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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044678
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150356
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】宮田 環
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270MA14
2H270MA17
2H270MC29
2H270MD02
2H270MH16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】リセット動作を行うのに伴って画像品位が低下するのを軽減することができるようにする。
【解決手段】現像剤担持体と、供給部材と、規制部材と、画像形成時及びリセット動作時に駆動部を駆動する駆動制御処理部Pr4と、画像形成時に、現像剤担持体に画像形成用の現像電圧を、供給部材に画像形成用の供給電圧を印加して、画像形成用の電位差を形成し、リセット動作時に、現像剤担持体にリセット動作用の現像電圧を、供給部材にリセット動作用の供給電圧を印加して、リセット動作用の電位差を形成する電圧制御処理部Pr5とを有する。リセット動作用の現像電圧及び供給電圧のうちの少なくとも一方が段階的に変更されて、画像形成用の現像電圧の絶対値とリセット動作用の供給電圧の絶対値との大小関係が逆にされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)潜像が担持される像担持体と対向させて回転自在に配設され、現像剤を保持するとともに、前記像担持体上に形成された潜像を現像して現像剤像を形成する現像剤担持体と、
(b)該現像剤担持体と対向させて回転自在に配設され、回転に伴って現像剤を現像剤担持体に供給する供給部材と、
(c)所定の部位を前記現像剤担持体に押し当てて配設され、現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材と、
(d)画像が媒体に形成される画像形成時、及び画像の形成が終了した後のリセット動作時に駆動部を駆動する駆動制御処理部と、
(e)前記画像形成時に、前記現像剤担持体に画像形成用の現像電圧を、前記供給部材に画像形成用の供給電圧を印加して、画像形成用の電位差を形成し、前記リセット動作時に、前記現像剤担持体にリセット動作用の現像電圧を、前記供給部材にリセット動作用の供給電圧を印加して、リセット動作用の電位差を形成する電圧制御処理部とを有するとともに、
(f)前記リセット動作用の現像電圧及び供給電圧のうちの少なくとも一方が段階的に変更されて、画像形成用の現像電圧の絶対値とリセット動作用の供給電圧の絶対値との大小関係が逆にされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記リセット動作用の現像電圧及び供給電圧のうちの少なくとも一方の変更量は、第1の段階において大きく、他の段階において小さくされる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記リセット動作用の現像電圧及び供給電圧のうちの少なくとも一方の変更量は、現像電圧の絶対値と供給電圧の絶対値との大小関係が逆にされるまでは大きく、現像電圧の絶対値と供給電圧の絶対値との大小関係が逆にされた後は小さくされる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電圧制御処理部は、画像形成装置の置かれている使用条件に基づいて、前記リセット動作用の現像電圧及び供給電圧のうちの少なくとも一方を段階的に変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記リセット動作用の現像電圧及び供給電圧のうちの少なくとも一方を段階的に変更する際の、各段階の動作時間は、供給部材が1回転する時間に基づいて設定される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電圧制御処理部は、前記規制部材に画像形成用の供給電圧及びリセット動作用の供給電圧を印加する請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
(a)潜像が担持される像担持体と対向させて回転自在に配設され、現像剤を保持するとともに、前記像担持体上に形成された潜像を現像して現像剤像を形成する現像剤担持体と、
(b)該現像剤担持体と対向させて回転自在に配設され、回転に伴って現像剤を現像剤担持体に供給する供給部材と、
(c)所定の部位を前記現像剤担持体に押し当てて配設され、現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材と、
(d)画像が媒体に形成される画像形成時、及び画像の形成が終了した後のリセット動作時に駆動部を駆動する駆動制御処理部と、
(e)前記画像形成時に、前記現像剤担持体に画像形成用の現像電圧を、前記供給部材に画像形成用の供給電圧を、前記規制部材に画像形成用の規制電圧を印加して、現像電圧と供給電圧との間、及び現像電圧と規制電圧との間に画像形成用の電位差を形成し、前記リセット動作時に、前記現像剤担持体にリセット動作用の現像電圧を、前記供給部材にリセット動作用の供給電圧を、前記規制部材にリセット動作用の規制電圧を印加して、現像電圧と供給電圧との間、及び現像電圧と規制電圧との間にリセット動作用の電位差を形成する電圧制御処理部とを有するとともに、
