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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044486
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】釣りロッドホルダー
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/10 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A01K97/10 B
A01K97/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150034
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】397050040
【氏名又は名称】株式会社プロックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道中 廣茂
【テーマコード(参考)】
2B109
【Fターム(参考)】
2B109CA02
2B109CA06
2B109CA53
2B109CB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】右ハンドル又は左ハンドルのいずれのリールを装着している釣りロッドであっても、釣り人が扱い易い状態で身体に保持できる釣りロッドホルダーを提供する。
【解決手段】釣りロッドが上方から挿入可能な筒形周壁部(2)と、筒形周壁部(2)を釣り人に装着するための取り付け部(5)とを有する釣りロッドホルダーであって、筒形周壁部(2)は、上方からリールの脚部が差し込み可能な上端開口状の差し込み溝を複数有しており、たとえば第1の差し込み溝(11)、第2の差し込み溝(12)及び第3の差し込み溝(13)の3つの差し込み溝を有しており、それらは互いに筒形周壁部(2)の周方向に間隔を置いて配置されている。好ましくは、筒形周壁部(2)の上端に、筒軸心(O1)回り回動自在なキャップ(3)を接続することにより、各差し込み溝(11,12,13)の上端開口を開閉する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣りロッドが上方から挿入可能な筒形周壁部と、前記筒形周壁部を釣り人に装着するための取り付け部とを有する釣りロッドホルダーであって、
前記筒形周壁部は、上方からリールの脚部が差し込み可能な上端開口状の差し込み溝を複数有しており、前記複数の差し込み溝は、互いに前記筒形周壁部の周方向に間隔を置いて配置されている、釣りロッドホルダー。
【請求項2】
前記筒形周壁部は、3つの前記差し込み溝を有している、請求項1に記載の釣りロッドホルダー。
【請求項3】
3つの前記差し込み溝は、前記取り付け部に水平方向に対向する位置に形成された第1の差し込み溝と、前記取り付け部から前記第1の差し込み溝までの周方向の一方側の経路の中間位置に形成された第2の差し込み溝と、前記取り付け部から前記第1の差し込み溝までの周方向の他方側の経路の中間位置に形成された第3の差し込み溝である、請求項2に記載の釣りロッドホルダー。
【請求項4】
前記筒形周壁部は、2つの前記差し込み溝を有している、請求項1に記載の釣りロッドホルダー。
【請求項5】
前記筒形周壁部の上端に、前記各差し込み溝の上端を開閉自在なキャップを備えている、請求項1~4のいずれか一つに記載の釣りロッドホルダー。
【請求項6】
前記キャップは、前記筒形周壁部の筒軸心回り回動自在に前記筒形周壁部に接続されるとともに、前記リールの前記脚部が通過可能な一つの通過溝を有しており、
前記キャップの回動により、前記通過溝を複数の前記差し込み溝の一つに選択的に連通する、請求項5に記載の釣りロッドホルダー。
【請求項7】
