(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044457
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/20 20180101AFI20240326BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240326BHJP
【FI】
C09J7/20
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149978
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】594077437
【氏名又は名称】株式会社キングパッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】植村 誓
【テーマコード(参考)】
4J004
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004CB03
4J004CC06
4J004CE03
4J004FA08
(57)【要約】
【課題】基材の延伸方向が長手方向に設定されていても短手方向における手切れ性の良好なテープを提供する。
【解決手段】テープ1は、延伸方向が長手方向D1に設定された一軸延伸フィルムであるベースフィルムB1を有しており、このベースフィルムB1には、短手方向D2に沿って強度の低い複数のハーフスリット31を有する強度低減部30が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸方向が長手方向に設定された一軸延伸フィルムを主基材に用いた長尺状のテープであって、
短手方向に沿って前記主基材に形成された強度の低い複数の誘導線を有する強度低減部を備えるテープ。
【請求項2】
前記誘導線は、前記主基材の一方の面から他方の面に至らない深さを有するハーフスリットである請求項1記載のテープ。
【請求項3】
前記誘導線は、前記主基材の一方の面から他方の面に至るスリットが、前記短手方向に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたミシン目線である請求項1記載のテープ。
【請求項4】
前記強度低減部は、前記スリットが前記短手方向に延びるよう形成された第1直進誘導ミシン目線と、
前記スリットが前記短手方向に延びるよう形成され、前記スリットが形成されていない部位が前記第1直進誘導ミシン目線の前記スリットが形成されていない部位と前記短手方向において重なるように形成された第2直進誘導ミシン目線と、
前記第1直進誘導ミシン目線と前記第2直進誘導ミシン目線との間に配置され、前記スリットが、前記第1直進誘導ミシン目線及び前記第2直進誘導ミシン目線の前記スリットが形成されていない部位と前記短手方向において重なる部位において、前記短手方向と交差する方向に延びるように形成された誘導ミシン目線と、
を備える請求項3記載のテープ。
【請求項5】
前記強度低減部は、前記スリットが前記短手方向に延びるよう形成された第1ミシン目線と、
前記第1ミシン目線の両側に配置され、前記スリットが前記短手方向に延びるよう形成され、前記スリットが形成されていない部位が前記第1ミシン目線の前記スリットが形成されていない部位と前記短手方向において互いに重ならないように千鳥状に配置されている複数の第2ミシン目線と、
を備える請求項3記載のテープ。
【請求項6】
前記長手方向に沿って、前記主基材の一方の面側が粘着面とされ他方の面側が非粘着面とされた粘着部と、前記主基材の両面側が非粘着面とされた非粘着部とが交互に設けられており、
前記強度低減部は、前記粘着部の中央部に形成されている、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載のテープ。
【請求項7】
前記非粘着部における前記主基材の一方の面に設けられた副基材を備える請求項6記載のテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、様々なテープが製品化されているが、その一種に引張強度を高めた強化テープがある。このような強化テープに、MOPP(Monoaxially Oriented PolyPropylene:一軸延伸ポリプロピレン)フィルム等の一軸延伸フィルムを基材に用いたものがある。基材の延伸方向が長手方向に設定された強化テープは、長手方向における引張強度が高いものの、長手方向に裂けやすいという性質を有する。以下の特許文献1,2には、縁部に傷がついても容易に切断されることがない強化テープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6661816号公報
【特許文献2】特許第6714179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した強化テープは、長手方向に裂けやすいという性質を有することから、巻芯に巻回された巻尺状の強化テープは、テープカッターを用いて所定の長さに切断されて用いられることが多い。このテープカッターは、巻尺状の強化テープを回転可能に支持し、強化テープを一定長さ引き出して切断する機構を備えるものである。
