(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044498
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】吊下げ型芳香具
(51)【国際特許分類】
A61L 9/12 20060101AFI20240326BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20240326BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20240326BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61L9/12
A61L9/01 Q
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150057
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 雅博
(72)【発明者】
【氏名】廣木 直人
(72)【発明者】
【氏名】恩本 吉一
【テーマコード(参考)】
3E068
4C180
【Fターム(参考)】
3E068BB05
3E068CE02
3E068CE11
3E068CE20
3E068DD30
3E068DE01
3E068EE21
3E068EE24
3E068EE25
4C180AA03
4C180CA08
4C180GG17
4C180LL02
4C180LL06
(57)【要約】
【課題】外観デザインの自由度を維持したまま、必要に応じて芳香剤の揮散量を調整することのできる吊下げ型の芳香具を提供する。
【解決手段】芳香剤を板状の被含浸材に含浸させた揮散器12と、被含浸材よりも芳香剤の浸透性が低い、あるいは芳香剤が浸透しない板状のバリア材14と、揮散器12及びバリア材14が係合可能な吊下げ部材16と、を備え、バリア材14は少なくとも2枚備えられ、吊下げ部材16に対する揮散器12とバリア材14の係合は、板の厚み方向に積層状態となるように成されると共に、積層する順番の配置替えを可能な構成としたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香剤を板状の被含浸材に含浸させた揮散器と、
前記被含浸材よりも芳香剤の浸透性が低い、あるいは芳香剤が浸透しない板状のバリア材と、
前記揮散器及び前記バリア材が係合可能な吊下げ部材と、を備え、
前記バリア材は少なくとも2枚備えられ、
前記吊下げ部材に対する前記揮散器と前記バリア材の係合は、板の厚み方向に積層状態となるように成されると共に、積層する順番の配置替えを可能な構成としたことを特徴とする吊下げ型芳香具。
【請求項2】
前記被含浸材と前記バリア材には、それぞれフック状部が形成されており、
前記吊下げ部材への係合は、前記フック状部を介して成されることを特徴とする請求項1に記載の吊下げ型芳香具。
【請求項3】
前記吊下げ部材への前記揮散器と前記バリア材との係合は、前記被含浸材と前記バリア材とを挟み込み可能な挟持手段を介して成されることを特徴とする請求項1に記載の吊下げ型芳香具。
【請求項4】
前記揮散器を複数有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の吊下げ型芳香具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香具に係り、特に、吊下げ型の芳香具において徐放性を調整したい場合に好適な芳香具に関する。
【背景技術】
【0002】
吊下げ型の芳香具の一般的な形態として、特許文献1に開示されているようなものが知られている。具体的には、吊下げ紐などの吊下げ部材に対して、芳香成分を含有する芳香剤(芳香液)を含浸させた被含浸材を吊下させたものである。このような構成の芳香具は、芳香具として芳香成分を揮散させる機能を発揮しつつ、吊下という不安定な配置形態にあっても芳香剤が周囲に飛散するといった虞が無い。また、被含浸材のデザインの自由度が高い事から、インテリアとしての機能性も高いといった優位性を持つ。一方で、芳香成分を蓄えておく要素が被含浸材であり、この被含浸材全体が揮散器として機能することとなるため、使用条件によっては芳香具として使用可能な期間が短くなってしまうという問題を有している。
【0003】
こうした問題に対し、特許文献2や特許文献3には、被含浸材から揮散する芳香成分を調整、抑制するための手段が開示されている。特許文献2に開示されている手段は、芳香剤を含浸させた被含浸材を貼り付けた部材を袋状の被覆体に収容するというものである。このような構成の芳香具では、被含浸材を被覆体から露出させる割合を変化させることで、被含浸材から揮散する芳香成分を調整することができる。しかし、特許文献2に開示されているような手段では、芳香具の外観形状が被覆体に依存することとなり、デザインの自由度が低下することが懸念される。また、吊下げ部材に係合する被含浸材を被覆体により覆うこととなるため、吊下げ型として機能させ辛いといった問題もある。
