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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044582
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】浴室空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/90 20210101AFI20240326BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240326BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20240326BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240326BHJP
   F26B 9/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F24F8/90 100
F24F7/007 B
F24F7/10 101D
F24F7/06 B
F26B9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150198
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】杉本 和也
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
3L113
【Fターム(参考)】
3L056BD07
3L056BF01
3L058BE05
3L058BG03
3L058BG04
3L113AA01
3L113AB01
3L113AC16
3L113AC52
3L113AC67
3L113BA01
3L113CB24
3L113DA30
(57)【要約】
【課題】フィルタから除去した塵埃等のゴミが換気ファンに詰まったり、ゴミの塊が屋外へ排出されたりすることを抑えることができる浴室空調装置を提供する。
【解決手段】浴室2に開口する吸込み口としてスリット24aを有するケース20と、ケース20に接続され、屋外に通じる排気路30と、ケース20内又は排気路30内に設けられ、吸込み口を介して浴室2から空気を吸込むとともに吸込んだ空気を排気路30を介して屋外に排出する換気ファン40と、ケース20内に位置する通常位置と、ケース20から離れて浴室2内に進出する清掃位置との間を移動可能にケース20に設けられ、通常位置にて吸込み口から吸込まれた空気中の塵埃を捕集するフィルタ50と、フィルタ50を通常位置と清掃位置との間で移動させるフィルタ移動手段70と、清掃位置に在るフィルタ50から塵埃を除去するフィルタ清掃手段60とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に開口する吸込み口を有するケースと、
前記ケースに接続され、屋外に通じる排気路と、
前記ケース内又は前記排気路内に設けられ、前記吸込み口を介して前記浴室から空気を吸込むとともに吸込んだ前記空気を前記排気路を介して前記屋外に排出する換気ファンと、
前記ケース内に位置する通常位置と、前記ケースから離れて前記浴室内に進出する清掃位置との間を移動可能に前記ケースに設けられ、前記通常位置にて前記吸込み口から吸込まれた前記空気中の塵埃を捕集するフィルタと、
前記フィルタを前記通常位置と前記清掃位置との間で移動させるフィルタ移動手段と、
前記清掃位置に在る前記フィルタから前記塵埃を除去するフィルタ清掃手段とを備えることを特徴とする浴室空調装置。
【請求項2】
前記フィルタ清掃手段は、前記清掃位置に在る前記フィルタに洗浄液を噴射する洗浄液噴射装置を有する請求項1記載の浴室空調装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記塵埃を捕集する平坦な捕集面を有し、
前記フィルタ移動手段は、前記清掃位置において、前記捕集面を水平に対して傾斜する状態に前記フィルタを保持する請求項2記載の浴室空調装置。
【請求項4】
前記洗浄液噴射装置は、前記洗浄液の噴射量及び噴射圧力のうちの少なくとも一方を調整可能である請求項2又は3記載の浴室空調装置。
【請求項5】
前記洗浄液噴射装置は、前記洗浄液の噴射方向を調整可能である請求項2又は3記載の浴室空調装置。
【請求項6】
前記洗浄液噴射装置は、前記洗浄液の拡散角度を調整可能である請求項2又は3記載の浴室空調装置。
【請求項7】
前記ケースは、前記浴室に開口する吹出し口と、前記吸込み口と前記吹出し口とを接続する循環路とをさらに有し、
前記循環路内に設けられ、前記吸込み口を介して前記浴室から空気を吸込むとともに吸込んだ前記空気を前記吹出し口を介して前記浴室に吹出す循環ファンと、
水又は温水を供給可能な熱源機に接続されるとともに前記循環路内に設けられ、前記熱源機から供給される前記温水との熱交換により前記循環ファンが吸込んだ前記空気を加熱する加熱部とをさらに備え、
前記洗浄液噴射装置は、前記熱源機に接続され、前記熱源機から供給される前記水又は前記温水を前記洗浄液として噴射する請求項2又は3記載の浴室空調装置。
【請求項8】
前記洗浄液噴射装置は、噴射ノズルと、前記熱源機と前記噴射ノズルとを接続する接続路と、前記接続路を開閉可能な開閉弁とを有し、
前記噴射ノズルは、前記清掃位置に在る前記フィルタに前記水又は前記温水を噴射するとともに、前記水又は前記温水のミストを前記浴室内に噴霧可能である請求項7記載の浴室空調装置。
【請求項9】
前記換気ファン、前記フィルタ移動手段及び前記フィルタ清掃手段の作動を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記フィルタが前記通常位置に在る時に前記換気ファンを作動させる換気運転と、前記フィルタが前記清掃位置に在る時に前記フィルタ清掃手段を作動させるフィルタ清掃運転とを実行し、かつ、
前記フィルタ清掃運転の終了後に前記フィルタ移動手段を作動させて前記フィルタが前記通常位置に移動してから前記換気運転を開始する請求項2又は3記載の浴室空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の浴室空調装置の一例が開示されている。この浴室空調装置は、浴室に設けられて浴室内を換気等するものであり、ケースと、排気路と、換気ファンと、フィルタと、フィルタ清掃手段と、制御装置とを備えている。
【0003】
