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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044437
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240326BHJP
【FI】
H02J7/02 X
H02J7/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149945
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】八坂 賢史
(72)【発明者】
【氏名】金田 健佑
(72)【発明者】
【氏名】鬼束 講介
(72)【発明者】
【氏名】吉富 大祐
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503EA02
5G503FA06
5G503HA00
(57)【要約】
【課題】バランス処理の実行によりオペレータが戸惑わない制御装置を提供することにある。
【解決手段】制御装置は、蓄電部と、バランス処理部と、制御部とを備える。蓄電部は、複数のバッテリセルを有しており、負荷に電力を供給する。バランス処理部は、負荷が停止した場合に、複数のバッテリセルの各々の電圧のばらつきの大きさに応じて電圧のばらつきを低減するバランス処理を実行可能である。制御部は、ばらつきの大きさに応じて、ばらつきの状態を表す状態画像を、表示のために生成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリセルを有しており、負荷に電力を供給する蓄電部と、
前記負荷が停止した場合に、前記複数のバッテリセルの各々の電圧のばらつきの大きさに応じて前記電圧のばらつきを低減するバランス処理を実行可能なバランス処理部と、
前記ばらつきの大きさに応じて、前記ばらつきの状態を表す状態画像を、表示のために生成する制御部と
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記ばらつきの状態は、予め定められた複数段階のいずれかで示される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記状態画像は、
前記複数段階のいずれかを示す段階画像と、
前記段階画像に隣接して配置され、前記段階画像が前記ばらつきの状態を表していることを示すマークと
を含む、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ばらつきの大きさが閾値以下である場合に、前記ばらつきの状態を第1態様で表す前記状態画像を生成し、
前記ばらつきの大きさが前記閾値を超える場合に、前記ばらつきの状態を前記第1態様とは異なる第2態様で表す前記状態画像を生成する、請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記状態画像は、前記蓄電部の充電量の残量を更に表す、請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記バランス処理の実行中に前記状態画像を、表示のために生成する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記負荷の始動と停止とを切り替える切換部を更に備え、
前記制御部は、第1文字列及び第2文字列の少なくとも一方と、第3文字列とを含む通知画像を、表示のために生成し、
前記第1文字列は、前記バランス処理の終了後に前記制御装置が停止することを示し、
前記第2文字列は、前記バランス処理の実行中に前記切換部により始動に切り替えることが可能であることを示し、
前記第3文字列は、前記バランス処理が実行されていることを示す、請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
前記ばらつきの大きさは、前記複数のバッテリセルの各々の電圧のうち最大値と最小値との差である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項9】
