(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044559
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】スパウト付き包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/74 20060101AFI20240326BHJP
B65D 5/36 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65D5/74 020A
B65D5/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150152
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 規行
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060BA03
3E060CF01
3E060CF12
3E060DA01
3E060DA07
3E060DA25
(57)【要約】
【課題】包装容器の中間製品を積み重ねた状態で梱包した場合であっても、隣接する中間製品にスパウトの痕跡が残ることがなく、また、数多くの中間製品を効率的に梱包することができる包装容器を提供すること。
【解決手段】貫通孔を有し、この貫通孔にスパウト1Cが装着されている天部側シート1Aと底部側シート1Bとを重ね、その周縁で全周に渡って互いにシールして包装容器1を構成する。前記スパウト1Cは注出筒1C1とこの注出筒1C1の周囲に配置されたフランジ1C2とから成る。そして、前記天部側シート1Aの外側表面から突き出している注出筒1C1の長さ1Cxを7mm以下とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有し、この貫通孔にスパウトが装着されている天部側シートと底部側シートとで構成され、これら天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いにシールして構成された包装容器であって、
前記スパウトが注出筒とこの注出筒の周囲に配置されたフランジとから成り、
前記天部側シートの外側表面から突き出している注出筒の長さが7mm以下であることを特徴とするスパウト付き包装容器。
【請求項2】
前記注出筒の外側先端が面取りされていることを特徴とする請求項1に記載のスパウト付き包装容器。
【請求項3】
前記天部側シートの内側表面から突き出している注出筒の長さが3mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のスパウト付き包装容器。
【請求項4】
前記天部側シートと底部側シートとが、それぞれ、次の構造を有することを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
天部側シートの構造:
中央に多角形状の天面を有し、
この多角形状天面の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面を、前記多角形状天面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面同士を繋いでしかも閉塞する天部側つなぎ片を有しており、
これら天部側側面及び天部側つなぎ片の外側に、底部側シートと固定する天部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の天部側側面を構成する辺同士が一致するように前記天部側つなぎ片を二つ折りできる天部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
底部側シートの構造:
中央に多角形状の底面を有し、
この多角形状底面の各辺を一辺とする四角形状の底部側側面を、前記多角形状底面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各底部側側面の間に、この底部側側面同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片を有しており、
