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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044600
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】回答支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20240326BHJP
【FI】
G06F16/90 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150225
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】後田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】望月 康博
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 真理
(72)【発明者】
【氏名】横田 貴之
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175EA01
5B175HB03
(57)【要約】
【課題】過去の照会からの時間の経過を踏まえて適切な回答を行うことを支援する回答支援装置を提供する。
【解決手段】
回答支援装置1は、過去の照会に対する回答の根拠を記憶する照会DB11A及び当該根拠の改訂履歴を記憶する根拠DB11Bと、照会者から照会を受け付けた場合、当該照会と類似する過去の照会に対する回答の根拠の改訂の有無を、前記改訂履歴に基づいて判定する判定部と、改訂ありと判定された場合に、当該改訂に関する根拠改訂情報を回答者に対して出力する改訂出力部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の照会に対する回答の根拠、及び当該根拠の改訂履歴を記憶する記憶部と、
照会者から照会を受け付けた場合、当該照会と類似する過去の照会に対する回答の根拠の改訂の有無を、前記改訂履歴に基づいて判定する判定部と、
改訂ありと判定された場合に、当該改訂に関する根拠改訂情報を回答者に対して出力する改訂出力部と
を備える、
回答支援装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記類似する過去の照会に対する回答の後に当該回答の根拠の改訂があったか否かを判定する、
請求項1に記載の回答支援装置。
【請求項3】
前記記憶部は、過去の照会に対する回答をさらに記憶し、
前記改訂出力部は、前記根拠改訂情報に加えて、前記類似する過去の照会に対する回答を前記回答者に対して出力する、
請求項1又は2に記載の回答支援装置。
【請求項4】
前記回答者から取得した回答案と類似する過去の回答、及び当該回答の根拠を前記回答者に対して出力する参考回答出力部
をさらに備える、
請求項3に記載の回答支援装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記類似する過去の回答の根拠の改訂の有無を判定し、
前記参考回答出力部は、改訂ありと判定された場合に、当該改訂に関する根拠改訂情報をさらに前記回答者に対して出力する、
請求項4に記載の回答支援装置。
【請求項6】
前記外部から受け付けた照会の照会者の属性を前記回答者に対して出力する属性出力部をさらに備える、
請求項1又は2に記載の回答支援装置。
【請求項7】
回答の根拠の改訂予定を出力する改訂予定出力部
をさらに備える、
請求項1又は2に記載の回答支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照会者からの各種照会に対して回答者が回答する場合の支援を行う回答支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、質問データと参照用データ群との類似度に基づいて第1参照用データを選択し、その第1参照用データに基づいて第1回答文字列を選択する回答支援装置が開示されている。このようにデータ毎の類似度を用いることによって、質問の内容に適した回答を探索することができるため、質問に対して精度の高い回答を得ることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6190984号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の回答支援装置の場合、探索された回答は過去の質問の内容に適したものではあるものの、現時点で同様の質問がなされた場合にもその回答が適切な内容になっているかは不明である。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、過去の照会からの時間の経過を踏まえて適切な回答を行うことを支援する回答支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様の回答支援装置は、過去の照会に対する回答の根拠、及び当該根拠の改訂履歴を記憶する記憶部と、照会者から照会を受け付けた場合、当該照会と類似する過去の照会に対する回答の根拠の改訂の有無を、前記改訂履歴に基づいて判定する判定部と、改訂ありと判定された場合に、当該改訂に関する根拠改訂情報を回答者に対して出力する改訂出力部とを備える。
