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特開2024-44621情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044621
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240326BHJP
   G06Q 20/30 20120101ALI20240326BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150260
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 敬一
(72)【発明者】
【氏名】増田 健作
(72)【発明者】
【氏名】川野 晴子
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L055AA62
(57)【要約】
【課題】連係処理の処理結果の成功度合いに関係なく課金する場合に比べて、課金に対する不満を抑制可能な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】ジョブフロー制御サービス11は、予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理としてのジョブフローの実行を受け付け、受け付けたジョブフローに含まれる処理を依頼して実行結果を受け取り、実行結果の成功度合いに応じて予め定めた料金を計算して提示する処理を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、
受け付けた前記連係処理に含まれる処理を依頼して実行結果を受け取り、
前記実行結果の成功度合いに応じて予め定めた料金を計算して提示する処理を行う情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記実行結果を提示し、再実行、キャンセル、または承認を受け付ける画面を提示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記実行結果に、一部成功を含む失敗が含まれる場合に、代替案を提示する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記代替案の料金を含めて提示する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記実行結果に対する修正を受け付けて、処理の実行元に報告する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、修正を実行元に報告した場合、料金を割引する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置に対して前記連係処理の依頼を行う依頼装置と、
を含む情報処理システム。
【請求項8】
コンピュータに、
予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、
受け付けた前記連係処理に含まれる処理を依頼して実行結果を受け取り、
前記実行結果の成功度合いに応じて予め定めた料金を計算して提示する処理を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ジョブフローサービス装置が指示書を作成し、投入された料金に基づいて課金情報を作成し、それらを複合機に送信し、複合機が指示書に従ってスキャン処理を実施し、課金情報の金額からスキャン処理の金額を減算し、スキャンデータ・指示書・課金情報を画像処理装置に送信し、ファイル管理装置が指示書に従ってPDFファイルを格納し、課金情報の金額からPDFファイル格納の金額を減算し、ジョブフローの完了の通知・課金情報をジョブフローサービス装置に送信し、ジョブフローサービス装置が課金情報からおつりの有無を確認し、おつりが有る場合はおつりが有る旨をPCに送信するジョブフローサービスシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-195893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者が予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行に対して課金する場合、処理結果の成功度合いに関係なく課金されるため、課金に対する不満が発生する場合がある。
【0005】
そこで、本開示は、連係処理の処理結果の成功度合いに関係なく課金する場合に比べて、課金に対する不満を抑制可能な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、受け付けた前記連係処理に含まれる処理を依頼して実行結果を受け取り、前記実行結果の成功度合いに応じて予め定めた料金を計算して提示する処理を行う。
【0007】
第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記実行結果を提示し、再実行、キャンセル、または承認を受け付ける画面を提示する。
【0008】
