(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044418
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】警報判定メール送信システム
(51)【国際特許分類】
G01V 1/01 20240101AFI20240326BHJP
【FI】
G01V1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149922
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000143396
【氏名又は名称】株式会社高見沢サイバネティックス
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】篠原 芳紀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 省吾
(72)【発明者】
【氏名】清水 彬
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA03
2G105BB01
2G105EE01
2G105MM02
2G105NN02
(57)【要約】
【課題】インターネット回線を利用して警報判定メールを配信するとともに、観測機器に対する外部からの脅威を防ぐことができる警報判定メール送信システムを提供する。
【解決手段】警報判定メール送信システム1は、地震計2と、警報判定メール送信装置3と、メール配信装置とを備える。地震計2は、地震に関する情報をN個(Nは2以上の整数)の第1接点225から出力する。警報判定メール送信装置3は、地震に関する情報をN個の第2接点35から入力し、予め用意された設定ファイルに基づいて、地震に関する情報が所定条件に合致するか否かを判断し、合致する場合に、設定ファイルが保持するメールサーバ接続プロトコルを用いて、地震に関する情報に関連付けられた、設定ファイルが保持する文面及び送信先にて電子メールをメール配信装置に送信する。メール配信装置は、その電子メールを、インターネット回線を経由して該送信先へ配信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは2以上の整数)の第1接点を有し、自然現象を観測する観測機器と、
前記N個の第1接点とそれぞれ電気的に接続されたN個の第2接点を有する警報判定メール送信装置と、
前記警報判定メール送信装置と通信可能であり、インターネット回線に接続可能なメール配信装置と、
を備え、
前記観測機器は、自然現象に関する情報を前記N個の第1接点から出力し、
前記警報判定メール送信装置は、前記観測機器から出力された前記自然現象に関する情報を前記N個の第2接点から入力し、予め用意された設定ファイルに基づいて、前記自然現象に関する情報が所定条件に合致するか否かを判断し、前記自然現象に関する情報が所定条件に合致する場合に、前記設定ファイルが保持するメールサーバ接続プロトコルを用いて、前記自然現象に関する情報に関連付けられた、前記設定ファイルが保持する文面及び送信先にて電子メールを前記メール配信装置に送信し、
前記メール配信装置は、前記警報判定メール送信装置から送信された前記電子メールを、前記インターネット回線を経由して該送信先へ配信する、警報判定メール送信システム。
【請求項2】
前記観測機器は地震計であり、前記自然現象に関する情報は、地震の震度、地震の加速度、及び地震のSI値のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の警報判定メール送信システム。
【請求項3】
Nは4以上であり、
前記N個の第1接点から前記N個の第2接点へ伝えられる前記自然現象に関する情報は、BCDコードにより表される、請求項1または2に記載の警報判定メール送信システム。
【請求項4】
前記観測機器は、前記観測機器の障害に関する機器障害情報を前記N個の第1接点から更に出力し、
前記警報判定メール送信装置は、前記観測機器から出力された前記機器障害情報を前記N個の第2接点から入力し、前記設定ファイルに基づいて、前記機器障害情報が所定条件に合致するか否かを判断し、前記機器障害情報が所定条件に合致する場合に、前記メールサーバ接続プロトコルを用いて、前記機器障害情報に関連付けられた、前記設定ファイルが保持する文面及び送信先にて第2の電子メールを前記メール配信装置に送信し、
前記メール配信装置は、前記警報判定メール送信装置から送信された前記第2の電子メールを、前記インターネット回線を経由して該送信先へ配信する、請求項1または2に記載の警報判定メール送信システム。
【請求項5】
前記観測機器は、前記観測機器の障害に関する機器障害情報を前記N個の第1接点から更に出力し、
