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特開2024-44474扉挟み状態検出システムおよび扉挟み状態検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044474
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】扉挟み状態検出システムおよび扉挟み状態検出方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/00 20060101AFI20240326BHJP
   B61B 1/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B61L23/00 Z
B61B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150008
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】514313557
【氏名又は名称】株式会社Will Smart
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】河津 誠二
【テーマコード(参考)】
3D101
5H161
【Fターム(参考)】
3D101AD01
3D101AD11
5H161AA01
5H161MM01
5H161MM15
5H161NN10
(57)【要約】
【課題】 本発明により、簡易なシステム構成で、安価な扉挟み状態検出システムが求められる。
【解決手段】 第1乗降扉が含まれるように一の車両を車両元画像として撮影して車両元画像データを取得する撮像機と、撮像機から車両元画像データから車両元画像の車両元画像データを前記一の車両の前記側面の方向からの画像としての変換車両画像データに変換する処理を行う処理装置と、挟みこみがない閉鎖状態の乗降扉の画像の車両基準画像データを格納する記憶装置と、を備える扉挟み状態検出システムにより解決する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームを介して乗客が乗降する乗降扉を側面に有する一の車両の扉挟み状態の有無を検出する扉挟み状態検出システムであって、前記扉挟み状態検出システムは、
前記乗降扉である第1乗降扉が含まれるように前記一の車両を車両元画像として撮影して車両元画像データを取得する撮像機と、
前記撮像機で取得した前記車両元画像データを前記一の車両の前記側面と正対する方向からの画像としての画像としての変換車両画像データに変換する処理を行う処理装置と、
車両の側面の方向からの挟みこみがない閉鎖状態の乗降扉の画像の車両基準画像データが格納された記憶装置と、
を備え、
前記撮像機により前記第1乗降扉での乗客の乗降後における前記第1乗降扉が閉鎖した状態での前記一の車両を撮影して、前記第1乗降扉の車両元画像データを取得して、
前記処理装置は、前記車両元画像データから前記一の車両の前記側面と正対する方向からの画像としての変換車両画像データに変換する処理を行い、前記変換車両画像データと前記記憶装置から読み出された前記車両基準画像データとの対比を行って、前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が有る場合には前記第1乗降扉に扉挟みがあると、また前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が無い場合には前記第1乗降扉に扉挟みがないと、判定する扉挟み状態検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の扉挟み状態検出システムであって、
前記撮像機が撮影した前記車両元画像データの前記車両元画像は前記第1乗降扉と前記一の車両の進行方向において前記第1乗降扉の次の乗降扉である第2乗降扉とを少なくとも含む複数の乗降扉が含まれ、
前記一の車両が走行を開始した後に前記第2乗降扉の検出が行われた際には、前記処理装置は、前記撮像機で撮影された前記第2乗降扉の画像を取得して、前記第2乗降扉の車両元画像の画像データを前記一の車両の前記側面と正対する方向からの画像としての前記第2乗降扉の変換車両画像データに変換する処理を行い、前記第2乗降扉の前記変換車両画像データと前記記憶装置から読み出された前記車両基準画像データとの対比を行って、前記第2乗降扉の前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が有る場合には前記第2乗降扉が扉挟みの状態に有ると、また前記第2乗降扉の前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が無い場合には前記第2乗降扉が扉挟みの状態に無いと、判定する扉挟み状態検出システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の扉挟み状態検出システムであって、前記撮像機による前記第1乗降扉の検出は、前記一の車両の前記プラットホームへの進入を検出した後に、前記一の車両が停止した状態または停止する直前の状態で最初に検出される前記一の車両の乗降扉を前記一の車両の先頭の乗降扉である前記第1乗降扉と判定することによる扉挟み状態検出システム。
【請求項4】
請求項3に記載の扉挟み状態検出システムであって、
前記扉挟み状態検出システムはサーバをさらに備え、