ケースは浴室に開口する吸込み口を有している。排気路は、ケースに接続され、屋外に通じている。換気ファンは、ケース内に設けられ、吸込み口を介して浴室から空気を吸込むとともに、吸込んだ空気を排気路を介して屋外に排出する。フィルタは、ケース内に設けられ、吸込み口から吸込まれた空気中の塵埃を捕集する。フィルタ清掃手段は、フィルタに捕集された塵埃をフィルタから除去する。制御装置は、換気ファン及びフィルタ清掃手段の作動を制御して、換気運転とフィルタ清掃運転とを実行する。
【0004】
換気運転では、換気ファンによって、浴室内の空気が吸込まれるとともに、吸込まれた空気が屋外に排出される。このとき、浴室内から吸込まれた空気中の塵埃がフィルタに捕集される。そして、フィルタ清掃運転では、フィルタに捕集された塵埃がフィルタ清掃手段によってフィルタから除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-082603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の浴室空調装置では、フィルタ清掃運転後に換気運転を行うことにより、フィルタ清掃手段によってフィルタから除去した塵埃等のゴミを、換気ファンを通じて屋外に排出する(特許文献1の段落0006及び段落0007等参照)。このため、上記従来の浴室空調装置では、塵埃等のゴミが換気ファンに詰まるおそれがあり、また、ゴミの塊が屋外に排出されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、フィルタから除去した塵埃等のゴミが換気ファンに詰まったり、ゴミの塊が屋外へ排出されたりすることを抑えることができる浴室空調装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の浴室空調装置は、浴室に開口する吸込み口を有するケースと、
前記ケースに接続され、屋外に通じる排気路と、
前記ケース内又は前記排気路内に設けられ、前記吸込み口を介して前記浴室から空気を吸込むとともに吸込んだ前記空気を前記排気路を介して前記屋外に排出する換気ファンと、
前記ケース内に位置する通常位置と、前記ケースから離れて前記浴室内に進出する清掃位置との間を移動可能に前記ケースに設けられ、前記通常位置にて前記吸込み口から吸込まれた前記空気中の塵埃を捕集するフィルタと、
前記フィルタを前記通常位置と前記清掃位置との間で移動させるフィルタ移動手段と、
前記清掃位置に在る前記フィルタから前記塵埃を除去するフィルタ清掃手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の浴室空調装置では、浴室内を換気する時に、換気ファンにより、吸込み口から浴室の空気が吸込まれるとともに、吸込まれた空気が排気路から屋外に排出される。このとき、通常位置に在るフィルタにより、吸込み口から吸込まれた空気中の塵埃が捕集される。
【0010】
また、この浴室空調装置では、フィルタを清掃する時に、フィルタ清掃手段により、清掃位置に在るフィルタから塵埃が除去される。通常位置から清掃位置へのフィルタの移動は、フィルタ移動手段によりなされる。
【0011】
ここに、清掃位置に在るフィルタは、ケースから離れて浴室内に進出している。このため、フィルタ清掃手段によりフィルタから除去された塵埃は、浴室内に落下し易く、ケース内又は排気路内に設けられた換気ファンには到達し難い。その結果、フィルタから除去された塵埃が換気ファンに吸引されることを抑えることができる。
【0012】
したがって、この浴室空調装置は、フィルタから除去した塵埃等のゴミが換気ファンに詰まったり、ゴミの塊が屋外へ排出されたりすることを抑えることができる。
【0013】
フィルタ清掃手段は、清掃位置に在るフィルタに洗浄液を噴射する洗浄液噴射装置を有することが好ましい。
【0014】
この構成により、洗浄液噴射装置から噴射される洗浄液でフィルタを洗うことにより、フィルタから塵埃を効果的に除去することができる。またフィルタから除去された塵埃は液分を含むので、フィルタより上方には舞い上がり難く、浴室内に落下し易い。このため、フィルタから除去された塵埃を換気ファンが吸引することをより一層抑えることができる。
【0015】
フィルタは、塵埃を捕集する平坦な捕集面を有し得る。そして、フィルタ移動手段は、清掃位置において、捕集面を水平に対して傾斜する状態にフィルタを保持することが好ましい。
【0016】
この構成により、傾斜した捕集面から洗浄液と共に塵埃が洗い流されるので、フィルタから除去された塵埃がより一層浴室内に落下し易い。
【0017】
洗浄液噴射装置は、洗浄液の噴射量及び噴射圧力のうちの少なくとも一方を調整可能であることが好ましい。
【0018】
この構成により、フィルタに堆積した塵埃の堆積量に応じて、フィルタに噴射される洗浄液の噴射量や噴射圧力を調整することができる。このため、フィルタから塵埃をより効率的に除去することができる。
【0019】
洗浄液噴射装置は、洗浄液の噴射方向を調整可能であることが好ましい。
【0020】
この構成により、フィルタに対してより広範囲に洗浄液を噴射することができるため、フィルタを満遍なく清掃することができる。
【0021】
洗浄液噴射装置は、洗浄液の拡散角度を調整可能であることが好ましい。
【0022】
この構成により、フィルタに対してより広範囲に洗浄液を噴射することができるため、フィルタを満遍なく清掃することができる。
【0023】
ケースは、浴室に開口する吹出し口と、吸込み口と吹出し口とを接続する循環路とをさらに有することが好ましい。そして、この浴室空調装置は、循環ファンと、加熱部とをさらに備えることが好ましい。循環ファンは、循環路内に設けられ、吸込み口を介して浴室から空気を吸込むとともに吸込んだ空気を吹出し口を介して浴室に吹出し得る。加熱部は、水又は温水を供給可能な熱源機に接続されるとともに、循環路内に設けられ得る。そして、加熱部は、熱源機から供給される温水との熱交換により循環ファンが吸込んだ空気を加熱し得る。また、洗浄液噴射装置は、熱源機に接続され、熱源機から供給される水又は温水を洗浄液として噴射することが好ましい。
【0024】
この構成により、循環ファンにより、吸込み口から浴室の空気が吸い込まれるとともに、吸込まれた空気が加熱部により加熱されて温風となって吹出し口から浴室に吹出される。このため、浴室内を温風により暖房することができる。また、洗浄液噴射装置は熱源機から供給される水又は温水を洗浄液として噴射することができるので、洗浄液供給源を別途設ける必要がない。
