(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044612
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】視聴証明発行システム、視聴証明発行方法、受電装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/239 20110101AFI20240326BHJP
H04N 21/233 20110101ALI20240326BHJP
H04N 21/235 20110101ALI20240326BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20240326BHJP
H04H 60/45 20080101ALI20240326BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20240326BHJP
H04H 60/65 20080101ALI20240326BHJP
H04H 60/38 20080101ALI20240326BHJP
【FI】
H04N21/239
H04N21/233
H04N21/235
H04N21/258
H04H60/45
H04H40/18
H04H60/65
H04H60/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150241
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】522246016
【氏名又は名称】株式会社プレイシンク
(74)【代理人】
【識別番号】110004277
【氏名又は名称】弁理士法人そらおと
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】鵜川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大橋 寛史
(72)【発明者】
【氏名】西窪 洋平
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA11
5C164MB35S
5C164PA41
5C164SB04P
5C164SB08P
5C164SB30P
5C164SB61S
5C164SC11P
5C164YA10
(57)【要約】
【課題】ユーザー宅内に専用の装置を設置することなく、視聴証明を発行できるようにする。
【解決手段】視聴証明発行システム1は、ユーザー端末5及び受電装置6を有する。ユーザー端末5は、受電装置6に架電することにより受電装置6との接続状態を確立し、この接続状態を介して、放送受信機4から出力される音声を受電装置6に対して送信する。受電装置6は、上記接続状態を介して受信される音声と、放送局サーバ2から提供される放送データに含まれる音声とに基づいて、ユーザー端末5のユーザーが放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定し、ユーザーが放送を視聴したと判定した場合に、ユーザーが放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー端末及び受電装置を有する視聴証明発行システムであって、
前記ユーザー端末は、
前記受電装置に架電することにより、前記受電装置との接続状態を確立し、
前記接続状態を介して、放送受信機から出力される音声を前記受電装置に対して送信し、
前記受電装置は、
前記接続状態を介して受信される音声と、放送局から提供される放送データに含まれる音声とに基づいて、前記ユーザー端末のユーザーが前記放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定し、
前記ユーザーが前記放送を視聴したと判定した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行する、
視聴証明発行システム。
【請求項2】
前記受電装置は、
前記ユーザーが前記放送を視聴したと判定した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したタイミングに応じて、異なる内容の前記視聴証明を発行する、
請求項1に記載の視聴証明発行システム。
【請求項3】
前記受電装置は、
前記放送データに含まれる所定時間分の音声に基づいて第1のフィンガープリントを生成して保存し、
前記接続状態を介して受信される前記所定時間分の音声に基づいて第2のフィンガープリントを生成し、
前記第1のフィンガープリントと前記第2のフィンガープリントとが一致した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したか否かの判定を行う、
請求項2に記載の視聴証明発行システム。
【請求項4】
前記受電装置は、
前記放送データに含まれる所定の共通タイミングから前記所定時間分の音声に基づいて前記第1のフィンガープリントを生成し、