前記サーバは、前記扉挟みの状態に有る、または前記扉挟みの状態に無いことの少なくとも一方を受信する扉挟み状態検出システム。
【請求項5】
請求項2に記載の扉挟み状態検出システムであって、
前記一の車両が走行を開始した後に前記一の車両の前記進行方向において前記第2乗降扉の次の乗降扉である第3乗降扉の検出が行われた際には、
前記処理装置は、前記撮像機で撮影された前記第3乗降扉の画像を取得して、前記第3乗降扉の車両元画像の画像データを前記一の車両の前記側面と正対する方向からの画像としての前記第3乗降扉の変換車両画像データに変換する処理を行い、前記第3乗降扉の前記変換車両画像データと前記記憶装置から読み出された前記車両基準画像データとの対比を行って、前記第3乗降扉の前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が有る場合には前記第3乗降扉が扉挟みの状態に有ると、また前記第3乗降扉の前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が無い場合には前記第3乗降扉が扉挟みの状態に無いと、判定する扉挟み状態検出システム。
【請求項6】
請求項5に記載の扉挟み状態検出システムであって、
前記扉挟み状態検出システムはサーバをさらに備え、
前記サーバは、前記扉挟みの状態に有る、または前記扉挟みの状態に無いことの少なくとも一方の状態である旨を受信する扉挟み状態検出システム。
【請求項7】
請求項1、2または5に記載の扉挟み状態検出システムであって、
前記撮像機が撮影する前記車両元画像データの車両画像は、前記一の車両の前記側面に対して斜めから前記一の車両を撮影した車両画像である扉挟み状態検出システム。
【請求項8】
請求項1、2または5に記載の扉挟み状態検出システムであって、
前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異は前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとのそれぞれの画像データの画素の対比により判定するものである扉挟み状態検出システム。
【請求項9】
プラットホームを介して乗客が乗降する乗降扉を側面に有する一の車両の扉挟み状態の有無を検出する扉挟み状態検出方法であって、前記扉挟み状態検出方法は、
車両の側面の方向からの挟みこみがない閉鎖状態の乗降扉の画像の車両基準画像データを記憶装置に予め格納する工程と、
撮像機により前記乗降扉である第1乗降扉が含まれるように前記第1乗降扉での乗客の乗降後における前記第1乗降扉が閉鎖した状態での前記一の車両を撮影して、車両元画像としての前記第1乗降扉の車両元画像データを取得する撮像工程と、
前記撮像機で取得した前記車両元画像データを前記一の車両の前記側面と正対する方向からの画像としての画像としての変換車両画像データに変換する処理を行う処理工程と、
前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの対比を行って、前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が有る場合には前記第1乗降扉に扉挟みがあると、また前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が無い場合には前記第1乗降扉に扉挟みがないと、判定する判定工程とを備える扉挟み状態検出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の扉挟み状態検出方法であって、
前記撮像工程で撮影される前記車両元画像データの前記車両元画像は前記第1乗降扉と前記一の車両の進行方向において前記第1乗降扉の次の乗降扉である第2乗降扉とを少なくとも含む複数の乗降扉が含まれ、
前記一の車両が走行を開始した後に前記第2乗降扉の検出が行われた際には、前記処理工程では、前記撮像工程で撮影された前記第2乗降扉の画像を取得して、前記第2乗降扉の車両元画像の画像データを前記一の車両の前記側面の方向からの前記第2乗降扉の変換車両画像データに変換する処理を行い、前
前記判定工程では、記第2乗降扉の前記変換車両画像データと前記記憶装置から読み出された前記車両基準画像データとの対比を行って、前記第2乗降扉の前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が有る場合には前記第2乗降扉が扉挟みの状態に有ると、また前記第2乗降扉の前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が無い場合には前記第2乗降扉が扉挟みの状態に無いと、判定する扉挟み状態検出方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の扉挟み状態検出方法であって、前記撮像工程において、前記第1乗降扉の検出は、前記一の車両の前記プラットホームへの進入を検出した後に、前記一の車両の停止状態または停止する直前の状態で最初に検出される前記一の車両の乗降扉を前記一の車両の先頭の乗降扉である前記第1乗降扉と判定することによる扉挟み状態検出方法。
【請求項12】
請求項10に記載の扉挟み状態検出方法であって、
前記処理工程では、前記一の車両が走行を開始した後に前記一の車両の前記進行方向において前記第2乗降扉の次の乗降扉である第3乗降扉の検出が行われた際には、
前記処理工程では、前記撮像工程で撮影された前記第3乗降扉の画像を取得して、前記第3乗降扉の車両元画像の画像データを前記一の車両の前記側面の方向からの前記第3乗降扉の変換車両画像データに変換する処理を行い、