【0007】
前記態様において、前記判定部は、前記類似する過去の照会に対する回答の後に当該回答の根拠の改訂があったか否かを判定してもよい。
【0008】
また、前記態様において、前記記憶部は、過去の照会に対する回答をさらに記憶し、前記改訂出力部は、前記根拠改訂情報に加えて、前記類似する過去の照会に対する回答を前記回答者に対して出力してもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記回答者から取得した回答案と類似する過去の回答、及び当該回答の根拠を前記回答者に対して出力する参考回答出力部をさらに備えてもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記判定部は、前記類似する過去の回答の根拠の改訂の有無を判定し、前記参考回答出力部は、改訂ありと判定された場合に、当該改訂に関する根拠改訂情報をさらに前記回答者に対して出力してもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記外部から受け付けた照会の照会者の属性を前記回答者に対して出力する属性出力部をさらに備えてもよい。
【0012】
また、前記態様において、回答の根拠の改訂予定を出力する改訂予定出力部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各種の照会に対して適切な内容の回答を容易に作成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】回答支援装置及びその通信先の構成を示すブロック図。
図2】照会データベースのレイアウトの一例を示す図。
図3】根拠データベースのレイアウトの一例を示す図。
図4】参考回答提供処理の手順を示すフローチャート。
図5】照会情報入力画面の一例を示す図。
図6】照会情報出力画面の一例を示す図。
図7A】参考回答画面の一例を示す図。
図7B】参考回答画面の他の例を示す図。
図8】回答登録処理の手順を示すフローチャート。
図9】回答編集画面の一例を示す図。
図10】類似回答画面の一例を示す図。
図11】改訂予定通知処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0016】
[回答支援装置の構成]
本実施の形態の場合、回答支援装置1は、銀行及びクレジットカード会社等の金融機関に係る情報システムに関する照会に対して回答者が回答する場合にそれを支援する装置である。なお、本発明はこれに限定されず、種々の分野における各種照会に対する回答の支援を実行可能であることは言うまでもない。
【0017】
図1は、本実施の形態の回答支援装置及びその通信先の構成を示すブロック図である。回答支援装置1は、複数の照会者端末2及び回答者端末3とネットワーク100を介して通信可能に接続される。ネットワーク100には、インターネット及びイントラネット等の各種の通信ネットワークが含まれる。
【0018】
照会者端末2は、各種の照会を行う照会者側に設けられる装置であって、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末等で構成される。また、回答者端末3は、照会者からの照会に対して回答する回答者側に設けられる装置であって、同様にしてパーソナルコンピュータ等で構成される。
【0019】
回答支援装置1は、CPU、RAM、及びROMを含む制御部、並びに記憶部を備えるコンピュータであって、この制御部によって後述する各処理が実行される。回答支援装置1の記憶部には、過去の照会に関する情報を格納する照会データベース(DB)11A、照会に対する回答の根拠に関する情報を格納する根拠DB11B、その根拠の改訂予定に関する情報を格納する改訂予定DB11Cが設けられている。これらの各データベースの詳細について以下説明する。
【0020】
(A)照会DB11A
図2は、照会DB11Aのレイアウトの一例を示す図である。図2に示すように、照会DB11Aには、過去の照会の内容、照会を行った照会者の氏名、照会者の属性、照会日、照会に対する回答の内容、回答を行った回答者の氏名、回答日、及び回答の根拠が少なくとも格納される。
【0021】
