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特開2024-44405半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044405
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240326BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240326BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240326BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240326BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L27/11556
H01L29/78 371
H01L27/11582
H01L21/90 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149903
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 真悟
【テーマコード(参考)】
5F004
5F033
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F004AA04
5F004AA12
5F004BA04
5F004DB02
5F004DB07
5F004EA27
5F004EA28
5F004EA37
5F004EA38
5F004EB01
5F033JJ04
5F033JJ19
5F033KK19
5F033KK20
5F033NN30
5F033NN32
5F033QQ37
5F033QQ48
5F033RR04
5F033VV16
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP72
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA30
5F083JA32
5F083JA39
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR06
5F083PR21
5F083ZA28
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】埋め込み不良を抑制すること。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、上面に第1の凹部を有する第1の層と、前記第1の凹部の底面から前記第1の層内を延びる第2の凹部と、を備え、前記第2の凹部は、前記第2の凹部の前記底面から前記第1の層の深さ方向へと向かって、前記第1の層の面方向に沿う第1の方向の幅が小さくなるテーパ形状を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に第1の凹部を有する第1の層と、
前記第1の凹部の底面から前記第1の層内を延びる第2の凹部と、を備え、
前記第2の凹部は、
前記第1の凹部の前記底面から前記第1の層の深さ方向へと向かって、前記第1の層の面方向に沿う第1の方向の幅が小さくなるテーパ形状を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1の凹部に充填された第2の層を更に備え、
前記第2の凹部は、
前記第2の層を貫通して前記第1の層内を延び、
前記第2の層内においても、前記第2の層の上面から下面へと向かって、前記第1の方向の幅が小さくなるテーパ形状を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、前記複数の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、
前記階段部を覆い、上面に第1及び第2の凹部を有する第2の絶縁層と、
前記第1の凹部にそれぞれ充填された第1の層と、
前記第2の凹部にそれぞれ充填された第2の層と、
前記第1の層を貫通し、前記第1の絶縁層および前記積層体を前記積層体の積層方向に延び、前記積層方向と交差する第1の方向に延びる板状部と、
前記第2の層を貫通し、前記第2の絶縁層を前記積層方向に延び、前記複数の導電層のいずれかに接続されるコンタクトと、を備え、
前記板状部は、
前記第1の層の上面から下面へと向かって、前記第1の方向の幅が小さくなるテーパ形状を有し、
前記コンタクトは、
前記第2の層の上面から下面へと向かって、前記第1の方向の幅が小さくなるテーパ形状を有する、
半導体装置。
【請求項4】
上面に第1の凹部を有する第1の層を形成し、
前記第1の凹部に第2の層を充填し、
前記第2の層を貫通し、前記第1の層内を延びる第2の凹部を形成し、
前記第2の層の上面をエッチバックして、前記第2の凹部の開口部を拡大させる、
半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の凹部に前記第2の層を充填するときは、
前記第1の凹部に充填するとともに、前記第1の層の上面を覆うように前記第2の層を形成し、
前記第1の層の上面を覆う前記第2の層をエッチバックして、前記第1の凹部内の前記第2の層を貫通する第3の凹部を形成し、
前記第2の凹部を形成するときは、
前記第3の凹部の底面から前記第1の層を深さ方向にエッチングする、
請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
上面に第1の凹部を有する第1の層を形成し、
前記第1の凹部に第2の層を充填し、
前記第2の層を除去し、
前記第1の凹部の底面から前記第1の層内を延びる第2の凹部を形成し、
前記第2の層の上面をエッチバックして、前記第1の凹部の底面における前記第2の凹部の開口部を拡大させる、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスペクト比の増加によって、パターンに対する所定膜の埋め込みが難化傾向にある。これにより、意図しないシーム及びボイドが形成されてしまい製品不良が生じてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5031956号公報
【特許文献2】特開平4-003961号公報
【特許文献3】特許第6226788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、埋め込み不良を抑制することができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、上面に第1の凹部を有する第1の層と、前記第1の凹部の底面から前記第1の層内を延びる第2の凹部と、を備え、前記第2の凹部は、前記第1の凹部の前記底面から前記第1の層の深さ方向へと向かって、前記第1の層の面方向に沿う第1の方向の幅が小さくなるテーパ形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1にかかる半導体装置の概略の構成例を示す図。
