒体Mの進行方向を一方側X1に変更することによって、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを再び上下反転させるとともに、ローラ477によって印刷媒体Mを他方側X2から一方側X1に向けて搬送する。
【0044】
また、搬送部4は、白印刷部33に対向する印刷媒体Mを下方から支持する白搬送部48を有し、反転搬送部47によって二回上下反転された印刷媒体Mは白搬送部48に進入する。この白搬送部48は、印刷媒体Mの裏面M2に下側から接触するローラ481を有する。こうして、白搬送部48によって支持される印刷媒体Mの表面M1は上方を向き、白印刷部33のヘッドユニット331は、この表面M1に上方から対向しつつ白インクを吐出する。
【0045】
また、搬送部4は、上方搬送部43より上方に設けられた搬出部49を有する。搬出部49は、X方向の他方側X2から一方側X1へ配列された複数のローラ491、492、493を有する。この搬出部49は、白搬送部48により搬送されてきた印刷媒体Mを、複数のローラ491、492、493によって一方側X1へと搬送することで、筐体31の搬出口312から乾燥装置6へ搬出する。
【0046】
上述のように、搬送部4によって搬送方向に搬送される印刷媒体Mにカラー印刷部32がインクを吐出することで、カラー画像が印刷される。また、搬送部4は、カラー印刷部32からインクが吐出される印刷媒体Mの搬送方向の両側に設けられたローラ463およびローラ471を有する。ローラ463は、印刷媒体Mの搬送方向においてカラー印刷部32の上流側に配置され、カラー印刷部32からインクが吐出される前の印刷媒体Mを支持する。ローラ471は、印刷媒体Mの搬送方向においてカラー印刷部32の下流側に配置され、カラー印刷部32からインクが吐出された後の印刷媒体Mを支持する。これに対して、ローラ463は、当該ローラ463の軸方向に中央から端に向かうに伴って径が増大する形状を外周面に有するコンケイブローラであり、当該外周面によって印刷媒体Mを支持する。また、ローラ471は、エアを吸引する外周面を有するサクションローラであり、当該外周面によって印刷媒体Mを吸引しつつ回転することで印刷媒体Mを支持する。
【0047】
また、搬送部4によって搬送方向に搬送される印刷媒体Mに白印刷部33がインクを吐出することで、白画像が印刷される。また、搬送部4は、白印刷部33からインクが吐出される印刷媒体Mの搬送方向の両側に設けられたローラ475およびローラ491を有する。ローラ475は、印刷媒体Mの搬送方向において白印刷部33の上流側に配置され、白印刷部33からインクが吐出される前の印刷媒体Mを支持する。ローラ491は、印刷媒体Mの搬送方向において白印刷部33の下流側に配置され、白印刷部33からインクが吐出された後の印刷媒体Mを支持する。これに対して、ローラ475は、当該ローラ475の軸方向に中央から端に向かうに伴って径が増大する形状を外周面に有するコンケイブローラであり、当該外周面によって印刷媒体Mを支持する。また、ローラ491は、エアを吸引する外周面を有するサクションローラであり、当該外周面によって印刷媒体Mを吸引しつつ回転することで印刷媒体Mを支持する。
【0048】
つまり、カラー印刷部32あるいは白印刷部33といった印刷部からインクが吐出される印刷媒体Mを、印刷媒体Mの搬送方向の両側で支持するコンケイブローラおよびサクションローラが設けられている。コンケイブローラは、印刷媒体Mの搬送方向において印刷部の上流側に配置され、印刷部からインクが吐出される前の印刷媒体Mを支持する。サクションローラは、印刷媒体Mの搬送方向において印刷部の下流側に配置され、印刷部からインクが吐出された後の印刷媒体Mを支持する。続いては、このようなサクションローラについて詳述する。
【0049】
図3A図3Bおよび図3Cはサクションローラの軸方向に平行な断面を模式的に示す部分断面図である。図3および以下の図では、サクションローラ5の軸方向Daと、軸方向Daに平行な回転軸Aを中心とする回転方向Drとを適宜示す。これらの図に示すように、サクションローラ5は、円筒ローラ51、外筒52、内筒53および吸引室54を備える。
【0050】
つまり、サクションローラ5は、印刷媒体Mに接触することで印刷媒体Mを支持する円筒ローラ51を有する。円筒ローラ51は、円筒ローラ本体511と、円筒ローラ本体511の内側に形成された中空部512とを有する。円筒ローラ本体511の外周面513は、軸方向Daを中心とする円筒形を有し、印刷媒体Mに接触する。円筒ローラ本体511の内周面514は、軸方向Daを中心とする円筒形を有し、中空部512を規定する。さらに、円筒ローラ本体511には、複数の開口515が形成されている。開口515は、外周面513と内周面514との間に設けられて、開口515の一端は、外周面513において開き、開口515の他端は、内周面514で開く。したがって、エアは、外周面513側から内周面514側へ開口515を通過することができる。このような開口515は、円筒ローラ本体511を貫通する孔でも良いし、円筒ローラ本体511に形成されたメッシュでもよい。これら複数の開口515は、軸方向Daに所定の幅を有する第1吸引範囲Rs1に渡って形成されている。
【0051】
また、サクションローラ5は、円筒ローラ51の内側(すなわち、円筒ローラ51の中空部512)に配置された外筒52を有する。外筒52は、外筒本体521と、外筒本体521の内側に形成された中空部522とを有する。外筒本体521の外周面523は、軸方向Daを中心とする円筒形を有し、円筒ローラ51の内周面514に内側から間隔を対向する。外筒本体521の内周面524は、軸方向Daを中心とする円筒形を有し、中空部522を規定する。さらに、外筒本体521では、複数の外筒通風口525が軸方向Daにおいて配列ピッチPaで並んで形成されている。外筒通風口525は、外周面523と内周面524との間に設けられて、外筒通風口525の一端は、外周面523において開き、外筒通風口525の他端は、内周面524で開く。したがって、エアは、外周面523側から内周面524側へ外筒通風口525を通過することができる。このような外筒通風口525は、外筒本体521を貫通する孔でも良いし、外筒本体521に形成されたメッシュでも良い。これら複数の外筒通風口525は、軸方向Daに所定の幅を有する外筒通風口形成範囲Roに渡って形成されている。
【0052】
また、サクションローラ5は、円筒ローラ51の内周面514と、外筒52の外周面523との間に設けられた複数の吸引室54を有する。これら複数の吸引室54は、軸方向Daに並んで形成されている。軸方向Daにおいて、隣接する吸引室54どうしは隔壁541によって隔絶されている。また、各吸引室54は、円筒ローラ51側および外筒52側の両側に開口している。そして、円筒ローラ51の複数の開口515の各々が、複数の吸引室54のうちの一の吸引室54と対向して、当該一の吸引室54と連通するように、円筒ローラ51は構成されている。また、外筒52の複数の外筒通風口525の各々が、複数の吸引室54のうちの一の吸引室54と対向して、当該一の吸引室54と連通するように、外筒52は構成されている。したがって、円筒ローラ51の開口515と、当該開口515に対向する吸引室54と、当該吸引室54に対向する外筒通風口525とは、互いに連通する。
【0053】
さらに、サクションローラ5は、外筒52の内側(すなわち、外筒52の中空部522)に配置された内筒53を有する。内筒53は、内筒本体531と、内筒本体531の内側に形成された中空部532とを有する。内筒本体531の外周面533は、軸方向Daを中心とする円筒形を有し、外筒52の内周面524に対して僅かな隙間を空けて内側から対向する。内筒本体531の内周面534は、軸方向Daを中心とする円筒形を有し、中空部532を規定する。さらに、内筒本体531では、複数の内筒通風口535が軸方向Daにおいて配列ピッチPaで並んで形成されている。内筒通風口535は、外周面533と内周面534との間に設けられて、内筒通風口535の一端は、外周面533において開き、内筒通風口535の他端は、内周面534で開く。したがって、エアは、外周面533側から内周面534側へ内筒通風口535を通過することができる。このような内筒通風口535は、内筒本体531を貫通する孔でも良いし、内筒本体531に形成されたメッシュでも良い。
【0054】