これら底部側側面及び底部側つなぎ片の外側に、天部側シートと固定する底部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の底部側側面を構成する辺同士が一致するように前記底部側つなぎ片を二つ折りできる底部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウト付きの天部側シートと底部側シートとで構成され、これら天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成された包装容器であって、平坦な状態で移送・供給され、内容物充填時にはこれを立ち上げて箱型の状態に変形することができる包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような包装容器は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この包装容器2は次のようなものである。
【0004】
すなわち、この包装容器2に使用する天部側シート2Aは、
図4に示すように、その中央に四角形状の天面2A10を有しており、この天面2A10には貫通孔が設けられ、この貫通孔にはスパウト2Cが装着されている。
【0005】
次に、天部側シート2Aは、四角形状の天面2A10の各辺を折り曲げ用罫線として、この天面2A10の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面2A21~2A24を有している。天部側側面2A21~2A24の数は、多角形状天面2A10の辺の数と同じ4である。
【0006】
また、天部側シート2Aは、互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面2A21~2A24同士を繋ぐ天部側つなぎ片2A31~2A34を有している。すなわち、天部側側面2A21と天部側側面2A22との間は天部側つなぎ片2A31で繋がれている。また、天部側側面2A22と天部側側面2A23との間は天部側つなぎ片2A32で繋がれている。その他の天部側側面についても同様である。なお、各天部側側面2A21~2A24と天部側つなぎ片2A31~2A34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。
【0007】
そして、この天部側つなぎ片2A31~2A34によって、天部側側面2A21~2A24の間は閉塞されている。図示のように、この例では、天部側側面2A21~2A24と天部側つなぎ片2A31~2A34とを併せた部分の外形は長方形を構成しており、各天部側つなぎ片2A31~2A34はその角部に位置して、天部側側面2A21~2A24の間を閉塞している。例えば、天部側側面2A21と天部側側面2A22との間は天部側つなぎ片2A31で閉塞している。
【0008】
次に、天部側シート2Aは、これら天部側側面2A21~2A24と天部側つなぎ片2A31~2A34とを併せた長方形の部分の外側に、底部側シート2Bと固定するヒートシール領域から成る天部側固定部2A40を有している。なお、説明の便宜上、この
図4においては、天部側側面2A21の外側に位置する天部側固定部に符号「2A41」を付して示している。
【0009】
そして、前記天部側つなぎ片2A31~2A34は、天面2A10の各頂点から、天部側つなぎ片2A31~2A34を二等分する天部側二つ折り用罫線を有している。すなわち、
図4に拡大して示すように、例えば、天部側側面2A23と天部側側面2A24とは、天面2A10の頂点2A10bを共有している。天部側側面2A23を構成する辺のうち、天面2A10の頂点2A10bを共有している辺には、符号2A23bを付して示している。また、天部側側面2A24を構成する辺のうち、天面2A10の頂点2A10bを共有している辺には、符号2A24bを付して示している。そして、この辺2A23bと辺2A24bとがなす角を二等分する天部側二つ折り用罫線2A33cが設けられ、この天部側二つ折り用罫線2A33cによって、天部側つなぎ片2A33は2つの領域2A331,2A332に区分されている。すなわち、図において、辺2A23bと二つ折り用罫線2A33cとがなす角θ1と、辺2A24bと天部側二つ折り用罫線2A33cとがなす角θ2とは等しく、領域2A331と領域2A332とは、同形同大で、しかも、天部側二つ折り用罫線2A33cを対称軸として線対称に配置されている。
【0010】
なお、この天部側二つ折り用罫線2A33cは、天部側つなぎ片2A31を超えて、その外側に位置する天部側固定部にも延在している。すなわち、天部側二つ折り用罫線2A33cは、天部側つなぎ片2A33を領域2A331と領域2A332とに二分すると共に、その外側の天部側固定部も二分している。なお、図中、2A43αは、天部側つなぎ片2A33の外側に位置する天部側固定部であって、天部側二つ折り用罫線2A33cによって二分された天部側固定部の2つの領域のうち、領域2A331の外側に位置する領域を示し、2A43βは領域2A332の外側に位置する領域を示している。特許文献1に記載の包装容器400では、これら領域2A43αと領域2A43βとは天部側二つ折り用罫線2A33cを対象軸として線対象に配置されている。