前記各差し込み溝の周縁部分は、前記筒形周壁部の外周面から径方向の外方へ張り出している、請求項1~6のいずれか一つに記載の釣りロッドホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り人が、主として自分のフィッシングジャケットやベルト等に釣りロッドを一時的に保持しておくための釣りロッドホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の釣りロッドホルダーは、釣りをしている最中に、ラインを結んだり、餌を交換したり、ルアーを交換したり、釣った魚を針から外したりする作業で、両手を使うときに一時的に釣りロッドを保持しておくために利用する。また、釣り場を移動するときに、両手で荷物を持って釣りロッドとともに移動するためにも利用する。
【0003】
従来の釣りロッドホルダー(例えば特許文献1参照)では、ロッド保持用の有底の筒体を、取り付け部により釣り人の腰ベルトに装着する構造を有している。ここで、釣り人は筒体に上方から釣りロッドの基端部を差し込んで保持することができる。
【0004】
図18は、現在市場に流通している一般的な釣りロッドホルダー100を示した図である。図18に示すように、筒形本体101の外周面に、釣り人のベルトに装着するための上下一対の取り付け片102が設けられると共に、取り付け片102に対して水平方向に対向する位置に、リールの脚部を上方から差し込める差し込み溝103が一つだけ形成されている。この釣りロッドホルダー100では、差し込み溝103にリールの脚部を差し込むことにより、釣りロッドは、そのリールが常に釣り人の身体から外方に突出するように筒形本体101に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-148990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、釣りロッドに装着するリールは、一般的に、釣り人の好みによって左ハンドルと、右ハンドルとを選択することができる。しかしながら、図18のようにベルトに装着する方式の釣りロッドホルダーでは、リールの脚部の差し込み溝103が一箇所しか形成されておらず、筒形本体101に対するリールの筒軸心O1回りの係止位置が一箇所に限定されてしまう。そのため、釣り人が、自分の都合の良い方向にリール及びハンドルを位置(突出)させることができないという問題があった。
【0007】
本発明は上述の事情によりなされたもので、釣りロッドを保持する時において、リールの位置(突出方向)の選択範囲を増やすことにより、釣り人に都合の良い方向又はそれに近い方向にリール及びハンドルを向けて保持できる釣りロッドホルダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の実施形態に係る釣りロッドホルダーは、釣りロッドが上方から挿入可能な筒形周壁部と、筒形周壁部を釣り人に装着するための取り付け部とを備える。ここで、筒形周壁部は、上方からリールの脚部が差し込み可能な上端開口状の差し込み溝を複数有しており、複数の差し込み溝は、互いに筒形周壁部の周方向に間隔を置いて配置される。
【0009】
この構成によれば、釣りロッドを保持する時に、リールの突出方向を複数の方向から選択でき、釣り人に都合の良い方向又はそれに近い方向にリール及びハンドルを向けて保持することが可能となる。
【0010】
本発明の一態様として、筒形周壁部は、3つの前記差し込み溝を有している。この場合、好ましくは、3つの前記差し込み溝は、取り付け部に水平方向に対向する位置に形成された第1の差し込み溝と、取り付け部から第1の差し込み溝までの周方向の一方側の経路の中間位置に形成された第2の差し込み溝と、取り付け部から前記第1の差し込み溝までの周方向の他方側の経路の中間位置に形成された第3の差し込み溝である。
【0011】
この構成によれば、筒形周壁部の筒軸心回りにおけるリールの固定位置の選択範囲が3つに増える。また、釣り人は身体の左側面、右側面及び正面のいずれか都合の位置に釣りロッドホルダーを取り付けても、リールが都合の良い方向に突出する状態に容易に釣りロッドを保持できる。
【0012】
本発明の一態様として、筒形周壁部の上端に、各差し込み溝の上端を開閉自在なキャップを備えている。この場合、好ましくは、キャップは、筒形周壁部の筒軸心回り回動自在に筒形周壁部に接続されるとともに、リールの前記脚部が通過可能な一つの通過溝を有しており、キャップの回動により、通過溝を複数の差し込み溝の一つに選択的に連通する。