(f)リセット動作用の現像電圧、供給電圧及び規制電圧のうちの少なくとも一方が段階的に変更されて、画像形成用の現像電圧の絶対値とリセット動作用の供給電圧及び規制電圧の絶対値との大小関係が逆にされることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタには、画像形成ユニットが配設され、該画像形成ユニットにおいて、帯電ローラによって一様に帯電させられた感光体ドラムの表面が、露光装置、例えば、LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像がトナーを付着させることによって現像されてトナー像が形成され、該トナー像が転写ローラによって用紙に転写されることにより、画像が形成されるようになっている。
【0003】
前記画像形成ユニットには、感光体ドラムに当接させて現像ローラが、該現像ローラに当接させて規制ブレード及び供給ローラが配設され、現像ローラに現像電圧が、規制ブレード及び供給ローラに供給電圧が印加されると、供給ローラ上のトナーが現像ローラに供給され、規制ブレードによって現像ローラ上にトナー層が形成され、トナー層のトナーが前記静電潜像に付着させられる。
【0004】
ところで、画像が用紙に形成されるとき、すなわち、画像形成時には、供給ローラに印加される供給電圧の絶対値が現像ローラに印加される現像電圧の絶対値より大きくされ、トナーが現像ローラに付着するのが促進されるようになっているので、現像ローラ上でトナーが過剰に帯電したり、凝集したりすると、画像品位が低下してしまうことがある。
【0005】
そこで、画像形成時における現像電圧の絶対値と供給電圧の絶対値との大小関係を逆にしてリセット動作を行うようにしたプリンタが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-242394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、リセット動作が行われると、現像ローラと規制ブレードとの当接部でトナー塊が発生し、画像に斑点模様が形成されることがあり、画像品位が低下する恐れがある。
【0008】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、リセット動作を行うのに伴って画像品位が低下するのを軽減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明の画像形成装置においては、潜像が形成される像担持体と対向させて回転自在に配設され、現像剤を保持するとともに、前記像担持体上に形成された潜像を現像して現像剤像を形成する現像剤担持体と、該現像剤担持体と対向させて回転自在に配設され、回転に伴って現像剤を現像剤担持体に供給する供給部材と、所定の部位を前記現像剤担持体に押し当てて配設され、現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材と、画像が媒体に形成される画像形成時、及び画像の形成が終了した後のリセット動作時に駆動部を駆動する駆動制御処理部と、前記画像形成時に、前記現像剤担持体に画像形成用の現像電圧を、前記供給部材に画像形成用の供給電圧を印加して、画像形成用の電位差を形成し、前記リセット動作時に、前記現像剤担持体にリセット動作用の現像電圧を、前記供給部材にリセット動作用の供給電圧を印加して、リセット動作用の電位差を形成する電圧制御処理部とを有する。
【0010】
そして、前記リセット動作用の現像電圧及び供給電圧のうちの少なくとも一方が段階的に変更されて、画像形成用の現像電圧の絶対値とリセット動作用の供給電圧の絶対値との大小関係が逆にされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置においては、潜像が形成される像担持体と対向させて回転自在に配設され、現像剤を保持するとともに、前記像担持体上に形成された潜像を現像して現像剤像を形成する現像剤担持体と、該現像剤担持体と対向させて回転自在に配設され、回転に伴って現像剤を現像剤担持体に供給する供給部材と、所定の部位を前記現像剤担持体に押し当てて配設され、現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材と、画像が媒体に形成される画像形成時、及び画像の形成が終了した後のリセット動作時に駆動部を駆動する駆動制御処理部と、前記画像形成時に、前記現像剤担持体に画像形成用の現像電圧を、前記供給部材に画像形成用の供給電圧を印加して、画像形成用の電位差を形成し、前記リセット動作時に、前記現像剤担持体にリセット動作用の現像電圧を、前記供給部材にリセット動作用の供給電圧を印加して、リセット動作用の電位差を形成する電圧制御処理部とを有する。
【0012】
そして、前記リセット動作用の現像電圧及び供給電圧のうちの少なくとも一方が段階的に変更されて、画像形成用の現像電圧の絶対値とリセット動作用の供給電圧の絶対値との大小関係が逆にされる。
【0013】
