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特開2024-44633半導体製造装置及び半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044633
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体製造装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240326BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 101H
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150280
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】荒川 翔平
(72)【発明者】
【氏名】長田 佑太
【テーマコード(参考)】
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
5F004AA15
5F004BB13
5F004BB26
5F004BC06
5F004CA04
5F004DA00
5F004DA24
5F004DA26
5F004DB13
5F131AA02
5F131BA19
5F131CA12
5F131DA08
5F131DA42
5F131EA03
5F131EB72
5F131EB81
(57)【要約】
【課題】金属元素を含む副生成物を除去する。
【解決手段】実施形態の半導体製造装置は、天板と側壁とを含むチャンバと、チャンバの中に設けられ、基板を載置するホルダと、ホルダに高周波電力を印加する高周波電源と、チャンバにガスを供給するガス供給管と、チャンバからガスを排出するガス排出管と、基板をホルダから天板に向かう方向に押し上げる複数のリフトピンであって、先端部がホルダの上面から、ホルダと天板との間の距離の70%以上の位置まで移動可能な複数のリフトピンと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と側壁とを含むチャンバと、
前記チャンバの中に設けられ、基板を載置するホルダと、
前記ホルダに高周波電力を印加する高周波電源と、
前記チャンバにガスを供給するガス供給管と、
前記チャンバからガスを排出するガス排出管と、
前記基板を前記ホルダから前記天板に向かう方向に押し上げる複数のリフトピンであって、先端部が、前記ホルダの上面から、前記ホルダと前記天板との間の距離の70%以上の位置まで移動可能な複数のリフトピンと、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
前記天板から前記ホルダに向かう方向に前記基板を押し下げる複数のプッシュピンを、更に備える請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記複数のリフトピンは、前記ホルダを貫通する請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記複数のリフトピンは、4本以上である請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記天板は、前記基板の上面を前記天板に真空吸着させるための吸着孔を有する、請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項6】
天板と側壁とを含むチャンバと、
前記チャンバの中に設けられ、基板を載置するホルダと、
前記ホルダに高周波電力を印加する高周波電源と、
前記チャンバにガスを供給するガス供給管と、
前記チャンバからガスを排出するガス排出管と、
前記基板を前記ホルダから前記天板に向かう方向に移動させる複数の支持部材であって、先端部が前記側壁から前記ホルダに向かう方向に移動可能で、前記先端部が前記基板の下面を支持する複数の支持部材と、
を備える半導体製造装置。
【請求項7】
前記天板は、前記基板の上面を前記天板に真空吸着させるための吸着孔を有する、請求項6記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記複数の支持部材のそれぞれを支持し、前記ホルダの周囲に設けられ、前記方向に延びる複数のガイド部を、更に備える、請求項6記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記複数の支持部材のそれぞれを支持し、前記天板に設けられ前記方向に延びる複数の支持棒を、更に備える、請求項6記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記ホルダは、前記ホルダの外周部に設けられ、前記方向に昇降可能なエッジリングを含み、
前記支持部材の前記先端部は、前記基板と前記エッジリングの間に挿入可能である、請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
天板と側壁とを含むチャンバと、前記チャンバの中に設けられたホルダと、を備える反応性イオンエッチング装置の前記チャンバの中に、インジウム(In)を含む第1の層を有する第1の基板を搬入し、
前記第1の基板を前記ホルダの上に載置し、
前記第1の層をエッチングするエッチング処理を行い、
前記第1の基板を前記チャンバの外に搬出し、
前記第1の基板を前記チャンバの外に搬出した後に、前記チャンバの中に、表面に樹脂層を有する第2の基板を搬入し、
前記第2の基板を前記ホルダの上に載置し、
前記第2の基板を加熱し、
前記第2の基板を前記ホルダから前記天板に向かう方向に移動させて、前記樹脂層を前記天板に接触させ、
前記第2の基板を冷却し、
前記樹脂層を前記天板から離隔させ、
前記第2の基板を前記チャンバの外に搬出する、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記樹脂層は熱可塑性樹脂を含む、請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記樹脂層の融点は、100℃以下である請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記樹脂層は、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルトリブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)、ポリオレフィン(PO)、ポリアミド(PA)、合成ゴム(SR)、アクリル(ACR)、及びポリウレタン(PUR)からなる群から選ばれる少なくとも一つの樹脂を含む、請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2の基板を加熱する際、50℃以上200℃以下の温度で加熱する、請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2の基板を前記チャンバの外に搬出した後に、前記チャンバの中で酸素プラズマ処理を、更に行う、請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
天板と側壁とを含むチャンバと、前記チャンバの中に設けられたホルダと、を備える反応性イオンエッチング装置の前記チャンバの中に、カバー部材を搬入し、
前記カバー部材を前記ホルダの上に載置し、
前記カバー部材を前記ホルダから前記天板に向かう方向に移動させて、前記天板の少なくとも一部を前記カバー部材で覆い、
前記天板の少なくとも一部を前記カバー部材で覆った後に、インジウム(In)を含む第1の層を有する第1の基板を搬入し、
前記第1の基板を前記ホルダの上に載置し、
前記第1の層をエッチングするエッチング処理を行い、
前記第1の基板を前記チャンバの外に搬出し、
前記第1の基板を前記チャンバの外に搬出した後に、前記カバー部材を前記チャンバの外に搬出する、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記天板の少なくとも一部を前記カバー部材で覆う際に、前記カバー部材を前記天板に真空吸着させる、請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記カバー部材を前記チャンバの外に搬出する前に、前記チャンバの中に支持基板を搬入し、
前記支持基板を前記ホルダの上に載置し、