前記状態画像を表示する表示部を更に備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術に係る作業機械は、制御装置による制御下でバッテリパックから供給される電力で駆動される。バッテリパックは、複数のバッテリモジュールから構成される。各バッテリモジュールでは、複数のバッテリセルが直列接続されている。作業機械は更に、鉛バッテリを備えている。鉛バッテリは、バッテリパックよりも低電圧のバッテリである。また、鉛バッテリは、制御装置に駆動用の電力を供給する。制御装置は、作業機械のキースイッチがオンからオフに切り替わった後に、バッテリパックとは別の鉛バッテリの電圧が所定電圧値以上となり、かつバッテリパックの充電率が所定充電率値以上となる時間範囲で、バランス処理を実行する。バランス処理により、バッテリセルごとのエネルギ容量のばらつきが抑えられる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-161888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術では、作業機械のオペレータは、負荷の停止後にバランス処理が実行されることを知ることができないという問題点がある。従って、オペレータは、キースイッチの操作により作業機械を停止させたにも関わらず、作業機械においてバランス処理が実行されるため、戸惑ってしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷の停止後にバランス処理が実行されることをオペレータが知ることができる制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、蓄電部と、バランス処理部と、制御部とを備える。前記蓄電部は、複数のバッテリセルを有しており、負荷に電力を供給する。前記バランス処理部は、前記負荷が停止した場合に、前記複数のバッテリセルの各々の電圧のばらつきの大きさに応じて前記電圧のばらつきを低減するバランス処理を実行可能である。前記制御部は、前記ばらつきの大きさに応じて、前記ばらつきの状態を表す状態画像を、表示のために生成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、負荷の停止後にバランス処理が実行されることをオペレータが知ることができる制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る制御装置を備える作業機械のブロック図である。
図2図1に示されるバッテリパックの構成例を示すブロック図である。
図3】特性値とばらつきとの関係を示す図である。
図4図1に示される制御装置100の処理を示すフローチャートである。
図5図4に示されるステップS104で生成される状態画像91を示す図である。
図6図4に示されるステップS105で生成される状態画像92を示す図である。
図7図1に示されるディスプレイ9の表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態及び各種変形例を説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
[実施形態]
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る制御装置100を備える作業機械200について説明する。作業機械200は、例えば油圧ショベル又はホイルローダである。図1は、実施形態に係る制御装置100を備える作業機械200のブロック図である。図1に示されるように、作業機械200は、制御装置100と、負荷としての電動モータ201と、油圧ポンプ202と、コントロールバルブ203と、油圧アクチュエータ204とを備えている。
【0011】
電動モータ201は、例えば三相交流モータであり、インバータ3から交流電力が与えられると、駆動力を生成する。油圧ポンプ202は、電動モータ201からの駆動力により動作する。その結果、コントロールバルブ203を介して油圧アクチュエータ204に作動油が供給される。油圧アクチュエータ204は、例えば、ブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダ、スイング用油圧シリンダ、旋回用の油圧シリンダである。
【0012】
制御装置100は、電動モータ201と電気的に接続されており、電動モータ201への電力供給を制御する。制御装置100は、整流器1と、バッテリパック2と、インバータ3と、DC-DCコンバータ(以下、「コンバータ」と略記する。)4と、低電圧バッテリ5と、ECU(Electronic Control Unit)6と、自己保持回路7と、キースイッチ8と、ディスプレイ9とを備える。
【0013】
バッテリパック2は、蓄電部の一例である。ECU6は、制御部の一例である。ディスプレイ9は、表示部の一例である。
【0014】