【0013】
この構成によれば、いずれの差し込み溝を選択してリールの脚部を差し込んだ場合でも、その差し込み溝の上端をキャップにより閉鎖することができる。従って、釣り人が移動時に飛んだり、俯いたりしても、釣りロッドが筒形周壁部から脱落することがない。また、一つのキャップの回動操作により、3つの差し込み溝のいずれをも選択的に閉鎖できるので、構造が簡単で、しかも複数の差し込み溝の上端開口の開閉操作が容易となる。
【0014】
本発明の一態様として、各差し込み溝の周縁部分は、筒形周壁部の外周面から径方向の外方へ張り出している。
【0015】
この構成によれば、筒形周壁部の内部から外方に突出するリールの脚部を、外方に張り出し状の差し込み溝周縁部分で支持するので、差し込み溝の周縁の強度を維持し、脚部を安定した状態で支持できる。
【0016】
本発明の別の態様として、筒形周壁部は、2つの差し込み溝を有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る釣りロッドホルダーによると、釣りロッドを保持する時のリール及びハンドルの突出方向の選択範囲が広がり、釣り人の都合の良い方向にリール及びハンドルを突出させて保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る釣りロッドホルダー1であって、3つの差し込み溝11,12,13を有する釣りロッドホルダー1を斜め上方から見た斜視図である。
図2図1の釣りロッドホルダー1の正面図である。
図3図1の釣りロッドホルダー1の平面図である。
図4図2の釣りロッドホルダー1のIV-IV線断面図である。
図5図3の釣りロッドホルダー1のV-V線断面拡大図である。
図6】釣り人の左側面に釣りロッドホルダー1を取り付け、左ハンドルのリールの脚部を第2の差し込み溝12に差し込み、第2の差し込み溝12の上端を開放した状態を示す平面図である。
図7図6の左側面図である。
図8図6の状態からキャップを90度回動し、第2の差し込み溝12の上端を閉じた状態を示す図6と同様の平面図である。
図9図8の左側面図である。
図10】釣り人の右側面に釣りロッドホルダー1を取り付け、右ハンドルのリールの脚部を第3の差し込み溝13に差し込み、第3の差し込み溝13の上端を開放した状態を示す平面図である。
図11図10の右側面図である。
図12】釣り人の正面に釣りロッドホルダー1を取り付け、左ハンドルのリールの脚部を第1の差し込み溝11に差し込んだ状態を示しており、図4と同一箇所で切断して示す水平断面図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る釣りロッドホルダーの図4と同様の断面図である。
図14】本発明による釣りロッドホルダーの別の使用例であって、クーラーボックスの右側面に取り付けた状態を示すクーラーボックスの右側面図である。
図15図14のXV-XV線断面拡大図である。
図16】ベルト装着用への応用例を示す連結板の正面図である。
図17図16のXVII-XVII線断面図である。
図18】従来の釣りロッドホルダーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付して説明は省略する。
【0020】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る釣りロッドホルダー1を、図1図12の添付図面に基づいて説明する。
【0021】
[釣りロッドホルダーの構成]
図1は第1の実施形態に係る釣りロッドホルダー1の全体斜視図である。図1において、釣りロッドホルダー1は、上下方向に細長く延びる樹脂製の筒形周壁部2と、この筒形周壁部2の上端に、着脱可能かつ筒形周壁部2の筒軸心O1回り回動可能に接続された樹脂製の筒形のキャップ3と、筒形周壁部2の上端部の外周面に設けられた取り付け部5とを備えて構成されている。
【0022】
