(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044409
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電子機器、車両、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
G08G1/09 D
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149909
(22)【出願日】2022-09-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】河野 崇
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】制限速度を特定する処理の負荷を軽減する。
【解決手段】電子機器1は、車両Vが位置する道路の地図データに基づいて、車両Vが位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部121と、車両Vの撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、車両Vが位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部122と、車両Vが走行する道路の種別が変化してから制限速度標識が認識されるまでの間、地図制限速度に対応する第1情報を出力し、制限速度標識が認識された後に、実際制限速度に対応する第2情報を出力する出力部123と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、
前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、
前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を出力し、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を出力する出力部と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記出力部は、前記第1情報又は前記第2情報を表示装置に出力することで、前記第1情報に対応する前記地図制限速度又は前記第2情報に対応する前記実際制限速度を前記車両が位置する道路の制限速度として前記表示装置に表示させ、前記表示装置が前記地図制限速度を表示している間に前記第2特定部が前記実際制限速度を特定した場合に、前記表示装置に表示される制限速度を前記地図制限速度から前記実際制限速度に更新する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記出力部は、前記更新に応じて、所定の通知情報を前記表示装置に表示させる、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記出力部は、前記更新に応じて、音発生装置に通知音を発生させる、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記出力部は、前記更新をする前の前記地図制限速度と、前記更新をした後の前記実際制限速度とが異なる場合に、警告情報を出力する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
天候情報を取得する天候情報取得部をさらに有し、
前記出力部は、前記地図制限速度と前記実際制限速度とが異なり、かつ前記天候情報が所定の悪天候状態を示している場合に、悪天候に関連する情報を出力する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2特定部は、前記撮像画像データに基づいて前記制限速度標識を認識した後に、前記実際制限速度の区間が終了したことを示す終了標識を認識することにより、前記区間が終了したことを認識し、
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記区間が終了したことを前記第2特定部が認識した場合に、前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始してから前記車両が所定の距離を走行した場合に前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記車両が交差点で右折又は左折した場合に、前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記車両が位置する前記道路の種別が変化した場合に、前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記出力部は、前記車両の速度を制御する速度制御装置に前記第1情報を出力した後に前記第2特定部が前記実際制限速度を特定した場合に、前記速度制御装置に対して前記第2情報を出力する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
前記出力部は、前記道路の種別が変化した後に前記速度制御装置に前記第1情報又は前記第2情報を出力する場合に、変化した後の前記道路の種別とともに前記第1情報又は前記第2情報を前記速度制御装置に出力する、
請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記第1特定部は、前記地図データに含まれる前記道路の種別を示す情報に基づいて前記車両が位置する前記道路の種別を特定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項14】
前記第1特定部は、位置に関連付けて高速道路、都市高速道路、一般国道、主要地方道、一般都道府県道又は一般市道のうち複数の道路の前記種別を示す情報を含む前記地図データに基づいて、前記車両の位置に対応する前記種別を認識する、
請求項13に記載の電子機器。
【請求項15】
車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、
前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、
前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を表示装置に表示させ、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を前記表示装置に表示させる表示制御部と、
を有する電子機器。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の電子機器と、
前記撮像画像データを生成する撮像装置と、
を有することを特徴とする車両。
【請求項17】
コンピュータを、
車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、