整流器1は、外部電源300から給電経路301を介して交流電圧(交流電力)の供給を受けることが可能である。外部電源300は、例えば商用電源又は電源装置である。給電経路301は、例えば電力ケーブルである。整流器1は更に、バッテリパック2とインバータ3とに電気的に接続されている。整流器1は、作業機械200の動作モードが第1モードであるとき、交流電圧を直流電圧に変換し、変換した直流電圧をバッテリパック2に与える。整流器1は更に、動作モードが第2モードであるとき、交流電圧を直流電圧に変換し、変換した直流電圧をインバータ3に与える。整流器1は更に、動作モードが第3モードであるとき、整流器1からバッテリパック2及びインバータ3への給電経路を遮断する。その結果、バッテリパック2により直流電圧がインバータ3に与えられる。第1モード、第2モード及び第3モードは、作業機械200に設けられたモードスイッチ(図示せず)により選択的に切り替えられる。
【0015】
バッテリパック2は、充放電可能な二次電池である。バッテリパック2は、典型的には、リチウムイオンバッテリである。バッテリパック2は、第1モードのとき、整流器1から直流電圧が与えられることで、充電を行う。バッテリパック2は、第3モードのときには放電することにより、直流電圧をインバータ3に与える。
【0016】
インバータ3は、整流器1又はバッテリパック2から与えられた直流電圧を交流電圧に変換し、変換した交流電圧を電動モータ201に与える。換言すると、バッテリパック2は、インバータ3を介して、負荷としての電動モータ201に交流電圧を与える。
【0017】
コンバータ4は、バッテリパック2から与えられる直流電圧を降圧して、低電圧バッテリ5の充電に適した直流電圧に変換する。コンバータ4は、変換した直流電圧を低電圧バッテリ5に与える。即ち、コンバータ4は、バッテリパック2から低電圧バッテリ5に電力供給が可能である。
【0018】
低電圧バッテリ5は、充放電可能な二次電池である。低電圧バッテリ5は、リチウムイオンバッテリに限らず、鉛蓄電池でもよい。低電圧バッテリ5は、コンバータ4から直流電圧が与えられることで充電を行う。低電圧バッテリ5は、給電経路101を介してECU6に電気的に接続されている場合に、直流電圧をECU6に与える。
【0019】
ECU6は、低電圧バッテリ5からの直流電圧により動作する。即ち、ECU6は、低電圧バッテリ5から電力供給を受ける。ECU6は、回路基板上に実装された各種ICを有する。各種ICは、例えば電源回路及びマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータは、メモリを内蔵する。なお、メモリは、マイクロコンピュータとは別のICとして回路基板に実装されてもよい。メモリは、制御プログラム及び各種データを記憶する。マイクロコンピュータは、動作を開始すると、制御プログラムの実行を開始し、作業機械200の構成各部を制御する。
【0020】
自己保持回路7は、給電経路101上に設けられたリレーの動作を保持する回路である。自己保持回路7は、キースイッチ8からの始動信号が入力されると、リレーをオンにする。その結果、ECU6と低電圧バッテリ5とは給電経路101により電気的接続される。即ち、低電圧バッテリ5からECU6への電力供給が開始される。自己保持回路7は、ECU6から解除信号が入力されると、リレーをオフにする。その結果、給電経路101が遮断される。
【0021】
キースイッチ8は、作業機械200のステアリングホイール(図示せず)の付近に配置されている。キースイッチ8は、オペレータの操作により、作業機械200の始動(即ち、オン)と停止(即ち、オフ)とを切り替えるスイッチである。即ち、キースイッチ8は、負荷としての電動モータ201の始動と停止とを切り替える。キースイッチ8は、始動に切り換えられると、始動信号を自己保持回路7に送信する。また、キースイッチ8が始動に切り換えられると、作業機械200のエンジン(図示せず)が始動する。それに対し、キースイッチ8は、停止に切り替えられることにより、停止信号をECU6に送信する。また、キースイッチ8が停止に切り換えられると、エンジンが停止する。
【0022】
ディスプレイ9は、作業機械200の運転座席(図示せず)の付近に配置されている。ディスプレイ9は、ECU6から送信されてくる各種画像データが示す画像を画面に表示する。特に、ディスプレイ9は、バランス処理(後述)の実行中にバランス処理に関連する画像を画面に表示する。
【0023】
次に、図2を参照して、バッテリパック2の詳細について説明する。図2は、図1に示されるバッテリパック2の構成例を示すブロック図である。図2に示されるように、バッテリパック2は、4つのバッテリモジュール21と、BMU(Battery Management Unit)22とを備える。なお、バッテリモジュール21は、組電池とも呼ばれる。バッテリモジュール21の数は1以上であればよい。