前記カバー部材を前記チャンバの外に搬出する際に、前記支持基板の上に前記カバー部材を載置する、請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記カバー部材の前記ホルダに対向する面の表面粗さは、前記天板の前記ホルダに対向する面の表面粗さよりも大きい、請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属元素を含む層を反応性イオンエッチングによりエッチングする場合、金属元素を含む副生成物がチャンバの内面に付着する。チャンバの内面に付着した副生成物は、例えば、パーティクル発生の原因となる。したがって、チャンバの内面に付着した副生成物をチャンバのクリーニングにより除去することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5038259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態では、金属元素を含む副生成物を除去することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体製造装置は、天板と側壁とを含むチャンバと、前記チャンバの中に設けられ、基板を載置するホルダと、前記ホルダに高周波電力を印加する高周波電源と、前記チャンバにガスを供給するガス供給管と、前記チャンバからガスを排出するガス排出管と、前記基板を前記ホルダから前記天板に向かう方向に押し上げる複数のリフトピンであって、先端部が、前記ホルダの上面から、前記ホルダと前記天板との間の距離の70%以上の位置まで移動可能な複数のリフトピンと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の半導体製造装置の模式図。
図2】第1の実施形態の半導体製造装置のホルダの上面図。
図3】第1の実施形態の半導体製造装置のリフトピンの動作の説明図。
図4】第1の実施形態の半導体製造装置の天板の下面図。
図5】第1の実施形態の半導体製造装置のプッシュピンの動作の説明図。
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図7】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図8】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図9】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図10】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図11】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図12】第2の実施形態の半導体製造装置の模式図。
図13】第2の実施形態の半導体製造装置の天板の下面図。
図14】第2の実施形態の半導体製造装置の支持部材の動作の説明図。
図15】第2の実施形態の半導体製造装置の支持部材の動作の説明図。
図16】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図17】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図18】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図19】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図20】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図21】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図22】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図23】第2の実施形態の第1の変形例の半導体製造装置の模式図。
図24】第2の実施形態の第1の変形例の半導体製造装置の支持部材の動作の説明図。
図25】第2の実施形態の第1の変形例の半導体製造装置の模式図。
図26】第2の実施形態の第2の変形例の半導体製造装置の支持部材の動作の説明図。
図27】第2の実施形態の第2の変形例の半導体製造装置の支持部材の動作の説明図。
図28】第3の実施形態の半導体製造装置の模式図。
図29】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図30】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図31】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図32】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図33】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図34】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図35】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
図36】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書中、便宜上「上」、又は、「下」という用語を用いる場合がある。「上」、又は、「下」とは、例えば、図面内での相対的位置関係を示す用語である。「上」、又は、「下」という用語は、必ずしも、重力に対する位置関係を規定する用語ではない。
【0009】
以下、実施形態の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体製造装置は、天板と側壁とを含むチャンバと、チャンバの中に設けられ、基板を載置するホルダと、ホルダに高周波電力を印加する高周波電源と、チャンバにガスを供給するガス供給管と、チャンバからガスを排出するガス排出管と、基板をホルダから天板に向かう方向に押し上げる複数のリフトピンであって、先端部が、ホルダの上面から、ホルダと天板との間の距離の70%以上の位置まで移動可能な複数のリフトピンと、を備える。
【0011】
図1は、第1の実施形態の半導体製造装置の模式図である。第1の実施形態の半導体製造装置は、反応性イオンエッチング装置(RIE装置)である。第1の実施形態の反応性イオンエッチング装置は、容量結合プラズマ装置(CCP装置)である。
【0012】
第1の実施形態のRIE装置100は、例えば、チャンバ10、ホルダ14、高周波電源16、ガス供給管18、ガス排出管20、排気装置22、ヒータ24、複数のリフトピン26、リフトピン支持板28、複数のプッシュピン30、及びプッシュピン支持板32を備える。
【0013】
チャンバ10は、天板11及び側壁12を含む。
【0014】
天板11は、チャンバ10の上部に設けられる。天板11は、例えば、上部電極として機能する。天板11は、例えば、金属である。
【0015】
側壁12は、ホルダ14の周囲を囲む。側壁12は、例えば、金属である。側壁12は、例えば、接地される。
【0016】
ホルダ14は、チャンバ10の中に設けられる。ホルダ14は、例えば、半導体ウェハWを載置する。半導体ウェハWは、基板の一例である。
【0017】
ホルダ14は、例えば、上面に図示しない静電チャックを含む。ホルダ14は、例えば、静電チャックを用いて半導体ウェハWを吸着する。
【0018】
ホルダ14は下部電極として機能する。ホルダ14には高周波電力が印加される。ホルダ14は、例えば、金属である。
【0019】
ホルダ14の内部には、例えば、図示しないヒータが設けられる。ヒータによって、ホルダ14の上に載置された半導体ウェハWを加熱することが可能である。
【0020】
高周波電源16は、ホルダ14に高周波電力を印加する機能を有する。高周波電源16は、ホルダ14に接続される。高周波電源16によりホルダ14に印加される高周波電力により、チャンバ10の中にプラズマを生成できる。
【0021】
ガス供給管18は、例えば、チャンバ10の上部に設けられる。ガス供給管18からチャンバ10にガスを供給する。
【0022】
ガス供給管18からは、例えば、エッチングガス又はクリーニングガスを供給可能である。エッチングガスは、例えば、半導体ウェハWに形成された被加工層のエッチングのために用いられる。クリーニングガスは、被加工層のエッチングにより生成された副生成物を除去するために用いられる。