筒形周壁部2の上半部には、リールの脚部を差し込むための上端開口状の3つの差し込み溝11,12,13が形成されている。キャップ3には、リールの脚部が通過可能な1つの通過溝15が形成されている。取り付け部5は、基端部の嵌合孔19及び複数の係合孔20を有する金属製の連結板21を有し、該連結板21は、基端部の前記嵌合孔19の部分が、筒形周壁部2の上端部の外周面の支持座22に、固定ねじ23により取り付け角調節可能に固定されている。
【0023】
図2図1の釣りロッドホルダー1の正面図である。図2において、各差し込み溝11、12、13は、上下方向に長い長方形状に形成され、各差し込み溝11、12、13の周縁(下端縁と周方向の両端縁)は、筒形周壁部2の外周面より径方向の外方に張り出している。また、筒形周壁部2の下半部には上下方向に間隔を置いて複数の窓孔27が形成されている。
【0024】
キャップ3の上半部は、上方に向いて拡径するフレアー形状に形成され、キャップ3に形成された通過溝15は、筒形周壁部2の各差し込み溝11、12、13の周方向の幅とほぼ同じ幅に形成されている。
【0025】
図3図1の釣りロッドホルダー1の平面図であり、図4図2のIV-IV線断面図である。図3において、キャップ3の通過溝15に水平方向で対向する面には、一対のストッパ兼補強リブ29が形成されており、これによりキャップ3のフレアー形状部分を補強すると同時に、釣りロッドが通過溝15と反対側に傾くのを阻止する。図3に示すキャップ3の状態は、通過溝15が筒形周壁部2の第1の差し込み溝11の上側に位置しており、これにより、第1の差し込み溝11は上端が開口状態となり、一方、第2の差し込み溝12及び第3の差し込み溝13は、キャップ3により閉じられた状態となっている。この状態から、たとえばキャップ3を、筒軸心O1を中心に時計回り(右回り)に90度回動すると、通過溝15が第2の差し込み溝12上に位置して第2の差し込み溝12を開口状態とし、第1の差し込み溝11及び第3の差し込み溝13を閉じ状態とする。反対に、図3に示す状態から、キャップ3を、筒軸心O1を中心に反時計回り(左回り)に90度回動すると、通過溝15が第3の差し込み溝13上に位置して第3の差し込み溝13を開口状態とし、第1の差し込み溝11及び第2の差し込み溝12を閉じ状態とする。
【0026】
図4において、筒形周壁部2の外周面に形成された支持座22には、支持座22を貫通して支持座22から外方へ突出する筒ナット24が固着されている。筒ナット24の外方突出部分に金属製のスペーサリング25及び前述の連結板21の細長い嵌合孔19を嵌め合わせ、筒ナット24に固定ねじ23を螺合することにより、連結板21を固定ねじ23の軸心線C1回り回動自在に支持し、かつ、固定ねじ23の頭部(つまみ)23aにより連結板21を任意の角度で固定可能としている。
【0027】
筒形周壁部2の内径は、釣りロッド50が余裕を持って挿入できる大きさに形成されている。各差し込み溝11,12,13は、前述のようにリール51の脚部53が余裕を持って挿入できる幅を有している。3つの差し込み溝11,12,13は、取り付け部5の固定ねじ23に対し、水平方向に対向する位置に形成された第1の差し込み溝11と、固定ねじ23から第1の差し込み溝11の中心に至る周方向の2つの経路のうち、反時計回り(左回り)側の経路の中間に形成された第2の差し込み溝12と、固定ねじ23から第1の差し込み溝11の中心に至る周方向の2つの経路のうち、時計回り(右回り)側の経路の中間に形成された第3の差し込み溝13とを備えて構成される。
具体的には、第1の差し込み溝11は、その中心が固定ねじ23の軸心線C1の延長線上にくるように配置され、第2の差し込み溝12及び第3の差し込み溝13は、それらの中心が、前記固定ねじ23の軸心線C1と筒軸心線O1上で直交する直線C2上にくるように配置される。
【0028】
図5図3のV-V線断面拡大図であり、キャップ3の回動可能な接続構造を示している。図5において、筒形周壁部2の上端には上方に延びて径方向の外方に突出する内側係合突起31が形成される。また、キャップ3の下端には下方に延びて径方向の内方に突出する外側係合突起32が形成される。内側係合突起31は、径方向の外周面が上方に向いて縮径しており、断面形状が上方に向いたくさび形状となっている。外側係合突起32の断面形状は概ね矩形状に形成されている。
【0029】