【0005】
しかしながら、例えば、巻尺状の強化テープを外部に持ち出して使用する場合等においては、巻尺状の強化テープとともにテープカッターを持ち運ばなければならず煩わしい。このような場合において、使用者が強化テープを手でちぎることで強化テープを容易に切断することができるのであれば、テープカッターを持ち運ぶ必要がなくなるので好適である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、基材の延伸方向が長手方向に設定されていても短手方向における手切れ性の良好なテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様によるフィルムは、延伸方向が長手方向(D1)に設定された一軸延伸フィルムを主基材(B1)に用いた長尺状のテープ(1~3)であって、短手方向(D2)に沿って前記主基材に形成された強度の低い複数の誘導線(31~33)を有する強度低減部(30)を備える。
【0008】
また、本発明の第2の態様によるフィルムは、第1の態様によるフィルムにおいて、前記誘導線が、前記主基材の一方の面(S1)から他方の面(S2)に至らない深さを有するハーフスリット(31)である。
【0009】
また、本発明の第3の態様によるフィルムは、第1の態様によるフィルムにおいて、前記誘導線が、前記主基材の一方の面(S1)から他方の面(S2)に至るスリット(SL、SL11~SL13、SL21~SL23)が、前記短手方向に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたミシン目線(32、33)である。
【0010】
また、本発明の第4の態様によるフィルムは、第3の態様によるフィルムにおいて、前記強度低減部が、前記スリット(SL11)が前記短手方向に延びるよう形成された第1直進誘導ミシン目線(32a)と、前記スリット(SL12)が前記短手方向に延びるよう形成され、前記スリットが形成されていない部位(P12)が前記第1直進誘導ミシン目線の前記スリットが形成されていない部位(P11)と前記短手方向において重なるように形成された第2直進誘導ミシン目線(32b)と、前記第1直進誘導ミシン目線と前記第2直進誘導ミシン目線との間に配置され、前記スリット(SL13)が、前記第1直進誘導ミシン目線及び前記第2直進誘導ミシン目線の前記スリットが形成されていない部位と前記短手方向において重なる部位において、前記短手方向と交差する方向に延びるように形成された誘導ミシン目線(32c)と、を備える。
【0011】
また、本発明の第5の態様によるフィルムは、第3の態様によるフィルムにおいて、前記強度低減部が、前記スリット(SL21)が前記短手方向に延びるよう形成された第1ミシン目線(33a)と、前記第1ミシン目線の両側に配置され、前記スリット(SL22,SL23)が前記短手方向に延びるよう形成され、前記スリットが形成されていない部位(P22、P23)が前記第1ミシン目線の前記スリットが形成されていない部位(P21)と前記短手方向において互いに重ならないように千鳥状に配置されている複数の第2ミシン目線(33b、33c)と、を備える。
【0012】
また、本発明の第6の態様によるフィルムは、第1から第5の態様の何れかの態様によるフィルムにおいて、前記長手方向に沿って、前記主基材の一方の面側が粘着面とされ他方の面側が非粘着面とされた粘着部(10)と、前記主基材の両面側が非粘着面とされた非粘着部(20)とが交互に設けられており、前記強度低減部が、前記粘着部の中央部に形成されている。
【0013】
また、本発明の第7の態様によるフィルムは、第6の態様によるフィルムにおいて、前記非粘着部における前記主基材の一方の面に設けられた副基材(B2)を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基材の延伸方向が長手方向に設定されていても短手方向における手切れ性の良好なテープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態によるテープを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるテープに設けられた強度低減部を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態によるテープの非粘着部の長手方向における断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるテープの使用例を示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態によるテープを示す平面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態によるテープを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるテープについて詳細に説明する。尚、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるテープを示す斜視図である。