また、内筒53では、回転方向Drにおいて互いに異なる位置に設けられた複数(3個)の内筒通風口形成範囲Ri1、Ri2、Ri3が設けられており、複数の内筒通風口形成範囲Ri1、Ri2、Ri3のそれぞれにおいて、内筒通風口535が配列ピッチPaで軸方向Daに並んで形成されている(図4)。
【0055】
図4はサクションローラの軸方向に垂直な断面における外筒および内筒を模式的に示す部分断面図である。図4に示すように、内筒53では、第1内筒通風口形成範囲Ri1、第2内筒通風口形成範囲Ri2および第3内筒通風口形成範囲Ri3が、120度の角度ピッチで回転方向Drに並んでいる。また、内筒53は外筒52に対して回転方向Drに回転可能であり、第1・第2・第3内筒通風口形成範囲Ri1、Ri2、Ri3のうちの1つが、選択的に外筒通風口形成範囲Roに対向する。
【0056】
図3Aでは、第1内筒通風口形成範囲Ri1が外筒通風口形成範囲Roに対向した状態が示されている。軸方向Daにおいて、第1内筒通風口形成範囲Ri1は外筒通風口形成範囲Roと一致し、軸方向Daにおいて第1内筒通風口形成範囲Ri1に渡って内筒通風口535が形成されている。そして、外筒52の外筒通風口525のそれぞれは、第1内筒通風口形成範囲Ri1内の各内筒通風口535のうちのいずれか一の内筒通風口535と対向して、当該内筒通風口535と連通する。したがって、エアは、外筒通風口525から当該外筒通風口525に連通する内筒通風口535を介して、内筒53の中空部532に流入することができる。
【0057】
図3Bでは、第2内筒通風口形成範囲Ri2が外筒通風口形成範囲Roに対向した状態が示されている。軸方向Daにおいて、第2内筒通風口形成範囲Ri2の幅は第1内筒通風口形成範囲Ri1の幅よりも狭い。また、軸方向Daにおいて、第2内筒通風口形成範囲Ri2の中心と第1内筒通風口形成範囲Ri1の中心とは一致する。そして、外筒52の各外筒通風口525のうち、第2内筒通風口形成範囲Ri2と重なる外筒通風口525は、第2内筒通風口形成範囲Ri2内の各内筒通風口535のうちのいずれか一の内筒通風口535と対向して、当該内筒通風口535と連通する。したがって、第2内筒通風口形成範囲Ri2において、エアは、外筒通風口525から当該外筒通風口525に連通する内筒通風口535を介して、内筒53の中空部532に流入することができる。一方、外筒52の各外筒通風口525のうち、第2内筒通風口形成範囲Ri2と重ならない外筒通風口525は、内筒53の外周面533によって閉塞される。したがって、第2内筒通風口形成範囲Ri2以外では、外筒通風口525から内筒53の中空部532へのエアの流入は制限される。
【0058】
図3Cでは、第3内筒通風口形成範囲Ri3が外筒通風口形成範囲Roに対向した状態が示されている。軸方向Daにおいて、第3内筒通風口形成範囲Ri3の幅は第2内筒通風口形成範囲Ri2の幅よりも狭い。また、軸方向Daにおいて、第3内筒通風口形成範囲Ri3の中心と第2内筒通風口形成範囲Ri2の中心とは一致する。そして、外筒52の各外筒通風口525のうち、第3内筒通風口形成範囲Ri3と重なる外筒通風口525は、第3内筒通風口形成範囲Ri3内の各内筒通風口535のうちのいずれか一の内筒通風口535と対向して、当該内筒通風口535と連通する。したがって、第3内筒通風口形成範囲Ri3において、エアは、外筒通風口525から当該外筒通風口525に連通する内筒通風口535を介して、内筒53の中空部532に流入することができる。一方、外筒52の各外筒通風口525のうち、第3内筒通風口形成範囲Ri3と重ならない外筒通風口525は、内筒53の外周面533によって閉塞される。したがって、第3内筒通風口形成範囲Ri3以外では、外筒通風口525から内筒53の中空部532へのエアの流入は制限される。
【0059】
内筒53の軸方向Daの一端では、中空部532が開口して吸引口536が形成される。そして、後述するブロア72(図7)によって吸引口536が吸引されると、内筒53の中空部532に負圧が発生する。この負圧は、内筒通風口535、当該内筒通風口535に対向する外筒通風口525および当該外筒通風口525に対向する吸引室54を介して、当該吸引室54に対向する開口515に伝達されて、この開口515がエアを吸引する。
【0060】
かかる構成では、回転方向Drにおける内筒53の回転位置を調整して、外筒通風口形成範囲Roに対向する内筒通風口形成範囲Riを、第1・第2・第3内筒通風口形成範囲Ri1、Ri2、Ri3の間で切り替えることで、サクションローラ5が印刷媒体Mを吸引する吸引幅を変更できる。
【0061】
つまり、図3Aでは、第1内筒通風口形成範囲Ri1が外筒通風口形成範囲Roに対向するように、回転方向Drへの内筒53の回転位置が調整されている。そのため、第1内筒通風口形成範囲Ri1内の各内筒通風口535に対向する各外筒通風口525が当該外筒通風口525に連通する吸引室54および開口515を介してエアを吸引し、その結果、第1吸引範囲Rs1においてエアが吸引される。
【0062】
図3Bでは、第2内筒通風口形成範囲Ri2が外筒通風口形成範囲Roに対向するように、回転方向Drへの内筒53の回転位置が調整されている。そのため、第2内筒通風口形成範囲Ri2内の各内筒通風口535に対向する各外筒通風口525が当該外筒通風口525に連通する吸引室54および開口515を介してエアを吸引し、その結果、第1吸引範囲Rs1より狭い第2吸引範囲Rs2においてエアが吸引される。
【0063】
図3Cでは、第3内筒通風口形成範囲Ri3が外筒通風口形成範囲Roに対向するように、回転方向Drへの内筒53の回転位置が調整されている。そのため、第3内筒通風口形成範囲Ri3内の各内筒通風口535に対向する各外筒通風口525が当該外筒通風口525に連通する吸引室54および開口515を介してエアを吸引し、その結果、第2吸引範囲Rs2より狭い第3吸引範囲Rs3においてエアが吸引される。
【0064】
ここに示すように、第1吸引範囲Rs1、第2吸引範囲Rs2および第3吸引範囲Rs3は軸方向Daに互いに異なる幅を有し、第1吸引範囲Rs1は第2吸引範囲Rs2を含み、第2吸引範囲Rs2は第3吸引範囲Rs3を含む。したがって、軸方向Daにおける印刷媒体Mの幅に応じて、当該印刷媒体Mを吸引する吸引範囲を第1・第2・第3吸引範囲Rs1、Rs2、Rs3の間で使い分けることができる。
【0065】
また、サクションローラ5は、円筒ローラ51と外筒52との間を塞ぐ側板55を備える。側板55は外筒52に取り付けられており、円筒ローラ本体511は、側板55に対して回転方向Drに回転可能である。
【0066】
さらに、サクションローラ5は、内筒53の中空部532の他端(すなわち、吸引口536が形成される一端と逆の他端)を塞ぐように、内筒53の他端に取り付けられた側板57を備える。また、この側板57には、後述する内筒回転機構6(図6)に含まれるシャフト61およびプーリ62が取り付けられている。具体的には、シャフト61は、側板57から軸方向Daの他方側に突出し、プーリ62は、シャフト61の他端に取り付けられている。これら側板57、シャフト61およびプーリ62は、内筒53と一体的に回転方向Drに回転する。
【0067】
上記の構成では、外筒通風口525と内筒通風口535とが重なった重なり領域において、吸引室54から内筒53の中空部532へのエアの流入が許容される。したがって、サクションローラ5がエアを吸引する圧力は、重なり領域のサイズに依存する。これに対して、本実施形態では、サクションローラ5の軸方向Daによって、重なり領域のサイズが異なる。
【0068】
図5Aは第1内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図である。図5Aにおいて、破線は、軸方向Daにおける内筒通風口535の長さの違いを示すために付された仮想線であり、実際に存在する線ではない。
【0069】
図5Aの「外筒通風口」の欄に示すように、外筒52では、複数の外筒通風口525が軸方向Daに平行に一列に並ぶ。各外筒通風口525は、軸方向Daにおいて同じ幅を有するとともに、回転方向Drにおいて同じ長さを有する。図5Aの「内筒通風口」の欄に示すように、内筒53では、第1内筒通風口形成範囲Ri1において複数の内筒通風口535が軸方向Daに平行に一列に並ぶ。各内筒通風口535は、軸方向Daにおいて同じ幅を有する一方、回転方向Drにおいては、その位置に応じた長さを有する。つまり、内筒通風口535の回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第1内筒通風口形成範囲Ri1の中央部から端部に向かうに連れて短くなる。