図2】実施形態1にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図3】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
図4】実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
図5】実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
図6】実施形態1の変形例3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
図7】実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図8】実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図9】実施形態3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図10】実施形態3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0009】
(半導体装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体装置1の概略の構成例を示す図である。図1(a)は半導体装置1のX方向に沿う断面図であり、図1(b)は半導体装置1のレイアウトを示す模式的な平面図である。ただし、図1(a)においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。また、図1(a)においては一部の上層配線が省略されている。
【0010】
なお、本明細書において、X方向及びY方向はともに、後述するワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。
【0011】
図1に示すように、半導体装置1は、基板SB上に、周辺回路CUA、メモリ領域MR、貫通コンタクト領域TP、及び階段領域SRを備える。
【0012】
基板SBは、例えばシリコン基板等の半導体基板である。基板SB上にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CUAが配置されている。周辺回路CUAは、後述するメモリセルの動作に寄与する。
【0013】
周辺回路CUAは絶縁層60で覆われている。絶縁層60上にはソース線SLが配置されている。ソース線SL上には複数のワード線WLが積層されている。複数のワード線WLは絶縁層50で覆われている。絶縁層50は、複数のワード線WLの周囲にも広がっている。
【0014】
複数のワード線WLには、ワード線WLを積層方向に貫通し、かつ、X方向に沿う方向に延びる複数の板状コンタクトLIが配置されている。これにより、複数のワード線WLは、複数の板状コンタクトLIによってY方向に分割される。
【0015】
複数の板状コンタクトLIの間には、複数のメモリ領域MR、階段領域SR、及び貫通コンタクト領域TPが、互いにX方向に並んで配置されている。複数のメモリ領域MRは、階段領域SR及び貫通コンタクト領域TPを間に挟み、互いにX方向に離れて配置されている。
【0016】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0017】
階段領域SRは、複数のワード線WLが積層方向に擂り鉢状に掘り下げられた階段部SPを含む。
【0018】
階段部SPは、X方向の両側及びY方向の一方側から底面に向かって階段状に下降していく擂り鉢状の形状の一辺をなす。
【0019】
階段部SPの各段は、各階層のワード線WLにより構成される。各階層のワード線WLは、階段部SPを介して、階段領域SRを挟んだX方向両側で電気的な導通を保っている。階段部SPの各段のテラス部分には、各階層のワード線WLと上層配線MXとを接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。
【0020】
これにより、多層に積層されるワード線WLを個々に引き出すことができる。これらのコンタクトCCからは、X方向両側のメモリ領域MR内のメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧及び読み出し電圧等が印加される。
【0021】
なお、本明細書においては、階段部SPの各段のテラス面が向いた方向を上方向と規定する。
【0022】
階段領域SRのX方向の一方側には、貫通コンタクト領域TPが配置される。貫通コンタクト領域TPには、複数のワード線WLを貫通する貫通コンタクトC4が配置されている。貫通コンタクトC4は、下方の基板SB上に配置された周辺回路CUAと、階段部SPのコンタクトCCに接続される上層配線MXとを接続する。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、貫通コンタクトC4及び上層配線MX等を介して周辺回路CUAにより制御される。
【0023】
次に、図2を用いて、半導体装置1の詳細の構成例について説明する。
【0024】
図2は、実施形態1にかかる半導体装置1の構成の一例を示す断面図である。図2(a)は、階段領域SRのX方向に沿う断面図である。図2(b)は、階段領域SRのY方向に沿う断面図である。図2(c)は、周辺回路CUAの断面図である。
【0025】
図2に示すように、半導体装置1は、基板SBに設けられた周辺回路CUA、周辺回路CUA上方に配置されたソース線SL、ソース線SL上方に配置され、ピラーPL(図1参照)、コンタクトCC、板状コンタクトLI、及び柱状部HR等を有する積層体LMを備える。
【0026】
図2(c)に示すように、周辺回路CUAは、トランジスタTR、アクティブエリアAR、配線57、及び素子分離部DSを備える。
【0027】
アクティブエリアARは基板SBに不純物が拡散された領域であり、トランジスタTRのソース/ドレインとして機能する。アクティブエリアARは、絶縁層60を上下方向に貫通するビア等を含む配線57を介して、図1に示す貫通コンタクトC4と接続されている。
【0028】
素子分離部DSは、基板SBに設けられた溝に、酸化シリコン層等の絶縁層58が充填された構成を有する。素子分離部DSのそれぞれは基板SBの面に沿って延び、互いの延伸方向と交差する方向に所定の間隔を空けて並んでいる。これにより、個々のアクティブエリアARが電気的に分離される。
【0029】
以上の構成を有する周辺回路CUAは、例えば酸化シリコン層等の絶縁層60で覆われている。
【0030】
ソース線SLは、例えば導電性のポリシリコン層等である。
【0031】
ソース線SL上には積層体LMが配置される。積層体LMには、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層されている。積層体LMにおけるワード線WLの積層数は任意である。
【0032】
