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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044508
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240326BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 651Z
H01L21/304 647Z
H01L21/304 642A
H01L21/304 648A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150069
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】伊豆田 崇
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA10
5F131BA18
5F131BA37
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA32
5F131DA02
5F131DA09
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB54
5F131DB72
5F131DB76
5F131DB86
5F131DD73
5F131DD74
5F131DD82
5F131DD83
5F131DD84
5F131DD86
5F131GA14
5F131GA33
5F131HA09
5F131HA13
5F131HA36
5F131HA37
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB33
5F157AB34
5F157AB45
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB62
5F157AB64
5F157AC04
5F157AC56
5F157BE12
5F157BE42
5F157BF22
5F157CB13
5F157CB14
5F157CB26
5F157CB27
5F157DA21
5F157DB45
5F157DC01
(57)【要約】
【課題】バッチ式モジュールと枚葉式モジュールを備えた装置の構成を見直すことにより、基板を確実に搬送しつつ製造コストが抑制された基板処理装置を提供する。
【解決手段】本発明は、基板処理装置1のうち特に、鉛直姿勢となっている基板Wの配列のうち、1枚の基板Wを取り出し、基板Wの姿勢を水平姿勢にして、基板Wを枚葉基板搬送領域R3の近傍に設けられた所定位置に搬送する過程に注目している。本発明は、基板を取り出す過程と基板Wの姿勢を変更する過程を個別に実行することにより基板ピックアップ部80の構成を単純化し、基板ピックアップ部80を動作させる際に生じる位置的誤差を低減できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を一括して処理するバッチ処理と、基板を1枚ずつ処理する枚葉処理と、を連続して行う基板処理装置であって、
ストッカーブロックと、前記ストッカーブロックに隣接する移載ブロックと、前記移載ブロックに隣接する処理ブロックとを備え、
前記ストッカーブロックは、複数枚の基板を水平姿勢で所定間隔を空けて鉛直方向に配列して収納する少なくとも1つのキャリアを収容し、前記キャリアから基板の出し入れのために前記キャリアが載置される基板取り出し・収納用のキャリア載置棚を備え、
前記移載ブロックは、前記キャリア載置棚に載置されたキャリアに対して複数枚の基板を一括して取得する取得用ハンドリング機構と、
取得された複数枚の基板を一括して水平姿勢と鉛直姿勢とに亘って姿勢変換する姿勢変換機構と、
鉛直姿勢となっている複数枚の基板を一括して所定のバッチ基板受け渡し位置で保持する基板保持部と、を備え、
前記処理ブロックは、
一端側が前記移載ブロックに隣接し、他端側が前記移載ブロックから離れる方向に延びるバッチ処理領域と、
前記バッチ処理領域から前記バッチ処理領域の延伸方向と直交する方向に離間した枚葉処理領域と、
前記バッチ処理領域と前記枚葉処理領域との間に介在する枚葉基板搬送領域と、
前記バッチ処理領域に沿って設けられ、一端側が前記移載ブロックにまで延び、他端側が前記移載ブロックから離れる方向に延びるバッチ基板搬送領域と、を備え、
前記バッチ処理領域には、その領域が延びる延伸方向に複数枚の基板を一括して浸漬処理する複数個のバッチ処理槽が並び、
更に、鉛直姿勢で前記延伸方向と直交する所定方向に配列された複数枚の基板を液中で保持する保持槽と、
前記保持槽に対して複数枚の基板を昇降させるリフタと、
前記保持槽に保持された鉛直姿勢の複数枚の基板の中から1枚の基板を取り出し、その基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換する基板ピックアップ部と、が設けられ、
前記基板ピックアップ部は、
前記保持槽の上部に設けられ、前記保持槽に保持された鉛直姿勢の複数枚の基板の配列方向に延びる一対のロッドと、
前記一対のロッドの基部を支持する支持台と、
一方の前記ロッドに案内されて前記鉛直姿勢の複数枚の基板の配列方向に往復移動可能な第1把持体と、
他方の前記ロッドに案内されて前記鉛直姿勢の複数枚の基板の配列方向に往復移動可能な第2把持体と、
前記第1把持体および前記第2把持体を待避状態とし、前記待避状態から前記第1把持体および前記第2把持体を水平移動させて、前記第1把持体および前記第2把持体が前記リフタに対して鉛直方向に相対移動されることで、前記第1把持体および前記第2把持体を基板把持状態にする機構であって、
前記待避状態の場合、前記リフタに保持された基板に対して下方に位置している前記第1把持体および前記第2把持体が前記リフタに対して鉛直方向に相対移動したとき、前記第1把持体および前記第2把持体を前記リフタに保持された基板に当接しない位置まで移動させ、
前記基板把持状態の場合、前記リフタに保持された基板に対して下方に位置している前記第1把持体および前記第2把持体が前記リフタに対して鉛直方向に相対移動したとき、前記第1把持体および前記第2把持体を前記リフタに保持された基板に当接する位置まで移動させ、前記リフタに保持された複数枚の基板の中の1枚の基板を前記第1把持体および前記第2把持体に保持させる把持体移動機構と、
前記第1把持体および前記第2把持体で鉛直姿勢の1枚の基板を保持させた状態で、一対の前記ロッドを回転させて鉛直方向に沿う姿勢とすることにより、前記第1把持体および前記第2把持体に保持された基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換するロッド回転機構とを備え、
更に、前記枚葉基板処理領域には、1枚の基板を個別に処理する少なくとも1つの枚葉処理チャンバが設けられ、
前記枚葉基板搬送領域には、前記基板ピックアップ部から受け取った基板を前記枚葉処理チャンバまで搬送する枚葉基板搬送機構が設けられ、
前記バッチ基板搬送領域には、前記移載ブロック内に定められたバッチ基板受け渡し位置と、前記バッチ処理槽と、前記保持槽との間で鉛直姿勢の複数枚の基板を一括して搬送するバッチ基板搬送機構が設けられ、
前記移載ブロックは、更に、
前記処理ブロックにおける前記枚葉処理領域と前記ストッカーブロックにおける前記キャリア載置棚との間に介在する機構であって前記枚葉処理領域から前記キャリア載置棚まで水平姿勢の基板を搬送する返却用ハンドリング機構を備える
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記基板ピックアップ部は、更に、前記保持槽に保持された鉛直姿勢の複数枚の基板の配列方向に前記支持台を往復移動させることが可能であり、前記第1把持体および前記第2把持体に保持された水平姿勢の基板を前記処理ブロックにおいて定められた枚葉基板受け渡し位置まで搬送する支持台移動機構を備え、
前記枚葉基板搬送機構は、前記枚葉基板受け渡し位置において基板を受け取る
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記基板ピックアップ部は、前記リフタが鉛直方向に移動し、前記第1把持体および前記第2把持体に対して上方位置にある前記リフタが鉛直方向に下降移動することにより、前記リフタに保持された複数枚の基板のうちの1枚を前記第1把持体および前記第2把持体に保持させる
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記基板ピックアップ部における前記把持体移動機構は、前記第1把持体および前記第2把持体を互いに離反させることにより前記第1把持体および前記第2把持体を前記待避状態とし、前記第1把持体および前記第2把持体を互いに接近させることにより前記第1把持体および前記第2把持体を前記基板把持状態とする
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記移載ブロックにおける前記取得用ハンドリング機構は、前記返却用ハンドリング機構と兼用のロボットで構成される
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記保持槽は、前記バッチ処理槽よりも前記移載ブロック側に設けられている
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記処理ブロックにおける前記枚葉基板処理領域には、前記延伸方向に複数個の枚葉処理チャンバが並び、
前記処理ブロックにおける前記枚葉基板搬送領域は、一端側が前記移載ブロックに隣接し、他端側が前記延伸方向に延びる
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記処理ブロックにおける前記バッチ処理領域には、
複数枚の基板を酸処理するための酸性液を収容するバッチ処理槽と、複数枚の基板をリンス処理するための純水を収容するバッチ処理槽と、を備え、
前記保持槽は、イソプロピルアルコールが混合された液体または純水を収容する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記枚葉処理チャンバは、超臨界流体により基板を乾燥させる
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記枚葉処理領域には、鉛直方向に複数の前記枚葉処理チャンバが設けられている
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記処理ブロックは、更に、枚葉基板受け渡し位置まで搬送された基板を前記枚葉基板搬送領域側から支持する支持体を備える
ことを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示用や有機EL(Electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の各種基板に所定の処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、バッチ式モジュール、枚葉式モジュールを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。バッチ式モジュールは、複数枚の基板に対して一括して所定の処理を行う。枚葉式モジュールは、1枚ずつの基板に所定の処理を行う。バッチ式モジュール、枚葉式モジュールには、それぞれ固有の長所がある。バッチ式モジュール、枚葉式モジュールを備えた基板処理装置は、両方の長所を備えることで、バッチ式基板処理装置、または、枚葉式基板処理装置よりも利点を有する構成を実現している。
【0003】
特許文献1の装置は、バッチ式処理を終えた複数枚の基板が液中で保持される構成である。枚葉式処理は、基本的に基板を1枚ずつ処理する構成なので、バッチ式処理を終えた基板を一度待機させ、基板に対して逐次的に枚葉処理を行うようにする必要がある。したがって、従来構成では、バッチ式処理を終えた複数枚の基板を一度待機位置で保持して、保持された基板を搬送アームにより1枚ずつ取り出して枚葉式モジュールに搬送する構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-64654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この様な構成を有する従来装置は、次のような問題を有する。