図2に示す例において、過去の照会の内容は、金融に関する複数の情報システムにおける設計事項に関する問合せである。このような照会は、情報システムを開発する側のサービス開発者(システムエンジニアなど)、情報システムによるサービスを顧客に提供するサービス提供者(金融機関の従業者など)、及び情報システムのユーザマニュアルの作成者等の照会者によって行われる。これらの照会者の属性は、各照会と紐付けられて照会DB11Aに格納される。
【0022】
照会DB11Aに格納される過去の照会に対する回答の内容は、回答者によって作成された回答である。回答者の典型的な例は、各情報システムの内容を包括的に理解しているシステムエンジニアなどである。
【0023】
回答者によって作成される回答には根拠が存在する。例えば、図2に示すように、画面設計についての照会に対する回答は、クレジットカード会員ユーザインタフェイス基準、クレジットカード会員画面設計書、及びインターネットバンキング画面設計書等の規定がその根拠となる。また、各種データの取り扱いについての照会に対する回答は、DB設計書等の規定がその根拠となる。このように、本実施の形態の場合、情報システムに関する各種設計書及び仕様書における規定が回答の根拠となる。
【0024】
(B)根拠DB11B
図3は、根拠DB11Bのレイアウトの一例を示す図である。図3に示すように、根拠DB11Bには、各設計書・仕様書の名称、規定の内容、及び改訂履歴が少なくとも格納される。設計書・仕様書における各規定について改訂があった場合、その都度当該規定と紐付けられて改訂日が格納される。このようにして格納される改訂日が改訂履歴に相当する。
【0025】
(C)改訂予定DB11C
改訂予定DB11Cには、根拠DB11Bに格納されている各設計書及び仕様書の規定の改訂予定が格納される。この改訂予定には、改訂対象の規定及び改訂予定日などが少なくとも含まれる。各改訂予定は、各情報システムの管理者などによって改訂予定DB11Cに登録される。
【0026】
[回答支援装置の動作]
次に、上述したように構成された回答支援装置1の動作について、フローチャートを参照しながら説明する。以下では、(1)照会者から新たな照会を受け付けたときに実行される参考回答提供処理、(2)回答者から回答案を受け付けたときに実行される回答登録処理、及び(3)根拠の改訂予定を各関係者に通知するための改訂予定通知処理の各処理の詳細について説明する。
【0027】
(1)参考回答提供処理
図4は、回答支援装置1によって実行される参考回答提供処理の手順を示すフローチャートである。回答支援装置1は、照会者から新たな照会を受け付けたとき、下記の参考回答提供処理を実行することによって、その照会に対する回答を行う回答者に対して、回答の参考に資する情報を提供する。なお、当該情報の提供先となる回答者は、所定のルール(例えば、「X分野における照会については回答者A」又は「照会者Bによる照会については回答者C」など)にしたがって自動的に特定される。
【0028】
各情報システムのサービス開発者、サービス提供者、及びユーザマニュアルの作成者等である照会者は、照会者端末2を用いて回答支援装置1へアクセスし、所望の照会を実行する。具体的には、照会者が、回答支援装置1から取得して照会者端末2の表示部に表示された照会情報入力画面に対して照会内容を入力することによって、照会が実行される。なお、回答支援装置1は、照会者端末2からのアクセスを受け入れる際、照会者の属性を特定する。この属性の特定は、予め記憶されている照会者に関する情報を用いて行われてもよく、アクセスの際に照会者端末2から照会者の属性を取得することによって行われてもよい。
【0029】
図5は、照会情報入力画面の一例を示す図である。照会者は、照会情報入力画面101の入力欄に対して照会内容を入力する。図5に示す例では、照会内容として「クレジットカード会員の入会・退会の画面設計について留意事項はあるか?」が入力されている。照会内容の入力後、検索ボタンがクリックされると、照会者端末2から回答支援装置1に対して入力された照会内容を含む照会情報が送信される。
【0030】
回答支援装置1は、照会者端末2から照会情報を受信すると(S101)、その照会情報を、今回の照会に対する回答を行う回答者宛に送信する(S102)。このとき、照会者の属性も併せて回答者宛に送信される。回答者は、回答者端末3を用いてこれらの情報を受信し、回答者端末3の表示部に照会情報出力画面を表示させる。
【0031】
図6は、照会情報出力画面の一例を示す図である。図6に示すように、照会情報出力画面102には、今回の照会の内容及び照会者の属性が示される。回答者は、この照会情報出力画面102を参照することによって、今回の照会について把握することができる。後述するように、この今回の照会に対する回答を作成するための参考情報が、その後回答者に対して提供される。
【0032】