【0070】
また、図5Aの「重なり領域」の欄に示すように、第1内筒通風口形成範囲Ri1が外筒通風口形成範囲Roに対向すると、外筒通風口525と内筒通風口535とが互いに対向する。その結果、外筒通風口525と内筒通風口535とが重なる重なり領域Lにおいて、エアが外筒通風口525および内筒通風口535を通過可能となる。また、回転方向Drにおいて内筒通風口535が上記の長さを有することから、各重なり領域Lは、回転方向Drにおいては、その位置に応じた長さを有する。つまり、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第1内筒通風口形成範囲Ri1の中央部から端部に向かうに連れて短くなる。
【0071】
図5Bは第2内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図である。図5Bにおいて、破線は、軸方向Daにおける内筒通風口535の長さの違いを示すために付された仮想線であり、実際に存在する線ではない。図5Bの「内筒通風口」の欄に示すように、内筒53では、第2内筒通風口形成範囲Ri2において複数の内筒通風口535が軸方向Daに平行に一列に並ぶ。各内筒通風口535は、軸方向Daにおいて同じ幅を有する一方、回転方向Drにおいては、その位置に応じた長さを有する。つまり、内筒通風口535の回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第2内筒通風口形成範囲Ri2の中央部から端部に向かうに連れて短くなる。
【0072】
また、図5Bの「重なり領域」の欄に示すように、第2内筒通風口形成範囲Ri2が外筒通風口形成範囲Roに対向すると、外筒通風口525と内筒通風口535とが互いに対向する。その結果、外筒通風口525と内筒通風口535とが重なる重なり領域Lにおいて、エアが外筒通風口525および内筒通風口535を通過可能となる。また、回転方向Drにおいて内筒通風口535が上記の長さを有することから、各重なり領域Lは、回転方向Drにおいては、その位置に応じた長さを有する。つまり、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第2内筒通風口形成範囲Ri2の中央部から端部に向かうに連れて短くなる。
【0073】
図5Cは第3内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図である。図5Cにおいて、破線は、軸方向Daにおける内筒通風口535の長さの違いを示すために付された仮想線であり、実際に存在する線ではない。図5Cの「内筒通風口」の欄に示すように、内筒53では、第3内筒通風口形成範囲Ri3において複数の内筒通風口535が軸方向Daに平行に一列に並ぶ。各内筒通風口535は、軸方向Daにおいて同じ幅を有する一方、回転方向Drにおいては、その位置に応じた長さを有する。つまり、内筒通風口535の回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第3内筒通風口形成範囲Ri3の中央部から端部に向かうに連れて短くなる。
【0074】
また、図5Cの「重なり領域」の欄に示すように、第3内筒通風口形成範囲Ri3が外筒通風口形成範囲Roに対向すると、外筒通風口525と内筒通風口535とが互いに対向する。その結果、外筒通風口525と内筒通風口535とが重なる重なり領域Lにおいて、エアが外筒通風口525および内筒通風口535を通過可能となる。また、回転方向Drにおいて内筒通風口535が上記の長さを有することから、各重なり領域Lは、回転方向Drにおいては、その位置に応じた長さを有する。つまり、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第3内筒通風口形成範囲Ri3の中央部から端部に向かうに連れて短くなる。
【0075】
また、図4および図5A図5Cから分かるように、回転方向Drにおいて、各内筒通風口535の長さは、外筒通風口525の長さより短い。したがって、外筒通風口525の長さと内筒通風口535の長さとの差に相当する機械的な遊びが設けられている。外筒通風口525に対する内筒通風口535の位置ずれがこの遊びの範囲内であれば、これら外筒通風口525と内筒通風口535とで形成される重なり領域Lの回転方向Drの長さは変わらない。
【0076】
さらに、インクジェット印刷装置3は、上記のサクションローラ5が印刷媒体Mを吸引する吸引範囲を第1・第2・第3吸引範囲Rs1、Rs2、Rs3の間で切り替えつつ、サクションローラ5により印刷媒体Mを吸引するために、サクションローラ5の内筒53を回転させる内筒回転機構6(図6)と、サクションローラ5の内筒53の吸引口536を吸引する吸引機構7とを備える。ここで、図6は内筒回転機構の一例を模式的に示す図であり、図7はサクションローラの吸引口を吸引する吸引機構を模式的に示す図であり、図8Aは内筒回転機構および吸引機構の動作を制御するコントローラの電気的構成を示すブロック図である。
【0077】
内筒回転機構6は、上述の通り、サクションローラ5の内筒53と一体的に回転するシャフト61およびプーリ62を有する。さらに、内筒回転機構6は、モータ63と、軸方向Daに平行な回転中心の回りでモータ63によって回転されるプーリ64と、プーリ64とプーリ62とに架け渡された無端ベルト65とを有する。したがって、モータ63がプーリ64を回転させると、プーリ64の回転が無端ベルト65によってプーリ62に伝達されて、プーリ62の回転に伴ってサクションローラ5の内筒53が回転する。
【0078】
さらに、内筒回転機構6は、軸方向Daを中心として120度の角度ピッチで回転方向Drに並ぶ3個の回転位置センサ66a、66b、66cを有する。プーリ62は、回転位置センサ66a、66b、66cのセンサドクとして機能し、回転位置センサ66a、66b、66cは、プーリ62の回転位置に応じた信号を出力する。ここの例では、プーリ62は、第1内筒通風口形成範囲Ri1に応じた回転位置に設けられたスリットを有する。これに対して、回転位置センサ66a、66b、66cはスリットを検出する光学式のセンサである。つまり、回転位置センサ66a、66b、66cは、スリットを検出するとオン信号を出力し、スリットを検出しないとオフ信号を出力する。したがって、第1内筒通風口形成範囲Ri1が外筒通風口形成範囲Roに対向するときには、回転位置センサ66aがオン信号を出力する一方、回転位置センサ66b、66cはオフ信号を出力する。第2内筒通風口形成範囲Ri2が外筒通風口形成範囲Roに対向するときには、回転位置センサ66bがオン信号を出力する一方、回転位置センサ66c、66aはオフ信号を出力する。第3内筒通風口形成範囲Ri3が外筒通風口形成範囲Roに対向するときには、回転位置センサ66cがオン信号を出力する一方、回転位置センサ66a、66bはオフ信号を出力する。
【0079】
したがって、回転位置センサ66a、66b、66cそれぞれの出力信号(オン信号・オフ信号)に基づき、内筒53の回転位置を検出することができる。ただし、内筒53の回転位置を検出するための具体的な機構は、ここの例に限られない。例えば、プーリ62におけるスリットの位置を適宜変更してもよい。あるいは、光学式ではなく、接触式のセンサを回転位置センサ66a、66b、66cとして用いてもよい。この場合、スリットに代えてプーリ62に設けられた突起を接触式の回転位置センサ66a、66b、66cによって検出した結果に基づき、内筒53の回転位置を検出することができる。
【0080】
図7に示すように、吸引機構7は、接続配管71を有し、接続配管71内には、吸引路711が形成されている。吸引路711の一端は、内筒53の吸引口536に流路接続される。また、吸引機構7はブロア72を有し、吸引路711の他端はブロア72に流路接続されている。したがって、ブロア72が回転して接続配管71の吸引路711内を排気すると、ブロア72の回転数に応じた吸引力が内筒53の吸引口536に与えられる。
【0081】