前記判定工程では、前記第3乗降扉の前記変換車両画像データと前記記憶装置から読み出された前記車両基準画像データとの対比を行って、前記第3乗降扉の前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が有る場合には前記第3乗降扉が扉挟みの状態に有ると、また前記第3乗降扉の前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異が無い場合には前記第3乗降扉が扉挟みの状態に無いと、判定する扉挟み状態検出方法。
【請求項13】
請求項9、10または12に記載の扉挟み状態検出方法であって、
前記撮像工程において撮影する前記車両元画像データの車両画像は、前記一の車両の前記側面に対して斜めから前記一の車両を撮影した車両画像である扉挟み状態検出方法。
【請求項14】
請求項9、10または12に記載の扉挟み状態検出方法であって、
前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの間における差異は前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとのそれぞれの画像データの画素の対比により判定するものである扉挟み状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電車の車両の扉挟み状態検出システムおよび扉挟み状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,特許文献2および特許文献3には、鉄道車両自体の扉上部にカメラを配置する扉挟み状態検出システムが開示されている。特許文献4には、鉄道の線路が敷かれる地面上の長いホームの縁に沿って天井に設置され、鉄道車両とホームの全体を鉛直方向から監視するステレオカメラによって扉挟み状態の有無を検知する扉挟み状態検出システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-252201号公報
【特許文献2】特開2005-349997号公報
【特許文献3】特開2021-37904号公報
【特許文献4】特開2012-11987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1から特許文献4に開示される扉挟み状態検出システムは鉄道車両が走行を開始する前の扉挟みの状態を検知することを前提としており、原則として、鉄道車両の扉の数に対応する数のカメラを配置して扉挟みの有無を検知する扉挟み状態検出システムである。
【0005】
しかし、特許文献1から特許文献4に開示されるように、鉄道車両の一の扉に一のカメラを対応するようにカメラを配置する扉挟み状態検出システムでは、一般に鉄道車両の扉の数が多いため、システム構成が複雑になり、自ら、システムが高価になる。簡易なシステム構成で安価な扉挟み状態検出システムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プラットホームを介して乗客が乗降する乗降扉を側面に有する一の車両の扉挟み状態の有無を検出する扉挟み状態検出システムであって、前記扉挟み状態検出システムは、前記乗降扉である第1乗降扉が含まれるように前記一の車両を車両元画像として撮影して車両元画像データを取得する撮像機と、前記撮像機で取得した前記車両元画像データを前記車両元画像の車両元画像データを前記一の車両の前記側面と正対する方向からの画像としての画像としての変換車両画像データに変換する処理を行う処理装置と、車両の側面の方向からの挟みこみがない閉鎖状態の乗降扉の画像の車両基準画像データが格納された記憶装置と、を備え、前記撮像機により前記第1乗降扉での乗客の乗降後における前記第1乗降扉が閉鎖した状態での前記一の車両を撮影して、前記第1乗降扉の車両元画像データを取得して、前記処理装置は、前記車両元画像データから前記一の車両の前記側面と正対する方向からの画像としての画像としての変換車両画像データに変換する処理を行い、前記変換車両画像データと前記記憶装置から読み出された前記車両基準画像データとの対比を行う扉挟み状態検出システムにより解決する。
【0007】
プラットホームを介して乗客が乗降する乗降扉を側面に有する一の車両の扉挟み状態の有無を検出する扉挟み状態検出方法であって、前記扉挟み状態検出方法は、予め挟みこみがない閉鎖状態の乗降扉の前記一の車両の前記側面の方向からの垂直車両画像の車両基準画像データを記憶装置に格納する工程と、撮像機により、前記乗降扉である第1乗降扉が含まれるように前記第1乗降扉での乗客の乗降後における前記第1乗降扉が閉鎖した状態での前記一の車両を撮影して車両元画像としての前記第1乗降扉の車両元画像データを取得する撮像工程と、前記撮像機で取得した前記車両元画像データを前記一の車両の前記側面と正対する方向からの画像としての画像としての変換車両画像データに変換する処理を行う処理工程と、前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの対比を行うプラットホームを介して乗客が乗降する乗降扉を側面に有する一の車両の扉挟み状態の有無を検出する扉挟み状態検出方法であって、前記扉挟み状態検出方法は、車両の側面の方向からの挟みこみがない閉鎖状態の乗降扉の画像の車両基準画像データを記憶装置に予め格納する工程と、撮像機により、前記乗降扉である第1乗降扉が含まれるように前記第1乗降扉での乗客の乗降後における前記第1乗降扉が閉鎖した状態での前記一の車両を撮影して車両元画像としての前記第1乗降扉の車両元画像データを取得する撮像工程と、前記撮像機で取得した前記車両元画像データを前記一の車両の前記側面の方向からの画像としての変換車両画像データに変換する処理を行う処理工程と、前記変換車両画像データと前記車両基準画像データとの対比を行う判定工程とを備える扉挟み状態検出方法により解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、簡易なシステム構成で、安価な扉挟み状態検出システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1のシステム構成図である。