図1に示す通り、本実施形態のテープ1は、円環状の巻芯WCの外周面に巻回された可撓性を有する長尺状のテープである。このテープ1には、長手方向D1に沿って、粘着部10と非粘着部20とが交互に設けられている。
【0018】
粘着部10は、ベースフィルムB1(主基材)の何れか一方の面側が粘着面とされ、他方の面側が非粘着面とされた部位である。非粘着部20は、ベースフィルムB1の両面側が非粘着面とされた部位である。尚、本実施形態では、巻芯WCに巻回された状態で内側となる面S1(
図2参照)の側が粘着部10の粘着面とされるものとする。尚、巻芯WCに巻回された状態で外側となる面S2(
図2参照)の側は、全面に亘って非粘着面とされている。
【0019】
ベースフィルムB1は、一定の幅を有する可撓性のある長尺状の部材であり、延伸方向が長手方向D1に設定された一軸延伸フィルム(例えば、MOPPフィルム)である。ベースフィルムB1として、延伸方向が長手方向D1に設定された一軸延伸フィルムを用いるのは、テープ1の長手方向D1における引張強度を高めるためである。ベースフィルムB1は、単一のフィルムであってもよく、複数のフィルムを張り合わせたものであってもよい。
【0020】
粘着部10の中央部には、強度低減部30が設けられている。この強度低減部30は、短手方向D2に沿ってテープ1の強度を低減させたものであり、テープ1の短手方向D2における手切れ性を良好にするためのものである。一軸延伸フィルムであるベースフィルムB1は、長手方向D1における引張強度が高いものの、長手方向D1に裂けやすいという性質を有する。強度低減部30は、使用者がテープ1を手でちぎって切断する際に、ベースフィルムB1が長手方向D1に裂けることなく短手方向D2に切断できるようにするために設けられている。
【0021】
図2は、本発明の第1実施形態によるテープに設けられた強度低減部を示す図である。尚、
図2(a)は、強度低減部30を拡大した斜視図であり、
図2(b)は、強度低減部30の長手方向D1における断面図である。
図2に示す通り、強度低減部30は、ベースフィルムB1の面S1側に形成された複数(
図1,2に示す例では、3本)のハーフスリット31(誘導線)を有する。
【0022】
複数のハーフスリット31を設けるのは、あるハーフスリット31に沿ってベースフィルムB1の切れ目が進展している最中に長手方向D1の裂けが生じ始めたとしても、他のハーフスリット31によって長手方向D1における裂けの進展を防止しつつ切断方向を短手方向D2に誘導するためである。尚、ハーフスリット31の数は、2本であってもよく、4本以上であってもよい。
【0023】
ハーフスリット31は、ベースフィルムB1の面S1から面S2に至らない深さを有する溝である。換言すると、ハーフスリット31は、面S1に形成された、ベースフィルムB1を貫通しない切り込みである。また、ハーフスリット31は、ベースフィルムB1の短手方向D2における一端から他端まで延びており、長手方向D1に一定の間隔をもって配列されている。
【0024】
ハーフスリット31の深さ及び長手方向D1の間隔は、ベースフィルムB1が裂けることなく短手方向D2に切断できるように調整されている。ハーフスリット31の深さは、ベースフィルムB1の厚さの半分であっても、半分以下であっても、半分以上であってもよい。また、3本のハーフスリットの深さは同じであっても、異なっていてもよい。例えば、長手方向D1において、真ん中に位置するハーフスリット31の深さを、その両側に位置するハーフスリット31の深さより深くしてもよい。ハーフスリット31の長手方向D1における間隔は、等間隔であってもよく、不等間隔であってもよい。
【0025】
ハーフスリット31は、例えば、レーザマーカー等のレーザ加工機を用いて形成される。尚、ハーフスリット31は、レーザ加工機以外に、ロータリーカッター等の表面加工用カッターを用いて形成してもよい。
【0026】
図3は、本発明の第1実施形態によるテープの非粘着部の長手方向における断面図である。
図3に示す通り、非粘着部20におけるベースフィルムB1の面S1には、サブフィルムB2(副基材)が張り合わされている。サブフィルムB2は、ベースフィルムB1と同じ幅を有する長尺状の部材であり、非粘着部20の強度を高めるために設けられる。サブフィルムB2は、ベースフィルムB1と同様に、延伸方向が長手方向D1に設定された一軸延伸フィルム(例えば、MOPPフィルム)であるのが望ましい。
【0027】
サブフィルムB2は、両面が非粘着面とされているものであってもよく、一方の面が粘着面とされ、他方の面が非粘着面とされているものであってもよい。サブフィルムB2の両面が非粘着面とされている場合には、ベースフィルムB1の面S1の全面を粘着面とし、非粘着部20となる部分にサブフィルムB2を貼り合わせるのが望ましい。また、サブフィルムB2の一方の面が粘着面とされ、他方の面が非粘着面とされている場合には、一方の面がベースフィルムB1の面S1に対向するようサブフィルムB2を配置して、非粘着部20となる部分にサブフィルムB2を貼り合わせるのが望ましい。
【0028】