【0011】
このため、天部側二つ折り用罫線2A33cで二つ折りすると、領域2A331と領域2A332とが互いに位置整合してぴったりと重なり、また、領域2A43αと領域2A43βとが互いに位置整合して重なる。
【0012】
以上天部側つなぎ片2A33を例として天部側二つ折り用罫線2A33cについて説明したが、その他の天部側つなぎ片2A31~2A32,2A34にも同様に天部側二つ折り用罫線2A31c~2A32c,2A34cが設けられている。
【0013】
次に、底部用シート2Bは、後述する点を除き、天部側シート2Aと同様の構造を有している。すなわち、
図5に示すように、まず、底部用シート2Bは中央に四角形状の底面2B10を有している。この四角形状底面2B10は天面2A10と略同形である。底部用シート2Bが天部側シート2Aと異なる点は、天部側シート2Aの天面2A10には、貫通孔が設けられ、この貫通孔にスパウト2Cが装着されているのに対し、底部用シート2Bの底面2B10には貫通孔が設けられておらず、もちろんスパウトが装着されていないことである。
【0014】
また、底部用シート2Bは、四角形状の底面2B10の各辺を折り曲げ用罫線として、この各辺を一辺とする四角形状の底部側側面2B21~2B24を、前記四角形状底面2B10の辺の数と同じ4つ有している。これら底部側側面2B21~2B24も、それぞれ、天部側側面2A21~2A24と略同形である。
【0015】
また、底部用シート2Bは、互いに隣接する各底部側側面2B21~2B24の間に、この底部側側面2B21~2B24同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片2B31~2B34を有している。これら底部側つなぎ片2B31~2B34は天部側つなぎ片2A31~2A34と略同形である。
【0016】
次に、底部側シート2Bは、これら底部側側面2B21~2B24と底部側つなぎ片2B31~2B34とを併せた長方形の部分の外側に、天部側シート2Aと固定するヒートシール領域から成る底部側固定部2B40を有している。
【0017】
そして、各底部側側面2B21~2B24と底部側つなぎ片2B31~2B34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。また、各底部側つなぎ片2B31~2B34には
、底面2B10の各頂点から、底部側つなぎ片2B31~2B34を二等分する底部側二つ折り用罫線2B31c~2B34cが設けられており、この底部側二つ折り用罫線2B31c~2B34cは、底部側つなぎ片2B31を超えて、その外側に位置する底部側固定部にも延在している。すなわち、底部側二つ折り用罫線2B31c~2B34cは、底部側つなぎ片2B31~2B34を二分すると共に、その外側の底部側固定部も二分している。
【0018】
そして、これら天部側シート2Aと底部側シート2Bとを位置合わせして重ね、両固定部2A40,2B40同士をヒートシールすることにより、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)2
1を製造することができる(
図6参照)。包装容器2は、このように平坦な状態で箱詰めして移送し、内容物を充填密封する工程に供給することができる。
【0019】
なお、この第1の中間製品21は、平坦な状態とはいうものの、箱型の状態に変形する後工程の便宜のため、天部側シート2Aの各折り曲げ用罫線と底部側シート2Bの各折り曲げ用罫線とは、いずれも、わずかに仮折りされており、この第1の中間製品21は、その外側に向かってわずかに膨らんで、その内部に空間2Xを形成している。そして、このように外側に向かって膨らむように仮折りした第1の中間製品21を変形すると、第1の中間製品21は自然に、しかも容易に箱型の状態に変形するのである。
【0020】
そして、この外側に向かってわずかに膨らんだ形状の第1の中間製品21には、スパウト2Cのフランジ2C2が天部側シート2Aの内側に接合され、スパウト2Cの注出筒2C1が天部側シート2Aの外側に向けて突出している。
【0021】
次に、平坦状態の第1の中間製品21を箱型の状態に変形するためには、天部側シート2Aと底部側シート2Bとのそれぞれをその折り曲げ用罫線で折り曲げて立ち上げればよい。
【0022】
図7はこうして箱型の状態に変形された第2の中間製品2
2を示している。こうして形成された箱型の状態の第2の中間製品2