【0023】
ガス排出管20は、例えば、チャンバ10の下部に設けられる。ガス排出管20から、例えば、消費されなかったエッチングガス、消費されなかったクリーニングガス、又は反応生成物がチャンバ10の外に排出される。
【0024】
排気装置22は、ガス排出管20に接続される。排気装置22は、例えば、真空ポンプである。
【0025】
複数のリフトピン26は、ホルダ14に載置された基板を、ホルダ14から天板11に向かう方向に押し上げる機能を有する。複数のリフトピン26は、例えば、下端がリフトピン支持板28に固定される。複数のリフトピン26は、例えば、ホルダ14を貫通する。
【0026】
図2は、第1の実施形態の半導体製造装置のホルダの上面図である。図3は、第1の実施形態の半導体製造装置のリフトピンの動作の説明図である。
【0027】
図2に示すように、例えば、4本のリフトピン26がホルダ14を貫通して設けられる。リフトピン26は、例えば、4本以上である。リフトピン26は、例えば、3本であっても構わない。リフトピン26は、ホルダ14を貫通せず、ホルダ14の内部に収まるように構成されても構わない。
【0028】
図3に示すように、リフトピン26は、ホルダ14から天板11に向かう方向に移動可能である。例えば、リフトピン支持板28が図示しない駆動機構を用いて駆動されることにより、リフトピン26が上下移動する。
【0029】
図3は、リフトピン26が最も天板11に近づいた状態を示す。ホルダ14の上面からリフトピン26の先端部までの距離(図3中のd2)は、ホルダ14と天板11との間の距離(図3中のd1)の70%以上である。言い換えれば、リフトピン26の先端部は、ホルダ14の上面から、ホルダ14と天板11との間の距離d1の70%以上の位置まで移動可能である。
【0030】
複数のプッシュピン30は、基板を、天板11からホルダ14に向かう方向に押し下げる機能を有する。複数のプッシュピン30は、例えば、上端がプッシュピン支持板32に固定される。複数のプッシュピン30は、例えば、天板11を貫通する。
【0031】
図4は、第1の実施形態の半導体製造装置の天板の下面図である。図5は、第1の実施形態の半導体製造装置のプッシュピンの動作の説明図である。
【0032】
図4に示すように、例えば、4本のプッシュピン30が天板11を貫通して設けられる。プッシュピン30は、例えば、4本以上である。プッシュピン30は、例えば、3本であっても構わない。プッシュピン30は、天板11を貫通せず、天板11の内部に収まるように構成されても構わない。
【0033】
図5に示すように、プッシュピン30は、天板11からホルダ14に向かう方向に移動可能である。例えば、プッシュピン支持板32が図示しない駆動機構を用いて駆動されることにより、プッシュピン30が上下移動する。
【0034】
例えば、ホルダ14に載置された半導体ウェハWは、チャンバ10の中の天板11とホルダ14との間に生成されるプラズマを用いて、異方性エッチングされる。
【0035】
次に、第1の実施形態の半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法について説明する。第1の実施形態の半導体装置の製造方法には、金属元素を含む層の反応性イオンエッチングによるエッチングと、エッチングによって生じる副生成物の除去方法が含まれる。
【0036】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、天板と側壁とを含むチャンバと、チャンバの中に設けられたホルダと、を備える反応性イオンエッチング装置のチャンバの中に、インジウム(In)を含む第1の層を有する第1の基板を搬入し、第1の基板をホルダの上に載置し、第1の層をエッチングするエッチング処理を行い、第1の基板をチャンバの外に搬出し、第1の基板をチャンバの外に搬出した後に、チャンバの中に、表面に樹脂層を有する第2の基板を搬入し、第2の基板をホルダの上に載置し、第2の基板を加熱し、第2の基板をホルダから天板に向かう方向に移動させて、樹脂層を天板に接触させ、第2の基板を冷却し、樹脂層を天板から離隔させ、第2の基板をチャンバの外に搬出する。
【0037】
図6図7図8図9図10、及び図11は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図である。
【0038】
最初に、RIE装置100のチャンバ10の中に、インジウム(In)を含む第1の層を有する半導体ウェハWを搬入する。半導体ウェハWは、第1の基板の一例である。半導体ウェハWは、例えば、シリコン基板である。
【0039】
第1の層は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む。第1の層は、例えば、酸化インジウムスズ層である。第1の層は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び酸素(O)を含む。第1の層は、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛層である。
【0040】
チャンバ10の中に、搬入した半導体ウェハWをホルダ14に載置する。
【0041】
次に、第1の層をエッチングするエッチング処理を行う(図6)。ガス供給管18から、エッチングガスとして、例えば、メタンガス(CH)と水素ガス(H)をチャンバ10の中に供給する。排気装置22を稼働させて、チャンバ10の中の圧力を減圧し所定の圧力に保つ。エッチングガスに、例えば、フッ素(F)を含むガスを用いることも可能である。
【0042】
次に、高周波電源16により、ホルダ14に高周波電力を印加する。高周波電源16により、ホルダ14に印加される高周波電力によりチャンバ10の中にプラズマが生成される。プラズマ中のイオン又はラジカルが半導体ウェハWに衝突し、第1の層がエッチングされる。
【0043】
次に、ホルダ14への高周波電力の印加を停止し、エッチングガスの供給を停止する。エッチング処理が終了する。エッチング処理の終了後、半導体ウェハWをチャンバ10の外に搬出する。
【0044】
エッチング処理の際に、インジウム(In)を含む副生成物40が、天板11の下面に付着する。インジウムを含む副生成物40は、例えば、酸化物である。エッチングガスがフッ素(F)を含む場合、インジウムを含む副生成物40は、例えば、フッ化物である。
【0045】
例えば、インジウム(In)を含む第1の層を有する半導体ウェハWのチャンバ10の中への搬入、第1の層のエッチング、及び、半導体ウェハWのチャンバ10の外への搬出を複数回繰り返す。
【0046】
次に、クリーニング用基板50を、チャンバ10の中に搬入する。クリーニング用基板50は、第2の基板又は基板の一例である。チャンバ10の中に、搬入したクリーニング用基板50をホルダ14に載置する(図7)。
【0047】
クリーニング用基板50は、支持層51と樹脂層52を含む。樹脂層52は支持層51の表面に設けられる。
【0048】
支持層51は、例えば、半導体層又は絶縁体層である。支持層51は、例えば、シリコン層である。
【0049】
樹脂層52は、例えば、熱可塑性樹脂を含む。樹脂層52は、例えば、熱可塑性樹脂である。
【0050】
樹脂層52は、例えば、ホットメルト型接着剤を含む。樹脂層52は、例えば、ホットメルト型接着剤である。
【0051】
樹脂層52の融点は、例えば、100℃以下である。
【0052】
樹脂層52は、例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルトリブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)、ポリオレフィン(PO)、ポリアミド(PA)、合成ゴム(SR)、アクリル(ACR)、及びポリウレタン(PUR)からなる群から選ばれる少なくとも一つの樹脂を含む。
【0053】
エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)、ポリオレフィン(PO)、ポリアミド(PA)、合成ゴム(SR)、アクリル(ACR)、及びポリウレタン(PUR)は、ホットメルト型接着剤である。
【0054】
次に、クリーニング用基板50を加熱する。クリーニング用基板50の加熱には、ヒータ24又はホルダ14内に設けられる図示しないヒータを用いる。
【0055】
クリーニング用基板50を加熱することにより、樹脂層52を軟化又は融解させる。クリーニング用基板50の加熱は、例えば、50℃以上200℃以下の温度で行う。
【0056】