すなわち、従来構成によれば、搬送アーム周辺の装置構成が複雑であり、これが装置の制御を困難にしている。従来装置における搬送アームは、鉛直姿勢で待機する複数枚の基板を鉛直方向に抜き出し、取得した基板の姿勢を鉛直姿勢から水平姿勢に変換し、姿勢が変換された基板を枚葉式モジュールまで搬送するという複雑な動作を行う。この様な構成を実現するには、6軸ロボットかそれ以上に自由度の高い動作ができるロボットが必要となる。自由度の高いロボットは、制御が困難であるし、高価でもある。
【0006】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、バッチ式モジュールと枚葉式モジュールを備えた装置の構成を見直すことにより、基板を確実に搬送しつつ製造コストが抑制された基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この様な目的を達成するために次のような構成をとる。
複数枚の基板を一括して処理するバッチ処理と、基板を1枚ずつ処理する枚葉処理と、を連続して行う基板処理装置であって、ストッカーブロックと、前記ストッカーブロックに隣接する移載ブロックと、前記移載ブロックに隣接する処理ブロックとを備え、前記ストッカーブロックは、複数枚の基板を水平姿勢で所定間隔を空けて鉛直方向に配列して収納する少なくとも1つのキャリアを収容し、前記キャリアから基板の出し入れのために前記キャリアが載置される基板取り出し・収納用のキャリア載置棚を備え、前記移載ブロックは、前記キャリア載置棚に載置されたキャリアに対して複数枚の基板を一括して取得する取得用ハンドリング機構と、取得された複数枚の基板を一括して水平姿勢と鉛直姿勢とに亘って姿勢変換する姿勢変換機構と、鉛直姿勢となっている複数枚の基板を一括して所定のバッチ基板受け渡し位置で保持する基板保持部と、を備え、前記処理ブロックは、一端側が前記移載ブロックに隣接し、他端側が前記移載ブロックから離れる方向に延びるバッチ処理領域と、前記バッチ処理領域から前記バッチ処理領域の延伸方向と直交する方向に離間した枚葉処理領域と、前記バッチ処理領域と前記枚葉処理領域との間に介在する枚葉基板搬送領域と、前記バッチ処理領域に沿って設けられ、一端側が前記移載ブロックにまで延び、他端側が前記移載ブロックから離れる方向に延びるバッチ基板搬送領域と、を備え、前記バッチ処理領域には、その領域が延びる延伸方向に複数枚の基板を一括して浸漬処理する複数個のバッチ処理槽が並び、更に、鉛直姿勢で前記延伸方向と直交する所定方向に配列された複数枚の基板を液中で保持する保持槽と、前記保持槽に対して複数枚の基板を昇降させるリフタと、前記保持槽に保持された鉛直姿勢の複数枚の基板の中から1枚の基板を取り出し、その基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換する基板ピックアップ部と、が設けられ、前記基板ピックアップ部は、前記保持槽の上部に設けられ、前記保持槽に保持された鉛直姿勢の複数枚の基板の配列方向に延びる一対のロッドと、前記一対のロッドの基部を支持する支持台と、一方の前記ロッドに案内されて前記鉛直姿勢の複数枚の基板の配列方向に往復移動可能な第1把持体と、他方の前記ロッドに案内されて前記鉛直姿勢の複数枚の基板の配列方向に往復移動可能な第2把持体と、前記第1把持体および前記第2把持体を待避状態とし、前記待避状態から前記第1把持体および前記第2把持体を水平移動させて、前記第1把持体および前記第2把持体が前記リフタに対して鉛直方向に相対移動されることで、前記第1把持体および前記第2把持体を基板把持状態にする機構であって、前記待避状態の場合、前記リフタに保持された基板に対して下方に位置している前記第1把持体および前記第2把持体が前記リフタに対して鉛直方向に相対移動したとき、前記第1把持体および前記第2把持体を前記リフタに保持された基板に当接しない位置まで移動させ、前記基板把持状態の場合、前記リフタに保持された基板に対して下方に位置している前記第1把持体および前記第2把持体が前記リフタに対して鉛直方向に相対移動したとき、前記第1把持体および前記第2把持体を前記リフタに保持された基板に当接する位置まで移動させ、前記リフタに保持された複数枚の基板の中の1枚の基板を前記第1把持体および前記第2把持体に保持させる把持体移動機構と、前記第1把持体および前記第2把持体で鉛直姿勢の1枚の基板を保持させた状態で、一対の前記ロッドを回転させて鉛直方向に沿う姿勢とすることにより、前記第1把持体および前記第2把持体に保持された基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換するロッド回転機構とを備え、更に、前記枚葉基板処理領域には、1枚の基板を個別に処理する少なくとも1つの枚葉処理チャンバが設けられ、前記枚葉基板搬送領域には、前記基板ピックアップ部から受け取った基板を前記枚葉処理チャンバまで搬送する枚葉基板搬送機構が設けられ、前記バッチ基板搬送領域には、前記移載ブロック内に定められたバッチ基板受け渡し位置と、前記バッチ処理槽と、前記保持槽との間で鉛直姿勢の複数枚の基板を一括して搬送するバッチ基板搬送機構が設けられ、前記移載ブロックは、更に、前記処理ブロックにおける前記枚葉処理領域と前記ストッカーブロックにおける前記キャリア載置棚との間に介在する機構であって前記枚葉処理領域から前記キャリア載置棚まで水平姿勢の基板を搬送する返却用ハンドリング機構を備えることを特徴とする基板処理装置。
【0008】
[作用・効果]上述した(1)に係る発明によれば、バッチ式モジュールと枚葉式モジュールとを備えた基板処理装置の構成をより簡単とすることができる。本発明の装置は、鉛直方向に配列された水平姿勢の基板の姿勢を一括して鉛直姿勢に変換する姿勢変換機構と、姿勢変換後の複数枚の基板を一括して液処理する複数のバッチ処理槽と、液処理が終了した複数枚の基板を待機させる保持槽を備えている。本発明の構成は、待機中の基板の1枚を保持槽から取り出して、姿勢変換するという複雑な動作を異なる機構により実現する構成としている。すなわち、本発明の装置は、第1把持体、第2把持体とリフタとの鉛直方向に関する相対移動によって保持槽より1枚の基板を取り出す構成であり、ロッド回転機構により基板の姿勢変換を行う構成である。第1把持体、第2把持体とリフタとの鉛直方向に関する相対移動は、単にリフタを昇降させるだけでも実現できるし、ロッド回転機構は、一対のロッドを90°回転させる構成だけで実現できる。このように本発明によれば、基板ピックアップ部の装置構成は単純なものとなるし、それだけ基板を移動する際に生じる位置的誤差も低減される。このように構成すれば、基板を確実に搬送しつつ製造コストが抑制された基板処理装置を提供することができる。
【0009】
本発明は以下のような特徴も有している。
【0010】
(2)(1)に記載の基板処理装置において、前記基板ピックアップ部は、更に、前記保持槽に保持された鉛直姿勢の複数枚の基板の配列方向に前記支持台を往復移動させることが可能であり、前記第1把持体および前記第2把持体に保持された水平姿勢の基板を前記処理ブロックにおいて定められた枚葉基板受け渡し位置まで搬送する支持台移動機構を備え、前記枚葉基板搬送機構は、前記枚葉基板受け渡し位置において基板を受け取る。
【0011】
[作用・効果]上述した(2)に係る発明によれば、基板ピックアップ部は、水平姿勢の基板を保持槽に保持された鉛直姿勢の複数枚の基板の配列方向に搬送できる構成となっている。このようにすれば、枚葉基板搬送機構は、基板ピックアップ部が当該方向に搬送した基板を受け取って枚葉基板処理領域に搬送する構成とすることができるので、枚葉基板搬送機構をより単純なものとすることができる。
【0012】
(3)(1)に記載の基板処理装置において、前記基板ピックアップ部は、前記リフタが鉛直方向に移動し、前記第1把持体および前記第2把持体に対して上方位置にある前記リフタが鉛直方向に下降移動することにより、前記リフタに保持された複数枚の基板のうちの1枚を前記第1把持体および前記第2把持体に保持させる。
【0013】
[作用・効果]上述した(3)に係る発明によれば、基板ピックアップ部は、リフタが鉛直方向に移動し、第1把持体および第2把持体に対して上方位置にあるリフタが鉛直方向に下降移動することにより、リフタに保持された複数枚の基板のうちの1枚を第1把持体および第2把持体に保持させる。この様に構成すれば、基板ピックアップ部において第1把持体、第2把持体を昇降移動する構成を備えなくても、既存の装置構成であるリフタを用いて基板ピックアップ部の動作を完結できる。したがって、(3)に係る発明によれば、装置構成が更に単純な基板処理装置が提供できる。
【0014】
(4)(1)に記載の基板処理装置において、前記基板ピックアップ部における前記把持体移動機構は、前記第1把持体および前記第2把持体を互いに離反させることにより前記第1把持体および前記第2把持体を前記待避状態とし、前記第1把持体および前記第2把持体を互いに接近させることにより前記第1把持体および前記第2把持体を前記基板把持状態とする。
【0015】
[作用・効果]上述した(4)に係る発明によれば、基板ピックアップ部における前記把持体移動機構は、第1把持体および第2把持体を互いに離反させることにより第1把持体および第2把持体を待避状態とし、第1把持体および第2把持体を互いに接近させることにより第1把持体および第2把持体を基板把持状態とする。この様に構成すれば、第1把持体および第2把持体の移動を最小にでき、大がかりな装置構成の基板ピックアップ部を必要としない基板処理装置が提供できる。
【0016】
(5)(1)に記載の基板処理装置において、前記移載ブロックにおける前記取得用ハンドリング機構は、前記返却用ハンドリング機構と兼用のロボットで構成される。
【0017】
[作用・効果]上述した(5)に係る発明によれば、取得用ハンドリング機構は、返却用ハンドリング機構と兼用のロボットで構成される。移載ブロックにおいて取得用ハンドリング機構に係るロボットと、返却用ハンドリング機構に係るロボットとを個別に設置してしまうと、それだけ移載ブロックに残されたスペースが小さくなり、装置構成の自由度が低下する。上述した(5)に係る発明によれば、移載ブロックに例えばロットのハーフピッチ化に関する機構を設けることができ、装置構成の自由度が高い基板処理装置が提供できる。
【0018】
(6)(1)に記載の基板処理装置において、前記保持槽は、前記バッチ処理槽よりも前記移載ブロック側に設けられている。
【0019】
[作用・効果]上述した(6)に係る発明によれば、保持槽は、バッチ処理槽よりも移載ブロック側に設けられている。この様に構成すれば、枚葉基板搬送機構が延伸方向に移動しなくても基板処理動作を完結できる。(6)の構成によれば、枚葉基板搬送機構をより単純な構成とすることができる。
【0020】
(7)(1)に記載の基板処理装置において、前記処理ブロックにおける前記枚葉基板処理領域には、前記延伸方向に複数個の枚葉処理チャンバが並び、前記処理ブロックにおける前記枚葉基板搬送領域は、一端側が前記移載ブロックに隣接し、他端側が前記延伸方向に延びる。
【0021】
[作用・効果]上述した(7)に係る発明によれば、処理ブロックにおける枚葉基板処理領域には、延伸方向に複数個の枚葉処理チャンバが並んでいる。したがって、(7)の装置によれば、より多くの枚葉処理チャンバを搭載することができるので、スループットが高い。
【0022】
(8)(1)に記載の基板処理装置において、前記処理ブロックにおける前記バッチ処理領域には、複数枚の基板を酸処理するための酸性液を収容するバッチ処理槽と、複数枚の基板をリンス処理するための純水を収容するバッチ処理槽と、を備え、前記保持槽は、イソプロピルアルコールが混合された液体または純水を収容する。
【0023】
[作用・効果]上述した(8)に係る発明によれば、酸処理を終えた複数枚の基板における酸処理を確実に停止しつつ、基板ピックアップ部に搬送されるまで待機している基板を確実に自然乾燥することを防止できる。すなわち、本構成によれば、バッチ処理内の純水を用いて酸処理後の基板を確実にリンスし、その後、希釈イソプロピルアルコールを収容する保持槽を用いて、基板の乾燥耐性を向上させる。本構成によれば、リンス過程と乾燥防止処理過程とを互いに異なる槽で行うので、リンス過程に係る純水と、乾燥防止処理過程に係る希釈イソプロピルアルコールとを温存した状態で処理を行うことができる。本構成の保持槽は、有機溶剤廃液を極力出さず、環境負荷が軽減された基板処理装置が提供できる。
【0024】
(9)(1)に記載の基板処理装置において、前記枚葉処理チャンバは、超臨界流体により基板を乾燥させる。
【0025】
[作用・効果]上述した(9)に係る発明によれば、表面張力が0の状態で基板を乾燥させることができるので、基板上で回路パターンが崩壊する、いわゆるパターン倒れの発生が防止できる。
【0026】
(10)(1)に記載の基板処理装置において、前記枚葉処理領域には、鉛直方向に複数の前記枚葉処理チャンバが設けられている。
【0027】
[作用・効果]上述した(10)に係る発明によれば、複数の枚葉処理チャンバを用いて処理を平行して行えるので、スループットの高い基板処理装置が提供できる。