前記警報判定メール送信装置は、前記観測機器から出力された前記機器障害情報を前記N個の第2接点から入力し、前記設定ファイルに基づいて、前記機器障害情報が所定条件に合致するか否かを判断し、前記機器障害情報が所定条件に合致する場合に、前記メールサーバ接続プロトコルを用いて、前記機器障害情報に関連付けられた、前記設定ファイルが保持する文面及び送信先にて第2の電子メールを前記メール配信装置に送信し、
前記メール配信装置は、前記警報判定メール送信装置から送信された前記第2の電子メールを、前記インターネット回線を経由して該送信先へ配信する、請求項3に記載の警報判定メール送信システム。
【請求項6】
前記設定ファイルはリムーバブルメディアに格納されており、
前記警報判定メール送信装置は、前記リムーバブルメディアから前記設定ファイルを読み込む、請求項1または2に記載の警報判定メール送信システム。
【請求項7】
前記設定ファイルはリムーバブルメディアに格納されており、
前記警報判定メール送信装置は、前記リムーバブルメディアから前記設定ファイルを読み込む、請求項4に記載の警報判定メール送信システム。
【請求項8】
前記メール配信装置は、前記インターネット回線と無線通信手段により接続される、請求項1または2に記載の警報判定メール送信システム。
【請求項9】
前記メール配信装置は、前記インターネット回線と無線通信手段により接続される、請求項4に記載の警報判定メール送信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報判定メール送信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地震計に関する技術が記載されている。この地震計は、計測部と、記録部と、演算部と、を備える。計測部は、観測地点において地動を観測し、地動の地震動を検出する。記録部は、過去に発生した地震データのS波の加速度の最大値と、P波が到達してから連続する複数の予測期間における地震データのP波の加速度の最大値との相関関係を、予測期間ごとに記録する。演算部は、各予測期間における相関関係と、計測部により計測された地震動のP波の加速度の最大値とを用いて、観測地点に到達する地震動のS波の加速度の最大値を各予測期間が経過するごとに推定する。
【0003】
特許文献2には、感震器及び地震計システムに関する技術が記載されている。この感震器及び地震計システムは、地震による加速度を測定するための感震器であって、互いに異なる測定軸方向の加速度成分を測定する4つの加速度センサを備えている。4つの加速度センサそれぞれの測定軸方向における加速度成分のベクトルが互いに相殺されるように、支持体が4つの加速度センサの測定軸方向が保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-044784号公報
【特許文献2】特開2006-010520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自然現象を観測する観測機器としては、例えば地震計などがある(例えば特許文献1及び2を参照)。そして、自然現象を観測する観測機器を含むシステムには、観測機器からの警報の内容を判定し、必要な場合に、インターネット回線を利用して関係者に警報判定メールを配信する機能を有するものがある。インターネット回線を利用する場合、セキュリティを高めて、観測機器に対するコンピュータウイルスの侵入や不正アクセスといった外部からの脅威を防ぐことが望ましい。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、インターネット回線を利用して警報判定メールを配信するとともに、観測機器に対する外部からの脅威を防ぐことができる警報判定メール送信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上述した課題を解決するために、本発明による警報判定メール送信システムは、N個(Nは2以上の整数)の第1接点を有し、自然現象を観測する観測機器と、N個の第1接点とそれぞれ電気的に接続されたN個の第2接点を有する警報判定メール送信装置と、警報判定メール送信装置と通信可能であり、インターネット回線に接続可能なメール配信装置と、を備える。観測機器は、自然現象に関する情報をN個の第1接点から出力する。警報判定メール送信装置は、観測機器から出力された自然現象に関する情報をN個の第2接点から入力し、予め用意された設定ファイルに基づいて、自然現象に関する情報が所定条件に合致するか否かを判断し、自然現象に関する情報が所定条件に合致する場合に、設定ファイルが保持するメールサーバ接続プロトコルを用いて、自然現象に関する情報に関連付けられた、設定ファイルが保持する文面及び送信先にて電子メールをメール配信装置に送信する。メール配信装置は、警報判定メール送信装置から送信された電子メールを、インターネット回線を経由して該送信先へ配信する。