複数の導電層としてのワード線WLは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。複数の絶縁層OLは例えば酸化シリコン層等である。
【0033】
積層体LMの上面は絶縁層52で覆われている絶縁層52は、後述する絶縁層51とともに、それぞれ図1(a)の絶縁層50の一部を構成する。
【0034】
図2(b)に示すように、積層体LMは、複数の板状コンタクトLIによってY方向に分割されている。
【0035】
板状コンタクトLIのそれぞれは、互いにY方向に並んで、積層体LMの積層方向およびX方向に沿う方向に延びる。つまり、板状コンタクトLIは、絶縁層52,51、及び積層体LMを貫通してソース線SLに到達している。また、板状コンタクトLIは、積層体LMのX方向一端部からもう一端部に亘って、積層体LM内を連続的に延びている。
【0036】
また、板状コンタクトLIのそれぞれは、絶縁層55と導電層21とを含む。絶縁層55は例えば酸化シリコン層等である。導電層21は例えばタングステン層または導電性のポリシリコン層等である。
【0037】
絶縁層55は、板状コンタクトLIのY方向に向かい合う側壁を覆う。導電層21は絶縁層55の内側に充填され、ソース線SLに電気的に接続されている。また、導電層21は、絶縁層52中に配置されるプラグV0を介して上層配線MXと接続される。このような構成により、板状コンタクトLIはソース線コンタクトとして機能することとなる。
【0038】
ただし、板状コンタクトLIに代えて、絶縁層が充填された板状部が積層体LMを貫通するとともにX方向に沿う方向に延びることにより、積層体LMをY方向に分割していてもよい。この場合、このような板状部はソース線コンタクトとしての機能を有さない。
【0039】
図2(a)(b)に示すように、階段領域SRには階段部SPが配置されている。階段部SPは、複数のワード線WL及び複数の絶縁層OLが階段状に加工された形状を有する。また、階段部SPは、メモリ領域MRに近づく方向に向かって降段していく。このような階段部SPは複数のワード線WLを上層配線MXに電気的に引き出す機能を有する。
【0040】
階段領域SRには、階段部SPの上面を覆うように、酸化シリコン層等の絶縁層51が配置されている。上述の絶縁層52は絶縁層51の上面をも覆う。
【0041】
階段部SPの各段を構成するワード線WLには、絶縁層52,51を貫通するコンタクトCCが接続されている。
【0042】
コンタクトCCは、コンタクトCCの外周を覆う絶縁層56と、絶縁層56の内側に充填されるタングステン層または銅層等の導電層22とを有する。導電層22は、絶縁層52中に配置されるプラグV0を介して上層配線MXと接続される。この上層配線MXは、上述のとおり、例えば板状コンタクトLIを介してY方向に隣接する貫通コンタクト領域TPの貫通コンタクトC4と接続されている。
【0043】
このような構成により、各層のワード線WLを電気的に引き出すことができる。すなわち、上記構成により、周辺回路CUAから、貫通コンタクトC4、コンタクトCC、及びワード線WL等を介して、上述のピラーPL(図1参照)に形成されるメモリセルに所定の電圧を印加して、メモリセルを記憶素子として動作させることができる。
【0044】
ここで、図2(b)は、階段部SPの最下段から3段目の断面を示している。つまり、図2(b)は、最下層のワード線WLから3番目のワード線WLがテラス面となった部分を示している。
【0045】
また、階段領域SRには、絶縁層51及び積層体LMを貫通してソース線SLに到達する複数の柱状部HRが分散して配置されている。
【0046】
複数の柱状部HRは、コンタクトCC及び板状コンタクトLIとの干渉を回避しつつ、千鳥状またはグリッド状の配置を取る。個々の柱状部HRは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0047】
複数の柱状部HRのそれぞれは、例えば絶縁層51及び積層体LMを貫通するホール内に絶縁層54が充填された構成を有し、半導体装置1の機能には寄与しない。半導体装置1の製造工程において、柱状部HRは、犠牲層と絶縁層とが積層された積層体から積層体LMを形成する際、これらの構成を支持する役割を持つ。
【0048】
ところで、上述の板状コンタクトLI、コンタクトCC、柱状部HR、及び素子分離部DSは、上端部近傍にボーイング形状を有している。ボーイング形状とは、上端部と下端部との間での幅または径が最大となる形状である。また、板状コンタクトLI、コンタクトCC、柱状部HR、及び素子分離部DSの上端部の周囲には、所定深さで補助層120aが設けられている。
【0049】
補助層120aは、板状コンタクトLI、コンタクトCC、柱状部HR、及び素子分離部DSそれぞれの周囲を個々に取り囲み、ボーイング形状を呈するそれぞれの幅または径が最大となる位置よりも上側の深さまで形成されている。
【0050】
補助層120aは、例えば、LP-CVD(Low Pressure-Chemical Vapor Deposition)により形成されるLP-TEOS、またはプラズマCVDによって形成されるP-dTEOSである。この他、補助層120aとして、P-SiN、及びPoly-Si等が用いられてもよい。これらのうち、少なくともいずれかが補助層120aとして用いられる。
【0051】
具体的には例えば、補助層120aの形成対象がコンタクトCCである場合、補助層120aは、コンタクトCCの外周部を囲う絶縁層56のさらに外周を取り囲み、上から見た場合に例えば矩形に形成される。
【0052】
また例えば、補助層120aの形成対象が柱状部HRである場合、補助層120aは、柱状部HRの絶縁層54の外周を取り囲み、上から見た場合に例えば矩形に形成される。
【0053】
一方で例えば、補助層120aの形成対象が板状コンタクトLIである場合、補助層120aは、Y方向に延びる板状コンタクトLIの絶縁層55の側壁に沿い、板状コンタクトLIを囲むように形成され、上から見た場合に例えばY方向に長辺を有する矩形に形成される。
【0054】
また例えば、補助層120aの形成対象が素子分離部DSである場合、補助層120aは、X方向に延びる素子分離部DSの絶縁層58の側壁に沿い、絶縁層58を囲むように形成され、上から見た場合に例えば素子分離部DSの延伸方向に長辺を有する矩形に形成される。
【0055】
(半導体装置の製造方法)
次に、図3を用いて、実施形態1の半導体装置1の製造方法について説明する。図3は、実施形態1にかかる半導体装置1の製造方法の手順の一部を例示する図である。
【0056】
図3の例では、半導体装置1の製造方法の一工程として、第1の層としての被加工層100を加工対象としてエッチング加工する例について説明する。
【0057】
ここで、被加工層100は、本工程の適用対象の一例である板状コンタクトLI、コンタクトCC、柱状部HR、及び素子分離部DSが形成される際の加工対象となる層である。例えばコンタクトCCを形成する場合、被加工層100は、上述の絶縁層51である。また例えば、板状コンタクトLI及び柱状部HRを形成する場合、被加工層100は、絶縁層51、及びワード線WLが形成される前の積層体である。また、素子分離部DSを形成する場合、被加工層100は基板SBである。