【0028】
(11)(1)に記載の基板処理装置において、前記処理ブロックは、更に、枚葉基板受け渡し位置まで搬送された基板を前記枚葉基板搬送領域側から支持する支持体を備える。
【0029】
[作用・効果]上述した(11)に係る発明によれば、枚葉基板受け渡し位置まで搬送された水平姿勢の基板が枚葉基板搬送領域側に滑り出すことなく、基板を確実に搬送できる基板処理装置が提供できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、バッチ式モジュールと枚葉式モジュールを備えた装置の構成を見直すことにより、基板を確実に搬送しつつ製造コストが抑制された基板処理装置を提供できる。本発明は、基板処理装置のうち特に、鉛直姿勢となっている基板の配列のうち、1枚の基板を取り出し、基板の姿勢を水平姿勢にして、基板を枚葉搬送領域の近傍に設けられた所定位置に搬送する過程に注目している。本発明は、基板を取り出す過程と基板の姿勢を変更する過程を個別に実行することにより基板ピックアップ部の構成を単純化し、基板ピックアップ部を動作させる際に生じる位置的誤差を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を説明する平面図である。
図2】実施例に係る姿勢変換機構について説明する斜視図である。
図3】実施例に係る基板の移載について説明する模式図である。
図4】実施例に係る基板ピックアップ部の構成について説明する斜視図である。
図5】実施例に係る基板ピックアップ部の構成について説明する機能ブロック図である。
図6】実施例に係る基板ピックアップ部の構成について説明する機能ブロック図である。
図7】実施例に係る基板ピックアップ部の構成について説明する模式図である。
図8】実施例に係るストッパ部材の構成について説明する斜視図である。
図9】実施例に係るストッパ部材の構成について説明する平面図である。
図10】実施例に係るストッパ部材の構成について説明する平面図である。
図11】実施例に係る基板の受け渡しを説明する断面図である。
図12】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図13】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図14】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図15】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図16】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図17】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図18】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図19】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図20】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図21】実施例に係る基板の受け渡しを説明する模式図である。
図22】実施例に係る基板処理の流れを説明するフローチャートである。
図23】実施例に係る基板処理の流れを説明する模式図である。
図24】実施例に係る基板処理の流れを説明する模式図である。
図25】実施例に係る基板処理の流れを説明する模式図である。
図26】本発明の1変形例を説明する平面図である。
図27】本発明の1変形例を説明する平面図である。
図28】本発明の1変形例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。本発明の基板処理装置は、複数枚の基板Wを一括して処理するバッチ処理と、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉処理とを連続して行う装置である。
【実施例0033】
<1.全体構成>
基板処理装置1は、図1に示すように、隔壁により区画された各ブロックを有している。すなわち、基板処理装置1は、搬入出ブロック3と、搬入出ブロック3に隣接するストッカーブロック5と、ストッカーブロック5に隣接する移載ブロック7と、移載ブロック7に隣接する処理ブロック9とを備えている。ストッカーブロック5は、本発明のストッカーブロックに、移載ブロック7は本発明の移載ブロックに、処理ブロック9は、本発明の処理ブロックのそれぞれに相当する。
【0034】
基板処理装置1は、円盤状となっている基板Wに対して例えば、薬液処理、洗浄処理、乾燥処理などの各処理を行う。基板処理装置1は、複数枚の基板Wを一括に処理するバッチ式の処理方式と、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理方式の両方を併用した処理方式(いわゆるハイブリッド方式)を採用している。バッチ式の処理方法は、鉛直姿勢で配列された複数枚の基板Wを一括で処理する処理方法である。枚葉式の処理方法は、水平姿勢となっている基板Wを1枚ずつ処理する処理方法である。
【0035】
本明細書では、便宜上、搬入出ブロック3と、ストッカーブロック5と、移載ブロック7と処理ブロック9とが配列する方向を「前後方向(X方向)」とよぶ。当該前後方向(X方向)は、水平に延びる。前後方向(X方向)のうち、ストッカーブロック5から搬入出ブロック3に向かう方向を「前方」とよび、前方の反対側の方向を後方とよぶ。前後方向(X方向)と直交する水平に延びる方向を「幅方向(Y方向)」とよぶ。幅方向の一方を便宜上「右方」とよび、他方を便宜上「左方」とよぶ。前後方向(X方向),幅方向(Y方向)と直交する高さ方向を便宜上「鉛直方向(Z方向)」とよぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜示す。
【0036】
<2.搬入出ブロック>
搬入出ブロック3は、複数枚の基板Wを水平姿勢で所定間隔を空けて鉛直方向に収納するキャリアCがブロック内に投入されるときの入口である投入部11と、キャリアCがブロック外に払い出されるときの出口である払出部13とを備える。投入部11および払出部13は、幅方向(Y方向)に延びる搬入出ブロック3の外壁に設けられている。投入部11は、基板処理装置1における幅方向(Y方向)の中央部から見て右方に設けられ、払出部13は、基板処理装置1における幅方向(Y方向)の中央部から見て右方と反対側の左方に設けられている。
【0037】
基板Wは、複数枚(例えば25枚)が1つのキャリアC内に水平姿勢で一定の間隔を空けて積層収納されている。基板処理装置1に搬入される未処理の基板Wを収納したキャリアCは、まず投入部11に載置される。投入部11は、例えば、キャリアCが載置される載置台15を2つ備える。キャリアCは、基板Wの面同士を離間させた状態で収容する水平方向に延びる複数の溝(図示省略)が形成されている。当該溝の各々には基板Wが1枚ずつ挿入される。キャリアCとしては、例えば、密閉型のFOUP(Front Opening Unify Pod)がある。本発明においては、キャリアCとして開放型容器を採用してもよい。
【0038】
払出部13は、基板処理装置1から搬出される処理済みの基板Wを収納したキャリアCを払い出す。この様に機能する払出部13は、投入部11と同様に、例えばキャリアCを載置するための2つの載置台17を備える。投入部11,払出部13は、ロードポートともよばれる。
【0039】
<3.ストッカーブロック>
ストッカーブロック5は、搬入出ブロック3の後方に隣接して配置される。ストッカーブロック5は、キャリアCをストックして管理する搬送収納部ACBを備えている。搬送収納部ACBは、キャリアCを搬送するキャリア搬送機構19とキャリアCを載置する棚21とを備えている。ストッカーブロック5がストックできるキャリアCの個数は例えば1以上である。
【0040】
ストッカーブロック5が有する棚21は、キャリアCを載置するものであって、ストッカーブロック5と移載ブロック7とを隔てる隔壁に設けられている。当該棚21には、キャリアCを単に一時的に載置するストック用の棚21bと、移載ブロック7が有する第1搬送機構HTRがアクセスする基板取得・返却用のキャリア載置棚21aとがある。キャリア載置棚21aは、本発明のキャリアCからの基板Wの出し入れのためにキャリアCが載置される基板取り出し・収納用のキャリア載置棚に相当する。キャリア載置棚21aには、基板取り出しの対象となるキャリアCが載置され、基板Wの取り出し動作後のキャリア載置棚21aには、空のキャリアCが残留する。取り出された基板Wは、処理ブロック9で種々の処理がなされる。処理を終えた基板Wは、1枚ずつキャリア載置棚21a上にある元のキャリアCに返却される。本例では、キャリア載置棚21aは、1つだけ設けられているが、これに代えて複数のキャリア載置棚21aを設ける構成としてもよい。
【0041】
キャリア搬送機構19は、未処理の基板Wを収納するキャリアCを投入部11から取り込んで、キャリア載置棚21aに載置する。この際、キャリア搬送機構19は、キャリアCをキャリア載置棚21aに載置する前に一時的にストック用の棚21bに載置することもできる。また、キャリア搬送機構19は、処理済みの基板Wを収納するキャリアCをキャリア載置棚21aから受け入れて、払出部13に載置する。この際、キャリア搬送機構19は、キャリアCを払出部13に載置する前に一時的にストック用の棚21bに載置することもできる。
【0042】
<4.移載ブロック>
移載ブロック7は、ストッカーブロック5の後方に隣接して配置される。移載ブロック7は、基板Wが取り出されるキャリアCが載置されるキャリア載置棚21a上のキャリアCにアクセス可能な第1搬送機構HTRと、複数枚の基板Wを一括して水平姿勢から垂直姿勢に姿勢変換する姿勢変換部20と、垂直姿勢となっている複数枚の基板Wを姿勢変換部20から一括して受け取る構成であってバッチ基板受け渡し位置P1で保持することが可能なプッシャ機構22とを備える。第1搬送機構HTRは本発明の取得用ハンドリング機構に、姿勢変換部20は本発明の姿勢変換機構に相当し、プッシャ機構22は、本発明の基板保持部に相当する。更に、移載ブロック7には、バッチ基板搬送領域R4に設けられる第2搬送機構WTRに複数枚の基板Wを渡すためのバッチ基板受け渡し位置P1が設定されている。第1搬送機構HTR,姿勢変換部20,プッシャ機構22はこの順に左右方向(Y方向)に配列されている。バッチ基板受け渡し位置P1は、プッシャ機構22の側方であって姿勢変換部20の反対側に設定されている。
【0043】
第1搬送機構HTRは、ストッカーブロック5が有する搬送収納部ACBの後方のうち右方に設けられている。第1搬送機構HTRは、基板取得・返却用のキャリア載置棚21aに置かれたキャリアCから一括して例えば25枚の基板Wを取り出したり、処理済みとなった基板Wを1枚ずつキャリアCに返却したりするための機構である。第1搬送機構HTRは、未処理となっている複数枚の基板Wを一括して取得する例えば25個の取得用ハンド71aを備えている。1つの取得用ハンド71aは、一対のアームから構成され、1枚の基板Wを支持することが可能である。25個の取得用ハンド71aは、25枚の基板WをキャリアCから取得するときに使用される。第1搬送機構HTRは、取得用ハンド71aとは別に、処理済みの基板WをキャリアCに返却するときに使用される返却用ハンド71bを備えている。返却用ハンド71bは、一対のアームから構成される。本例では、返却用ハンド71bが例えば1つだけ第1搬送機構HTRに設けられているが、これに代えて返却用ハンド71bを複数設けるようにしてもよい。当該構成は、複数設けられている枚葉処理チャンバCMBの各々から処理済みの基板Wをまとめて搬送しようとするときに有利である。取得用ハンド71aおよび返却用ハンド71bは、鉛直方向(Z方向)から見ると、重なって見える。この点、図1では、各ハンドの代表として最上層の取得用ハンド71aを示している。返却用ハンド71bは、25個の取得用ハンド71aよりも下に設けられたハンドであり、最下層のハンドである。取得用ハンド71aと返却用ハンド71bを設けることにより第1搬送機構HTRの制御が容易となる。
【0044】
第1搬送機構HTRは、取得用ハンド71aにより保持された25枚の基板Wを姿勢変換部20の支持台20Aまで搬送することができる。姿勢変換部20は、受け取った水平姿勢となっている複数枚の基板Wを鉛直姿勢に変換する。プッシャ機構22は、鉛直姿勢となっている複数枚の基板Wを姿勢変換部20から受け取り、複数枚の基板Wを上下左右に移動させることが可能である。
【0045】