図2A】本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1をホームに停車する鉄道車両に適用する状況を説明する図であって、鉄道車両の上側からみた図である。
図2B】本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1をホームに停車する鉄道車両に適用する状況を説明する図であって、鉄道車両の前方側からみた図である。
図3A】本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1をホームに停車する鉄道車両に適用する状況を説明する図であって、乗降扉について、撮影可能領域IAと検出領域JAとの関係を示した図である。
図3B】本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1をホームに停車する鉄道車両に適用する状況を説明する図であって、検出領域JAにおける扉挟みが無い状態の乗降扉を示した図である。
図3C】本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1をホームに停車する鉄道車両に適用する状況を説明する図であって、検出領域JAにおける扉挟みがある状態の乗降扉を示した図である。
図4】本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1を進行開始後の鉄道車両に適用する状況を説明する図であって、鉄道車両の前方側からみた図である。
図5A】本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1の扉挟み検知処理のフローチャートを示した図である。
図5B】本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1においての先頭車両の先頭乗降扉の検出処理のプロセスのフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
(扉挟み状態検出システム1の構成)
図1図2Aおよび図2Bを参照して、扉挟み状態検出システム1の構成について説明する。図1は扉挟み状態検出システム1のシステム構成図である。図2Aは扉挟み状態検出システム1をホームに停車中の鉄道車両に適用する状況を説明する図であって、鉄道車両とホームを上方からみた図である。図2Bは扉挟み状態検出システム1をホームに停車する鉄道車両に適用する状況を説明する図であって、鉄道車両の前方側からみた図である。
【0011】
扉挟み状態検出システム1は、プラットホーム50を介して乗客が乗降する乗降扉を側面に有する一の「車両」の扉挟み状態の有無を検出する。「車両」とは、代表的には鉄道の車両など、プラットホーム50を介して乗客が乗降する車両全般と定義する。一の車両のみならず、複数の車両を有する鉄道車両などを広く含む。一の車両には少なくとも一の乗降扉を有している。本願発明では、一の車両が少なくとも一の乗降扉を有していれば適用可能であるが、本願発明は一の車両が複数の乗降扉を有する場合に適用することで、特に大きな効果を奏する。
【0012】
以下、本説明では、列車51が第1車両511,第2車両512,第3車両513を有するように構成されるものとする。ここでは、実施の形態の説明の例として、第1車両511は、進行方向MDの前側から第1乗降扉511aと,進行方向MDにおいて第1乗降扉の次の乗降扉である第2乗降扉511b,と、進行方向MDにおいて第2乗降扉の次の乗降扉である第3乗降扉511cとを有しているとする。同様に、進行方向MDにおいて次の車両である第2車両512は、進行方向MDにおいて、進行方向MDの前側から第1乗降扉512aと,第1乗降扉の次の乗降扉である第2乗降扉512b,と、進行方向MDにおいて第2乗降扉の次の乗降扉である第3乗降扉512cとを有しているとする。列車51は、進行方向MDの方向にプラットホーム50に入構して、乗客がプラットホーム50から第1車両511の第1乗降扉511a, 第2乗降扉511b,第3乗降扉511c,第2車両512の第1乗降扉512a,第2乗降扉512b,第3乗降扉512cを介して列車51に乗降する。
【0013】
すなわち、扉挟み状態検出システム1が適用される一の「車両」には少なくとも1つの乗降扉(たとえば、第1乗降扉511a)を側面に有している。さらに、扉挟み状態検出システム1が効果的に適用される一の「車両」には代表的には少なくとも2つ以上の乗降扉(たとえば、少なくとも第1乗降扉511aと第2乗降扉511b)を有する複数の乗降扉を側面に有しているものとして画定される。
【0014】