また、図8Aに示すように、インクジェット印刷装置3は、コントローラ8を有する。このコントローラ8は、サクションコントローラ81と、記憶部82とを有する。サクションコントローラ81は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部82は、例えばSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。サクションコントローラ81は、モータ63を制御するモータ制御部811と、回転位置センサ66a、66b、66cが出力する信号を取得するセンサ出力取得部812とを有する。センサ出力取得部812が取得した回転位置センサ66a、66b、66cの出力信号は、モータ制御部811に送信される。モータ制御部811は、センサ出力取得部812から受信した出力信号に基づきモータ63の回転位置を制御する。特に、モータ制御部811によるモータ63の回転位置の制御は、印刷媒体Mの軸方向Daにおける幅に基づき実行される。
【0082】
つまり、インクジェット印刷装置3は、UI(User Interface)67を具備する。UI67は、マウスやキーボード等の入力機器と、ディスプレイ等の出力機器とを有する。なお、UI67の入力機器と出力機器とを別体で構成する必要はなく、タッチパネルディスプレイ等によってこれらを一体的に構成してもよい。これに対して、コントローラ8は、UI67を制御するUI制御部813を有する。そして、インクジェット印刷装置3にセットされた印刷媒体Mの幅(換言すれば、搬送部4に支持される印刷媒体Mの幅)を入力するための入力画面がUI67のディスプレイに表示されるように、UI制御部813がUI67を制御する。したがって、作業者は、UI67の入力機器を操作することで、UI67に対して印刷媒体Mの幅を入力できる。そして、UI制御部813は、UI67に入力された印刷媒体Mの幅を取得する。
【0083】
また、記憶部82には、印刷媒体Mの幅と内筒53の回転位置との関係を示す回転位置テーブル821(図8B)が記憶されている。図8Bは回転位置テーブルの一例を示す図である。この回転位置テーブル821は、印刷媒体Mの幅と、当該印刷媒体Mを吸引するために外筒通風口形成範囲Roに対向させる内筒通風口形成範囲との関係を示す。
【0084】
UI67に入力された印刷媒体Mの幅が幅Wm1以上である場合には、第1内筒通風口形成範囲Ri1が外筒通風口形成範囲Roに対向する回転位置に、モータ63が内筒53を位置決めするように、モータ制御部811はモータ63を制御する。これによって、図5Aに示すように、印刷媒体Mは、第1内筒通風口形成範囲Ri1に対応する第1吸引範囲Rs1において、サクションローラ5に吸引される。
【0085】
UI67に入力された印刷媒体Mの幅が幅Wm1未満で幅Wm2(幅Wm1より短い)以上である場合には、第2内筒通風口形成範囲Ri2が外筒通風口形成範囲Roに対向する回転位置に、モータ63が内筒53を位置決めするように、モータ制御部811はモータ63を制御する。これによって、図5Bに示すように、印刷媒体Mは、第2内筒通風口形成範囲Ri2に対応する第2吸引範囲Rs2において、サクションローラ5に吸引される。
【0086】
UI67に入力された印刷媒体Mの幅が幅Wm2未満である場合には、第3内筒通風口形成範囲Ri3が外筒通風口形成範囲Roに対向する回転位置に、モータ63が内筒53を位置決めするように、モータ制御部811はモータ63を制御する。これによって、図5Cに示すように、印刷媒体Mは、第3内筒通風口形成範囲Ri3に対応する第3吸引範囲Rs3において、サクションローラ5に吸引される。
【0087】
ちなみに、第1内筒通風口形成範囲Ri1を外筒通風口形成範囲Roに対向させる際には、回転位置センサ66a~66cのうち第1内筒通風口形成範囲Ri1に対応する回転位置センサ66aからオン信号が出力されるように、モータ制御部811がモータ63の回転位置を制御する。第2内筒通風口形成範囲Ri2あるいは第3内筒通風口形成範囲Ri3を外筒通風口形成範囲Roに対向させる際も同様の制御がモータ制御部811によって実行される。
【0088】
また、サクションコントローラ81は、ブロア72を制御するブロア制御部814を備える。このブロア制御部814は、ブロア72が内筒53の吸引口536に所定の吸引力を発生するように、ブロア72を制御する。
【0089】
以上のように構成されたサクションローラ5では、円筒ローラ51と、円筒ローラ51内に挿通された外筒52と、円筒ローラ51の内周面514と外筒52外周面513との間において軸方向Da(長手方向)に並んで形成された複数の吸引室54とが設けられている。円筒ローラ51の外周面513には、印刷媒体M(基材)を吸着支持するための複数の開口515が形成されており、円筒ローラ51は、複数の開口515の各々が複数の吸引室54のうちの対応する一つの吸引室54と連通するように構成されている。また、外筒52の外周面523には、エアが通過可能な外筒通風口525が形成されている。さらに、この外筒52内には、内筒53が挿通されており、内筒53の外周面533には、エアが通過可能な内筒通風口535が形成されている。そして、外筒通風口525と内筒通風口535とが重なることで重なり領域Lが形成され、内筒53の吸引口536がブロア72(吸引源)からの吸引力を受けると、複数の吸引室54のうち、内筒通風口535と外筒通風口525との重なり領域Lに対向する吸引室54から重なり領域Lを介して吸引口536に向けてエアが吸引される。しかも、軸方向Daの中央から両端に向かうに伴って回転方向Drにおいて重なり領域Lが狭くなるように、外筒52および内筒53が構成されている(図5A図5Bおよび図5C)。そのため、円筒ローラ51が印刷媒体Mを吸引する圧力は、円筒ローラ51の中央から端に向かうに連れて低下し、換言すれば、円筒ローラ51の中央部では、円筒ローラ51は強い圧力で印刷媒体Mを吸引するとともに、円筒ローラ51の両端部では、円筒ローラ51は中央部より低い圧力で印刷媒体Mを吸引する。したがって、円筒ローラ51の中央部に接触する印刷媒体Mにしわが生じたとしても、円筒ローラ51の中央部では強い圧力で印刷媒体Mが吸引されるため、印刷媒体Mのしわは円筒ローラ51の外周面513に沿って矯正される。また、円筒ローラ51の両端部では、弱い圧力で印刷媒体Mが吸引されるため、中央部における印刷媒体Mのしわの矯正に伴って、印刷媒体Mの両端部は軸方向Daにずれることができる。これによって、印刷媒体Mのしわは軸方向Daに延ばされることとなる。その結果、サクションローラ5に吸引される印刷媒体Mにしわが発生するという課題を解決することが可能となっている。
【0090】
また、以上のインクジェット印刷装置3では、UI67(入力部)に印刷媒体Mの幅を示すデータが入力されると、この印刷媒体Mの幅に応じてサクションローラ5の吸引範囲を、第1・第2・第3吸引範囲Rs1、Rs2、Rs3の間で切り替えるように、モータ63がモータ制御部811によって制御される。したがって、作業者は、印刷媒体Mの幅を示すデータをUI67に入力するといった作業を実行するだけで、サクションローラ5の吸引範囲(吸引幅)を変更できる。その結果、サクションローラ5の吸引幅の変更作業に要する負担の軽減という課題を解決することが可能となっている。
【0091】
また、サクションローラ5は、カラー印刷部32によってカラー画像が印刷された直後の印刷媒体M(換言すれば、カラー搬送部45から搬出された直後の印刷媒体M)を吸引搬送可能な位置(ローラ471の位置)に配置されている(図2)。かかる構成では、カラー画像が印刷された直後の印刷媒体Mをサクションローラ5(ローラ471)によって安定的に支持することができる。
【0092】
また、サクションローラ5は、白印刷部33によって白画像が印刷された直後の印刷媒体M(換言すれば、白搬送部48から搬出された直後の印刷媒体M)を吸引搬送可能な位置(ローラ491の位置)に配置されている(図2)。かかる構成では、白画像が印刷された直後の印刷媒体Mをサクションローラ5(ローラ491)によって安定的に支持することができる。
【0093】