【0008】
この警報判定メール送信システムでは、観測機器が有するN個の第1接点と、警報判定メール送信装置が有するN個の第2接点とがそれぞれ電気的に接続されている。言い換えると、N個の第1接点とN個の第2接点とは互いにパラレル接続されている。そして、N個の第1接点から出力された自然現象に関する情報が、N個の第2接点に入力される。このとき、N個の第1接点のそれぞれは1ビット分の情報を担う。観測機器と警報判定メール送信装置とが、ネットワークではなくこのように接点同士で接続されていることにより、観測機器に対するコンピュータウイルスの侵入や不正アクセスといった外部からの脅威を防ぐことができる。
【0009】
また、この警報判定メール送信システムでは、警報判定メール送信装置が、N個の第2接点から入力した自然現象に関する情報について、所定条件に合致するか否かを判断する。そして、所定条件に合致する場合に、電子メールをメール配信装置に送信する。メール配信装置は、警報判定メール送信装置から送信された電子メールを、インターネット回線を経由して送信先へ配信する。これにより、インターネット回線を利用して警報判定に関する電子メールを配信することができる。
【0010】
また、この警報判定メール送信システムでは、警報判定メール送信装置が、予め用意された設定ファイルに基づいて、自然現象に関する情報が所定条件に合致するか否かを判断する。更に、警報判定メール送信装置は、設定ファイルが保持するメールサーバ接続プロトコルを用いて、自然現象に関する情報に関連付けられた、設定ファイルが保持する文面及び送信先にて電子メールを送信する。これにより、所定条件やメールサーバ接続プロトコル、電子メールの文面及び送信先を、設定ファイルを変更するだけで容易に変更することができる。
【0011】
[2]上記[1]の警報判定メール送信システムにおいて、観測機器は地震計であり、自然現象に関する情報は、地震の震度、地震の加速度、及び地震のSI値のうち少なくとも一つを含んでもよい。この場合、地震計からの震度等の情報を含む電子メールを、インターネット回線を経由して配信することができる。
【0012】
[3]上記[1]または[2]の警報判定メール送信システムにおいて、Nは4以上であり、N個の第1接点からN個の第2接点へ伝えられる自然現象に関する情報は、BCD(Binary-Coded Decimal)コードにより表されてもよい。この場合、N個の接点を利用して、自然現象に関する情報(特に数値情報)を10進数に対応付けて伝達することができる。
【0013】
[4]上記[1]~[3]のうちいずれか1つの警報判定メール送信システムにおいて、観測機器は、観測機器の障害に関する機器障害情報をN個の第1接点から更に出力してもよい。警報判定メール送信装置は、観測機器から出力された機器障害情報をN個の第2接点から入力し、設定ファイルに基づいて、機器障害情報が所定条件に合致するか否かを判断し、機器障害情報が所定条件に合致する場合に、メールサーバ接続プロトコルを用いて、機器障害情報に関連付けられた、設定ファイルが保持する文面及び送信先にて第2の電子メールをメール配信装置に送信してもよい。メール配信装置は、警報判定メール送信装置から送信された第2の電子メールを、インターネット回線を経由して該送信先へ配信してもよい。この場合、自然現象に関する情報に加えて、機器障害情報を含む電子メールを、インターネット回線を利用して配信することができる。
【0014】
[5]上記[1]~[4]のうちいずれか1つの警報判定メール送信システムにおいて、設定ファイルはリムーバブルメディアに格納されており、警報判定メール送信装置は、リムーバブルメディアから設定ファイルを読み込んでもよい。この場合、持ち運びが容易なリムーバブルメディアを通じて設定ファイルを書き換えることができ、設定ファイルの変更を簡便に行うことができる。
【0015】
[6]上記[1]~[5]のうちいずれか1つの警報判定メール送信システムにおいて、メール配信装置は、インターネット回線と無線通信手段により接続されてもよい。この場合、警報判定メール送信システムの設置工事が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による警報判定メール送信システムによれば、インターネット回線を利用して警報判定メールを配信するとともに、観測機器に対する外部からの脅威を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る警報判定メール送信システムの構成の概略を示すブロック図である。
【