前記接続状態を介して受信される前記共通タイミングから前記所定時間分の音声に基づいて第2のフィンガープリントを生成する、
請求項3に記載の視聴証明発行システム。
【請求項5】
前記放送データに含まれる音声は音声透かしであり、
前記受電装置は、前記接続状態を介して受信される音声から検出した音声透かしと、前記放送データに含まれる音声透かしとが一致した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したか否かの判定を行う、
請求項2に記載の視聴証明発行システム。
【請求項6】
前記ユーザー端末はコンピュータであり、所定の通信アプリにより前記受電装置への架電を行う、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の視聴証明発行システム。
【請求項7】
前記視聴証明は、前記放送を示す情報を含む非代替性トークンであり、
前記受電装置は、前記非代替性トークンを前記ユーザーのウォレットアドレスに対応付ける発行トランザクションの記録をブロックチェーンネットワークに対してリクエストすることにより、前記視聴証明の発行を行う、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の視聴証明発行システム。
【請求項8】
ユーザー端末及び受電装置により実行される視聴証明発行方法であって、
前記ユーザー端末が、前記受電装置に架電することにより、前記受電装置との接続状態を確立するステップと、
前記ユーザー端末が、前記接続状態を介して、放送受信機から出力される音声を前記受電装置に対して送信するステップと、
前記受電装置が、前記接続状態を介して受信される音声と、放送局から提供される放送データに含まれる音声とに基づいて、前記ユーザー端末のユーザーが前記放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定するステップと、
前記受電装置が、前記ユーザーが前記放送を視聴したと判定した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行するステップと、
を含む視聴証明発行方法。
【請求項9】
電話による接続状態を介してユーザー端末から受信される音声と、放送局から提供される放送データに含まれる音声とに基づいて、前記ユーザー端末のユーザーが前記放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定し、
前記ユーザーが前記放送を視聴したと判定した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行する、
受電装置。
【請求項10】
電話による接続状態を介してユーザー端末から受信される音声と、放送局から提供される放送データに含まれる音声とに基づいて、前記ユーザー端末のユーザーが前記放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定するステップと、
前記ユーザーが前記放送を視聴したと判定した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴証明発行システム、視聴証明発行方法、受電装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放送の視聴に基づいて視聴者に様々な便益を提供するサービスが知られている。特許文献1には、この種のサービスを実現する技術の一例が開示されている。同文献に記載の技術では、放送受信機又は受信機能付きストレージ装置の中に、視聴証明を発行する機能を有する視聴証明発行部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術には、視聴証明発行部を内蔵する放送受信機又は受信機能付きストレージ装置という専用の装置がユーザー宅内に必要になることから、普及しにくいという課題があった。
【0005】
したがって、本発明の目的の一つは、ユーザー宅内に専用の装置を設置することなく視聴証明を発行することのできる視聴証明発行システム、視聴証明発行方法、受電装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による視聴証明発行システムは、ユーザー端末及び受電装置を有する視聴証明発行システムであって、前記ユーザー端末は、前記受電装置に架電することにより、前記受電装置との接続状態を確立し、前記接続状態を介して、放送受信機から出力される音声を前記受電装置に対して送信し、前記受電装置は、前記接続状態を介して受信される音声と、放送局から提供される放送データに含まれる音声とに基づいて、前記ユーザー端末のユーザーが前記放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定し、前記ユーザーが前記放送を視聴したと判定した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行する、視聴証明発行システムである。
【0007】