また、第1搬送機構HTRは、返却用ハンド71bを用いて後述する処理ブロック9から処理済みとなっている水平姿勢の基板Wを1枚ずつ受け取る。そして、第1搬送機構HTRは、基板Wの姿勢を保った状態で受け取った基板Wをキャリア載置棚21a上の空のキャリアCに返却する。返却用ハンド71bは、返却用ハンド71bを構成するアームの延びる方向に進退可能である。つまり、返却用ハンド71bは、鉛直方向(Z方向)に取得用ハンド71aと重なっている整列状態から、前進して取得用ハンド71aに対し突出した突出状態となるし、突出状態から後退して、元の整列状態に戻ることもできる。第1搬送機構HTRが取得用ハンド71aを用いて複数枚の基板Wを搬送するときの返却用ハンド71bの状態は整列状態であり、取得用ハンド71aを用いた搬送の妨げとならない。また、第1搬送機構HTRが返却用ハンド71bを用いて1枚の基板Wを搬送するときの返却用ハンド71bの状態は突出状態であり、取得用ハンド71aは、返却用ハンド71bを用いた搬送の妨げとならない。なお、本例の第1搬送機構HTRは、返却用ハンド71bが取得用ハンド71aの下側に設けられていたが、返却用ハンド71bを取得用ハンド71aの上側に設ける構成としてもよい。第1搬送機構HTRは、本発明の返却用ハンドリング機構に相当する。第1搬送機構HTRは、処理ブロック9における枚葉処理領域R2とストッカーブロック5におけるキャリア載置棚21aとの間に介在する機構であって枚葉処理領域R2からキャリア載置棚21aまで水平姿勢の基板Wを搬送する。取得用ハンド71aは、本発明の取得用ハンドリング機構に相当し、返却用ハンド71bは、本発明の返却用ハンドリング機構に相当する。移載ブロック7における取得用ハンドリング機構は、返却用ハンドリング機構と兼用のロボットで構成される。
【0046】
図2は、実施例の姿勢変換部20を説明している。姿勢変換部20は、縦方向(Z方向)に延びる一対の水平保持部20Bと一対の垂直保持部20Cを備えている。支持台20Aは、水平保持部20B,垂直保持部20Cを支持するXY平面に広がる支持面を有している。回転駆動機構20Dは、水平保持部20B,垂直保持部20Cを支持台20Aごと90°回転させる構成である。この回転によって、水平保持部20B,垂直保持部20Cは、左右方向(Y方向)に延びる構成となる。なお、図3は、姿勢変換部20の動作を説明する模式図である。以降、図2および図3を参照しながら各部の構成について説明する。
【0047】
水平保持部20Bは、水平姿勢となっている複数枚の基板Wを下側から支持する。すなわち、水平保持部20Bは、支持対象の基板Wに対応した複数の突起を有する櫛形の構造となっている。互いに隣接する突起の間には基板Wの周縁部が位置する細長状の凹部がある。この凹部に基板Wの周縁部を挿入すると、突起の上面に水平姿勢の基板Wの下面が接触して基板Wは水平姿勢で支持される。
【0048】
垂直保持部20Cは、鉛直姿勢となっている複数枚の基板Wを下側から支持する。すなわち、垂直保持部20Cは、支持対象の基板Wに対応した複数の突起を有する櫛形の構造となっている。互いに隣接する突起の間には基板Wの周縁部が位置する細長状のV溝がある。このV溝に基板Wの周縁部を挿入すると、基板WはV溝に挟持されて垂直姿勢で支持される。垂直保持部20Cは、支持台20Aに2つ設けられているので、基板Wは、周縁部の2箇所のそれぞれが異なるV溝によって挟持される。
【0049】
縦方向(Z方向)に延びる一対の水平保持部20Bおよび一対の垂直保持部20Cは、保持対象の基板Wを囲むように水平姿勢の基板Wに相当する仮想円に沿って設けられている。一対の水平保持部20Bは、基板Wの直径だけ離れており、基板Wの一端と当該一端から最も遠い位置に当たる他端を保持する。このようにして一対の水平保持部20Bは、水平姿勢の基板Wを支持する。一方、一対の垂直保持部20Cは、基板Wの直径よりも短い距離だけ離れており、基板Wの所定部と当該所定部の近傍に位置する特定部を支持する。このようにして一対の垂直保持部20Cは、鉛直姿勢の基板Wを支持する。一対の水平保持部20Bは、左右方向(Y方向)について同じ位置にあり、一対の垂直保持部20Cは、左右方向(Y方向)について同じ位置にある。一対の垂直保持部20Cは、一対の水平保持部20Bよりも支持台20Aが回転されて倒れる方向(左方向)の側に設けられている。
【0050】
回転駆動機構20Dは、前後方向(X方向)に延びる水平軸AX2周りに支持台20Aを少なくとも90°だけ回転可能に支持する。水平状態の支持台20Aが90°回転すると、支持台20Aは垂直状態となり、水平保持部20B,垂直保持部20Cに保持された複数枚の基板Wの姿勢は、水平姿勢から鉛直姿勢に変換される。
【0051】
図3(f)に示すように、プッシャ機構22は、鉛直姿勢の基板Wが搭載可能なプッシャ22Aと、このプッシャ22Aを回転および昇降させる昇降回転部22Bと、プッシャ22Aを左右方向(Y方向)に移動させる水平移動部22Cと、水平移動部22Cを案内する左右方向(Y方向)に延びるレール22Dを備える。プッシャ22Aは、鉛直姿勢の複数(例えば50枚)の基板Wの各々の下部を支持する構成である。昇降回転部22Bは、プッシャ22Aの下方に設けられる構成であり、プッシャ22Aを上下方向に昇降させる伸縮自在な機構を備えている。昇降回転部22Bはその他、鉛直軸周りにプッシャ22Aを少なくとも180°回転させることが可能である。水平移動部22Cは、昇降回転部22Bを支持する構成であり、プッシャ22Aおよび昇降回転部22Bを水平移動させる。水平移動部22Cは、レール22Dに案内されて、姿勢変換部20に近い取り上げ位置からバッチ基板受け渡し位置P1までプッシャ22Aを移動させる事ができる。また、水平移動部22Cは、プッシャ22Aを基板配列におけるハーフピッチに対応する距離だけ鉛直姿勢の基板Wを、基板Wの配列方向にシフトさせることもできる。
【0052】
ここで、姿勢変換部20とプッシャ機構22の動作を説明する。姿勢変換部20とプッシャ機構22は、2個のキャリアCに収容されていた例えば合計50枚の基板Wをフェイストゥバック方式で所定の間隔(例えば5mm)を空けて配列させる。第1のキャリアC内の25枚の基板Wは、第1基板群に属する第1基板W1として説明される。同様に、第2のキャリアC内の25枚の基板Wは、第2基板群に属する第2基板W2として説明される。なお、図3(a)~図3(f)において、作図の都合上、第1基板W1の枚数は3枚であり、第2基板W2の枚数は3枚である。
【0053】
図3(a)は、水平姿勢となっている第1基板W1が第1搬送機構HTRにより姿勢変換部20へと一括的に渡された状態を示している。この時の第1基板W1のデバイス面(回路パターンの形成面)は上向きとなっている。25枚の第1基板W1は、所定の間隔(例えば10mm)で配置されている。この10mmの間隔は、フルピッチ(ノーマルピッチ)とよばれる。この状態の第1基板W1は、水平保持部20Bにより保持される。なお、この時のプッシャ22Aは支持台20Aよりも下方の取り上げ位置にある。
【0054】
図3(b)は、回転駆動機構20Dにより姿勢変換部20の支持台20Aが90°回転されたときの様子を示している。このように、姿勢変換部20においては、25枚の第1基板W1の姿勢が水平姿勢から鉛直姿勢に変換される。この状態の第1基板W1は、垂直保持部20Cにより保持される。
【0055】
図3(c)は、プッシャ22Aが取り上げ位置から上昇して取り上げ位置よりも上方に設定された直上位置まで移動された状態を示している。この上昇運動は、昇降回転部22Bが行う。この様に、プッシャ22Aが第1基板W1の下側から上側に移動すると、姿勢変換部20の垂直保持部20Cにより支持されていた第1基板W1は、垂直保持部20Cから引き抜かれてプッシャ22A上に移動する。プッシャ22Aの上面には、基板Wが挟まる溝が設けられている。第1基板W1は、等間隔に配列されたこれら溝に支持される。当該溝は、フルピッチの半分のハーフピッチで配列され、姿勢変換部20には第1基板W1がフルピッチで配列されているので、直上位置にあるプッシャ22Aの上面には、第1基板W1が挟まっている溝と、基板Wを支持しない空の溝とが交互に配列する。
【0056】
図3(d)は、プッシャ22Aがハーフピッチ幅だけ移動する動作と、回転駆動機構20Dにより姿勢変換部20の支持台20Aが90°逆回転されたときの動作とを示している。この状態の姿勢変換部20は、第2基板W2を支持することが可能となる。図3(d)においては、姿勢変換部20に既に第2基板W2が搬送されたときの様子が示されている。なお、図3(d)においては、第2基板W2は、水平保持部20Bに支持される。
【0057】
図3(d)の状態において直上位置にあるプッシャ22Aが元の取り上げ位置にまで戻ると、姿勢変換部20は、支持台20Aを再び90°回転させることが可能となる。
【0058】
図3(e)は支持台20Aが実際に再度回転されたときの様子を示している。このとき、プッシャ22Aはハーフピッチ幅だけ移動されているので、図3(f)に示すようにプッシャ22Aを再び直上位置に移動させると、第2基板W2は、第1基板W1と干渉しないでプッシャ22Aの上面の第1基板W1同士に挟まれた空の溝に収まる。このようにして、第1基板W1と第2基板W2が交互に配列されたロットが形成される。なお、図3(e)においては、第2基板W2は、垂直保持部20Cに支持される。当該ロットは、フェイストゥバック方式で基板Wが配列されて構成されるので、ロットを構成する基板Wのデバイス面は、全て図3(f)における左方に向いている。この様にして、プッシャ22A上には、フェイストゥバックの状態で50枚の基板Wがハーフピッチで配列される。
【0059】
図3(f)は、プッシャ22Aが再度直上位置まで移動したときの様子を示している。そして、プッシャ22Aにおいて生成されたロットは、水平移動部22Cにより左方向(Y方向)に搬送されてバッチ基板受け渡し位置P1まで移動される。
【0060】
以上のように、プッシャ機構22は、本発明の鉛直姿勢となっている複数枚の基板を一括して所定のバッチ基板受け渡し位置P1で保持する基板保持部に相当する。なお、本実施例においては、プッシャ機構22に、プッシャ22Aを鉛直方向(Z方向)に平行な軸周りに180°回転させる機構を追加することもできる。
【0061】
<5.処理ブロック>
処理ブロック9は、複数枚の基板Wに対して種々の処理を行う。処理ブロック9は、幅方向(Y方向)に配列されるバッチ処理領域R1,枚葉処理領域R2,枚葉基板搬送領域R3およびバッチ基板搬送領域R4に分けられる。バッチ処理領域R1,バッチ基板搬送領域R4は、前後方向(X方向)に延びる。枚葉処理領域R2,枚葉基板搬送領域R3は、移載ブロック7に隣接するように処理ブロック9の前側に設けられている。詳細には、バッチ処理領域R1は、処理ブロック9の左方に設けられている。枚葉処理領域R2は、処理ブロック9の右方に設けられている。枚葉基板搬送領域R3は、バッチ処理領域R1と枚葉処理領域R2とに挟まれる位置、つまり処理ブロック9における中央部に配置される。バッチ基板搬送領域R4は、処理ブロック9の最も左方に配置されている。
【0062】
<5.1.バッチ処理領域>
処理ブロック9におけるバッチ処理領域R1は、前後方向(X方向)に延びた矩形の領域となっている。バッチ処理領域R1の一端側(前方側)は、移載ブロック7に隣接している。バッチ処理領域R1の他端側は、移載ブロック7から離れる方向(後方側)に延びている。
【0063】
バッチ処理領域R1は、主としてバッチ式の処理を行うバッチ式処理部を備えている。具体的には、バッチ処理領域R1は、バッチ処理領域R1が延びる方向に複数枚の基板Wを一括して浸漬処理する複数個のバッチ処理ユニットBPU1~BPU4が配列されている。バッチ処理領域R1は、この他、垂直姿勢となっている複数枚の基板Wを液中で保持する液中保持ユニット25を備える。
【0064】
バッチ処理ユニットBPU1~BPU4の配置について具体的に説明する。第1バッチ処理ユニットBPU1は、液中保持ユニット25に後方から隣接する。第2バッチ処理ユニットBPU2は、第1バッチ処理ユニットBPU1の後方から隣接する。第3バッチ処理ユニットBPU3は、第2バッチ処理ユニットBPU2の後方から隣接する。第4バッチ処理ユニットBPU4は、第3バッチ処理ユニットBPU3の後方から隣接する。従って、第1バッチ処理ユニットBPU1,第2バッチ処理ユニットBPU2,第3バッチ処理ユニットBPU3,第4バッチ処理ユニットBPU4の順に移載ブロック7から離れる。この様に、液中保持ユニット25,第1バッチ処理ユニットBPU1,第2バッチ処理ユニットBPU2,第3バッチ処理ユニットBPU3および第4バッチ処理ユニットBPU4は、この順にバッチ処理領域R1の延びる方向(前後方向:X方向)に並ぶ。
【0065】
