(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044574
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電子レンジ
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
F24C7/02 501G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150182
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】漢 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】中西 佑介
【テーマコード(参考)】
3L086
【Fターム(参考)】
3L086AA01
3L086AA13
3L086BC00
3L086DA19
3L086DA24
(57)【要約】
【課題】扉が閉める際の衝撃を減衰機構により緩和しつつ、減衰機構の小型化をも図る。
【解決手段】レンジ本体10と、レンジ本体10に回転可能に設けられて、レンジ本体10の開口を開閉する扉Dと、レンジ本体10に設けられて、扉Dの開閉状態を検知する検知スイッチSWと、検知スイッチSWと閉塞位置にある扉Dとの間に介在して、閉塞位置に向かう扉Dの自由端部D1から力を受けるとともに、その力を検知スイッチSWに伝達する動力伝達機構20と、動力伝達機構20に設けられて、閉塞位置に向かう扉Dの移動速度を減衰させる減衰機構30とを備えるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジ本体と、
前記レンジ本体に回転可能に設けられて、前記レンジ本体の開口を開閉する扉と、
前記レンジ本体に設けられて、前記扉の開閉状態を検知する検知スイッチと、
前記検知スイッチと閉塞位置にある前記扉との間に介在して、前記閉塞位置に向かう前記扉の自由端部から力を受けるとともに、その力を前記検知スイッチに伝達する動力伝達機構と、
前記動力伝達機構に設けられて、前記閉塞位置に向かう前記扉の移動速度を減衰させる減衰機構とを備えることを特徴とする電子レンジ。
【請求項2】
前記減衰機構が、
前記動力伝達機構により伝達される力を受けて移動する移動体と、
前記移動体を受ける受け部材とを有し、
前記移動体が前記受け部材からの力を受け始めてから、前記扉が前記閉塞位置に到達する前に、前記移動体が前記受け部材から離れる、請求項1記載の電子レンジ。
【請求項3】
前記移動体が、欠歯ギアであり、
前記受け部材が、前記欠歯ギアの回転を減速させる減速ギアであり、
前記減速ギアに前記欠歯ギアが噛み合い始めた後、前記扉が前記閉塞位置に到達する前に、前記欠歯ギアが前記減速ギアから離れる、請求項2記載の電子レンジ。
【請求項4】
前記移動体が、所定方向に進退するとともに、前記所定方向に対して傾斜した第1傾斜面を有しており、
前記受け部材が、前記第1傾斜面が押し当てられる第2傾斜面を有しており、
前記第2傾斜面に前記第1傾斜面が押し当てられ始めた後、前記扉が前記閉塞位置に到達する前に、前記第1傾斜面が前記第2傾斜面から離れる、請求項2記載の電子レンジ。
【請求項5】
前記動力伝達機構が、
前記検知センサを直接又は別部材を介して間接的に押す伝達部材と、
前記移動体が受け部材から離れた後、前記伝達部材の前記検知センサに向かう動きを付勢する付勢部材とを有する、請求項1記載の電子レンジ。
【請求項6】
前記付勢部材が、一端部が前記伝達部材に接続されるとともに、他端部が前記受け部材に接続されたトーションバネである、請求項5記載の電子レンジ。
【請求項7】
前記移動体が前記受け部材からの力を受け始めてから、前記扉が前記閉塞位置に到達する前に、前記トーションバネが、前記伝達部材を前記検知センサに向けて跳ね上げる、請求項6記載の電子レンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子レンジとしては、扉の半開きを防止するべく、閉まりかかっている扉に閉まる方向の力を加える自閉機構を備えたものがある。
【0003】
この自閉機構を備えたものは、ユーザが扉を閉める際に、想定以上の力で扉が閉まってしまい、意図せず大きな音が出てしまうところ、その衝撃を緩和するべく、ダンパ等の減衰機構が設けられていることがある。
【0004】