扉挟み状態検出システム1は、扉挟み状態検出装置10を備える。扉挟み状態検出システム1は、さらに、扉挟み状態検出装置10は、たとえば、インターネットや専用回線などの通信回線を介して扉挟み状態検出装置10と接続されるサーバ11を備えることもできる。サーバ11は、扉挟み状態検出装置10と併設することもでき、また扉挟み状態検出装置10から遠い地点に設置することもできる。扉挟み状態検出装置10は、撮像機たるカメラ2と、処理装置3と、記憶装置4とを備える。たとえば、鉄道の場合には、扉挟み状態検出装置10はある路線の各駅に配置され、サーバ11はその路線の集中管理室に配置される。また、扉挟み状態検出装置10とサーバ11とを、同じ駅に配置してもよい。扉挟み状態検出装置10とサーバ11との設置場所は限定されない。
【0015】
カメラ2は、一の車両(以下、第1車両511を例として説明する)の乗降扉が撮影できるように、プラットホーム50に設置される。すなわち、カメラ2は、第1車両511の複数の乗降扉が含まれるように撮影することが可能なようにプラットホーム50に設置される。たとえば、撮影可能領域IAは、一の車両の全部の乗降扉が含まれるように、または、少なくとも2つの乗降扉が含まれるように、設定される。前者では第1車両511の第1乗降扉511a, 第2乗降扉511b,第3乗降扉511cが、後者ではたとえば第1車両511の第1乗降扉511a, 第2乗降扉511b,が含まれるように設定される。たとえば、第1車両511の進行方向MDの第1車両511の前方から斜めに撮影することが可能な位置に設置されるカメラ2aのように、または第1車両511の進行方向MDの第1車両511の後方から斜めに撮影することが可能な位置に設置されるカメラ2bのように、またさらには、車両の側面と垂直な方向の位置に設置されるカメラ2cのように、プラットホーム50に設置される。図2Aにおけるカメラ2の図示は、カメラ2aからカメラ2cのすべてを設置することが必須であるという意味ではなく、一つ以上のカメラを配置すれば十分であって、カメラ2の設置例として、図2Aにおいてカメラ2aとカメラ2bとカメラ2cをそれぞれ例示したものである。
【0016】
カメラ2の配置は第1車両511の乗降扉が撮影できる限り自由であるが、一般的な鉄道のプラットホーム50では第1車両511の側面からのプラットホーム50の端までの奥行き距離が短いので、カメラ2cのように第1車両511の側面に対向するように車両の側面と垂直な方向の位置に設置すると、カメラ2と第1車両511との間の距離を十分とることができない。そのために、カメラ2で撮影できる範囲が狭くなり、撮影できる第1車両511の乗降扉の数が少なくなって、非効率となる。したがって、カメラ2は、第1車両511の側面に対して角度をもった方向から、すなわち、第1車両511の側面に対して斜めの方向から第1車両511の側面が視野となるように設置すると撮影の観点から特に効果的である(カメラ2aやカメラ2b)。この場合、逆にいえば、カメラ2が撮影する第1車両511の車両画像は、第1車両511の側面に対して斜めの方向から撮影した車両画像となる。ここで、本願では、カメラ2が撮影する画像を「車両元画像」と、またその画像データを「車両元画像データ」と定義する。
【0017】
上記のとおり、カメラ2は、第1車両511の第1乗降扉511a, 第2乗降扉511b,第3乗降扉511cが可能なようにプラットホーム50に設置される。また、車両が複数の場合には、必要に応じて、カメラ2の数を増やし、ホームの長手方向である進行方向MDに沿って、それぞれを配置すればよい。同様に、他のカメラを、他の車両(たとえば第2車両512)の第1乗降扉512a, 第2乗降扉512b,第3乗降扉512cを車両の進行方向MDの側から斜めに撮影することが可能なようにプラットホーム50に設置することができる。撮影可能領域IAのうち、第1乗降扉511aが検出可能な領域を検出領域JAとする。第3車両513についても同様である。複数のカメラ2を配置する場合でも、扉挟み状態検出システム1の構成と機能および作用としては、それぞれのカメラ2は同じであり、1台のカメラ2aを代表例として以下説明を行う。
【0018】
まず、カメラ2aは、第1乗降扉511aが含まれるように車両を車両元画像として撮影して車両元画像データを取得する機能を有する。車両元画像データは、必要に応じて、所定のタイミングで記憶装置4に格納される。車両元画像データは、タイミングによっては、記憶装置4に格納することなく、処理装置3に直接送られて解析処理される。送られた車両元画像データは、処理装置3において、まず車両元画像データに乗降扉が含まれるか否か(この場合には第1乗降扉511aが含まれるか否か)を解析され判定される。たとえば、車両元画像データに乗降扉が含まれる場合には記憶装置4に格納され、車両元画像データに乗降扉が含まれない場合には記憶装置4に格納されることなく破棄するように構成することができる。
【0019】
処理装置3は、カメラ2aで撮影された車両元画像データを、カメラ2aまたは記憶装置4から読み出して受信する機能を有する。また、処理装置3は、受信した車両元画像データを、第1車両511の側面に正対する方向からの画像としての第1車両511の車両画像の変換車両画像データに変換する機能を有する。
【0020】