第1バッチ処理ユニットBPU1は、具体的には、ロットを一括してリンス処理するバッチリンス処理槽ONBと、ロットを昇降させるリフタLF1とを備える。バッチリンス処理槽ONBは、ロットに対してリンス処理を行う。バッチリンス処理槽ONBは、純水を収容しており、複数枚の基板Wに付着する薬液を洗浄する目的で設けられている。バッチリンス処理槽ONBにおいて、槽内の純水の比抵抗が所定の値に上昇すれば、洗浄処理は終了となる。
【0066】
第2バッチ処理ユニットBPU2は、複数枚の基板Wが第1バッチ処理ユニットBPU1に到達する前に搬送される部位であり、具体的には、バッチ薬液処理槽CHB1と、ロットを昇降させるリフタLF2とを備える。バッチ薬液処理槽CHB1は、リン酸溶液などの薬液を収容する。バッチ薬液処理槽CHB1には、ロットを上下動させるリフタLF2が付設されている。バッチ薬液処理槽CHB1は、例えば薬液を下方から上方に向けて供給して薬液を対流させる。リフタLF2は、鉛直方向(Z方向)に昇降する。具体的には、リフタLF2は、バッチ薬液処理槽CHB1の内部に当たる処理位置と、バッチ薬液処理槽CHB1の上方に当たる受け渡し位置に亘って昇降する。リフタLF2は、鉛直姿勢の基板Wで構成されるロットを保持する。リフタLF2は、受け渡し位置において、ロットを第2搬送機構WTRとの間で受け渡しする。リフタLF2がロットを保持した状態で受け渡し位置から処理位置まで下降すると、基板Wの全域は、薬液の液面下に位置する。リフタLF2がロットを保持した状態で処理位置から受け渡し位置まで上昇すると、基板Wの全域は、薬液の液面上に位置する。薬液処理は、具体的に酸処理であり、酸処理としては、リン酸処理でよいが、他の酸を用いた処理であってもよい。リン酸処理は、ロットを構成する複数枚の基板Wに対してエッチング処理を行う。エッチング処理は、例えば、基板Wの表面上の窒化膜を化学的に食刻する。バッチ薬液処理がなされた複数枚の基板Wには、上述の第1バッチ処理ユニットBPU1におけるバッチリンス処理槽ONBによりリンス処理が施される。
【0067】
第3バッチ処理ユニットBPU3は、具体的には、バッチ薬液処理槽CHB2と、ロットを昇降させるリフタLF3とを備える。バッチ薬液処理槽CHB2は、上述のバッチ薬液処理槽CHB1と同様の構成である。つまり、バッチ薬液処理槽CHB2には上述した薬液が収容され、リフタLF3が付設されている。バッチ薬液処理槽CHB2は、ロットに対しバッチ薬液処理槽CHB1と同様の処理を行う。本例の基板処理装置1は、同じ薬液処理が可能な処理槽を複数備える。これは、リン酸処理が他の処理よりも時間を要することによる。リン酸処理には長時間(例えば、60分)の時間を要する。そこで、本例の装置は複数のバッチ薬液処理槽により酸処理を平行して行える様にしている。従って、ロットは、バッチ薬液処理槽CHB1,バッチ薬液処理槽CHB2のいずれかで酸処理される。この様に構成すれば、装置のスループットが高まる。第4バッチ処理ユニットBPU4は、具体的には、バッチ薬液処理槽CHB3と、ロットを昇降させるリフタLF4とを備える。バッチ薬液処理槽CHB3は、上述のバッチ薬液処理槽CHB1と同様の構成である。
【0068】
このように、実施例におけるバッチ薬液処理槽CHB1,バッチ薬液処理槽CHB2およびバッチ薬液処理槽CHB3は、バッチリンス処理槽ONBよりも移載ブロック7から離れた位置にある。つまり、実施例のバッチ薬液処理槽CHB1は、バッチリンス処理槽ONBの幅だけ移載ブロック7から離れた位置に設けられる。この様に構成することで、バッチ薬液処理槽CHB1が保持する酸溶液により移載ブロック7が有する各機構が腐食してしまうことを防ぐことができる。同様の効果は、後述のセンターロボットCR,基板ピックアップ部80についても奏される。バッチ薬液処理槽CHB,バッチリンス処理槽は、本発明のバッチ処理槽に相当する。
【0069】
液中保持ユニット25は、移載ブロック7に後方から隣接する。液中保持ユニット25は、ロットを液中に浸漬させる保持槽43およびロットを昇降させるリフタLF5を備えている。保持槽43は例えば純水で希釈されたIPA(イソプロピルアルコール)を収容し、槽内の基板Wの乾燥を防止する。保持槽43の上方にある受け渡し位置においてロットを第2搬送機構WTRから受け取ったリフタLF5は、浸漬位置(バッチ薬液処理槽CHB1における処理位置に相当)まで基板Wを降下させ、基板Wの全域を純水に浸漬させる。保持槽43は、バッチ処理領域R1において移載ブロック7に最も近い位置に鉛直姿勢となっている複数枚の基板Wを液中で保持する。
【0070】
液中保持ユニット25には、保持槽43の液中にある鉛直姿勢の複数枚の基板Wの中から基板Wを1枚取り出し、基板Wの姿勢を鉛直姿勢から水平姿勢に変換する基板ピックアップ部80が設けられている。基板ピックアップ部80は、水平姿勢となった基板Wを枚葉基板受け渡し位置P2まで搬送して後述の枚葉基板搬送領域R3におけるセンターロボットCRに受け渡す。
【0071】
図4は、実施例に係る基板ピックアップ部80を説明する斜視図である。図4に示すように、基板ピックアップ部80は、ZX平面に広がる主面を備えた支持板82を有している。実施例の支持板82は、後述のリニアガイド81によりY方向に移動可能に支持されている。支持板82における前後方向(X方向)の一端(前側)および他端(後側)には、一対の関節83が設けられており、関節83の各々には、幅方向(Y方向:保持槽43に保持された鉛直姿勢の複数枚の基板Wの配列方向)に延びるロッド84が設けられている。従って、ロッド84は、関節83を介して支持板82に支持されている。ロッド84は、関節83を通過する前後方向(X方向)に延びた回転軸を中心に回転することができる。特に、ロッド84は、幅方向(Y方向)に延伸した姿勢で停止することができ、鉛直下向きに延伸した姿勢で停止することもできる。幅方向(Y方向)は本発明の所定方向に相当する。関節83は、本発明のロッド回転機構に相当する。
【0072】
図5は、実施例に係る基板ピックアップ部80の前後方向(X方向)に関する側面図である。関節83の各々には、ロッド84を回転させるロッド回転機構61aが備えられている。ロッド回転制御部61bは、ロッド回転機構61aを制御する構成である。ロッド回転制御部61bは、幅方向(Y方向)に延伸している一対のロッド84が互いの位置関係を維持した状態で回転するようにロッド回転機構61aを制御する。従って、図4において互いに平行の状態となっている一対のロッド84は、平行の状態を維持したまま回動され、互いに鉛直方向(Z方向)に沿う姿勢にされる。
【0073】
一対のロッド84の各々には、第1把持体85a,第2把持体85bが設けられている。第1把持体85aは、ロッド84を貫通させる長孔65を有する板状の部材である。第1把持体85aにおける基板Wが当接する一辺は、基板Wの形状に倣って湾曲している。第1把持体85aは、湾曲した辺が後側を向くようにロッド84にセットされている。
【0074】
第1把持体85aは、ロッド84の延伸方向について移動可能なのでその点について説明する。第1把持体85aは、ロッド84に固着しておらず、ロッド84に案内されてロッド84の延伸方向に移動することができる。すなわち、第1把持体85aは、図4の状態からロッド84の基端側に移動することもできれば、ロッド84の先端側に移動することもできる。このとき、第1把持体85aは、湾曲した辺が後側を向く姿勢を保ちつつロッド84の延伸方向(図4では幅方向:Y方向)に移動する。
【0075】
第2把持体85bは、第1把持体85aと同様な構成である。つまり、第2把持体85bは、ロッド84を貫通させる長孔65を有する板状である点、基板Wを当接させる一辺が湾曲している点、ロッド84に案内されてロッド84の延伸方向について移動可能である点について第1把持体85aと同様である。ちなみに、第2把持体85bは、湾曲した辺が前側を向いている点が第1把持体85aとは異なっている。第2把持体85bは、湾曲した辺が前側を向く姿勢を保ちつつロッド84の延伸方向(図4では幅方向:Y方向)に移動する。板状となっている第2把持体85bは、同じく板状となっている第1把持体85aが属する平面と同じ平面上に位置するように、第1把持体85aに追従して移動する。
【0076】
第1把持体85a,第2把持体85bをロッド84の延伸方向に移動させる機構および制御部について説明する。第1把持体85aは、第1把持体85aをロッド84に沿って移動させる把持体移動機構67aを備えている。一方、第2把持体85bは、第2把持体85bをロッド84に沿って移動させる把持体移動機構67bを備えている。把持体移動制御部68は、把持体移動機構67a,把持体移動機構67bを制御する目的で設けられている。把持体移動制御部68は、第1把持体85a,第2把持体85bの位置関係を維持した状態で移動するように把持体移動機構67a,把持体移動機構67bを制御する。従って、図4において互いにY方向について同一の状態となっている第1把持体85a,第2把持体85bは、その状態を維持したままロッド84に案内されて、それぞれ直線移動される。
【0077】
第1把持体85a,第2把持体85bが有する湾曲した辺は、把持対象の基板Wの形状に相当する仮想円の一部と一致する。当該辺には、基板Wを嵌入させるV溝66が設けられているので、把持対象の基板Wは、第1把持体85a,第2把持体85bに保持されると、周縁部がV溝66に収まる。この様に構成すれば、把持対象の基板Wの両面をV溝66により固定することができるので、第1把持体85a,第2把持体85bは、より堅固に基板Wを把持することができる。
【0078】
なお、第1把持体85a,第2把持体85bの離間距離は、後述の基板把持状態において、把持対象の基板Wの直径よりも短い。このようにすると、第1把持体85a,第2把持体85bに把持された基板Wは、第1把持体85aから第2把持体85bに向かう方向と直交する方向(図4における矢印方向)から引き抜かれ易くなる。つまり、第1把持体85a,第2把持体85bは、後述の枚葉基板搬送領域R3におけるセンターロボットCRに基板Wを渡すのに適した形状となっている。
【0079】
リニアガイド81は、Y方向に延びた四角柱状の部材であり、支持板82を移動可能に支持する。リニアガイド81は、電動アクチュエータを構成しており、電動アクチュエータのスライダに支持板82が設けられている。したがって、支持板82は、リニアガイド81の延伸方向に直線移動が可能である。図5に示すように、支持板82の移動はモータ62aが実行する。モータ制御部62bは、モータ62aを制御する構成である。リニアガイド81,モータ62aは、本発明の支持台移動機構に相当する。
【0080】
第1把持体85a,第2把持体85bは、互いに接近および離反ができる構成であるのでこの点について説明する。図6は、図4と同様、第1把持体85a,第2把持体85bが最も接近した状態を示している。このとき、ロッド84は、第1把持体85aにおける長孔65の1端部に位置する。図7は、第1把持体85a,第2把持体85bが最も離反した状態を示している。ロッド84は、第1把持体85aにおける長孔65の他端部に位置する。第2把持体85bにおけるロッド84の位置関係は、第1把持体85aの場合と同様である。すなわち、第1把持体85a,第2把持体85bが互いに離れると、ロッド84は、第2把持体85bにおける長孔65の1端部から他端部まで移動する。
【0081】
図6は、第1把持体85a,第2把持体85bが基板Wを保持可能な基板把持状態を示している。このとき、第1把持体85a,第2把持体85bが有する湾曲した辺は、把持対象の基板Wの形状に相当する仮想円の一部となっている。図7は、第1把持体85a,第2把持体85bが基板Wを保持できない待避状態を示している。このとき、第1把持体85a,第2把持体85bが有する湾曲した辺は、把持対象の基板Wの形状に相当する仮想円から離れた位置にある。なお、図7における第1把持体85a,第2把持体85bの離間距離は、把持対象の基板Wの直径以上となっている。したがって、図7の状態では、基板Wが第1把持体85a,第2把持体85bの間を通り抜けることができる。
【0082】
第1把持体85a,第2把持体85bの各々には、ロッド84に対し第1把持体85aを前後方向(X方向),すなわち長孔65の延伸方向、にスライドさせるスライド機構63aが設けられている。スライド制御部63bは、スライド機構63aを制御する構成である。スライド制御部63bは、第1把持体85a,第2把持体85bを同期的にスライドするようにスライド機構63aを制御する。これに伴い、第2把持体85bは、第1把持体85aがスライドするとその移動距離だけ第1把持体85aと逆方向にスライドする。したがって、第1把持体85a,第2把持体85bは協働して仮想円Cyに接近することができ、協働して仮想円Cyから離反することもできる。スライド機構63aは、本発明の把持体移動機構に相当する。
【0083】