2では、天部側つなぎ片2A31~2A34及び底部側つなぎ片2B31~2B34が、その中央に位置する天部側二つ折り用罫線2A31c~2A34cと底部側二つ折り用罫線2B31c~2B34cのいずれもが容器外面に対して山折りになるように二つ折りされたものである。この二つ折りによって、天部側シート2Aの天部側側面2A21~2A24のうち、互いに隣接する側面を構成する辺同士が重なり合い、また、天部側二つ折り用罫線2A31c~2A34cのそれぞれによって区分された2つの領域が互いに重なり合って、フィン状パネルの天部側を構成する。
図4の拡大図を参照して天部側つなぎ片2A33について説明すると、この天部側つなぎ片2A33を天部側二つ折り用罫線2A33cで二つ折りすることにより、この天部側つなぎ片2A33の両側に位置する天部側側面2A23の辺2A23bと天部側側面2A24の辺2A24bとが互いに重なり合う。また、天部側二つ折り用罫線2A33cで区分されたつなぎ片2A33の2つの領域2A331,2A332が互いに重なり合い、天部側固定部2A40の領域2A43βと領域2A43αが互いに重なり合って、第2の中間製品2
2の各角部から外側に向けて突出するフィン状パネルの天部側を構成する。
【0023】
ところで、平坦な状態の第1の中間製品21においては、天部側シート2Aの天部側つなぎ片2A33と底部側シート2Bの底部側つなぎ片2B33とは正確に重なり合い、その天部側二つ折り用罫線2A33cと底部側二つ折り用罫線2B33cも互いに正確に重なり合っており、天部側シート2Aの天部側つなぎ片2A33を天部側二つ折り用罫線2A33cで二つ折りするとき、底部側シート2Bの底部側つなぎ片2B33も底部側二つ折り用罫線2B33cで二つ折りされる。このため、底部側つなぎ片2B33の両側に位置する底部側側面2B23の辺2B23bと底部側側面2B24の辺2B24bも互いに
重なり合い、また、底部側二つ折り用罫線2B33cで区分された底部側つなぎ片2B31~2B34の2つの領域及びその外側に位置する底部側固定部2B40の2つの領域も互いに重なり合って、第2の中間製品22の各角部から外側に向けて突出するフィン状パネル233を構成する。
【0024】
そして、天部側シート2Aの天部側側面2A23と底部側シート2Bの底部側側面2B23とは容器固定部240を介して連続しているから、この両側面2A23,2B23によって箱型の状態の第2の中間製品22の側面223が構成される。
【0025】
また、天部側シート2Aの天部側つなぎ片2A33と底部側シート2Bの底部側つなぎ片2B33も容器固定部240を介して連続しているから、この両つなぎ片2A33,2B33で構成された部分によって前記側面同士を繋いでしかも閉塞する。すなわち、天部側側面2A23と底部側側面2B23とで構成される側面223と、天部側側面2A24と底部側側面2B24とで構成される側面224との間を繋いで、しかも、ここに隙間が生じることがないように閉塞するのである。
【0026】
以上、天部側つなぎ片2A33及び底部側つなぎ片2B33で構成された部分を二つ折りする場合を例として説明したが、その他のつなぎ片についても同様である。
【0027】
そして、このようにすべてのつなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34を二つ折りすることにより、各側面221~224が形成されるから、これに伴って所定の折り曲げ用罫線で折り曲げられ、第2の中間製品22は箱型の形態を採る。この箱型の状態の第2の中間製品22は、天面2A10と底面2B10とを有し、その周囲に側面221~224が設けられており、しかも、側面221~224の間をつなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34が閉塞しているから、スパウト2Cが装着された前記貫通孔を除いて密封された状態にある。
【0028】
なお、各つなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34を二つ折りする代わりに、平坦な状態の第1の中間製品21に空気を吹き込みながら、各側面221~224を立ち上げることによって箱型の状態の第2の中間製品22を形成することもできる。この場合でも、形成された第2の中間製品22は、各つなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34を二つ折りして形成された第2の中間製品22と同じ形状を有するものである。
【0029】
ところで、このように箱型の状態に変形された状態では、
図7に図示されるように、二つ折りされたつなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34及び両固定部1A40,1B40がフィン状パネル231~234を構成し、このフィン状パネル231~234が中間製品2
2の各角部から外側に向けて突出している。そこで、このフィン状パネル231~234を倒して中間製品2