前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、
前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を出力し、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を出力する出力部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が位置する道路の制限速度に関する情報を取得する電子機器、当該電子機器を含む車両、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の道路標識判断装置は、地図データに含まれている道路リンクが変化する時に、撮像画像から取得した第1道路規制標識又は地図データに基づいて取得した第2道路規制標識を利用して、現在の道路リンクでの道路規制標識を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の装置は道路リンクが変化するたびに現在の道路規制標識が何であるかを判定するため、現在の道路規制標識が何であるかを判定する頻度が高かった。したがって、現在の道路規制標識に基づいて制限速度を特定する処理の負荷が大きいという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、制限速度を特定する処理の負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の電子機器は、車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を出力し、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記出力部は、前記第1情報又は前記第2情報を表示装置に出力することで、前記第1情報に対応する前記地図制限速度又は前記第2情報に対応する前記実際制限速度を前記車両が位置する道路の制限速度として前記表示装置に表示させ、前記表示装置が前記地図制限速度を表示している間に前記第2特定部が前記実際制限速度を特定した場合に、前記表示装置に表示される制限速度を前記地図制限速度から前記実際制限速度に更新してもよい。
【0008】
前記出力部は、前記更新に応じて、所定の通知情報を前記表示装置に表示させてもよい。前記出力部は、前記更新に応じて、音発生装置に通知音を発生させてもよい。
【0009】
前記出力部は、前記更新をする前の前記地図制限速度と、前記更新をした後の前記実際制限速度とが異なる場合に、警告情報を出力してもよい。
【0010】
前記電子機器は、天候情報を取得する天候情報取得部をさらに有し、前記出力部は、前記地図制限速度と前記実際制限速度とが異なり、かつ前記天候情報が所定の悪天候状態を示している場合に、悪天候に関連する情報を出力してもよい。
【0011】
前記第2特定部は、前記撮像画像データに基づいて前記制限速度標識を認識した後に、前記実際制限速度の区間が終了したことを示す終了標識を認識することにより、前記区間が終了したことを認識し、前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記区間が終了したことを前記第2特定部が認識した場合に、前記第1情報の出力を開始してもよい。
【0012】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始してから前記車両が所定の距離を走行した場合に前記第1情報の出力を開始してもよい。前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記車両が交差点で右折又は左折した場合に、前記第1情報の出力を開始してもよい。
【0013】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記車両が走行する前記道路の種別が変化した場合に、前記第1情報の出力を開始してもよい。前記出力部は、前記車両の速度を制御する速度制御装置に前記第1情報を出力した後に前記第2特定部が前記実際制限速度を特定した場合に、前記速度制御装置に対して前記第2情報を出力してもよい。
【0014】
前記出力部は、前記道路の種別が変化した後に前記速度制御装置に前記第1情報又は前記第2情報を出力する場合に、変化した後の前記道路の種別とともに前記第1情報又は前記第2情報を前記速度制御装置に出力してもよい。
【0015】
前記第1特定部は、前記地図データに含まれる前記道路の種別を示す情報に基づいて前記車両が位置する前記道路の種別を特定してもよい。前記第1特定部は、位置に関連付けて高速道路、都市高速道路、一般国道、主要地方道、一般都道府県道又は一般市道のうち複数の道路の前記種別を示す情報を含む前記地図データに基づいて、前記車両の位置に対応する前記種別を認識してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様の電子機器は、車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を表示装置に表示させ、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を前記表示装置に表示させる表示制御部と、を有する。
【0017】
本発明の第3の態様の車両は、上記の電子機器と、前記撮像画像データを生成する撮像装置と、を有する。
【0018】
本発明の第4の態様のプログラムは、コンピュータを、車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を出力し、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を出力する出力部と、として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、制限速度を特定する処理の負荷を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】道路Rの種別とディスプレイ2に表示される制限速度との関係を示す図である。
【
図3】電子機器1が制限速度を表示する処における状態遷移図である。
【
図5】道路種別とコード情報との関係の一例を示す図である。
【
図6】制限速度とコード情報との関係の一例を示す図である。
【
図7】電子機器1における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第1変形例に係る車両Vの構成を示す図である。
【
図9】第2変形例に係る車両Vの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[車両Vの概要]
図1は、本実施形態に係る車両Vの概要を説明するための図である。車両Vは、走行中の道路Rの制限速度を認識し、速度、燃料の残量、時刻又は温度等を表示するディスプレイ2に、車両Vが走行中の道路Rの制限速度を表示する機能を有する。