その他、処理ブロック9は、第1把持体85a,第2把持体85bによる基板Wの保持を補助する目的で、図8に示すような、ほぼ矩形となっているストッパ部材90a,ストッパ部材90bを備える。ストッパ部材90a,ストッパ部材90bは、図1に示すように、枚葉基板受け渡し位置P2に基板Wが位置したときの基板Wに相当する仮想円の円周を形作るように湾曲した辺を有している。当該辺には、階段状の段差69が設けられている。ストッパ固定具90cは、鉛直方向(Z方向)に延びる部材であり、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bを枚葉基板受け渡し位置P2に配置するための支持部品である。枚葉基板受け渡し位置P2に基板が到来すると、基板Wの外周がストッパ部材90a,ストッパ部材90bの段差69に嵌入して支持される。ストッパ部材90a,ストッパ部材90bは、本発明の支持体に相当する。ストッパ部材90a,ストッパ部材90bの材質としてはフッ素樹脂などが好ましい。
【0084】
図9は、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bが第1把持体85a,第2把持体85bによる基板Wの保持を補助する様子について説明している。図4で説明したように、第1把持体85a,第2把持体85bは、基板Wを一方向から引き抜くのに適した形状となっている。この様にすると、基板Wを枚葉基板搬送領域R3のセンターロボットCRに受け渡すときに基板Wの保持が不確実となり、特に基板Wが第1把持体85a,第2把持体85bから逃げる方向に滑り出してしまう可能性が高まる。そこで、実施例の構成では、枚葉基板受け渡し位置P2において基板Wが当該方向に移動するのを阻止するストッパ部材90a,ストッパ部材90bが設けられている。図9を参照すれば分かるように、第1把持体85aは基板Wの左下端を保持し、第2把持体85bは基板Wの右下端を保持している。そして、ストッパ部材90aは、基板Wの左上端を保持し、ストッパ部材90bは、基板Wの右上端を保持している。このように枚葉基板受け渡し位置P2においては、基板Wを囲むように第1把持体85a,第2把持体85b,ストッパ部材90a,ストッパ部材90bが配置し、これら4部材が基板Wを保持する構成となっている。
【0085】
図10は、枚葉基板受け渡し位置P2において、センターロボットCRが基板ピックアップ部80から基板Wを受け取るときの様子を示している。このとき、センターロボットCRが有する基板搬送アームは、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bの間隙に挿入される。そして、基板搬送アームの先端は、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bの間隙を通過して枚葉基板受け渡し位置P2にある基板Wから突出する。
【0086】
図11は、枚葉基板受け渡し位置P2における基板Wの受け渡しをより詳細に説明する断面図である。図11(a)は、各部材の位置関係を明らかにするために基板Wが省略されている。当該図においては、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bが段差69を向けて描写されている。従って、基板Wは、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bの手前側に収まることになる。一方、当該図においては、第1把持体85a,第2把持体85bは断面として説明されている。当該図を参照すれば、第1把持体85aの有するV溝66が第2把持体85bに向いており、第2把持体85bの有するV溝66が第1把持体85aに向いている様子が理解される。第1把持体85a,第2把持体85bは、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bよりも手前側に位置する。
【0087】
図11(b)は、図11(a)に把持対象の基板Wを付け足した図である。図11(b)における基板Wは、第1把持体85a,第2把持体85bと同じく、断面として描写されている。基板Wの左右端は、第1把持体85a,第2把持体85bが有するV溝66に嵌入して堅固に保持される。ストッパ部材90a,ストッパ部材90bにおける段差69における鉛直方向(Z方向)の位置は、第1把持体85a,第2把持体85bにおけるV溝66の最深部の位置と一致している。従って、基板Wは、第1把持体85a,第2把持体85b,ストッパ部材90a,ストッパ部材90bの4部材に保持されたとしても撓むことがない。
【0088】
図11(c)は、図11(b)の状態から第1把持体85a,第2把持体85bをわずかに離反させることにより、基板WをセンターロボットCRに受け渡す準備が完了した状態を表している。当該図においては、第1把持体85a,第2把持体85bが基板Wを保持しないことになるので、基板Wが第1把持体85a,第2把持体85bから滑り出してしまう可能性が考えられる。しかしながら、このような基板Wの移動はストッパ部材90a,ストッパ部材90bにより制止される。なお、基板Wが図11(c)における手前側に滑り出すことはない。このような基板Wの移動は、第1把持体85a,第2把持体85bが有する基板Wに沿って湾曲したV溝66が阻止する。
【0089】
図11(d)は、図11(c)の状態から、センターロボットCRの基板搬送アームが基板Wの下部に挿入されたときの様子を示している。基板搬送アームが基板Wをわずかに鉛直上向きに移動させれば、基板Wは、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bの段差69の上側に位置する。したがって、基板搬送アームは、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bの存在にもかかわらず基板Wを奥側に引き込むことができる。図11(c)で説明したように、第1把持体85a,第2把持体85bは、互いに離反された状態なので、基板Wは、第1把持体85a,第2把持体85bにより把持されていない。したがって、基板搬送アームは、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bの存在にもかかわらず基板Wを奥側に引き込むことができる。
【0090】
以降、基板ピックアップ部80による基板Wの搬送動作について説明する。実施例の装置は、バッチ処理領域R1における各種バッチ処理が終了した基板Wを枚葉処理領域R2に渡されるまで液中で待機させることができる。図12は、バッチ処理が終了し、保持槽43において液中で保持されるロットから基板Wが1枚ずつ取り出される様子を模式的に表している。液中で保持されているロットから基板Wを1枚取り出すには、まず、ロット全体が保持槽43の液面上に上昇される。このロットの移動は、保持槽43に付属のリフタLF5が行う。基板ピックアップ部80は、ロットを構成する基板Wのうち、ロットの最先端に位置している基板Wを把持する。基板ピックアップ部80による基板Wの把持が終了すると、リフタLF5が下降され、基板ピックアップ部80の把持対象とならなかった複数枚の基板Wが一括して保持槽43の液中に戻される。一方、基板ピックアップ部80は、把持した基板Wの姿勢を鉛直姿勢から水平姿勢に変換して、枚葉基板受け渡し位置P2まで搬送する。このように、実施例の装置は、リフタLF5の上昇、基板Wの把持、リフタLF5の下降、基板Wの姿勢変換、基板Wの搬送の、各操作を繰り返すことにより、ロットを構成する基板Wを1枚ずつ枚葉処理領域R2に搬送する。この様な構成とすれば、ロットが枚葉基板処理のために待機している間にロットを構成する基板Wが乾燥してしまうことがない。
【0091】
以降、図13図21を参照して、基板ピックアップ部80が液中保持ユニット25の液中にある複数枚の基板Wの中から基板Wを1枚取り出し、枚葉基板受け渡し位置P2まで搬送するときの動作について具体的に説明する。
【0092】
図13は、基板ピックアップ部80が基板Wを把持する前の初期状態を示している。すなわち、基板ピックアップ部80のロッド84が幅方向(Y方向)に延びた姿勢となっており、支持板82がリニアガイド81の基端部に移動されている。第1把持体85aは、ロッド84の先端部に位置している。第1把持体85a,第2把持体85bは、図の右側に示すように互いに離間した状態となっており、基板Wは、第1把持体85a,第2把持体85bの間を通り抜けることができる。図13におけるリフタLF5は、基板ピックアップ部80に向けてロットを上昇させている状態となっている。しかし、基板ピックアップ部80による基板Wの搬送が開始される前のリフタLF5は、上昇前の状態であり、ロットを保持槽43内の液中に浸漬させている。
【0093】
図14は、リフタLF5が基板ピックアップ部80の上部まで上昇したときの様子を示している。基板ピックアップ部80が有する第1把持体85a,第2把持体85bは互いに離間した状態なので、リフタLF5に搭載された基板Wは、図の右側に示すように第1把持体85a,第2把持体85bに衝突せずにこれらの間を通過することができる。
【0094】
図15は、図14の状態から第1把持体85a,第2把持体85bは互いに接近したときの様子を示している。このときの第1把持体85a,第2把持体85bの離間距離は、図の右側に示すように基板Wの幅よりも狭いものとなっている。
【0095】
図16は、図15の状態から第1把持体85a,第2把持体85bがロッド84の基端側に移動したときの様子を示している。このときの第1把持体85a,第2把持体85bの位置は、幅方向(Y方向)について、ロットを構成する基板Wのうち、最もリニアガイド81の先端側に位置する基板W(先頭の基板W)と同じ位置となっている。このときの第1把持体85a,第2把持体85bの離間距離は、図の右側に示すように図15と同様である。
【0096】
図17は、図16の状態から、リフタLF5が基板ピックアップ部80まで下降したときの様子を示している。このとき、第1把持体85a,第2把持体85bは互いに接近した状態となっているので、第1把持体85a,第2把持体85bは、図の右側に示すようにロットにおける先頭の基板Wの周縁に当接して当該基板Wを保持する。
【0097】
図18は、図17の状態からリフタLF5が更に下降したときの様子を示している。このとき、リフタLF5は、第1把持体85a,第2把持体85bに保持された基板Wを残して把持対象とならなかった複数枚の基板Wとともに下降する。このとき、第1把持体85a,第2把持体85bに保持される基板Wの様子は、図の右側に示すように図17と同様である。
【0098】
図19は、図18の状態からリフタLF5が更に下降したときの様子を示している。リフタLF5は、保持槽43まで戻って把持対象とならなかった複数枚の基板Wを保持槽43の液面下に移動させる。このとき、第1把持体85a,第2把持体85bに保持される基板Wの様子は、図の右側に示すように図17と同様である。
【0099】
図20は、図19の状態から基板ピックアップ部80のロッド84が90°回動したときの様子を示している。ロッド84の回動に伴い、第1把持体85a,第2把持体85bに把持された基板Wの姿勢は、ロッド84の姿勢変換と逆の変換、すなわち鉛直姿勢から水平姿勢に変わる。このとき、第1把持体85a,第2把持体85bに保持される基板Wの様子は、図の右側に示すように図17と同様である。なお、基板Wの鉛直方向(Z方向)の位置がストッパ部材90a,ストッパ部材90bの鉛直方向(Z方向)の位置に一致しないときは、第1把持体85a,第2把持体85bを上昇または下降させて、基板Wをストッパ部材90a,ストッパ部材90bと同じ高さまで移動させる。このロッド84に対する第1把持体85a,第2把持体85bの移動は、ロッド84を90°回動する前(図19参照)に実行されてもよい。
【0100】
図21は、図20の状態から支持板82がリニアガイド81の先端部に移動された様子を示している。このとき、第1把持体85a,第2把持体85bに把持された基板Wは、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bに近づく。基板Wは、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bと同じ高さに位置しているので、基板Wは、やがてストッパ部材90a,ストッパ部材90bに当接することになる。この様にして、保持槽43の液中で待機していた基板Wは、枚葉基板受け渡し位置P2まで搬送される。そして、図の右側で説明しているように、基板Wは、第1把持体85a,第2把持体85b,ストッパ部材90a,ストッパ部材90bの4部材で保持される。
【0101】
基板ピックアップ部80は、図13図21に係る動作を繰り返すことにより、保持槽43において待機している基板Wを1枚ずつ枚葉基板受け渡し位置P2まで搬送する。
【0102】
<5.2.枚葉処理領域>