2の各側面221~224に折り重ね、接着することによって、その外観を整えることができる。
図8はこのようにフィン状パネル231~234を中間製品2
2の各側面221~224に折り重ねて製造した包装容器2を示している。
【0030】
以上の説明から分かるように、平坦な状態の第1の中間製品21の天部側つなぎ片2A31~2A34及び底部側つなぎ片2B31~2B34のすべてを、これらの二つ折り用罫線2A31c~2A34c及び2B31c~2B34cで二つ折りすることによりフィン状パネル231~234が作られ、次にそのフィン状パネル231~234を中間製品22の各側面221~224に折り重ねることにより、箱型の状態の包装容器2に変形することができる。
【0031】
そして、平坦な状態の第1の中間製品21として内容物を充填密封する工程に供給され
ができる。また、キャップにより密封したり、ディスペンサーポンプを装着したりすることができる。
【0032】
この箱型の包装容器2を使用した後、空になったときには、箱型の状態から平坦な状態に戻すことができる。例えば、前述のように平坦な状態の第1の中間製品21を内容物充填工程に供給し、この工程で箱型の状態の包装容器2に変形して充填密封し、この状態で輸送・販売した後、消費者が内容物を消費してその中身が空になったときには、これを平坦な状態の第1の中間製品21に減容して保管あるいは廃棄することができる。
【0033】
箱型の状態の包装容器2を平坦な状態に変形させるためには、フィン状パネル231~234を容器側面221~224から引き剥がし、容器固定部240を把持して、包装容器2の外方に引っ張ればよい。容器固定部240を外方に引っ張ることにより、二つ折りされたつなぎ片231~234が開き、包装容器2を平坦な状態の第1の中間製品21に変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
ところで、前述のように、包装容器2は、平坦な状態の第1の中間製品2
1として箱詰めされて移送される。
図9は、このように梱包箱に第1の中間製品2
1を箱詰めした状態を示しており、
図9(a)はその説明用平面図、
図9(b)はその説明用断面図である。
【0036】
これらの図から分かるように、平坦な状態の第1の中間製品21は互いに積み重ねて梱包されるため、第1の中間製品21の底部側シート2Bには、隣接する第1の中間製品21のスパウト2Cの注出筒2C1が当接して、そこに痕跡が残ることがあった。
【0037】
また、第1の中間製品21は、各折り曲げ用罫線をわずかに仮折りして膨らんだ形状としているため、その分容積が大きくなり、限られた容積の箱体の中に効率的に収容することができず、その移送工程あるいは保管工程の効率を低下させていた。
【0038】
そこで、本発明は、このような中間製品を積み重ねた状態で梱包した場合であっても、隣接する中間製品にスパウトの痕跡が残ることのない包装容器を提供することを目的とする。また、併せて、本発明は、数多くの中間製品を効率的に梱包することができる包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
すなわち、請求項1に記載の発明は、貫通孔を有し、この貫通孔にスパウトが装着されている天部側シートと底部側シートとで構成され、これら天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いにシールして構成された包装容器であって、
前記スパウトが注出筒とこの注出筒の周囲に配置されたフランジとから成り、
前記天部側シートの外側表面から突き出している注出筒の長さが7mm以下であることを特徴とするスパウト付き包装容器である。
【0040】
なお、前記注出筒の外側先端は面取りされていることが望ましい。
【0041】
また、天部側シートの内側表面から突き出している注出筒の長さは3mm以上あること
が望ましい。
【0042】
また、天部側シートと底部側シートとは、それぞれ、次の構造を有することができる。天部側シートの構造:
中央に多角形状の天面を有し、
この多角形状天面の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面を、前記多角形状天面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面同士を繋いでしかも閉塞する天部側つなぎ片を有しており、
これら天部側側面及び天部側つなぎ片の外側に、底部側シートと固定する天部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の天部側側面を構成する辺同士が一致するように前記天部側つなぎ片を二つ折りできる天部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