第3態様に係る情報処理装置は、第2態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記実行結果に、一部成功を含む失敗が含まれる場合に、代替案を提示する。
【0009】
第4態様に係る情報処理装置は、第3態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記代替案の料金を含めて提示する。
【0010】
第5態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記実行結果に対する修正を受け付けて、処理の実行元に報告する。
【0011】
第6態様に係る情報処理装置は、第5態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、修正を実行元に報告した場合、料金を割引する。
【0012】
第7態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理装置と、前記情報処理装置に対して前記連係処理の依頼を行う依頼装置と、を含む。
【0013】
第8態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、受け付けた前記連係処理に含まれる処理を依頼して実行結果を受け取り、前記実行結果の成功度合いに応じて予め定めた料金を計算して提示する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
第1態様によれば、連係処理の処理結果の成功度合いに関係なく課金する場合に比べて、課金に対する不満を抑制可能な情報処理装置を提供できる。
【0015】
第2態様によれば、実行結果を確認して、納得いかない場合に、再実行またはキャンセルできる。
【0016】
第3態様によれば、実行結果に納得いかない場合に、代替案による再実行が可能となる。
【0017】
第4態様によれば、代替案の料金を考慮して、代替案で再実行するかを検討することが可能となる。
【0018】
第5態様によれば、連係処理の実行結果に対して修正を行うことが可能となる。
【0019】
第6態様によれば、割引しない場合に比べて、ユーザの納得感を高めることが可能となる。
【0020】
第7態様によれば、連係処理の処理結果の成功度合いに関係なく課金する場合に比べて、課金に対する不満を抑制可能な情報処理システムを提供できる。
【0021】
第8態様によれば、連係処理の処理結果の成功度合いに関係なく課金する場合に比べて、課金に対する不満を抑制可能な情報処理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る情報処理システムにおける画像形成装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る情報処理システムにおけるクラウドサーバの電気系の要部構成を示すブロック図である。
図4】ジョブフローサービスを利用する際の準備段階を説明するための図である。
図5】ジョブフローサービスの利用時の流れを説明するための図である。
図6】ジョブフローサービスを利用する際の画面例を示す図である。
図7】ジョブフローの実行結果を確認する際に表示する画面例を示す図である。
図8】本実施形態に係る情報処理システムにおいて、ジョブフローサービスを提供するクラウドサーバで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【0024】
本実施形態に係る情報処理システム10は、ジョブフローを基に、読取文書に対する処理を行い、各処理結果に応じて課金を行う。なお、ジョブフローは、予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理である。また、本開示において、ジョブとは、予め定められた機能を実現するために画像形成装置12やクラウドサービス等が実行する処理または処理の集まりをいう。
【0025】
本実施形態に係る情報処理システム10は、図1に示すように、ジョブフロー制御サービス11、依頼装置の一例としての画像形成装置12、認証サービス13、処理A14、処理B15、ウォレット16、及びストレージ17を含む。
【0026】
ジョブフロー制御サービス11は、ジョブフローをサービスとして提供する。ジョブフロー制御サービス11では、主に、顧客に提供するジョブフローの定義、顧客管理、利用可能なジョブフローの一覧の提示、ジョブフローの実行結果一覧から課金額を計算、ジョブフローの結果の通知と最終処理等の機能を提供する。
【0027】
ジョブフローの定義の機能では、ジョブフローの各処理毎に、完全に処理成功したときの請求金額や、当該請求金額を基準金額として割引の設定も含む。
【0028】
顧客管理の機能では、利用する顧客企業毎にアカウントの発行、及び連係する認証サービスやウォレットの設定を保持する。
【0029】
利用可能なジョブフロー一覧の提示の機能では、画像形成装置12等からジョブフロー一覧のリクエストがあった場合、認証トークンをもとに認証サービスに問い合わせ、認証サービスから返ってくる企業情報等から、顧客企業を特定し該当のジョブフロー一覧を画像形成装置12に返す。
【0030】
ジョブフローの実行結果一覧から課金額を計算する機能では、実行した各処理の結果を基に、課金額を計算する。
