(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044488
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ベルト異常検知装置
(51)【国際特許分類】
F16H 7/00 20060101AFI20240326BHJP
F16H 7/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F16H7/00 A
F16H7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150038
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 高明
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049BG03
3J049BG10
3J049CA03
(57)【要約】
【課題】検知センサの検知精度を向上することが可能なベルト異常検知装置を提供すること。
【解決手段】ベルト異常検知装置1は、クランクシャフトに設けられた駆動プーリ10と、補機に設けられた従動プーリ21と、前記駆動プーリの動力が前記従動プーリに伝達されるように前記駆動プーリ及び前記従動プーリにかけ回されたベルト30と、前記ベルトの振れを検知することが可能な検知センサ40と、前記検知センサを保持する保持部材50と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトに設けられた駆動プーリと、
補機に設けられた従動プーリと、
前記駆動プーリの動力が前記従動プーリに伝達されるように前記駆動プーリ及び前記従動プーリにかけ回されたベルトと、
前記ベルトの振れを検知することが可能な検知センサと、
前記検知センサを保持する保持部材と、を備える、ベルト異常検知装置。
【請求項2】
前記保持部材は、
前記ベルトと対向しており、前記検知センサを保持する保持壁と、
前記保持壁と直交しており、前記保持壁を支持する支持壁と、を有する、請求項1に記載のベルト異常検知装置。
【請求項3】
前記保持壁は、
前記ベルトと対向する対向面と、
前記対向面と反対側に形成された背面と、を有し、
前記検知センサは、タッチセンサであり、
前記検知センサは、前記対向面に固定されている、請求項2に記載のベルト異常検知装置。
【請求項4】
前記保持壁は、
前記ベルトと対向する対向面と、
前記対向面と反対側に形成された背面と、を有し、
前記検知センサは、振動センサであり、
前記検知センサは、前記背面に固定されている、請求項2に記載のベルト異常検知装置。
【請求項5】
前記保持部材と前記ベルトとの間に配置された中間部材をさらに備え、
前記保持部材は、前記ベルトに向かって開口する形状を有し、
前記中間部材は、
前記保持部材から前記ベルトに向かって突出する形状を有するダンパー部と、
前記保持部材の内側に配置されており、前記ダンパー部を前記ベルトに向けて付勢する付勢部と、を有し、
前記ダンパー部は、
前記ベルトと対向するベルト対向部と、
前記検知センサと接触可能な腕部と、を有し、
前記腕部は、前記ベルト対向部を基準として前記ベルトが配置されている側とは反対側に形成されており、
前記付勢部は、前記腕部が前記検知センサに接触するように前記ベルト対向部を付勢している、請求項1に記載のベルト異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ベルト異常検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関においてベルトの異常を検知する技術が知られている。例えば、特開平5-26313号公報には、クランク軸に設けられたクランクプーリと、オルタネータの駆動軸に設けられたオルタネータプーリと、冷却ファンの駆動軸に設けられたファンプーリと、各プーリ間に張設された無端ベルトと、ベルトの振れを検知する振れ検知センサと、を備えるベルト振れ制御装置が開示されている。振れ検知センサは、クランクプーリとオルタネータプーリとの中間あたりの位置(ベルトの振れが最も大きな位置)に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開平5-26313号公報に記載されるようなベルト異常検知装置では、検知センサによる検知精度について向上の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、検知センサの検知精度を向上することが可能なベルト異常検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の一局面に従ったベルト異常検知装置は、クランクシャフトに設けられた駆動プーリと、補機に設けられた従動プーリと、前記駆動プーリの動力が前記従動プーリに伝達されるように前記駆動プーリ及び前記従動プーリにかけ回されたベルトと、前記ベルトの振れを検知することが可能な検知センサと、前記検知センサを保持する保持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この開示によれば、検知センサの検知精度を向上することが可能なベルト異常検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態におけるベルト異常検知装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1におけるII-II線での断面図である。