【0058】
図3(a)~(f)は、被加工層100の断面図である。
【0059】
図3(a)に示すように、被加工層100の上面に、BARC(Bottom Anti-Reflection Coating)層200、及び図示せぬレジスト層を形成し、露光・現像処理を施すことによってレジストパターン270pを形成する。なお、BARC層200、及びレジストパターン270pは例えばスピン塗布方式によって形成されるアッシング可能な有機膜である。
【0060】
図3(b)に示すように、レジストパターン270pをマスクとして、BARC層200を除去した後、さらに被加工層100をエッチングし、被加工層100の上面に残存するレジストパターン270p、BARC層200をアッシング等により除去する。これにより、第1の凹部としての窪み110aが形成される。
【0061】
このとき、エッチングは、例えば反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のプラズマエッチングによる手法が用いられる。レジストパターン270p、及びBARC層200のアッシング後に、SH処理等が施されてもよい。
【0062】
図3(c)に示すように、窪み110aを有する被加工層100の上面を覆う補助層120aを形成する。このとき、上述のように、補助層120aとして、LP-TEOS、P-dTEOS、P-SiN、及びPoly-Si等の少なくともいずれかを用いることができる。補助層120aに用いる材料は、窪み110aが設けられた被加工層100の種類に応じて決定することができる。
【0063】
具体的には、補助層120aには、被加工層100の構成材よりも、例えばRIE等のプラズマエッチングへの耐性が低い材料を選択する。つまり、補助層120aの構成材は、被加工層100の構成材よりもエッチングレートが高く、エッチングされやすい材料とすることができる。
【0064】
図3(d)に示すように、CMP(Chemical Mechanical Posishing)等の手法により、被加工層100の上面に形成された補助層120aを除去する。これにより被加工層100の上面が露出し、窪み110aに充填された補助層120aが形成される。
【0065】
図3(e)に示すように、上述のような補助層120aが形成された被加工層100に第2の凹部としての埋め込み対象部130aを形成する。
【0066】
より具体的には、被加工層100の上面に、図示せぬBARC層、及びレジスト層を形成し、上から見た場合に補助層120aが形成された領域の内側に所定のパターンを有する図示せぬレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクに、BARC層200を除去後、補助層120a及び被加工層100をエッチングし、さらにレジストパターン及びBARC層をアッシング除去する。これにより、埋め込み対象部130aが形成される。
【0067】
このとき、レジストパターン、及びBARC層のアッシング後に、SH処理等が施されてもよい。
【0068】
ここで、埋め込み対象部130aは、例えば板状コンタクトLI、コンタクトCC、柱状部HR、及び素子分離部DSといった本工程の適用対象により異なる形状を有する。例えばコンタクトCC、及び柱状部HRが適用対象である場合、埋め込み対象部130aは、被加工層100を上下方向に延びるホール形状である。また例えば、板状コンタクトLI及び素子分離部DSが形成される場合、埋め込み対象部130aは、例えば紙面奥方向に延びる溝形状である。
【0069】
以上のように、適用対象に応じて埋め込み対象部130aの形状を異ならせるには、補助層120aの形成領域内側に形成される所定のパターンを、ホール形状または溝形状などとすればよい。
【0070】
図3(f)において、被加工層100及び補助層120aの上面全体をエッチバックする。これにより、埋め込み対象部130aは、上端がXY方向に拡大され、拡大された上端から下方向に向かって幅及び径が小さくなる順テーパ形状に加工される。埋め込み対象部130aの上部に形成された補助層120aは、上述のように、被加工層100よりもエッチングされやすいため、埋め込み対象部130a上部の順テーパ形状を容易に得ることができる。
【0071】
ここで、XY方向に沿う面に対しテーパ部分のなす角度をテーパ角θとする。
【0072】
ここで、被加工層100の上面をエッチバックする際には、カーボンポリマー等のエッチング堆積物を被加工層100の上面に堆積させてもよい。被加工層100の上面のエッチングが抑制されるため、被加工層100の高さ方向の厚みを変動させることなく、埋め込み対象部130aの上端を広げることができる。
【0073】
次に、図3(f)において上端が広げられた埋め込み対象部130aが形成された被加工層100の上面を覆うように、図示せぬ所定膜を形成する。これにより、所定膜が埋め込み対象部130a内に充填される。
【0074】
ここで、例えば板状コンタクトLI、コンタクトCC、柱状部HR、及び素子分離部DSといった本工程の適用対象によって、所定膜の材質は異なる。例えばコンタクトCCが形成される場合、所定膜は、絶縁層56及び導電層22である。例えば柱状部HRは形成される場合、所定膜は、絶縁層54である。また例えば、板状コンタクトLIが形成される場合、所定膜は、絶縁層55及び導電層21である。また素子分離部DSが形成される場合、所定膜は、絶縁層58である。
【0075】
所定膜が形成された被加工膜10の上面をCMPにより平坦化し、この後、各種の膜の形成、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いたこれらの膜の加工等を繰り返し、実施形態の半導体装置1が製造される。
【0076】
(概括)
半導体装置の積層体の積層数が増加すると、板状コンタクト、ワード線に接続されるコンタクト、積層体を支持する柱状部等のパターンのアスペクト比が増大する場合がある。また、積層体の積層数の増加により、積層体中に形成されるメモリセルの数も増加し、周辺回路のトランジスタ数が増す。これにより、周辺回路内でのトランジスタ密度が高まって、狭い領域内に素子分離部を密に配置しなければならず、素子分離部のアスペクト比もまた増大する傾向となる。例えばボーイング形状を有する上述のようなパターンに所定膜を埋め込む場合、パターン内部に所定膜が充填される前に、パターン上端が所定膜によって閉塞し、パターン内部への埋め込みが阻害され、パターン内部に空洞等が生じる場合がある。
【0077】
このように、充填材である所定膜がパターン内部に空洞を有することで、所定膜内およびその周辺の構成に応力が生じる場合がある。このような応力により、例えば積層体上に更に各種の構成を形成する際に位置ずれが生じたり、所定膜が埋め込まれたパターン及びその周辺の構成に傾き(incline)が生じたり、基板SBに反りが生じたりする場合がある。また、埋め込まれた所定膜に、引っ張り応力による膜剥がれが生ずることもあり、半導体装置の歩留りを低下させる原因となることがある。
【0078】