しかしながら、減衰機構は、電子レンジの内部構造上、レンジ本体において扉を回転可能に支持するヒンジ側にしか設置することができないといった技術常識があり、その結果、減衰力が扉の回転軸の近くに作用するので、必要な減衰力が大きくなり、減衰機構の大型化を招くといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような中で、本願発明者は、減衰機構とは一見すると関係のない、扉の開閉を検知する検知スイッチの配置に着目した。
【0007】
検知スイッチは、安全を確保するうえで、運転中に扉が確実に閉まっていることを検知するために必要なものであり、レンジ本体における扉の自由端部(回転軸とは反対側)に相対する位置に設けられている。
【0008】
そして、本発明は、この検知スイッチの配置に着目してなされたものであり、扉が閉める際の衝撃を減衰機構により緩和しつつ、減衰機構の小型化をも図ることを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る電子レンジは、レンジ本体と、前記レンジ本体に回転可能に設けられて、前記レンジ本体の開口を開閉する扉と、前記レンジ本体に設けられて、前記扉の開閉状態を検知する検知スイッチと、前記検知スイッチと閉塞位置にある前記扉との間に介在して、前記閉塞位置に向かう前記扉の自由端部から力を受けるとともに、その力を前記検知スイッチに伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構に設けられて、前記閉塞位置に向かう前記扉の移動速度を減衰させる減衰機構とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
このように構成された電子レンジによれば、扉の自由端部から力を受ける動力伝達機構に減衰機構を設けているので、減衰機構を扉の自由端部側に配置することができる。
これにより、減衰力を扉の自由端部側に作用させることができるので、扉が閉まる際の衝撃を緩和するために必要な減衰力が小さくて済む。その結果、衝撃を減衰機構により緩和しつつも、減衰機構の小型化を図れる。
【0011】
ところで、このように減衰機構を設ける場合、検知スイッチを確実に押すためには、その分、自閉機構の力を大きくする必要があり、そうすると、扉を開ける際に必要な力が大きくなるという問題が生じる。
そこで、前記減衰機構が、前記動力伝達機構により伝達される力を受けて移動する移動体と、前記移動体を受ける受け部材とを有し、前記移動体が前記受け部材からの力を受け始めてから、前記扉が前記閉塞位置に到達する前に、前記移動体が前記受け部材から離れることが好ましい。
このような構成であれば、扉が閉塞位置に向かう途中で減衰機構の働きがなくなるので、その分、自閉機構の力は小さくて済み、扉を開ける際に必要な力を低減することができる。
そのうえで、扉が閉塞位置に向かう途中までは扉を減速させているので、閉まる際の衝撃は十分に緩和される。
【0012】
より具体的な実施態様としては、前記移動体が、欠歯ギアであり、前記受け部材が、前記欠歯ギアの回転を減速させる減速ギアであり、前記減速ギアに前記欠歯ギアが噛み合い始めた後、前記扉が前記閉塞位置に到達する前に、前記欠歯ギアが前記減速ギアから離れる態様を挙げることができる。
【0013】
また、別の実施態様としては、前記移動体が、所定方向に進退するとともに、前記所定方向に対して傾斜した第1傾斜面を有しており、前記受け部材が、前記第1傾斜面が押し当てられる第2傾斜面を有しており、前記第2傾斜面に前記第1傾斜面が押し当てられ始めた後、前記扉が前記閉塞位置に到達する前に、前記第1傾斜面が前記第2傾斜面から離れる態様を挙げることができる。
【0014】
前記動力伝達機構が、前記検知センサを直接又は別部材を介して間接的に押す伝達部材と、前記移動体が受け部材から離れた後、前記伝達部材の前記検知センサに向かう動きを付勢する付勢部材とを有することが好ましい。
このような構成であれば、移動体が受け部材から離れた後、確実に検知センサを押すことができる。
【0015】
前記付勢部材が、一端部が前記伝達部材に接続されるとともに、他端部が前記受け部材に接続されたトーションバネであることが好ましい。
このような構成であれば、比較的安価で簡単な構成で、伝達部材を検知センサに向けて付勢することができる。
【0016】