記憶装置4には、挟みこみがない閉鎖状態の乗降扉の車両基準画像データが予め格納されている。車両基準画像データは、任意の車両において、挟みこみがない閉鎖状態の乗降扉をその車両の側面方向から撮影した画像のデータである。車両基準画像データは、扉挟み状態検出システム1により扉の挟み状態を検出しようとする車両の乗降扉を、判定を行うために使用される扉挟み状態検出システム1のカメラ2cで同様に撮影し、車両の側面に正対する方向からの画像として変換された画像のデータであることが好ましい。すなわち、この明細書で説明する例では、車両基準画像データは、第1車両511と同じ機種の乗降扉をカメラ2aで撮影し車両の側面に正対する方向からの画像として変換した車両画像であることが好ましく、これにより精度の高い判定ができる。しかし、必ずしも、判定を行うために使用される扉挟み状態検出システム1のカメラ2cで同様に撮影した画像のデータでなくてもよい。車両基準画像データは、車両基準画像データに撮影されている乗降扉の画像と変換車両画像データに撮影されている乗降扉の画像とが対比可能であって、対比の結果、車両基準画像データに撮影されている乗降扉と変換車両画像データに撮影されている乗降扉とが、それぞれ挟みこみがない閉鎖状態において、同一(挟みこみがない)と判断できるデータである限り、異なる型の車両の画像であっても、車両基準画像データとして成立しうる。
【0021】
(扉挟み状態検出システム1の処理)
ここまで、扉挟み状態検出システム1の構成について説明した。続いて、図3Aから図3Cおよび図5Aを参照して、以下、扉挟み状態検出システム1における扉挟み状態の検出処理の流れについて説明する。図3Aから図3Cはいずれも扉挟み状態検出システム1をホームに停車する鉄道車両に適用する状況を示した図であって、図3Aから図3Cはそれぞれ、乗降扉について撮影可能領域IAと検出領域JAとの関係を示した図、検出領域JAにおける扉挟みが無い状態の乗降扉を示した図、検出領域JAにおける扉挟みがある状態の乗降扉を示した図である。また、図5Aは本発明の実施の形態である扉挟み状態検出システム1の扉挟み検知処理のフローチャートを示した図である。以下、図5Aのフローチャートに沿って扉挟み検知処理について説明する。
【0022】
まず、第1乗降扉511aでの乗客の乗降後において、第1乗降扉511aが閉鎖した状態で、第1車両511の第1乗降扉511aの車両元画像データを取得する(S11)。車両元画像データは、カメラ2aにより、第1乗降扉511aが含まれるように第1車両511を撮影することで取得する。
【0023】
ここでは、たとえば、カメラ2aは、まず撮影可能領域IAのうち乗降扉の検出が可能な扉判定エリアたる検出領域JA内の第1乗降扉511aを特定する。検出領域JA内に対応する第1車両511の先頭である第1乗降扉511aでの乗客の乗降が終わって第1乗降扉511aが閉鎖した後(一般には、全車両で全乗降扉が一斉に閉鎖された後)に、図3Aに示すように、カメラ2aは第1車両511の車両元画像を撮影する。すなわち、撮影可能領域IAには、第1車両511の少なくとも一部が撮影され、そこには少なくとも第1乗降扉511aが撮影されていて、またそれ以外の扉として第2乗降扉511b等が撮影されていてもよいということである。そして、カメラ2aにより検出されて画像化される検出領域JAには、必ず検出対象である第1乗降扉511aが撮影されている。カメラ2aにより撮影された車両元画像は車両元画像データとして、カメラ2aから処理装置3または記憶装置4に送信される。記憶装置4に送信された車両元画像データは、必要に応じて記憶装置4に格納される。
【0024】
また、ここでは、第1乗降扉511aを特定することなく、カメラ2aにより撮影可能領域IA内の第1車両511の車両元画像を撮影し、その画像データを処理装置3に送信し、処理装置3において、撮影可能領域IAのうち乗降扉の検出が可能な扉判定エリアたる検出領域JA内の第1乗降扉511aを特定して、第1乗降扉511aの車両元画像データとしてもよい。すなわち、この場合、カメラ2aで撮影される撮影可能領域IAには第1車両511の少なくとも一部が撮影され、そこには少なくとも第1乗降扉511aが撮影されていて、またそれ以外の扉として第2乗降扉511b等が撮影されて画像化されている。そして、処理装置3において、撮影可能領域IAの車両元画像から第1乗降扉511aが撮影されている部分の検出領域JAを抜き出して画像化される。この場合は、第1乗降扉511aの車両元画像データとして処理装置3においてそのまま次の処理に移行するか、または必要に応じて記憶装置4に送信されて記憶装置4に格納される。
【0025】
続いて、処理装置3は、車両元画像データから第1車両511の側面と正対する方向からの画像としての変換車両画像データに変換する処理を行う(S12)。すなわち、プラットホーム50にカメラ2を設置する際には、前記のとおり、第1車両511から十分な距離がとれないことから、カメラ2aまたはカメラ2bのように、撮影可能領域IAを進行方向MDに沿った方向から第1車両511を斜めに撮影する位置にカメラ2が設置される。そのため、車両元画像データ内の第1乗降扉511aの画像は、図3Aに示すように、歪んでいる。そこで、車両元画像データから車両元画像を第1車両511の側面の方向からの画像としての変換車両画像データに変換する。「第1車両511の側面と正対する方向からの画像」とは、たとえば、代表的には、カメラ2cに示す位置から第1乗降扉511aが撮影されたと仮想されるように、すなわち第1車両511の側面に垂直な方向から撮影されたような画像であって、具体的には、第1乗降扉511aの側辺の長さの差がなく歪みが無い画像である。ただし、実際には、第1車両511の側面に垂直な方向から撮影されるような完全に歪みが無い画像に変換することはできないので、車両元画像データから第1車両511の側面と正対する方向からの画像としての変換車両画像データに変換する処理とは、実際にカメラ2が設置される位置から第1車両511の側面への方向よりも第1車両511の側面と正対する方向に近い画像に変換する処理ものと画定される。逆にいえば、カメラ2aが撮影する第1車両511の車両元画像データの車両画像は、第1車両511の側面に対して斜めから第1車両511を撮影した車両画像であって、変換車両画像データに含まれる変換車両画像は、実際にカメラ2が設置される位置から第1車両511の側面への方向よりも第1車両511の側面と正対する方向に近い画像に変換されたものとして定義される。