【0025】
洗浄液噴射装置は、噴射ノズルと、熱源機と噴射ノズルとを接続する接続路と、接続路を開閉可能な開閉弁とを有することが好ましい。そして、噴射ノズルは、清掃位置に在るフィルタに水又は温水を噴射するとともに、水又は温水のミストを浴室内に噴霧可能であることが好ましい。
【0026】
この構成により、フィルタから塵埃を除去するための噴射ノズルを用いて、浴室内に水又は温水のミストを噴霧することができる。このため、この浴室空調装置は、ミスト機能を発揮し得る。
【0027】
この浴室空調装置は、換気ファン、フィルタ移動手段及びフィルタ清掃手段の作動を制御する制御装置をさらに備えることが好ましい。この制御装置は、フィルタが通常位置に在る時に換気ファンを作動させる換気運転と、フィルタが清掃位置に在る時にフィルタ清掃手段を作動させるフィルタ清掃運転とを実行することが好ましい。また、この制御装置は、フィルタ清掃運転の終了後にフィルタ移動手段を作動させてフィルタが通常位置に移動してから換気運転を開始することが好ましい。
【0028】
この構成により、フィルタ清掃運転後に、洗浄液で濡れたフィルタを自動的に換気ファンで乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の浴室空調装置によれば、フィルタから除去した塵埃等のゴミが換気ファンに詰まったり、ゴミの塊が屋外へ排出されたりすることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、実施例1の浴室暖房乾燥機の縦断面概略図である。
図2図2は、実施例1の浴室暖房乾燥機のブロック図である。
図3図3は、実施例1の浴室暖房乾燥機に係り、熱源機、洗浄液噴射装置及び熱交換器における水又は温水の流れを説明する説明図である。
図4図4は、実施例1の浴室暖房乾燥機に係り、フィルタが清掃位置に在る状態を示す縦断面概略図である。
図5図5は、実施例1の浴室暖房乾燥機に係り、清掃位置に在るフィルタに噴射される洗浄液の噴射方向を調整する様子を説明する断面図である。
図6図6は、実施例2の浴室暖房乾燥機に係り、清掃位置に在るフィルタに噴射される洗浄液の拡散角度を調整する様子を説明する断面図である。
図7図7は、実施例3の浴室暖房乾燥機に係り、フィルタが清掃位置に在る状態を示す縦断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した実施例1~3を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の浴室暖房乾燥機1は、本発明の浴室空調装置の具体的態様の一例であり、浴室2の天井3に設置されて、浴室2内を空調する。
【0032】
以下、説明の便宜上、浴室暖房乾燥機1において換気ファン40が設けられた側、すなわち図1の紙面右側を浴室暖房乾燥機1の右方と規定し、図1の紙面上側を浴室暖房乾燥機1の上方と規定する。そして、図4以降の各図に示す左右及び上下の各方向は、全て図1に対応させて表示する。なお、図1図4図7の紙面手前側が浴室暖房乾燥機1の前方となり、図1図4図7の紙面奥側が浴室暖房乾燥機1の後方となる。以下の説明において、左右方向、上下方向及び前後方向は、いずれも浴室暖房乾燥機1における左右方向、上下方向及び前後方向をそれぞれ意味する。
【0033】
本実施例では、浴室2の左壁面に沿って矩形状の浴槽(図示せず)が配設されており、浴室2の右壁面側に洗い場(図示せず)が設けられている。また、天井3の取付口3aは、浴槽の上方位置、すなわち天井3における浴室2の左壁面寄りに開口している。ケース20の本体ケース21の右側壁213は、洗い場側(浴室2の右壁面側)に面する。
【0034】
この浴室暖房乾燥機1は、ケース20と、排気路30と、換気ファン40と、フィルタ50と、フィルタ清掃手段60と、フィルタ移動手段70と、循環ファン80と、熱交換器90と、コントローラ100とを備えている。熱交換器90は、本発明の「加熱部」の一例である。コントローラ100は、本発明の「制御装置」の一例である。
【0035】
ケース20は、略矩形箱状の本体ケース21と、本体ケース21の下面を浴室2側から覆う下面カバー22と、本体ケース21の右側に一体的に接続され、本体ケース21よりも小さな略矩形箱状のファンケース23とを有している。
【0036】
本体ケース21は、上壁211と、左側壁212と、右側壁213と、図示しない前壁及び後壁とを有している。本体ケース21は、これら左側壁212、右側壁213及び前後両壁の下端縁で四方が囲まれた略矩形状の開口部21aを下面に有している。また、本体ケース21は、開口部21aを囲む環状のフランジ214を有している。本体ケース21の右側壁213には連通口21bが貫設されている。
【0037】
本体ケース21は、本体ケース21内に配置された第1隔壁215及び第2隔壁216を有している。第1隔壁215は、開口部21aの左右方向の中央よりやや右側の位置から循環ファン80の外周右方へ向かって略鉛直上方に延びている。第2隔壁216は、本体ケース21の右側壁213の下端縁内側から循環ファン80の右方側へ向かって斜め上方に延び、さらに循環ファン80の外周上部に沿って略円弧状に下方湾曲し、熱交換器90の後述する第2ブロック92の上端部に接する位置まで延びている。なお、熱交換器90の後述する第1ブロック91の右端部は、第1隔壁215の上下方向の略中間部に接している。
【0038】
本体ケース21内は、第1隔壁215及び第2隔壁216によって、循環側導風路21cと、換気側導風路21dとに区画されている。循環側導風路21cは、浴室2からの吸込み口である後述する複数のスリット24aから熱交換器90の配設部及び循環ファン80の配設部を介して後述する吹出し口22aに繋がっている。換気側導風路21dは、浴室2からの吸込み口である後述する複数のスリット24aから本体ケース21の右側壁213に貫設された連通口21bに繋がっている。循環側導風路21cは、吸込み口としての複数のスリット24aと吹出し口22aとを接続する本発明の「循環路」の一例である。
【0039】
循環側導風路21cの下流側には、後述する吹出し口22aから第2隔壁216と略平行に斜め上方へ向かって延びる第3隔壁217が設けられている。循環側導風路21cの下流側の領域は、この第3隔壁217によって、浴槽側へ向かって略鉛直下方へ延びる主導風路21eと、洗い場側へ向かって斜め下方(右側壁213の下端側)へ延びる副導風路21fとに区画される。主導風路21eの下流側には、循環ファン80によってその主導風路21eへ送り込まれた空気の吹出方向を浴室2の一方側である浴槽側や他方側である洗い場側へ変更可能なルーバー218が設けられている。