図4に戻り、回答支援装置1は、ステップS101にて取得した照会情報と類似する内容の過去の照会を特定する(S103)。この類似照会の特定は、照会者端末2から取得した照会情報と照会DB11Aに格納されている過去の照会との類似度、及び照会者の属性の一致度に基づいて実行される。
【0033】
上記の照会間の類似度の算出は公知の自然言語処理で実行可能である。例えば、単語の出現回数に基づいてそれぞれの照会をベクトル化し、それらのベクトル間の類似度を計算することにより、今回の照会と過去の照会との類似度を求めることができる。類似度が所定の閾値以上の場合、両照会は類似すると判定される。それ以外にも、両照会が類似するか否かを人間が判断し、その判断結果を回答支援装置1に対して入力するようにしてもよい。
【0034】
また、照会者の属性の一致度は、今回の照会の照会者の属性と、照会DB11Aに格納されている過去の照会の照会者の属性とが一致するか否かにより求められる。ここで、両照会者の属性が一致しない場合、類似度が所定の閾値以上の過去の照会があったとしても、類似照会は存在しないものと判定される。したがって、類似度が所定の閾値以上であって、且つ照会者の属性が一致する場合に、その過去の照会が類似照会として特定されることになる。
【0035】
上記のとおり、本実施の形態では、類似照会の特定にあたって照会者の属性が用いられているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、照会者の属性は考慮せずに、照会の類似度のみに基づいて類似照会の特定が行われてもよい。
【0036】
なお、今回の照会との類似度が所定の閾値以上であって且つ照会者の属性が一致する過去の照会が存在しない場合、すなわち、今回の照会と類似する過去の照会が存在しない場合、回答支援装置1は、その旨を示すメッセージを回答者に対して通知する。この場合、回答者は、回答者端末3を用いて今回の照会に対する回答をマニュアルで作成し、それを回答支援装置1に対して提供する。この回答を受けた回答支援装置1は、今回の照会とその回答とを紐付けて照会DB11Aに登録する。
【0037】
ステップS103において類似照会の特定がなされた場合、回答支援装置1は、その類似照会と紐付けられて照会DB11Aに記憶されている回答及びその根拠を特定する(S104)。なお、類似照会は複数特定される場合もあり、その場合は複数の回答及びその根拠が特定されることになる。例えば、図2に示す照会DB11Aの1行目及び2行目が類似照会として特定された場合であれば、回答として「できるだけ簡易な画面とする。」及び「1画面当たりの表示欄は・・・」が、回答の根拠として「クレジットカード会員ユーザインタフェイス基準」及び「クレジットカード会員画面設計書」が、それぞれ特定されることになる。
【0038】
次に、回答支援装置1は、根拠DB11Bを参照し、当該回答の回答日以降に当該根拠が改訂されたか否かを判定する(S105)。例えば、図2に示す照会DB11Aでは1行目の回答日が「2021年10月1日」であり、図3に示す根拠DB11Bではクレジットカード会員ユーザインタフェイス基準の第4章について改訂日が「2022年5月1日」であるため、当該回答の回答日以降に当該根拠が改訂されていると判定されることになる。
【0039】
ステップS105において回答日以降に根拠が改訂されていると判定した場合(S105でYES)、回答支援装置1は、ステップS104で特定した回答を参考回答とした参考回答情報、及びその参考回答の根拠が回答日以降に改訂されていることを示す根拠改訂情報を、回答者宛に送信する(S106)。
【0040】
他方、ステップS105において回答日以降に根拠は改訂されていないと判定した場合(S105でNO)、回答支援装置1は、ステップS104で特定した回答を参考回答とした参考回答情報を回答者宛に送信する(S107)。
【0041】
回答者は、上記のとおり回答支援装置1から送信された情報を、回答者端末3を用いて受け取る。この場合、回答者端末3の表示部には、参考回答情報を含む情報が示された参考回答画面が表示される。図7A及び図7Bは、その参考回答画面の例を示す図である。図7Aには参考回答情報及び根拠改訂情報が示された参考回答画面が、図7Bには参考回答情報のみが示された参考回答画面が、それぞれ示されている。
【0042】
図7Aに示すように、参考回答画面103に示される参考回答情報には、類似照会がなされた照会日、その照会に対する回答(参考回答)、その照会の照会者の属性、参考回答を行った回答者の氏名、参考回答の回答日、及び参考回答の根拠が含まれている。また、参考回答画面103に示される根拠改訂情報には、参考回答の根拠が改訂された旨、その改訂日、並びに、改訂前及び改訂後の規定の内容が含まれている。なお、参考回答情報及び根拠改訂情報が複数ある場合は、他の参考回答情報及び根拠改訂情報が別画面に表示されてもよく、同じ画面に表示されても構わない。