尚、サブフィルムB2は、ベースフィルムB1と同じ材料で形成されていても良く、異なる材料で形成されていても良い。また、サブフィルムB2は、ベースフィルムB1と同じ厚みであっても良く、異なる厚みであっても良い。また、サブフィルムB2は、長手方向D1における引張強度を高めるために、延伸方向が長手方向D1に設定された一軸延伸フィルムであるのが望ましいが、必要な引っ張り強度が得られるのであれば、無延伸フィルムや二軸延伸フィルムであってもよい。
【0029】
本実施形態のテープ1を使用する場合には、まず、
図1に示す通り、円環状の巻芯WCに巻回されたテープ1を所定長さ引き出す。テープ1を引き出す長さは、少なくとも長手方向D1における粘着部10の長さと非粘着部20の長さを加えた長さである。この長さのテープ1を引き出すことで、粘着部10に形成された強度低減部30が現れることになる。
【0030】
次に、短手方向D2における一端側(又は、他端側)において、長手方向D1における強度低減部30の両側近傍をつまむ。例えば、強度低減部30の一方側近傍を左手の親指と人差し指でつまみ、強度低減部30の他方側近傍右手の親指と人差し指でつまむ。そして、テープ1をつまんだ右手及び左手を、テープ1の面に交差する方向において互いに逆向きに動かす。
【0031】
すると、テープ1は、短手方向D2の手でつままれた端部において、強度低減部30が形成されている部分が裂け始め、その裂け目は、強度が低減されている強度低減部30に沿って短手方向に進展する。例えば、強度低減部30に設けられた3本のハーフスリット31のうちの真ん中のハーフスリット31が形成されている部分から裂け始め、その裂け目は、真ん中のハーフスリット31に沿って進展する。
【0032】
ここで、真ん中のハーフスリット31に沿って裂け目が進展している最中に、長手方向D1の裂けが生じ始めたとすると、この長手方向D1の裂けは、真ん中のハーフスリット31の両側に位置するハーフスリット31の一方によってその進展が防止される。そして、裂けの方向(切断方向)が、そのハーフスリット31に誘導され、裂け目は再び短手方向に沿って進展する。そして、裂け目が、短手方向D2の手でつままれた端部とは反対側の端部に達するとテープ1が切断される。
【0033】
強度低減部30に沿ってテープ1が切断されると、テープ1の粘着部10は、第1粘着部11と、第2粘着部12とに分かれる。これにより、テープ1は、
図1に示す通り、一端側に第1粘着部11が配置され、他端側に第2粘着部12が配置され、第1粘着部11と第2粘着部12との間に非粘着部20が配置された形態のテープHになる。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態によるテープの使用例を示す図である。
図4に示す通り、切断されたテープHは、対象物Xに貼付され、対象物Xを運搬するための取っ手として使用される。具体的に、テープHは、対象物Xの上方において非粘着部20が弧状になるように、対象物Xの一側面に第1粘着部11が貼付され、対象物Xの他側面に第2粘着部12が貼付される。そして、非粘着部20を手で把持することにより、対象物Xを運搬することができる。尚、対象物Xは、例えば、ウォーターサーバーボトル、段ボール、その他の各種容器が挙げられる。
【0035】
以上の通り、本実施形態のテープ1は、延伸方向が長手方向D1に設定された一軸延伸フィルムであるベースフィルムB1に、短手方向D2に沿って強度の低い複数のハーフスリット31を有する強度低減部30が形成されている。これにより、テープ1を手でちぎるときの裂け目を複数のハーフスリット31の何れかに沿って短手方向D2に誘導することができる。また、仮に、長手方向D1の裂けが生じ始めたとしても、その裂けの進展を他のハーフスリット31で防止し、裂け目の進展を再び短手方向D2にすることができる。これにより、ベースフィルムB1の延伸方向が長手方向に設定されていても短手方向D2における手切れ性を良好にすることができる。
【0036】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態によるテープを示す平面図である。尚、
図5においては、
図1に示す構成と同様の構成については同一の符号を付してある。本実施形態のテープ2は、第1実施形態のテープ1とは、基本的な構成は同じであるが、強度低減部30の構成が異なる。このため、以下では、主に、強度低減部30の構成について説明する。
【0037】
図5に示す通り、強度低減部30は、ベースフィルムB1に形成された複数のミシン目線32(誘導線)を有する。ミシン目線32は、ベースフィルムB1の一方の面から他方の面に至るスリットSLが、短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。換言すると、ミシン目線32は、ベースフィルムB1を貫通する切り込みが、短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。ミシン目線32は、ベースフィルムB1の短手方向D2における一端から他端まで延びており、長手方向D1に配列されている。
【0038】