【0040】
下面カバー22は、本体ケース21の開口部21aを覆うように、本体ケース21のフランジ214に対して浴室2側から着脱可能な状態に取り付けられている。下面カバー22は、その周縁が全周に亘って上方へ起立する略矩形平皿状をなしている。
【0041】
下面カバー22には、第1隔壁215の位置から本体ケース21の右側壁213の位置まで開口する前後方向に長い矩形状の吹出し口22aが形成されている。吹出し口22aは、下面カバー12の左右方向の中央より右側(右側壁213側)の略中間部に形成されている。吹出し口22aは浴室2に開口し、吹出し口22aを介して浴室2内と本体ケース21の循環側導風路21c内とが連通している。
【0042】
下面カバー22には、第1隔壁215より少し左方に離れた位置から本体ケース21の左側壁212の位置まで開口する前後方向に長い矩形状の取付開口22bが形成されている。
【0043】
取付開口22bには、取付開口22bを塞ぐようにスリット板24が設けられている。スリット板24には、複数のスリット24aと、噴霧口24bとが形成されている。噴霧口24bは、スリット板24の右端部の近傍に設けられている。
【0044】
複数のスリット24aは、互いに平行に前後方向に延びて左右方向に並んで設けられている。複数のスリット24aは、下面カバー22の左右方向の中央より左側(左側壁212側)の略領域全体に亘って形成されている。複数のスリット24aは、浴室2に開口しており、複数のスリット24aを介して浴室2内と本体ケース21の循環側導風路21c内及び換気側導風路21d内とが連通している。複数のスリット24aは、本発明の「吸込み口」の一例である。
【0045】
ファンケース23は、本体ケース21の右側壁213に図示しないネジにより締結されている。ファンケース23は、左面に連通口23aを有している。本体ケース21内とファンケース23内とは、連通口21b及び連通口23aを介して連通している。また、ファンケース23には、排気路30の一端が接続されている。排気路30の他端は屋外に露出している。
【0046】
換気ファン40は、ファンケース23内に設けられている。換気ファン40は、換気ファンモータ41により回転駆動される。換気ファンモータ41はコントローラ100に電気的に接続されている。また、換気ファンモータ41が駆動されれば、換気ファンモータ41の電流値(又は電力値)がコントローラ100に出力されるようになっている。
【0047】
換気ファン40が回転すると、浴室2内の空気が複数のスリット24aを介して本体ケース21内に吸い込まれる。本体ケース21内に吸い込まれた空気は換気側導風路21dへ導かれ、さらにファンケース23内を通過した後、排気路30を介して屋外へ排出される。
【0048】
天井3には略矩形状の取付口3aが貫設されている。ケース20は、本体ケース21及びファンケース23が浴室2側から取付口3aを介して天井裏4に配置され、本体ケース21のフランジ214が天井3に図示しないネジにより締結されることで、天井3に設置される。
【0049】
熱交換器90は、本体ケース21の循環側導風路21c内において、循環ファン80に対して開口部21a側に配置されている。熱交換器90は、略矩形状の第1ブロック91と、略矩形状の第2ブロック92とを有し、全体として略L字状に設けられている。第1ブロック91は、循環ファン80の下方を覆うように、スリット板24に沿って横置きされている。第2ブロック92は、循環ファン80の左方を覆うように、左側壁212に沿って縦置きされている。
【0050】
熱交換器90の第2ブロック92は、本体ケース21の左側壁212から所定距離だけ離れた位置に在り、第2ブロック92と左側壁212との間を介して、複数のスリット24aから吸込まれた空気の一部が熱交換器90を通過することなく換気側導風路21dに導かれるようになっている。
【0051】
図3に示すように、熱交換器90は、循環流路65により、水又は温水を供給可能な給湯器64に接続されている。給湯器64は、本発明の「熱源機」の一例である。本実施例では、給湯器64は屋外に設置されている。
【0052】
循環流路65は、往き管651と、戻り管652とを有している。往き管651における熱交換器90との接続部の近傍には、図示しないサーミスタが設けられている。サーミスタは、熱交換器90に供給される温水の温度を検出する。戻り管652における熱交換器90との接続部の近傍には、図示しない流量調整弁が設けられている。流量調整弁は、循環流路65を流れる水又は温水の流量を調整する。給湯器64、サーミスタ及び流量制御弁はコートローラ100に電気的に接続されている。
【0053】
循環ファン80は、本体ケース21内において循環側導風路21cの途中に設けられている。循環ファン80は、クロスフローファンであり、その回転軸心が本体ケース21の前後両壁へ向かって水平に延び、かつ右側壁213と略平行になるよう配設されている。循環ファン80は、循環ファンモータ81により回転駆動される。循環ファンモータ81はコントローラ100に電気的に接続されている。また、循環ファンモータ81が駆動されれば、循環ファンモータ81の電流値(又は電力値)がコントローラ100に出力されるようになっている。
【0054】
コントローラ100の制御により、循環ファン80が回転すると、浴室2内の空気が複数のスリット24aを介して本体ケース21内に吸い込まれて循環側導風路21cに導かれる。循環側導風路21cに導かれた空気は熱交換器90及び循環ファン80を順に通過後、吹出し口22aを介して浴室2内に吹出される。このとき、コントローラ100の制御により、循環ファン80が回転駆動されるとともに、給湯器64から所定の温度の温水が熱交換器90に供給されれば、熱交換器90において、複数のスリット24aを介して浴室2から吸込まれた空気が温水との熱交換により加熱される。熱交換器90にて温水で加熱された空気は温風となって循環ファン80を通過後、吹出し口22を介して浴室2に吹出される。
【0055】
スリット板24の上面には、フィルタ50が着脱可能に取り付けられている。フィルタ50は、複数のスリット24aの全体を覆っている。フィルタ50は、吸込み口である複数のスリット24aから吸込まれた空気中の塵埃を捕集する。フィルタ50は、表裏の両面が平坦であり、スリット板24の上面に取り付けられた状態で、上を向く本体ケース21側の第1面51と、下を向く浴室2側の第2面52とが互いに平行に対向している。第2面52は、本発明の「捕集面」の一例である。