この場合、画像形成時に、前記現像剤担持体に画像形成用の現像電圧が、前記供給部材に画像形成用の供給電圧が印加されて、画像形成用の電位差が形成され、リセット動作時に、前記現像剤担持体にリセット動作用の現像電圧が、前記供給部材にリセット動作用の供給電圧が印加されて、リセット動作用の電位差が形成されるとともに、画像形成用の現像電圧の絶対値とリセット動作用の供給電圧の絶対値との大小関係が逆にされるので、現像剤担持体上で現像剤が過剰に帯電したり、凝集したりするのを防止することができる。
【0014】
したがって、画像に汚れ、白抜けによる縦筋等が形成されるような画像品位の低下を軽減することができる。
【0015】
また、前記リセット動作用の現像電圧及び供給電圧のうちの少なくとも一方が段階的に変更されるので、電位差の変化量が少なくなり、規制部材に正規帯電とは逆の極性に帯電させられた現像剤が付着するのが軽減される。したがって、画像に斑点模様が形成されるような画像品位の低下を一層軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの概念図である。
図4】参考例のプリンタにおける制御部の動作を示すフローチャートである。
図5】参考例のプリンタにおける印加電圧のタイムチャートである。
図6】参考例のプリンタにおける印加電圧テーブルの例を示す図である。
図7】参考例のプリンタにおける画像形成ユニットの要部概念図である。
図8】本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の第1の実施の形態における印加電圧テーブルの例を示す図である。
図10】本発明の第1の実施の形態における印加電圧のタイムチャートである。
図11】本発明の第2の実施の形態における制御部の動作を示す第1のフローチャートである。
図12】本発明の第2の実施の形態における制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0018】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図、図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの概念図である。
【0019】
図2において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の筐体、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体であり、該装置本体Bdの下部に媒体収容部としての給紙カセット11が配設され、該給紙カセット11のスタッカSt1に媒体としての用紙Pが載置される。また、給紙カセット11の前端に隣接させて、用紙Pを1枚ずつ分離させて給紙するための給紙機構12が配設される。
【0020】
該給紙機構12は、繰出部材としてのホッピングローラ13及び図示されない分離装置から成り、給紙機構12によって1枚ずつ分離させられて媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に給紙された用紙Pは、搬送部材としてのレジストローラ対m1に送られた後、画像形成部QAに送られる。
【0021】
該画像形成部QAは、装置本体Bdに対して着脱自在に配設されたブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像を形成する画像形成ユニット16i(i=Bk、Y、M、C)、各画像形成ユニット16iが備える像担持体としての感光体ドラム18と対向させて配設された露光装置としてのLEDヘッドHd等を備える。
【0022】
前記各画像形成ユニット16iは、画像形成ユニット16iの本体、すなわち、ユニット本体21に対して着脱自在に配設され、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジCtを備える。前記トナーは、着色剤、結着樹脂及びワックスを混合し、凝集させて形成された母粒子、並びに母粒子に添加された外添剤から成り、1粒当たりの体積平均粒子径が約6〔μm〕にされる。本実施の形態においては、負帯電性のトナーが使用され、該トナーは正規帯電させられる場合に負の極性に帯電させられる。トナーカートリッジCtの一部には、後述される第1のクリーニング装置C1から供給された廃棄現像剤としての廃トナーを収容するための廃棄現像剤収容部としての廃トナー収容部Rmが形成される。
【0023】
前記ユニット本体21は、トナーカートリッジCtの下方に形成され、トナーカートリッジCtから供給されたトナーを貯蔵するトナー貯蔵部23、前記感光体ドラム18、該感光体ドラム18の表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ24、トナーを保持する現像剤担持体としての現像ローラ25、前記トナー貯蔵部23内のトナーを現像ローラ25に供給する供給部材としての供給ローラ26、前記トナー貯蔵部23内のトナーを攪拌する攪拌部材27、現像ローラ25に供給されたトナーの層厚を規制し、現像ローラ25上に均一なトナー層を形成する規制部材としての規制ブレード28、感光体ドラム18上に残留したトナーを除去する前記第1のクリーニング装置C1、感光体ドラム18の表面を除電する除電装置29等を備える。なお、前記現像ローラ25、供給ローラ26及び規制ブレード28によって、現像器が構成される。
【0024】