また、内筒53の内筒通風口535には、軸方向Daに互いに異なる幅を有する第1・第2・第3内筒通風口形成範囲Ri1、Ri2、Ri3(複数の内筒通風口形成範囲)が回転方向Drにおける異なる回転位置に設けられている。そして、第1・第2・第3内筒通風口形成範囲Ri1、Ri2、Ri3のうち、外筒通風口525に対向する位置の内筒通風口形成範囲を変更することで、重なり領域Lが形成される軸方向Daへの幅を変更して、円筒ローラ51が印刷媒体Mを吸引する吸引範囲を第1・第2・第3吸引範囲Rs1、Rs2、Rs3の間で変更できる。つまり、モータ63(切替部)は、内筒53を回転させて、第1・第2・第3内筒通風口形成範囲Ri1、Ri2、Ri3のうち、外筒通風口525に対向する内筒通風口形成範囲を切り替えることで、印刷媒体Mを吸引する吸引範囲(吸引幅)を切り替えることができる。しかも、回転方向Drにおいて、外筒通風口525および内筒通風口535のうち、回転方向Drにおいて外筒通風口525の長さは内筒通風口535の長さよりも長い(図4)。そのため、外筒通風口525に対向させる内筒通風口535の位置が回転方向に若干ずれても、所望の長さの重なり領域Lを形成できる。その結果、内筒53を回転方向Drに回転させるモータ63を制御するモータ制御部811(切替制御部)に求められる位置精度は高くなく、サクションローラ5による印刷媒体Mの吸引幅を簡便な制御で切り替えることができる。
【0094】
ところで、上記の例では、印刷媒体Mの幅に応じて、当該印刷媒体Mを吸引する吸引範囲を切り替えている。この際、印刷媒体Mを吸引する吸引力を、当該印刷媒体Mの幅に応じて制御することができる。図9Aは変形例に係るコントローラの電気的構成を示すブロック図である。この変形例では、吸引機構7は、吸引口536に与えられる圧力を計測して当該圧力を出力する圧力計73を有する。これに対して、コントローラ8は、圧力計73が出力する圧力を取得する圧力計出力取得部815を有する。そして、ブロア制御部814による圧力計73の制御は、印刷媒体Mの軸方向Daにおける幅に基づき実行される。
【0095】
つまり、上述の通り、作業者は、UI67の入力機器を操作することで、UI67に対して印刷媒体Mの幅を入力できる。そして、UI制御部813は、UI67に入力された印刷媒体Mの幅を取得する。これに対して、記憶部82には、印刷媒体Mの幅と吸引口536を吸引する吸引圧力との関係を示す吸引圧力テーブル822(図9B)が記憶されている。図9Bは回転位置テーブルの一例を示す図である。この吸引圧力テーブル822は、印刷媒体Mの幅と、当該印刷媒体Mを吸引するために吸引口536に発生させる吸引圧力との関係を示す。かかる吸引圧力テーブル822は、印刷媒体Mをサクションローラ5により吸引するのに最適な吸引圧力を、印刷媒体Mの幅を変更しつつ実験的に測定することにより例えば求められる。
【0096】
ブロア制御部814は、入力された印刷媒体Mの幅に対応する吸引圧力を吸引圧力テーブル822から読み出した結果に応じて、ブロア72を制御する。つまり、UI67に入力された印刷媒体Mの幅が幅Wm1以上である場合には、圧力計出力取得部815が圧力計73から取得した圧力が吸引圧力Ps1となるように、ブロア制御部814はブロア72を制御する。UI67に入力された印刷媒体Mの幅が幅Wm1未満で幅Wm2(幅Wm1より短い)以上である場合には、圧力計出力取得部815が圧力計73から取得した圧力が吸引圧力Ps2となるように、ブロア制御部814はブロア72を制御する。また、UI67に入力された印刷媒体Mの幅が幅Wm2未満である場合には、圧力計出力取得部815が圧力計73から取得した圧力が吸引圧力Ps3となるように、ブロア制御部814はブロア72を制御する。
【0097】
かかる変形例では、複数の印刷媒体Mの幅とブロア72(吸引部)によりサクションローラ5の吸引口536を吸引する吸引圧力(吸引力)の値とをそれぞれ対応付けて記憶する記憶部82が具備されている。これに対して、コントローラ8のブロア制御部814(吸引制御部)は、UI67(入力部)で入力された印刷媒体Mの幅に応じて、対応する吸引圧力Ps1~Ps3を記憶部82から読み出し、読み出した吸引圧力でサクションローラ5の吸引口536を吸引するようにブロア72を制御する。かかる構成では、印刷媒体Mの特性に応じた吸引圧力で印刷媒体Mを適切に吸引することができる。
【0098】
図10Aは変形例における第1内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図である。図10Aにおいて、破線は、外筒通風口525が配置される方向を示すために付された仮想線であり、実際に存在する線ではない。
【0099】
図10Aの「外筒通風口」の欄に示すように、外筒52では、軸方向Daに複数の外筒通風口525が配列されている。ただし、複数の外筒通風口525の配列方向は、軸方向Daに平行ではなく、軸方向Daに対して傾斜している。具体的には、軸方向Daにおいて外筒52の中央から一方端(同図右端)に向かって軸方向Daに対して傾斜する仮想傾斜直線VLaに沿って配列された外筒通風口525と、軸方向Daにおいて外筒52の中央から他方端(同図左端)に向かって軸方向Daに対して傾斜する仮想傾斜直線VLbに沿って配列された外筒通風口525とが含まれる。ここで、仮想傾斜直線VLaと仮想傾斜直線VLbとは互いに逆側に傾斜しており、V字を構成する。各外筒通風口525は、軸方向Daにおいて同じ幅を有するとともに、回転方向Drにおいて同じ長さを有する。
【0100】
図10Aの「内筒通風口」の欄に示すように、内筒53では、第1内筒通風口形成範囲Ri1において複数の内筒通風口535が軸方向Daに平行に一列に並ぶ。各内筒通風口535は、軸方向Daにおいて同じ幅を有するとともに、回転方向Drにおいて同じ長さを有する。なお、回転方向Drにおいて、内筒通風口535は、外筒通風口525よりも長い。
【0101】
また、図10Aの「重なり領域(第1モード)」および「重なり領域(第2モード)の欄に示すように、第1内筒通風口形成範囲Ri1が外筒通風口形成範囲Roに対向すると、外筒通風口525と内筒通風口535とが互いに対向する。その結果、外筒通風口525と内筒通風口535とが重なる重なり領域Lにおいて、エアが外筒通風口525および内筒通風口535を通過可能となる。また、上記の通り、外筒通風口525がV字状に配列されていることから、各重なり領域Lは、回転方向Drにおいては、その位置に応じた長さを有する。具体的には、第1モードでは、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第1内筒通風口形成範囲Ri1の中央部から端部に向かうに連れて短くなる。一方、第2モードでは、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第1内筒通風口形成範囲Ri1の中央部から端部に向かうに連れて長くなる。このように、図10Aの例では、外筒52に対する内筒53の回転方向Drへの位置を調整することで、第1モードと第2モードとを切り替えて、サクションローラ5による吸引を実行できる。
【0102】
図10Bは変形例における第2内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図である。図10Bにおいて、破線は、外筒通風口525が配置される方向を示すために付された仮想線であり、実際に存在する線ではない。
【0103】
図10Bの「内筒通風口」の欄に示すように、内筒53では、第2内筒通風口形成範囲Ri2において複数の内筒通風口535が軸方向Daに平行に一列に並ぶ。各内筒通風口535は、軸方向Daにおいて同じ幅を有するとともに、回転方向Drにおいて同じ長さを有する。なお、回転方向Drにおいて、内筒通風口535は、外筒通風口525よりも長い。
【0104】
また、図10Bの「重なり領域(第1モード)」および「重なり領域(第2モード)の欄に示すように、第2内筒通風口形成範囲Ri2が外筒通風口形成範囲Roに対向すると、外筒通風口525と内筒通風口535とが互いに対向する。その結果、外筒通風口525と内筒通風口535とが重なる重なり領域Lにおいて、エアが外筒通風口525および内筒通風口535を通過可能となる。また、上記の通り、外筒通風口525がV字状に配列されていることから、各重なり領域Lは、回転方向Drにおいては、その位置に応じた長さを有する。具体的には、第1モードでは、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第2内筒通風口形成範囲Ri2の中央部から端部に向かうに連れて短くなる。一方、第2モードでは、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第2内筒通風口形成範囲Ri2の中央部から端部に向かうに連れて長くなる。このように、図10Bの例では、外筒52に対する内筒53の回転方向Drへの位置を調整することで、第1モードと第2モードとを切り替えて、サクションローラ5による吸引を実行できる。