【0056】
スリット板24の左端部はヒンジ241を介して下面カバー22に取り付けられている。これにより、スリット板24は、スリット板24の左端部を基端とするとともにスリット板24の右端部を自由端として上下方向に揺動可能とされている。
【0057】
図4に示すように、スリット板24の右端部における前後両端部には前後一対のワイヤ71の一端が固定されている。各ワイヤ71の他端は、巻取スプール72に接続されている。図2に示すように、各巻取スプール72は、ワイヤ巻取モータ73により同期的に回転駆動される。ワイヤ巻取モータ73はステッピングモータよりなり、一定の角度ずつ正回転及び逆回転が可能である。各ワイヤ巻取モータ73は、コントローラ100に電気的に接続されている。各巻取スプール72及び各ワイヤ巻取モータ73は、本体ケース21の図示しない前後両壁に設けられた支持台に支持されている。
【0058】
この浴室暖房乾燥機1では、各ワイヤ71、各巻取スプール72及び各ワイヤ巻取モータ73により、フィルタ移動手段70が構成されている。フィルタ移動手段70は、以下に示すように、フィルタ50を通常位置と清掃位置との間で移動させる。
【0059】
各ワイヤ巻取モータ73は、コントローラ100により、所定角度の正逆回転及び停止の制御が行われる。各ワイヤ巻取モータ73が所定角度だけ正回転することで各巻取スプール72が各ワイヤ71を所定量巻き出し(繰り出し)、各ワイヤ巻取モータ73が所定角度だけ逆回転することで各巻取スプール72が各ワイヤ71を所定量巻き取る(巻き戻す)。
【0060】
各ワイヤ71が巻き出された分だけ巻き取られた巻き取り状態の位置で、各ワイヤ巻取モータ73が停止する。これにより、スリット板24は、下面カバー22の取付開口22bを塞ぐ閉塞位置で保持される。スリット板24が閉塞位置に保持された状態では、スリット板24の上面に取り付けられたフィルタ50が通常位置に在る。通常位置に在るフィルタ50は、本体ケース21内に位置している。
【0061】
同様に、各ワイヤ71が所定量巻き出された巻き出し状態の位置で、各ワイヤ巻取モータ73が停止する。これにより、スリット板24の揺動自由端である右端部が斜め下方に所定量揺動した揺動位置でスリット板24が保持される。このスリット板24が揺動位置に保持された状態では、スリット板24の上面に取り付けられたフィルタ50が清掃位置に在る。清掃位置に在るフィルタ50は、本体ケース21から離れて浴室2内に進出している。また、清掃位置に在るフィルタ50は、捕集面である第2面52が水平に対して所定量傾斜している。
【0062】
フィルタ清掃手段60は、清掃位置に在るフィルタ50から、フィルタ50が捕集した塵埃を除去する。フィルタ清掃手段60は、清掃位置に在るフィルタ50に洗浄液を噴射する洗浄液噴射装置61を有している。本実施例では、洗浄液として水又は温水を採用する。
【0063】
図2及び図3に示すように、洗浄液噴射装置61は、噴射ノズル62と、噴射ノズル62からの洗浄液の噴射等を種々制御する噴射制御部63とを有している。本体ケース21の図示しない後壁に設けられた支持台に、フィルタ清掃手段60を構成する洗浄液噴射装置61の噴射ノズル62が保持されている。
【0064】
洗浄液噴射装置61は、給湯器64と熱交換器90とを接続する循環流路65の往き管651から分岐する分岐管653に接続されている。往き管651と分岐管653との接続部には開閉弁66が設けられている。往き管651における給湯器64から開閉弁66までの部分と、分岐管653とにより、給湯器64と噴射ノズル62とを接続する接続管路67が構成されている。接続管路67は、本発明の「接続路」の一例である。
【0065】
開閉弁66は、コントローラ100に電気的に接続されている。コントローラ100の制御により、開閉弁66は接続管路67を開閉制御する。開閉弁66により接続管路67が閉状態とされれば、給湯器64からの水又は温水は分岐管653には流れず、噴射ノズル62には給湯器64からの水又は温水が供給されない。このとき、給湯器64からの水又は温水は往き管651を介して熱交換器90のみに供給される。一方、開閉弁66により接続管路67が開状態とされれば、給湯器64からの水又は温水が分岐管653のみに流れ、噴射ノズル62に給湯器64からの水又は温水が供給される。このとき、給湯器64からの水又は温水は熱交換器90には供給されない。
【0066】
噴射ノズル62は、清掃位置に在るフィルタ50に給湯器64からの水又は温水を噴射する。また、噴射ノズル62は、給湯器64からの水又は温水のミストを浴室2内に噴霧する。噴射ノズル62からの水又は温水のミストは、噴霧口24bを介して浴室2内に噴霧される。
【0067】
噴射ノズル62は、水又は温水を噴射可能な図示しない噴射先端部と、水又は温水のミストを噴霧可能な図示しない噴霧先端部とを有している。噴射先端部は、噴射ノズル62から噴射された洗浄液が、清掃位置に在るフィルタ50に対して、フィルタ50の前後方向の全体に到達し得るように複数の噴出孔を有している。噴霧先端部は、噴射ノズル62から噴霧されたミストが、噴霧口24bを介して浴室2内の略全体に広がるように、噴霧角度が大きな噴霧孔を有している。
【0068】
図2に示すように、噴射制御部63は、水量サーボ弁631と、比例弁632と、噴射調整部633とを有している。
【0069】
水量サーボ弁631は、噴射ノズル62から噴射される洗浄液の噴射量を調整する。比例弁632は、噴射ノズル62から噴射される洗浄液の噴射圧力を調整する。噴射調整部633は、噴射ノズル62から噴射される洗浄液の噴射方向を調整する。噴射調整部633は、清掃位置に在るフィルタ50に対する、噴射ノズル62からの洗浄液の噴射方向を調整する。
【0070】
また、噴射制御部63は、噴射ノズル62の先端部を噴射先端部と噴霧先端部とに切替制御する。噴射制御部63は、コントローラ100に電気的に接続されている。
【0071】
図2に示すように、コントローラ100は、換気ファンモータ41、循環ファンモータ81、ワイヤ巻取モータ73、噴射ノズル62、噴射制御部63、給湯器64及び開閉弁66の作動を制御する。コントローラ100は、図示しないリモコン等の使用者による操作に応じて、予め記憶されたプログラムに従って制御を行う。
【0072】
コントローラ100は、その機能として、浴室2の暖房運転を実行する暖房制御部101と、浴室2の乾燥運転を実行する乾燥制御部102と、浴室2の換気運転を実行する換気制御部103と、浴室2のミスト運転を実行するミスト制御部104と、フィルタ50の清掃の要否を判定する判定制御部105と、フィルタ移動手段70を作動させてフィルタ移動運転を実行するフィルタ移動制御部106と、フィルタ清掃手段60を作動させてフィルタ清掃運転を実行するフィルタ清掃制御部107とを備えている。