本発明による視聴証明発行方法は、ユーザー端末及び受電装置により実行される視聴証明発行方法であって、前記ユーザー端末が、前記受電装置に架電することにより、前記受電装置との接続状態を確立するステップと、前記ユーザー端末が、前記接続状態を介して、放送受信機から出力される音声を前記受電装置に対して送信するステップと、前記受電装置が、前記接続状態を介して受信される音声と、放送局から提供される放送データに含まれる音声とに基づいて、前記ユーザー端末のユーザーが前記放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定するステップと、前記受電装置が、前記ユーザーが前記放送を視聴したと判定した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行するステップと、を含む視聴証明発行方法である。
【0008】
本発明による受電装置は、電話による接続状態を介してユーザー端末から受信される音声と、放送局から提供される放送データに含まれる音声とに基づいて、前記ユーザー端末のユーザーが前記放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定し、前記ユーザーが前記放送を視聴したと判定した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行する、受電装置である。
【0009】
本発明によるプログラムは、電話による接続状態を介してユーザー端末から受信される音声と、放送局から提供される放送データに含まれる音声とに基づいて、前記ユーザー端末のユーザーが前記放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定するステップと、前記ユーザーが前記放送を視聴したと判定した場合に、前記ユーザーが前記放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放送の視聴中に電話を接続しておくだけで視聴証明を発行することができるので、ユーザー宅内に専用の装置を設置することなく、視聴証明を発行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態による視聴証明発行システム1の構成を示す図である。
【
図2】放送局サーバ2、ユーザー端末5、及び受電装置6のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態による視聴証明発行システム1において実行される処理を示すシーケンス図である。
【
図4】本発明の実施の形態による視聴証明発行システム1において実行される処理を示すシーケンス図である。
【
図5】
図4のステップS8において実行されるフィンガープリントの生成処理を説明する図である。
【
図6】本発明の実施の形態の第1の変形例による視聴証明発行システム1において実行される処理を示すシーケンス図である。
【
図7】本発明の実施の形態の第2の変形例による視聴証明発行システム1において実行される処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態による視聴証明発行システム1を含むシステムの構成を示す図である。視聴証明発行システム1は、ユーザーに対して視聴証明を発行する視聴証明発行サービスを提供するためのシステムであり、同図に示すように、放送局サーバ2、送信装置3、放送受信機4、ユーザー端末5、受電装置6、及びブロックチェーンネットワーク7を含んで構成される。このうち放送局サーバ2、ユーザー端末5、受電装置6、及びブロックチェーンネットワーク7は、例えばインターネットであるネットワーク8を介して相互に接続される。
【0014】
放送局サーバ2は、地上デジタルテレビ放送の放送局に設置されるコンピュータであり、送信装置3に対して放送用の信号(映像及び音声を含む信号)を供給する役割を有している。送信装置3は、東京スカイツリー(登録商標)などの送信所に設置される装置であり、放送局サーバ2から供給された放送をブロードキャストする役割を果たす。放送受信機4は、送信装置3からブロードキャストされた放送を受信するための装置である。典型的な例では、放送受信機4はユーザー宅内に設置されるテレビ受像機であるが、例えば街頭やオフィスなど、ユーザー宅外に設置されるテレビ受像機であってもよい。
【0015】
なお、本実施の形態では、地上デジタルテレビ放送に本発明を適用する場合の例を説明するが、本発明は、例えば地上アナログテレビ放送、衛星放送、有線放送、ラジオ放送、インターネット放送など、地上デジタルテレビ放送以外の各種放送にも好適に適用可能である。
【0016】
ユーザー端末5は、視聴証明発行サービスのユーザーによって使用される端末であり、音声通信機能を有して構成される。典型的な例では、ユーザー端末5はスマートフォンであるが、例えばタブレット端末やパーソナルコンピュータなど、スマートフォン以外のコンピュータであってもよい。また、フィーチャーフォンや一般的な固定電話機をユーザー端末5として用いることも可能である。以下の説明では、ユーザー端末5はスマートフォンであるとして説明を続ける。ユーザー端末5がスマートフォンである場合、音声通信機能は、音声通信機能付きのメッセンジャーアプリによって実現されるものであってもよいし、電話アプリによって実現されるものであってもよい。以下では、これらのアプリをまとめて「通信アプリ」と称する。
