(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044430
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】抵抗器
(51)【国際特許分類】
H01C 1/148 20060101AFI20240326BHJP
H01C 7/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01C1/148 A
H01C7/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149937
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】登内 功
【テーマコード(参考)】
5E028
5E033
【Fターム(参考)】
5E028CA04
5E028JB05
5E033BC01
5E033BD01
5E033BH04
(57)【要約】
【課題】基板の損傷を防止することができる抵抗器が提供される。
【解決手段】抵抗器1は、一対のキャップ状の電極3,3の側面3c、3cに形成された突部10,10を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗体と、
一対のキャップ状の電極と、
前記一対のキャップ状の電極の側面に形成された突部と、を備える面実装用抵抗器。
【請求項2】
前記突部は、前記抵抗体の幅の大きさ以上の幅の大きさを有する平坦部を有している、請求項1に記載の抵抗器。
【請求項3】
前記突部は、前記側面の全周に亘って配置されている、請求項1に記載の抵抗器。
【請求項4】
前記突部は、前記電極の開口端側に配置されている、請求項1に記載の抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗器、特に、面実装用抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
瞬間的に大きな電力(高電圧)が印加されても損傷しにくい抵抗体を備える抵抗器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高電圧に対応した抵抗器に高電圧が印加されると、抵抗器自体は損傷しないものの、抵抗器の抵抗体が発熱し、高温になる。このような抵抗器を基板に面実装すると、抵抗体と基板との間の距離が小さいため、抵抗体からの熱が基板に直接伝達される。したがって、高電圧の印加時に、抵抗体からの発熱によって基板が焼損し、配線の断線によって、回路が故障する危険がある。
【0005】
そこで、本発明は、基板の損傷を防止することができる抵抗器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、抵抗体と、一対のキャップ状の電極と、前記一対のキャップ状の電極の側面に形成された突部と、を備える面実装用抵抗器が提供される。
【0007】
一態様では、前記突部は、前記抵抗体の幅の大きさ以上の幅の大きさを有する平坦部を有している。
一態様では、前記突部は、前記側面の全周に亘って配置されている。
一態様では、前記突部は、前記電極の開口端側に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
突部を電極に設けることにより、抵抗器を基板に面実装したとき、抵抗器の抵抗体と基板との間には、一定の空間が形成される。この空間は、基板が抵抗体からの熱の影響を受けない大きさを有している。したがって、発熱した抵抗体が高温になった場合でも、基板への伝熱が抑制され、結果として、基板の損傷(焼損)を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】面実装用抵抗器の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)は本実施形態に係る抵抗器の効果を示す図であり、
図3(b)は比較例としての抵抗器を示す図である。
【
図6】
図6(a)乃至
図6(e)は、電極の側面に形成された突部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。以下で説明する複数の実施形態において、特に説明しない一実施形態の構成は、他の実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、面実装用抵抗器の一実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す面実装用抵抗器の正面図である。
図1および
図2に示すように、面実装用抵抗器(以下、単に抵抗器と呼ぶ)1は、導電性材料(例えば、セラミックス系材料)から構成された抵抗体2と、抵抗体2に装着される一対のキャップ状の、鉄・ニッケル系合金から構成された電極3,3と、を備えている。
【0012】
抵抗器1は、その全体として、直方体形状(矩形形状)を有している。このような形状により、抵抗器1は、転がりに起因する位置ずれすることなく、基板(プリント基板)に実装可能である。
【0013】
図1および
図2に示す実施形態では、抵抗体2は、四角柱(直方体または立方体)形状を有しているが、一実施形態では、抵抗体2は、円柱形状を有してもよい。抵抗体2は、第1方向(抵抗体2の長さ方向)に延びており、一方の電極3、抵抗体2、および他方の電極3は、この順に配置されている。第1方向と直交し、かつ水平に延びる方向は、第2方向(抵抗体2の幅方向)である。第1方向と直交し、かつ鉛直に延びる方向は、第3方向(抵抗体2の高さ方向)である。