前記感光体ドラム18は、アルミニウム等の導体に感光層を塗布することによって形成され、直径が30〔mm〕の円筒形の形状を有し、回転自在に配設され、一方の端部に図示されないギヤを備え、後述される第1の駆動部としての画像形成用の駆動モータ(ドラムモータ)M1(図1)からの回転を受け、矢印方向に回転させられる。
【0025】
前記帯電ローラ24は、感光体ドラム18と対向させて(感光体ドラム18に当接させて)回転自在に配設され、感光体ドラム18の回転に伴って、連れ回りで矢印方向に回転させられる。
【0026】
前記現像ローラ25は、ステンレス等の金属製の軸に、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の導電性を有する発泡性の弾性体を被覆することによって形成され、一方の端部に図示されないギヤを備え、前記感光体ドラム18と対向させて(感光体ドラム18に当接させて)回転自在に配設され、前記駆動モータM1からの回転を受け、矢印方向に回転させられる。
【0027】
本実施の形態において、現像ローラ25の回転数は感光体ドラム18の回転数の約2.4倍にされる。また、現像ローラ25の軸の他方の端部に接点が形成され、該接点を介して、後述される現像電圧制御部Dr4によって現像ローラ25に現像電圧が印加される。
【0028】
前記供給ローラ26は、ステンレス等の金属製の軸に、シリコーンゴム等の導電性を有する発泡性の弾性体を被覆することによって形成され、一方の端部に図示されないギヤを備え、前記現像ローラ25と対向させて(現像ローラ25に当接させて)回転自在に配設され、前記駆動モータM1からの回転を受け、矢印方向に回転させられる。
【0029】
本実施の形態において、供給ローラ26の回転数は感光体ドラム18の回転数の約1.6倍にされる。また、供給ローラ26の軸の他方の端部に接点が形成され、該接点を介して、後述される供給電圧制御部Dr5によって供給ローラ26に供給電圧が印加される。
【0030】
前記規制ブレード28は、ステンレス等の薄板から成る弾性体ブレードであり、一方の端部が、ユニット本体21に形成された図示されないホルダに固定され、他方の端部側の所定の部位が現像ローラ25に押し当てて配設される。また、規制ブレード28は、一方の端部側に形成された接点を介して供給ローラ26の軸と導通させられ、前記供給電圧制御部Dr5によって規制ブレード28に供給電圧が印加される。
【0031】
第1のクリーニング装置C1は、感光体ドラム18に当接させて配設されたクリーニング部材としてのクリーニングブレードb1を備え、該クリーニングブレードb1は、ゴム等の弾性体ブレードから成り、感光体ドラム18に付着したトナーを掻き取り、除去する。第1のクリーニング装置C1は、スパイラルから成る搬送装置Spを備え、該搬送装置Spは、感光体ドラム18から除去されたトナーを廃トナーとして前記廃トナー収容部Rmに送る。
【0032】
除電装置29は、図示されない複数のLEDチップが基板上に配列されたデバイスであり、感光体ドラム18と対向させて配設され、感光体ドラム18の表面を均一に露光し、除電する。
【0033】
前記LEDヘッドHdは、感光体ドラム18の主走査方向に配設された発光素子としての図示されないLED素子、LED駆動素子、レンズアレイ等から成り、LED素子からの照射光が感光体ドラム18の表面に結像する位置に配設され、感光体ドラム18の表面を露光し、潜像としての静電潜像を形成する。
【0034】
各画像形成ユニット16iにおいて、感光体ドラム18は、回転に伴って表面が、帯電ローラ24によって一様に帯電させられ、LEDヘッドHdによって露光されて、表面に静電潜像が形成される。
【0035】
トナーカートリッジCtからトナー貯蔵部23に供給されたトナーが、供給ローラ26の回転に伴って現像ローラ25に供給され、規制ブレード28によって層厚が規制されて、現像ローラ25上に均一なトナー層が形成される。このとき、トナーは、供給ローラ26及び規制ブレード28との摩擦によって負の極性に帯電させられ、負帯電トナーになる。
【0036】
そして、前記静電潜像は、前記現像ローラ25上のトナーが静電的に付着させられることによって現像され、これにより、感光体ドラム18上に現像剤像としてのトナー像が形成される。
【0037】
また、前記画像形成部QAの下方に、転写ユニットu1が装置本体Bdに対して着脱自在に配設される。前記転写ユニットu1は、第1のローラとしての駆動ローラr1、第2のローラとしての従動ローラr2、駆動ローラr1及び従動ローラr2によって走行自在に張設された無端状のベルト部材としての、かつ、搬送ベルトとしての転写ベルト31、該転写ベルト31の上方ベルト部31aを挟んで前記感光体ドラム18と対向させて回転自在に配設された転写部材としての転写ローラ32、前記転写ベルト31の下方ベルト部31bと対向させて配設された第2のクリーニング装置C2等を備える。該第2のクリーニング装置C2は、前記転写ベルト31に付着したトナーを掻き取り、除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレードb2を備える。
【0038】
前記転写ローラ32は、導電性を有する発泡性の弾性体から成り、感光体ドラム18上に形成されたトナー像を用紙P又は転写ベルト31に転写する。
【0039】
前記用紙搬送路Rt1における画像形成部QA及び転写ユニットu1より下流側に、媒体検出部としての用紙センサs1が配設され、該用紙センサs1は、画像形成部QAと転写ユニットu1との間から排出された用紙Pの有無を検出する。
【0040】