【0017】
受電装置6は、視聴証明発行サービスの提供者によって使用されるコンピュータであり、ユーザー端末5と同様、音声通信機能を有して構成される。典型的な例による受電装置6は、サーバとして機能する高性能コンピュータである。受電装置6は、音声通信を介してユーザー端末5から受信される音声と、放送局から事前に提供される放送データにより示される音声とに基づいて、ユーザー端末5のユーザーが該放送データにかかる放送を視聴したか否かを判定し、視聴したと判定した場合に、該放送を視聴したことを証明する視聴証明を発行する役割を果たす。
【0018】
ユーザーは、視聴証明発行サービスに予めユーザー登録した状態で、視聴証明発行サービスを利用する。ユーザー登録をしようとするユーザーは、ユーザー端末5から受電装置6にアクセスし、受電装置6に予め記憶される登録画面を開く。そして、開いた登録画面に必要な情報を入力し、登録ボタンを押下することによってユーザー登録を実行する。ユーザーが登録ボタンを押下すると、受電装置6は、ユーザーに対して受電装置6にアクセスするための情報(例えば、ID及びパスワード)を発行し、登録画面において入力された情報とともに記憶することにより、ユーザー登録を完了する。
【0019】
図2は、放送局サーバ2、ユーザー端末5、及び受電装置6のハードウェア構成の一例を示す図である。放送局サーバ2、ユーザー端末5、及び受電装置6はそれぞれ、図示した構成を有するコンピュータ100によって構成され得る。なお、放送局サーバ2及び受電装置6を構成するコンピュータ100は、複数のコンピュータの結合によって構成されるコンピュータであってもよい。
【0020】
図2に示すように、コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)101、記憶装置102、入力装置103、出力装置104、及び通信装置105がバス106を介して相互に接続された構成を有している。
【0021】
CPU101は、コンピュータ100の各部を制御するとともに、記憶装置102に記憶される各種のプログラムを読み出して実行する装置である。また、記憶装置102は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの主記憶装置と、ハードディスクなどの補助記憶装置とを含み、コンピュータ100のオペレーティングシステムや各種のアプリケーションを実行するための各種のプログラム、及び、これらのプログラムによって利用されるデータを記憶する役割を果たす装置である。ユーザー端末5の記憶装置102に記憶されるプログラムには、上述した通信アプリが含まれる。
【0022】
入力装置103は、外部からの入力を受け付けてCPU101に供給する装置であり、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、マイクを含んで構成される。出力装置104は、CPU101の処理結果を外部に出力する装置であり、例えばディスプレイ、スピーカーを含んで構成される。
【0023】
通信装置105は、外部の装置と通信するための装置であり、CPU101の指示にしたがってデータの送受信を行う。放送局サーバ2、ユーザー端末5、及び受電装置6はそれぞれ、この通信装置105を用いて、
図1に示したブロックチェーンネットワーク7及びネットワーク8を含む他の装置との間で通信を行うよう構成される。ユーザー端末5と受電装置6の間で行われる音声通信も、それぞれの通信装置105によって実現される。典型的な例では、通信装置105が行う通信はインターネット・プロトコルによる通信(IP通信)であり、ユーザー端末5と受電装置6の間で行われる音声通信は、VoIP(Voice over Internet Protocol)技術により実現される。
【0024】
図1に戻る。ブロックチェーンネットワーク7は、ピアツーピアによって接続された複数のコンピュータのネットワークであり、各ユーザーに割り当てられるウォレットアドレス間での非代替性トークン(NFT)の所有権の移転(移転トランザクション)、及び、新たに生成されたNFTのいずれかのウォレットアドレスへの対応付け(発行トランザクション)をブロックチェーンに記録するように構成される。
【0025】
一般に、ブロックチェーンには、特定の管理者がいないパブリックチェーン、単一の組織により管理されているプライベートチェーン、複数の組織により管理されているコンソーシアムチェーンの3種類があるが、ブロックチェーンネットワーク7はこれらのいずれであってもよい。典型的な例では、ブロックチェーンネットワーク7は、パブリックチェーンに分類されるイーサリアムネットワーク、及び、プライベートチェーンに分類されるLINEブロックチェーンのいずれかである。以下では、ブロックチェーンネットワーク7はイーサリアムネットワークであるとして説明を続ける。