図1に示す例においては、制限速度が60km/hであることを示すアイコン画像Gが表示されている。ディスプレイ2は、例えば、車両Vのインストルメンタルパネルに設けられているが、運転手が使用する情報端末に設けられていてもよい。
【0022】
車両Vは、ディスプレイ2に制限速度を表示させる処理を実行する電子機器1を備える。電子機器1の形態は任意であり、電子部品を含む筐体を有していてもよく、電子部品が実装されたプリント基板であってもよい。
【0023】
電子機器1は、制限速度に関する情報を地図データ、又は撮像装置(例えばカメラ)が撮影した標識Sの撮像画像データの少なくともいずれかに基づいて、走行中の道路Rの制限速度を特定する。電子機器1は、特定した制限速度を示す情報をディスプレイ2に出力することにより、ディスプレイ2に制限速度を表示させる。
【0024】
図2は、車両Vが走行中の道路Rの種別とディスプレイ2に表示される制限速度との関係を示す図である。
図2(a)には、制限速度が40km/hの道路R1と、制限速度が60km/hの道路R2とが示されている。道路R1及び道路R2の下方には、ディスプレイ2に表示される制限速度が示されている。道路R1は、例えば市道であり、道路R2は都市高速道路である。
【0025】
図2(a)に示すように、電子機器1は、走行中の道路の種別が変わったことに応じて、ディスプレイ2に表示する制限速度を更新することを特徴としている。
図2(a)に示す例の場合、車両Vが道路R1を走行中は、制限速度が40km/hであることがディスプレイ2に表示され、車両Vが走行中の道路が道路R1から道路R2に変わったことに応じて、ディスプレイ2に表示される制限速度が60km/hに切り替わっている。
【0026】
電子機器1は、道路の種別が変わった場合、地図データを参照することにより、道路の種別が変わった後の制限速度を特定することができる。しかしながら、天候又は工事等の影響で、制限速度が通常の制限速度よりも低い速度に規制される場合がある。
図2(b)は、このようなケースにおいてディスプレイ2に表示される制限速度の一例を示している。
【0027】
電子機器1は、走行中の道路が道路R2に変わった時点で、制限速度が60km/hであることをディスプレイ2に表示させる。その後、制限速度が50km/hであることを示す標識Sを撮像画像データに基づいて認識した場合、電子機器1は、ディスプレイ2に表示する制限速度を50km/hに変更する。電子機器1は、このように、地図データに基づく制限速度をディスプレイ2に表示する地図モードと、標識Sの画像に基づく制限速度をディスプレイ2に表示する画像モードとを併用する。電子機器1は、道路の種別が変化したことに応じて、地図データ及び撮像画像データに基づいて制限速度の表示を更新することで、処理の負荷を軽減しつつ、ディスプレイ2に表示する制限速度の正確性を向上させることができる。
【0028】
[電子機器1の状態遷移]
図3は、電子機器1が制限速度を表示する処における状態遷移図である。
図3に示す状態遷移図は、電子機器1の電源が投入されたオン状態になった時点から開始している(S1)。
【0029】
電子機器1は、初期処理(S2)において、地図データを取得する地図ユニット、車両Vの位置を示す緯度・経度データを取得するGPS(Global Positioning System)ユニット、標識Sを撮影するカメラユニットが正常に動作しているか否かを確認する。電子機器1は、異常を検出した場合、ディスプレイ2に警告を表示する異常処理を実行する(S3)。
【0030】
電子機器1は、初期処理(S2)において正常であると判定すると、通常処理に移行し、制限速度認識機能の設定状態を確認する(S4)。電子機器1は、制限速度認識機能の設定がオフになっていると判定した場合、制限速度認識機能がオフの状態(S5)に移行する。
【0031】
電子機器1は、制限速度認識機能の設定がオンになっていると判定した場合、制限速度認識機能の処理を開始し、ディスプレイ2に初期画面を表示させる(S6)。初期画面においては、例えば、
図1に示した制限速度を示すアイコン画像を、制限速度値を示さない状態(いわゆるブランク状態)でディスプレイ2に表示する。
【0032】
電子機器1は、初期画面を表示した後に地図データを取得可能である場合に、地図モード(S7)に移行する。具体的には、電子機器1は、初期画面を表示した後、地図ユニットが正常に作動している場合に、地図モード(S7)に移行する。地図モード(S7)は、GPSユニットを用いて特定された車両Vの位置情報と、地図データに含まれる道路の制限速度情報と、に基づいて車両Vが存在する道路の制限速度の情報を取得するモードである。電子機器1は、地図データを取得できない状態になった場合に、地図モードを終了して初期画面を表示した状態に戻る。
【0033】
電子機器1は、カメラユニットにより撮像された撮像画像データから標識Sを認識すると、画像モード(S8)に移行する。画像モード(S8)において、電子機器1は、カメラで撮影した標識の撮像画像データを解析することにより制限速度を認識する。以下の説明において、画像モード(S8)で電子機器1が認識した制限速度を、実際制限速度という場合がある。電子機器1は、認識した実際制限速度を道路Rの制限速度としてディスプレイ2に表示させる。
【0034】
地図モード(S7)と画像モード(S8)は、あらかじめ定められた条件を満たしたことに応じて、モード間を遷移する。地図モード(S7)で動作中、カメラユニットにより撮像された撮像画像データから標識Sを認識すると、画像モード(S8)に移行する。
電子機器1が画像モード(S8)で動作をしている間に所定の条件が発生すると、地図モード(S7)に移行する。所定の条件の詳細については後述するが、例えば以下の条件である。
(1)制限速度規制が終了したことを示す標識を電子機器1が認識した場合
(2)画像モードに移行してからの走行距離が基準距離に達した場合
(3)交差点で右折又は左折した場合
(4)地図データが示す道路の種別が変わった場合
以下、車両V及び電子機器1の構成及び動作を詳細に説明する。
【0035】
[車両Vの構成]
図4は、車両Vの構成を示す図である。車両Vは、電子機器1と、ディスプレイ2と、スピーカ3と、地図ユニット4と、GPSユニット5と、カメラ6と、を有する。電子機器1は、記憶部11とCPU(Central Processing Unit)12とを有する。CPU12は、第1特定部121と、第2特定部122と、出力部123と、を有する。
【0036】
ディスプレイ2は、制限速度を含む各種の情報を表示する表示装置として機能する。スピーカ3は、音を発生する音発生装置として機能する。スピーカ3は、運転手に聞こえるように音を発する。
【0037】
地図ユニット4は、通信ネットワークを介して外部のサーバとの間でデータを送受信する。地図ユニット4は、地図データを提供する外部のサーバから地図データを受信し、受信した地図データを記憶する。地図ユニット4は、地図データが更新されたという通知を外部のサーバから受信すると、更新後の地図データを取得する。地図ユニット4は、第1特定部121からの要求に応じて、車両Vが走行している位置の周辺の地図データを第1特定部121に提供する。