また、前記用紙センサs1より下流側に、定着装置としての定着器35が装置本体Bdに対して着脱自在に配設される。前記定着器35は、回転自在に配設され、内部に加熱部材としての図示されないハロゲンランプを備えた第1の定着部材としての加熱ローラ36、及び該加熱ローラ36と対向させて回転自在に配設された第2の定着部材としての加圧ローラ37を備える。
【0041】
前記プリンタ10において、前記駆動モータM1が駆動されると、ホッピングローラ13及びレジストローラ対m1が回転させられ、用紙Pが給紙カセット11から用紙搬送路Rt1に給紙され、用紙搬送路Rt1を搬送される。
【0042】
また、前記駆動モータM1が駆動されると、駆動ローラr1が矢印方向に回転させられ、転写ベルト31が矢印A方向に走行させられる。画像形成ユニット16iに供給された用紙Pは、転写ベルト31の走行に伴って搬送され、各感光体ドラム18と各転写ローラ32との間を通過し、各画像形成ユニット16iにおいて各感光体ドラム18に形成されたブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のトナー像が感光体ドラム18と転写ローラ32との間に形成される電場により用紙Pに順次重ねて移動させられ、用紙P上にカラーのトナー像が形成される。
【0043】
そして、後述される第2の駆動部としての定着用の定着モータM2が駆動されると、加熱ローラ36及び加圧ローラ37が回転させられるとともに、排出部材としての排出ローラ対m2が回転させられ、用紙Pは、定着器35に送られ、該定着器35において、加熱ローラ36によって加熱され、加圧ローラ37によって加圧されてカラーのトナー像が定着させられ、カラーの画像が形成され、定着器35から排出された後、排出ローラ対m2によって装置本体Bd外に排出され、筐体Csの頂部に形成されたスタッカSt2に積載される。
【0044】
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
【0045】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【0046】
図1において、10はプリンタ、50は制御部、IFは、プリンタ10と図示されないホストコンピュータとを接続し、ホストコンピュータから印刷データ、印刷命令(制御コマンド)等から成る印刷ジョブを受信したり、プリンタ10のステータス情報をホストコンピュータに送信したりする通信部としてのインタフェース部である。
【0047】
また、51は、各画像形成ユニット16iのトナーカートリッジCt(図3)に取り付けられ、インタフェース部IFを介して制御部50と接続される第1の記憶部としてのRFIDタグ、52は第2の記憶部としてのフラッシュROM、53は第3の記憶部としてのRAM、54は操作・表示部としての操作パネル、s1は用紙センサ、s2はプリンタ10の置かれた環境である温度及び湿度を検出する環境検出部、TMは、年月日及び時刻から成る日時を計時したり、経過時間を計時したりする計時装置としてのタイマである。
【0048】
そして、Dr1は、制御部50によって生成される印刷タイミングに従い、駆動モータM1及び定着モータM2を駆動する駆動制御部、Dr2は、後述される画像データ、制御部50によって定められた制御条件等に基づいて、所定の発光タイミングでLEDヘッドHdを駆動し、所定の発光量で感光体ドラム18を露光する露光制御部、Dr3は帯電ローラ24に帯電電圧を印加する帯電電圧制御部、Dr4は現像ローラ25に現像電圧を印加する現像電圧制御部、Dr5は供給ローラ26及び規制ブレード28に供給電圧を印加する供給電圧制御部、Dr6は転写ローラ32に転写電圧を印加する転写電圧制御部である。
【0049】
さらに、55は、前記駆動制御部Dr1から駆動モータM1に送られる駆動信号に基づいて、感光体ドラム18の回転量を表す累積回転距離Ldを検出するドラム回転量検出部、56は、露光制御部Dr2からLEDヘッドHdに送られるヘッド駆動信号に基づいて、LEDヘッドHdの累積の発光ドット数Dhを検出する発光ドット検出部である。
【0050】
前記制御部50は、演算装置としての図示されないCPU、図示されない入出力ポート等を備え、プリンタ10の全体の制御を行うとともに、フラッシュROM52に記録されたプログラム(ソフトウェア)、制御データ等に基づいて各種の処理を行う。
【0051】
前記RFIDタグ51には、トナーカートリッジCtの交換日時、トナーカートリッジCtに充填されたトナーの量、トナーカートリッジCt内の未使用トナー量Tf等の現像剤情報としてのトナー情報が記録される。
【0052】
前記フラッシュROM52には、前記プログラム、制御部50が前記各種の処理を行うために必要な設定値、閾値等のほかに、LEDヘッドHdが単位ドット数発光させられることによって感光体ドラム18に形成された静電潜像に付着させられるトナーの量を表す単位トナー消費量Tuが記録される。また、前記フラッシュROM52には、後述される画像形成時及びリセット動作時に、帯電ローラ24に印加される帯電電圧、現像ローラ25に印加される現像電圧、供給ローラ26及び規制ブレード28に印加される供給電圧等の各印加電圧が記録された印加電圧テーブルTb1(図9)が記録される。
【0053】
そして、前記RAM53には、前記印刷データに基づいて生成され、印刷を行うための画像データのほかに、プログラムの実行に伴って生成される各種情報が一時的に記録される。なお、RAM53は、前記CPUが演算を行う際にワークエリアとして機能する。