図2】地震計及び警報判定メール送信装置の具体的な構成例を示す図である。
【
図3】加速度の数値をBCDコード化した場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明による警報判定メール送信システムの実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る警報判定メール送信システム1の構成の概略を示すブロック図である。
図1に示されるように、本実施形態の警報判定メール送信システム1は、地震計2と、警報判定メール送信装置3と、メール配信装置4と、を備える。地震計2は、自然現象を観測する観測機器の一例であって、計測部21と、処理部22とを有する。計測部21と処理部22とは、例えばRS-422といったシリアル通信回線61により互いに接続されている。処理部22と警報判定メール送信装置3とは、電気抵抗が実質的にゼロであるN本(Nは2以上の整数)の配線62のみを介して互いに接続されている。警報判定メール送信装置3とメール配信装置4とは、例えば有線LAN(Local Area Network)または無線LANといった通信手段によって互いに接続されている。図には、LANケーブル66が例として示されている。メール配信装置4は、無線通信手段または有線通信手段によりインターネット回線5のインターネットサービスプロバイダに接続可能である。
【0020】
地震計2は、自然現象としての地震に関する情報を観測する。具体的には、計測部21は、観測地点に設置され、地震が発生した際に地震に関する情報を記録及び生成する。計測部21は、その地震に関する情報と、地震計2の障害に関する機器障害情報とを、シリアル通信回線61を通じて処理部22に提供する。処理部22は、地震に関する情報及び機器障害情報を、N本の配線62を通じて警報判定メール送信装置3に提供する。警報判定メール送信装置3は、地震に関する情報及び機器障害情報に応じた電文編集を行い、地震に関する情報及び機器障害情報に関連付けられた文面及び送信先にて電子メールをメール配信装置4に送信する。メール配信装置4は、その電子メールを、インターネット回線5を経由して該送信先へ配信する。
【0021】
図2は、地震計2及び警報判定メール送信装置3の具体的な構成例を示す図である。前述したように、地震計2は、計測部21及び処理部22を有する。計測部21は、少なくとも3つの加速度センサ211と、計測基板212とを筐体に内蔵する。各加速度センサ211は、地動を観測し、地震動の加速度を示す電気信号を生成する。各加速度センサ211は、計測基板212と電気的に接続されており、生成した電気信号を計測基板212に提供する。計測基板212は、各加速度センサ211から提供された電気信号に基づいて、地震に関する情報を生成する。地震に関する情報は、例えば、地震の震度、地震の加速度、及び地震のSI値のうち少なくとも一つを含む。計測基板212は、生成した地震に関する情報と、計測部21の障害に関する機器障害情報とを、シリアル通信回線61を通じて処理部22に出力する。なお、地震に関する情報は、加速度センサ211からの電気信号をもとに計測基板212において生成された地震動の加速度を含み、地震の震度及び地震のSI値を含まなくてもよい。その場合、地震動の加速度に関する情報が後述する処理部22に出力され、その情報に基づいて、地震の震度及び地震のSI値が処理部22において算出されてもよい。
【0022】
処理部22は、入出力部220、時刻校正部221、表示部222、CPU部223、及び電源部224を有する。入出力部220は、計測部21及び警報判定メール送信装置3との間で情報の授受を行う通信インターフェイス基板である。入出力部220には、シリアル通信回線61の一端が接続されており、入出力部220は計測部21とシリアル通信を行う。また、入出力部220は、N個の第1接点225を有する。各第1接点225は、前述した配線62を介して、警報判定メール送信装置3のN個の第2接点35のそれぞれと電気的に接続されている。更に、入出力部220は、例えばLANケーブル67による有線LAN、または無線LANといった通信手段によって、地震計2の外部の機器に接続されている。入出力部220は、通信に用いられる通信プロトコルの変換、及び処理部22に入出力される信号の論理レベルの変換などを行う。
【0023】
時刻校正部221は、GPSアンテナ226と電気的に接続された電子回路を有しており、GPSアンテナ226を通じて正確な現在時刻を取得する。時刻校正部221は、入出力部220と電気的に接続されており、取得した現在時刻に関するデータを、入出力部220を介してCPU部223に提供する。電源部224は、商用交流電源65に配線を介して接続されており、商用交流電源65から交流電力を受ける。電源部224は、その交流電力を、時刻校正部221、表示部222、CPU部223及び入出力部220を駆動するための直流電力に変換する。