次に、クリーニング用基板50をリフトピン26を用いて、ホルダ14から天板11に向かう方向に移動させる。クリーニング用基板50をリフトピン26で持ち上げる。クリーニング用基板50を天板11に接触させる(図8)。
【0057】
軟化又は融解した樹脂層52がインジウムを含む副生成物40を取り込む。樹脂層52が副生成物40をトラップする。
【0058】
次に、樹脂層52を冷却する。樹脂層52の冷却は、例えば、ヒータ24による加熱の停止と、自然冷却により行う。樹脂層52が凝固することで、樹脂層52と副生成物40の接着強度が上がる。
【0059】
次に、クリーニング用基板50を天板11から離隔させる(図9)。樹脂層52を天板11から離隔させる。
【0060】
クリーニング用基板50をプッシュピン30を用いて、天板11からホルダ14に向かう方向に移動させる。クリーニング用基板50を、プッシュピン30で押し下げる。
【0061】
樹脂層52と接着された副生成物40は、天板11から引き剥がされる。したがって、天板11の下面に付着していたインジウムを含む副生成物40が除去される。
【0062】
副生成物40をトラップしたクリーニング用基板50は、リフトピン26を用いて下降することで、ホルダ14に載置される(図10)。その後、クリーニング用基板50をチャンバ10の外に搬出する。
【0063】
次に、RIE装置のチャンバ10の中に、ダミーウェハDWを搬入する。ダミーウェハDWは、例えば、シリコン基板である。ダミーウェハDWは、例えば、酸素プラズマ処理の際に、ホルダ14の静電チャックの表面を保護する。
【0064】
次に、酸素プラズマ処理を行う(図11)。ガス供給管18から、チャンバ10の中への酸素ガス(O)の供給を開始する。排気装置22を稼働させて、チャンバ10の中の圧力を所定の圧力に保つ。ホルダ14への高周波電力の印加を開始することで、酸素プラズマが生成する。
【0065】
酸素プラズマにより、例えば、天板11の下面に付着した樹脂層52由来の樹脂が除去できる。
【0066】
次に、第1の実施形態の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法の作用及び効果について説明する。
【0067】
例えば、半導体デバイスを構成する酸化インジウムスズ層のような、インジウム(In)を含む層をRIE装置を用いてエッチングする場合、インジウム(In)を含む副生成物が、チャンバの内面に付着する。インジウムを含む副生成物は、例えば、チャンバの天板の下面に付着する。
【0068】
チャンバの天板の下面に付着した副生成物は、例えば、パーティクル発生の原因となる。チャンバ内で発生するパーティクルは、例えば、半導体デバイスの製造歩留まりを低下させる。したがって、チャンバの天板の下面に付着した副生成物を定期的に除去する必要がある。すなわち、チャンバのクリーニング処理を定期的に行う必要がある。
【0069】
インジウムを含む副生成物は蒸気圧が低い。言い換えれば、インジウムを含む副生成物は揮発しにくい。このため、例えば、加熱によりインジウムを含む副生成物を除去するためには、RIE装置の耐性を超える温度以上の高温が必要となる。
【0070】
そこで、例えば、チャンバを開放して、ウェットエッチング等によりインジウムを含む副生成物を除去する方法も考えられるが、この場合、クリーニング処理に要する時間が長くなり、半導体デバイス製造のターンアラウンドタイムが増加する。よって、例えば、半導体デバイスの製造コストが高くなる。
【0071】
第1の実施形態の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法では、クリーニング用基板50の樹脂層52に、チャンバ10の天板11の下面に付着したインジウムを含む副生成物40をトラップする。クリーニング用基板50を用いて、インジウムを含む副生成物40を除去することで、インジウムを含む副生成物40をチャンバを開放することなく、除去することが可能となる。よって、例えば、クリーニング処理に要する時間が短くなり、半導体デバイス製造のターンアラウンドタイムが減少する。
【0072】
第1の実施形態の半導体製造装置において、クリーニング用基板50の樹脂層52を確実に天板11に接触させる観点から、リフトピン26の先端部は、ホルダ14の上面から、ホルダ14と天板11との間の距離d1の80%以上の位置まで移動可能であることが好ましく、90%以上の位置まで移動可能であることがより好ましい。
【0073】
第1の実施形態の半導体製造装置において、リフトピン26の本数は4本以上であることが好ましい。リフトピン26の数が多くなることで、クリーニング用基板50の上下移動が安定する。
【0074】
第1の実施形態の半導体製造装置において、プッシュピン30を備えることが好ましい。クリーニング用基板50を天板11から離隔させることが容易となる。プッシュピン30を省略した装置構成とすることも可能である。
【0075】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法において、樹脂層52は熱可塑性樹脂であることが好ましい。樹脂層52の加熱と冷却による副生成物40のトラップが容易になる。
【0076】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法において、樹脂層52はホットメルト型接着剤を含むことが好ましい。樹脂層52と副生成物40の接着強度が高くなり、副生成物40の除去効率が高くなる。
【0077】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法において、樹脂層52の融点は100℃以下であることが好ましい。樹脂層52の加熱と冷却による副生成物40のトラップが容易になる。
【0078】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法において、クリーニング用基板50の加熱温度は、50℃以上200℃以下であることが好ましく、70℃以上100℃以下であることがより好ましい。上記下限値を上回ることで、樹脂層52の軟化又は融解が促進される。また、上記上限値を下回ることで、樹脂層52が過度に融解することが抑制できる。
【0079】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法においては、酸素プラズマ処理を行うことが、例えば、天板に残存する樹脂を除去する観点から好ましい。酸素プラズマ処理を省略した製造方法とすることも可能である。
【0080】
以上、第1の実施形態の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法によれば、チャンバを開放せずにインジウムを含む副生成物を除去することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体製造装置は、天板と側壁とを含むチャンバと、チャンバの中に設けられ、基板を載置するホルダと、ホルダに高周波電力を印加する高周波電源と、チャンバにガスを供給するガス供給管と、チャンバからガスを排出するガス排出管と、基板をホルダから天板に向かう方向に移動させる複数の支持部材であって、先端部が側壁からホルダに向かう方向に移動可能で、先端部が基板の下面を支持する複数の支持部材と、を備える。
【0082】
図12は、第2の実施形態の半導体製造装置の模式図である。第2の施形態の半導体製造装置は、反応性イオンエッチング装置(RIE装置)である。第2の実施形態の反応性イオンエッチング装置は、容量結合プラズマ装置(CCP装置)である。
【0083】
第2の実施形態のRIE装置200は、例えば、チャンバ10、ホルダ14、高周波電源16、ガス供給管18、ガス排出管20、排気装置22、ヒータ24、複数の支持ピン42、及び複数のガイドレール44を備える。支持ピン42は支持部材の一例である。ガイドレール44は、ガイド部の一例である。
【0084】
チャンバ10は、天板11及び側壁12を含む。天板11は、吸着孔11aを有する。
【0085】
天板11は、チャンバ10の上部に設けられる。天板11は、例えば、上部電極として機能する。天板11は、例えば、金属である。
【0086】
側壁12は、ホルダ14の周囲を囲む。側壁12は、例えば、金属である。側壁12は、例えば、接地される。
【0087】
ホルダ14は、チャンバ10の中に設けられる。ホルダ14は、例えば、半導体ウェハWを載置する。半導体ウェハWは、基板の一例である。
【0088】
ホルダ14は、例えば、上面に図示しない静電チャックを含む。ホルダ14は、例えば、静電チャックを用いて半導体ウェハWを吸着する。