より具体的な実施態様としては、前記移動体が前記受け部材からの力を受け始めてから、前記扉が前記閉塞位置に到達する前に、前記トーションバネが、前記伝達部材を前記検知センサに向けて跳ね上げる態様を挙げることができる。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、扉が閉める際の衝撃を減衰機構により緩和しつつ、減衰機構の小型化をも図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態における電子レンジの全体構成を示す模式図。
【
図2】同実施形態における減衰機構の構成及び動作を示す模式図。
【
図3】その他の実施形態における減衰機構の構成及び動作を示す模式図。
【
図4】その他の実施形態における減衰機構の構成及び動作を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る電子レンジの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
<本実施形態の装置構成>
本実施形態に係る電子レンジ100は、
図1に示すように、レンジ本体10と、レンジ本体10の開口を開閉する扉Dと、扉Dの開閉状態を検知する検知スイッチSWと、閉まる扉Dからの力を検知スイッチSWに伝達する動力伝達機構20と、閉まる扉Dの動きを減衰させる減衰機構30とを備えている。
【0021】
また、この電子レンジ100は、
図1に示すように、扉Dの半開きを防止するべく、閉まりかかっている扉Dに閉まる方向の力を加える自閉機構40を備えている。なお、自閉機構40としては、バネなどの弾性部材を利用したものなど、種々の構成を採用して構わない。
【0022】
レンジ本体10は、
図1に示すように、扉Dを回転可能に支持するヒンジHを有している。この実施形態では、レンジ本体10の底辺部にヒンジHが設けられており、扉Dが上下に開閉するように構成されているが、レンジ本体10の側辺部にヒンジHが設けられて、扉Dが左右に開閉するように構成されていても良い。
【0023】
扉Dは、ヒンジHの回転軸周りに回転して閉塞位置と全開位置との間を移動するものであり、その回転軸とは反対側がレンジ本体10に対して大きく動く自由端部D1となる。本実施形態の扉Dは上下に開閉するものであるから、上辺部が自由端部D1であるが、左右に開閉する扉であれば、側辺部が自由端部D1である。
【0024】
検知センサは、
図1に示すように、レンジ本体10の内部に設けられており、扉Dが閉塞位置にあることを検知するものである。この検知センサは、機械式のものであり、センシング部S1(
図2参照)が押されると、そのことを扉Dが閉塞位置に移動したこととして検知する。
【0025】
動力伝達機構20は、
図1及び
図2に示すように、検知スイッチSWと閉塞位置にある扉Dとの間に介在しており、閉塞位置に向かう扉Dから力を受けるとともに、その力を検知スイッチSWに伝達するものである。
【0026】
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、扉Dの自由端部D1におけるレンジ本体10を向く面に、レンジ本体10に向かって突出したフック等の突出部D2が設けられており、この突出部D2を介して、扉Dの自由端部D1から動力伝達機構20に力が与えられるようにしてある。
【0027】
具体的に動力伝達機構20は、
図2に示すように、カム、リンク、又はギアなど、直接又は間接的に検知スイッチSWを押す複数の伝達部材21、22から構成されている。
【0028】
この実施形態の動力伝達機構20は、上述した突出部D2が衝突する第1伝達部材21と、上述した検知スイッチSWのセンシング部S1を押す第2伝達部材22とを少なくとも備えている。なお、本実施形態の第1伝達部材21は、所定軸周りに回転する例えばカム等であり、本実施形態の第2伝達部材22は、所定軸周りに回転可能なレバー等である。
【0029】
減衰機構30は、
図2に示すように、閉塞位置に向かう扉Dの移動速度を減衰させるものであり、具体的には
図2(a)に示すように、扉Dが閉塞位置に向かう途中で、レンジ本体10の開口に対する扉Dの傾きである扉角度θが所定角度(以下、減衰開始角度θ1ともいう)に達すると、その機能を発揮するものである。
【0030】
そして、この減衰機構30は、上述した動力伝達機構20に設けられており、言い換えれば、上述した動力伝達機構20により伝達される力を利用してその機能が発揮されるように構成されている。
【0031】
かかる構成により、減衰機構30は、
図1に示すように、上述した動力伝達機構20とともに、レンジ本体10において閉塞位置にある扉Dの自由端部D1に相対する位置に設けられている。
【0032】
より具体的に説明すると、この減衰機構30は、