【0026】
トランザクションのブロックチェーンへの記録は、ブロックチェーンネットワーク7に接続されたいくつかのコンピュータ(以下、「マイナー」と称する)によって実行される。具体的に説明すると、ブロックチェーンを構成する各ブロックは、ブロックヘッダと、トランザクションの具体的な内容を示すデータ(取引データ)とを含んで構成される。このうちブロックヘッダには、取引データのサイズを圧縮してなるデータであるマークルルートと、1つ前のブロックのハッシュ値と、任意の文字列であるナンス値とが含まれる。ブロックチェーンネットワーク7においては、新たなブロックをブロックチェーンに接続するには、そのブロックのハッシュ値が所定の条件(例えば、「000」で始まる値である、という条件)を満たしていなければならないというルールが定められている。そこで、ブロックチェーンにあるブロックを記録しようとするマイナーは、そのブロックのブロックヘッダのハッシュ値が上記所定の条件を満たすこととなるよう、総当たり的にナンス値を見つける作業(マイニング)を行う。この作業の結果として、最も早くナンス値の発見に成功したマイナーがそのブロックをブロックチェーンに連結することによって、トランザクションのブロックチェーンへの記録が完了する。
【0027】
ブロックチェーンネットワーク7がイーサリアムネットワークである場合、トランザクションをブロックチェーンに記録しようとする者は、「ガス」と呼ばれる手数料を仮想通貨によって支払う必要がある。ガスは、ブロックの連結に成功したマイナーに対し、報酬として支払われる。
【0028】
上述した登録画面は、ブロックチェーンネットワーク7のウォレットアドレスの入力欄を有して構成される。視聴証明発行サービスに登録しようとするユーザーは、予めブロックチェーンネットワーク7のウォレットアドレスを取得し、この入力欄に記入する必要がある。これにより、受電装置6には、各ユーザーのウォレットアドレスも記憶されることになる。
【0029】
図3及び
図4は、本実施の形態による視聴証明発行システム1において実行される処理を示すシーケンス図である。以下、これらの図を参照しながら、視聴証明を発行するために本実施の形態による各装置が実行する処理について、詳しく説明する。
【0030】
まず初めに
図3を参照すると、ステップS1,S2に示す処理は、受電装置6が視聴証明を発行するために必要となる事前処理である。具体的に説明すると、まず初めに、放送局サーバ2から受電装置6に対し、視聴証明の発行対象である放送(番組又はCM)の所定時間分の音声と、放送を特定する放送情報(番組名、放送開始時刻など)とを含む放送データが送信される(ステップS1)。このとき放送局サーバ2は、受電装置6に対して送信する音声として、視聴証明の発行対象である放送を構成する全音声のうち例えば毎分0秒など世界共通の所定のタイミング(以下「共通タイミング」という)から放送が開始される所定時間分の音声を選択する。これは、後述するフィンガープリントによる音声の比較を可能にするための措置である。
【0031】
放送局サーバ2から放送データを受信した受電装置6は、その中に含まれる音声のフィンガープリント(第1のフィンガープリント)を生成し、放送情報と対応付けて記憶する(ステップS2)。フィンガープリントは、音声の同一性を確認するための短いデータであり、例えば、デジタルデータとしての音声を所定のハッシュ関数に入力することによって得られるハッシュ値でよい。
【0032】
ここで、ステップS1,S2の処理は、視聴証明の発行対象である放送が発生する都度、実行される。したがって、受電装置6には、それぞれ音声のフィンガープリント及び放送情報を含む複数のデータセットが記憶されることになる。
【0033】
次に、ステップS3以降の処理は、ユーザーが実際に放送を視聴するタイミングで実行される処理である。具体的に説明すると、まずユーザー端末5において、ユーザーにより通信アプリが起動される(ステップS3)。起動した通信アプリは、視聴証明発行サービスにログインした後、ユーザー操作に応じて受電装置6に架電することにより、受電装置6との接続状態(音声接続状態)を確立する(ステップS4)。そして通信アプリは、放送受信機4を起動し(ステップS5)、その結果として放送受信機4から出力される音声をマイクによって集音しつつ(ステップS6)、受電装置6との接続状態を介し、集音した音声をリアルタイムで受電装置6に対して送信する(ステップS7)。なお、ここでは通信アプリが放送受信機4を起動する例を説明しているが、必ずしも通信アプリから放送受信機4の起動を行う必要はなく、通信アプリは、別途の起動操作により起動済みの放送受信機4から出力されている音声を集音することとしてもよい。
【0034】
ユーザー端末5との接続状態を通じて音声を受信する受電装置6は、上述した共通タイミングごとに、受信した音声のフィンガープリント(第2のフィンガープリント)の生成を実行する(ステップS8)。
【0035】