【0014】
電極3,3は、同一の構造を有しているので、以下、単一の電極3の構造について説明することがある。
図1および
図2に示すように、キャップ状の電極3は、抵抗体2が挿入される開口端3aと、開口端3aの反対側の閉塞端3bと、開口端3aと閉塞端3bとの間に配置された側面3cと、を有している。
【0015】
抵抗器1は、一対のキャップ状の電極3,3の側面3c,3cに形成された突部10,10をさらに備えている。突部10は電極3と一体成形部材である。
図1および
図2に示す実施形態では、突部10は、電極3から張り出した鍔形状を有しており、側面3cの全周に亘って配置されている。
【0016】
図3(a)は本実施形態に係る抵抗器の効果を示す図であり、
図3(b)は比較例としての抵抗器を示す図である。
図3(a)に示す実施形態では、抵抗器1は、はんだ12によって、基板20に実装されている。
【0017】
図3(a)に示すように、抵抗器1を基板20上に面実装すると、抵抗体2と基板20の表面との間には、一定の大きさを有する空間SP1が形成される。空間SP1は、基板20が抵抗体2からの熱の影響を受けない大きさを有している。したがって、高電圧の印加によって発熱した抵抗体2が高温になった場合でも、基板20への伝熱が抑制され、結果として、基板20の損傷(焼損)を防止することができる。
【0018】
さらに、上述したように、突部10を側面3cの全周に亘って配置することにより、抵抗器1の実装する方向を特定することなく、抵抗器1を基板20に実装しても、基板20と抵抗体2との間に空間SP1を形成することができる。
【0019】
図3(b)に示すように、抵抗器に突部が設けられていない場合、比較例としての抵抗器の抵抗体は基板20に近接して配置される(例えば、特許文献1参照)。したがって、抵抗体と基板20との間の空間SP2は、極めて小さな空間である。したがって、基板20は、抵抗体の熱の影響を大きく受けてしまい、結果として、基板20が損傷(焼損)してしまうおそれがある。
【0020】
図4は、抵抗器を第1方向から見た図である。
図4に示すように、突部10は、抵抗体2の幅の距離(大きさ)D1以上の幅の距離(大きさ)D2を有する平坦部10aを有している。
図4に示す実施形態では、距離D2は、距離D1よりも大きいが、距離D1と同じであってもよい。平坦部10aは、幅の距離D2を有しているため、抵抗器1は、転がりに起因する位置ずれすることなく、基板20に実装可能である。平坦部10aは、抵抗器1を基板20に実装するときに、基板20に向かって延びる突部10の部位である。
【0021】
上述した実施形態では、突部10は、電極3の開口端3a側に配置されている。より具体的には、突部10は、開口端3aに接続されている。このような構造により、抵抗体2の両側に配置された突部10,10の間の距離D3(
図2参照)は、突部10,10を閉塞端3b,3b側に配置した場合と比較して、小さくなる。
【0022】
図5は、基板に実装される抵抗器を示す図である。
図5に示すように、抵抗器1を基板20に実装する方法として、マウンター30を用いる方法がある。マウンター30は、抵抗器1を基板20上に搬送する装置である。マウンター30は、抵抗体2の中心部分に接触して、抵抗体2を吸引する。その後、マウンター30は、抵抗体2を吸引した状態で、抵抗器1を基板20の上方に搬送して、抵抗器1(より具体的には、抵抗体2)を基板20に押し付ける。
【0023】
図5に示すように、抵抗体2の押し付けによって、抵抗器1を基板20に載置すると、抵抗体2には、応力が作用する。上述したように、突部10を開口端3a側に配置することにより、突部10,10の間の距離D3を小さくすることができる。したがって、抵抗体2に作用する応力に起因する抵抗器1の負荷を低減することができる。結果として、抵抗器1の損傷を防止することができる。
【0024】
図6(a)乃至
図6(e)は、電極の側面に形成された突部の変形例を示す図である。上述した実施形態では、突部10は、電極3の開口端3aに接続されている。
図6(a)に示す実施形態では、突部10は、開口端3aと閉塞端3bとの間に配置されている。
図6(b)に示す実施形態では、突部10は、閉塞端3b側に配置されている。より具体的には、突部10は、閉塞端3bに接続されている。
【0025】
上述した実施形態では、突部10は、側面3cの全周に亘って配置されている。
図6(c)に示す実施形態では、開口端3aに接続された突部10は、側面3cの全周ではなく、側面3cの一部に配置されている。より具体的には、突部10は、抵抗器1を基板20に実装したとき、基板20に向かって延びている。
図6(d)に示す実施形態では、突部10は、開口端3aと閉塞端3bとの間に配置されており、かつ側面3cの一部に配置されている。
図6(e)に示す実施形態では、突部10は、閉塞端3bに接続されており、かつ側面3cの一部に配置されている。
【0026】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 抵抗器
2 抵抗体
3 電極
3a 開口端
3b 閉塞端
3c 側面
10 突部
10a 平坦部
12 はんだ
20 基板
30 マウンター
SP1,SP2 空間
D1,D2,D3 距離