図2に示すように、動力伝達機構20により伝達される力を受けて移動する移動体31と、移動体31を受ける受け部材32とを有し、受け部材32が移動体31を受けている状態において、扉Dの移動速度を減衰させるものである。
【0033】
移動体31は、閉塞位置に向かう扉Dとともに移動するものである。本実施形態の移動体31は、上述した第1伝達部材21に取り付けられて、第1伝達部材21とともに移動するものであり、具体的には第1伝達部材21とともに回転する欠歯ギア31である。
【0034】
受け部材32は、移動する移動体31が当接するものであり、その移動体31の移動速度を減速させることで、扉Dの移動速度を減速させるワンウェイダンパである。本実施形態の受け部材32は、移動体31たる欠歯ギア31と噛み合うとともに、欠歯ギア31の回転速度を減速させる減速ギア32であり、具体的には所謂ロータリダンパである。
【0035】
このように移動体31として欠歯ギア31を用いているので、本実施形態の減衰機構30は、
図2に示すように、移動体31が受け部材32からの力を受け始めてから、扉Dが閉塞位置に到達する前に、移動体31が受け部材32から離れるように構成されている。
【0036】
すなわち、この減衰機構30は、
図2に示すように、扉角度θが上述した減衰開始角度θ1に達してから、その後、所定角度(以下、減衰終了角度θ2ともいう)に達するまでの間は、扉Dの移動速度を減速させるように構成されている。つまり、減衰終了角度θ2が、減衰開始角度θ1よりは小さく、扉Dが閉塞位置にある0度よりは大きい角度に設定されている。
【0037】
一方、この減衰機構30は、扉角度θが減衰終了角度θ2に達してから、その後、扉Dが閉塞位置に到達するまでの間は、その機能が解除されるように構成されている。
【0038】
本実施形態の減衰機構の動作をより詳細に説明すると、まず、
図2(a)、(b)に示すように、開放状態にある扉Dが閉塞位置に向かって移動すると、突出部D2が第1伝達部材21を押して、第1伝達部材21とともに欠歯ギア31が回転し始める。
【0039】
そして、欠歯ギア31が減速ギア32に噛み合いながら回転し、その噛み合った状態が減衰終了角度θ2まで維持されるとともに、扉Dの移動速度が減衰する。
【0040】
その後、
図2(b)に示すように、扉角度θが減衰終了角度θ2に達すると、欠歯ギア31が減速ギア32から離れて、減衰機構30による機能が解除される。
【0041】
このように、減衰機構30が解除された後、言い換えれば、移動体31が受け部材32から離れた後、検知センサを確実に押せるようにするべく、本実施形態では、
図2に示すように、上述した動力伝達機構20が、第1伝達部材21の検知センサに向かう動きを付勢する付勢部材23を有している。
【0042】
この付勢部材23は、移動体31が受け部材32から離れた後に、第1伝達部材21の検知センサに向かう動きを付勢するものであり、本実施形態では、第1伝達部材21の回転を付勢するものである。
【0043】
具体的に付勢部材23は、二股形状をなす弾性体であり、一端部23aと他端部23bとのなす角度が第1角度となる第1の折り畳み姿勢X(
図2(c)の姿勢)と、第1の折り畳み姿勢Xから一端部23aと他端部23bとを近づけることにより、一端部23aと他端部23bとのなす角度が第1角度よりも小さい第2角度となり、第1の折り畳み姿勢Xに戻ろうとする弾性力を生じさせる第2の折り畳み姿勢Y(
図2(a)の姿勢)とになるものである。
【0044】
より具体的には、この付勢部材23は、一端部23aが第1伝達部材21に接続されるとともに、他端部23bがケースに接続されたトーションバネである。そして、移動体31が受け部材32に接触している状態においては第2の折り畳み姿勢Yを取り、移動体31が受け部材32から離れると、上述した弾性力によって第2の折り畳み姿勢Yから第1の折り畳み姿勢Xになるように設けられている。
【0045】
つまり、移動体31が受け部材32から切り離されると、トーションバネ23が、第2の折り畳み姿勢Yから第1の折り畳み姿勢Xになるとともに、移動体31が突出部D2を咥え込みながら該突出部D2とともに回転し、扉Dが閉塞位置に到達したタイミングで第1伝達部材21を検知センサに向けて跳ね上げる。
【0046】
ここで、付勢部材23の一端部23aの動きを説明するべく、第1伝達部材21の回転中心と付勢部材23の他端部23bとを結ぶ仮想線Zを考える。また、閉塞位置に向かう扉Dの移動に伴う第1伝達部材21の回転方向に着目し、上述した仮想線Zよりも回転方向正側を下流側と言い、その反対側、つまり仮想線Zよりも回転方向逆側を上流側と言う。