【0024】
各バッテリモジュール21は、CMU(Cell Management Unit)211と、4つのバッテリセル212と、4つのセルバランス回路213と、4つの電圧検出回路214とを有する。即ち、バッテリパック2は、複数のバッテリセル212を有する。なお、図2では、都合上、参照符号「211」,「212」,「213」,「214」は、1つのCMUと、1つのバッテリセルと、1つのセルバランスと、1つの電圧検出回路とに付されている。
【0025】
CMU211は、同一バッテリモジュール21が有する4つのバッテリセル212の状態を監視し制御する。
【0026】
各バッテリセル212は、充放電可能である。バッテリセル212は、バッテリパック2に合計16個設けられる。16個のバッテリセル212は、直列に接続される。また、16個のバッテリセル212の各々には、セルバランス回路213と電圧検出回路214とが1つずつ並列に接続される。
【0027】
各セルバランス回路213は、放電抵抗及びスイッチング素子を有する。スイッチング素子は、同一バッテリモジュール21に含まれるCMU(以下、「対応CMU」と記載する。)211の制御下でオンオフにされる。スイッチング素子がオンの間、放電抵抗と並列接続されたバッテリセル212が放電する。その結果、バッテリパック2が有するセル電圧のばらつきが低減する。
【0028】
各電圧検出回路214は、対応CMU211の制御下で、自身と並列接続されたバッテリセル212の電圧(以下、「セル電圧」と記載する。)を検出して、検出されたセル電圧を対応CMU211に出力する。
【0029】
※請求項8の構成,効果
BMU22は、バッテリパック2に含まれる4つのバッテリモジュール21の状態を制御する。BMU22は、各電圧検出回路214からのセル電圧を、各CMU214から取得する。BMU22は、取得した各セル電圧のばらつきの大きさを示す特性値を導出する。BMU22は、導出した特性値を、ECU6に出力する。詳細には、特性値は、全てのセル電圧における最大値と最小値との差である。従って、特性値が簡単な演算で導出される。
【0030】
図3は、特性値とばらつきとの関係を示す図である。図3に示されるように、特性値と、ばらつきとの間には正の相関関係が存在する。また、特性値は、0[mV]以上の値を有する。実施形態では、複数段階は、ばらつきの度合いを示すために、レベルL1,L2,L3,L4が複数段階の一例として、制御プログラムに予め記述されている。特性値が第1範囲の場合、ばらつきは、複数段階のうち最低レベルのレベルL1と予め定められている。第1範囲は、例えば0[mV]以上でV1(例えば20[mV])未満である。同様に、特性値が第2範囲、第3範囲及び第4範囲の場合、ばらつきは、レベルL2、レベルL3、レベルL4であるとそれぞれ予め定められる。なお、第2範囲から第4範囲の具体的な数値範囲は、図3に示される通りである。
【0031】
次に、図1から図6を参照して、ECU6の処理について詳細に説明する。図4は、図1に示される制御装置100の処理を示すフローチャートである。図5は、図4に示されるステップS104で生成される状態画像91を示す図である。図6は、図4に示されるステップS105で生成される状態画像92を示す図である。
【0032】
図4に示されるように、キースイッチ8が始動に切り換えられてから停止に切り換えられる間、制御装置100は、作業機械200の制御以外にも、ステップS101からS107を周期的に繰り返し実行する。
【0033】
ステップS101において、ECU6は、特性値の送信要求をBMU22に送信する。
【0034】
ステップS102において、BMU22は、送信要求の受信に応じて、各電圧検出回路214からセル電圧を取得する。BMU22は、取得したセル電圧に基づいて特性値を導出する。BMU22は、導出した特性値をECU6に送信する。
【0035】
ステップS103において、ECU6は、受信した特性値が示すばらつきの大きさが第1閾値以上か否かを判定する。第1閾値は、セル電圧のばらつきが大きいか小さいかを示す基準値である。ECU6は、第1閾値以上でない場合(ステップS103でNo)、ステップS104を実行する。一方、ECU6は、第1閾値以上である場合(ステップS103でYes)、ステップS105を実行する。
【0036】