【0024】
CPU部223は、入出力部220と電気的に接続されている。また、CPU部223は、CFカード63及びSDカード64といったリムーバブルメディアが差し込まれるスロットを有する。CPU部223は、中央演算処理装置(CPU)及びメモリが組み込まれた集積回路を有する基板であって、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することにより、処理部22における様々な数値計算、情報処理、及び処理部22内の制御を行う。更に、CPU部223は、計測部21の計測基板212から、シリアル通信回線61及び入出力部220を介して、地震に関する情報及び機器障害情報を受け取る。CPU部223は、地震に関する情報及び機器障害情報を、所定の形式に変換したのちに入出力部220のN個の第1接点225から出力させる。
【0025】
ここで、地震に関する情報及び機器障害情報をN個の第1接点225から出力させる際の形式の例として、BCDコードを用いる形式について説明する。BCDコードは4ビットで一つの数字を表すので、第1接点225の数Nは4以上である。
図3は、BCDコードによる地震に関する情報伝達の例として、加速度の数値(図示例では123ガル)をBCDコード化した場合を説明する。
図3において、部分A1は第1接点225の接点番号を表しており、複数の部分A2のそれぞれは、N個の第1接点225の論理レベルからなる論理セットを表している。また、各部分A2の左横に示された数値は、第1接点225の論理レベルを数値化した値すなわちビット値を表す。各部分A2の上方に記載された数値(部分A3)は、各論理セットの桁番号を表しており、論理セットは桁番号順に出力される。例えば、桁番号4番(左から4番目)の論理セットを参照すると、接点番号1及び2の第1接点225の論理がOFFであり、接点番号3及び4の第1接点225の論理がONである。すなわち、この4桁目のBCDコードは「0011」であり、10進数に換算すると「3」である。このように、処理部22は、加速度(例えば123ガル)の各桁に対応する数値(例えば「0」、「1」、「2」、及び「3」)を、所定の時間間隔(例えば1秒間)ずつ、BCDコードの論理に変換してN個の第1接点225から出力する。そして、処理部22は、4桁を1周期としてこのような出力を繰り返す。この形式は、加速度に限らず、地震に関する情報及び機器障害情報における他の数値または情報に関しても同様である。また、この例では桁数が4である場合を例示したが、データの桁数はこれに限られず、任意である。
【0026】
なお、地震計2及び警報判定メール送信装置3の設定を変更することによって、N個の第1接点225の論理レベルからなる論理セットを、BCDコードからアスキーコードへ変更してもよい。これにより、文字データの伝達も可能となる。
【0027】
再び
図2を参照する。警報判定メール送信装置3は、入出力部30と、CPU部31と、表示部32と、電源部33と、を有する。入出力部30は、N個の第2接点35を有する。各第2接点35は、配線62を介して、対応する第1接点225と電気的に接続されている。また、入出力部30は、例えばSDカードといった持ち運び可能なリムーバブルメディア36と物理的接続を可能とする端子を有する。また、入出力部30は、LANケーブル66を介して(または無線LANを介して)メール配信装置4に接続されている。入出力部30は、リムーバブルメディア36及びメール配信装置4と通信を行うインターフェイスである。
【0028】
CPU部31は、CPU311、RAM312、及びROM313を含む集積回路を有する。CPU部31は、ROM313に記憶されたプログラムをCPU311が読み出して実行することにより、警報判定メール送信装置3における様々な数値計算、情報処理、及び警報判定メール送信装置3内の制御を行う。また、CPU部31は、入出力部30のN個の第2接点35を通じて、地震に関する情報及び機器障害情報のBCDコード(またはアスキーコード)を取得する。
【0029】
リムーバブルメディア36には、予め用意された設定ファイル37が格納されている。設定ファイル37には、地震に関する情報及び機器障害情報に関して電子メール(警報判定メール)の送信の可否を判断するための所定条件、電子メール送信のためのメールサーバ接続プロトコル、電子メールの文面及び送信先が含まれる。
【0030】