【0004】
特許文献3に開示されている手段は、芳香剤を含浸させた板状の被含浸材の両主面に通気性に乏しいフィルム層を貼付するというものである。このような構成の芳香具では、被含浸材から芳香剤が揮散する量を抑制することができ、芳香具としての使用期間を延ばすことが可能となる。また、被含浸材の形状を活かすことができると共に、吊下げ型の芳香具にも適用することができる。一方で、特許文献3に開示されているような構成では、芳香剤の揮散量を調整する事ができないため、急速に芳香剤を揮散させたい場合があっても、それに対応することができないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-34088号公報
【特許文献2】実用新案登録第3193301号公報
【特許文献3】特開2001-46036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、上記のような問題点を鑑み、外観デザインの自由度を維持したまま、必要に応じて芳香剤の揮散量を調整することのできる吊下げ型の芳香具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る吊下げ型芳香具は、芳香剤を板状の被含浸材に含浸させた揮散器と、前記被含浸材よりも芳香剤の浸透性が低い、あるいは芳香剤が浸透しない板状のバリア材と、前記揮散器及び前記バリア材が係合可能な吊下げ部材と、を備え、前記バリア材は少なくとも2枚備えられ、前記吊下げ部材に対する前記揮散器と前記バリア材の係合は、板の厚み方向に積層状態となるように成されると共に、積層する順番の配置替えを可能な構成としたことを特徴とする。
【0008】
また、上記のような特徴を有する吊下げ型芳香具において、前記被含浸材と前記バリア材には、それぞれフック状部が形成されており、前記吊下げ部材への係合は、前記フック状部を介して成されるようにすることができる。このような特徴を有する事によれば、揮散器(被含浸材)やバリア材を吊下げ部材へ係合させる事、及び積層する順番の配置替えが容易となる。
【0009】
また、上記のような特徴を有する吊下げ型芳香具において前記吊下げ部材への前記揮散器と前記バリア材との係合は、前記被含浸材と前記バリア材とを挟み込み可能な挟持手段を介して成されるようにすると良い。このような特徴を有する事によっても、吊下げ部材に対する揮散器(被含浸材)やバリア材の係合を容易化することができる。
【0010】
さらに、上記のような特徴を有する吊下げ型芳香具では、前記揮散器を複数有するようにしても良い。このような特徴を有する吊下げ型芳香具によれば、芳香剤の揮散量を調整する際のバリエーションを増やすことが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
上記のような特徴を有する吊下げ型芳香具によれば、外観デザインの自由度を維持したまま、必要に応じて芳香剤の揮散量を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る吊下げ型芳香具の基本構成を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る吊下げ型芳香具を構成する揮散器がバリア材により挟み込まれている状態を説明するための図であり、各板材を拡開させた状態を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る吊下げ型芳香具を構成する揮散器がバリア材の外側に配置された状態を説明するための図であり、各板材を拡開させた状態を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る吊下げ型芳香具における第1形態と第2形態とにおける芳香剤の揮散量の差を示すグラフである。
【
図5】第2実施形態に係る吊下げ型芳香具の特徴を示す斜視図である。
【
図6】第3実施形態に係る吊下げ型芳香具の特徴を示す斜視図である。
【
図7】第4実施形態に係る吊下げ型芳香具の特徴を示す斜視図である。
【
図8】第4実施形態に係る吊下げ型芳香具の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の吊下げ型芳香具に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施するための好適な形態の一部であり、その効果を奏する限りにおいて、構成の一部に変更を加えたとしても、本発明の一部とみなすことができる。