キャップ3の外側係合突起32を上方から筒形周壁部2の内側係合突起31の外周面にはめ、下方へ押し込むことにより、樹脂製のキャップ3及び筒形周壁部2の弾性に抗して外側係合突起32が内側係合突起31の下に嵌まり込む。これにより、筒形周壁部2に対してキャップ3は、筒軸心O1回り回動可能に筒形周壁部2に接続される。
【0030】
[釣りロッドホルダーの使用例]
図1の釣りロッドホルダー1の使用方法及び使用状態の一例を説明する。
【0031】
図6図9は、左ハンドル54Lを有するリール51を取り付けた釣りロッド50の保持状態を示した図である。ここで、矢印で示すように、釣り人Pから見た前後方向及び左右方向を、方向の基準として説明する。図6は、釣り人Pの左側面に釣りロッドホルダー1を配置した状態の平面図である。図6において、第2の差し込み溝12が前方に向いて開口しており、キャップ3の通過溝15は第2の差し込み溝12上に位置している。これにより、前向きの第2の差し込み溝12の上端が開いており、第1の差し込み溝11及び第3の差し込み溝13の上端は閉じている。かかる状態の釣りロッドホルダー1に対し、左ハンドル54Lを有するリール51の脚部53を第2の差し込み溝12に差し込みつつ、釣りロッド50を筒形周壁部2内に上方から挿入する。図6の釣りロッド50の保持状態は、リール51は釣りロッドホルダー1の前方に突出し、左ハンドル54Lは、左方に突出した状態を示している。
【0032】
図7図6の左側面図である。図7において、連結板21を上向き姿勢とし、連結板21の先端の係合孔20を、カラビナ41を介して釣り人Pのフィッシングジャケットの吊りリング42に連結している。連結板21は最上端に位置する係合孔20を釣り人Pの左脇辺りの吊りリング42に連結することにより、釣りロッドホルダー1が丁度釣り人Pの左腰に来るように支持しているが、吊りリング42が設けられている高さに応じて、他の係合孔20を選択することにより、吊りロッドホルダー1を所望の高さに維持できる。もちろん、連結板21の基端部にある細長い嵌合孔19(図1参照)と固定ボルト23との相対位置をずらすことによっても、高さ調整を行うこともできる。ここで、連結板21をベルトの上方向から挿入して固定されるように構成されてもよい。
【0033】
図8は、釣りロッドホルダー1のキャップ3を、図6の状態から90度反時計回りに回動し、第2の差し込み溝12の上端を閉じた状態の平面図である、通過溝15は第1の差し込み溝11の上方に位置し、第1の差し込み溝11の上端を開口している。
【0034】
図9図8の左側面図である。図9において、第2の差し込み溝12の上端をキャップ3により閉じているので、たとえば、釣り人Pが前屈みの姿勢になったり、岩場あるいはテトラポットを飛び移る時等に、釣りロッド50が上方に抜け落ちるのを防止することができる。
【0035】
図10及び図11は、右ハンドル54Rを有するリール51を取り付けた釣りロッド50の保持状態を示した図である。図10は釣り人Pの右側面に釣りロッドホルダー1を配置した状態の平面図である。図10において、第3の差し込み溝13が前方に向いて開口しており、キャップ3の通過溝15は第3の差し込み溝13上に位置している。これにより、前向きの第3の差し込み溝13の上端が開いており、第1の差し込み溝11及び第2の差し込み溝12の上端は閉じている。かかる状態の釣りロッドホルダー1に対し、右ハンドル54Rを有するリール51の脚部53を第3の差し込み溝13に差し込みつつ、釣りロッド50を筒形周壁部2内に上方から挿入する。
【0036】
図11図10の右側面図である。図11において、連結板21を上向き姿勢にして、連結板21の先端部を、カラビナ41を介して釣り人Pの右脇の吊りリング42に連結している。図7の場合と同様に、連結板21は最上端に位置する係合孔20を釣り人Pの右脇辺りの吊りリング42に連結することにより、釣りロッドホルダー1が丁度釣り人Pの右腰にくるように支持しているが、吊りリング42が設けられている高さに応じて、他の係合孔20を選択することにより、吊りロッドホルダー1を所望の高さに維持できる。もちろん、連結板21の基端部にある細長い嵌合孔19(図1参照)と固定ボルト23との相対位置をずらすことによっても、高さ調整を行うこともできる。