処理ブロック9における枚葉処理領域R2は、移載ブロック7に前後方向(X方向)から隣接した矩形の領域となっている。当該領域は、バッチ処理領域R1における液中保持ユニット25に幅方向(Y方向)から対向している。枚葉処理領域R2には、1枚ずつの基板Wに対して個別に所定の処理を行う枚葉処理チャンバCMB1が設けられる。本例の基板処理装置1においては、枚葉処理チャンバCMB1の下部に枚葉処理チャンバCMB2が、枚葉処理チャンバCMB2の下部に枚葉処理チャンバCMB3が設けられており、3つの枚葉処理チャンバが高さ方向(Z方向)に積層された構成となっている。機能が異なる枚葉処理チャンバを積層して枚葉処理領域R2を構成するようにしてもよいが、本例では、枚葉処理チャンバCMB2,枚葉処理チャンバCMB3は、枚葉処理チャンバCMB1と同じ構成を有している。本例では、3つのチャンバが積層されて枚葉処理領域R2が構成されていたが、基板処理の目的に合わせて積層されるチャンバの数を増減してもよい。
【0103】
枚葉処理チャンバCMB3は、例えば、超臨界流体チャンバである。超臨界流体チャンバは、例えば、超臨界流体となった二酸化炭素により基板Wの乾燥処理を行う。超臨界流体として二酸化炭素以外の流体を乾燥に用いてもよい。超臨界状態は、二酸化炭素を固有の臨界圧力と臨界温度下に置くことで得られる。具体的な圧力は、7.38MPaであり、温度は31°Cである。超臨界状態においては、流体の表面張力がゼロになるので、基板W表面の回路パターンに気液界面の影響が生じない。従って、超臨界流体により基板Wの乾燥処理を行えば、基板W上で回路パターンが崩壊する、いわゆるパターン倒れの発生が防止できる。
【0104】
<5.3.枚葉基板搬送領域>
処理ブロック9における枚葉基板搬送領域R3は、移載ブロック7に隣接する矩形の領域となっている。枚葉基板搬送領域R3は、バッチ処理領域R1と枚葉処理領域R2とに介在する位置にある。
【0105】
枚葉基板搬送領域R3は、水平姿勢の基板Wを搬送するセンターロボットCRを備えている。センターロボットCRは、バッチ処理領域R1に設けられた枚葉基板受け渡し位置P2から枚葉処理チャンバのいずれかに基板Wを搬送する。センターロボットCRは、水平姿勢となっている1枚の基板Wを枚葉基板受け渡し位置P2で取得することが可能なハンド29を備えている。センターロボットCRは、鉛直方向(Z方向)に往復移動することが可能である。そして、センターロボットCRは、XY平面(水平面)内で旋回可能である。従って、センターロボットCRのハンド29は、Z方向に延びる回転軸周りに回転することで、バッチ処理領域R1に向くこともできれば、枚葉処理領域R2に向くこともできる。センターロボットCRは、本発明の枚葉基板搬送機構に相当する。
【0106】
センターロボットCRのハンド29は、XY平面(水平面)内で進退可能である。従って、ハンド29は、バッチ処理領域R1の枚葉基板受け渡し位置P2から基板Wを受け取ることもできれば、枚葉処理領域R2の各枚葉処理チャンバCMB1~CMB3に水平姿勢の基板Wを渡すこともできる。センターロボットCRに設けられるハンド29には、複数のタブが設けられており、ハンド29は、これらにより基板Wを堅固に保持することが可能である。
【0107】
<5.4.バッチ基板搬送領域>
処理ブロック9におけるバッチ基板搬送領域R4は、前後方向(X方向)に延びた矩形の領域となっている。バッチ基板搬送領域R4は、バッチ処理領域R1の外縁に沿って設けられ、一端側が移載ブロック7まで延び、他端側が移載ブロック7から離れる方向に延びる。
【0108】
バッチ基板搬送領域R4には、複数枚の基板Wを一括して搬送する第2搬送機構WTRが設けられている。第2搬送機構WTRは、移載ブロック7内に定められたバッチ基板受け渡し位置P1と、各バッチ処理ユニットBPU1~BPU4と、液中保持ユニット25との間で複数枚の基板W(具体的にはロット)を一括して搬送する。第2搬送機構WTRは、移載ブロック7と処理ブロック9に亘って前後方向(X方向)に往復可能に構成されている。第2搬送機構WTRは、処理ブロック9におけるバッチ基板搬送領域R4に加えて、移載ブロック7内のバッチ基板受け渡し位置P1にも移動可能である。第2搬送機構WTRは、本発明のバッチ基板搬送機構に相当する。第2搬送機構WTRは、ハーフピッチで配列された複数枚の基板Wを一括して搬送する構成である。第2搬送機構WTRは、本発明のバッチ基板搬送機構に相当する。
【0109】
第2搬送機構WTRは、ロットを搬送する一対のバッチハンド23を備えている。当該バッチハンド23は、例えば、幅方向(Y方向)に向けられた回転軸を備えており、この回転軸周りに揺動する。一対のバッチハンド23は、ロットを構成するハーフピッチで配列された複数枚の基板Wの両端部を挟持する。第2搬送機構WTRは、移載ブロック7におけるバッチ基板受け渡し位置P1に位置するプッシャ22A,バッチ処理ユニットBPU1~BPU4に属する各リフタLF1~LF4,液中保持ユニット25に属するリフタLF5との間においてハーフピッチで配列された複数枚の基板Wから構成されるロットを受け渡す。
【0110】
この様に、本例の基板処理装置1は、左方から右方にかけて、それぞれ前後方向(X方向)に延びた細長状のバッチ基板搬送領域R4,前後方向(X方向)に延びた細長状のバッチ処理領域R1,移載ブロック7側に設けられた枚葉基板搬送領域R3,移載ブロック7側に設けられた枚葉処理領域R2の順に各領域が配列されている。
【0111】
本例の基板処理装置1は、上述した各部の他、各機構および各処理部を制御するCPU(Central Processing Unit)75と、プログラムや設定値など処理過程に必要な種々の情報を記憶する記憶部76を備えている。なお、CPUの具体的構成は特に限定されない。装置全体で1つのCPUを備えるようにしてもよいし、各ブロックに1つまたは複数のCPUを備えるようにしてもよい。この点は、記憶部76についても同様である。CPUが行う制御としては、例えば、キャリア搬送機構19,第1搬送機構HTR,第2搬送機構WTR,姿勢変換部20,プッシャ機構22,バッチ処理ユニットBPU1~BPU4,液中保持ユニット25,基板ピックアップ部80およびセンターロボットCRに関する各機構である。
【0112】
<基板処理の流れ>
図22は、本例の基板処理の流れを説明するフローチャートである。本例の基板処理は、例えば半導体デバイス製造過程における基板W表面のエッチング、基板乾燥に関する各処理を行うものである。以下、当該フローチャートに従って基板処理の流れを具体的に説明する。
【0113】
ステップS11:未処理の基板Wを収納するキャリアCが投入部11の載置台15にセットされる。その後、キャリアCは、投入部11から装置内に取り入れられて、キャリア搬送機構19によりストッカーブロック5に設けられた受け渡し用のキャリア載置棚21aに載置される(図23参照)。移載ブロック7に設けられた第1搬送機構HTRがキャリア載置棚21aのキャリアCから複数枚の基板Wを一括に取り出す。そして、第1搬送機構HTRは、水平姿勢となっている複数枚の基板Wを姿勢変換部20に渡す。
【0114】
ステップS12:姿勢変換部20は、複数枚の基板Wの姿勢を水平姿勢から鉛直姿勢に変換して複数枚の基板Wをプッシャ機構22に渡す。プッシャ機構22のプッシャ22Aには、基板Wが挿入されている溝と、空の溝とが交互に配列されている。各溝は、ハーフピッチで配列されているので、基板Wは、キャリアCに収納されていたときと同じフルピッチでプッシャ22A上に配列されていることになる。
【0115】
ステップS13:プッシャ機構22は、保持している基板群とは異なるもう一組の基板群を姿勢変換部20から受け取って、ハーフピッチ化処理を実行する。プッシャ22Aが受け取る後続の基板群は、ステップS12において空となっている溝の各々に挿入される。この様にして、ハーフピッチで配列されているプッシャ22Aの各溝には第1のキャリアCに係る基板Wと第2のキャリアに基板Wとが交互に挿入される。1個のキャリアCには25枚の基板Wが収納されることからすれば、プッシャ22Aにはキャリア2個分(50枚)の基板Wが配列されることになる。
【0116】
ステップS14:その後、複数枚の基板Wに対し、バッチ式処理が実行される。具体的には、バッチ基板受け渡し位置P1で待機しているロットは、第2搬送機構WTRにより一括に鉛直方向(Z方向)に持ち上げられた後、前後方向(X方向)に搬送される。鉛直姿勢となっている複数枚の基板Wは、幅方向(Y方向)に配列された状態で第2バッチ処理ユニットBPU2~第4バッチ処理ユニットBPU4に属するリフタLF2~リフタLF4のいずれかに渡される。基板Wを受け取るリフタLF2~リフタLF4は、受け渡し位置にある。この様にして、ロットは、バッチ薬液処理槽CHB1~バッチ薬液処理槽CHB3のいずれかにおける液面上に位置される。図23は、ロットがバッチ薬液処理槽CHB1で処理される様子を例示している。ロットを受け取ったリフタLF2は、降下してロットをバッチ薬液処理槽CHB1内の薬液に浸漬させる。この様にしてロットに対する薬液処理が実行される。
【0117】
薬液処理が終了すると、リフタLF2は、バッチ薬液処理槽CHB1からロットを液面上に露出させる。ロットは、その後、第2搬送機構WTRにより一括して鉛直方向(Z方向)に持ち上げられた後、前後方向(X方向)に搬送される。鉛直姿勢の基板Wは、幅方向(Y方向)に配列された状態で第1バッチ処理ユニットBPU1のリフタLF1に渡される。この時のリフタLF1は、受け渡し位置にある。この様にして、ロットは、バッチリンス処理槽ONBにおける液面上に位置される。ロットを受け取ったリフタLF1は降下してバッチリンス処理槽ONBにロットを浸漬させる。この様にしてロットに対する洗浄処理が実行される(図23参照)。
【0118】
洗浄処理が終了すると、リフタLF1は、バッチリンス処理槽ONBからロットを液面上に露出させる。ロットは、その後、第2搬送機構WTRにより鉛直方向(Z方向)に持ち上げられた後、前後方向(X方向)に搬送される。鉛直姿勢となっている複数枚の基板Wは、幅方向(Y方向)に配列された状態で液中保持ユニット25に渡される(図10参照)。この時の液中保持ユニット25のリフタLF5は受け渡し位置にある。
【0119】
以上のようにステップS14においては、第2搬送機構WTRは、移載ブロック7のバッチ基板受け渡し位置P1で鉛直姿勢となっている複数枚の基板Wを一括して受け取り、受け取った複数枚の基板Wを薬液処理に係る第2バッチ処理ユニットBPU2等、リンス処理に係る第1バッチ処理ユニットBPU1,液中保持ユニット25へその順に搬送する。
【0120】
ステップS15:液中保持ユニット25のリフタLF5に渡されたロットは、リフタLF5により待機位置(第1バッチ処理ユニットBPU1が有するリフタLF1における処理位置に相当)まで降下される。待機位置にある複数枚の基板Wは、液面下にある。これにより基板Wの表面は乾燥を免れる。
【0121】
ステップS16:図24に示すように、液中保持ユニット25において液中で保持されている基板Wの1枚は、基板ピックアップ部80によりリフタLF5から受け入れられる。受け入れられた基板Wは後述のように姿勢変換された後、枚葉基板受け渡し位置P2まで搬送される。リフタLF5は、基板Wが搬送される度に下降して搬送を待つ基板Wを保持槽43の希釈IPA液に浸漬させるので、これら基板Wが本ステップの間に自然乾燥することがない。
【0122】
ステップS17:液中保持ユニット25における保持槽43から引き出された鉛直姿勢の基板Wは、基板ピックアップ部80により水平姿勢に変換される。その後、基板ピックアップ部80は、水平姿勢の基板Wを水平移動させて枚葉基板受け渡し位置P2まで搬送する。枚葉基板搬送領域R3におけるセンターロボットCRは、枚葉基板受け渡し位置P2において基板Wを受け取り、枚葉処理チャンバCMB1の入口まで搬送する。図24では、基板Wが枚葉処理チャンバCMB1,枚葉処理チャンバCMB2,枚葉処理チャンバCMB3のうち枚葉処理チャンバCMB1に搬送される様子を示している。
【0123】
ステップS18:枚葉処理チャンバCMB1の内部まで搬送された基板Wは、そこで枚葉処理される。具体的には、基板Wは例えば基板乾燥処理を受ける。処理中における枚葉処理チャンバCMB1に設けられた入口および出口は、シャッターによりそれぞれ閉塞される。
【0124】
ステップS19:枚葉処理が終了した基板Wは、第1搬送機構HTRによりキャリアCに返却される。すなわち、枚葉処理が終了すると枚葉処理チャンバCMB1のシャッターが制御され、枚葉処理チャンバCMB1の出口が開状態となる。第1搬送機構HTRの返却用ハンド71bは、枚葉処理チャンバCMB1に出口から進入して内部の基板Wを取り上げ、その状態で枚葉処理チャンバCMB1から退出する。その状態から第1搬送機構HTRは、キャリア載置棚21aに載置されたキャリアCに1枚の基板Wを返却する。