【0031】
ジョブフローの結果の通知と最終処理の機能では、全てのジョブフローが完了時に、ジョブフローの結果をユーザに通知し、その結果に対して「承認」、「キャンセル」、及び「やり直し」をユーザに問い合わせる。ユーザからの返答によって、以下の処理を行う。
【0032】
「承認」が選択された場合には、実行したジョブフローの結果をストレージ17に格納し、料金を確定して完了する。
【0033】
「キャンセル」が選択された場合には、実行したジョブフローの結果を破棄して処理を完了する。
【0034】
「やり直し」が選択された場合には、ユーザにジョブフローのパラメータの再選択を提示し、ジョブフローの途中からやり直す。
【0035】
画像形成装置12は、ユーザに対してジョブフローの選択などの操作を提供する。また、ジョブフロー制御サービス11や認証サービス13と通信し、認証操作やジョブフロー一覧取得処理を行う。また、ジョブフロー制御サービス11が定義するジョブフローに従って文書を読み取って送信する処理等を行う。
【0036】
認証サービス13は、ジョブフローサービスを利用するために必用な認証機能を提供する。ユーザ認証を行うと認証トークンが発行され、発行された認証トークンを基に利用者の特定やジョブフローの利用が可能となる。
【0037】
処理A14及び処理B15等の処理Nは、ジョブフローで定義された予め定めた処理を行う。例えば、OCR(Optical Character Recognition/Reader)処理を実行して、OCR結果から請求書番号等の特定の項目を抽出し、ストレージ17のAPI(Application Programming Interface)にアクセスしレコード等を作成する。各処理Nでは、ジョブフロー制御サービス11が定義するジョブフローを解釈し、自身がやるべき処理内容をもとに処理を実行し、その結果(〇%成功、OCRデータ等)を更新する。更新後はジョブフローの定義に従って次の処理にジョブフローや結果等と共に処理依頼を行う。
【0038】
本実施形態に係る情報処理システム10において、ジョブフロー制御サービス11、認証サービス13、処理A14、処理B15、ウォレット16、及びストレージ17は、例えば、クラウドサーバが提供するクラウドサービスが適用される。ジョブフロー制御サービス11、認証サービス13、処理A14、処理B15、ウォレット16、及びストレージ17は、それぞれ別のクラウドサーバ又は一部が別のクラウドサーバが提供するクラウドサービスとしてもよいし、単一のクラウドサーバが提供するクラウドサービスとしてもよい。
【0039】
続いて、画像形成装置12の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理システム10における画像形成装置12の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【0040】
本実施形態に係る画像形成装置12は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、及びRAM(Random Access Memory)20Cを含むコントロール・ユニット20を備えている。CPU20Aは、画像形成装置12の全体の動作を司る。RAM20Cは、CPU20Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ROM20Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。そして、画像形成装置12は、コントロール・ユニット20の各部がシステムバス42によって電気的に接続されている。
【0041】
また、本実施形態に係る画像形成装置12は、各種データやアプリケーション・プログラム等を記憶するHDD(hard disk drive)26を備えている。また、画像形成装置12は、ユーザインタフェース22に接続され、ユーザインタフェース22のディスプレイへの各種の操作画面等の表示を制御する表示制御部28を備えている。また、画像形成装置12は、ユーザインタフェース22に接続され、ユーザインタフェース22を介して入力される操作指示を検出する操作入力検出部30を備えている。そして、画像形成装置12では、HDD26、表示制御部28、および操作入力検出部30がシステムバス42に電気的に接続されている。なお、本実施形態に係る画像形成装置12では、記憶部としてHDD26を適用しているが、これに限らず、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部を適用してもよい。
【0042】
また、本実施形態に係る画像形成装置12は、原稿読取部44による光学的な画像の読み取り動作、及び原稿搬送部による原稿送り動作を制御する読取制御部32と、画像形成部24による画像形成処理、及び搬送部25による画像形成部24への用紙の搬送を制御する画像形成制御部34と、を備えている。また、画像形成装置12は、各種通信回線に接続され、当該通信回線に接続されたクラウドサーバ18(図3参照)等の他の外部装置と通信データの送受信を行う通信回線I/F(インタフェース)部36と、を備えている。また、画像形成装置12は、図示しない電話回線に接続され、当該電話回線に接続されているファクシミリ装置とファクシミリデータの送受信を行うファクシミリI/F(インタフェース)部38を備えている。また、画像形成装置12は、ファクシミリI/F部38を介したファクシミリデータの送受信を制御する送受信制御部40を備えている。そして、画像形成装置12では、送受信制御部40、読取制御部32、画像形成制御部34、通信回線I/F部36、ファクシミリI/F部38、及びログ収集部46がシステムバス42に電気的に接続されている。