【0073】
この浴室暖房乾燥機1は、コントローラ100の各制御部の制御により、暖房運転、乾燥運転、換気運転、ミスト運転、フィルタ移動運転及びフィルタ清掃運転を行う。
【0074】
この浴室暖房乾燥機1では、暖房運転、乾燥運転、換気運転及びミスト運転は、スリット板24が下面カバー22の取付開口22bを塞ぐ閉塞位置で保持されてフィルタ50が通常位置に在る時に行われる。
【0075】
<暖房運転>
暖房運転では、暖房制御部101が、給湯器64を給湯運転モードで作動させるとともに、開閉弁66により接続管路67を閉状態とする。また、暖房制御部101が、循環ファンモータ81により循環ファン80を作動させる。
【0076】
これにより、給湯器64から循環流路65の往き管651を介して熱交換器90に所定温度の温水が供給される。また、循環ファン80の作動により、吸込み口としてのスリット24aから浴室2内の空気が本体ケース21内に吸い込まれる。本体ケース21内に吸い込まれた空気は、循環側導風路21cに導かれ、熱交換器90にて温水との熱交換により加熱され、温風となって吹出し口22aから浴室2に吹出される。こうして、浴室2の暖房が行なわれる。
【0077】
<乾燥運転>
乾燥運転では、暖房運転の制御と同様の制御に加え、乾燥制御部102が、換気ファンモータ41により換気ファン40を作動させる。
【0078】
これにより、浴室2内の水分を含んだ空気がスリット24aから本体ケース21内に吸い込まれる。本体ケース21内に吸い込まれた空気は、一部が循環側導風路21cに導かれ、残部が換気側導風路21dに導かれる。循環側導風路21cに導かれた空気は熱交換器90にて温水との熱交換により加熱され、温風となって吹出し口22aから浴室2に吹出される。換気側導風路21dに導かれた空気は、ファンケース23内を通過後、排気路30から屋外に排出される。こうして、浴室2の乾燥が行われる。
【0079】
<換気運転>
単独で行われる換気運転では、換気制御部103が、換気ファンモータ41により換気ファン40を作動させる。
【0080】
これにより、浴室2内の空気がスリット24aから本体ケース21内に吸い込まれる。本体ケース21内に吸い込まれた空気は、換気側導風路21dに導かれ、ファンケース23内を通過後、排気路30から屋外に排出される。こうして、浴室2の換気が行なわれる。
【0081】
暖房運転と同時に行われる換気運転では、暖房運転の制御と同様の制御に加え、換気制御部103が、換気ファンモータ41により換気ファン40を作動させる。これにより、浴室2の暖房が行なわれるとともに、浴室2の換気が行なわれる。
【0082】
乾燥運転と同時に行われる換気運転では、乾燥運転と同様の制御に加え、換気制御部103が、換気ファンモータ41により換気ファン40を作動させる。これにより、浴室2の乾燥が行なわれるとともに、浴室2の換気が行なわれる。
【0083】
<ミスト運転>
ミスト運転では、ミスト制御部104が、開閉弁66により接続管路67を開状態とする。噴射ノズル62から温水のミストを噴霧する場合は、ミスト制御部104が、給湯運転モードで給湯器64を作動させる。一方、噴射ノズル62から水のミストを噴霧する場合は、ミスト制御部104が、給水運転モードで給湯器64を作動させる。また、ミスト制御部104が、洗浄液噴射装置61を所定の制御で作動させる。すなわち、噴射制御部63が噴射ノズル62の先端部を噴霧先端部に切り替える。
【0084】
これにより、給湯器64から接続管路67を介して噴射ノズル62に所定温度の温水又は水が供給される。噴射ノズル62に供給された温水又は水は、噴霧先端部で温水又は水のミストとなって噴霧口24bを介して浴室2内に噴霧される。
【0085】
<フィルタ清掃の要否判定>
この浴室暖房乾燥機1では、暖房運転、乾燥運転及び換気運転が行われる際、吸込み口であるスリット24aを介して浴室2内の空気が本体ケース21内に吸い込まれる。この際、通常位置に在るフィルタ50により空気中の塵埃が捕集される。フィルタ50に堆積した塵埃の堆積量が多くなると、フィルタ50の目詰まりによりフィルタ50における通気抵抗が増大する。すると、スリット24aを介して浴室2から吸込まれる空気の量が減少する。その結果、換気ファン40を駆動するための換気ファンモータ41又は循環ファン80を駆動するための循環ファンモータ81の負荷が低下し、これらモータの電流値(又は電力値)が低下する。
【0086】
この浴室暖房乾燥機1では、換気ファンモータ41の電流値(又は電力値)及び循環ファンモータ81の電流値(又は電力値)がコントローラ100に出力される。以下、換気ファンモータ41の電流値(又は電力値)及び循環ファンモータ81の電流値(又は電力値)のことをファンモータ出力値と称する。コントローラ100では、判定制御部105がこれらのファンモータ出力値に応じてフィルタ50の清掃の要否を判定する。すなわち、判定制御部105は、ファンモータ出力値が所定の閾値以下になれば、フィルタ50への塵埃の堆積量が所定量以上になったと判断して、フィルタ50の清掃が必要と判定する。
【0087】
<フィルタ移動運転>
フィルタ移動運転では、判定制御部105によりフィルタ50の清掃が必要と判定されれば、フィルタ移動制御部106が、ワイヤ巻取モータ73により巻取スプール72を巻出し方向に作動させる。
【0088】
これにより、ワイヤ巻取モータ73の所定角度の正回転によりワイヤ71が所定量だけ巻き出される。その結果、図4に示すように、スリット板24は、揺動自由端である右端部が斜め下方に所定量揺動した揺動位置で保持される。そして、スリット板24上に設けられたフィルタ50は、水平に対して所定量傾斜するように本体ケース21から離れて浴室2内に進出した清掃位置に移動される。
【0089】
<フィルタ清掃運転>
フィルタ清掃運転では、フィルタ移動制御部106の制御によるフィルタ50の清掃位置への移動が完了すれば、フィルタ清掃制御部107が、洗浄液噴射装置61を所定の制御で作動させる。
【0090】
すなわち、噴射制御部63が噴射ノズル62の先端部を噴射先端部に切り替えるとともに、フィルタ清掃制御部107が、開閉弁66により接続管路67を開状態とする。そして、噴射ノズル62から温水を噴射する場合は、フィルタ清掃制御部107が、給湯運転モードで給湯器64を作動させる。一方、噴射ノズル62から水を噴射する場合は、フィルタ清掃制御部107が、給水運転モードで給湯器64を作動させる。