【0089】
ホルダ14は下部電極として機能する。ホルダ14には高周波電力が印加される。ホルダ14は、例えば、金属である。
【0090】
ホルダ14の内部には、例えば、図示しないヒータが設けられる。ヒータによって、ホルダ14の上に載置された半導体ウェハWを加熱することが可能である。
【0091】
高周波電源16は、ホルダ14に高周波電力を印加する機能を有する。高周波電源16は、ホルダ14に接続される。高周波電源16によりホルダ14に印加される高周波電力により、チャンバ10の中にプラズマを生成できる。
【0092】
ガス供給管18は、例えば、チャンバ10の上部に設けられる。ガス供給管18からチャンバ10にガスを供給する。
【0093】
ガス供給管18からは、例えば、エッチングガス又はクリーニングガスを供給可能である。エッチングガスは、例えば、半導体ウェハWに形成された被加工層のエッチングのために用いられる。クリーニングガスは、被加工層のエッチングにより生成された副生成物を除去するために用いられる。
【0094】
ガス排出管20は、例えば、チャンバ10の下部に設けられる。ガス排出管20から、例えば、消費されなかったエッチングガス、消費されなかったクリーニングガス、又は反応生成物がチャンバ10の外に排出される。
【0095】
排気装置22は、ガス排出管20に接続される。排気装置22は、例えば、真空ポンプである。
【0096】
複数の支持ピン42は、ホルダ14に載置された基板を、ホルダ14から天板11に向かう方向に移動させる機能を有する。複数の支持ピン42は、例えば、ガイドレール44に支持される。
【0097】
ガイドレール44は、ホルダ14の周囲に設けられる。ガイドレール44は、ホルダ14から天板11に向かう方向に延びる。複数の支持ピン42は、ガイドレール44に沿って移動する。
【0098】
図13は、第2の実施形態の半導体製造装置の天板の下面図である。図14及び図15は、第2の実施形態の半導体製造装置の支持部材の動作の説明図である。
【0099】
図13に示すように、例えば、4つの吸着孔11aが天板11に設けられる。吸着孔11aは、例えば、図示しない真空ポンプに接続される。吸着孔11aは天板に基板を真空吸着させる機能を有する。
【0100】
図14に示すように、支持ピン42は、先端部が側壁12からホルダ14に向かう方向に移動可能である。言い換えれば、支持ピン42は、先端部が横方向に移動可能である。支持ピン42は、例えば、ガイドレール44に組み込まれた図示しない駆動機構で、横方向に移動される。支持ピン42は、横方向に移動することで、図示しない基板の下面を支持する。
【0101】
図15に示すように、支持ピン42は、ホルダ14から天板11に向かう方向に移動可能である。
支持ピン42は、図示しない基板を、ホルダ14から天板11に向かう方向に移動させることが可能である。支持ピン42は、上下方向に移動可能である。支持ピン42は、例えば、ガイドレール44に組み込まれた図示しない駆動機構で、ガイドレール44に沿って上下方向に移動される。
【0102】
例えば、ホルダ14に載置された半導体ウェハWは、チャンバ10の中の天板11とホルダ14との間に生成されるプラズマを用いて、異方性エッチングされる。
【0103】
次に、第2の実施形態の半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法について説明する。第2の実施形態の半導体装置の製造方法には、金属元素を含む層の反応性イオンエッチングによるエッチングと、エッチングによって生じる副生成物の除去方法が含まれる。
【0104】
第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、天板と側壁とを含むチャンバと、チャンバの中に設けられたホルダと、を備える反応性イオンエッチング装置のチャンバの中に、カバー部材を搬入し、カバー部材をホルダの上に載置し、カバー部材をホルダから天板に向かう方向に移動させて、天板の少なくとも一部をカバー部材で覆い、天板の少なくとも一部をカバー部材で覆った後に、インジウム(In)を含む第1の層を有する第1の基板を搬入し、第1の基板をホルダの上に載置し、第1の層をエッチングするエッチング処理を行い、第1の基板をチャンバの外に搬出し、第1の基板をチャンバの外に搬出した後に、カバー部材をチャンバの外に搬出する。
【0105】
図16図17図18図19図20図21、及び図22は、第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図である。
【0106】
最初に、RIE装置100のチャンバ10の中に、支持基板60の上に載置されたカバー部材62を搬入する。チャンバ10の中に、搬入した支持基板60及びカバー部材62をホルダ14に載置する(図16)。カバー部材62は、基板の一例である。
【0107】
支持基板60は、例えば、半導体ウェハである。支持基板60は、例えば、シリコン基板である。
【0108】
カバー部材62は、例えば、絶縁体である。カバー部材62は、例えば、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、又は、石英である。
【0109】
カバー部材62は、例えば、ガス供給管18に対応する位置にガスを通過させるための開口部を備える。
【0110】
カバー部材62のホルダ14に対向する面の表面粗さは、例えば、天板11のホルダ14に対向する面の表面粗さよりも大きい。言い換えれば、カバー部材62の下面の表面粗さは、例えば、天板11の下面の表面粗さよりも大きい。
【0111】
カバー部材62のホルダ14に対向する面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、天板11のホルダ14に対向する面の算術平均粗さ(Ra)よりも大きい。言い換えれば、カバー部材62の下面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、天板11の下面の算術平均粗さ(Ra)よりも大きい。
【0112】
次に、支持ピン42を横方向に移動させ、支持ピン42の先端部を、カバー部材62の下面とホルダ14の上面との間に挿入する(図17)。支持ピン42の先端部がカバー部材62の下面を支持することが可能となる。
【0113】
次に、カバー部材62をホルダ14から天板11に向かう方向に移動させる。支持ピン42をガイドレール44に沿って上方向に移動させることで、カバー部材62を上方向に移動する。カバー部材62で、天板11の少なくとも一部を覆う(図18)。
【0114】
例えば、カバー部材62の上面を、天板11の下面に接触させる。さらに、例えば、天板11に設けられた吸着孔11aから真空引きすることで、カバー部材62の上面を、天板11の下面に真空吸着させる。
【0115】
次に、支持基板60をチャンバ10の外に搬出する。
【0116】
次に、チャンバ10の中に、インジウム(In)を含む第1の層を有する半導体ウェハWを搬入する。半導体ウェハWは、第1の基板の一例である。半導体ウェハWは、例えば、シリコン基板である。
【0117】
第1の層は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む。第1の層は、例えば、酸化インジウムスズ層である。第1の層は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び酸素(O)を含む。第1の層は、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛層である。
【0118】
チャンバ10の中に、搬入した半導体ウェハWをホルダ14に載置する。
【0119】
次に、第1の層をエッチングするエッチング処理を行う(図19)。ガス供給管18から、エッチングガスとして、例えば、メタンガス(CH)と水素ガス(H)をチャンバ10の中に供給する。排気装置22を稼働させて、チャンバ10の中の圧力を減圧し所定の圧力に保つ。エッチングガスに、例えば、フッ素(F)を含むガスを用いることも可能である。
【0120】
次に、高周波電源16により、ホルダ14に高周波電力を印加する。高周波電源16により、ホルダ14に印加される高周波電力によりチャンバ10の中にプラズマが生成される。プラズマ中のイオン又はラジカルが半導体ウェハWに衝突し、第1の層がエッチングされる。
【0121】
次に、ホルダ14への高周波電力の印加を停止し、エッチングガスの供給を停止する。エッチング処理が終了する。エッチング処理の終了後、半導体ウェハWをチャンバ10の外に搬出する。