【0043】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置12は、CPU20Aにより、RAM20C、ROM20B、及びHDD26へのアクセスを各々実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、表示制御部28を介したユーザインタフェース22のディスプレイへの操作画面、各種のメッセージ等の情報の表示の制御を実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、読取制御部32を介した原稿読取部44及び原稿搬送部の作動の制御を実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、画像形成制御部34を介した画像形成部24及び搬送部25の作動の制御と、通信回線I/F部36を介した通信データの送受信の制御と、を各々実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、送受信制御部40によるファクシミリI/F部38を介したファクシミリデータの送受信の制御を実行する。さらに、画像形成装置12は、CPU20Aにより、操作入力検出部30によって検出された操作情報に基づくユーザインタフェース22における操作内容の把握が行われ、この操作内容に基づく各種の制御を実行する。
【0044】
続いて、ジョブフロー制御サービス11、認証サービス13、処理A14、処理B15、ウォレット16、及びストレージ17等のクラウドサービスを提供するクラウドサーバの構成について説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理システム10におけるクラウドサーバ18の電気系の要部構成を示すブロック図である。なお、クラウドサーバ18は、単数でも複数でもよいが、何れも同様の構成であるため、代表的なクラウドサーバ18の構成を説明する。
【0045】
本実施形態に係るクラウドサーバ18は、図3に示すように、CPU18A、ROM18B、RAM18C、HDD18D、操作部18E、ディスプレイ18F、及び通信回線I/F(インタフェース)部18Gを備えている。CPU18Aは、クラウドサーバ18の全体の動作を司る。ROM18Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM18Cは、CPU18Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。HDD18Dは、各種のデータやアプリケーション・プログラム等が記憶される。操作部18Eはキーボードやマウス等が適用され、各種の情報を入力するために用いられる。ディスプレイ18Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線I/F部18Gは、各種通信回線に接続され、当該通信回線に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。以上のクラウドサーバ18の各部はシステムバス18Hにより電気的に相互に接続されている。なお、本実施形態に係るクラウドサーバ18では、HDD18Dを記憶部として適用しているが、これに限らず、フラッシュメモリ等の他の不揮発性の記憶部を適用してもよい。
【0046】
以上の構成により、本実施形態に係るクラウドサーバ18は、CPU18Aにより、ROM18B、RAM18C、及びHDD18Dに対するアクセス、操作部18Eを介した各種データの取得、ディスプレイ18Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、クラウドサーバ18は、CPU18Aにより、通信回線I/F部18Gを介した通信データの送受信の制御を実行する。
【0047】
本実施形態では、CPU18AがROM18BまたはHDD18Dに記憶された情報処理プログラムを実行することにより、ジョブフロー制御サービス11として機能する。そして、ジョブフロー制御サービス11は、予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理としてのジョブフローの実行を受け付け、受け付けたジョブフローに含まれる処理を依頼して実行結果を受け取り、実行結果の成功度合いに応じて予め定めた料金を計算して提示する処理を行う。
【0048】
続いて、ジョブフローサービスを利用する際の準備段階について説明する。図4は、ジョブフローサービスを利用する際の準備段階を説明するための図である。
【0049】
