(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004451
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】カテーテル、及びバルーンの作動方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20240109BHJP
【FI】
A61M25/10 512
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069452
(22)【出願日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2022103687
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】大川 靖洋
(72)【発明者】
【氏名】速水 雄祐
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB12
4C267BB28
4C267BB32
4C267BB40
4C267CC09
4C267GG05
4C267HH08
4C267HH14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】収縮状態のバルーンの最大径を小さくできるカテーテルを提供する。
【解決手段】本開示のある態様のカテーテルは、シャフトと、シャフトの先端側に取り付けられており膨張及び収縮可能なバルーン3と、バルーンの外周を被覆しバルーンの収縮に伴って弾性変形可能である被覆部材4とを備える。バルーンが膨張した後に収縮する際、バルーンの収縮に伴って被覆部材が弾性変形により膨張前の状態まで収縮するため、収縮状態のバルーンの最大径を小さくできる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトの先端側に取り付けられて膨張可能なバルーンと、
前記バルーンの外周を被覆し、前記バルーンの収縮に追従して弾性変形可能な被覆部材と、
を備えるカテーテル。
【請求項2】
前記被覆部材の弾性率が前記バルーンの弾性率より小さい、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記被覆部材の両端部のみが、前記バルーンの主要部分以外又は前記シャフトに固定されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記被覆部材は、未使用状態の前記バルーンの外周を被覆している、請求項1から3のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項5】
流体がバルーンの内部に供給されることで、前記バルーンがその外周を被覆している被覆部材と共に膨張するステップと、
前記流体が前記バルーンの外部へ排出されることで、前記バルーンが前記被覆部材と共に収縮するステップと、
を備えるバルーンの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はカテーテル、具体的には膨張可能なバルーンを備えるバルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、検査や治療のために体内に挿入される医療用の管である。特に、体内で拡張可能なバルーンを備えるカテーテルはバルーンカテーテルと呼ばれ、血管、気管、消化管、総胆管、膵管等の体内の管状器官やそれらの接続部(出入口)、検査や治療のために体内に形成される孔(例えば胃、若しくは十二指腸球部から総胆管に穿刺される孔)等における被拡張部や狭窄部(以下、狭窄部等という)を拡張するために使用される。
【0003】
従来、特許文献1に記載されているような構造のバルーンカテーテルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バルーンは狭窄部等を拡張した後に収縮し、シャフトと共に拡張された狭窄部等から取り出される。この際、収縮状態のバルーンの最大径が大きいとバルーンを抜去しにくくなる。
【0006】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、収縮状態のバルーンの最大径を小さくできるカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様のカテーテルは、シャフトと、シャフトの先端側に取り付けられて膨張可能なバルーンと、バルーンの外周を被覆し、バルーンの収縮に追従して弾性変形可能な被覆部材と、を備える。
【0008】
本開示の別の態様は、バルーンの作動方法である。この方法は、流体がバルーンの内部に供給されることで、バルーンがその外周を被覆している被覆部材と共に膨張するステップと、流体がバルーンの外部へ排出されることで、バルーンが被覆部材と共に収縮するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のカテーテルによれば、収縮状態のバルーンの最大径を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】