【0037】
なお、キャップ3を図10及び図11の状態から筒軸心O1回りに90度だけ回動することにより、第3の差し込み溝13の上端を閉じ、移動時等の釣りロッド50の脱落を防止できる。
【0038】
図12は釣り人Pの正面に釣りロッドホルダー1を配置した状態の平面図である。図12において、第1の差し込み溝11が前方に向いて開口しており、図示しないがキャップ3の通過溝15は第1の差し込み溝11上に位置している。これにより、前向きの第1の差し込み溝11の上端が開いており、第2の差し込み溝12及び第3の差し込み溝13の上端は閉じている。かかる状態の釣りロッドホルダー1に対し、例えば左ハンドル54Lを有するリール51の脚部53を第1の差し込み溝11に差し込みつつ、釣りロッド50を筒形周壁部2内に上方から挿入する。図12の釣りロッド50の保持状態では、リール51は釣りロッドホルダー1の前方に突出し、左ハンドル54Lは、左方に突出した状態となる。これにより、たとえば釣り人Pは釣りロッド50を釣りロッドホルダー1に保持した状態でも、左ハンドル54Lの操作をできる。また、釣りロッド50の抜き差し作業も釣りロッドを自然に持った状態でできる。
【0039】
第1の実施の形態は、前記使用例に限定されるのではなく、釣り人個人の都合の良い方向にリール及びハンドルを向けて使用することができる。たとえば、釣り人の右腰に釣りロッドホルダー1を装着する場合に、釣り人によっては左ハンドルのリールを取り付けた釣りロッドが都合の良い場合があり、その場合は、左ハンドルのリールを取り付けた釣りロッドを保持する。同様に、釣り人の左腰に釣りロッドホルダー1を装着する場合に、釣り人によっては右ハンドルのリールを取り付けた釣りロッドが都合の良い場合があり、その場合は、右ハンドルのリールを取り付けた釣りロッドを保持する。
【0040】
第1の実施形態による効果をまとめると次の通りである。
【0041】
(a)リール51の脚部53の差し込み溝11,12,13を、周方向に間隔を置いて3箇所に形成しているので、釣り人は釣りロッド50を左腰、右腰あるいは正面のいずれに取り付ける場合でも、釣り人の都合の良い方向にリール及びハンドルを位置させ、突出させることができる。すなわち、リール及びハンドル等の位置の選択自由度が増える。
【0042】
(b)各差し込み溝11,12,13の上端開口は、キャップ3により開閉する構造なので、リール51の脚部53を差し込み後、閉じることにより、釣り人がジャンプしたり、前屈みになったりしても、釣りロッド50が抜け落ちることがない。
【0043】
(c)一つの通過溝15を有する筒形のキャップ3を、筒形周壁部2の上端に回動自在に接続し、キャップ3を回動操作することで、各差し込み溝11,12,13のいずれをも、選択的に開閉でき、各差し込み溝11,12,13の上端の開閉が容易である。
【0044】
(d)取り付け部5は、複数の係合孔20を有する帯状の連結板21を有しており、複数の係合孔20を選択的に利用することにより、フィッシングベストの吊りリング42等に支持される釣りロッドホルダー1の配置高さを所望の高さに調節できる。もちろん、連結板21の基端部にある細長い嵌合孔19(図1参照)と固定ボルト23との相対位置をずらすことによっても、高さ調整を行うこともできる。
【0045】
(e)各差し込み溝11,12,13の周縁は、筒形周壁部2の外周面から径方向の外方に張り出しているので、差し込み溝11,12,13によるリール51の脚部53の支持強度を維持できる。
【0046】
(f)キャップ3の上半部は上方に向いて拡径するフレアー形状となっているので、上方からの釣りロッド50の挿入作業が容易になる。
【0047】
[第2の実施形態]
図13は本発明の第2の実施形態にかかる釣りロッドホルダー1である。第1の実施形態と異なる構成は、2つの差し込み溝12A、13Aを有する点であり、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、同じ部品及び部分には同じ番号を付してある。図13において、取り付け部5の固定ねじ23に対向する位置には、差し込み溝が形成されておらず、固定ねじ23の軸心線C1と直交し、筒軸心O1を通る直線C2上に、2つの差し込み溝12A、13Aが形成されている。