【0054】
前記操作パネル54は、操作者がプリンタ10への指示を入力するための図示されないスイッチ、キー等から成る操作部63、及びプリンタ10の状態を表示するための図示されないLED画面等から成る表示部64を備える。
【0055】
また、前記制御部50は、印刷処理部Pr1、デューティ算出処理部Pr2、現像剤残量算出処理部としてのトナー残量算出処理部Pr3、駆動制御処理部Pr4、電圧制御処理部Pr5等を備える。
【0056】
印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、ホストコンピュータから印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブごとに印刷データを画像データに変換し、該画像データに基づいてLEDヘッドHdを駆動して用紙Pに画像を形成し、印刷を行う。
【0057】
デューティ算出処理部Pr2は、デューティ算出処理を行い、前記ドラム回転量検出部55によって検出された累積回転距離Ldに対する、前記発光ドット検出部56によって検出された発光ドット数Dhの比γ
γ=Dh/Ld
、すなわち、印刷面積に対するLEDヘッドHdの露光面積比率を印刷デューティとして算出する。
【0058】
トナー残量算出処理部Pr3は、現像剤残量算出処理としてのトナー残量算出処理を行い、前記発光ドット検出部56によって検出された発光ドット数Dhを読み込むとともに、前記RFIDタグ51から未使用トナー量Tfを、フラッシュROM52から単位トナー消費量Tuを読み出し、トナーカートリッジCt内のトナー残量TR
TR=Tf-Tu×Dh
を算出する。
【0059】
駆動制御処理部Pr4は、駆動制御処理を行い、駆動制御部Dr1によって駆動モータM1及び定着モータM2を駆動する。
【0060】
電圧制御処理部Pr5は、電圧制御処理を行い、帯電電圧制御部Dr3によって帯電ローラ24に印加される帯電電圧、現像電圧制御部Dr4によって現像ローラ25に印加される現像電圧、供給電圧制御部Dr5によって供給ローラ26及び規制ブレード28に印加される供給電圧、並びに転写電圧制御部Dr6によって転写ローラ32に印加される転写電圧を制御する。
【0061】
ところで、画像形成部QA(図2)において形成されたトナー像が転写ユニットu1によって用紙Pに転写されるとき、すなわち、画像形成時には、トナーが現像ローラ25に付着するのを促進するために、供給ローラ26に印加される供給電圧の絶対値が現像ローラ25に印加される現像電圧の絶対値より大きくされる。すなわち、本実施の形態においては、負帯電性のトナーが使用されるので、供給電圧がトナーの帯電極性である負の極性側において現像電圧より大きくされる。
【0062】
ところが、供給電圧及び現像電圧が供給ローラ26及び現像ローラ25に印加される間画像形成時の供給電圧及び現像電圧の値が維持されると、画像品位が低下してしまう場合がある。これを回避する手段としては、例えば、画像の形成が終了し、最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過した後に、供給電圧及び現像電圧の大小関係を逆にしてリセット動作を行うことが有効であると考えられる。
【0063】
次に、画像の形成が終了した後にリセット動作を行うようにした参考例のプリンタについて説明する。
【0064】
図4は参考例のプリンタにおける制御部の動作を示すフローチャート、図5は参考例のプリンタにおける印加電圧のタイムチャート、図6は参考例のプリンタにおける印加電圧テーブルの例を示す図である。なお、図5においては、駆動モータM1の駆動状態がオンで表され、停止状態がオフで表される。
【0065】
参考例のプリンタ10において、ホストコンピュータからプリンタ10にインタフェース部IFを介して印刷ジョブが送られると、タイミングt1で、前記印刷処理部Pr1は画像の形成を開始し、前記駆動制御処理部Pr4は駆動モータM1及び定着モータM2を駆動する(ステップS1)。
【0066】
また、電圧制御処理部Pr5は、前記タイミングt1で、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に画像形成用の第1の印加電圧を印加する(ステップS2)。
【0067】
すなわち、前記電圧制御処理部Pr5は、図6に示されるように、帯電ローラ24に画像形成用の第1の帯電電圧Vc1
Vc1=-1000〔V〕
を、現像ローラ25に画像形成用の第1の現像電圧Vd1
Vd1=-150〔V〕
を、供給ローラ26及び規制ブレード28に画像形成用の第1の供給電圧Vs1
Vs1=-300〔V〕
を印加する。
【0068】
画像形成時においては、現像ローラ25上にトナーを付着させるために、第1の供給電圧Vs1が第1の現像電圧Vd1に対して、トナーの帯電極性側である負の極性側に大きい値にされる。
【0069】
これにより、第1の現像電圧Vd1から第1の供給電圧Vs1を減算した値である画像形成用の第1の電位差δ1
δ1=Vd1-Vs1
=-150-(-300)
=+150〔V〕
が正の極性の値で形成される。
【0070】
続いて、印刷ジョブのすべての印刷データについての画像が形成されると、印刷処理部Pr1は、用紙センサs1(図1)のセンサ出力を読み込み、最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過するのを待機する(ステップS3)。