CPU部31は、入出力部30を通じて、リムーバブルメディア36から設定ファイル37を読み込む。CPU部31は、N個の第2接点35を通じて入力した地震に関する情報が、設定ファイル37に含まれる所定条件に合致するか否かを判断する。所定条件とは、例えば、予め設定された閾値を超えたこと等である。CPU部31は、地震に関する情報が所定条件に合致する場合に、設定ファイル37が保持するメールサーバ接続プロトコルを用いて、電子メールをメール配信装置4に送信する。このとき、CPU部31は、地震に関する情報に関連付けられた、設定ファイル37が保持する文面及び送信先が設定された電子メールを送信する。電子メールの文面は、例えば以下のようなものである。
・件名「地震発生」文面「大きな地震を観測しました。」
・件名「震度が大きい地震発生」文面「震度3以上の地震を観測しました。」
・件名「SI値が大きい地震発生」文面「SI値が大きい地震を観測しました。」
・件名「地震発生-加速度」文面「加速度0123galの地震を観測しました。」
【0031】
また、CPU部31は、N個の第2接点35を通じて入力した機器障害情報が、設定ファイル37に含まれる所定条件に合致するか否かを判断する。CPU部31は、機器障害情報が所定条件に合致する場合に、設定ファイル37が保持するメールサーバ接続プロトコルを用いて、電子メール(警報判定メール、第2の電子メール)をメール配信装置4に送信する。このとき、CPU部31は、機器障害情報に関連付けられた、設定ファイル37が保持する文面及び送信先が設定された電子メールを送信する。電子メールの文面は、例えば以下のようなものである。
・件名「地震計故障発生」文面「地震計に重故障が発生しました。点検の必要があります。」
【0032】
表示部32は、入出力部30と電気的に接続されている。表示部32は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)である。表示部32は、入出力部30を介してCPU部31から地震に関する情報や機器障害情報などを受け取り、それらの情報を表示する。
【0033】
電源部33は、商用交流電源65に配線を介して接続されており、商用交流電源65から交流電力を受ける。電源部33は、その交流電力を、入出力部30、CPU部31、及び表示部32を駆動するための直流電力に変換する。
【0034】
再び
図1を参照する。メール配信装置4は、LANケーブル66(または無線LAN)を介して警報判定メール送信装置3と通信可能である。メール配信装置4は、警報判定メール送信装置3から送信された電子メールに含まれるメールテキスト(パケット)を、インターネット回線5を経由して、設定された送信先の端末装置へ配信する。メール配信装置4は、具体的には、有線LAN接続による接続、または、LTE(Long Term Evolution)による無線経由でインターネット回線5に接続する。送信先の端末装置は、メール配信装置4から配信された電子メールを受信する。送信先の端末装置は、例えば担当者のパソコンやスマートフォン等である。なお、図示例ではメール配信装置4は警報判定メール送信装置3と別個に構成されているが、メール配信装置4の機能は警報判定メール送信装置3に含まれてもよい。また、地震に関する情報を記載した電子メールと、機器障害情報を記載した電子メールとは、共通の電子メールであってもよいし、個別の電子メールであってもよい。
【0035】
ここで、リムーバブルメディア36に格納される設定ファイル37について詳細に説明する。設定ファイル37には、地震に関する情報及び機器障害情報に関する所定条件を設定する条件設定ファイルと、地震に関する情報及び機器障害情報に関連付けられた文面及び送信先の設定、および送信リトライの設定を行うメール送信設定ファイルとが含まれる。
【0036】
CPU部31は、N個の第2接点35の論理レベルを所定の周期で確認する。一実施例では、所定の周期は50ミリ秒である。CPU部31は、少なくとも一つの第2接点35の論理レベルが変化したことを所定回数にわたって連続して検知した場合、条件設定ファイルに基づいて、メール送信処理に移行すべきか否かを判断する。一実施例では、所定回数は6回(300ミリ秒)である。CPU部31は、N個の第2接点35から入力された情報が所定条件と合致する場合に、メール送信処理に移行する。メール送信処理では、CPU部31は、N個の第2接点35からの入力内容に応じたファイルをメールテキストコピー先にコピーする。なお、N個の第2接点35の論理レベルを確認する周期、少なくとも一つの第2接点35の論理レベルが変化したことを連続して検知するときの所定回数、及び、メールテキストのコピー条件などは、条件設定ファイルに含まれる設定データを変更することにより簡便に変更可能である。
【0037】