【0122】
エッチング処理の際に、インジウム(In)を含む副生成物40が、カバー部材62の下面に付着する。天板11の下面は、カバー部材62で覆われているため、インジウム(In)を含む副生成物40が付着しない。インジウムを含む副生成物40は、例えば、酸化物である。エッチングガスがフッ素(F)を含む場合、インジウムを含む副生成物40は、例えば、フッ化物である。
【0123】
例えば、インジウム(In)を含む第1の層を有する半導体ウェハWのチャンバ10の中への搬入、第1の層のエッチング、及び、半導体ウェハWのチャンバ10の外への搬出を複数回繰り返す。
【0124】
次に、支持基板60を、チャンバ10の中に搬入する。チャンバ10の中に搬入した支持基板60を、ホルダ14に載置する(図20)。
【0125】
次に、天板11に設けられた吸着孔11aからの真空引きを停止する。カバー部材62が天板から離脱可能となる。
【0126】
次に、カバー部材62を天板11からホルダ14に向かう方向に移動させる。支持ピン42を下方向に移動させることで、カバー部材62をガイドレール44に沿って下方向に移動する。カバー部材62を支持基板60の上に載置する(図21)。
【0127】
次に、インジウムを含む副生成物40が付着したカバー部材62を支持基板60と共に、チャンバ10の外への搬出する(図22)。
【0128】
次に、第2の実施形態の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法の作用及び効果について説明する。
【0129】
例えば、半導体デバイスを構成する酸化インジウムスズ層のような、インジウム(In)を含む層をRIE装置を用いてエッチングする場合、インジウム(In)を含む副生成物が、チャンバの内面に付着する。インジウムを含む副生成物は、例えば、チャンバの天板の下面に付着する。
【0130】
チャンバの天板の下面に付着した副生成物は、例えば、パーティクル発生の原因となる。チャンバ内で発生するパーティクルは、例えば、半導体デバイスの製造歩留まりを低下させる。したがって、チャンバの天板の下面に付着した副生成物を定期的に除去する必要がある。すなわち、チャンバのクリーニング処理を定期的に行う必要がある。
【0131】
インジウムを含む副生成物は蒸気圧が低い。言い換えれば、インジウムを含む副生成物は揮発しにくい。このため、例えば、加熱によりインジウムを含む副生成物を除去するためには、RIE装置の耐性を超える温度以上の高温が必要となる。
【0132】
そこで、例えば、チャンバを開放して、ウェットエッチング等によりインジウムを含む副生成物を除去する方法も考えられるが、この場合、クリーニング処理に要する時間が長くなり、半導体デバイス製造のターンアラウンドタイムが増加する。よって、例えば、半導体デバイスの製造コストが高くなる。
【0133】
第2の実施形態の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法では、天板11をカバー部材62で覆うことで、チャンバ10の天板11の下面にインジウムを含む副生成物40が付着することを防止する。カバー部材62は、チャンバ10を開放することなくチャンバ10内への搬入及びチャンバ10外への搬出が可能である。したがって、インジウムを含む副生成物40をチャンバを開放することなく、除去することが可能となる。よって、例えば、クリーニング処理に要する時間が短くなり、半導体デバイス製造のターンアラウンドタイムが減少する。
【0134】
第2の実施形態の半導体製造装置において、天板11が吸着孔11aを有することが好ましい。天板11にカバー部材62を安定して固定できる。天板11が吸着孔11aを有しない構成とすることも可能である。
【0135】
第2の実施形態の半導体製造装置の製造方法において、カバー部材62のホルダ14に対向する面の表面粗さは、天板11のホルダ14に対向する面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。カバー部材62のホルダ14に対向する面の表面粗さが大きいことで、カバー部材62に副生成物40が付着しやすく、かつ、取れにくくなる。したがって、例えば、カバー部材62による副生成物40の回収効率があがる。また、例えば、カバー部材62の移動中に装置内で、副生成物40がカバー部材62から脱離することが抑制される。
【0136】
第2の実施形態の半導体製造装置の製造方法において、カバー部材62を支持基板60の上に載置して、移動させることが好ましい。例えば、副生成物40が付着したカバー部材62の下面が、直接ホルダ14の表面に接すると、ホルダ14の表面に副生成物40が付着し汚染するおそれがある。なお、支持基板60を用いない構成とすることも可能である。また、カバー部材62の面積を、半導体ウェハWの面積より大きくしてもよい。カバー部材62で天板11の広い範囲を覆うことで、副生成物40がチャンバ10の内面へ付着することをより効果的に防止することが可能である。
【0137】
(第1の変形例)
第2の実施形態の第1の変形例の半導体製造装置は、ホルダは、ホルダの外周部に設けられ、上下方向に昇降可能なエッジリングを含み、支持部材の先端部は、基板とエッジリングの間に挿入可能である点で、第2の実施形態の半導体製造装置と異なる。
【0138】
図23は、第2の実施形態の第1の変形例の半導体製造装置の模式図である。
【0139】
第2の実施形態の第1の変形例のRIE装置201は、例えば、チャンバ10、ホルダ14、高周波電源16、ガス供給管18、ガス排出管20、排気装置22、ヒータ24、複数の支持ピン42、及び複数のガイドレール44を備える。支持ピン42は支持部材の一例である。ガイドレール44は、ガイド部の一例である。
【0140】
チャンバ10は、天板11及び側壁12を含む。天板11は、吸着孔11aを有する。ホルダ14は、エッジリング14aを含む。
【0141】
エッジリング14aは、ホルダ14の外周部に設けられる。エッジリング14aは、ホルダ14の外周領域でのエッチング特性を向上させるために設けられる。エッジリング14aは、上下方向に昇降可能である。
【0142】
図24は、第2の実施形態の第1の変形例の半導体製造装置の支持部材の動作の説明図である。
【0143】
第2の実施形態の第1の変形例のRIE装置201では、エッジリング14aを下降させた後に、支持ピン42を横方向に移動させる。そして、支持ピン42の先端部を、カバー部材62の下面とエッジリング14aの上面との間に挿入する。支持ピン42の先端部がカバー部材62の下面を支持することが可能となる。
【0144】
第2の実施形態の第1の変形例のRIE装置201を用いて、第2の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、チャンバを開放せずにインジウムを含む副生成物40を除去することができる。
【0145】
(第2の変形例)
第2の実施形態の第2の変形例の半導体製造装置は、複数の支持部材のそれぞれを支持し、天板に設けられ、上下方向に延びる支持棒を含む点で、第2の実施形態の半導体製造装置と異なる。
【0146】
図25は、第2の実施形態の第1の変形例の半導体製造装置の模式図である。
【0147】
第2の実施形態の第2の変形例のRIE装置202は、例えば、チャンバ10、ホルダ14、高周波電源16、ガス供給管18、ガス排出管20、排気装置22、ヒータ24、複数の支持ピン42、及び複数の支持アーム45を備える。支持ピン42は支持部材の一例である。支持アーム45は、支持棒の一例である。
【0148】
チャンバ10は、天板11及び側壁12を含む。天板11は、吸着孔11aを有する。ホルダ14は、エッジリング14aを含む。
【0149】
支持アーム45は、ホルダ14から天板11に向かう方向に延びる。支持アーム45は、上下方向に延びる。支持アーム45は、天板に設けられる。支持アーム45は、図示しない駆動機構を用いて上下方向に移動が可能である。支持アーム45は、支持ピン42を支持する。支持アーム45の下端に、支持ピン42が回転可能に取りつけられる。
【0150】
図26及び図27は、第2の実施形態の第2の変形例の半導体製造装置の支持部材の動作の説明図である。
【0151】
第2の実施形態の第2の変形例のRIE装置202では、例えば、図26に示すように、支持基板60とカバー部材62をホルダ14に載置させた後、支持ピン42を回転移動させることで、支持ピン42を横方向に移動させる。そして、支持ピン42の先端部を、カバー部材62の下面とホルダ14の上面との間に挿入する。支持ピン42の先端部がカバー部材62の下面を支持することが可能となる。