【0038】
地図データには、緯度・経度に関連付けて道路種別及び制限速度を示すデータが含まれている。道路種別及び制限速度はコード情報により表されており、地図データにおいては、緯度・経度とコード情報とが関連付けられている。
図5は、道路種別とコード情報との関係の一例を示す図である。
図6は、制限速度とコード情報との関係の一例を示す図である。
【0039】
GPSユニット5は、GPS衛星が送信する電波を受信し、受信した電波に含まれている情報に基づいて緯度・経度を算出する。GPSユニット5は、算出した緯度・経度を車両Vの位置情報として第1特定部121に提供する。
【0040】
カメラ6は、車両Vの前方を撮影することにより撮像画像データを作成する撮像装置である。カメラ6は、作成した撮像画像データを第2特定部122に提供する。
【0041】
記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部11は、CPU12が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部11は、CPU12が制限速度をディスプレイ2に表示する処理を実行するために使用する各種のデータを記憶する。記憶部11は、例えば、標識に記載された制限速度をCPU12が認識するために用いられる、複数の制限速度それぞれに対応する複数の見本画像データを記憶する。複数の見本画像データのそれぞれは、各種の標識のいずれかの外観を示すデータである。
【0042】
記憶部11は、
図5に示したコード情報と道路種別情報とが関連付けられた道路種別データテーブルを記憶する。記憶部11は、
図6に示したコード情報と制限速度情報とが関連付けられた制限速度データテーブルを記憶する。
【0043】
CPU12は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、第1特定部121、第2特定部122及び出力部123として機能する。
【0044】
第1特定部121は、地図ユニット4から地図データを取得し、GPSユニット5から位置情報を取得する。第1特定部121は、例えば位置情報が示す車両Vの位置を地図ユニット4に通知することにより、車両Vの位置の周辺の地図データを取得する。
【0045】
第1特定部121は、地図データに含まれる道路の種別を示す情報に基づいて車両Vが走行する道路の種別を特定する。第1特定部121は、位置に関連付けて高速自動車国道(高速道路)、都市高速道路、一般国道、主要地方道、一般都道府県道又は一般市道のうち複数の道路の種別を示す情報を含む地図データに基づいて、車両Vが走行する位置に対応する種別を認識する。一例として、第1特定部121は、車両Vの位置に対応する緯度・経度に地図データにおいて関連付けられている道路種別のコード情報を取得し、
図5に示した道路種別データテーブルを参照することにより、取得したコード情報に対応する道路種別情報を特定する。
【0046】
第1特定部121は、特定した道路種別情報を出力部123に入力する。第1特定部121は道路種別情報を第2特定部122に入力してもよい。第1特定部121は、道路種別が変化したことを条件として、変化後の道路に対応する道路種別情報を第2特定部122又は出力部123に入力してもよい。
【0047】
また、第1特定部121は、車両Vが位置する道路の地図データに基づいて、車両Vが位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する。具体的には、第1特定部121は、車両Vの位置に対応する緯度・経度に地図データにおいて関連付けられている制限速度のコード情報を取得し、
図6に示した制限速度データテーブルを参照することにより、取得したコード情報に対応する制限速度を地図制限速度として特定する。第1特定部121は、特定した地図制限速度を示す第1情報を出力部123に入力する。第1特定部121は、車両の種別が変化したことに応じて、地図データに基づいて地図制限速度を特定してもよい。
【0048】
第2特定部122は、車両Vが走行中にカメラ6が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、車両Vが位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する。第2特定部122は、例えば、撮像画像データにおいて、予め記憶部11に記憶された見本画像データとの類似度が閾値以上の領域を検索し、検出した領域の画像データに類似する見本画像データに対応する制限速度を実際制限速度として特定する。第2特定部122は、制限速度標識の画像の特徴を有する領域を検索し、検出した制限速度標識の領域において文字認識処理をすることにより実際制限速度を特定してもよい。第2特定部122は、特定した実際制限速度を示す第2情報を出力部123に入力する。
【0049】
第2特定部122は、車両Vが走行中の道路の種別が変化した場合に、制限速度標識の認識動作を開始し、制限速度標識を認識した後に、次に道路の種別が変化するまでの間は制限速度標識の認識動作を停止してもよい。第2特定部122がこのように動作することで、制限速度標識の認識動作を実行する期間を短くすることができるので、負荷が軽減する。
【0050】
第2特定部122が検出した制限速度標識が、天候や工事に起因する制限速度を示す標識である場合、当該制限速度が適用される規制区間の終了を示す規制終了標識が設置されている可能性がある。そこで、第2特定部122は、撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識した後に、制限速度が実際制限速度に規制されている区間が終了したことを示す終了標識を認識することにより、当該区間が終了したことを認識してもよい。第2特定部122は、例えば、予め記憶部11に記憶された終了標識の見本画像データを参照することにより、撮像画像データにおいて終了標識を検索することができる。
【0051】
第2特定部122は、見本画像データを参照することにより、制限速度標識が天候や工事に起因する制限速度を示す標識であると判定した場合に、終了標識の認識動作を開始してもよい。第2特定部122がこのように動作することで、常に終了標識の認識動作を実行する場合に比べて処理の負荷を軽減することができる。
【0052】
第2特定部122は、規制終了標識を認識した場合、規制終了標識を認識したことを出力部123に通知する。第2特定部122は、規制終了標識において新たな実際制限速度を認識した場合、認識した実際制限速度を示す第2情報を出力部123に通知する。
【0053】
出力部123は、ディスプレイ2に表示させる情報をディスプレイ2に対して出力する。出力部123は、第1情報に対応する地図制限速度又は第2情報に対応する実際制限速度を車両Vが位置する道路の制限速度としてディスプレイ2に表示させる表示制御部として機能する。具体的には、出力部123は、上述した電子機器1の状態(モード)に応じて、地図制限速度を示す第1情報又は実際制限速度を示す第2情報をディスプレイ2に出力する。
【0054】