【0105】
図10Cは変形例における第3内筒通風口形成範囲に設けられた内筒通風口と外筒通風口とが形成する各重なり領域のサイズを模式的に示す図である。図10Cにおいて、破線は、外筒通風口525が配置される方向を示すために付された仮想線であり、実際に存在する線ではない。
【0106】
図10Cの「内筒通風口」の欄に示すように、内筒53では、第3内筒通風口形成範囲Ri3において複数の内筒通風口535が軸方向Daに平行に一列に並ぶ。各内筒通風口535は、軸方向Daにおいて同じ幅を有するとともに、回転方向Drにおいて同じ長さを有する。なお、回転方向Drにおいて、内筒通風口535は、外筒通風口525よりも長い。
【0107】
また、図10Cの「重なり領域(第1モード)」および「重なり領域(第2モード)の欄に示すように、第3内筒通風口形成範囲Ri3が外筒通風口形成範囲Roに対向すると、外筒通風口525と内筒通風口535とが互いに対向する。その結果、外筒通風口525と内筒通風口535とが重なる重なり領域Lにおいて、エアが外筒通風口525および内筒通風口535を通過可能となる。また、上記の通り、外筒通風口525がV字状に配列されていることから、各重なり領域Lは、回転方向Drにおいては、その位置に応じた長さを有する。具体的には、第1モードでは、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第3内筒通風口形成範囲Ri3の中央部から端部に向かうに連れて短くなる。一方、第2モードでは、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて第3内筒通風口形成範囲Ri3の中央部から端部に向かうに連れて長くなる。このように、図10Cの例では、外筒52に対する内筒53の回転方向Drへの位置を調整することで、第1モードと第2モードとを切り替えて、サクションローラ5による吸引を実行できる。
【0108】
かかる構成では、モータ制御部811がモータ63を制御して、モータ63が外筒52に対する内筒53の回転方向Drの回転位置を調整する。これによって、第1・第2・第3内筒通風口形成範囲Ri1、Ri2、Ri3のいずれかを外筒通風口形成範囲Roに対向させて、サクションローラ5が印刷媒体Mを吸引する吸引範囲を、第1・第2・第3吸引範囲Rs1、Rs2、Rs3の間で切り替えることができる。さらには、モータ制御部811がモータ63を制御して、モータ63が外筒52に対する内筒53の回転方向Drの回転位置を調整することで、重なり領域Lの回転方向Drへの長さが中央部から端部に向かうに連れて短くなる第1モードと、重なり領域Lの回転方向Drへの長さが中央部から端部に向かうに連れて長くなる第2モードとを切り替えて用いることができる。
【0109】
上記の実施例では、軸方向Da(長手方向)の中央から両端に向かうに伴って重なり領域Lの回転方向Drへの長さが短くなるように、外筒通風口525が配置される方向(仮想傾斜直線VLa、VLbの延設方向)と内筒通風口535が配置される方向(軸方向Da)とが互いに傾斜する。つまり、外筒通風口525が配置される方向(仮想傾斜直線VLa、VLbの延設方向)と内筒通風口535が配置される方向(軸方向Da)とが互いに傾斜するといった比較的簡便な構成によって、円筒ローラ51が印刷媒体Mを吸引する圧力が中央部で強くなるとともに端部で弱くなるように変化させて(第1モード)、サクションローラ5に吸引される印刷媒体Mにしわが発生するという課題を解決することが可能となる。
【0110】
また、内筒53は、外筒52に対して回転方向Drに移動可能に構成されている。そして、外筒52に対して内筒53を回転方向Drに移動させて外筒通風口525と内筒通風口535との位置関係を回転方向Drに変更することで、軸方向Daの中央から両端に向かうに伴って重なり領域Lの回転方向Drの長さ狭くなるように調整可能である(第1モード)。かかる構成では、外筒52に対して内筒53を回転方向Drに移動させることで、軸方向Daの中央から両端に向かうに伴って重なり領域Lの回転方向Drへの長さが狭くなるように調整して、サクションローラ5に吸引される印刷媒体Mにおけるしわの発生を抑制できる。
【0111】
また、上記のサクションローラ5では、円筒ローラ51と、円筒ローラ51内に挿通された外筒52と、円筒ローラ51の内周面514と外筒52の外周面523との間において軸方向Da(長手方向)に並んで形成された複数の吸引室54とが設けられている。円筒ローラ51の外周面513には、印刷媒体Mを吸着支持するための複数の開口515が形成されており、円筒ローラ51は、複数の開口515の各々が複数の吸引室54のうちの対応する一つの吸引室54と連通するように構成されている。また、外筒52の外周面523には、エアが通過可能な外筒通風口525が形成されている。さらに、外筒52内には内筒53が挿通されており、内筒53の外周面533には、エアが通過可能な内筒通風口535が形成されている。そして、外筒通風口525と内筒通風口535とが重なることで重なり領域Lが形成され、内筒53の吸引口536がブロア72(吸引源)からの吸引力を受けると、複数の吸引室54のうち、内筒通風口535と外筒通風口525との重なり領域Lに対向する吸引室54から重なり領域Lを介して吸引口536に向けてエアが吸引される。しかも、重なり領域Lの回転方向Drへの長さは、回転軸A(円筒軸)に平行な軸方向Daの位置に応じて変化し、さらには、外筒52に対して内筒53を回転方向Drに移動させて外筒通風口525と内筒通風口535との位置関係を回転方向Drに変更することで、重なり領域Lの回転方向Drへの長さを調整可能である。したがって、印刷媒体Mの特性に応じて印刷媒体Mを吸引する圧力を軸方向Daにおいて変化させることができる。その結果、サクションローラ5に吸引される印刷媒体Mにしわが発生するという課題を解決することが可能となっている。
【0112】
また、内筒53は外筒52に対して回転方向Drに回転可能であり、重なり領域Lの回転方向Drへの長さが軸方向Daの位置に応じて変化するように、外筒通風口525が配置される方向(仮想傾斜直線VLa、VLbの延設方向)と内筒通風口535が配置される方向(軸方向Da)とが互いに傾斜するように、サクションローラ5が構成されている。かかる構成では、外筒52に対して内筒53を回転方向Drに回転させることで、重なり領域Lの回転方向Drへの長さを調整して、印刷媒体Mの特性に応じて印刷媒体Mを吸引する圧力を軸方向Daにおいて変化させることができる。その結果、サクションローラ5に吸引される印刷媒体Mにしわが発生するという課題を解決することが可能となる。
【0113】
ところで、図10A図10Cの例では、重なり領域Lの回転方向Drの長さを軸方向Daに変化させるモードとして、第1モードと第2モードとがある。第1モードでは、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、軸方向Daにおいて中央部から端部に向かうに連れて短くなる。したがって、サクションローラ5が印刷媒体Mを吸引する圧力は、軸方向Daにおいて中央部で強くなる一方、端部で弱くなる。そのため、上述の理由により、印刷媒体Mのしわの発生を抑制できる。ただし、印刷媒体Mの特性によっては、軸方向Daにおける吸引力の変化を逆にすることで、印刷媒体Mのしわの発生を効果的に抑制することができる場合がある。そこで、このような印刷媒体Mをサクションローラ5で吸引する場合には、重なり領域Lの回転方向Drの長さが軸方向Daにおいて中央部から端部に向かうに連れて短くなる第2モードを選択すればよい。例えば、次のような制御によって、印刷媒体Mの特性に応じて第1モードおよび第2モードを使い分けるといったことが可能となる。
【0114】
図11はコントローラによって実行される制御の一例を示すフローチャートであり、図12図11のフローチャートを実行するコントローラの電気的構成を示すブロック図である。ステップS101では、作業者がUI67に入力した印刷媒体Mの種類を、UI制御部813が取得する。UI制御部813によって取得された印刷媒体Mの種類は、モータ制御部811に送信される。