【0014】
[第1実施形態]
まず、
図1から
図3を参照して第1実施形態に係る吊下げ型芳香具の構成について説明する。なお、図面において、
図1は第1実施形態に係る吊下げ型芳香具の基本構成を示す斜視図であり、
図2は、吊下げ型芳香具を構成する揮散器がバリア材により挟み込まれている状態を説明するための図であり、各板材を拡開させた状態を示す斜視図である。また、
図3は、吊下げ型芳香具を構成する揮散器が、バリア材の外側に配置された状態を説明するための図であり、各板材を拡開させた状態を示す斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る吊下げ型芳香具10は、揮散器12と、バリア材14、及び吊下げ部材16を基本として構成されている。揮散器12は、板状の被含浸材に芳香剤(芳香成分を含む液体)を含浸させたものであり、芳香成分を揮散させるための要素である。被含浸材は、紙や木材の他、素焼きの陶器など、芳香剤が浸透し、これを担持することが可能な素材であれば良い。ここで、板状の部材により構成される被含浸材の外形形状については限定するものでは無い。
図1から
図3に示す例では板面の一部に、詳細を後述する吊下げ部材16に対する係合を成すための貫通孔を設けるようにしている。
【0016】
バリア材14は、揮散器12から揮散する芳香成分の揮散量を調整するための要素である。このため、バリア材14には、少なくとも被含浸材(揮散器12を構成する板状部材)よりも芳香剤の浸透性が低い素材を採用すると良く、望ましくは芳香剤が浸透しない素材であって、芳香成分によるダメージを受けない素材とすると良い。芳香剤が浸透しない素材(非浸透性素材)の具体例としては、シリコーンなどの芳香成分に対する耐性の高い樹脂や、金属などを挙げることができる。また、被含浸材よりも芳香剤の浸透性が低い素材(弱浸透性素材)は、一元的に定まるものではなく、被含浸材を構成する素材が定まる事により、選定することが可能となる。例えば被含浸材を紙とした場合、バリア材14には、革や木材などを選ぶ事ができる。ここで、板状の部材により構成されるバリア材14の外形形状については、被含浸材と同様に限定するものでは無いが、被含浸材の外形形状に合わせるようにすると良い。また、
図1から
図3に示す例では被含浸材と同様に、板面の一部に吊下げ部材16に対する係合を成すための貫通孔を設けるようにしている。
【0017】
吊下げ部材16は、揮散器12(被含浸材)やバリア材14を係合させるための要素である。吊下げ部材16は、その機能を発揮することのできるものであれば、その具体的な素材や形状を問うものでは無い。例えば、紐状部材を円形に形成したものや、リング状部材の他、S字フックなどとすることができる。ここで、吊下げ部材16に対する揮散器12やバリア材14の係合は、紐状部材やリング状部材、及びS字フックなどを被含浸材やバリア材14に形成した貫通孔に挿通させるといった直接的なものであっても良いし、
図1から
図3に示すように、係合補助部材16aを介して係合させるような間接的なものであっても良い。
【0018】
[作用]
次に、上記のような構成の吊下げ型芳香具10の使用形態について説明する。以下の説明では、実施形態に係る吊下げ型芳香具10の基本形態として、揮散器12を1枚、バリア材14を2枚としたものを例に挙げて説明する。
【0019】
本実施形態に係る吊下げ型芳香具10は、第1形態と第2形態とに変化させることで、揮散器12から揮散する芳香剤の揮散量を変化(調整)させることができる。具体的には、積層配置された揮散器12とバリア材14の配置形態を変えるようにすれば良い。本実施形態では、揮散器12をバリア材14で挟み込む形態(
図1、
図2に示す形態)を第1形態とし、揮散器12をバリア材14の外側に配置する形態(
図3に示す形態)を第2形態としている。なお、
図2、
図3は、その配置形態を視覚的に理解しやすくするために、揮散器12やバリア材14を構成する各板部材を、係合補助部材16aを基点として扇状に拡開させた状態を示すものであり、実際の使用状態では、
図1に示すように、各板部材の主面を重ね合わせるようにする。
【0020】
第1形態では、板状の被含浸材から成る揮散器12の両主面をバリア材14が覆う事となり、揮散器12からの芳香剤の揮散量を抑制することができる。一方、第2形態では、揮散器12の一方の主面が開放されることとなり、第1形態に比べて揮散器12からの芳香剤の揮散量が増加する。
【0021】
第1形態と第2形態とにおける芳香剤の揮散量の差は、被含浸材の素材や主面の面積(主面と端面との面積比)、雰囲気中の温度や湿度、送風の有無などによっても変化するが、被含浸材の素材を厚紙(厚さ1.5mm)、表面積を77cm
2、雰囲気中の温度25℃、湿度63%、送風無しといった条件においては、芳香剤の揮散量に