図5は、ステップS8において実行されるフィンガープリントの生成処理を説明する図である。同図に示す時間Tは上述した所定時間を表し、時刻t0~t6・・・は上述した共通タイミングを表している。受電装置6は、ユーザー端末5からの音声10の受信が開始されると、共通タイミングが到来する都度、所定時間T分の音声を蓄積し、そのフィンガープリント11を生成する。したがって受電装置6は、音声10の受信が終了するまで、共通タイミングごとにフィンガープリント11を生成することになる。
【0036】
図3に戻る。受電装置6は、フィンガープリントを生成する都度、ステップS9以降の処理を実施する。すなわち、受電装置6はまず、生成したフィンガープリントを、記憶している複数のフィンガープリントのそれぞれと比較することにより(ステップS9)、生成したフィンガープリントが、いずれかのフィンガープリントと一致するか否かを判定する(ステップS10)。一致するフィンガープリントがないと判定した場合、受電装置6はステップS8に戻って処理を続ける。
【0037】
一方、ステップS10において一致するフィンガープリントがあると判定した受電装置6は、
図4に示すように、生成したフィンガープリントに対応する音声(放送)の視聴をログイン中のユーザー(以下、単に「ユーザー」という)が開始した時刻(視聴開始時刻)と、生成したフィンガープリントと一致したフィンガープリントに対応付けて記憶している放送情報内に含まれる放送開始時刻とを比較することにより(ステップS11)、対応する放送をユーザーが視聴したか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、視聴開始時刻と放送開始時刻との差が所定値以内(例えば30分以内)であった場合に、対応する放送をユーザーが視聴したと判定し、所定値以内でなかった場合に、対応する放送をユーザーは視聴していないと判定すればよい。
【0038】
ステップS12において視聴していないと判定した受電装置6は、
図3のステップS8に戻って処理を続ける。一方、ステップS12において視聴したと判定した受電装置6は、対応する放送をユーザーが視聴したことを証明する視聴証明を発行するための処理を行う。具体的に説明すると、受電装置6はまず、視聴した放送を示す情報を含むNFTを生成し、生成したNFTをユーザーのウォレットアドレスに対応付ける発行トランザクションを生成する。そして、生成した発行トランザクションの記録(ミント)を、ブロックチェーンネットワーク7に対してリクエストする(ステップS13)。
【0039】
ブロックチェーンネットワーク7は、リクエストされたミントが完了すると、その完了通知を受電装置6に対して返信する(ステップS14)。この完了通知を受信した受電装置6は、ユーザー端末5に対し、視聴証明の発行が完了したことを通知する(ステップS15)。これによりユーザーは、
図3のステップS7で送信した音声により視聴証明が発行されたことを知ることができ、この後、ブロックチェーンネットワーク7にアクセスし、自身のウォレットアドレスに対して発行されたNFTを確認することにより、視聴証明としてのNFTの内容を確認することが可能になる。また、発行されたNFTを提示することにより、視聴に基づいて設定される便益を各種事業者から享受することも可能になる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態による視聴証明発行システム1によれば、放送の視聴中に電話を接続しておくだけで視聴証明を発行することができるので、ユーザー宅内に専用の装置を設置することなく、視聴証明を発行することが可能になる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0042】
例えば、本実施の形態では、視聴証明としてのNFTを発行する例を説明したが、視聴証明はNFTでならないわけではなく、例えば、NFTを利用しない電子証明書や紙の証明書を視聴証明として発行することとしてもよい。
【0043】
また、本実施の形態では音声のフィンガープリントを比較することにより、ユーザーが放送を視聴したか否かを判定する例を説明したが、音声そのものを比較することとしてもよい。また、音声に加えて、又は、音声に代えて、映像又はそのフィンガープリントを比較することにより、ユーザーが放送を視聴したか否かを判定することとしてもよい。この場合、
図3のステップS4においてテレビ電話又はZoom(登録商標)などのオンライン会議サービスを接続し、映像も受電装置6に送信することが好ましい。
【0044】
また、本実施の形態では、
図3のステップS1において放送局サーバ2から受電装置6に送信される音声の時間長が予め1つに決められている例を説明したが、予め決められた複数の時間長又は任意の時間長を用いることとしてもよい。この場合の受電装置6は、
図3のステップS2において、音声のフィンガープリントとともに音声の時間長を示す情報も記憶し、ステップS8において、該情報により示される時間長分の音声を蓄積し、そのフィンガープリントを生成すればよい。
【0045】
また、本実施の形態では、