このように動作することで、出力部123は、地図データのリンクが切り替わるたびにディスプレイ2に表示する制限速度を更新したり、定常的にディスプレイ2に表示する制限速度を更新したりする場合に比べて、処理の負荷を軽減することができる。
【0055】
ところで、制限速度標識は、道路の種別が変化する位置に設置されておらず、道路の種別が変化する位置から離れた位置に設置されていることが多い。したがって、第2特定部122は、道路の種別が変化した時点では、道路の種別が変化した後に車両Vが走行している道路の制限速度を特定することができない。そこで、出力部123は、道路の種別が変化してから制限速度標識が認識されるまでの間、地図制限速度に対応する第1情報を出力し、制限速度標識が認識された後に、実際制限速度に対応する第2情報を出力する。具体的には、出力部123は、道路の種別が変化したことに応じて地図制限速度に対応する第1情報を出力する。さらに、出力部123は、道路の種別が変化したことに応じて地図制限速度に対応する第1情報を出力した後で、実際制限速度を特定したことに応じて、実際制限速度に対応する第2情報を出力する。
【0056】
出力部123は、ディスプレイ2が地図制限速度を表示している間であっても、実際制限速度を表示している間であっても、道路の種別が変化したことに応じて、地図制限速度に対応する第1情報を出力する。出力部123は、ディスプレイ2が地図制限速度を表示している間に第2特定部122が実際制限速度を特定した場合に、ディスプレイ2に表示される制限速度を地図制限速度から実際制限速度に更新する。
【0057】
このように、出力部123が、道路の種別が変化したことに応じて、まず地図制限速度に対応する第1情報を出力することで、道路の種別が変化した後の道路の制限速度を運転手が速やかに把握することができる。さらに、第2特定部122が制限速度標識を認識した時点でディスプレイ2に表示される制限速度が更新されるので、天候又は工事等の影響により地図データが示す制限速度と実際の制限速度が異なっている場合であっても、運転手が速やかに正しい制限速度を把握することができる。
【0058】
出力部123は、ディスプレイ2に表示される制限速度を地図制限速度から実際制限速度に更新したことに応じて、所定の通知情報をディスプレイ2に表示させてもよい。出力部123は、更新に応じて、スピーカ3に通知音を発生させてもよい。出力部123がこのように動作することで、運転手が制限速度標識を見落として、実際の制限速度が、道路の種別が変わった時点における制限速度と異なることに気付いていない場合であっても、運転手が実際の制限速度を把握することが可能になる。
【0059】
ただし、地図制限速度と実際制限速度とが同じであるにもかかわらず、実際制限速度が特定されるたびに通知情報がディスプレイ2に表示されたり通知音が発せられたりすると、運転手が通知情報又は通知音に注意を払わなくなるというおそれがある。そこで、出力部123は、更新をする前の地図制限速度と、更新をした後の実際制限速度とが異なる場合に、警告情報を出力してもよい。出力部123は、警告情報をディスプレイ2に出力してもよく、スピーカ3に出力してもよい。例えば、出力部123は、警告情報として、更新直後のディスプレイ2の制限速度の表示を点滅させる表示制御を行ってもよい。出力部123がこのように動作することで、制限速度が変わったことを運転手が把握しやすくなる。
【0060】
出力部123は、実際制限速度に対応する第2情報の出力を開始した後に、所定の条件が満たされた場合に、地図制限速度に対応する第1情報の出力を開始してもよい。一例として、出力部123は、第2情報の出力を開始した後に、制限速度が実際制限速度に規制されている区間が終了したことを第2特定部122が認識した場合に、第1情報の出力を開始する。出力部123がこのように動作することで、当該区間が終了した位置に、制限速度を示す標識が設置されていない場合であっても、車両Vが走行している位置における制限速度を運転手が正しく把握することができる。
【0061】
また、第1情報に基づいてディスプレイ2に表示される制限速度の表示形態と、第2情報に基づいてディスプレイ2に表示される制限速度の表示形態と、を異ならせてもよい。例えば、第1情報に基づいて制限速度を表示する場合に、地図データから取得したことを示す第1アイコンを共に表示し、第2情報に基づいて制限速度を表示する場合に、地図データから取得したことを示す第2アイコンを共に表示してもよい。また、制限速度を示す数字の画像を表示する場合に、そのフォントや太さなどを変えることにより、表示された制限速度が第1情報と第2情報とのいずれに基づくものかを示すこともできる。これにより、運転手は表示された制限速度情報がいずれの情報に基づくものかを把握することが可能となる。
【0062】
道路の種別が変化すると、制限速度も変わる場合が多い。したがって、道路の種別が変化したにもかかわらず、ディスプレイ2が実際制限速度を表示し続けると、運転手が間違った制限速度を認識したまま運転するというおそれがある。具体的には、常に撮像画像データから特定された実際制限速度を示す第2情報の出力を優先するとした場合、車両Vが走行する道路の種別が変化し、制限速度が変化しても、その前に認識した第2情報に基づく表示が継続してしまう。この場合、実際に走行している道路の制限速度と、ディスプレイ2に表示される制限速度が不一致になってしまうことがある。そこで、出力部123は、実際制限速度に対応する第2情報の出力を開始した後に、車両Vが走行する道路の種別が変化した場合に、地図制限速度に対応する第1情報の出力を開始してもよい。出力部123がこのように動作することで、新たな種別の道路の制限速度を運転手が速やかに把握することができる。
【0063】
出力部123は、第2情報の出力を開始してから車両Vが所定の距離を走行した場合に第1情報の出力を開始してもよい。所定の距離は、天候又は工事等に起因して臨時の制限速度標識が設置される間隔(例えば1km)として設定された距離よりも長い距離であり、例えば1.5kmである。出力部123がこのように動作することで、制限速度が実際制限速度に規制されている区間の終了標識が設置されていない場合であっても、ディスプレイ2が実際制限速度を表示し続けることを防げる。その結果、車両Vが走行している位置における制限速度を運転手が正しく把握することができる。
【0064】
ところで、車両Vが走行中の道路と交差する道路の制限速度は、車両Vが走行中の道路の制限速度と異なる場合がある。そこで、出力部123は、実際制限速度に対応する第2情報の出力を開始した後に、車両Vが交差点で右折又は左折した場合に、地図制限速度に対応する第1情報の出力を開始してもよい。車両Vが交差点で右折又は左折したことを出力部123が検出する方法は任意であるが、出力部123は、例えばGPSユニット5が出力する位置情報に基づいて車両Vが右折又は左折したことを検出してもよく、操舵角を検出するセンサー(不図示)が出力する情報に基づいて、右折又は左折の操舵が行われたことを検出してもよい。
【0065】