メール送信設定ファイルは、条件設定ファイルによりコピーされたファイルから件名及びメール内容を取得し、予め設定されているインターネット回線5上のメールサーバ接続プロトコルに対応するデータなどによりメールテキスト(パケット)を出力するためのファイルである。メール送信設定ファイルにおいても、各種条件は、設定データを変更することにより変更可能である。従って、セキュリティに関する技術進歩が早いインターネット回線5の環境への素早い対応が可能となる。また、設定の変更により、警報判定メール送信装置3において利用されるソフトウェアの変更も可能となるので、メールサーバ接続プロトコルの変更にも容易に対応することができる。
【0038】
以上の構成を備える本実施形態の警報判定メール送信システム1の設置方法及び動作方法は次の通りである。まず、所定条件の設定及び装置の接続を行う。具体的には、地震計2に地震に関する情報及び機器障害情報を設定する。次に、警報判定メール送信装置3の設定ファイル37を設定する。すなわち、リムーバブルメディア36に設定ファイル37を予め入力する。このとき、設定ファイル37の内容の変更を済ませておく。そして、リムーバブルメディア36を警報判定メール送信装置3の入出力部30に接続して、警報判定メール送信装置3の電源を投入する。続いて、地震計2のN個の第1接点225と、警報判定メール送信装置3のN個の第2接点35とを、N本の配線62によって接続する。続いて、メール配信装置4と警報判定メール送信装置3とを、LANケーブル66(または無線LAN)によって通信可能に接続する。
【0039】
こうして警報判定メール送信システム1が動作可能となったのち、地震計2は、地震動の計測、及び地震計2の状態確認を行い、地震に関する情報及び機器障害情報を作成する。そして、地震計2の処理部22は、これらの情報を、N個の第1接点225から警報判定メール送信装置3へ出力する。これらの情報は、警報判定メール送信装置3のN個の第2接点35に入力される。警報判定メール送信装置3は、入力された情報が、設定ファイル37の条件設定ファイルにおいて設定された所定条件と合致するか周期的に監視する。このときの周期は例えば50ミリ秒である。入力された情報が所定条件と合致した場合、合致した情報と関連する文面を設定する。具体的には、合致した情報と紐づけされたファイルをメール送信設定ファイルにコピーする。続いて、警報判定メール送信装置3は、メール送信設定ファイルにコピーされたファイルから、前述したような件名及び文面を取得する。例えば、N個の第2接点35からBCDコードで「1」を検出した場合には「地震発生」の件名及び文面を、「2」を検出した場合には「地震計故障発生」の件名及び文面を、「3」を検出した場合には「震度が大きい地震発生」の件名及び文面を、「4」を検出した場合には「SI値が大きい地震発生」の件名及び文面を、それぞれ取得するように設定する。続いて、警報判定メール送信装置3は、インターネット回線5におけるメールサーバ接続プロトコルに関する設定データに基づき、取得したメールテキスト(パケット)をメール配信装置4に電子メールとして出力する。メール配信装置4は、インターネット回線5を経由して、そのパケット(電子メール)を、電子メールとして所定の端末に配信する。
【0040】
また、地震に関する情報として加速度などの数値情報を監視する場合、警報判定メール送信装置3において、条件設定ファイルにより設定される所定条件を変更する。具体的には、例えば、所定時間(例えば1秒)毎に第2接点35の論理レベルを確認し、所定回数(例えば6回)にわたって論理レベルの変化を検出すると、当該数値情報を配信するためのメール送信処理に移行するように設定を変更する。そして、第2接点35の論理レベルが所定条件と一致した場合、その論理レベルによって示される数値情報と関連する文面を設定する。具体的には、4桁のBCDコードを数値化して、メール送信設定ファイルにその数値データをコピーする。そして、警報判定メール送信装置3は、メール送信設定ファイルにコピーされた数値データから、前述したような「地震発生-加速度」といった件名及び文面を作成する。続いて、警報判定メール送信装置3は、インターネット回線5におけるメールサーバ接続プロトコルに関する設定データに基づき、取得したメールテキスト(パケット)をメール配信装置4に電子メールとして出力する。メール配信装置4は、インターネット回線5を経由して、そのパケット(電子メール)を所定の端末に配信する。
【0041】
以上に説明した、本実施形態の警報判定メール送信システム1によって得られる効果について説明する。この警報判定メール送信システム1では、地震計2が有するN個の第1接点225と、警報判定メール送信装置3が有するN個の第2接点35とがそれぞれ電気的に接続されている。言い換えると、N個の第1接点225とN個の第2接点35とは互いにパラレル接続されている。そして、N個の第1接点225から出力された地震に関する情報が、N個の第2接点35に入力される。このとき、N個の第1接点225のそれぞれは1ビット分の情報を担う。地震計2と警報判定メール送信装置3とが、ネットワークではなくこのように接点同士で接続されていることにより、地震計2に対するコンピュータウイルスの侵入や不正アクセスといった外部からの脅威を防ぐことができる。