【0026】
また、すでに説明した記憶装置4に予め格納されている車両基準画像データは、処理装置3において、変換処理がされた第1車両511の側面と正対する方向からの画像と対比して分類することで画像の異同の認定ができる画像であるように作成される。すなわち、車両基準画像データも、処理装置3で変換処理がされた第1車両511の側面と正対する方向からの変換車両画像データの変換車両画像における乗降扉の画像と同じ形になるように作成されているべき、またはそれに近いことが好ましい。第1車両511の側面と正対する方向からの変換車両画像データの変換車両画像における乗降扉の画像と同じ形であればあるほど、判定の精度が高まる。
【0027】
続いて、処理装置3は、変換車両画像データと記憶装置から読み出された車両基準画像データとの画像の対比を行う処理を実行する(S13)。この処理では、変換車両画像データと車両基準画像データとの間における画像の差異の有無を判定する。すなわち、図3Cのように、第1乗降扉511aに扉挟みPがあると、扉挟みPの部分に変換車両画像データと車両基準画像データとの間のそれぞれの画像に差異がでる。ここで、変換車両画像データと車両基準画像データとの間において、差異が有る場合には第1乗降扉511aに扉挟みPがあると判定する。一方、変換車両画像データと車両基準画像データとの間に差異が無い場合には第1乗降扉511aに扉挟みPがないと判定する。
【0028】
変換車両画像データと車両基準画像データとの間の画像の差異の判断は、様々な手法を取ることができる。たとえば、変換車両画像データと車両基準画像データとの間の画像の差異の判断は、変換車両画像データと車両基準画像データとのそれぞれの画像データの画素の対比により判定する。また、画素の対比により、差異を判定する手法としては、一般的な、画像処理における画像の同一または類似を判定する手法を適用することができる。
【0029】
処理装置3が第1乗降扉511aについて扉挟みPの有無の判定を行った結果は、扉挟み状態検出システム1のサーバ11に送信され、サーバ11は、第1乗降扉511aが扉挟みPの状態に有る、または扉挟みPの状態に無い、のいずれかの状態である旨を受信する。サーバ11は、第1乗降扉511aが扉挟みPの状態に有ると扉挟みPの状態に無いとの一方の状態である旨を受信した場合には、その他方ではないと同義であるとサーバ11で判定される。
【0030】
たとえば、鉄道の例において、扉挟み状態検出装置10はある路線の各駅に配置され、サーバ11はその路線の集中管理室に配置させることができる。この場合には、任意の駅で任意の車両において扉挟み状態検出装置10が扉挟み状態にある旨を判定し、その旨がサーバ11に送信されたとする。サーバ11は、それに基づいて、その任意の車両が次に停車する駅に扉挟み状態にある旨を報知し、その駅にその任意の車両が入構する際の危険に対処するといったように適用することができる。また、さらには、サーバ11から扉挟みが発生している旨を受信する端末を車両に配置し、その端末がサーバ11から扉挟み状態にある旨を受信するように構成させることもできる。これにより、駅にその車両が入構する前に扉挟みによる危険を事前に除去できるように適用することができる。
【0031】
ここまでの処理(S11からS13)が、扉挟み状態検出システム1の扉挟み状態の検出処理の最も基本的な処理の流れである。
【0032】
扉挟み状態検出システム1は、さらに、第1車両511の第1乗降扉511aにおける扉挟み状態の検出に加えて、第1車両511の第2乗降扉511bにおける扉挟み状態の検出を行うことができる。
【0033】
この場合、処理(S13)に引き続いて、第1車両511の第2乗降扉511bにおける扉挟み状態の検出処理(S14)を行う。第1車両511の第1乗降扉511aの扉挟み状態の検出処理(S13)までに、第1乗降扉511aでの乗客の乗降が終了して第1乗降扉511aが閉鎖しているので、扉挟み状態検出システム1の出力とは関係なく、第1車両511(および列車51の第2車両512,第3車両513)はプラットホーム50から進行を開始している。カメラ2aは車両が走行を開始した後に第1車両511の進行方向MDにおいて第1乗降扉511aの次の乗降扉である第2乗降扉511bの検出を行う(S14)。すなわち、第1車両511の進行により第2乗降扉511bが第1車両511の停車時における第1乗降扉511aの位置に到達すると、図2Bにように撮影可能領域IAの検出領域JA外に位置していた第2乗降扉511bが図4に示すように検出領域JA内に入ってくる。カメラ2aは検出領域JA内に入って第2乗降扉511bを検出する。または、処理装置3により検出領域JA内に入った第2乗降扉511bを画像処理により検出する。
【0034】
第1車両511が走行を開始した後に第2乗降扉511bの検出が行われた際には、処理装置は3、カメラ2aで撮影された第2乗降扉511bの画像を取得する(S15)。ここからは、すでに説明をした第1乗降扉511aの扉挟みの有無の検出処理のプロセス(S12とS13)を繰り返す。すなわち、第2乗降扉511bの車両元画像の画像データを第1車両511の側面と正対する方向からの画像としての第2乗降扉511bの変換車両画像データに変換する処理を行い(S12)、第2乗降扉511bの変換車両画像データと記憶装置4から読み出された車両基準画像データとの対比の処理を行う(S13)。ここでも同様に、第2乗降扉511bの変換車両画像データと車両基準画像データとの間における差異が有る場合には第2乗降扉511bが扉挟みの状態に有ると判定し、第2乗降扉511bの変換車両画像データと車両基準画像データとの間における差異が無い場合には第2乗降扉511bが扉挟みの状態に無いと、判定する(S13)。