底部側シートの構造:
中央に多角形状の底面を有し、
この多角形状底面の各辺を一辺とする四角形状の底部側側面を、前記多角形状底面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各底部側側面の間に、この底部側側面同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片を有しており、
これら底部側側面及び底部側つなぎ片の外側に、天部側シートと固定する底部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の底部側側面を構成する辺同士が一致するように前記底部側つなぎ片を二つ折りできる底部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、天部側シートの外側表面から突き出しているスパウトの長さが7mm以下と短いため、平坦な状態の中間製品を積み重ねた状態で梱包した場合であっても、隣接する中間製品にスパウトの痕跡が残ることがない。また、同じ理由から見かけ上の容積が小さく、このため、限られた容積の箱体の中に数多くの中間製品を効率的に梱包することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は本発明の包装容器の実施の形態に係り、
図1(a)は第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の断面図、
図1(b)はその要部拡大図である。
【
図2】
図2は本発明の包装容器の実施の形態を示すものである。すなわち、
図2(a)は包装容器にディスペンサーポンプを装着する工程を示す説明用斜視図、
図2(b)はディスペンサーポンプを装着した包装容器の説明用斜視図である。
【
図3】
図3は本発明の包装容器の実施の形態を示すものである。すなわち、
図3(a)は梱包箱に包装容器の第1の中間製品を箱詰めした状態を示す説明用平面図、
図3(b)はその説明用断面図である。
【
図4】
図4は従来の包装容器に係り、その天部側シートの平面図である。
【
図5】
図5は従来の包装容器に係り、その底部側シートの平面図である。
【
図6】
図6は従来の包装容器に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の断面図である。
【
図7】
図7は従来の包装容器に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)を箱型の状態に変形した第2の中間製品の斜視図である。
【
図8】
図8は従来の包装容器に係り、その包装容器の斜視図である。
【
図9】
図9は従来の包装容器を示すものである。すなわち、梱包箱に包装容器の第1の中間製品を箱詰めした状態を示しており、
図9(a)はその説明用平面図、
図9(b)はその説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0046】
本発明の実施の形態に係る包装容器1は、天部側シートに装着されているスパウトを除き、従来の包装容器2と同様である。すなわち、本発明の実施の形態に係る包装容器1は、貫通孔を有し、この貫通孔にスパウト1Cが装着されている天部側シート1Aと底部側シート1Bとで構成され、これら天部側シート1Aと底部側シート1Bとを重ね、その周縁で全周に渡って互いにシールして構成された包装容器であって、天部側シート1Aと底部側シート1Bとは、それぞれ、次の構造を有している。
天部側シートの構造:
中央に多角形状の天面を有し、
この多角形状天面の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面を、前記多角形状天面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面同士を繋いでしかも閉塞する天部側つなぎ片を有しており、
これら天部側側面及び天部側つなぎ片の外側に、底部側シートと固定する天部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の天部側側面を構成する辺同士が一致するように前記天部側つなぎ片を二つ折りできる天部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
底部側シートの構造:
中央に多角形状の底面を有し、
この多角形状底面の各辺を一辺とする四角形状の底部側側面を、前記多角形状底面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各底部側側面の間に、この底部側側面同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片を有しており、