以下では、ジョブフローの作成と、ジョブフロー内の各処理毎の課金額と割引方法の設定をジョブフローサービス提供者が行う。また、利用可能なジョブフローを選択し、請求用のウォレットの作成は顧客企業の管理者が行い、利用時のジョブフローの選択とジョブの実行を顧客企業の社員が行うものとして説明する。なお、顧客企業の社員は、ジョブフローの結果の通知を受けて、問題なければ結果を受け入れて請求金額が確定する。納得できない場合はジョブフローの一部をやり直す、またはキャンセルする。
【0050】
ジョブフローサービスを利用する際の準備を図5の1.~6.の手順に従って行わる。
1.ジョブフローサービス提供者は、予めいくつかのジョブフローを定義する。定義したジョブフローの各処理ごとに、課金ルールを設定する。ジョブフロー毎に基準金額(期待通りの成果を得られたときの請求金額)と、割引条件を設定する。例えば、OCR読取りの場合、自然言語として成立していない文書の割合を割引率として、基準金額から割引率分を差し引いた金額を最終的な請求額にする。
また、ジョブフローサービス提供者はOCR等の精度向上のために、利用者からのフィードバックを受け付ける。フィードバックは、例えば、ユーザがジョブフローの結果を確認する際に、誤りがあればその画面から誤り内容を報告できるようにする。併せて、フィードバックを行ったユーザは、その見返りとして請求額から割引を行う。割引額は、ジョブフローサービス提供者が予め設定しておく。
【0051】
2.顧客企業の管理者は、ジョブフロー制御サービス11に対してジョブフローサービスの利用登録を行う。
【0052】
3.顧客企業の管理者は、ジョブフローサービスを利用する際の認証に利用する、連係する認証サービス13を設定する。
【0053】
4.顧客企業の管理者は、ジョブフローサービス提供者によって定義されたジョブフローの中から、利用するジョブフローを選択する。
【0054】
5.顧客企業の管理者は、クレジットなどの決済方法や、ウォレットの上限金額等を作成する。
【0055】
6.ジョブフロー制御サービスが、顧客企業の管理者によって作成された情報を基に、ウォレットを作成する。
【0056】
次に、ジョブフローサービスの利用時の流れについて説明する。図5は、ジョブフローサービスの利用時の流れを説明するための図である。
【0057】
1.顧客企業の社員は、画像形成装置12のユーザインタフェース22を操作してジョブフローサービスを使用するためのログイン操作を行う。
【0058】
1.1画像形成装置12では、ログイン操作を受け付けて、認証サービス13に認証を行う。
【0059】
1.2画像形成装置12は、ジョブフロー制御サービス11に対して、認証トークンを用いて、ユーザ情報に紐付いた、利用可能なジョブフローを取得する。
【0060】
1.2.1ジョブフロー制御サービス11では、認証サービス13を介して、認証トークンと共に、ユーザ情報に紐付いたジョブフローを画像形成装置12に返す。
【0061】
2.顧客企業の社員は、ジョブフロー制御サービス11から送信されたジョブフローから、利用するジョブフローを選択する。このとき、料金は高いが精度の高いOCRなどのオプションも予め選択する。例えば、図6に示すように、予め登録されたジョブフローを選択する選択画面50を表示し、選択画面50から利用するジョブフローを選択する。図6の例では、見積書、請求書、契約書の中から契約書を選択し、「決定」が操作された場合に、ジョブフローの内容の設定を行う設定画面52を表示する。ここで、「OCR精度選択」が選択された場合には、OCR精度のオプション選択画面54を表示する。また、設定画面52で「読取開始」が操作された場合には、ジョブ実行確認画面56を表示し、「決定」が操作された場合に、ジョブフローを開始する。
【0062】
3.顧客企業の社員は、画像形成装置12を操作して、ジョブフローに用いる文書の読取りを行う。
【0063】
4.読取りが終わると画像形成装置12は、ジョブフローに従ってジョブフロー制御サービス11に、指示書としてのジョブフロー、読取文書やOCR結果などの成果物、及び○%成功等の処理結果を送信する。なお、画像形成装置12からジョブフロー制御サービス11へは、ジョブフローと読取文書を送信する。以降のジョブフローで、上記の3点セット(ジョブフロー、成果物、及び処理結果)で処理を行っていく。
【0064】
5.ジョブフロー制御サービス11では、受信したジョブフローに従って、次の処理先にジョブフロー、成果物としての文書、及び処理結果を送信して処理を依頼する。
【0065】
6.~9.処理を受け付けた処理N(図5では、処理A14及び処理B15)は、ジョブフローの内容を基に処理を行う。処理結果に自身の結果を更新し、成果物に処理のアウトプットを追加して、次のサービスに処理を依頼する。これをジョブフローの末端まで繰り返す。
【0066】
10.ジョブフローの末端まで進みジョブフロー制御に戻ってきたら、ジョブフロー制御サービス11では、ジョブフローの処理N毎に各結果と割引設定から課金額を計算する。
【0067】
11.ジョブフロー制御サービス11は、顧客企業の社員に処理が完了したことを電子メール等で通知する。このとき課金額も通知する。
【0068】
12.顧客企業の社員は、結果を参照し、以下の何れかの対応を行う。なお、図7は、ジョブフローの実行結果を確認する際に表示する画面例を示す図である。
・通知された結果を全て受け入れて料金支払いを承諾する。例えば、図7に示すジョブ実行結果画面58において、「承認」を操作する。