このような埋め込み不良を解消するため、例えば埋め込み不良が発生したパターンを再度エッチングして閉塞した箇所を開口させ、再度所定膜を形成する、といった工程を繰り返していた。
【0079】
しかしながら、エッチングを含む工程が繰り返されるため、閉塞したパターン上端等だけではなく、パターンが形成されていない領域等、エッチングが必要ない領域にまでダメージを与える場合があった。また、工程数の増加による処理コストの増加、またこのような煩雑な工程の構築に要する時間的コストも嵩んでいた。
【0080】
実施形態1の半導体装置1によれば、被加工層100上面の窪み110aに充填されたエッチング耐性の低い補助層120aを備えることで、埋め込み対象部130aは、被加工層100の深さ方向へと向かって、XY方向の幅及び径が小さくなる順テーパ形状を有する。これにより、アスペクトの高いパターンに対する埋め込み不良を抑制して、所定膜を容易に充填することが可能となる。
【0081】
(変形例1)
次に、図4を用いて、実施形態1の変形例1の半導体装置について説明する。変形例1の半導体装置では、複数のコンタクトCC間、複数の柱状部HR間、及び板状コンタクトLIで補助層が共有されている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0082】
図4は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図である。図4(a)、(b)は、上述の実施形態1と同様、複数のコンタクトCC、複数の柱状部HR、及び板状コンタクトLIごとに補助層120aが設けられる場合の例を示している。図4(c)、(d)は、複数のコンタクトCC間、複数の柱状部HR間、及び板状コンタクトLIで補助層が共有される場合の例を示している。
【0083】
図4(a)、(b)に示す構成を得るには、図4(a)、(b)の工程に先立って、変形例1においても、上述の実施形態1の図3(a)~(d)までの処理を行う。
【0084】
図4(a)、(b)に示すように、被加工層100の上部に、異なる埋め込み対象部130aごとに、個々の補助層120aを互いに独立させて形成する。具体的には例えば、コンタクトCCを形成するためのホール61a、柱状部HRを形成するためホール61b、及び板状コンタクトLIを形成するための溝STごとに、補助層120aを形成する。
【0085】
一方、図4(c)、(d)に示す例では、被加工層100の上部に形成された所定の広さを有する補助層120aの領域内に、複数の埋め込み対象部130aを形成する。具体的には例えば、ホール60a、ホール60b、及び溝STが、同一の補助層120aの領域内に形成される。つまり、1つの補助層120aが、これらのホール60a、ホール60b、及び溝ST間で共有されることとなる。
【0086】
なお、図4には、これらのホール60a、ホール60b、及び溝STが一括して形成された様子が示されているが、このことは、これらの構成が実際に一括して形成されることを意味しない。例えば、柱状部HR、コンタクトCC、及び板状コンタクトLI等の形成は、同時に行われなくともよい。
【0087】
このような埋め込み対象部130aが形成された被加工層100に対し、上述の実施形態1の図3(f)の処理を行う。
【0088】
変形例1の半導体装置によれば、複数の構成間で共有される補助層を備える。このような補助層とすることで、補助層を形成するための凹部を、個々の構成に対して精密に位置合わせする必要が無く、より簡便に補助層を備える構成を得ることができる。
【0089】
変形例1の半導体装置によれば、その他、上述の実施形態1の半導体装置1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0090】
(変形例2)
次に、図5を用いて、実施形態1の変形例2の半導体装置について説明する。変形例2の半導体装置では、複数のコンタクトCC、複数の柱状部HR、及び板状コンタクトLI等の変形例2の手法の適用対象となる構成ごとに異種の材料から構成される補助層120a~120cが形成されている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0091】
図5は、実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図である。
【0092】
図5(a)、(b)に示す補助層120aは、例えばLP-TEOSまたはP-dTEOS等であって、比較的エッチングされやすい膜質を有している。
【0093】
図5(a)は、図3(e)の処理に相当する処理を示す。即ち、図5(a)は、補助層120aが形成された被加工層100に埋め込み対象部130aが形成された図である。また、図5(b)は、図3(f)の処理に相当する処理を示す。即ち、図5(b)は、図5(a)の補助層120a、及び被加工層100の上面全体をエッチバックした図である。
【0094】
図5(b)に示すように、補助層120aとして比較的エッチングされやすい膜が用いられることで、テーパ角θaを有する埋め込み対象部130aが得られる。
【0095】
図5(c)、(d)に示す補助層120bは、例えばP-SiNであって、補助層120aよりエッチングされにくい膜質を有している。
【0096】
図5(c)は、図3(e)の処理に相当する処理を示す。即ち、図5(c)は、補助層120bが形成された被加工層100に埋め込み対象部130bが形成された図である。また、図5(d)は、図3(f)の処理に相当する処理を示す。即ち、図5(c)の補助層120b、及び被加工層100の上面全体をエッチバックした図である。
【0097】
図5(d)に示すように、補助層120bとして、補助層120aよりエッチングされにくい膜が用いられることで、テーパ角θaよりも小さなテーパ角θbを有する埋め込み対象部130bが得られる。
【0098】
図5(e)、(f)に示す補助層120cは、例えばPoly-Siであって、補助層120a、補助層120bよりもさらにエッチングされにくい膜質を有している。
【0099】
図5(e)は、図3(e)の処理に相当する処理を示す。即ち、図5(e)は、補助層120cが形成された被加工層100に埋め込み対象部130cが形成された図である。また、図5(f)は、図3(f)の処理に相当する処理を示す。即ち、図5(f)の補助層120c、及び被加工層100の上面全体をエッチバックした図である。
【0100】
補助層120cとして、補助層120bよりも更にエッチングされにくい膜が用いられることで、テーパ角θbよりも小さなテーパ角θcを有する埋め込み対象部130cが得られる。
【0101】
即ちこのとき、テーパ角θa~θcの間には以下の関係が成り立つ。
θa>θb>θc
【0102】
このように、補助層120a~120cとして異なる膜種を用いることによりエッチバックした際のテーパ角θa~θc、即ち、埋め込み対象部130a~130cの上端の広がり具合を変えることができる。これにより、異なる深さ、幅を有する埋め込み対象部に対し、埋め込み不良を抑制して容易に所定膜を埋め込むことが可能となる。
【0103】