【0091】
これにより、給湯器64から接続管路67を介して噴射ノズル62に所定温度の温水又は水が供給される。噴射ノズル62に供給された温水又は水は、噴射先端部から清掃位置に在るフィルタ50に向けて噴射される。その結果、フィルタ50の捕集面である第2面52に付着、堆積した塵埃が洗い流される。清掃位置に在るフィルタ50は水平に対して傾斜しているため、傾斜した第2面52から温水又は水と共に塵埃が洗い流される。
【0092】
このフィルタ清掃運転では、噴射制御部63が、ファンモータ出力に応じてフィルタ50に堆積した塵埃の堆積量を判断し、それに応じてフィルタ50に噴射される温水又は水の噴射量や噴射圧力を決定する。そして、水量サーボ弁631を制御して、噴射ノズル62からフィルタ50に噴射される温水又は水の噴射量を調整する。また、比例弁632を制御して、噴射ノズル62からフィルタ50に噴射される温水又は水の噴射圧力を調整する。これにより、フィルタ50に堆積した塵埃の堆積量に応じた適切な噴射量又は噴射圧力にて、フィルタ50に温水又は水を噴射することができる。
【0093】
また、フィルタ清掃運転では、噴射制御部63が、噴射調整部633を制御して、清掃位置に在るフィルタ50に対する噴射ノズル62からの温水又は水の噴射方向を調整する。これにより、図5に示すように、清掃位置に在るフィルタ50に対して、噴射ノズル62からの温水又は水をフィルタ50の右端から左端まで満遍なく噴射することができる。
【0094】
フィルタ清掃運転は、タイマ制御により終了する。なお、ユーザによるリモコン等の操作によって、フィルタ清掃運転モードを終了させてもよい。
【0095】
<フィルタ清掃運転モード終了後の換気運転モード>
コントローラ100は、フィルタ清掃運転の終了後にフィルタ移動手段70を作動させる。すなわち、フィルタ移動制御部106が、ワイヤ巻取モータ73により巻取スプール72を巻取方向に作動させる。
【0096】
これにより、ワイヤ巻取モータ73の逆回転によりワイヤ71が巻き取られる。その結果、図1に示すように、スリット板24は、揺動自由端である右端部が斜め上方に向かって揺動して、下面カバー22の取付開口22bを塞ぐ閉塞位置で保持される。スリット板24の上面に取り付けられたフィルタ50は、本体ケース21内の通常位置に戻る。
【0097】
コントローラ100は、フィルタ50が通常位置に移動してから換気運転を開始する。これにより、フィルタ清掃運転により温水又は水で濡れたフィルタ50を自動的に換気ファン40で乾燥させることができる。
【0098】
<作用効果>
この浴室暖房乾燥機1では、暖房運転時、乾燥運転時及び換気運転時に、循環ファン80及び/又は換気ファン40により、吸込み口としてのスリット24aから浴室2の空気が本体ケース21内に吸込まれる。このとき、本体ケース21内の通常位置に在るフィルタ50により、スリット24aから吸込まれた空気中の塵埃が捕集される。
【0099】
そして、フィルタ50に捕集された塵埃の堆積量が所定量以上になると、判定制御部105がフィルタ50の清掃が必要と判定する。この判定を受けたフィルタ移動制御部106が、巻取スプール72を巻出し方向に作動させて、フィルタ50を清掃位置に移動させる。
【0100】
フィルタ50の清掃位置への移動後、フィルタ清掃制御部107が、洗浄液噴射装置61を所定の制御で作動させて、噴射ノズル62から清掃位置に在るフィルタ50に向けて温水又は水を噴射する。これにより、フィルタ50に堆積した塵埃を洗い流すことができる。
【0101】
ここに、清掃位置に在るフィルタ50は、本体ケース21から離れて浴室2内に進出している。このため、フィルタ50から洗い流された塵埃は、浴室2内に落下し易く、ケース2のファンケース23内に設けられた換気ファン40には到達し難い。その結果、フィルタ50から除去された塵埃が換気ファン40に吸引されることを抑えることができる。
【0102】
したがって、この浴室暖房乾燥機1は、フィルタ50から除去した塵埃等のゴミが換気ファン40に詰まったり、ゴミの塊が屋外へ排出されたりすることを抑えることができる。
【0103】
また、この浴室暖房乾燥機1では、洗浄液噴射装置61の噴射ノズル62から噴射される温水又は水でフィルタ50を洗う。このため、フィルタ50から塵埃を効果的に除去することができる。そして、フィルタ50から洗い流された塵埃は水分を含むので、清掃位置に在るフィルタ50より上方には舞い上がり難く、浴室2内に落下し易い。このため、フィルタ50から除去された塵埃を換気ファン40が吸引することをより一層抑えることができる。
【0104】
さらに、清掃位置に在るフィルタ50が水平に対して傾斜する状態で保持されており、捕集面としての第2面52が傾斜している。このため、傾斜した第2面52から温水又は水と共に塵埃が洗い流されるので、フィルタ50から除去された塵埃がより一層浴室2内に落下し易い。
【0105】
また、噴射制御部63における水量サーボ弁631が噴射ノズル62から噴射される温水又は水の噴射量を調整するとともに、噴射制御部63における比例弁632が噴射ノズル62から噴射される温水又は水の噴射圧力を調整する。この構成により、フィルタ50に堆積した塵埃の堆積量に応じて、フィルタ50に噴射する温水又は水の噴射量や噴射圧力を調整することができる。このため、フィルタ50から塵埃をより効率的に除去することができる。
【0106】
さらに、噴射制御部63における噴射調整部633が噴射ノズル62から噴射される温水又は水の噴射方向を調整する。この構成により、噴射ノズル62から噴射される温水又は水は、清掃位置に在るフィルタ50に対して、フィルタ50の右端から左端まで満遍なく噴射することができる。このため、フィルタ50を満遍なく清掃することができる。
【0107】
また、この浴室暖房乾燥機1では、浴室2を暖房するための熱交換器90に温水を供給する給湯器64と、噴射ノズル62とを接続管路67で接続し、この接続管路67を介して給湯機64から噴射ノズル62に洗浄液としての温水又は水を供給している。このため、洗浄液の供給源を別途設ける必要がない。
【0108】
さらに、この噴射ノズル62は、給湯器64からの温水又は水のミストを浴室2内に噴霧することができる。このため、この浴室暖房乾燥機1は、ミストノズルを別途設けることなく、ミスト機能を発揮し得る。
【0109】
また、この浴室暖房乾燥機1は、コントローラ100の制御により、温水又は水でフィルタ50を洗浄するフィルタ清掃運転の終了後に換気運転を実行する。このため、温水又は水で濡れたフィルタ50を自動的に換気ファン40で乾燥させることができる。