出力部123がこのように動作することで、車両Vが走行中の道路と交差する道路の種別が、車両Vが走行中の道路の種別と同じであり、かつそれぞれの制限速度が異なる場合であっても、車両Vが走行中の道路と交差する道路の制限速度を運転手が速やかに把握することができる。
【0066】
[電子機器1における処理の流れ]
図7は、電子機器1における処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、車両Vの電源が投入された時点(イグニッションオン)から開始している。
【0067】
出力部123は、初期画面を表示させるための情報をディスプレイ2に出力し、ディスプレイ2に初期画面を表示させる(S11)。初期画面においては、制限速度が表示されない。
【0068】
続いて、第1特定部121は、地図データを参照することにより地図制限速度を特定できるかどうかを判定する(S12)。具体的には、地図ユニットから地図データが取得可能であり、かつ、GPSユニットから位置情報を取得可能である場合に、第1特定部121は、地図データを参照することにより地図制限速度を特定できると判定する。出力部123は、第1特定部121が地図制限速度を特定できると判定した場合(S12においてYES)、第1特定部121が特定した地図制限速度に対応する第1情報をディスプレイ2に対して出力することで、地図制限速度をディスプレイ2に表示させる(S13)。
【0069】
第1特定部121は、地図制限速度を特定できると判定されるまでS12の処理を繰り返すが、所定の時間以内に地図制限速度を特定できると判定できない場合、エラーが発生したことを出力部123に通知してもよい。なお、所定の時間以内に地図制限速度を特定できると判定できない場合、カメラユニットによる撮像画像データから認識した標識から特定された実際制限速度に対応する第2情報を出力するモードで動作してもよい。
【0070】
続いて、第2特定部122は、撮像画像データに基づいて実際制限速度を特定できるかどうかを判定する(S14)。出力部123は、第2特定部122が実際制限速度を特定できた場合(S14においてYES)、地図制限速度と実際制限速度との間に差があるか否かを判定する(S15)。出力部123は、地図制限速度と実際制限速度との間に差がある場合(S15においてYES)、標識制限速度に対応する第2情報をディスプレイ2に対して出力することで、実際制限速度をディスプレイ2に表示させる(S16)。そして、処理はS17に進む。
【0071】
第2特定部122が、実際制限速度を特定できない場合(S14においてNO)、又は地図制限速度と実際制限速度との間に差がない場合(S15においてNO)、の少なくともいずれかの場合において、出力部123は、第2情報をディスプレイ2に出力せず、S17に処理を進める。なお、出力部123は、地図制限速度と実際制限速度との間に差がない場合に第2情報をディスプレイ2に対して出力してもよい。この場合、ディスプレイ2に表示される制限速度は更新されるが、ディスプレイ2には同じ制限速度が表示され続ける。
【0072】
続いて、第1特定部121は、道路種別が変化したか否かを判定する(S17)。第1特定部121は、道路種別の変更を、第1特定部121が取得した位置情報に対応する道路の種別を示すコード情報が変化したか否かに基づいて判定する。道路種別が変化したと第1特定部121が判定した場合(S17においてYES)、S13に戻って、出力部123は地図制限速度をディスプレイ2に表示させる(S13)。道路種別が変化していないと第1特定部121が判定した場合(S17においてNO)、CPU12は電源の停止指示(イグニッションオフ)が入力されたか否かを判定し(S18)、停止指示が入力されていない場合(S18においてNO)、S14からS17までを繰り返す。
【0073】
[第1変形例]
図8は、第1変形例に係る車両Vの構成を示す図である。
図8に示す車両Vは、通信ユニット7をさらに有しており、CPU12が天候情報取得部124をさらに有するという点で、
図4に示した車両Vと異なり、他の点では同じである。
【0074】
通信ユニット7は、外部装置からデータを受信するための通信インターフェースを有する。通信ユニット7は、例えば無線通信網を介して、天候情報を提供する外部装置から天候情報を受信する。通信ユニット7は、受信した天候情報を天候情報取得部124に入力する。
【0075】
天候情報取得部124は、通信ユニット7を介して天候情報を取得する。天候情報取得部124は、例えばGPSユニット5を用いて特定される車両Vの位置に対応する天候情報を取得する。天候情報取得部124は、取得した天候情報を出力部123に入力する。
【0076】
出力部123は、地図制限速度と実際制限速度とが異なり、かつ天候情報取得部124から入力された天候情報が所定の悪天候状態を示している場合に、悪天候に関連する情報を出力する。出力部123は、第2特定部122が実際制限速度を特定し、特定した実際制限速度が地図制限速度と異なると判定した時点で、悪天候に関連する情報を出力してもよい。
【0077】
悪天候状態は、例えば降雨、降雪又は強風のように、車両Vの運転の安全性が低下する可能性がある天候の状態である。悪天候に関連する情報は、例えば降雨、降雪又は強風のそれぞれに対応するテキスト情報である。出力部123が、地図制限速度と実際制限速度とが異なる場合に悪天候に関連する情報をディスプレイ2に出力することで、運転手は、制限速度が遅くなった原因が天候に起因することを把握しやすくなる。
【0078】
[第2変形例]
図9は、第2変形例に係る車両Vの構成を示す図である。
図9に示す車両Vは、速度制御装置8をさらに有しており、出力部123が第1情報又は第2情報を速度制御装置8に出力するという点で
図4に示した車両Vと異なり、他の点では同じである。
【0079】
速度制御装置8は、エンジン又はモータを制御することにより車両Vの走行速度を制御する装置である。速度制御装置8は、出力部123から入力された第1情報に対応する地図制限速度、又は第2情報に対応する実際制限速度のうち、直前に入力された情報に対応する制限速度を超えないように車両Vの速度を制御する。
【0080】
出力部123は、車両Vの速度を制御する速度制御装置8に第1情報を出力した後に第2特定部122が実際制限速度を特定した場合に、速度制御装置8に対して第2情報を出力する。出力部123がこのように動作することで、速度制御装置8は、車両Vの位置に対応する制限速度以内の速度で走行するように車両Vの速度を制御することができる。
【0081】
出力部123は、道路の種別が変化した後に速度制御装置8に第1情報又は第2情報を出力する場合に、変化した後の道路の種別とともに第1情報又は第2情報を速度制御装置8に出力してもよい。出力部123がこのように動作することで、速度制御装置8は、道路の種別に応じて、車両Vの走行方法に影響するパラメータを変更することができる。一例として、道路の種別が高速自動車国道に変わった場合、速度制御装置8は、道路の種別が一般国道である場合よりも加速度の許容上限値を大きくすることができる。
【0082】
[電子機器1による効果]