図1のB-B断面、C-C断面、D-D断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。説明又は図面において同一又は同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限りは限定的に解釈されるものではない。実施形態は例示であり、本開示の範囲を何ら限定するものではない。実施形態に記載される全ての特徴やそれらの組合せは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
本開示のカテーテルは、任意の箇所の狭窄部等の拡張に使用できる。
【0013】
図1は、本開示のバルーンカテーテル1の外観を示す。バルーンカテーテル1は、長尺かつ管状の可撓性を有するシャフト2と、膨張及び収縮可能なバルーン3と、を備える。バルーン3は、シャフト2の先端側(シャフト2の全長の半分より遠位側、すなわち、シャフト2の長手方向の中央より遠位側)に取り付けられている。詳細は後述するが、バルーン3は、未使用状態、膨張状態、及び収縮状態を取る。
図1(A)のバルーン3は未使用状態にあり、
図1(B)のバルーン3は膨張状態にあり、
図1(C)のバルーン3は収縮状態にある。
【0014】
図2は、
図1のA-A断面の断面図である。
図3(A)は
図1のB-B断面の断面図であり、
図3(B)は
図1のC-C断面の断面図であり、
図3(C)は
図1のD-D断面の断面図である。
図2及び
図3に示すように、シャフト2は、インナーシャフト21及びアウターシャフト22を備えている。インナーシャフト21は、アウターシャフト22の内部(ルーメン)に挿入される。バルーン3の先端部はインナーシャフト21の外周に固定され、バルーン3の基端部はアウターシャフト22の外周に固定される。インナーシャフト21の外周とアウターシャフト22の内周との間には、一または複数のバルーン拡張ルーメン22Aが形成されている。バルーン拡張ルーメン22Aは、バルーン3の内部に連通している。
【0015】
図4は、バルーン3の製造方法または形成方法を模式的に示す。より具体的には
図4では、バルーン3の製造方法のうち、バルーン3を折り畳む際の一連の動作または工程を示す。バルーン3の折り畳みを開始する際、バルーン3は内部に封入された流体(例えば、空気)によって膨張状態にある(
図4(A)参照)。
図4(A)の状態からバルーン3内から流体を引き出すと、バルーン3は収縮し始める。この際、所定のガイド(不図示)を用いてバルーン3の周方向に沿って略等間隔(図示の例では約90°間隔)で、複数(図示の例では4つ)の凸部31~34または突出部を形成する。各凸部31~34は、インナーシャフト21を中心として、当該各凸部31~34の間の各凹部より径方向に突き出た形状となっている(
図4(B)参照)。
図4(C)に示すように、凸部31~34がインナーシャフト21の周方向に沿って折り畳まれるように(
図4(B)中の矢印A1,A2,A3,A4参照)ガイドを動かし、バルーン3全体を収縮させる、または、コンパクトに折り畳む。その後、
図3(A)に示されるように、被覆部材4が、全体が収縮した(コンパクトに折り畳まれた)状態のバルーン3の外周側に配置され、未使用状態のバルーン3が完成する。
【0016】
(バルーン3)
未使用状態のバルーン3は、
図1(A)、
図3(A)、及び
図4(C)に示すように、インナーシャフト21を中心として、凸部31~34が折り畳まれるように、バルーン3全体が収縮した形状をとる。未使用状態とは、バルーンカテーテル1を製造した直後(例えば、バルーン3および被覆部材4を組み合わせた直後)の状態、つまり製造後一度もバルーン3を膨張させていない状態をいう。
【0017】
膨張状態のバルーン3は、
図1(B)、
図2、及び
図3(B)に示すように、シャフト2またはバルーン3の長手方向(
図2における左右方向)に垂直な断面(
図3(B))が、円形をなす。
図3(A)における未使用状態のバルーン3の内部に流体が供給されることで、折り畳まれた凸部31~34が径方向に立ち上がり、かつ、周方向に広がりながらバルーン3が膨張する。つまり、膨張状態のバルーン3の径(例えば、
図3(B)における最大径r2)は、未使用状態のバルーン3の径(例えば、
図3(A)における最大径r1)より大きい。
【0018】
図2に示すように、膨張状態のバルーン3は、先端から基端に向かって、先端側ネック部35、先端側テーパ部36、中間部37、基端側テーパ部38、及び基端側ネック部39を備える。先端側テーパ部36は、インナーシャフト21の外周と略同径の内周を有する先端側ネック部35から中間部37に向かって径が大きくなるテーパ状に形成され、基端側テーパ部38は、アウターシャフト22の外周と略同径の内周を有する基端側ネック部39から中間部37に向かって径が大きくなるテーパ状に形成される。
【0019】