【0048】
[釣りロッドホルダーの別の使用例]
上述した第1の実施形態では、釣りロッドホルダー1の使用例として釣り人の身体に取り付けて使用する方法を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明は、クーラーボックス70あるいは釣り用具収納箱の側面に取り付けて使用するように構成されてもよい。図14及び図15は、クーラーボックス70あるいは釣り用具収納箱の側面に取り付けて使用する方法を示した図である。図14は、クーラーボックス70の側面に仰角調節自在に取り付けた状態の右側面図であり、図15図14のXV-XV線断面図である。
【0049】
図14において、釣りロッドホルダー1は第1の実施形態と同様であり、同じ部品には同じ番号を付してある。クーラーボックス70の右側面には上下方向に細長い鞘形支持ケース71が固着されている。
【0050】
釣りロッドホルダー1の連結板21が支持ケース71内に上方から差し込まれている。筒形周壁部2は、固定ねじ23の軸心線C1回りに回動調節することにより、前傾姿勢(前上がり傾斜状)に保持され、固定ねじ23により固定されている。
【0051】
釣りロッド50は右ハンドル54Rを有するリール51を装着している。これにより、右ハンドル54Rはクーラーボックス70の右側面と干渉することがなく、スムーズにハンドル操作をすることができる。
【0052】
図15において、支持ケース71は前述のようにクーラーボックス70の右側面に固定されている。
【0053】
なお、左ハンドル54Lのリール51を有する釣りロッド50を保持する場合は、クーラーボックス70を左右反転させた上で連結版21の角度を逆向きにさせるだけでよい。また、連結板21を真っ直ぐの状態で挿し、通常のロッドホルダーとしても使用してもよい。
【0054】
[連結板の応用例]
図16及び図17は、前述の第1の実施形態における連結板21を利用して、釣り人のベルトあるいはカバン等のベルトに釣りロッドホルダー1を装着できる応用例を示している。
【0055】
図16は、ベルト装着用の追加部品60を追加した連結板21の正面図、図17図16のXVII-XVII線断面図である。図17において、追加部品60は、長さ方向の両端に折れ曲がり部61を有する断面コの次状に形成されており、各折れ曲がり部51にはそれぞれ係止爪62が形成されている。
【0056】
連結板21の先端から2番目の係合孔20と5番目の係合孔20にそれぞれ折れ曲がり部61が挿入され、各係止爪62により抜けないように係止されている。連結板21と追加部材60との間でバンド挿通溝63を形成しており、このバンド挿通溝63に、図16に示すようにバンド65が挿通されている。すなわち、コの字状の追加部材60を連結板21に装着するだけで、ベルト用にも利用できる。
【0057】
[その他の実施形態]
以上の実施形態では、筒形周壁部に差し込み溝を2個または3個形成するように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明は、筒形周壁部に差し込み溝を4個以上形成するように構成されてもよい。この場合においても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
また、本発明は、筒形周壁部の取り付け部を、釣り人のベルトに装着できる取手構造とするように構成されてもよい。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 釣りロッドホルダー
2 筒形周壁部
3 キャップ
5 取り付け部
11 第1の差し込み溝
12 第2の差し込み溝
13 第3の差し込み溝
12A 差し込み溝
13A 差し込み溝
15 通過溝
21 連結板
50 釣りロッド
51 リール
53 脚部
54L 左ハンドル
54R 右ハンドル
図1
図2
図3
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図5
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