図5に示す例では、ミシン目線32a(第1直進誘導ミシン目線)、ミシン目線32b(第2直進誘導ミシン目線)、及びミシン目線32c(誘導ミシン目線)を有する。ミシン目線32aは、短手方向D2に延びるスリットSL11が短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。ミシン目線32bは、短手方向D2に延びるスリットSL12が短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。ここで、ミシン目線32bは、スリットSL12が形成されていない部位P12が、ミシン目線32aのスリットSL11が形成されていない部位P11と短手方向D2において重なるように形成されている。
【0039】
ミシン目線32cは、ミシン目線32aとミシン目線32bとの間に配置されている。ミシン目線32cは、短手方向D2と交差する方向に延びるスリットSL13が短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。ここで、ミシン目線32cのスリットSL13は、ミシン目線32aのスリットSL11が形成されていない部位P11及びミシン目線32bのスリットSL12が形成されていない部位P12と短手方向D2において重なる部位に形成されている。
【0040】
つまり、ミシン目線32cとミシン目線32aとは、短手方向D2においてスリットSL13が形成されていない部位P13と、短手方向D2においてスリットSL11が形成されていない部位P11とが、短手方向D2において互いに重ならないように千鳥状に配置されている。また、ミシン目線32cとミシン目線32bとは、短手方向D2においてスリットSL13が形成されていない部位P13と、短手方向D2においてスリットSL12が形成されていない部位P12とが、短手方向D2において互いに重ならないように千鳥状に配置されている。
【0041】
スリットSLは、例えば、レーザマーカー等のレーザ加工機を用いて形成される。尚、スリットSLは、レーザ加工機以外に、ロータリーカッター等の表面加工用カッターを用いて形成してもよい。
【0042】
本実施形態のテープ2を使用する場合には、まず、第1実施形態のテープ1を使用する場合と同様に、円環状の巻芯WCに巻回されたテープ2を所定長さ引き出し、粘着部10に形成された強度低減部30を出現させる。次に、短手方向D2における一端側(又は、他端側)において、長手方向D1における強度低減部30の両側近傍をつまみ、つまんだ右手及び左手を、テープ2の面に交差する方向において互いに逆向きに動かす。
【0043】
すると、テープ2は、短手方向D2の手でつままれた端部において、強度低減部30が形成されている部分が裂け始め、その裂け目は、強度が低減されている強度低減部30に沿って短手方向D2に進展する。例えば、強度低減部30に設けられたミシン目線32aが形成されている部分から裂け始め、その裂け目は、ミシン目線32aに沿って進展する。
【0044】
ここで、ミシン目線32aに沿って裂け目が進展している最中に、長手方向D1の裂けが生じ始めたとすると、この長手方向D1の裂けは、ミシン目線32cによって短手方向D2に交差する方向に誘導されてミシン目線32bに至る。そして、裂けの方向(切断方向)が、ミシン目線32bに誘導され、裂け目は再び短手方向D2に沿って進展する。そして、裂け目が、短手方向D2の手でつままれた端部とは反対側の端部に達するとテープ2が切断される。
【0045】
以上の通り、本実施形態のテープ2は、延伸方向が長手方向D1に設定された一軸延伸フィルムであるベースフィルムB1に、短手方向D2に沿って強度の低い複数のミシン目線32を有する強度低減部30が形成されている。これにより、テープ2を手でちぎるときの裂け目を複数のミシン目線32の何れかに沿って短手方向D2に誘導することができる。また、仮に、長手方向D1の裂けが生じ始めたとしても、その裂けの進展を他のミシン目線32で防止し、裂け目の進展を再び短手方向D2にすることができる。これにより、ベースフィルムB1の延伸方向が長手方向に設定されていても短手方向D2における手切れ性を良好にすることができる。
【0046】
〔第3実施形態〕
図6は、本発明の第3実施形態によるテープを示す平面図である。尚、
図6においては、
図1,
図5に示す構成と同様の構成については同一の符号を付してある。本実施形態のテープ3は、第1実施形態のテープ1及び第2実施形態のテープ2とは、基本的な構成は同じであるが、強度低減部30の構成が異なる。このため、以下では、主に、強度低減部30の構成について説明する。
【0047】
図6に示す通り、強度低減部30は、ベースフィルムB1に形成された複数のミシン目線33(誘導線)を有する。ミシン目線33は、
図5に示すミシン目線32と同様に、ベースフィルムB1の一方の面から他方の面に至るスリットSLが、短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。換言すると、ミシン目線33は、ベースフィルムB1を貫通する切り込みが、短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。ミシン目線33は、ベースフィルムB1の短手方向D2における一端から他端まで延びており、長手方向D1に配列されている。
【0048】