変形例2の半導体装置によれば、上述の実施形態1の半導体装置1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0104】
なお、図5(a),(c),(e)で示した補助層120a~120cは、補助層120a~120cを充填するための図示せぬ窪みを被加工層100の上面に形成し、これらの窪みのうち、いずれかの補助層120a~120cの形成対象となる窪みを除く他の窪みを、順次レジスト層等で保護しつつ、種類の異なる補助層120a~120cを順に形成していくことで得られる。
【0105】
あるいは、図5(a),(c),(e)で示した補助層120a~120cを充填するための図示せぬ窪みは、予め被加工層100の上面に形成しておくのではなく、補助層120a~120cのそれぞれを形成する都度、個別に形成してもよい。
【0106】
この場合、いずれかの補助層120a~120cの形成対象となる窪みを除く他の窪みを、レジスト層等で保護する必要がないため、窪みが形成された領域と、レジスト層等で保護された領域との境界にレジスト層等の厚みに依存する段差が形成されることはない。
【0107】
このような段差が形成されると、段差の下部にエッチングのイオンが行き届かず、例えば補助層120a~120cに膜残りが発生し、後の工程でダストの原因となる場合がある。
【0108】
補助層120a~120cを充填するための図示せぬ窪みを、補助層120a~120cのそれぞれを形成する都度、個別に形成することで、上述のような膜残り、及びダストの発生を抑制することができる。
【0109】
また、同種の層を用いた場合であっても例えば成膜温度を変えることにより、上述と同様、例えばエッチング耐性の異なる補助層120a~120cを形成可能である。例えば、比較的エッチングされやすいP-dTEOSであっても、成膜温度を上げることによってより緻密な層となり、エッチングされにくい膜質を得ることができる。
【0110】
(変形例3)
次に、図6を用いて、実施形態1の変形例3の半導体装置について説明する。変形例2の半導体装置では、複数のコンタクトCC、複数の柱状部HR、及び板状コンタクトLI等の変形例3の手法の適用対象となる構成ごとに、異なる幅および深さの補助層120a,120d,120eが用いられている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0111】
図6は、実施形態1の変形例3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図である。
【0112】
なお、図6の説明において、補助層120a、120d、120eは、いずれも同種及び同質の層であって、例えば一例として、LP-TEOSが用いられるものとする。
【0113】
図6(a)、(b)は、補助層120aの幅、及び深さの少なくともいずれかが大きい場合の例を示している。
【0114】
図6(a)は、図3(e)の処理に相当する処理を示す。即ち、図6(a)は、幅、及び深さの大きい補助層120aが形成された被加工層100に埋め込み対象部130aが形成された図である。また、図6(b)は、図3(f)の処理に相当する処理を示す。即ち、図6(b)は、図6(a)の補助層120a、及び被加工層100を加工対象としてエッチバックした図である。
【0115】
図6(b)に示すように、幅、及び深さの大きい補助層120aが用いられることで、所定のテーパ角θaを有する埋め込み対象部130aが得られる。
【0116】
図6(c)、(d)は、補助層120dの幅、及び深さの少なくともいずれかが図6(a)は、図3(e)の例よりも小さい場合の例を示している。
【0117】
図6(c)は、図3(e)の処理に相当する処理を示す。即ち、図6(c)は、例えば幅、及び深さが中程度である補助層120dが形成された被加工層100に埋め込み対象部130dが形成された図である。また、図6(d)は、図3(f)の処理に相当する処理を示す。即ち、図6(d)は、図6(c)の補助層120d、及び被加工層100の上面全体をエッチバックした図である。
【0118】
図6(d)に示すように、幅、及び深さが図6(a)、(b)の場合より小さい補助層120dが用いられることで、テーパ角θaよりも小さなテーパ角θdを有する埋め込み対象部130dが得られる。
【0119】
図6(e)、(f)は、補助層120eの幅、及び深さの少なくともいずれかが、図6(c)、(d)の例よりも小さい場合の例を示している。
【0120】
図6(e)は、図3(e)の処理に相当する処理を示す。即ち、図6(e)は、例えば幅、及び深さが小さい補助層120eが形成された被加工層100に埋め込み対象部130eが形成された図である。また、図6(f)は、図3(f)の処理に相当する処理を示す。即ち、図6(f)は、図6(e)の補助層120e、及び被加工層100の上面全体をエッチバックした図である。
【0121】
図6(f)に示すように、幅、及び深さが更に小さい補助層120eが用いられることで、テーパ角θdよりも小さなテーパ角θeを有する埋め込み対象部130eが得られる。
【0122】
即ちこのとき、テーパ角θa、θd、θeの間には以下の関係が成り立つ。
θa>θd>θe
【0123】
このように、幅、及び深さの異なる補助層120a、120d、120eを用いることにより、エッチバックした際のテーパ角θa、θd、θe、即ち、埋め込み対象部130a,130d,130eの上端の広がり具合を変えることができる。これにより、異なる深さ、幅で上端部にテーパ形状を有する埋め込み対象部に対し、埋め込み不良を抑制して容易に所定膜を埋め込むことが可能となる。
【0124】
なお図6(a),(c),(e)で示した補助層120a、120d、120eは、これらの補助層120a、120d、120eが形成される領域にて、上述の図3(a)、(b)に示す処理を個別に行うことで得られる窪みに、これらの補助層120a、120d、120eを一括して充填することで得られる。このとき、補助層120a、120d、120eが形成される領域ごとに、レジストパターンの露光条件、エッチング条件、及び洗浄条件の少なくともいずれかを異ならせることで、形成することができる。
【0125】
すなわち、例えばレジストパターン形成時の露光量及び焦点深度を変更することにより、レジストパターン開口部のサイズが変わって窪みの形状を調整できる。
【0126】
また例えば、窪みをエッチング加工する際に、加工対象である被加工層100の加工面に堆積される側壁保護層、即ちプラズマ反応による副生成物の付着量を増減させることにより窪みの形状を調整することができる。例えば、側壁保護層が厚くなれば窪みの形状はテーパ形状となり、側壁保護層が薄ければ窪みの形状はストレート形状、あるいはボーイング形状となる。
【0127】
また例えば、被加工層100のエッチング及びアッシング終了後、DHF(Dolute Hydrogen Fluoride)またはBHF(Buffered Hydrogen Fluoride)洗浄を行い、その処理時間によっても窪みの形状を調整することができる。例えば、処理時間を延ばすと、窪みは横に広がり、処理時間を短縮すると、窪みの広がりを小さく抑えることができる。