図4に示すような違いが生じた。
【0022】
具体的には、吊下げ型芳香具10を第1形態とした場合には、1時間当たりに0.29gの芳香剤(香料)の揮散が認められ、第2形態とした場合には、1時間当たりに0.97gの芳香剤の揮散が認められた。すなわち、吊下げ型芳香具10を第2形態とした場合には、第1形態を維持した場合に比べ、1時間あたりの芳香剤の揮散量が3倍強となったのである。
【0023】
[効果]
上記のような吊下げ型芳香具10によれば、外観デザインの自由度を維持した状態で、必要に応じて芳香剤の揮散量を調整することができる。このため、芳香剤を揮散させる必要が無い時には、吊下げ型芳香具10を第1形態とし、芳香剤の揮散量を増やしたい場合には、吊下げ型芳香具10を第2形態とすることで、無用に揮散される芳香剤の量を減らすことができ、芳香具として強い香りを発散させることのできる期間を延ばすことが可能となる。また、箱型や袋状のカバーを作成する必要が無いため、構造が簡単で、製造コストも抑えることができる。
【0024】
[第2実施形態]
次に、
図5を参照して、本発明に係る吊下げ型芳香具に係る第2実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る吊下げ型芳香具も、その基本的な構成は第1実施形態に係る吊下げ型芳香具と同様である。よって、その機能を同様とする箇所には図面に同一符号を附して、詳細な説明を省略する。
【0025】
本実施形態に係る吊下げ型芳香具10A(
図5に示す例では、吊下げ部材16の表示を省略している)は、揮散器12を複数(
図5に示す例では2枚)備えた点を特徴としている。揮散器12の数を増やす事により、揮散器12とバリア材14とによる積層形態のバリエーションを増やす事ができる。具体的には、
図5の(A)から(C)に示すように、第1形態から第3形態まで変化させることができる。ここで、第1形態とは
図5(A)に示すように、2枚のバリア材14により2枚の揮散器12を挟み込んだ形態である。また、第2形態とは
図5(B)に示すように、1枚の揮散器12を2枚のバリア材14で挟み込むと共に、他の1枚の揮散器12をバリア材14の外側に配置する形態である。さらに第3形態とは
図5(C)に示すように、2枚のバリア材14を2枚の揮散器12で挟み込んだ形態である。
【0026】
このような構成の吊下げ型芳香具10Aによれば、第1形態と第2形態では、上記第1実施形態に係る吊下げ型芳香具10における第1形態、及び第2形態と同様な効果を奏することができる。そして、第3形態では、外部に開放される揮散器12の主面が2面となるため、第2形態よりも芳香剤の揮散量が多くなる。
【0027】
その他の構成、作用、効果については、上述した第1実施形態に係る吊下げ型芳香具10と同様である。よって、このような構成の吊下げ型芳香具10Aであっても第1実施形態に係る吊下げ型芳香具10と同様な効果を奏することができる。なお、揮散器12の数(枚数)をさらに増やす事により、揮散器12とバリア材14とによる積層形態のバリエーションをさらに増やすようにしたものも、本実施形態の一部とみなすことができることは言うまでも無い。
【0028】
[第3実施形態]
次に、
図6を参照して、本発明に係る吊下げ型芳香具に係る第3実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る吊下げ型芳香具10Bも、その基本的な構成は第1、第2実施形態に係る吊下げ型芳香具10,10Aと同様である。よって、その機能を同様とする箇所には図面に同一符号を附して、詳細な説明を省略する。また、
図6においても、吊下げ部材16についての記載は省略している。
【0029】
本実施形態に係る吊下げ型芳香具10Bは、揮散器12を構成する被含浸材とバリア材14とにおける吊下げ部材16(
図1から
図3参照)との係合部12a,14aの形態に特徴を有する。具体的には、第1実施形態、第2実施形態では貫通孔としていた係合部12a,14aをフック状に形成している。このような特徴を有する事によれば、積層配置される揮散器12とバリア材14との配置形態の入れ替えが容易となる。
【0030】
その他の構成、作用、効果については、上述した第1実施形態に係る吊下げ型芳香具10と同様である。よって、このような構成の吊下げ型芳香具10Bであっても第1実施形態に係る吊下げ型芳香具10と同様な効果を奏することができる。
【0031】
[第4実施形態]
次に、
図7、
図8を参照して、本発明に係る吊下げ型芳香具に係る第4実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る吊下げ型芳香具10Cも、その基本的な構成は第1から第3実施形態に係る吊下げ型芳香具と同様である。よって、その機能を同様とする箇所には図面に同一符号を附して、詳細な説明を省略する。また、