【0043】
回答者は、上記の参考回答情報及び根拠改訂情報を参照することにより、今回の照会に対する適切な回答を容易に作成することが可能になる。例えば、回答者は、参考回答及び根拠改訂の内容を確認することによって、根拠の改訂によって参考回答中に不適切となった部分がないかどうか、不適切となった部分がある場合にどのように修正すべきかなどを検討することができるため、その検討結果に応じて今回の照会に対する適切な回答を作成することが可能になる。
【0044】
また、回答者は、照会者の属性を把握できるので、その属性に応じて適切な内容の回答を作成することができる。例えば、照会者がサービス開発者である場合は技術的な情報についてより詳細な内容を回答する一方、照会者がサービス提供者である場合はより簡易な内容を回答するなどである。
【0045】
参考回答の回答日以降に参考回答の根拠が改訂されていない場合は、図7Bに示すように、参考回答画面104に参考回答情報のみが示されることになる。この場合、参考回答画面104に、参考回答の回答日以降に参考回答の根拠が改訂されていないことを示す情報が明示されていてもよい。この参考回答画面104を参照した回答者は、根拠の改訂がなされていないためにその時点においても参考回答の内容は適切であることを把握した上で、参考回答の内容を用いて今回の照会に対する回答を作成することができる。また、回答者は、上述した場合と同様に、照会者の属性に応じて適切な内容の回答を作成することができる。
【0046】
なお、上記では、類似照会に対する回答の回答日以降に根拠が改訂された場合に回答支援装置1が根拠改訂情報を回答者に提供しているが、その回答日よりも前になされた根拠改訂に関する情報を回答者に提供しても構わない。参考回答の根拠の改訂がなされたという事実は、その改訂日がいつであったとしても、参考情報として機能し得るためである。
【0047】
(2)回答登録処理
上述した参考回答提供処理によって、回答者は、今回の照会に対する回答を作成する際の参考情報を取得する。この参考情報を用いて回答者によって作成された回答は、回答支援装置1に登録される。以下、そのときに実行される回答登録処理について説明する。
【0048】
図8は、回答支援装置1によって実行される回答登録処理の手順を示すフローチャートである。回答支援装置1はまず、今回の照会に対する回答の作成を促す回答作成要求を回答者宛に送信する(S201)。この場合、回答者は、回答者端末3を用いて回答作成要求を受信する。回答作成要求を受信した回答者端末3は、回答を作成するための回答編集画面を表示部に表示する。
【0049】
図9は、回答編集画面の一例を示す図である。回答者は、回答編集画面105の入力欄に対して回答案を入力する。このとき、回答者は、参考回答提供処理によって取得した参考情報(参考回答情報及び根拠改訂情報)を活用して回答案を作成し、入力欄に入力する。図9に示す例では、図7Aに例示する参考回答画面103を参照した回答者が、その参考回答画面103に示されている参考回答情報及び根拠改訂情報を参考にして作成した回答案が示されている。
【0050】
図9に示すように、回答編集画面105には、回答検索ボタン及び登録ボタンが設けられている。回答者は、回答案を入力欄に入力した後、その回答案をそのまま回答として登録する場合は登録ボタンを、その回答案と類似する過去の回答を検索する場合は回答検索ボタンを、それぞれクリックする。登録ボタン及び回答検索ボタンの何れかがクリックされた場合、回答者端末3は、入力された回答案及びクリックされたボタンの識別子を含む回答案情報を回答支援装置1に対して送信する。
【0051】
図8に戻り、回答支援装置1は、回答者端末3から回答案情報を受信すると(S202)、その回答案情報に基づいて、登録ボタン及び回答検索ボタンの何れかがクリックされたかを判定する(S203)。ここで、登録ボタンがクリックされたと判定した場合(S203で「登録」)、回答支援装置1は、回答案情報に含まれる回答案を、今回の照会と紐付けて照会DB11Aに登録する(S204)。この場合、当該回答案は今回の照会に対する回答となる。
【0052】
他方、ステップS203において回答検索ボタンがクリックされたと判定した場合(S203で「検索」)、回答支援装置1は、照会DB11Aを参照し、回答者から取得した回答案と類似する過去の回答を特定する(S205)。この類似回答の特定は、回答案と過去の回答との類似度に基づいて実行される。
【0053】
上記の類似度の算出は公知の自然言語処理で実行可能である。例えば、単語の出現回数に基づいてそれぞれの回答をベクトル化し、それらのベクトル間の類似度を計算することにより、今回の回答案と過去の回答との類似度を求めることができる。類似度が所定の閾値以上の場合、両者は類似すると判定される。それ以外にも、両者が類似するか否かを人間が判断し、その判断結果を回答支援装置1に対して入力するようにしてもよい。