【0128】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2においては、CMPに替えてエッチバックにより補助層を成形する点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0129】
図7及び図8は、実施形態2にかかる半導体装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。なお、図7及び図8においては、上述の実施形態1と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
図7(a)~(c)及び図8(a)、(b)と、図7(d)~(f)及び図8(c)、(d)とのそれぞれは、上端部のテーパ角が異なる埋め込み対象部130a、130fを形成する場合の例をそれぞれ順に示している。ここでは例えば、図7(a)~(c)及び図8(a)、(b)は、被加工層100上の位置Cに形成される埋め込み対象部130a、図7(d)~(f)及び図8(c)、(d)は、被加工層100上の位置Dに形成される埋め込み対象部130fの製造工程をそれぞれ示すものとする。
【0131】
まず、図7(a)~(c)及び図8(a)、(b)の手順について説明する。
【0132】
図7(a)に示すように、被加工層100の上面に、BARC層200、及び図示せぬレジスト層を形成し、露光・現像処理を施すことによって、位置Cにレジストパターン270pを形成する。被加工層100を加工対象としてエッチング及びアッシングを行い、図7(b)に示すような窪み110hを形成する。
【0133】
図7(c)に示すように、窪み110hが形成された被加工層100の上面全体を覆うように、補助層120aを所定の厚みで形成する。
【0134】
このとき、補助層120aを例えばCVD法によって形成することで、窪み110hの底面、側壁、及び被加工層100の上面に沿って略均一の厚みで補助層120aが形成される。これにより、窪み110hの内側には、窪み110hの形状に対応するサイズを有する新たな窪み112hが補助層120aの表面に形成されることとなる。つまり、窪み112hの幅、及び深さは、窪み110hの幅、深さ、及び補助層120aの厚みによって異なる。例えば、被加工層100の窪み110hを浅くすると、補助層120c表面の窪み112hの幅、及び深さは小さくなり、被加工層100の窪み110hを深くすると、補助層120a表面の窪み112hの幅、及び深さは大きくなる。また例えば、補助層120aの厚みを厚くすると、窪み112hの幅、及び深さは小さくなり、補助層120aの厚みを薄くすると、窪み112hの幅、及び深さは大きくなる。
【0135】
表面に窪み112hを有する補助層120aを形成した後、補助層120aを加工対象として、補助層120aの上面全体を、エッチバックする。
【0136】
すると、図8(a)に示すように、被加工層100の窪み110hの側壁に補助層120aが残存し、窪み110hの底面に被加工層100の一部が露出する。下に向かって略垂直に入射するイオンによって、横方向よりも縦方向のエッチングが進むため、被加工層100の上面、及び窪み110hの底面に形成された補助層120aが優先的に除去されるためである。
【0137】
次に、被加工層100を加工対象としてエッチバックする。すると、窪み110hの内側の被加工層100が露出した部分が被加工層100の深さ方向にエッチング除去されていく。このとき、窪み110hの側壁に残った補助層120aがマスクの役割を果たし、被加工層100において、被加工層100に形成された窪み110hの形状に応じて、ホール状または溝状等のエッチング形状が得られる。ただし、上述のように、補助層120aにはエッチング耐性の低い材料が用いられている。このため、被加工層100の深さ方向にエッチングが進むにつれて、窪み110hの側壁に残存する補助層120aの内側の一部がエッチングされ、図8(b)に示すように、上端部がXY方向に拡大された埋め込み対象部130aが形成される。
【0138】
次に、図7(d)~(f)及び図8(c)、(d)の手順について説明する。
【0139】
図7(d)に示すように、位置Cに対して図7(a)、(b)の処理が行われる間、位置Dでは、レジスト層270の露光現像処理を行わず、位置DをBARC層200、及びレジスト層270によって覆われたままとする。次に、位置Cに対する図7(a)、(b)の処理の終了後、一旦、アッシングを行う。
【0140】
次に、被加工層100の上面に、再度図示せぬBARC層、及びレジスト層を形成し、露光・現像処理を施すことによって、位置Dに図示せぬレジストパターンを形成する。なおこのとき、位置Cは、図示せぬBARC層、及びレジスト層によって覆われたままとする。被加工層100を加工対象としてエッチング及びアッシングを行い、図7(e)に示すような窪み110jを形成する。
【0141】
図7(f)に示すように、位置Cに対して図7(c)の処理が行われる間、位置Dにおいても、窪み110jが形成された被加工層100の上面全体を覆うように、補助層120aが形成される。
【0142】
このとき、窪み110jの内側には、窪み110hの形状に対応するサイズを有する新たな窪み112jが形成される。したがって、この窪み112jの深さは、図7(c)で形成された窪み112hの深さよりも浅く形成されている。
【0143】
補助層120cを加工対象として、補助層120cの上面全体を、エッチバックする。
【0144】
すると、図8(c)に示すように、被加工層100の窪み110jの側壁に補助層120aが残存し、窪み110jの底面に被加工層100の一部が露出する。なおこのとき、窪み110h、110jの深さが異なるため、図8(a)の補助層120aと比較して、図8(c)の補助層120aも薄くなる。
【0145】
次に、被加工層100を加工対象としてエッチバックする。すると、図8(d)に示すように、上端部がXY方向に拡大された埋め込み対象部130fが形成される。このとき、図8(b)の埋め込み対象部130aと比較して、図8(d)の埋め込み対象部130fのテーパ角が小さい。
【0146】
このようにして、同一の被加工層100上に異なるテーパ角を有する埋め込み対象部を形成することができる。
【0147】
実施形態2の半導体装置の製造方法によれば、同一の被加工層100に異なる種類の窪み110h、110jを設けることで、異なる幅、及び深さを有する補助層120aを形成することができる。これにより、種類の異なる埋め込み対象部に対しても、埋め込み不良を抑制しつつ、所定膜を一度に充填することが可能となる。
【0148】
実施形態2の半導体装置の製造方法によれば、その他、上述の実施形態1の半導体装置1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0149】
[実施形態3]
以下、図面を参照して実施形態3について詳細に説明する。実施形態3においては、ウェット処理により補助層を除去する点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0150】