先端側テーパ部36の基端の拡張径と基端側テーパ部38の先端の拡張径が略等しい図示の例では、両部を長手方向に連結する中間部37が略一定の拡張径を有する直管部となる。なお、図示の例では、シャフト2の長手方向において、先端側テーパ部36の長さと基端側テーパ部38の長さが略等しいが、これらは有意に異なっていてもよい。このように膨張可能または拡張可能なバルーン3は、先端側ネック部35の内周面がインナーシャフト21の外周面に固定され、基端側ネック部39の内周面がアウターシャフト22の外周面に固定されることで、シャフト2に固定されている。
【0020】
収縮状態のバルーン3は、
図1(C)及び
図3(C)に示すように、シャフト2の長手方向に対して垂直な断面が、膨張状態よりも小さい径を有する。例えば、収縮状態のバルーン3の最大径(
図3(C)におけるr3)が、膨張状態のバルーン3の最大径(
図3(B)におけるr2)より小さい。収縮状態とは、膨張状態からバルーン3内の流体を抜いた状態(つまり、一度膨張したバルーン3が、流体が抜かれてしぼんだ状態)をいう。
【0021】
バルーン3を膨張状態から収縮状態に移行させると、未使用状態と比較して凸部31~34が整然と(つまり規則正しく)折り畳まれないことがある。したがって、凸部31~34によるバルーン外周面の凹凸が、未使用状態における凹凸よりも大きくまたは不規則になることがある。つまり、収縮状態のバルーン3の最大径(例えば、
図3(C)におけるr3)は、未使用状態のバルーン3の最大径(例えば、
図3(A)におけるr1)より大きくなることがある。これは、バルーン3が整然と折り畳まれた未使用状態と比較して、凸部31~34の間により大きいまたはより多い隙間が形成されることによる。但し、後述するように、バルーン3の外周側の被覆部材4が、凸部31~34の過度な突出を抑制する(すなわち、バルーン3の最大径r3を小さくする)ため、バルーン3の円滑な抜去を妨げない。
【0022】
未使用状態のバルーン3の最大径r1は、0.5~2.0mm程度である。膨張状態のバルーン3(中間部37)の最大径r2は、2.0~9.0mm程度である。収縮状態のバルーン3の最大径r3は、0.5~3.0mm程度である。ここで、最大径r1,r2,r3とは、インナーシャフト21の中心(または、シャフト2の中心)から、バルーン3の外表面または外周面の最も離れた位置までの距離(半径)である。バルーン3は、ナイロン、ナイロン系エラストマー、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート等の任意の樹脂材料によって形成されている。
【0023】
(被覆部材4)
被覆部材4は、弾性変形可能であって、長尺かつ管状の形状を有する。被覆部材4は、バルーン3の外周を被覆している。ここで、被覆部材4がバルーン3の外周を被覆する、とは、被覆部材4が、少なくともバルーン3の主要部分(膨張する部分)の外周を覆うように配置されることをいう。なお、
図3(A)に示されるバルーン3の未使用状態や、
図3(C)に示されるバルーン3の収縮状態では、バルーン3が折り畳まれているため、被覆部材4の内周面はバルーン3の主要部分の外周面の一部に接触または近接する。また、
図3(B)に示されるバルーン3の膨張状態では、バルーン3が膨張しているため、被覆部材4の内周面はバルーン3の主要部分の外周面の略全部に接触または近接する。なお、外周側の被覆部材4と内周側のバルーン3の間に他の部材が介在してもよい。この場合でも被覆部材4はバルーン3の外周を被覆しているが、被覆部材4の内周面の少なくとも一部はバルーン3の外周面と接触する代わりに当該他の部材の外周面と接触する。
【0024】
図2に示した例では、バルーン3の主要部分は、中間部37を含み、更に先端側テーパ部36及び基端側テーパ部38の少なくともいずれかを含んでもよい。また、被覆部材4の両端付近(両端部)のみが、シャフト2又はバルーン3(主要部分以外の部分(例えば、先端側ネック部35や基端側ネック部39))の外周面に固定されている。被覆部材4の先端部は、バルーン3の先端側に延在するインナーシャフト21の外周を被覆した状態で、熱可塑性エラストマー製等の短尺の固着チューブによって固着されている。更に、被覆部材4の基端部は、バルーン3の基端側に延在するアウターシャフト22の外周を被覆した状態で、熱可塑性エラストマー製等の短尺の固着チューブによって固着されている。被覆部材4に引っ張り力が作用していない非膨張状態等において、被覆部材4の長さ(シャフト2に沿った長さ)は、好ましくはバルーン3の長さ以上である。なお、被覆部材4の先端部は、バルーン3の先端部にある先端側ネック部35(インナーシャフト21の外周面に固定されている)の外周面に固着されてもよいし、被覆部材4の基端部は、バルーン3の基端部にある基端側ネック部39(アウターシャフト22の外周面に固定されている)の外周面に固着されてもよい。
【0025】
バルーン3の未使用状態で、被覆部材4は、
図1(A)及び
図3(A)に示すように、バルーン3の外周に追従した形状となる。このとき、被覆部材4は、弾性力によってバルーン3を縮径する(すなわち、最大径r1を抑制する)方向(内周側)に押さえつけている。
【0026】