【0152】
その後、図27に示すように、支持ピン42を支持アーム45と共に上方向に移動させることにより、天板11をカバー部材62で覆うことができる。
【0153】
第2の実施形態の第2の変形例のRIE装置202を用いて、第2の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、チャンバを開放せずにインジウムを含む副生成物40を除去することができる。
【0154】
以上、第2の実施形態及び変形例の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法によれば、チャンバを開放せずにインジウムを含む副生成物を除去することができる。
【0155】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体製造装置は、天板と側壁とを含むチャンバと、チャンバの中に設けられ、基板を載置するホルダと、ホルダに高周波電力を印加する高周波電源と、チャンバにガスを供給するガス供給管と、チャンバからガスを排出するガス排出管と、基板をホルダから天板に向かう方向に押し上げる複数のリフトピンであって、先端部が、ホルダの上面から、ホルダと天板との間の距離の70%以上の位置まで移動可能な複数のリフトピンと、を備える。第3の実施形態の半導体製造装置は、天板は、基板の上面を天板に真空吸着させるための吸着孔を有する。
【0156】
図28は、第3の実施形態の半導体製造装置の模式図である。実第3の施形態の半導体製造装置は、反応性イオンエッチング装置(RIE装置)である。第3の実施形態の反応性イオンエッチング装置は、容量結合プラズマ装置(CCP装置)である。
【0157】
第3の実施形態のRIE装置300は、例えば、チャンバ10、ホルダ14、高周波電源16、ガス供給管18、ガス排出管20、排気装置22、ヒータ24、複数のリフトピン26、リフトピン支持板28を備える。
【0158】
チャンバ10は、天板11及び側壁12を含む。天板11は、吸着孔11aを有する。
【0159】
天板11は、チャンバ10の上部に設けられる。天板11は、例えば、上部電極として機能する。天板11は、例えば、金属である。
【0160】
吸着孔11aが天板11に設けられる。吸着孔11aは、例えば、図示しない真空ポンプに接続される。吸着孔11aは天板に基板を真空吸着させる機能を有する。
【0161】
側壁12は、ホルダ14の周囲を囲む。側壁12は、例えば、金属である。側壁12は、例えば、接地される。
【0162】
ホルダ14は、チャンバ10の中に設けられる。ホルダ14は、例えば、半導体ウェハWを載置する。半導体ウェハWは、基板の一例である。
【0163】
ホルダ14は、例えば、上面に図示しない静電チャックを含む。ホルダ14は、例えば、静電チャックを用いて半導体ウェハWを吸着する。
【0164】
ホルダ14は下部電極として機能する。ホルダ14には高周波電力が印加される。ホルダ14は、例えば、金属である。
【0165】
ホルダ14の内部には、例えば、図示しないヒータが設けられる。ヒータによって、ホルダ14の上に載置された半導体ウェハWを加熱することが可能である。
【0166】
高周波電源16は、ホルダ14に高周波電力を印加する機能を有する。高周波電源16は、ホルダ14に接続される。高周波電源16によりホルダ14に印加される高周波電力により、チャンバ10の中にプラズマを生成できる。
【0167】
ガス供給管18は、例えば、チャンバ10の上部に設けられる。ガス供給管18からチャンバ10にガスを供給する。
【0168】
ガス供給管18からは、例えば、エッチングガス又はクリーニングガスを供給可能である。エッチングガスは、例えば、半導体ウェハWに形成された被加工層のエッチングのために用いられる。クリーニングガスは、被加工層のエッチングにより生成された副生成物を除去するために用いられる。
【0169】
ガス排出管20は、例えば、チャンバ10の下部に設けられる。ガス排出管20から、例えば、消費されなかったエッチングガス、消費されなかったクリーニングガス、又は反応生成物がチャンバ10の外に排出される。
【0170】
排気装置22は、ガス排出管20に接続される。排気装置22は、例えば、真空ポンプである。
【0171】
複数のリフトピン26は、ホルダ14に載置された基板を、ホルダ14から天板11に向かう方向に押し上げる機能を有する。複数のリフトピン26は、例えば、下端がリフトピン支持板28に固定される。複数のリフトピン26は、例えば、ホルダ14を貫通する。
【0172】
リフトピン26は、ホルダ14から天板11に向かう方向に移動可能である。例えば、リフトピン支持板28が図示しない駆動機構を用いて駆動されることにより、リフトピン26が上下移動する。
【0173】
ホルダ14の上面からリフトピン26の先端部までの距離は、ホルダ14と天板11との間の距離の70%以上である。言い換えれば、リフトピン26の先端部は、ホルダ14の上面から、ホルダ14と天板11との間の距離の70%以上の位置まで移動可能である。
【0174】
例えば、ホルダ14に載置された半導体ウェハWは、チャンバ10の中の天板11とホルダ14との間に生成されるプラズマを用いて、異方性エッチングされる。
【0175】
次に、第3の実施形態の半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法について説明する。第3の実施形態の半導体装置の製造方法には、金属元素を含む層の反応性イオンエッチングによるエッチングと、エッチングによって生じる副生成物の除去方法が含まれる。
【0176】
第3の実施形態の半導体装置の製造方法は、天板と側壁とを含むチャンバと、チャンバの中に設けられたホルダと、を備える反応性イオンエッチング装置のチャンバの中に、インジウム(In)を含む第1の層を有する第1の基板を搬入し、第1の基板をホルダの上に載置し、第1の層をエッチングするエッチング処理を行い、第1の基板をチャンバの外に搬出し、第1の基板をチャンバの外に搬出した後に、チャンバの中に、表面に樹脂層を有する第2の基板を搬入し、第2の基板をホルダの上に載置し、第2の基板を加熱し、第2の基板をホルダから天板に向かう方向に移動させて、樹脂層を天板に接触させ、第2の基板を冷却し、樹脂層を天板から離隔させ、第2の基板をチャンバの外に搬出する。
【0177】
図29図30図31図32図33図34図35、及び図36は、第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例の説明図である。
【0178】
最初に、RIE装置100のチャンバ10の中に、支持基板60の上に載置されたカバー部材62を搬入する。チャンバ10の中に搬入した支持基板60及びカバー部材62を、ホルダ14に載置する(図29)。カバー部材62は、基板の一例である。
【0179】
支持基板60は、例えば、半導体ウェハである。支持基板60は、例えば、シリコン基板である。
【0180】
カバー部材62は、例えば、絶縁体である。カバー部材62は、例えば、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、又は、石英である。
【0181】
カバー部材62は、例えば、ガス供給管18に対応する位置にガスを通過させるための開口部を備える。
【0182】
カバー部材62のホルダ14に対向する面の表面粗さは、例えば、天板11のホルダ14に対向する面の表面粗さよりも大きい。言い換えれば、カバー部材62の下面の表面粗さは、例えば、天板11の下面の表面粗さよりも大きい。
【0183】
カバー部材62のホルダ14に対向する面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、天板11のホルダ14に対向する面の算術平均粗さ(Ra)よりも大きい。言い換えれば、カバー部材62の下面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、天板11の下面の算術平均粗さ(Ra)よりも大きい。
【0184】
次に、支持基板60及びカバー部材62をリフトピン26を用いて、ホルダ14から天板11に向かう方向に移動させる。支持基板60及びカバー部材62をリフトピン26で持ち上げる。カバー部材62で、天板11の少なくとも一部を覆う(図30)。
【0185】
例えば、カバー部材62の上面を、天板11の下面に接触させる。さらに、例えば、天板11に設けられた吸着孔11aから真空引きすることで、カバー部材62の上面を、天板11の下面に真空吸着させる。
【0186】