・顧客企業の社員が納得のいかない処理結果について、別の方法でやり直しを行う。やり直しを行う場合は全てやり直すか、ジョブフローの一部を変更する。例えば、図7に示すジョブ実行結果画面58において、一部成功を含む失敗が含まれる場合、「詳細」を操作することで、特定項目抽出結果画面60を確認して、納得がいかない場合、ジョブ実行結果画面58の「やり直し」を操作することにより代替案を表示する。ここで、代替案画面62を表示して料金は高いが高精度のOCRでやり直すなどのジョブフローの再実行を指示する。図7の例では、「精度:高」を選択された例を示す。「決定」が操作された場合に、ジョブ実行確認画面64が表示される。ジョブ実行確認画面64では、料金を表示し、「開始」が指示された場合に、ジョブのやり直しが行われる。
・抽出したテキストデータ等において結果がある場合は、結果の画面から利用者が手動で修正を行う。このとき、開発元に対して修正内容を報告するか、選択する画面を表示する。報告を行った場合は、報酬として請求額からジョブフロー提供者が予め設定した割引率を基に請求額を減額する。または、次回以降に使用できるポイントを付与する。
・やり直しても納得できなければ処理をキャンセルする。例えば、読取文書や成果物は破棄し、ユーザに料金請求はしない。なお、ユーザが承認しない限り、ユーザは読取文書やOCR結果等の取り出しはできない。
・やり直しても納得できなければ処理をキャンセルする。
【0069】
13.ジョブフロー制御サービス11は、ユーザが結果を承認した場合、ウォレット16に対して、ユーザが承認した利用金額を加算する。
【0070】
14.ジョブフロー制御サービス11は、ユーザが結果を承認した場合、ジョブフローの結果をオンラインのストレージ17に格納する。
【0071】
15.顧客企業の社員は、承認後にストレージ17にアクセスし、格納された文書やデータにアクセスして結果を取得する。
【0072】
そして、ジョブフローサービスを提供する企業は、月末などの締め日でウォレット16の累計利用金額を基に、予め登録された支払方法で決済を行い、顧客企業から料金を回収する。
【0073】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る情報処理システム10において、ジョブフロー制御サービス11を提供するクラウドサーバ18で行われる具体的な処理について説明する。図8は、本実施形態に係る情報処理システム10において、ジョブフローサービスを提供するクラウドサーバ18で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図8の処理は、例えば、画像形成装置12において、認証が行われてジョブフローの取得要求がジョブフロー制御サービス11に行われた場合に開始する。
【0074】
ステップ100では、CPU18Aが、ジョブフロー取得要求の認証トークンを確認してステップ102へ移行する。すなわち、ユーザ情報に紐付いた利用可能なジョブフローの取得要求と共に、画像形成装置12から受信した認証トークンが認証されたものであるかを認証サービス13に確認する。
【0075】
ステップ102では、CPU18Aが、認証されているか否かを判定する。該判定は、例えば、認証サービス13から認証されていることを表す情報を受信したか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ106へ移行する。
【0076】
ステップ104では、CPU18Aが、利用不可能を画像形成装置12に送信して一連の処理を修了する。
【0077】
一方、ステップ106では、CPU18Aが、利用可能なジョブフローを画像形成装置12に返信してステップ108へ移行する。
【0078】
ステップ108では、CPU18Aが、ジョブフローの開始か否かを判定する。該判定は、例えば、ジョブフローの選択とオプションの選択とが行われ、ジョブフローに用いる文書の読取りが行われて、ジョブフローと成果物を画像形成装置12から受信したか否かを判定する。該判定が、肯定されるまで待機してステップ110へ移行する。
【0079】
ステップ110では、CPU18Aが、ジョブフローによって指示された、次の処理先に処理を依頼してステップ112へ移行する。
【0080】
ステップ112では、CPU18Aが、ジョブフローの最終処理結果を受信したか否かを判定する。該判定が、肯定されるまで待機してステップ114へ移行する。
【0081】
ステップ114では、CPU18Aが、実行結果の成功度合いに応じて料金を計算してステップ116へ移行する。例えば、OCRの成功率毎に料金を予め定めておき、OCRの成功率に対応する料金を算出する。
【0082】
ステップ116では、CPU18Aが、請求金額と結果を予め登録されたユーザの電子メール等に通知してステップ118へ移行する。
【0083】
ステップ118では、CPU18Aが、やり直しが指示されたか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ120へ移行し、ユーザが納得して承認されると判定が否定されてステップ122へ移行する。
【0084】
ステップ120では、CPU18Aが、やり直しが指示された処理先に処理を依頼してステップ112に戻って上述の処理が繰り返される。