【0110】
(実施例2)
図6に示す浴室暖房乾燥機10は、噴射制御部63における噴射調整部633が噴射ノズル62から噴射される温水又は水の拡散角度を調整する。
【0111】
この構成により、清掃位置に在るフィルタ50に対して、噴射ノズル62からの温水又は水をより広範囲に噴射することができる。このため、フィルタ50を満遍なく清掃することができる。
【0112】
その他の構成及び作用効果は、実施例1の浴室暖房乾燥機1と同様である。
【0113】
(実施例3)
図7に示す浴室暖房乾燥機11では、スリット板24の右端部には、実施例1の浴室暖房乾燥機1におけるスリット板24と同様、前後一対のワイヤ71の一端が固定されており、各ワイヤ71の他端は巻取スプール72に接続されている。前後一対の巻取スプール72は、ワイヤ巻取モータ73により同期的に回転駆動される。各ワイヤ巻取モータ73はステッピングモータよりなり、一定の角度ずつ正回転及び逆回転が可能である。各ワイヤ巻取モータ73は、コントローラ100に電気的に接続されている。
【0114】
この浴室暖房乾燥機11のスリット板24は、スリット板24の左端部にも、右端部と同様、前後一対のワイヤ71の一端が固定されており、各ワイヤ71の他端は巻取スプール72に接続されている。前後一対の巻取スプール72は、ワイヤ巻取モータ73により同期的に回転駆動される。ワイヤ巻取モータ73はステッピングモータよりなり、一定の角度ずつ正回転及び逆回転が可能である。各ワイヤ巻取モータ73は、コントローラ100に電気的に接続されている。
【0115】
スリット板24が下面カバー22の取付開口22bを塞ぐ閉塞位置に保持され、フィルタ50が通常位置に在る時、スリット板24の右端部に固定された各ワイヤ71及びスリット板24の左端部に固定された各ワイヤ71がいずれも巻き取られた巻き取り状態にある。
【0116】
フィルタ50を通常位置から清掃位置に移動させるには、スリット板24の右端部において前後一対のワイヤ71を所定の巻き出し量だけ巻き出すとともに、スリット板24の左端部において前後一対のワイヤ71を所定の巻き出し量だけ巻き出す。このとき、スリット板24の右端部における巻き出し量に対して、スリット板24の左端部における巻き出し量を少なくする。
【0117】
これにより、スリット板24は、閉塞位置から浴室2内に進出した進出位置に在り、かつ、右端部が左端部よりも下がった傾斜状態に保持される。そして、スリット板24の上面に取り付けられたフィルタ50は、本体ケース21内から浴室2内に進出した清掃位置に在り、かつ水平に対して傾斜した状態で保持される。
【0118】
その他の構成及び作用効果は、実施例1の浴室暖房乾燥機1と同様である。
【0119】
以上において、本発明を実施例1~3に即して説明したが、本発明は上記実施例1~3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0120】
実施例1~3では、換気ファン40がケース20のファンケース23内に設けられるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、換気ファン40は排気路30内に設けてもよい。
【0121】
実施例1~3では、フィルタ清掃手段60が洗浄液噴射装置61を備えるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、ブラシ等でフィルタ50の捕集面を擦ったり、フィルタ50の捕集面に対して微振動や小さな打撃を繰り返し付与したり、あるいは捕集面に風を当てたりして、フィルタ50の捕集面から塵埃を除去してもよい。
【0122】
実施例1~3では、洗浄液噴射装置61における洗浄液の供給源として、熱交換器90に温水を供給する給湯器64を利用するが、給湯器64とは別の給水源を利用してもよい。
【0123】
実施例1~3では、判定制御部105がファンモータ出力値に応じてフィルタ50の清掃の要否を判定するが、本発明のこの構成に限定されない。例えば、判定制御部105が、圧力センサ等によりフィルタ50の目詰まり度合いを判断してフィルタ50の清掃の要否を判定してもよい。
【0124】
実施例1~3では、制御装置としてのコントローラ100の制御により、フィルタ50の清掃の要否を判定するとともに、その判定結果に基づいてフィルタ移動手段70及びフィルタ清掃手段60を作動させるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、必要に応じて、リモコン等の使用者による操作により、フィルタ移動手段70及びフィルタ清掃手段60を作動させてもよい。
【0125】
実施例1~3では、本発明の浴室空調装置を天井埋め込み式に適用するが、本発明の浴室空調装置は壁掛け式に適用してもよい。
【0126】
実施例1~3では、本発明の浴室空調装置をミスト機能を有する浴室暖房乾燥機に適用するが、本発明の浴室空調装置は、ミスト機能を有さない浴室暖房乾燥機や、暖房機能を有さない浴室換気装置にも適用することができる。
【0127】
実施例1~3では、給湯器64と熱交換器90とを接続する循環流路65の往き管651と分岐管653との接続部に開閉弁66を設けているが、開閉弁66の代わりに分配弁を用いて給湯器64からの水又は温水が分岐管653及び熱交換器90の両方に供給されるようにしてもよい。
【0128】
実施例1~3では、ワイヤ71を利用してフィルタ50を移動させているが、フィルタ移動手段70としては、上下にスライド可能なレール等、他の態様を採用し得る。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は例えば、住宅や施設等に設置される浴室空調システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0130】
1、10、11…浴室暖房乾燥機(浴室空調装置)
2…浴室
20…ケース
21c…循環側導風路(循環路)
22a…吹出し口
24a…スリット(吸込み口)
30…排気路
40…換気ファン
50…フィルタ
52…第2面(捕集面)
60…フィルタ清掃手段
61…洗浄液噴射装置
62…噴射ノズル
64…給湯器(熱源機)
66…開閉弁
67…接続管路(接続路)
70…フィルタ移動手段
80…循環ファン
90…熱交換器(加熱部)
100…コントローラ(制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7