次に、支持基板60を、リフトピン26を用いて下降させる。支持基板60は、ホルダ14に載置される(図31)。
【0187】
次に、支持基板60をチャンバ10の外に搬出する。
【0188】
次に、チャンバ10の中に、インジウム(In)を含む第1の層を有する半導体ウェハWを搬入する。半導体ウェハWは、第1の基板の一例である。半導体ウェハWは、例えば、シリコン基板である。
【0189】
第1の層は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む。第1の層は、例えば、酸化インジウムスズ層である。第1の層は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び酸素(O)を含む。第1の層は、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛層である。
【0190】
チャンバ10の中に、搬入した半導体ウェハWをホルダ14に載置する。
【0191】
次に、第1の層をエッチングするエッチング処理を行う(図32)。ガス供給管18から、エッチングガスとして、例えば、メタンガス(CH)と水素ガス(H)をチャンバ10の中に供給する。排気装置22を稼働させて、チャンバ10の中の圧力を減圧し所定の圧力に保つ。エッチングガスに、例えば、フッ素(F)を含むガスを用いることも可能である。
【0192】
次に、高周波電源16により、ホルダ14に高周波電力を印加する。高周波電源16により、ホルダ14に印加される高周波電力によりチャンバ10の中にプラズマが生成される。プラズマ中のイオン又はラジカルが半導体ウェハWに衝突し、第1の層がエッチングされる。
【0193】
次に、ホルダ14への高周波電力の印加を停止し、エッチングガスの供給を停止する。エッチング処理が終了する。エッチング処理の終了後、半導体ウェハWをチャンバ10の外に搬出する。
【0194】
エッチング処理の際に、インジウム(In)を含む副生成物40が、カバー部材62の下面に付着する。天板11の下面は、カバー部材62で覆われているため、インジウム(In)を含む副生成物40付着しない。インジウムを含む副生成物40は、例えば、酸化物である。エッチングガスがフッ素(F)を含む場合、インジウムを含む副生成物40は、例えば、フッ化物である。
【0195】
例えば、インジウム(In)を含む第1の層を有する半導体ウェハWのチャンバ10の中への搬入、第1の層のエッチング、及び、半導体ウェハWのチャンバ10の外への搬出を複数回繰り返す。
【0196】
次に、支持基板60を、チャンバ10の中に搬入する。チャンバ10の中に搬入した支持基板60を、ホルダ14に載置する(図33)。
【0197】
次に、支持基板60を、リフトピン26を用いて、ホルダ14から天板11に向かう方向に移動させる。支持基板60をリフトピン26で持ち上げる。支持基板60をカバー部材62に接触させる(図34)。
【0198】
次に、天板11に設けられた吸着孔11aからの真空引きを停止する。カバー部材62が天板から離脱可能となる。
【0199】
次に、支持基板60及びカバー部材62を、リフトピン26を用いて下降させる。支持基板60及びカバー部材62は、ホルダ14に載置される(図35)。
【0200】
次に、インジウムを含む副生成物40が付着したカバー部材62を支持基板60と共に、チャンバ10の外への搬出する(図36)。
【0201】
次に、第3の実施形態の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法の作用及び効果について説明する。
【0202】
例えば、半導体デバイスを構成する酸化インジウムスズ層のような、インジウム(In)を含む層をRIE装置を用いてエッチングする場合、インジウム(In)を含む副生成物が、チャンバの内面に付着する。インジウムを含む副生成物は、例えば、チャンバの天板の下面に付着する。
【0203】
チャンバの天板の下面に付着した副生成物は、例えば、パーティクル発生の原因となる。チャンバ内で発生するパーティクルは、例えば、半導体デバイスの製造歩留まりを低下させる。したがって、チャンバの天板の下面に付着した副生成物を定期的に除去する必要がある。すなわち、チャンバのクリーニング処理を定期的に行う必要がある。
【0204】
インジウムを含む副生成物は蒸気圧が低い。言い換えれば、インジウムを含む副生成物は揮発しにくい。このため、例えば、加熱によりインジウムを含む副生成物を除去するためには、RIE装置の耐性を超える温度以上の高温が必要となる。
【0205】
そこで、例えば、チャンバを開放して、ウェットエッチング等によりインジウムを含む副生成物を除去する方法も考えられるが、この場合、クリーニング処理に要する時間が長くなり、半導体デバイス製造のターンアラウンドタイムが増加する。よって、例えば、半導体デバイスの製造コストが高くなる。
【0206】
第3の実施形態の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法では、天板11をカバー部材62で覆うことで、チャンバ10の天板11の下面にインジウムを含む副生成物40が付着することを防止する。カバー部材62は、チャンバ10を開放することなくチャンバ10内への搬入及びチャンバ10外への搬出が可能である。したがって、インジウムを含む副生成物40をチャンバを開放することなく、除去することが可能となる。よって、例えば、クリーニング処理に要する時間が短くなり、半導体デバイス製造のターンアラウンドタイムが減少する。
【0207】
第3の実施形態の半導体製造装置において、カバー部材62を確実に天板11に接触させる観点から、リフトピン26の先端部は、ホルダ14の表面から、ホルダ14と天板11との間の距離の80%以上の位置まで移動可能であることが好ましく、90%以上の位置まで移動可能であることがより好ましい。
【0208】
第3の実施形態の半導体製造装置において、リフトピン26の本数は4本以上であることが好ましい。リフトピン26の数が多くなることで、支持基板60及びカバー部材62の上下移動が安定する。
【0209】
第3の実施形態の半導体製造装置の製造方法において、カバー部材62のホルダ14に対向する面の表面粗さは、天板11のホルダ14に対向する面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。カバー部材62のホルダ14に対向する面の表面粗さが大きいことで、カバー部材62に副生成物40が付着しやすく、かつ、取れにくくなる。したがって、例えば、カバー部材62による副生成物40の回収効率があがる。また、例えば、カバー部材62の移動中に装置内で、副生成物40がカバー部材62から脱離することが抑制される。
【0210】
第3の実施形態の半導体製造装置の製造方法において、カバー部材62を支持基板60の上に載置して、移動させることが好ましい。例えば、副生成物40が付着したカバー部材62の下面が、直接ホルダ14の表面に接すると、ホルダ14の表面に副生成物40が付着し汚染するおそれがある。なお、支持基板60を用いない構成とすることも可能である。
【0211】
以上、第3の実施形態の半導体製造装置及び半導体装置の製造方法によれば、チャンバを開放せずにインジウムを含む副生成物を除去することができる。
【0212】
第1ないし第3の実施形態の半導体装置の製造方法で用いる半導体製造装置が、容量結合プラズマ装置(CCP装置)である場合を例に説明したが、実施形態の半導体装置の製造方法で用いる半導体製造装置は、CCP装置に限定されない。例えば、誘導結合プラズマ装置(ICP装置)を用いることも可能である。
【0213】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0214】
10 チャンバ
11 天板
11a 吸着孔
12 側壁
14 ホルダ
14a エッジリング
16 高周波電源
18 ガス供給管
20 ガス排出管
26 リフトピン
30 プッシュピン
42 支持ピン(支持部材)
44 ガイドレール(ガイド部)
45 支持アーム(支持棒)
50 クリーニング用基板(基板、第2の基板)
52 樹脂層
60 支持基板
62 カバー部材(基板)
100 RIE装置(半導体製造装置)
200 RIE装置(半導体製造装置)
300 RIE装置(半導体製造装置)
W 半導体ウェハ(基板、第1の基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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