【0042】
また、この警報判定メール送信システム1では、警報判定メール送信装置3が、N個の第2接点35から入力した地震に関する情報について、所定条件に合致するか否かを判断する。そして、所定条件に合致する場合に、電子メールをメール配信装置4に送信する。メール配信装置4は、警報判定メール送信装置3から送信された電子メールを、インターネット回線5を経由して送信先へ配信する。これにより、インターネット回線5を利用して警報判定に関する電子メールを配信することができる。
【0043】
また、この警報判定メール送信システム1では、警報判定メール送信装置3が、予め用意された設定ファイル37に基づいて、地震に関する情報が所定条件に合致するか否かを判断する。更に、警報判定メール送信装置3は、設定ファイル37が保持するメールサーバ接続プロトコルを用いて、地震に関する情報に関連付けられた、設定ファイル37が保持する文面及び送信先にて電子メールを送信する。これにより、所定条件やメールサーバ接続プロトコル、電子メールの文面及び送信先を、設定ファイル37を変更するだけのソフトウェアの変更により容易に変更することができる。また、地震計2から出力される地震に関する情報(震度、加速度、SI値)並びに機器障害情報の項目を、使用者の要望に応じて容易にカスタマイズすることができる。
【0044】
本実施形態のように、自然現象を観測する観測機器は地震計2であり、自然現象に関する情報は、地震の震度、地震の加速度、及び地震のSI値のうち少なくとも一つを含んでもよい。この場合、地震計2からの震度等の情報を含む電子メールを、インターネット回線5を経由して配信することができる。
【0045】
本実施形態のように、Nは4以上であり、N個の第1接点225からN個の第2接点35へ伝えられる地震に関する情報は、BCDコードにより表されてもよい。この場合、N個の接点を利用して、地震に関する情報(特に数値情報)を10進数に対応付けて伝達することができる。
【0046】
本実施形態のように、地震計2は、地震計2の障害に関する機器障害情報をN個の第1接点225から更に出力してもよい。警報判定メール送信装置3は、地震計2から出力された機器障害情報をN個の第2接点35から入力し、設定ファイル37に基づいて、機器障害情報が所定条件に合致するか否かを判断し、機器障害情報が所定条件に合致する場合に、メールサーバ接続プロトコルを用いて、機器障害情報に関連付けられた、設定ファイル37が保持する文面及び送信先にて電子メールをメール配信装置4に送信してもよい。メール配信装置4は、警報判定メール送信装置3から送信された電子メールを、インターネット回線5を経由して該送信先へ配信してもよい。この場合、地震に関する情報に加えて、機器障害情報を含む電子メールを、インターネット回線5を利用して配信することができる。
【0047】
本実施形態のように、設定ファイル37はリムーバブルメディア36に格納されており、警報判定メール送信装置3は、リムーバブルメディア36から設定ファイル37を読み込んでもよい。この場合、持ち運びが容易なリムーバブルメディア36を通じて設定ファイル37を書き換えることができ、設定ファイル37の変更を簡便に行うことができる。これにより、セキュリティに関する技術進歩が早いインターネット環境の変化に迅速に対応可能なシステムを提供することができる。
【0048】
前述したように、メール配信装置4は、インターネット回線5と無線通信手段により接続されてもよい。この場合、警報判定メール送信システム1の設置工事が容易になる。
【0049】
本発明による警報判定メール送信システムは、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した各実施形態では観測機器として地震計を例示したが、観測機器は地震計に限られない。地震計以外の観測機器としては、例えば気象情報監視機器、環境監視機器等が挙げられる。
【符号の説明】
【0050】
1…警報判定メール送信システム、2…地震計、3…警報判定メール送信装置、4…メール配信装置、5…インターネット回線、21…計測部、22…処理部、30,220…入出力部、31,223…CPU部、32,222…表示部、33,224…電源部、35…第2接点、36…リムーバブルメディア、37…設定ファイル、61…シリアル通信回線、62…配線、63…CFカード、64…SDカード、65…商用交流電源、66,67…LANケーブル、211…加速度センサ、212…計測基板、221…時刻校正部、225…第1接点、226…GPSアンテナ、311…CPU、312…RAM、313…ROM。