【0085】
一方、ステップ122では、CPU18Aが、利用料金をウォレット16に加算してステップ124へ移行する。これにより、月末などの締め日でウォレット16の累計利用金額を基に、予め登録された支払方法で決済が行われる。
【0086】
ステップ124では、CPU18Aが、ストレージ17にジョブフローの結果を格納して一連の処理を修了する。
【0087】
なお、上記の実施形態では、ジョブフローに含まれる具体的な処理の一例としてOCRを挙げて説明したが、OCRに限定されるものではない。例えば、ビットマップの画像認識を適用して、画像認識率等を処理の成功度合いとして料金を算出してもよい。また、AI(Artificial Intelligence)の画像認識により画像の判定を行う処理等を適用してもよい。
【0088】
また、上記の実施形態において、CPUをプロセッサの一例として説明したが、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0089】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0090】
また、上記の実施形態に係る情報処理システム10の各部で行われる処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、情報処理システム10の各部で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0091】
また、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0092】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(((1)))
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、
受け付けた前記連係処理に含まれる処理を依頼して実行結果を受け取り、
前記実行結果の成功度合いに応じて予め定めた料金を計算して提示する処理を行う情報処理装置。
【0093】
(((2)))
前記プロセッサは、前記実行結果を提示し、再実行、キャンセル、または承認を受け付ける画面を提示する(((1)))に記載の情報処理装置。
【0094】
(((3)))
前記プロセッサは、前記実行結果に、一部成功を含む失敗が含まれる場合に、代替案を提示する(((2)))に記載の情報処理装置。
【0095】
(((4)))
前記プロセッサは、前記代替案の料金を含めて提示する(((3)))に記載の情報処理装置。
【0096】
(((5)))
前記プロセッサは、前記実行結果に対する修正を受け付けて、処理の実行元に報告する(((1)))~(((4)))のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0097】
(((6)))
前記プロセッサは、修正を実行元に報告した場合、料金を割引する(((5)))に記載の情報処理装置。
【0098】
(((7)))
(((1)))~(((6)))の何れか1つに記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置に対して前記連係処理の依頼を行う依頼装置と、
を含む情報処理システム。
【0099】
(((8)))
コンピュータに、
予め設定した複数の処理を連係して実行する連係処理の実行を受け付け、
受け付けた前記連係処理に含まれる処理を依頼して実行結果を受け取り、
前記実行結果の成功度合いに応じて予め定めた料金を計算して提示する処理を実行させるための情報処理プログラム。
【0100】
(((1)))によれば、連係処理の処理結果の成功度合いに関係なく課金する場合に比べて、課金に対する不満を抑制可能な情報処理装置を提供できる。
【0101】
(((2)))によれば、実行結果を確認して、納得いかない場合に、再実行またはキャンセルできる。
【0102】
(((3)))によれば、実行結果に納得いかない場合に、代替案による再実行が可能となる。
【0103】
(((4)))によれば、代替案の料金を考慮して、代替案で再実行するかを検討することが可能となる。
【0104】
(((5)))によれば、連係処理の実行結果に対して修正を行うことが可能となる。
【0105】
(((6)))によれば、割引しない場合に比べて、ユーザの納得感を高めることが可能となる。
【0106】
(((7)))によれば、連係処理の処理結果の成功度合いに関係なく課金する場合に比べて、課金に対する不満を抑制可能な情報処理システムを提供できる。
【0107】
(((8)))によれば、連係処理の処理結果の成功度合いに関係なく課金する場合に比べて、課金に対する不満を抑制可能な情報処理プログラムを提供できる。
【符号の説明】
【0108】
10 情報処理システム
11 ジョブフロー制御サービス
12 画像形成装置
13 認証サービス
14 処理A
15 処理B
16 ウォレット
17 ストレージ
18 クラウドサーバ
18A CPU
58 ジョブ実行結果画面
60 特定項目抽出結果画面
62 代替案画面
64 ジョブ実行確認画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8