図3のステップS8において、共通タイミングごとに、受信した音声のフィンガープリントを生成するように受電装置6を構成する例を説明したが、記憶している放送情報に含まれる放送開始時刻ごとに音声のフィンガープリントを生成するように受電装置6を構成することとしてもよい。この場合の受電装置6は、ステップS9~S12に代え、生成したフィンガープリントと、放送開始時刻に対応付けて記憶しているフィンガープリントとが一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合に、対応する放送をユーザーが視聴したと判定すればよい。
【0046】
また、本実施の形態では、視聴開始時刻と放送開始時刻との差が所定値以内であった場合に、対応する放送をユーザーが視聴したと判定するよう受電装置6を構成する例を説明したが、ステップS10,S11を実行せず、ステップS12において、ステップS9の比較結果に応じて、対応する放送をユーザーが視聴したか否かを判定するするよう受電装置6を構成してもよい。すなわち、受電装置6は、生成したフィンガープリントと一致したフィンガープリントに対応付けて記憶している放送情報により示される放送をユーザーが視聴したと判定することとしてもよい。
【0047】
図6は、本実施の形態の第1の変形例による視聴証明発行システム1において実行される処理を示すシーケンス図であり、
図4を置き換えたものとなっている。本変形例による視聴証明発行システム1は、ユーザーが放送を視聴したタイミングに応じて異なる内容の視聴証明を発行する点で、本実施の形態による視聴証明発行システム1と相違する。以下、相違点に着目して詳しく説明する。
【0048】
本変形例においては、
図3に示したステップS1において放送局サーバ2から受電装置6に対して送信される放送情報に、視聴証明発行期間を示す情報が含まれる。視聴証明発行期間は、その放送をユーザーが視聴したことを証明する視聴証明を発行する期間であり、放送の種類、内容、放送回数等に応じた任意の期間であってよい。例えば1クールにわたって放送されるアニメであれば、そのアニメが放送されるクール、そのアニメの初回から最終回までの期間などを視聴証明発行期間として設定し得る。
【0049】
図6を参照すると、受電装置6は、
図3のステップS8で生成したフィンガープリントに対応する音声(放送)の視聴開始時刻と、生成したフィンガープリントと一致したフィンガープリントに対応付けて記憶している放送情報内に含まれる放送開始時刻及び視聴証明発行期間とを比較することにより(ステップS20)、対応する放送をユーザーが視聴したか否かを判定する(ステップS21)とともに、その視聴がリアルタイムであったか否かを判定する(ステップS22)。具体的には、視聴開始時刻が視聴証明発行期間内であれば、対応する放送をユーザーが視聴したと判定し、視聴開始時刻が視聴証明発行期間内でなければ、対応する放送をユーザーは視聴していないと判定すればよい。また、視聴開始時刻と放送開始時刻との差が所定値以内(例えば30分以内)であれば、対応する放送をユーザーがリアルタイムで視聴したと判定し、所定値以内でなければ、対応する放送をユーザーはリアルタイムで視聴していないと判定すればよい。
【0050】
ステップS21において視聴していないと判定した受電装置6は、
図3のステップS8に戻って処理を続ける。一方、ステップS21において視聴したと判定した受電装置6は、ステップS22の判定結果によって、対応する放送をユーザーがリアルタイムで視聴したことを示す限定視聴証明、及び、対応する放送をリアルタイムではないが所定の期間内にユーザーが視聴したことを示す汎用視聴証明という2種類の視聴証明のいずれかの発行を行う。具体的には、対応する放送をユーザーがリアルタイムで視聴したと判定した場合には、ステップS23~S25の処理を実行することによって限定視聴証明を発行し、対応する放送をユーザーはリアルタイムで視聴していないと判定した場合には、ステップS26~S28の処理を実行することによって汎用視聴証明を発行する。
【0051】
各視聴証明を発行するための処理について具体的に説明すると、まず限定視聴証明の発行を行う場合、受電装置6は、視聴した放送を示す情報に加え、その放送をリアルタイムで視聴したことを示すリアルタイム視聴属性データを含むNFT(以下「限定NFT」という)を生成し、生成した限定NFTをユーザーのウォレットアドレスに対応付ける発行トランザクションを生成する。そして、生成した発行トランザクションの記録(ミント)を、ブロックチェーンネットワーク7に対してリクエストする(ステップS23)。ブロックチェーンネットワーク7は、リクエストされたミントが完了すると、その完了通知を受電装置6に対して返信する(ステップS24)。この完了通知を受信した受電装置6は、ユーザー端末5に対し、限定視聴証明の発行が完了したことを通知する(ステップS25)。
【0052】
ここで、限定NFTには、視聴した放送を示す情報及びリアルタイム視聴属性データの他に、放送された地域や放送した放送局を特定する属性データを含むこととしてもよい。この場合の受電装置6は、ユーザー端末5の通信アプリからユーザー端末5の位置情報を取得し、この位置情報に基づいて、放送された地域や放送した放送局を特定すればよい。