ステップS104,S105のいずれにおいても、ECU6は、状態画像(図4図5参照)を示す状態画像データを、ディスプレイ9での表示のために生成する。状態画像は、ばらつきの大きさに応じてばらつきの状態を示す。従って、オペレータは、ディスプレイ9に表示された状態画像を見たときに、ばらつきが大きいことからキースイッチ8を停止に切り換えた後にバランス処理が実行されることを認識できる。その結果、オペレータは、キースイッチ8の操作により作業機械200を停止させた後にバランス処理が開始されても戸惑わない。
【0037】
詳細には、ステップS104において、ECU6は、図5に示される状態画像91を示す状態画像データを生成する。状態画像91は、ばらつきの状態を第1態様で表す。詳細には、状態画像91は、段階画像911と、第1マーク912とを含む。段階画像911は、複数段階(即ち、レベルL1~L4)のいずれかを示すマークである。実施形態では、段階画像911は、例えば、レベルL1~L4により高さが異なる矩形形状を有する。詳細には、レベルL1の場合に、段階画像911は最も高い。以降、レベルL2,L3,L4の順に、段階画像911は低くなる。従って、段階画像911は、ばらつきの状態を、複数段階のいずれかを示している。その結果、作業機械200のオペレータが状態画像91を少し見るだけで、ばらつきの状態を直感的に認識できる。なお、図5には、レベルL1の段階画像911が例示されている。
【0038】
第1マーク912は、ECU6により段階画像911に隣接して配置される。第1マーク912は、段階画像911がばらつきの状態を表していることを意味する。よって、オペレータが状態画像91を見たときに、段階画像911がばらつきの状態を示していることを直感的に認識できる。なお、実施形態では、第1マーク912は、例えば天秤を示しており、マークの一例である。
【0039】
状態画像91は、第2マーク913を更に含んでいてもよい。第2マーク913は、バッテリパック2の充電量の残量を、複数段階のいずれかを示すマークである。即ち、状態画像91は、バッテリパック2の充電量の残量を更に表す。これにより、オペレータに、バッテリパック2に関してより多くの情報を提供できる。
【0040】
ステップS105において、ECU6は、図6に示される状態画像92を示す状態画像データを生成する。状態画像92は、ばらつきの状態を、第1態様とは異なる第2態様で表す。詳細には、状態画像92は、段階画像921と、第1マーク922とを含む。段階画像921は、段階画像911と同様である。なお、図6には、レベルL3の段階画像921が例示されている。
【0041】
第1マーク922は、ECU6により段階画像921に隣接してレイアウトされる。第1マーク922は、第1マーク912と同様に、段階画像921がばらつきの状態を表しており、第1マーク912と比較して異なる態様を有する。従って、オペレータが状態画像92を見たときに、ばらつきの状態が比較的良くないことを直感的に認識できる。実施形態では、第1マーク922は、第1マーク912を強調した形態を有する。
【0042】
状態画像92は、第2マーク913と同様の第2マーク923を更に含んでいてもよい。
【0043】
ステップS104,S105の次に、ステップS106において、ECU6は、ステップS104,S105で生成した状態画像91,92(詳細には、状態画像データ)を、表示のためにそれぞれ送信する。ステップS106において、ディスプレイ9は更に、ECU6から受信した状態画像データに基づく状態画像91,92を画面にそれぞれ表示する。従って、オペレータは、状態画像91,92を見たときに、制御装置100内のバッテリパック2のばらつきの状態を直感的に認識できる。
【0044】
ステップS107において、ECU6は、キースイッチ8から停止信号を受信したか否かを判定する。ECU6は、停止信号を受信していないと判定した場合(ステップS107でNo)、ステップS101を実行する。一方、ECU6は、停止信号を受信したと判定した場合(ステップS107でYes)、ステップS108を実行する。
【0045】
ステップS108~S110は、ステップS101~S103と同様の処理である。ECU6は、第1閾値以上でないと場合(ステップS110でNo)、ステップS111を実行する。一方、ECU6は、第1閾値以上であると判定した場合(ステップS110でYes)、ステップS112,S113を順番に実行する。
【0046】
ステップS111において、ECU6は、バランス処理を実行する必要がないことから、自己保持回路7に解除信号を送信する。自己保持回路7は、解除信号の受信に応じて、リレーをオフにすることにより給電経路101を遮断する。その結果、作業機械200は停止する。即ち、図4の処理は終了する。
【0047】