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器1の出力部123は、道路の種別が変化してから制限速度標識が認識されるまでの間、地図制限速度に対応する第1情報を出力し、制限速度標識が認識された後に、実際制限速度に対応する第2情報を出力する。このように出力部123が、道路の種別が変化したことに応じて制限速度に関する情報を出力する処理を実行することで、定常的に制限速度に関する情報を出力する場合に比べて処理の負荷が軽減する。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0084】
1 電子機器
2 ディスプレイ
3 スピーカ
4 地図ユニット
5 GPSユニット
6 カメラ
7 通信ユニット
8 速度制御装置
11 記憶部
121 第1特定部
122 第2特定部
123 出力部
124 天候情報取得部
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、
前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、
前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を出力し、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を出力する出力部と、
を有し、
前記出力部は、出力する情報を前記第1情報から前記第2情報に更新したことに応じて所定の通知情報を出力し、前記第2情報を出力する前に出力していた前記第1情報に対応する前記地図制限速度と、前記第2情報を出力した後の前記実際制限速度とが異なる場合に、前記通知情報と異なる警告情報を出力する電子機器。
【請求項2】
前記出力部は、前記第1情報又は前記第2情報を表示装置に出力することで、前記第1情報に対応する前記地図制限速度又は前記第2情報に対応する前記実際制限速度を前記車両が位置する道路の制限速度として前記表示装置に表示させ、前記表示装置が前記地図制限速度を表示している間に前記第2特定部が前記実際制限速度を特定した場合に、前記表示装置に表示される制限速度を前記地図制限速度から前記実際制限速度に更新する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記出力部は、前記更新に応じて、所定の通知情報を前記表示装置に表示させる、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記出力部は、前記更新に応じて、音発生装置に通知音を発生させる、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
天候情報を取得する天候情報取得部をさらに有し、
前記出力部は、前記地図制限速度と前記実際制限速度とが異なり、かつ前記天候情報が所定の悪天候状態を示している場合に、悪天候に関連する情報を出力する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2特定部は、前記撮像画像データに基づいて前記制限速度標識を認識した後に、前記実際制限速度の区間が終了したことを示す終了標識を認識することにより、前記区間が終了したことを認識し、
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記区間が終了したことを前記第2特定部が認識した場合に、前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始してから前記車両が所定の距離を走行した場合に前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記車両が交差点で右折又は左折した場合に、前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記車両が位置する前記道路の種別が変化した場合に、前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記出力部は、前記車両の速度を制御する速度制御装置に前記第1情報を出力した後に前記第2特定部が前記実際制限速度を特定した場合に、前記速度制御装置に対して前記第2情報を出力する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記出力部は、前記道路の種別が変化した後に前記速度制御装置に前記第1情報又は前記第2情報を出力する場合に、変化した後の前記道路の種別とともに前記第1情報又は前記第2情報を前記速度制御装置に出力する、
請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1特定部は、前記地図データに含まれる前記道路の種別を示す情報に基づいて前記車両が位置する前記道路の種別を特定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
前記第1特定部は、位置に関連付けて高速道路、都市高速道路、一般国道、主要地方道、一般都道府県道又は一般市道のうち複数の道路の前記種別を示す情報を含む前記地図データに基づいて、前記車両の位置に対応する前記種別を認識する、
請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、
前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、
前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を表示装置に表示させ、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を前記表示装置に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記表示装置に表示させる情報を前記第1情報から前記第2情報に更新したことに応じて所定の通知情報を前記表示装置に表示させ、前記第2情報を出力する前に出力していた前記第1情報に対応する前記地図制限速度と、前記第2情報を出力した後の前記実際制限速度とが異なる場合に、前記通知情報と異なる警告情報を出力する電子機器。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の電子機器と、
前記撮像画像データを生成する撮像装置と、
を有することを特徴とする車両。
【請求項16】
コンピュータを、
車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、
前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、
前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を出力し、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を出力し、出力する情報を前記第1情報から前記第2情報に更新したことに応じて所定の通知情報を出力し、前記第2情報を出力する前に出力していた前記第1情報に対応する前記地図制限速度と、前記第2情報を出力した後の前記実際制限速度とが異なる場合に、前記通知情報と異なる警告情報を出力する出力部と、