【0115】
モータ制御部811は、記憶部82に記憶される回転位置テーブル823に基づき、内筒53の回転角度を決定する(ステップS102)。この回転位置テーブル823は、UI制御部813が取得した印刷媒体Mの種類が示す印刷媒体Mの幅と材質の組み合わせと、次の6通り回転角度
・回転角度θ1…第1内筒通風口形成範囲Ri1と外筒通風口形成範囲Roとの重なり領域Lを第1モードで形成するための角度
・回転角度θ2…第1内筒通風口形成範囲Ri1と外筒通風口形成範囲Roとの重なり領域Lを第2モードで形成するための角度
・回転角度θ3…第2内筒通風口形成範囲Ri2と外筒通風口形成範囲Roとの重なり領域Lを第1モードで形成するための角度
・回転角度θ4…第2内筒通風口形成範囲Ri2と外筒通風口形成範囲Roとの重なり領域Lを第2モードで形成するための角度
・回転角度θ5…第3内筒通風口形成範囲Ri3と外筒通風口形成範囲Roとの重なり領域Lを第1モードで形成するための角度
・回転角度θ4…第3内筒通風口形成範囲Ri3と外筒通風口形成範囲Roとの重なり領域Lを第2モードで形成するための角度
との対応関係を示す。ステップS103では、ステップS102で決定された回転角度に、モータ63が内筒53の回転角度を調整するように、モータ制御部811がモータ63を制御する。
【0116】
また、モータ制御部811は、記憶部82に記憶される目標圧力テーブル824に基づき、内筒53の吸引口536における目標圧力を決定する(ステップS104)。この目標圧力テーブル824は、印刷媒体Mの種類と目標圧力との対応関係を示す。そして、ステップS105では、ブロア72が内筒53の吸引口536の吸引を開始するように、ブロア制御部814がブロア72を制御する(ステップS105)。
【0117】
ステップS106では、圧力計出力取得部815が圧力計73から取得した圧力測定結果が目標圧力となるように、モータ制御部811はモータ63を制御する。これによって、重なり領域Lの回転方向Drの長さ(換言すれば、開度)が調整される。つまり、印刷媒体Mの素材等に応じて、当該印刷媒体Mを吸引する際の吸引圧力の適正値が変わり得る。そこで、重なり領域Lの開度を調整することで、適正な吸引圧力で印刷媒体Mを吸引することができる。また、印刷媒体Mと、適正な吸引圧力との関係を示す目標圧力テーブル824は、予め実験的に求められている。
【0118】
図11および図12の例では、サクションコントローラ81(制御部)は、圧力計73(測定部)によって測定された吸引力の値に基づき、外筒52に対する内筒53の回転方向Drの回転量を制御するモータ制御部811(回転制御部)を含む。かかる構成では、印刷媒体Mのしわの抑制に応じた適切な圧力で印刷媒体Mを吸引して、印刷媒体Mにおけるしわの発生を抑制できる。
【0119】
ちなみに、外筒通風口525および内筒通風口535それぞれの具体的構成は種々変更できる。そこで、次に示すように、外筒通風口525および内筒通風口535を構成してもよい。
【0120】
図13Aおよび図13Bは外筒通風口および内筒通風口の第1変形例を模式的に示す図である。この例では、第1内筒通風口形成範囲Ri1に3個の内筒通風口535が軸方向Daに平行に設けられ、第3内筒通風口形成範囲Ri3に1個の内筒通風口535が軸方向Daに平行に設けられている。また、第2内筒通風口形成範囲Ri2はこの例では設定されていない。
【0121】
1個の内筒通風口535は6個の外筒通風口525に対応して設けられており、1個の内筒通風口535と6個の外筒通風口525とが重複することで、6個の重なり領域Lを形成することができる。そして、図13Aの「重なり領域(第1モード)」に示すように、内筒53の回転方向Drの回転角度を調整することで、第1内筒通風口形成範囲Ri1において、第1モードで重なり領域Lを形成することができる。また、図13Aの「重なり領域(第2モード)」に示すように、内筒53の回転方向Drの回転角度を調整することで、第1内筒通風口形成範囲Ri1において、第2モードで重なり領域Lを形成することができる。さらに、図13Bの「重なり領域(第1モード)」に示すように、内筒53の回転方向Drの回転角度を調整することで、第3内筒通風口形成範囲Ri3において、第1モードで重なり領域Lを形成することができる。また、図13Bの「重なり領域(第2モード)」に示すように、内筒53の回転方向Drの回転角度を調整することで、第3内筒通風口形成範囲Ri3において、第2モードで重なり領域Lを形成することができる。
【0122】
なお、印刷媒体Mの特性によって、印刷媒体Mの進行方向に対し斜めに波状のシワ(トラフ)の発生の他、印刷媒体Mの幅方向の端部に波打ちが発生し易いような場合もある。この点、図2に示す上記実施形態のインクジェット印刷装置3では、カラー印刷部32あるいは白印刷部33といった印刷部との関係において、コンケイブローラ463、475は、印刷媒体Mの搬送方向において印刷部の上流側に配置され、印刷部からインクが吐出される前の印刷媒体Mを支持する。また、サクションローラ471、491は、印刷媒体Mの搬送方向において印刷部の下流側に配置され、印刷部からインクが吐出された後の印刷媒体Mを支持する。このようなコンケイブローラとサクションローラの配置関係を採ることによって、上流に配置したコンケイブローラ463、475で上記トラフしわを抑制し、サクションローラ471、491にて両端の吸引圧力を強くするような態様を採ることによって、カラー印刷部32、白印刷部33付近での印刷媒体Mの波打ちの発生を抑制して。印刷品質を確保することが容易となる。
【0123】
図14Aおよび図14Bは外筒通風口および内筒通風口の第2変形例を模式的に示す図である。この例では、外筒通風口形成範囲Roにおいて3個の外筒通風口525が設けられている。これら3個の外筒通風口525は、軸方向Daに対して傾斜する仮想傾斜直線VLに沿って直線状に配列されている。また、第1内筒通風口形成範囲Ri1に3個の内筒通風口535が軸方向Daに平行に設けられ、第3内筒通風口形成範囲Ri3に1個の内筒通風口535が軸方向Daに平行に設けられている。また、第2内筒通風口形成範囲Ri2はこの例では設定されていない。
【0124】
1個の内筒通風口535は1個の外筒通風口525に対応して設けられており、1個の内筒通風口535と1個の外筒通風口525とが重複することで、1個の重なり領域Lを形成することができる。そして、図14Aの「重なり領域」に示すように、内筒53の回転方向Drの回転角度を調整することで、第1内筒通風口形成範囲Ri1において、3個の重なり領域Lを形成することができる。上記のように、外筒通風口525が配置される方向(仮想傾斜直線VLの延設方向)が傾斜しているため、第1内筒通風口形成範囲Ri1の中央部から端部に向かうに連れて、重なり領域Lの回転方向Drの長さは短くなる。また、図14Bの「重なり領域」に示すように、内筒53の回転方向Drの回転角度を調整することで、第3内筒通風口形成範囲Ri3において、1個の重なり領域Lを形成することができる。上記のように、外筒通風口525が配置される方向(仮想傾斜直線VLの延設方向)が傾斜しているため、第3内筒通風口形成範囲Ri3の中央部から端部に向かうに連れて、重なり領域Lの回転方向Drの長さは短くなる。
【0125】
ところで、上記の例では、重なり領域Lの回転方向Drの長さは、外筒52の中心に対して対称である。しかしながら、図15に示すように、重なり領域Lの回転方向Drの長さを軸方向Daにおいて変化させてもよい。図15は重なり領域の回転方向における長さの軸方向における変化の態様の変形例をグラフにより示す図である。図15のグラフでは、横軸は軸方向Daにおける位置を示し、縦軸は回転方向Drにおける重なり領域Lの長さを示す。また、軸方向Daの一方側は、内筒53の吸引口536に近い側であり、軸方向Daの他方側は、内筒53の吸引口536から遠い側である。また、図15のグラフの縦軸は、回転方向Drにおける重なり領域Lの長さを示す。この例においても、軸方向Daにおいて中央部から端部に向かうに連れて、重なり領域Lの長さが短くなる。
【0126】