図7、
図8においても、吊下げ部材16についての記載は省略している。
【0032】
本実施形態に係る吊下げ型芳香具10Cは、対を成すバリア材14を複数設けるようにしている。なお、
図7、
図8では、説明の都合上、重なり合うバリア材14について、バリア材14-1と、バリア材14-2と、異なる符号を附すようにしている。
【0033】
本実施形態に係る吊下げ型芳香具10Cでは、揮散器12の係合部12aとバリア材14-1,14-2の係合部14aをそれぞれ、第3実施形態と同様にフック状に形成している。また、バリア材14-1,14-2には、それぞれ主面の同じ位置に開口部14bを設けている。開口部14bの位置や数、具体的な形態については限定するものでは無いが、バリア材14-1とバリア材14-2のいずれか一方の表裏を反転させて重ね合わせた際、一方のバリア材14-1(14-2)の開口部14bが他方のバリア材14-2(14-1)の主面により閉塞されるような位置や数、及び形状ととると良い。
【0034】
このような構成の吊下げ型芳香具10Cでは、バリア材14-1とバリア材14-2の係合部14aの向きを合わせて吊下げ部材16(
図1から
図3参照)に係合させた場合、
図8の左上に示すように、隣接して重なり合う2枚のバリア材14-1,14-2に形成された開口部14bの位置が一致し、揮散器12を構成する被含浸材の主面の一部が外部に露出することとなる。このような配置形態では、揮散器12をバリア材14(14-1,14-2)の外部に配置しなくても、開放された一部の主面からの芳香剤の揮散を促すことができるようになる。
【0035】
また、重なり合うバリア材14-1,14-2のうちのいずれか1枚のバリア材(
図8に示す例では、バリア材14-2)を引き出し、これを反転して積層状態に戻すようにすることで、
図8の左下に示すように、隣接して重なり合う2枚のバリア材14-1,14-2に形成された開口部14bは、互いに主面が開口部を閉塞することとなり、揮散器12を構成する被含浸材の主面が外部に露出することが無くなる。このような配置形態によれば、第1実施形態における第1形態と同様に、揮散器12からの芳香剤の揮散量の抑制を図ることが可能となる。
【0036】
その他の構成、作用、効果については、上述した第1実施形態に係る吊下げ型芳香具10と同様である。よって、このような構成の吊下げ型芳香具10Cによれば、第1実施形態に係る吊下げ型芳香具10と同様な効果を奏することができると共に、揮散器12からの芳香剤の揮散量の調整幅を増やすことが可能となる。
【0037】
なお、上記説明では、開口部14bとバリア材14-1,14-2の主面の関係は、2枚のバリア材14-1,14-2のうちの一方の表裏を反転させることで、主面が開口部14bを閉塞すると説明した。しかしながら、主面による開口部14bの閉塞状態は、完全な閉塞でなくとも良い。すなわち、開口部の面積を変化させるようなものであっても良い。このような構成であっても、芳香剤の揮散量を調整することが可能となるからである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上記実施形態に係る吊下げ型芳香剤10,10A,10B,10Cでは基本的に、揮散器12を構成する被含浸材と、バリア材14との平面形状、及び大きさを一致させるように示している。しかしながら、被含浸材とバリア材14との平面形状、及び大きさは、必ずしも一致させる必要は無い。芳香剤を揮散させる量を調整するという効果については、バリア材14により被含浸材の主面の一部が覆われる構成であれば、多少の効果が期待できるためである。よって、被含浸材の主面の表面積に対してバリア材14の主面の表面積が小さい場合であっても、本発明の一部とみなすことができる。また当然に、バリア材14の主面の表面積が、被含浸材の主面の表面積よりも大きな場合も、本発明の一部とみなすことができる。
【0039】
また、上記実施形態では、吊下げ部材16を紐や棒状部材(S字フック等)により構成し、揮散器12(被含浸材)やバリア材14を係合させる旨記載した。このため、揮散器12やバリア材14には、係合のための貫通孔やフック状の係合部12a,14aを設けるようにしている。しかしながら、係合補助部材16aをクリップなどの挟持手段とすることで、揮散器12やバリア材14を挟み込みにより係合させることも可能となる。このような構成とした場合、揮散器12やバリア材14に貫通孔や係合部12aを設ける必要が無くなる。また、揮散器12やバリア材14の積層配置の入れ替えも容易となる。
【符号の説明】
【0040】
10………吊下げ型芳香具、12………揮散器、12a………係合部、14,14-1,14-2,………バリア材、14a………係合部、14b………開口部、16………吊下げ部材、16a………係合補助部材。