バルーン3の膨張状態で、被覆部材4は、
図1(B)、
図2、及び
図3(B)に示すように、膨張したバルーン3の外周に追従した形状となる。被覆部材4は、バルーン3の膨張に伴って膨張している。被覆部材4の材料または特性(ヤング率等)は、バルーン3の膨張を阻害しないよう選択するのが良い。バルーン3の膨張を阻害しない、とは、バルーン3が膨張するのを許容することを意味し、バルーン3が膨張することに対して抵抗とはならないという意味ではない。具体的には被覆部材4は、ポリウレタン等の任意の弾性材料によって形成されている。被覆部材4の弾性率は、バルーン3の弾性率より小さくなっている。弾性率(ヤング率とも呼ばれる)は変形のしにくさを表すため、バルーン3は被覆部材4より変形しにくい、ということもできる。すなわち、バルーン3よりも変形しやすい被覆部材4は、内側のバルーン3が膨張及び収縮すると、それに追従して変形する。このように、バルーンカテーテル1の膨張動作および収縮動作は、変形しにくいバルーン3が主導し、変形しやすい被覆部材4が追従する。後述するように、被覆部材4は、特に未使用状態および収縮状態のバルーン3の最大径を抑制するという機能を果たす。
【0027】
バルーン3の収縮状態で、被覆部材4は、
図1(C)及び
図3(C)に示すように、バルーン3の外周に追従した形状となる。被覆部材4は、バルーン3の収縮に伴って収縮している。このとき、被覆部材4は、弾性力によってバルーン3を縮径する(すなわち、最大径r3を抑制する)方向(内周側)に押さえつけている。これにより、被覆部材4が設けられない場合と比べて、例えば、凸部31~34の間の隙間や、凸部31~34の径方向への突出(すなわち、最大径r3)が小さくなる。
【0028】
被覆部材4の内周とバルーン3(特に、膨張する主要部分(中間部37等))の外周の間に、シリコン等の任意の材料の潤滑剤を添加又は塗布してもよい。これにより、バルーン3及び被覆部材4が、摩擦等によって互いを阻害することなく同時に膨張又は収縮することができる。
【0029】
バルーン3と被覆部材4との間には、可能な限り空気が含まれない方がよいが、用途(つまり、バルーンカテーテル1の適用部位)によっては微小な空気層または隙間が形成されていてもよい。
【0030】
以下、バルーンカテーテル1の作用または作動を説明する。
図3(A)に示すように、バルーンカテーテル1を使用する前は、バルーン3は収縮し、かつインナーシャフト21に巻き付けられた状態(未使用状態)になっている。更に、弾性変形可能な被覆部材4が未使用状態のバルーン3の外周を覆っており、最大径r1が小さい状態となっている。
図2及び
図3(B)に示すように、未使用状態のバルーン3は、内部に(バルーン拡張ルーメン22Aを介して)流体が供給されることで膨張する。被覆部材4はバルーン3の膨張に伴って膨張する。
図3(C)に示すように、膨張状態のバルーン3は、内部に供給された流体が(バルーン拡張ルーメン22Aを介して)外部へ排出されることで、収縮する。被覆部材4はバルーン3の収縮に伴って収縮する。このとき、被覆部材4は、弾性変形によって収縮しており、収縮状態のバルーン3を外径側または外周側からインナーシャフト21の中心に向かって内径側または内周側に押圧するため、バルーン3の最大径r3が小さくなる。これにより、バルーンカテーテル1またはバルーン3を抜去しやすくなる。
【0031】
図3(B)における膨張状態においても被覆部材4は、バルーン3を外径側または外周側からインナーシャフト21の中心に向かって内周側に押圧する。このように、被覆部材4は、バルーン3が過度に膨張しないようにする抑制部材、あるいは、膨張状態のバルーン3の最大径r2を適切に調整する調整部材であるとも解釈できる。
【0032】
図1(B)、
図2、及び
図3(B)に示すようなバルーン3及び被覆部材4の膨張状態を実現するために、被覆部材4の弾性率はバルーン3の弾性率よりも小さくなっている。
【0033】
(弾性率の測り方)
バルーン3及び被覆部材4について、引張試験を実施することで弾性率を計算した。バルーン3又は被覆部材4の両端部を掴み具で固定し、掴み具同士が200mm/minの速度で離間するように引張操作を行った。試験結果において、引張操作の力(N)を、掴み具同士の離間距離(mm)の二乗で割ることで、弾性率(N/mm2)を計算できる。バルーン3の弾性率は250~300N/mm2、被覆部材4の弾性率は1~5N/mm2であった。
【0034】
図3(A)や
図3(C)に示すように、被覆部材4は、収縮したバルーン3の外周を被覆している。すなわち、被覆部材4の外表面に凹凸(しわ)が生じにくい。これにより、バルーンカテーテル1の挿入及び抜去が容易となる。
【0035】
以上、本開示を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0036】
1 バルーンカテーテル、2 シャフト、3 バルーン、21 インナーシャフト、22 アウターシャフト、22A バルーン拡張ルーメン、31~34 凸部、4 被覆部材、35 先端側ネック部、36 先端側テーパ部、37 中間部、38 基端側テーパ部、39 基端側ネック部。