これら底部側側面及び底部側つなぎ片の外側に、天部側シートと固定する底部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の底部側側面を構成する辺同士が一致するように前記底部側つなぎ片を二つ折りできる底部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
【0047】
このため、従来の包装容器2を説明する図面においては、この従来の包装容器2を構成する要素について、先頭数字「2」から始まる符号を付していたが、本発明の実施の形態に係る包装容器1については先頭数字「1」から始まる符号を付しており、両者はこの先頭数字を除き、互いに対応する符号を付している。例えば、従来の包装容器2には「2」の符号を付しており、本発明の包装容器の具体例には「1」の符号を付している。また、従来の包装容器2の天部側シートには「2A」の符号を付しており、本発明の包装容器1の天部側シートには「1A」の符号を付している。また、従来の包装容器2の第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)には「21」の符号を付しており、本発明の包装容器1の第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)には「11」の符号を付している。
【0048】
ところで、
図1は本発明の実施の形態に係る包装容器1の実施の形態に係り、
図1(a)は第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)1
1の断面を示している。また、
図1(b)はその要部拡大図である。
【0049】
図示のように、スパウト1Cは、注出筒1C1と、この注出筒1C1と一体でかつこの
注出筒1C1の周囲に配置されたフランジ1C2とで構成されている。
【0050】
注出筒1C1は筒状であり、その内部が内容物の注出路を構成している。一方、フランジ1C2は、このスパウト1Cを包装容器1の天部側シート1Aに固定する役割を担っている。
【0051】
そして、このため、注出筒1C1は、包装容器1の内側から天部側シート1Aの貫通孔に挿入され、包装容器1の外側にその先端が突出している。そして、天部側シート1Aの貫通孔の周縁にフランジ1C2が密着し、ヒートシールによって固定している。
【0052】
ところで、従来のスパウト2Cにおいては、フランジ2C2は注出筒2C1の端部に設けられていた。これに対して、本発明の実施の形態に係るスパウト1Cにおいては、フランジ1C2は注出筒1C1の途中に配置されており、このため、注出筒1C1は、フランジ1C2からさらに包装容器1の内部に向かって延伸した部分を有している。一方、包装容器1の外側に突出した部分は、従来のスパウト2Cより著しく短く構成されている。
【0053】
すなわち、天部側シート1Aの外側表面から突き出しているスパウト1Cの長さ(外面への飛出し長さ1Cxは7mm以下である。これが7mmを越えると、
図3に示すように包装容器1を積み重ねたとき、スパウト1Cが当接する包装容器1にスパウト1Cが押し当てられた痕が生じる。箱型の状態とされた包装容器1同士を積み重ねたときにもスパウト1Cの痕跡が生じるし、平坦な状態の中間製品1
1同士を積み重ねた場合にも、スパウト1Cが当接する中間製品1
1にスパウト1Cの痕跡が生じるのである。なお、スパウト1Cの外面への飛出し長さ1Cxは3mm以下であることが望ましい。
【0054】
また、スパウト1Cの外面への飛出し長さ1Cxが7mm以下と短い場合、箱型の状態の包装容器1や平坦な状態の中間製品11の見かけ上の容積が小さいため、限られた容積の箱体の中に効率的に収容することができ、その移送工程あるいは保管工程の効率を高めることができる。もちろん、前記長さ1Cxが長くなればなるほど、箱型の状態の包装容器1や平坦な状態の中間製品11の見かけ上の容積が増大して、箱体の中に効率的に収容することができず、その移送効率や保管効率も低下する。
【0055】
なお、スパウト1Cの注出筒1C1の内側先端と外側先端1C1
0とは、
図1(b)をさらに拡大して示すように、この部位に鋭利な部分が生じないように面取りされている。このため、注出筒1C1が隣接する包装容器1に当接しても、この隣接する包装容器1を傷つけることがなく、注出筒1C1の痕跡も一層生じ難くなる。なお、注出筒1C1の外側先端1C1
だけが面取りされていてもよいが、内外両先端1C1
0が面取りされていることが望ましい。
【0056】