【0047】
この場合、付勢部材23の一端部23aは、
図2(a)に示すように、扉角度θが減衰開始角度θ1に達した時点では、仮想線Zよりも上流側に位置しており、第1部材を上流側に向かって付勢している。
【0048】
その後、付勢部材23の一端部23aは、
図2(b)に示すように、扉角度θが減衰開始角度θ1から小さくなるに連れて、上流側から仮想線Zに向かい、扉角度θが減衰終了角度θ2に達する前に、仮想線Zを超えて下流側に到達する。
【0049】
そして、
図2(c)に示すように、このように付勢部材23の一端部23aが仮想線Zよりも下流側に到達した後、扉角度θが減衰終了角度θ2に達して、付勢部材23が第2の折り畳み姿勢Yから第1の折り畳み姿勢Xに戻る。
【0050】
<本実施形態の作用効果>
このように構成された電子レンジ100によれば、扉Dの自由端部D1から力を受ける動力伝達機構20に減衰機構30を設けているので、減衰機構30を扉Dの自由端部D1側に配置することができる。
これにより、減衰力を扉Dの自由端部D1側に作用させることができるので、扉Dが閉まる際の衝撃を緩和するために必要な減衰力が小さくて済む。その結果、衝撃を減衰機構30により緩和しつつも、減衰機構30の小型化を図れる。
【0051】
また、移動体31が受け部材32からの力を受け始めてから、扉Dが閉塞位置に到達する前に、移動体31が受け部材32から離れて減衰機構30の働きがなくなるので、その分、自閉機構40の力は小さくて済み、扉Dを開ける際に必要な力を低減することができる。
そのうえで、扉Dが閉塞位置に向かう途中までは扉Dを減速させているので、閉まる際の衝撃は十分に緩和される。
【0052】
さらに、動力伝達機構20が、移動体31が受け部材32から離れた後、伝達部材21の検知センサに向かう動きを付勢する付勢部材23を有するので、移動体31が受け部材32から離れた後、確実に検知センサを押すことができる。
【0053】
そのうえ、付勢部材23としてトーションバネを用いているので、比較的安価で簡単な構成で、第1伝達部材21を検知センサに向けて付勢することができる。
【0054】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0055】
例えば、減衰機構30は、移動体31や受け部材32として必ずしもギアを用いる必要はなく、例えば、
図3及び
図4に示すように、移動体31が、所定方向に進退するとともに、所定方向に対して傾斜した第1傾斜面311を有しているものであり、受け部材32が、第1傾斜面311が押し当てられる第2傾斜面321を有しているものであっても良い。なお、この場合の受け部材32は、例えば所謂ワンウェイダンパである。
【0056】
かかる構成において、この減衰機構30は、第2傾斜面321に第1傾斜面311が押し当てられ始めた後、扉Dが閉塞位置に到達する前に、第2傾斜面321から第1傾斜面311が離れるように構成されている。
【0057】
このような構成においても、扉Dが閉塞位置に向かう途中で減衰機構30の働きがなくなるので、その分、自閉機構40の力は小さくて済み、扉Dを開ける際に必要な力を低減することができる。しかも、扉Dが閉塞位置に向かう途中までは扉Dを減速させているので、閉まる際の衝撃は十分に緩和することができる。
【0058】
前記実施形態の動力伝達機構20は、2つの伝達部材21、22であるカムとレバーを備えていたが、1つの伝達部材のみから構成れていても良いし、3つ以上の伝達部材から構成されていても良い。
【0059】
また、前記実施形態では、付勢部材23の他端部23bがケースに接続されていたが、必ずしもケースに接続されている必要はなく、ケースに取り付けられている固定部材や、レンジ本体10に取り付けられている固定部材に接続されていても良い。
【0060】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
100・・・電子レンジ
10 ・・・レンジ本体
D ・・・扉
D1 ・・・自由端部
D2 ・・・突出部
SW ・・・検知スイッチ
20 ・・・動力伝達機構
21 ・・・第1伝達部材
22 ・・・第2伝達部材
23 ・・・付勢部材
X ・・・第1の折り畳み姿勢
Y ・・・第2の折り畳み姿勢
30 ・・・減衰機構
31 ・・・移動体(欠歯ギア)
32 ・・・受け部材(減速ギア)
40 ・・・自閉機構
θ ・・・扉角度
θ1 ・・・減衰開始角度
θ2 ・・・減衰終了角度