【0053】
次に汎用視聴証明の発行を行う場合、受電装置6は、視聴した放送を示す情報を含み、上述したリアルタイム視聴属性データを含まないNFT(以下「汎用NFT」という)を生成し、生成した汎用NFTをユーザーのウォレットアドレスに対応付ける発行トランザクションを生成する。そして、生成した発行トランザクションの記録(ミント)を、ブロックチェーンネットワーク7に対してリクエストする(ステップS26)。ブロックチェーンネットワーク7は、リクエストされたミントが完了すると、その完了通知を受電装置6に対して返信する(ステップS27)。この完了通知を受信した受電装置6は、ユーザー端末5に対し、汎用視聴証明の発行が完了したことを通知する(ステップS28)。
【0054】
このように、本変形例による視聴証明発行システム1によれば、ユーザーが放送を視聴したタイミングに応じて、異なる内容の視聴証明を発行することが可能になる。したがって、視聴に基づく便益をユーザーに提供する事業者は、ユーザーに対し、視聴実態に応じて異なる便益を提供することが可能になる。
【0055】
図7は、本実施の形態の第2の変形例による視聴証明発行システム1において実行される処理を示すシーケンス図である。本変形例による視聴証明発行システム1は、音声のフィンガープリントに代えて音声透かしを用いる点で、本実施の形態による視聴証明発行システム1と相違する。以下、相違点に着目して詳しく説明する。
【0056】
図3及び
図4と
図7とを比較すると理解されるように、本変形例では、ステップS1,S2に代えてステップS30,S31が実行され、ステップS8~S10に代えてステップS32~S34が実行される。各ステップを詳しく説明する前に本変形例の概要を説明すると、本実施の形態による放送局は、放送ごとに異なる音声透かしを任意のデジタル音声信号処理技術によって音声の中に埋め込んだ状態で、番組やCMの放送を行う。受電装置6は、放送局から予めこの音声透かしの提供を受けて記憶しておくとともに、ユーザー端末5より受信される音声から音声透かしを検出し、記憶した音声透かしと検出した音声透かしとの比較を行うことにより、ユーザーが視聴したか否かの確認を行う。
【0057】
ステップS30,S31に示す処理は、本変形例による受電装置6が視聴証明を発行するために必要となる事前処理である。具体的に説明すると、まず初めに、放送局サーバ2から受電装置6に対し、音声透かしと、放送を特定する放送情報(番組名、放送開始時刻など)とを含む放送データが送信される(ステップS30)。受電装置6は、受信した放送データを記憶する(ステップS31)。ステップS30,S31の処理は、音声透かしを含む放送が新たに発生する都度、実行される。したがって、受電装置6には、それぞれ音声透かしを含む複数の放送データが記憶されることになる。
【0058】
次に受電装置6は、ステップS7においてユーザー端末5より受信される音声から、逐次、音声透かしの検出を実行する(ステップS32)。そして、検出した音声透かしと、記憶している複数の音声透かしのそれぞれとを比較することにより(ステップS33)、検出した音声透かしが、いずれかの音声透かしと一致するか否かを判定する(ステップS34)。一致するフィンガープリントがないと判定した場合、受電装置6はステップS32に戻って処理を続ける。
【0059】
一方、ステップS10において一致するフィンガープリントがあると判定した受電装置6は、ステップS11以降の処理を行う。この処理の詳細は上記実施の形態で説明したとおりであり、ステップS12の判定結果が肯定であった場合、ユーザーは、視聴証明としてのNFTを自身のウォレットで確認することが可能になる。なお、この場合の視聴開始時刻は、検出した音声透かしに対応する音声(放送)の視聴をユーザーが開始した時刻であり、放送開始時刻は、検出した音声透かしと一致した音声透かしに対応付けて記憶している放送情報内に含まれる放送開始時刻である。
【0060】
このように、本変形例による視聴証明発行システム1によっても、放送の視聴中に電話を接続しておくだけで視聴証明を発行することができるので、ユーザー宅内に専用の装置を設置することなく、視聴証明を発行することが可能になる。なお、本変形例においても、受電装置6は、上記実施の形態と同様、ステップS34,S11を実行せず、ステップS12において、ステップS33の比較結果に応じて、対応する放送をユーザーが視聴したか否かを判定することとしてもよい。また、ステップS11以降の処理を
図6に示したステップS20以降の処理に置き換えることにより、本変形例においても、ユーザーが放送を視聴したタイミングに応じて、異なる内容の視聴証明を発行することとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 視聴証明発行システム
2 放送局サーバ
3 送信装置
4 放送受信機
5 ユーザー端末
6 受電装置
7 ブロックチェーンネットワーク
8 ネットワーク
10 音声
11 フィンガープリント
100 コンピュータ
101 CPU
102 記憶装置
103 入力装置
104 出力装置
105 通信装置
106 バス