図6に示す例では、ミシン目線33a(第1ミシン目線)、ミシン目線33b(第2ミシン目線)、及びミシン目線33c(第2ミシン目線)を有する。ミシン目線33aは、短手方向D2に延びるスリットSL21が短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。ミシン目線33bは、短手方向D2に延びるスリットSL22が短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。ミシン目線33cは、短手方向D2に延びるスリットSL23が短手方向D2に沿って一定間隔をあけて断続的に形成されたものである。
【0049】
ミシン目線33b,33cは、長手方向D1において、ミシン目線33aを挟むように配置されている。換言すると、ミシン目線33b,33cは、ミシン目線33aの長手方向D1における両側にそれぞれ配置されている。
【0050】
ミシン目線33bとミシン目線33cとは、短手方向D2においてスリットSL22が形成されていない部位P22と、短手方向D2においてスリットSL23が形成されていない部位P23とが、短手方向D2において重なるように配置されている。これに対し、ミシン目線33aとミシン目線33bとは、短手方向D2においてスリットSL21が形成されていない部位P21と、短手方向D2においてスリットSL22が形成されていない部位P22とが、短手方向D2において互いに重ならないように千鳥状に配置されている。同様に、ミシン目線33aとミシン目線33cとは、短手方向D2においてスリットSL21が形成されていない部位P21と、短手方向D2においてスリットSL23が形成されていない部位P23とが、短手方向D2において互いに重ならないように千鳥状に配置されている。
【0051】
本実施形態においても、スリットSLは、例えば、レーザマーカー等のレーザ加工機を用いて形成される。尚、スリットSLは、レーザ加工機以外に、ロータリーカッター等の表面加工用カッターを用いて形成してもよい。
【0052】
本実施形態のテープ3を使用する場合には、まず、第1実施形態のテープ1及び第2実施形態のテープ2を使用する場合と同様に、円環状の巻芯WCに巻回されたテープ3を所定長さ引き出し、粘着部10に形成された強度低減部30を出現させる。次に、短手方向D2における一端側(又は、他端側)において、長手方向D1における強度低減部30の両側近傍をつまみ、つまんだ右手及び左手を、テープ3の面に交差する方向において互いに逆向きに動かす。
【0053】
すると、テープ3は、短手方向D2の手でつままれた端部において、強度低減部30が形成されている部分が裂け始め、その裂け目は、強度が低減されている強度低減部30に沿って短手方向D2に進展する。例えば、強度低減部30に設けられたミシン目線33aが形成されている部分から裂け始め、その裂け目は、ミシン目線33aに沿って進展する。
【0054】
ここで、ミシン目線33aに沿って裂け目が進展している最中に、長手方向D1の裂けが生じ始めたとすると、この長手方向D1の裂けは、ミシン目線33aの両側に位置するミシン目線33b,33cの一方によってその進展が防止される。そして、裂けの方向(切断方向)が、ミシン目線33b,33cの一方に誘導され、裂け目は再び短手方向に沿って進展する。そして、裂け目が、短手方向D2の手でつままれた端部とは反対側の端部に達するとテープ1が切断される。
【0055】
以上の通り、本実施形態のテープ3は、第2実施形態のテープ2と同様に、延伸方向が長手方向D1に設定された一軸延伸フィルムであるベースフィルムB1に、短手方向D2に沿って強度の低い複数のミシン目線33を有する強度低減部30が形成されている。これにより、テープ3を手でちぎるときの裂け目を複数のミシン目線33の何れかに沿って短手方向D2に誘導することができる。また、仮に、長手方向D1の裂けが生じ始めたとしても、その裂けの進展を他のミシン目線33で防止し、裂け目の進展を再び短手方向D2にすることができる。これにより、ベースフィルムB1の延伸方向が長手方向に設定されていても短手方向D2における手切れ性を良好にすることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態によるテープについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0057】
例えば、上述した第1実施形態のテープ1では、ハーフスリット31がベースフィルムB1の面S1に形成されていたが、ハーフスリット31は、ベースフィルムB1の面S2に形成されていてもよい。また、前述した特許文献1に開示された強度低減部(長手方向に沿って設けられる強度の低い部位)を、テープ1~3の非粘着部20に形成しても良い。これにより、テープ1~3の非粘着部20(取っ手として使用される部分)の縁部に傷がついても、テープ1~3が切断されるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0058】
1~3 テープ
10 粘着部
20 非粘着部
30 強度低減部
31 ハーフスリット
32 ミシン目線
32a~32c ミシン目線
33 ミシン目線
33a~33c ミシン目線
B1 ベースフィルム
B2 サブフィルム
D1 長手方向
D2 短手方向
P11~P13 スリットが形成されていない部位
P21~P23 スリットが形成されていない部位
S1,S2 面
SL スリット
SL11~SL13 スリット
SL21~SL23 スリット