【
図3】検知センサ及び保持部材の変形例を概略的に示す断面図である。
【
図4】検知センサ及び保持部材の変形例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態におけるベルト異常検知装置を概略的に示す図である。
図2は、
図1におけるII-II線での断面図である。このベルト異常検知装置1は、内燃機関に特に好ましく用いられる。
【0011】
図1及び
図2に示されるように、ベルト異常検知装置1は、駆動プーリ10と、従動プーリ21と、他の従動プーリ22と、ベルト30と、検知センサ40と、保持部材50と、を備えている。
【0012】
駆動プーリ10は、クランクシャフトに設けられている。駆動プーリ10は、クランクシャフトの一端に設けられたクランクプーリで構成されている。
【0013】
従動プーリ21は、補機(図示略)に設けられている。補機として、ウォータポンプが挙げられる。本実施形態では、従動プーリ21は、ウォータポンプに設けられたウォータポンププーリで構成されている。
【0014】
他の従動プーリ22は、補機とは異なる他の補機(図示略)に設けられている。他の補機として、バッテリーを充電するためのオルタネータが挙げられる。本実施形態では、他の従動プーリ22は、オルタネータに設けられたオルタネータプーリで構成されている。
【0015】
ベルト30は、駆動プーリ10の動力が従動プーリ21及び他の従動プーリ22に伝達されるように駆動プーリ10、従動プーリ21及び他の従動プーリ22にかけ回されている。ベルト30は、ゴム等からなる。ベルト30は、経年変化による張力の減少やエンジンの駆動に伴う振動等に起因し、特に駆動プーリ10から送り出された部位が
図2において矢印ARで示される方向に振動する場合がある。
【0016】
検知センサ40は、ベルト30の振れを検知することが可能である。本実施形態では、検知センサ40として、接触により通電するタッチセンサが用いられている。検知センサ40は、ベルト30のうち駆動プーリ10から送り出された部位、すなわち、駆動プーリ10と従動プーリ21との間の部位と対向する位置に配置されている。検知センサ40は、ベルト30で囲まれる空間の外側に配置されている。検知センサ40がベルト30の振れの検知時に出力する信号は、アラームの点灯等に利用される。
【0017】
保持部材50は、検知センサ40を保持している。保持部材50は、金属等からなる。
図2に示されるように、保持部材50は、保持壁51と、支持壁52と、を有している。
【0018】
保持壁51は、検知センサを保持している。保持壁51は、ベルト30と対向している。保持壁51は、平板状に形成されてもよい。保持壁51は、検知センサ40の外径よりも大きい。保持壁51は、対向面51aと、背面51bと、を有している。
【0019】
対向面51aは、ベルト30と対向している。対向面51aは、平坦に形成されている。対向面51aの外形は、検知センサ40の外形よりも大きい。本実施形態では、対向面51aに検知センサ40が固定されている。
【0020】
背面51bは、対向面51aと反対側に形成されている。背面51bは、平坦に形成されている。
【0021】
支持壁52は、保持壁51と直交している。支持壁52は、保持壁51を支持している。支持壁52は、平板状に形成されてもよい。
【0022】
以上に説明したように、本実施形態のベルト異常検知装置1では、検知センサ40が保持部材50により予め設定された位置に適切に保持されるため、検知センサ40によるベルト30の振れの検知精度が向上する。
【0023】
次に、上記実施形態における変形例について説明する。
【0024】
(第1変形例)
図3に示されるように、検知センサ40は、保持壁51の背面51bに固定されていてもよい。この例では、検知センサ40は、振動センサで構成されている。
【0025】
この例では、ベルト30が保持壁51に接触したときの保持壁51の振動が検知センサ40で検出される。この態様では、ベルト30が直接検知センサ40に接触しないため、検知センサ40の破損が抑制される。
【0026】
(第2変形例)
図4に示されるように、ベルト異常検知装置1は、保持部材50とベルト30との間に配置された中間部材60をさらに備えていてもよい。
【0027】
保持部材50は、ベルト30に向かって開口する形状を有している。具体的に、保持部材50は、ベルト30の触れ方向と直交する底壁53と、底壁53からベルト30に向かって突出する周壁54と、を有している。周壁54は、筒状(例えば円筒状)に形成されている。
【0028】
検知センサ40は、周壁54の外周面に固定されている。検知センサ40は、ベルト30と接触しない位置に設けられている。
【0029】
中間部材60は、ダンパー部62と、付勢部64と、を有している。
【0030】
ダンパー部62は、保持部材50からベルト30に向かって突出する形状を有している。ダンパー部62は、収容部62aと、ベルト対向部62bと、腕部62cと、を有している。
【0031】