ステップS112,S113は、ステップS105,S106と同様の処理である。従って、ディスプレイ9の画面には、状態画像92が表示される。その結果、オペレータは、ステップS114のバランス処理がこれから実行されることを認識できる。その結果、オペレータは、キースイッチ8の操作により作業機械200を停止させた後にバランス処理が開始されても戸惑わない。
【0048】
ステップS114において、ECU6は、第1コマンドをコンバータ4に送信するとともに第2コマンドをBMU22に送信する。第1コマンドは、バッテリパック2から低電圧バッテリ5への電力供給を指示するためのコマンドである。第2コマンドは、バランス処理の実行を指示するためのコマンドである。
【0049】
コンバータ4は、第1コマンドの受信に応じて、バッテリパック2から低電圧バッテリ5に直流電圧を与えて、低電圧バッテリ5に充電させる。従って、ECU6には、低電圧バッテリ5からの直流電圧が与えられ続ける。その結果、下記のバランス処理が安定的に実行される。
【0050】
BMU22は、第2コマンドの受信に応じて、バランス処理の実行を各CMU211に指示する。各CMU211は、同一バッテリモジュール21が有する4つのバッテリセル212のうち、少なくとも1つの対象バッテリセル212を特定する。対象バッテリセル212は、少なくとも、最大のセル電圧を有するバッテリセル212を含む。各CMU211は、対象バッテリセル212に並列接続されたセルバランス回路(以下、「対応セルバランス回路」と記載する。)213のスイッチング素子をオンにする。その結果、対象バッテリセル212は放電を行う。その結果、各セル電圧のばらつきが低減する。なお、各CMU211は、各対応セルバランス回路213のスイッチング素子を適宜オフにする。各スイッチング素子をオフにするための条件又はタイミングは、公知技術を適用可能である。なお、BMU22及び各CMU211は、バランス処理部の一例である。
【0051】
ECU6は、バランス処理の最中に、ステップS115を周期的に実行する。ステップS115において、ECU6は、ステップS101,S102と同様にして、BMU22から特性値を受信する。ECU6は更に、受信した特性値が第2閾値以下か否かを判定する。第2閾値は、第1閾値より小さく、予め定められている。ECU6は、第2閾値以下でないと判定した場合(ステップS115でNo)、ステップS115を実行する。一方、ECU6は、第2閾値以下であると判定した場合(ステップS115でYes)、ステップS111を実行する。
【0052】
[第2変形例]
次に、図1及び図7を参照して、ECU6の処理の第2変形例について詳細に説明する。図7は、図1に示されるディスプレイ9の表示画面例を示す図である。
【0053】
ECU6は、バランス処理(ステップS114)の実行中に、図7に示されるような通知画像93を示す画像データを、表示のために生成する。ディスプレイ9に表示させる。通知画像93は、第1文字列931及び第2文字列932の少なくとも一方と、第3文字列933とを含む。第1文字列931は、バランス処理の終了後に制御装置100が停止することを示す文字列である。第2文字列932は、バランス処理の実行中にキースイッチ8により作業機械200を始動に切り替えることが可能であることを示す文字列である。第3文字列933は、バランス処理が実行されていることを示す文字列である。ディスプレイ9は、ECU6により生成された画像データに基づく通知画像93を表示する。
【0054】
第2変形例によれば、作業機械200のオペレータは、通知画像93における第1文字列931及び第2文字列932の少なくとも一方と、第3文字列933とを見ることで、作業機械200の現状を容易に理解できる。
【0055】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0056】
また、図面は、本開示の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0057】
(1)実施形態では、電動モータ201が三相交流モータであるため、バッテリパック2は、インバータ3を介して、負荷としての電動モータ201に交流電力を与える。しかし、これに限らず、電動モータ201が直流モータの場合には、バッテリパック2は、DC-DCコンバータを介して、又は直接的に電動モータ201に直流電圧を与えることができる。
【0058】
(2)実施形態では、特性値は、全てのセル電圧における最大値と最小値との差であった。しかし、これに限らず、特性値は、全てのセル電圧の分散又は標準偏差でもよい。他にも、バッテリモジュール21ごとにセル電圧の最小値(即ち、実施形態では4つのセル電圧)が選択される。選択されたセル電圧における最大値と最小値との差が特性値として導出されてもよい。