【0035】
以下、同様に、すべての車両のすべての扉について同様に処理する。たとえば、同様に、第1車両511の進行方向MDにおいて第2乗降扉511bの次の乗降扉である第3乗降扉511cの検出がカメラ2aまたは処理装置3により行われた際(S14)には、処理装置3は、カメラ2aで撮影された第3乗降扉511cの画像を取得する(S15)。そして、第3乗降扉511cの車両元画像の画像データを第1車両511の側面と正対する方向からの第3乗降扉511cの変換車両画像データに変換する処理を行う(S12)。第3乗降扉511cの変換車両画像データと記憶装置4から読み出された車両基準画像データとの対比を行って、第3乗降扉511cの変換車両画像データと車両基準画像データとの間における差異が有る場合には第3乗降扉511cが扉挟みの状態に有ると判定し、また第3乗降扉511cの変換車両画像データと車両基準画像データとの間における差異が無い場合には第3乗降扉511cが扉挟みの状態に無いと判定する(S13)。
【0036】
列車51の第2車両512の第1乗降扉511a,第2乗降扉511b,第3乗降扉511cについても同様に扉挟みの検出処理のプロセスを行う。
【0037】
このように、すべての車両のすべての扉について同様にこれらの処理を繰り返すのであるが、第1車両511の進行方向MDにおいて、乗降扉が検出されなくなった場合には、扉挟みの状態の検出対象である乗降扉が無いことを検出したことと等価であり、扉挟み状態検出システム1の処理を終了する。
【0038】
扉挟み状態検出システム1は、プラットホーム50に設置される少なくとも1台のカメラ2aがあれば、今まで説明してきた扉挟み状態検出の処理のプロセス(S11からS15)を繰り返すことで、実現できる。しかし、プラットホーム50に設置される複数台のカメラ2aを配置し、それぞれのカメラが車両と乗降扉とを分担して、扉挟み状態検出の処理のプロセス(S11からS15)を実行させてもよい。
【0039】
(検出している乗降扉の画定)
ここまで、扉挟み状態検出の処理について説明してきたが、第1車両511の第1乗降扉511aが既知であるとの前提に立っている。進行方向MDにおいての第2乗降扉511b、第3乗降扉511c、・・・は、第1乗降扉511aから起算された順番で認識をしている。したがって、車両群の先頭車両である第1車両511の先頭乗降扉たる第1乗降扉511aを同定することが必要となる。以下、図5Bを参照して、先頭車両の先頭乗降扉の検出について説明する。図5Bは先頭車両の先頭乗降扉の検出処理のプロセスのフローチャートを示している。
【0040】
まず、カメラ2aはプラットホーム50への列車51が入構していないときから、列車51の有無を検出する。プラットホーム50への列車51の進入がない場合は、列車51の進入があるまでこれを繰り返す(S01)。プラットホーム50への列車51の進入が検出されると、次のステップに移る。プラットホーム50への列車51の進入が検出されると、続いて、扉判定エリアたる検出領域JAにおいて乗降扉の検出を行う。列車の速度が十分に減速されるまでは扉の検出が不可能である。プラットホーム50に列車51の進入が検出され、列車の速度が所定の範囲内に入ると、扉判定エリアたる検出領域JAにおいて、乗降扉が検出される(S02)。所定の範囲内は、列車の速度が十分に減速されている状態および停止している状態の速度として画定される。扉判定エリアたる検出領域JAはカメラ2aの撮影範囲で最先端の部分に位置するように設定されるので、この検出された扉を列車51の先頭車両である第1車両511の先頭乗降扉の第1乗降扉511aと判定する。すなわち、列車51(第1車両511)が停止した状態または停止する直前の状態で最初に検出される第1車両511の第1乗降扉511aを第1車両511の先頭の乗降扉である第1乗降扉511aであると判定する。進行方向MDにおいて、第1乗降扉511aから起算して、続く乗降扉から第2乗降扉511b、第3乗降扉511c、・・・と順次付番する。
【0041】
特に、扉挟み状態検出システム1が複数のカメラを有し、これらで扉の扉挟み状態を検出する場合には、この手順によって、それぞれのカメラが分担する先頭車両の先頭の乗降扉の画定を行えばよい。この先頭車両の先頭の乗降扉を画定する手順は、図5Aの扉挟み状態検出処理の最初のステップS11の前に行えばよい。すなわち、列車51が停車後、第1乗降扉511aが開放され、乗客の乗降が終わって、第1乗降扉511aが閉鎖されると、上記で説明した図5Aのステップで第1乗降扉511aの扉挟みの検出のプロセス(S11)を実行すればよい。これらのステップを、同様に、列車51のすべての車両のすべての乗降扉について同様に処理する。
【符号の説明】
【0042】
1 扉挟み状態検出システム
2,2a,2b,2c カメラ
3 処理装置
4 記憶装置
10 扉挟み状態検出装置
11 サーバ
50 プラットホーム
51 列車
511 第1車両
511a 第1乗降扉
511b 第2乗降扉
511c 第3乗降扉
512 第2車両
512a 第1乗降扉
512b 第2乗降扉
511c 第3乗降扉
513 第3車両
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B