【0125】
上述したステップS16~ステップS19は、液中で保持された1枚の基板Wに注目した説明であって、これら各ステップS16~ステップS19は、液中保持ユニット25から基板Wの全てがキャリアCに返却されるまで繰り返される。最後に、図25に示すように、処理済みの基板Wを収納するキャリアCがキャリア載置棚21aから払出部13の載置台17まで移動される。このキャリアCの移動は、キャリア搬送機構19が実行する。以上をもって本発明の基板処理は終了となる。
【0126】
以上のように、実施例の構成によれば、バッチ式モジュールと枚葉式モジュールとを備えた基板処理装置1の構成をより簡単とすることができる。実施例の装置は、鉛直方向に配列された水平姿勢の基板Wの姿勢を一括して鉛直姿勢に変換する姿勢変換部20と、姿勢変換後の複数枚の基板Wを一括して液処理する複数のバッチ薬液処理槽CHBと、液処理が終了した複数枚の基板Wを待機させる保持槽43を備えている。実施例の構成は、待機中の基板Wの1枚を保持槽43から取り出して、姿勢変換し、枚葉基板搬送領域R3へ搬送するという複雑な動作を必要とせず、既存の装置を利用して保持槽43から1枚の基板Wを取り出す構成としている。すなわち、実施例の装置は、保持槽43に備えられたリフタLF5を利用して、複数枚の基板Wのうちの1枚を基板Wの姿勢変換および搬送が可能な基板ピックアップ部80に渡す構成としている。すなわち、実施例の装置は、リフタLF5が上方から下方に通過する際にリフタLF5に保持された基板Wのうちの1枚を基板ピックアップ部80に保持させる構成となっている。そして、基板ピックアップ部80は、基板Wの姿勢を変換するロッド回転機構61a,および水平姿勢の基板Wを移動させる支持台移動機構(モータ62a,リニアガイド81)を備えている。従って、実施例によれば、基板Wを保持槽43から取り出して、基板Wの姿勢変換をして、基板Wを所定位置まで搬送するという3過程のうち、1過程を省いて基板ピックアップ部80を構成することができるので、基板ピックアップ部80の装置構成は単純なものとなるし、それだけ基板Wを移動する際に生じる位置的誤差も低減される。このように構成すれば、基板Wを確実に搬送しつつ製造コストが抑制された基板処理装置1を提供することができる。
【0127】
本発明は、上述の実施例に限られず、下記の様な変形実施が可能である。
【0128】
<変形例1>
上述の実施例における枚葉処理チャンバCMBは、超臨界流体チャンバで構成されていたが、本発明はこの構成に限られない。枚葉処理チャンバCMBをスピンドライ方式で基板Wを乾燥させる、より小さなチャンバで構成するようにしてもよい。この様に構成することで、枚葉処理領域R2に搭載するチャンバの個数を増やすことができ、スループットの高い装置を提供できる。
【0129】
<変形例2>
上述の実施例において枚葉処理領域R2には、枚葉乾燥処理チャンバが設けられていたが、本発明はこの構成に限られない。枚葉処理領域R2に基板表面の撥水処理が可能なチャンバを搭載するようにしてもよいし、基板Wの乾燥処理および撥水処理を実行することができるチャンバを搭載するようにしてもよい。この様に本発明は、装置の使用目的に合わせて柔軟に構成の変更を許容する。
【0130】
<変形例3>
上述の実施例においては、バッチリンス処理槽ONBと、液中保持ユニット25との両方を有する構成となっていたが、本発明はこの構成に限られない。図26に示すように、バッチリンス処理槽ONBの機能を液中保持ユニット25に持たせるようにしてもよい。この構成によれば、液中保持ユニット25と別にバッチリンス処理槽ONBを設ける必要が無いので、図1で説明した実施例よりもより多くのバッチ薬液処理槽CHBを設けることができる。すなわち、本変形例においては、4つのバッチ薬液処理槽CHBを用いてバッチ薬液処理をより効率的に行うことができる。液中保持ユニット25が保持する液体としては、例えば純水が考えられる。
【0131】
<変形例4>
上述の変形例3の構成に加えて、液中保持ユニット25にIPAを混合する機能を追加することもできる。本変形例の液中保持ユニット25は、純水を保持し、この状態でロッドを受け入れる。純水によりリンス処理がなされたロッドを構成する基板Wは、液中保持ユニット25に設けられた供給部から供給されたIPAにより乾燥耐性が高まり、基板ピックアップ部80により空中で搬送されている間も自然乾燥を免れて確実に枚葉処理チャンバCMB3まで搬送される。図27における供給部101は、処理ブロック9のバッチ処理領域R1にあり、保持槽43にIPAを放出するノズル102と、IPAを収容するIPAタンク103と、IPAタンクとノズルとの介在する位置に設けられたIPAを通過させる供給管104と、供給管103の中途に挿入されたバルブ105を備える。バルブ105は、CPU75(バルブ制御部106)の制御により開状態となってIPAを保持槽43に供給したり、閉状態となって供給を停止したりする構成である。
【0132】
<変形例5>
上述の実施例の枚葉処理領域R2においては、鉛直方向に積層された複数の枚葉処理チャンバCMBが設けられていたが、本発明はこの構成に限られない。枚葉処理領域R2に1つの枚葉処理チャンバを設けるようにしてもよい。
【0133】
<変形例6>
上述の実施例においては、バッチ処理領域R1において、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bが設けられていたが、本発明はこの構成に限られない。基板ピックアップ部80に把持された水平姿勢の基板Wが枚葉基板搬送領域R3側に滑り落ちる危険性がなければ、ストッパ部材90a,ストッパ部材90bを省略する構成とすることもできる。
【0134】
<変形例7>
上述の実施例においては、キャリアCに収容された複数枚の基板Wと、他のキャリアCに収容された複数枚の基板Wとをバッチ組みしてハーフピッチで配列した基板Wで構成されるロットを構成していたが、本発明はこの構成に限られない。本発明は、バッチ組を行わない装置にも適用ができる。当該装置によれば、搬送機構WTRは、フルピッチで配列した25枚の基板Wを一括に搬送し、リフタLF1,リフタLF2,リフタLF3,リフタLF4,リフタLF5は、搬送機構WTRよりフルピッチで配列した25枚の基板Wを一括に受け取る。
【0135】
<変形例8>
上述の実施例では、取得用ハンド71aと返却用ハンド71bとが第1搬送機構HTRに設けられていたが、本発明はこの構成に限られない。取得用ハンド71aが設けられているロボットとは別に、返却用ハンド71bを備えるロボットを移載ブロック7に設置して基板処理装置1を構成することもできる。この様に構成すれば、基板Wの取得と基板の返却が同時に可能となるので、スループットの高い基板処理装置1を提供することができる。
【0136】
<変形例9>
上述の実施例では、図20図21で説明したように、基板ピックアップ部80は、水平姿勢の基板Wを幅方向(Y方向)に搬送可能であったが、本発明はこの構成に限られない。基板ピックアップ部80のリニアガイド81を省いた構成として、センターロボットCRが姿勢変換後の基板W(図20参照)を直接受け取る構成としてもよい。この構成によれば、必ずしもストッパ部材90a,ストッパ部材90b,ストッパ固定具90cは必要ない。
【0137】
<変形例10>
上述の実施例では、リフタLF5が第1把持体85a,第2把持体85bに対して下降することにより、リフタLF5上の基板Wの1枚を第1把持体85a,第2把持体85bに保持させる構成としていたが、リフタLF5が下降する構成に代えて1把持体85a,第2把持体85bがリフタLF5に対して上昇する構成としてもよい。このような構成では、第1把持体85a,第2把持体85bは、図7で説明した離間状態において、保持槽43に浸漬されたロットの下部に位置することができる。第1把持体85a,第2把持体85bは、この状態から、図6で説明した接近状態となり、更にリフタLF5に向けて上昇することが可能である。本変形例によれば、リフタLF5から基板ピックアップ部80への基板Wの受け渡しが液中で行われる。したがって、実施例で説明したように、基板Wを枚葉基板受け渡し位置P2まで搬送するごとにロット全体を液から取り出す必要がなくなり、枚葉搬送前の基板Wを確実に液中で待機させることができる。
【0138】
<変形例11>
上述の実施例では、枚葉処理チャンバCMB1~CMB3が高さ方向に積層されることで枚葉処理領域R2が構成されていたが、本発明はこの構成に限られない。枚葉処理領域R2により多くの枚葉処理チャンバを設けるようにしてもよい。図28に示すように、枚葉基板搬送領域R3を移載ブロック7から離れる方向に延びる構成とし、枚葉基板搬送領域R3に設けられるセンターロボットCRを前後方向(X方向)に移動可能に構成すれば、それに合わせて枚葉処理領域R2を前後方向(X方向)に拡張することができる。図28に係る枚葉処理領域R2には、3個の枚葉処理チャンバで構成される積層体が前後方向(X方向)に4個配列されている。すなわち、枚葉処理チャンバCMB1~CMB3は、第1の積層体を構成し、枚葉処理チャンバCMB4~CMB6は、第2の積層体を構成する。枚葉処理チャンバCMB7~CMB9は、第3の積層体を構成し、枚葉処理チャンバCMB10~CMB12は、第4の積層体を構成する。第1の積層体、第2の積層体、第3の積層体、第4の積層体は、この順に移載ブロック7から離れる方向に配列されている。そして、第1の積層体と移載ブロック7とに挟まれる位置には、水平姿勢の基板Wを載置可能な枚葉式のパス72が設けられている。枚葉式チャンバCMB1~CMB12のいずれかで乾燥処理を受けた基板Wは、センターロボットCRによりパス72まで搬送されて、待機する。そして、返却用ハンド71bは、パス72に載置された基板Wを把持して、キャリアCに返却する。このように枚葉処理チャンバの個数を増やすように構成すれば、異なる基板Wに対して枚葉処理を同時並行で行う際に、同時に処理できる基板Wの枚数が増えるので、スループットの高い基板処理装置2が提供できる。
【0139】
<変形例12>
変形例11の構成においては、バッチ処理領域R1における保持槽43の位置は特に限定されない。図1で説明するように、保持槽43をバッチ薬液処理槽CHB1~CHB3およびバッチリンス処理槽ONBよりも移載ブロック7側に設けるようにしてもよいし、保持槽43をバッチ薬液処理槽CHB1~CHB3およびバッチリンス処理槽ONBよりも移載ブロック7にとって遠い位置に設けるようにしてもよい。また、保持槽43をバッチ薬液処理槽CHB1~CHB3およびバッチリンス処理槽ONBで構成される配列の中に組み込んで配置することもできる。基板ピックアップ部80は、保持槽43で保持される基板Wを取り出す構成であるので、保持槽43がいずれの位置であっても、基板ピックアップ部80は、保持槽43の上部に位置する。
【0140】
<変形例13>
上述の実施例では、第1把持体85a,第2把持体85bは、互いに離反することでリフタLF5から離れ、互いに接近することでリフタLF5に近づく構成となっていたが、本発明はこの構成に限られない。第1把持体85a,第2把持体85bの距離が変化しない構成であっても、第1把持体85a,第2把持体85bがリフタLF5から離れたり、リフタLF5に近づいたりする構成も実現できる。具体的には、第1把持体85a,第2把持体85bが互いの距離を保った状態で前後方向(X方向)に移動することでリフタLF5から離れたり、リフタLF5に接近したりする構成としてよい。
【符号の説明】
【0141】
5 ストッカーブロック
7 移載ブロック
9 処理ブロック
20 姿勢変換部(姿勢変換機構)
21a キャリア載置棚
22 プッシャ機構(基板保持部)
43 保持槽
61a ロッド回転機構
62a モータ(支持台移動機構)
63a スライド機構(把持体移動機構)
71a 取得用ハンド(取得用ハンドリング機構)
71b 返却用ハンド(返却用ハンドリング機構)
80 基板ピックアップ部
81 リニアガイド(支持台移動機構)
82 支持板(支持台)
83 関節(ロッド回転機構)
84 ロッド
85a 第1把持体
85b 第2把持体
C キャリア
CHB1 バッチ薬液処理槽(バッチ処理槽)
CHB2 バッチ薬液処理槽(バッチ処理槽)
CHB3 バッチ薬液処理槽(バッチ処理槽)
CMB1 枚葉処理チャンバ
CMB2 枚葉処理チャンバ
CMB3 枚葉処理チャンバ
CR センターロボット(枚葉基板搬送機構)
LF5 リフタ
ONB バッチリンス処理槽(バッチ処理槽)
P1 バッチ基板受け渡し位置
P2 枚葉基板受け渡し位置
R1 バッチ処理領域
R2 枚葉処理領域
R3 枚葉基板搬送領域
R4 バッチ基板搬送領域
W 基板
WTR 第2搬送機構(バッチ基板搬送機構)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28