収容部62aは、周壁54の内側に配置されている。収容部62aは、付勢部64を収容している。収容部62aは、筒状(例えば円筒状)に形成されている。収容部62aの外径は、周壁54の内径と実質的に等しい。収容部62aは、周壁54の軸方向(ベルト30の触れ方向)に沿って周壁54に対して相対変位可能となるように周壁54に保持されている。
【0032】
ベルト対向部62bは、ベルト30と対向する部位である。ベルト対向部62bは、収容部62aのうちベルト30と対向する側の端部に接続されている。ベルト対向部62bは、収容部62aうちベルト30側の開口を閉塞している。ベルト対向部62bは、ベルト30に向かって凸となるように湾曲する形状を有している。
【0033】
腕部62cは、収容部62aの外周面から突出する形状を有している。つまり、腕部62cは、ベルト対向部62bを基準としてベルト30が配置されている側とは反対側に形成されている。腕部62cは、検知センサ40に接触可能な位置に設けられている。
【0034】
付勢部64は、保持部材50の内側に配置されている。付勢部64は、ダンパー部62をベルト30に向けて付勢している。付勢部64は、底壁53とベルト対向部62bとの間に圧縮された状態で配置されている。この例では、付勢部64としてコイルバネが用いられている。付勢部64は、腕部62cが検知センサ40に接触するようにベルト対向部62bを付勢している。
【0035】
この例において、ベルト30に振れが生じることにより、付勢部64の付勢力に抗してベルト30がベルト対向部62bを押すと、腕部62cが検知センサ40から離間する。このとき、検知センサ40は、腕部62cの離間を検知する。ベルト30がベルト対向部62bから離間すると、付勢部64の付勢力により、腕部62cが検知センサ40に接触する位置までダンパー部62が移動する。すなわち、検知センサ40は、ダンパー部62の位置を決定するストッパーとしての機能をも有している。
【0036】
この例では、付勢部64の付勢力によって腕部62cが検知センサ40に接触するため、付勢部64の付勢力を調整することにより、検知センサ40の破損が有効に抑制される。
【0037】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0038】
[態様1]
クランクシャフトに設けられた駆動プーリと、
補機に設けられた従動プーリと、
前記駆動プーリの動力が前記従動プーリに伝達されるように前記駆動プーリ及び前記従動プーリにかけ回されたベルトと、
前記ベルトの振れを検知することが可能な検知センサと、
前記検知センサを保持する保持部材と、を備える、ベルト異常検知装置。
【0039】
このベルト異常検知装置では、検知センサが保持部材により予め設定された位置に適切に保持されるため、検知センサによるベルトの振れの検知精度が向上する。
【0040】
[態様2]
前記保持部材は、
前記ベルトと対向しており、前記検知センサを保持する保持壁と、
前記保持壁と直交しており、前記保持壁を支持する支持壁と、を有する、態様1に記載のベルト異常検知装置。
【0041】
この態様では、保持壁と直交する支持壁によって保持壁及びそこに保持された検知センサが有効に支持される。
【0042】
[態様3]
前記保持壁は、
前記ベルトと対向する対向面と、
前記対向面と反対側に形成された背面と、を有し、
前記検知センサは、タッチセンサであり、
前記検知センサは、前記対向面に固定されている、態様2に記載のベルト異常検知装置。
【0043】
[態様4]
前記保持壁は、
前記ベルトと対向する対向面と、
前記対向面と反対側に形成された背面と、を有し、
前記検知センサは、振動センサであり、
前記検知センサは、前記背面に固定されている、態様2に記載のベルト異常検知装置。
【0044】
この態様では、ベルトが保持壁に接触したときの保持壁の振動が検知センサで検出される。この態様では、ベルトが直接検知センサに接触しないため、検知センサの破損が抑制される。
【0045】
[態様5]
前記保持部材と前記ベルトとの間に配置された中間部材をさらに備え、
前記保持部材は、前記ベルトに向かって開口する形状を有し、
前記中間部材は、
前記保持部材から前記ベルトに向かって突出する形状を有するダンパー部と、
前記保持部材の内側に配置されており、前記ダンパー部を前記ベルトに向けて付勢する付勢部と、を有し、
前記ダンパー部は、
前記ベルトと対向するベルト対向部と、
前記検知センサと接触可能な腕部と、を有し、
前記腕部は、前記ベルト対向部を基準として前記ベルトが配置されている側とは反対側に形成されており、
前記付勢部は、前記腕部が前記検知センサに接触するように前記ベルト対向部を付勢している、態様1に記載のベルト異常検知装置。
【0046】
この態様では、付勢部の付勢力によって腕部が検知センサに接触するため、付勢部の付勢力を調整することにより、検知センサの破損が有効に抑制される。
【0047】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 ベルト異常検知装置、10 駆動プーリ、21 従動プーリ、22 他の従動プーリ、30 ベルト、40 検知センサ、50 保持部材、51 保持壁、52 支持壁、53 底壁、54 周壁、60 中間部材、62 ダンパー部、62a 収容部、62b ベルト対向部、62c 腕部。