として機能させるためのプログラム。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、
前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、
前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を出力し、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を出力する出力部と、
を有し、
前記出力部は、出力する情報を前記第1情報から前記第2情報に更新したことに応じて、出力する情報が前記第1情報から前記第2情報に切り替わったことを示す通知情報を出力し、前記第2情報を出力する前に出力していた前記第1情報に対応する前記地図制限速度と、前記第2情報を出力した後の前記実際制限速度とが異なる場合に、前記通知情報と異なる警告情報を出力する電子機器。
【請求項2】
前記出力部は、前記第1情報又は前記第2情報を表示装置に出力することで、前記第1情報に対応する前記地図制限速度又は前記第2情報に対応する前記実際制限速度を前記車両が位置する道路の制限速度として前記表示装置に表示させ、前記表示装置が前記地図制限速度を表示している間に前記第2特定部が前記実際制限速度を特定した場合に、前記表示装置に表示される制限速度を前記地図制限速度から前記実際制限速度に更新する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記出力部は、前記更新に応じて、前記通知情報を前記表示装置に表示させる、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記出力部は、前記更新に応じて、音発生装置に前記通知情報としての通知音を発生させる、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
天候情報を取得する天候情報取得部をさらに有し、
前記出力部は、前記地図制限速度と前記実際制限速度とが異なり、かつ前記天候情報が所定の悪天候状態を示している場合に、悪天候に関連する情報を出力する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2特定部は、前記撮像画像データに基づいて前記制限速度標識を認識した後に、前記実際制限速度の区間が終了したことを示す終了標識を認識することにより、前記区間が終了したことを認識し、
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記区間が終了したことを前記第2特定部が認識した場合に、前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始してから前記車両が所定の距離を走行した場合に前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記車両が交差点で右折又は左折した場合に、前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記出力部は、前記第2情報の出力を開始した後に、前記車両が位置する前記道路の種別が変化した場合に、前記第1情報の出力を開始する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記出力部は、前記車両の速度を制御する速度制御装置に前記第1情報を出力した後に前記第2特定部が前記実際制限速度を特定した場合に、前記速度制御装置に対して前記第2情報を出力する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記出力部は、前記道路の種別が変化した後に前記速度制御装置に前記第1情報又は前記第2情報を出力する場合に、変化した後の前記道路の種別とともに前記第1情報又は前記第2情報を前記速度制御装置に出力する、
請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1特定部は、前記地図データに含まれる前記道路の種別を示す情報に基づいて前記車両が位置する前記道路の種別を特定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
前記第1特定部は、位置に関連付けて高速道路、都市高速道路、一般国道、主要地方道、一般都道府県道又は一般市道のうち複数の道路の前記種別を示す情報を含む前記地図データに基づいて、前記車両の位置に対応する前記種別を認識する、
請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、
前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、
前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を表示装置に表示させ、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を前記表示装置に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記表示装置に表示させる情報を前記第1情報から前記第2情報に更新したことに応じて、出力する情報が前記第1情報から前記第2情報に切り替わったことを示す通知情報を前記表示装置に表示させ、前記第2情報を出力する前に出力していた前記第1情報に対応する前記地図制限速度と、前記第2情報を出力した後の前記実際制限速度とが異なる場合に、前記通知情報と異なる警告情報を出力する電子機器。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の電子機器と、
前記撮像画像データを生成する撮像装置と、
を有することを特徴とする車両。
【請求項16】
コンピュータを、
車両が位置する道路の地図データに基づいて、前記車両が位置する道路の制限速度を地図制限速度として特定する第1特定部と、
前記車両の撮像装置が生成した撮像画像データに基づいて制限速度標識を認識することにより、前記車両が位置する道路の制限速度を実際制限速度として特定する第2特定部と、
前記車両が走行する前記道路の種別が変化してから前記制限速度標識が認識されるまでの間、前記地図制限速度に対応する第1情報を出力し、前記制限速度標識が認識された後に、前記実際制限速度に対応する第2情報を出力し、出力する情報を前記第1情報から前記第2情報に更新したことに応じて、出力する情報が前記第1情報から前記第2情報に切り替わったことを示す通知情報を出力し、前記第2情報を出力する前に出力していた前記第1情報に対応する前記地図制限速度と、前記第2情報を出力した後の前記実際制限速度とが異なる場合に、前記通知情報と異なる警告情報を出力する出力部と、
として機能させるためのプログラム。