【0054】
回答支援装置1は、類似回答として特定された過去の回答を含む類似回答情報を、回答者宛に送信する(S206)。回答者は、回答者端末3を用いて類似回答情報を受信する。類似回答情報を受信した回答者端末3は、類似回答の内容を示す類似回答画面を表示部に表示する。
【0055】
図10は、類似回答画面の一例を示す図である。図10に示すように、類似回答画面106には、類似回答の内容の他、その類似回答に係る照会の内容、その照会日、照会者の属性、類似回答の回答者の氏名、類似回答の回答日、及び類似回答の根拠が示されている。回答者は、この類似回答画面106を参照することによって、自身が作成した回答案について、回答内容に漏れがないかどうか、回答の根拠とする情報に間違いがないかどうかなどを確認することができる。
【0056】
なお、図10に例示する類似回答画面106には根拠改訂情報が示されていないが、図7Aと同様に根拠改訂情報が示されていてもよい。その場合、回答支援装置1は、類似回答の根拠が改訂されているか否かを根拠DB11Bに基づいて判定し、改訂されていると判定した場合に、類似回答の根拠が改訂されていることを示す根拠改訂情報を含む類似回答情報を回答者宛に送信すればよい(S206)。
【0057】
回答者は、類似回答情報を確認した場合において、回答案の変更が必要だと判断したときは、図9に示す回答編集画面105を用いて回答案の編集を行い、その後に登録ボタンをクリックする。この場合、回答支援装置1は、その回答案を含む回答案情報を回答者端末3から受信し(S202)、その回答案を今回の照会と紐付けて照会DB11Aに登録する(S204)。これにより、当該回答案は、今回の照会に対する回答として記憶されることになる。
【0058】
以上のようにして照会DB11Aに回答が登録された場合、回答支援装置1は、その回答を照会者宛に送信する。この回答は照会者端末2によって受信され、その表示部に表示される。これにより、照会者は、自らが行った照会に対する回答を得ることができる。
【0059】
(3)改訂予定通知処理
過去の照会に対する回答の根拠が改訂されることを事前に把握できると、照会者及び回答者の両者にとって便宜である。これを実現するための処理が、以下の改訂予定通知処理である。
【0060】
図11は、回答支援装置1によって実行される根拠予定通知処理の手順を示すフローチャートである。回答支援装置1はまず、改訂予定DB11Cを参照し、根拠改訂予定を取得する(S301)。この根拠改訂予定には、改訂対象の規定及び改訂予定日が含まれている。
【0061】
次に、回答支援装置1は、改訂対象の規定に基づいて、改訂予定の根拠の関係者を特定する(S302)。ここでの関係者とは、改訂予定の根拠に関連する照会を行うことが想定される照会者、及びその根拠を用いて回答を行うことが想定される回答者を意味する。例えば、回答者支援装置1は、照会DB11Aを参照して改訂予定の根拠と紐付けられている照会者及び回答者を抽出し、これらの者を関係者として特定する。これらの照会者及び回答者は、今後も同様にして当該根拠と関連する照会及び回答を行うなど、当該根拠に関連する各種業務を行うことが想定されるためである。
【0062】
回答支援装置1は、ステップS302にて特定した関係者宛に、改訂予定情報を通知する(S303)。この改訂予定情報には、改訂対象の規定及び改訂予定日が含まれている。当該関係者は、照会者端末2又は回答者端末3を用いて改訂予定情報を受信し、その内容を確認することができる。
【0063】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、回答支援装置1が照会DB11A、根拠DB11B、及び改訂予定DB11Cを備えているが、これらのデータベースの少なくとも1つが外部の装置に設けられており、回答支援装置1がその外部の装置から各情報を取得するような構成であってもよい。この場合、外部の装置から取得された各情報は、回答支援装置1の記憶部に一時的に記憶されて利用される。
【0064】
また、上記の実施の形態では、回答支援装置1が一台のコンピュータで構成されているが、これに限定されるわけではなく、複数台のコンピュータによって回答支援装置1が構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 回答支援装置
11A 照会データベース
11B 根拠データベース
11C 改訂予定データベース
2 照会者端末
3 回答者端末
100 ネットワーク
101 照会情報入力画面
102 照会情報出力画面
103,104 参考回答画面
105 回答編集画面
106 類似回答画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11