図9及び図10は、実施形態3にかかる半導体装置1の製造方法の手順の一部を例示する図である。なお、図9及び図10においては、上述の実施形態1と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0151】
図9(a)、(b)及び図10(a)(b)と、図9(c)、(d)及び図10(c)、(d)とのそれぞれは、異なる種類の埋め込み対象部130g,130hを形成する場合の例をそれぞれ順に示している。ここでは例えば、図9(a)、(b)及び図10(a)、(b)は、被加工層100上の位置Eに形成される埋め込み対象部130gの、図9(c)、(d)及び図10(c)、(d)は、被加工層100上の位置Fに形成される埋め込み対象部130hの製造工程をそれぞれ示すものとする。
【0152】
まず、図9(a)、(b)及び図10(a)、(b)の手順について説明する。
【0153】
図9(a)は、図8(a)に相当する図である。即ち、図9(a)の処理に先立って、上述の実施形態2の図7(a)~(c)の処理が行われているものとする。
【0154】
図9(a)に示すように、被加工層100の上面には窪み110hが形成されており、窪み110hの側壁には補助層120cが残存し、窪み110hの底面には被加工層100の一部が露出している。
【0155】
このような被加工層100の上面全体を覆うように、SOC(Spin On Carbon)層230を形成する。SOC層230は、スピン塗布方式により形成される有機層である。次に、SOC層230を覆うSOG(Spin On Glass)層250を形成する。SOG層250は、スピン塗布方式により形成されるシリコン酸化層である。そして、SOG層250を覆うレジスト層を形成し、露光・現像処理を施すことによってレジストパターン270pを形成する。これにより、被加工層100を加工する際のマスクとなる3層レジスト構造が形成される。
【0156】
図10(a)において、レジストパターン270pをマスクとして、SOG層250を除去し、SOG層250をマスクとしてSOC層230を除去し、そしてさらにSOC層230をマスクとして被加工層100をエッチングする。これにより、埋め込み対象部130gが形成される。
【0157】
次に、このような埋め込み対象部130gが形成された補助層120aを加工対象として、フッ酸等の処理液による薬液処理を行う。これにより、補助層120aが処理液によって溶解され、除去される。
【0158】
図10(b)において、SOC層230をアッシング除去する。これにより、埋め込み対象部130gの上部に窪み110hが露出する。そして、このような窪み110hの上面から被加工層100をエッチバックする。すると、窪み110hの内側の一部がエッチングされ、上端部がXY方向に拡大された埋め込み対象部130gが形成される。
【0159】
次に、図9(c)、(c)及び図10(c)、(d)の手順について説明する。
【0160】
図9(c)は、図8(c)に相当する図である。即ち、図9(c)の処理に先立って、上述の実施形態2の図7(d)~(f)の処理が行われているものとする。
【0161】
図9(c)に示すように、被加工層100の上面には窪み110jが形成されており、窪み110jの側壁には補助層120aが残存し、窪み110jの底面には被加工層100の一部が露出している。なお、上述の図8(a)、(c)で説明したように、図9(c)の補助層120cの厚みは、図9(a)の補助層120aの厚みよりも薄い。
【0162】
図9(d)において、上述の図9(b)と並行して、被加工層100の上面に、上述した3層レジスト構造を構成する各層が形成される。
【0163】
図10(c)において、上述の図10(a)と並行して、レジストパターン270pをマスクとして、SOG層250を除去し、SOG層250をマスクとしてSOC層230を除去し、そしてさらにSOC層230をマスクとして被加工層100をエッチングする。これにより、埋め込み対象部130hが形成される。
【0164】
次に、フッ酸等の薬液処理を行い、補助層120aを除去する。
【0165】
図10(d)において、SOC層230をアッシング除去する。これにより、埋め込み対象部130hの上部に窪み110jが露出する。そして、このような窪み110jの上面から被加工層100をエッチバックする。すると、窪み110jの内側の一部がエッチングされ、上端部がXY方向に拡大された埋め込み対象部130hが形成される。このとき、図10(b)の埋め込み対象部130gと比較して、図10(d)の埋め込み対象部130hのテーパ角は小さくなる。
【0166】
なお上述の実施形態3では、レジストパターン270pを形成するために、SOC層230、及びSOG層250の積層構造を用いたがこれに限定されない。即ち、CVD法により形成されるカーボン膜、及びSiCN膜等の積層膜がレジストパターン270pの下層に形成されていてもよい。
【0167】
実施形態3の半導体装置の製造方法によれば、埋め込み対象部130g、130hの形成後、補助層120aを除去して、窪み110h、110jを露出させる。露出した窪み110h、110jの上面から被加工層100をエッチバックすると、窪み110h、110jの内側の一部がエッチングされ、上端部がXY方向に広がった埋め込み対象部が形成される。これにより、埋め込み不良を抑制して、所定膜を容易に充填することが可能となる。
【0168】
実施形態3の半導体装置の製造方法によれば、その他、上述の実施形態1の半導体装置1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0169】
上述の実施形態1、2及びそれらの変形例では、レジストパターン270pの形成のため、BARC層200を用いたがこれに限定されない。上述の実施形態1,2等において、例えば実施形態3の3層レジスト構造をマスクとして用いてもよい。またこのとき、CVD法により形成されるカーボン膜、及びSiCN膜がレジストパターン270pの下層に設けられていてもよい。
【0170】
上述の実施形態1~3及びそれらの変形例では、補助層120aの形成対象は、板状コンタクトLI、コンタクトCC、柱状部HR、及び素子分離部DSとして説明したがこれに限定されない。貫通コンタクト領域TPをY方向両側から挟み込むように形成され、後に積層体にワード線WLが形成される際に、貫通コンタクト領域TPへ絶縁層の除去液が流入することを阻害する溝に対しても、これらの実施形態の構成を適用可能である。
【0171】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0172】
1…半導体装置、LM…積層体、OL…絶縁層、PL…ピラー、WL…ワード線、CC…コンタクト、HR…柱状部、LI…板状コンタクト、DS…素子分離部、100…被加工層、110a,110h,110j…窪み、120a,120b,120c,120d,120e…補助層、130a,130b,130c,130d,130e,130f,130g,130h…埋め込み対象部。
図1
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