【0071】
最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過すると、電圧制御処理部Pr5は、タイミングt2で、リセット動作を開始し、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28にリセット動作用の第2の印加電圧を印加する(ステップS4)。
【0072】
すなわち、電圧制御処理部Pr5は、図6に示されるように、帯電ローラ24にリセット動作用の第2の帯電電圧Vc2
Vc2=-1050〔V〕
を、現像ローラ25にリセット動作用の第2の現像電圧Vd2
Vd2=-200〔V〕
を、供給ローラ26及び規制ブレード28にリセット動作用の第2の供給電圧Vs2
Vs2=-100〔V〕
を印加する。
【0073】
リセット動作時に、電圧制御処理部Pr5は、第2の現像電圧Vd2及び第2の供給電圧Vs2のうちの少なくとも一方、参考例においては、第2の現像電圧Vd2及び第2の供給電圧Vs2を、第1の現像電圧Vd1及び第1の供給電圧Vs1に対して変更し、これにより、第2の現像電圧Vd2から第2の供給電圧Vs2を減算した値である第2の電位差δ2
δ2=Vd2-Vs2
=-200-(-100)
=-100〔V〕
が、第1の電位差δ1とは逆の極性、すなわち、負の極性の値として形成される。
【0074】
このように、参考例のプリンタ10においては、リセット動作時の第2の電位差δ2の極性が画像形成時の第1の電位差δ1と逆の極性にされるので、現像ローラ25上の負帯電トナーが供給ローラ26及び規制ブレード28に移動させられる。
【0075】
これにより、現像ローラ25上でトナーが過剰に帯電したり、凝集したりするのを防止することができるだけでなく、トナー、供給ローラ26等の摩耗粉等をトナーの移動とともに除去することができるので、画像に汚れ、白抜けによる縦筋等が形成されることがなく、画像品位が低下するのを軽減することができる。
【0076】
なお、リセット動作時に感光体ドラム18(図2)にトナーが付着すると、画像にかぶり、汚れ等が発生し、画像品位が低下する恐れがあるので、電圧制御処理部Pr5は、現像電圧Vdが変化するのに対応させて帯電電圧Vcも変化させるようにしている。
【0077】
リセット動作は、現像ローラ25上の負帯電トナーを供給ローラ26及び規制ブレード28に移動させるために、現像ローラ25が1回転する時間に基づいて設定され、該時間以上の動作時間τ1行われる。
【0078】
そこで、駆動制御処理部Pr4は、各画像形成ユニット16iにおいて、タイミングt2から動作時間τ1が経過するのを待機し(ステップS5)、動作時間τ1が経過すると、タイミングt3で、駆動モータM1及び定着モータM2を停止させ(ステップS6)、電圧制御処理部Pr5は、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28への第2の印加電圧の印加を停止させる(ステップS7)。
【0079】
なお、現像ローラ25が1回転する時間は印刷速度によって異なるが、用紙Pの搬送速度を表す感光体ドラム18の表面の線速を150〔mm/s〕とすると、感光体ドラム18と現像ローラ25との回転数の関係から265〔ms〕になる。すなわち、動作時間τ1は265〔ms〕以上にされる。
【0080】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 駆動制御処理部Pr4は駆動モータM1及び定着モータM2を駆動する。
ステップS2 電圧制御処理部Pr5は第1の印加電圧を印加する。
ステップS3 印刷処理部Pr1は最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過するのを待機する。最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過した場合はステップS4に進む。
ステップS4 電圧制御処理部Pr5は第2の印加電圧を印加する。
ステップS5 駆動制御処理部Pr4は動作時間τ1が経過するのを待機する。動作時間τ1が経過した場合はステップS6に進む。
ステップS6 駆動制御処理部Pr4は駆動モータM1及び定着モータM2を停止させる。
ステップS7 電圧制御処理部Pr5は第2の印加電圧の印加を停止させ、処理を終了する。
【0081】
ところで、前記参考例のプリンタ10においては、リセット動作が行われると、画像にまだらな斑点模様が形成されてしまうことがある。
【0082】
図7は参考例のプリンタにおける画像形成ユニットの要部概念図である。
【0083】
図7において、16iは画像形成ユニット、21はユニット本体、25は現像ローラ、26は供給ローラ、27は攪拌部材、28は規制ブレード、Ctはトナーカートリッジである。
【0084】
供給ローラ26上には、本来、負帯電トナーが保持されるようになっているが、負帯電トナーが外力を受ける等して正の極性に帯電させられたトナー、すなわち、正帯電トナーになることがある。そして、該正帯電トナーが、リセット動作時において、電位差が第1の電位差δ1から第2の電位差δ2に切り替わる際に現像ローラ25に付着し、現像ローラ25と規制ブレード28との当接部である規制ニップ部を通過した後に規制ブレード28の領域Ar1に付着することがあり、付着したトナーが規制ブレード28から剥がれ、現像ローラ25に付着すると、画像に斑点模様が形成される。