また、図15の例では、軸方向Da(長手方向)において、外筒52の中心C(換言すれば、外筒通風口形成範囲Roの中心)を挟んでそれぞれ逆側に位置して中心Cから等距離に位置する2つの位置B(+)、B(-)について、吸引口536から遠い位置B(-)における重なり領域Lの長さLL(-)は、吸引口536に近い位置B(+)の重なり領域Lの長さLL(+)より長くなるように、外筒52および内筒53が構成されている。つまり、吸引口536からの距離が遠いほど、ブロア72(吸引源)が重なり領域Lに与える圧力が弱くなって、円筒ローラ51が印刷媒体Mを吸引する圧力が、軸方向Daの中心に対して非対称になるおそれがある。これに対して、かかる構成では、印刷媒体Mを吸引する圧力が非対称となるのを抑制することができる。
【0127】
上記実施形態において、外筒52に対する内筒53の相対移動を回転方向に移動させるように構成していたが、それに限られるものではなく、外筒52に対する内筒53の相対移動の方向を水平方向に移動させるようにし、それに合わせて外筒通風口525と内筒通風口535とを形成するようにしてもよい。
【0128】
上述の様に、本実施形態では、印刷媒体Mが本発明の「基材」の一例に相当し、サクションローラ5が本発明の「サクションローラ」の一例に相当し、開口515が本発明の「開口」の一例に相当し、外周面513が本発明の「外周面」の一例に相当し、回転軸Aが本発明の「円筒軸」の一例に相当し、円筒ローラ51が本発明の「円筒ローラ」の一例に相当し、外筒通風口525が本発明の「外筒通風口」の一例に相当し、外周面523が本発明の「外周面」の一例に相当し、外筒52が本発明の「外筒」の一例に相当し、ブロア72が本発明の「吸引源」の一例に相当し、吸引口536が本発明の「吸引口」の一例に相当し、内筒通風口535が本発明の「内筒通風口」の一例に相当し、外周面533が本発明の「外周面」の一例に相当し、内筒53が本発明の「内筒」の一例に相当し、軸方向Daが本発明の「長手方向」の一例に相当し、吸引室54が本発明の「吸引室」の一例に相当し、重なり領域Lが本発明の「重なり領域」の一例に相当し、カラー印刷部32あるいは白印刷部33が本発明の「印刷部」の一例に相当し、モータ63が本発明の「駆動部」の一例に相当し、吸引路711が本発明の「吸引路」の一例に相当し、接続配管71が本発明の「接続部」の一例に相当し、圧力計73が本発明の「測定部」の一例に相当し、サクションコントローラ81が本発明の「制御部」の一例に相当し、モータ制御部811が本発明の「回転制御部」の一例に相当し、インクジェット印刷装置3が本発明の「インクジェット印刷装置」の一例に相当し、搬送部4が本発明の「搬送部」の一例に相当し、UI67が本発明の「入力部」の一例に相当し、ブロア72が本発明の「吸引部」の一例に相当し、第1・第2・第3吸引範囲Rs1、Rs2、Rs3のそれぞれが本発明の「吸引幅」の一例に相当し、モータ63が本発明の「切替部」の一例に相当し、モータ制御部811が本発明の「切替制御部」の一例に相当し、記憶部82が本発明の「記憶部」の一例に相当し、ブロア制御部814が本発明の「吸引制御部」の一例に相当する。
【0129】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、図16A図16Cの取付部品を用いてサクションローラ5の外筒通風口525の大きさを変更可能に構成してもよい。ここで、図16Aおよび図16Bはサクションローラの取付部品を示す斜視図であり、図16Cはサクションローラの取付部品を示す部分断面図である。
【0130】
取付部品75は、外筒52の外周面523に沿った円弧形状を有するステイ部751と、ステイ部751の中央部分から内側に突出した円筒形状の円筒突出部752とを有する。また、円筒突出部752と同心円状に設けられた円筒形の円筒孔753がステイ部751および円筒突出部752を貫通する。さらに、ステイ部751には、円筒孔753の両側に2個のネジ孔754が設けられている。
【0131】
これに対して、外筒52の外筒本体521は、取付部品75を取り付けるための取付保持部521aを有する。取付保持部521aには円筒形状の篏合孔521bが貫通している。そして、取付部品75の円筒突出部752が取付保持部521aの篏合孔521bに篏合した状態で、2個のネジ孔754に挿通された2本のネジによって、取付部品75のステイ部751が外筒52の外筒本体521に締結される。こうして、外筒52の外筒本体521に取り付けられた取付部品75の円筒孔753が、外筒通風口525として機能して、内筒通風口535と連通可能である。こうして、取付部品75が外筒本体521に取り付けられた状態で、円筒突出部752は、外筒本体521(の取付保持部521a)より内筒53の外周面533側に突出して、外筒本体521と内筒53の外周面533との間の隙間Δをシールする。
【0132】
この例では、外筒52、外筒通風口525(円筒孔753)が形成された取付部品75と、取付部品75が嵌合可能な取付保持部521a(部品嵌合部)が形成された外周面523を有して内筒53が挿通される外筒本体521とを有する。また、取付部品75は、取付保持部521aの篏合孔521bに嵌合した状態で外筒本体521に着脱可能に取り付けられる。かかる構成では、外筒本体521の取付保持部521aに装着される取付部品75を交換することで、外筒通風口525の大きさを変更して、印刷媒体Mを吸引する圧力を適宜変更することができる。
【0133】
また、取付部品75は、外筒本体521から、外筒本体521と内筒53の外周面533との間の隙間Δに突出して、当該隙間Δをシールする円筒突出部752(隙間シール部)を有する。かかる構成では、外筒本体521と内筒53の外周面533との間の隙間Δへのエアのリークを、取付部品75の円筒突出部752によって抑制でき、外筒通風口525に所望の圧力を確実に発生させることができる。
【0134】
また、吸引室54の個数や配置を適宜変更してもよい。つまり、第1吸引範囲Rs1と第2吸引範囲Rs2との境界および第2吸引範囲Rs2と第3吸引範囲Rs3との境界に応じて区切られるように吸引室54を設けれればよい。したがって、図17A図17Cのように吸引室54を設けることができる。図17A図17Cは吸引室に関する構成の変形例を模式的に示す図である。この変形例によれば、第3吸引範囲Rs3に対応する1個の吸引室54と、第3吸引範囲Rs3に対応せずに第2吸引範囲Rs2に対応する2個の吸引室54と、第2吸引範囲Rs2に対応せずに第1吸引範囲Rs1に対応する2個の吸引室54とが設けられている。
【0135】
また、上記の例では、外筒52を固定して、内筒53を外筒52に対して移動させることで、第1・第2・第3吸引範囲Rs1を切り替えている。しかしながら、内筒53を固定して外筒52を内筒53に対して移動させることで、第1・第2・第3吸引範囲Rs1を切り替えてもよい。
【0136】
また、上記の例では、回転方向Drにおいて、外筒通風口525は内筒通風口535より長い。しかしながら、これとは逆に、回転方向Drにおいて、外筒通風口525は内筒通風口535より短くてもよい。あるいは、回転方向Drにおいて、外筒通風口525と内筒通風口535とが同じ長さを有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、サクションローラによって基材を吸引する技術の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0138】
M…印刷媒体(基材)
5…サクションローラ
515…開口
513…外周面
A…回転軸(円筒軸)
51…円筒ローラ
525…外筒通風口
523…外周面
52…外筒
72…ブロア(吸引源)
536…吸引口
535…内筒通風口
533…外周面
53…内筒
Da…軸方向(長手方向)
54…吸引室
L…重なり領域
32…カラー印刷部(印刷部)
33…白印刷部(印刷部)
63…モータ(駆動部)
711…吸引路
71…接続配管(接続部)
73…圧力計(測定部)
81…サクションコントローラ(制御部)
811…モータ制御部(回転制御部)
3…インクジェット印刷装置
4…搬送部
67…UI(入力部)
72…ブロア(吸引部)
Rs1、Rs2、Rs3…第1・第2・第3吸引範囲(吸引幅)
63…モータ(切替部)
811…モータ制御部(切替制御部)
82…記憶部
814…ブロア制御部(吸引制御部)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C