【0059】
(3)実施形態では、制御装置100は、作業機械200の電動モータ201を制御していた。しかし、これに限らず、制御装置100は、例えば電気自動車のモータを制御してもよい。他にも、制御装置100は、バッテリパック2を備える電気機器又は電子機器に適用可能である。
【0060】
(4)実施形態では、制御装置100は、オペレータにより操作される作業機械200に適用されていた。しかし、これに限らず、制御装置100は、遠隔操作可能な作業機械200に適用されてもよい。この場合、制御装置100は、キースイッチ8の代わりに、始動及び停止が切り換えるためのリモートコントローラを備える。他にも、制御装置100は、自動運転可能な作業機械200に適用されてもよい。この場合、制御装置100は、キースイッチ8の代わりに、ECU6が作業機械200の始動及び停止を切り換える。
【0061】
(5)実施形態では、制御装置100は、ディスプレイ9を備えていた。しかし、これに限らず、作業機械200がリモートコントローラにより遠隔操作可能であったり、クラウドコンピュータにより監視可能であったりする場合、制御装置100がディスプレイ9を備えている必要はない。詳細には、制御装置100は、無線通信インタフェースを通じて、状態画像データをリモートコントローラ又はクラウドコンピュータに送信すればよい。
【0062】
本願は、以下の付記を開示する。以下の付記は、本発明を限定するものではない。
【0063】
(付記1)
複数のバッテリセルを有しており、負荷に電力を供給する蓄電部と、
前記負荷が停止した場合に、前記複数のバッテリセルの各々の電圧のばらつきの大きさに応じて前記電圧のばらつきを低減するバランス処理を実行可能なバランス処理部と、
前記ばらつきの大きさに応じて、前記ばらつきの状態を表す状態画像を、表示のために生成する制御部と
を備える、制御装置。
【0064】
(付記2)
前記ばらつきの状態は、予め定められた複数段階のいずれかで示される、付記1に記載の制御装置。
【0065】
(付記3)
前記状態画像は、
前記複数段階のいずれかを示す段階画像と、
前記段階画像に隣接して配置され、前記段階画像が前記ばらつきの状態を表していることを示すマークと
を含む、付記2に記載の制御装置。
【0066】
(付記4)
前記制御部は、
前記ばらつきの大きさが閾値以下である場合に、前記ばらつきの状態を第1態様で表す前記状態画像を生成し、
前記ばらつきの大きさが前記閾値を超える場合に、前記ばらつきの状態を前記第1態様とは異なる第2態様で表す前記状態画像を生成する、付記1から付記3のいずれかに記載の制御装置。
【0067】
(付記5)
前記状態画像は、前記蓄電部の充電量の残量を更に表す、付記1から付記4のいずれかに記載の制御装置。
【0068】
(付記6)
前記制御部は、前記バランス処理の実行中に前記状態画像を、表示のために生成する、付記1から付記5のいずれかに記載の制御装置。
【0069】
(付記7)
前記負荷の始動と停止とを切り替える切換部を更に備え、
前記制御部は、第1文字列及び第2文字列の少なくとも一方と、第3文字列とを含む通知画像を、表示のために生成し、
前記第1文字列は、前記バランス処理の終了後に前記制御装置が停止することを示し、
前記第2文字列は、前記バランス処理の実行中に前記切換部により始動に切り替えることが可能であることを示し、
前記第3文字列は、前記バランス処理が実行されていることを示す、付記1から付記6のいずれかに記載の制御装置。
【0070】
(付記8)
前記ばらつきの大きさは、前記複数のバッテリセルの各々の電圧のうち最大値と最小値との差である、付記1から付記7のいずれかに記載の制御装置。
【0071】
(付記9)
前記状態画像を表示する表示部を更に備える、付記1から付記8のいずれかに記載の制御装置。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、制御装置に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0073】
100 制御装置
1 整流器
2 バッテリパック
21 バッテリモジュール
211 CMU
212 バッテリセル
213 セルバランス回路
214 電圧検出回路
22 BMU
3 インバータ
4 コンバータ
5 低電圧バッテリ
6 ECU
7 自己保持回路
8 キースイッチ
9 ディスプレイ
101 給電経路
200 作業機械
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7