次に、前述のように、このスパウト1Cの注出筒1C1は、フランジ1C2からさらに包装容器1の内部に向かって延伸した部分を有している。このため、スパウト1Cの外面への飛出し長さ1Cxが7mm以下と短いにも拘わらず、注出筒1C1は十分な長さを有している。この十分な長さの注出筒1C1を利用して、例えば、ディスペンサーポンプ等を装着することができる。
図2はこのように箱型の状態の包装容器1にディスペンサーポンプを装着する工程を示すもので、
図2(a)は包装容器にディスペンサーポンプを装着する工程を示す説明用斜視図、
図2(b)はディスペンサーポンプを装着した包装容器の説明用斜視図である。
【0057】
なお、スパウト1Cには外側に螺条を設けることが困難であるため、スパウト1Cを内ネジ、ディスペンサーポンプを外ネジとすることが望ましい。スパウト1Cとディスペンサーポンプとの間に中間パーツを使用する場合にも、スパウト1Cは内ネジである。
【0058】
なお、天部側シート1Aの内側表面から突き出しているスパウトの長さ(内面への突き出し長さ)1Cyは3mm以上であることが望ましい。外面への前記飛出し長さ1Cxが7mm以下と短くても、スパウトの内面への突き出し長さ1Cyが3mm以上である場合、容易にかつ確実にディスペンサーポンプを固定することができる。一方、前記長さ1Cyがこれより短い場合には、ディスペンサーポンプを固定することは困難である。ディスペンサーポンプの装着は螺合又は嵌合によって可能である。
【実施例0059】
(従来例)
この従来例に係る包装容器2は、
図5~9を参照して「背景技術」の欄で説明した包装容器と同一である。なお、スパウトの外径は31mmとした。また、スパウト2Cの天部側シート2A外面への飛出し長さは12mmである。また、スパウト2Cの天部側シート2A内面への突き出し長さは2mm以下で、実質的に0mmである。
【0060】
図9に示すように、これを所定の梱包箱に箱詰めした。すなわち、2行3列のマトリクス状に包装容器2を配列し、この配列状態の包装容器2を積み重ねて箱詰めした。
【0061】
この結果、
図9(b)に示すように、包装容器2は4段重ねが限界であり、この梱包箱には24個の包装容器2を収容できた。
【0062】
一方、こうして積み重ねて箱詰めした包装容器2を取り出して確認したところ、上の段に積み重ねられた包装容器2の底部側シート2Bには、スパウト2Cの注出筒2C1が押し当てられた痕跡が残っていた。
【0063】
(実施例1)
この実施例1に係る包装容器1は、スパウト1Cの形状を除き、従来の包装容器2と同様である。すなわち、この実施例1に係る包装容器1では、スパウト1Cの天部側シート1A外面への前記飛出し長さ1Cxを2mmとし、注出筒1C1の内外両先端1C10を面取りして、滑らかな曲面とした。また、スパウト1Cの天部側シート1A内面への突き出し長さ1Cyは8mmとした。
【0064】
従来例で使用した梱包箱と同じ梱包箱に、実施例1に係る包装容器1を箱詰めした。箱詰め方法も従来例と同じである。すなわち、2行3列のマトリクス状に包装容器1を配列し、この配列状態の包装容器1を積み重ねて箱詰めした。
【0065】
この結果、
図3(b)に示すように、包装容器1は7段重ねで箱詰めすることができ、この梱包箱には42個の包装容器1を収容できた。
【0066】
また、包装容器1を梱包箱から取り出して確認したところ、どの段に収容された包装容器1にも、その底部側シート1Bに、スパウト1Cの注出筒1C1が押し当てられた痕跡は見当たらなかった。
【0067】
なお、梱包箱から取り出した包装容器1にはディスペンサーポンプを装着して固定することができた。
【0068】
(実施例2)
この実施例2に係る包装容器1では、スパウト1Cの天部側シート1A内面への突き出し長さ1Cyを2mmとした。その他は、実施例1と同様である。
【0069】
従来例で使用した梱包箱と同じ梱包箱に、実施例2に係る包装容器1を箱詰めしたところ、実施例1と同様に、7段重ねで箱詰めすることができ、この梱包箱には42個の包装容器1を収容できた。また、どの包装容器1にも、その底部側シート1Bには、スパウト1Cの注出筒1C1が押し当てられた痕跡は見当たらなかった。
【0070】
一方、ディスペンサーポンプの固定が不十分で密封できない場合が発生した。
【0071】
(比較例)
この比較例に係る包装容器では、スパウトの天部側シート外面への前記飛出し長さを8mmとした。その他は、実施例1と同様である。
【0072】
従来例で使用した梱包箱と同じ梱包箱に、比較例に係る包装容器を箱詰めしたところ、6段重ねで箱詰めすることができ、この梱包箱には36個の包装容器1を収容できた。
【0073】
しかしながら、積み重ねて箱詰めした包装容器を取り出して確認したところ、上の段に積み重ねられた包装容器の底部側シートには、スパウトの注出筒が押し当てられた痕跡が残っていた。