【0085】
なお、正帯電トナーは、リセット動作時において電位差が切り替わるのに伴って現像ローラ25に付着するので、供給ローラ26が1周する間だけ現像ローラ25に付着し、規制ブレード28に付着する。しかも、規制ブレード28から剥がれるトナーの量は電位差が切り替わった直後が最も多く、その後、徐々に少なくなる。
【0086】
したがって、画像の斑点模様は、リセット動作直後、すなわち、リセット動作時に印刷ジョブを受け、次の印刷データについて画像の形成を開始したときに顕著に形成されやすくなるが、リセット動作直後でなくても、規制ブレード28にトナーが付着していると、斑点模様が形成される。
【0087】
しかも、規制ブレード28から剥がれたトナーが、現像ローラ25に付着することなくユニット本体21内を落下し、クリーニング装置C1によって回収されたり、装置本体Bd内を落下し、転写ベルト31によって搬送され、クリーニング装置C2によって回収されたりすると、トナーが無駄に消費されることになる。
【0088】
このことから、本実施の形態においては、画像形成時に、現像ローラ25上でトナーが過剰に帯電したり、凝集したりすることがないだけでなく、リセット動作時に、規制ブレード28に付着したトナーが剥がれて現像ローラ25に付着することがないようにしている。
【0089】
次に、本実施の形態におけるリセット動作について説明する。
【0090】
図8は本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示すフローチャート、図9は本発明の第1の実施の形態における印加電圧テーブルの例を示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における印加電圧のタイムチャートである。なお、図10においては、駆動モータM1の駆動状態がオンで表され、停止状態がオフで表される。
【0091】
ホストコンピュータからプリンタ10にインタフェース部IFを介して印刷ジョブが送られると、駆動制御処理部Pr4は、駆動制御部Dr1に駆動モータM1及び定着モータM2の駆動タイミング、印刷速度等の駆動情報を送り、電圧制御処理部Pr5は、帯電電圧制御部Dr3、現像電圧制御部Dr4及び供給電圧制御部Dr5に、帯電電圧Vc、現像電圧Vd及び供給電圧Vsの印加電圧、並びに各印加電圧の印加タイミングから成る電圧情報を送る。なお、各印加電圧は、ドラム回転量検出部55によって検出された累積回転距離Ld、環境検出部s2によって検出された雰囲気温度及び雰囲気湿度、各トナーの色、各トナーの種類等に応じて変更される。
【0092】
次に、タイミングt11で、前記印刷処理部Pr1は画像の形成を開始し、前記駆動制御処理部Pr4は駆動モータM1及び定着モータM2を駆動(オンに)する(ステップS11)。これにより、ホッピングローラ13(図2)及びレジストローラ対m1が回転させられ、用紙Pが給紙カセット11から繰り出され、用紙搬送路Rt1を搬送され、各画像形成ユニット16iにおいて、感光体ドラム18、帯電ローラ24、現像ローラ25、供給ローラ26等が回転させられ、転写ユニットu1において、駆動ローラr1が回転させられ、転写ベルト31が走行させられるとともに、各転写ローラ32が回転させられる。
【0093】
また、電圧制御処理部Pr5は、フラッシュROM52の印加電圧テーブルTb1を参照し、前記タイミングt11で、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に画像形成用の第1の印加電圧を印加する(ステップS12)。
【0094】
すなわち、前記電圧制御処理部Pr5は、画像形成時に、図9に示されるように、帯電ローラ24に画像形成用の第1の帯電電圧Vc1
Vc1=-1000〔V〕
を、現像ローラ25に画像形成用の第1の現像電圧Vd1
Vd1=-150〔V〕
を、供給ローラ26及び規制ブレード28に画像形成用の第1の供給電圧Vs1
Vs1=-300〔V〕
を印加する。
【0095】
画像形成時においては、現像ローラ25上にトナーを付着させるために、第1の供給電圧Vs1が第1の現像電圧Vd1に対して、トナーの帯電極性側である負の極性側に大きい値にされる。
【0096】
これにより、第1の現像電圧Vd1から第1の供給電圧Vs1を減算した値である画像形成用の第1の電位差δ1
δ1=Vd1-Vs1
=-150-(-300)
=+150〔V〕
が正の極性の値で形成される。
【0097】
また、印刷処理部Pr1は、画像データを露光制御部Dr2に送り、LEDヘッドHdを駆動し、感光体ドラム18を露光する。
【0098】
各画像形成ユニット16iにおいては、感光体ドラム18の表面が、第1の帯電電圧Vc1が印加された帯電ローラ24によって一様に帯電させられ、LEDヘッドHdによって画像データの画像パターンに応じて選択的に露光され、露光された箇所に第1の現像電圧Vd1より0〔V〕に近い電位の静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体ドラム18と現像ローラ25との当接部である現像ニップ部において、第1の現像電圧Vd1が印加された現像ローラ25と対向させられ、感光体ドラム18と現像ローラ25との間の電位差によって形成される電場により、トナーが静電潜像に付着させられ、トナー像が形成される。
【0099】
なお、トナー像が形成される前に、トナーは、現像ローラ25及び供給ローラ26の回転に伴い、現像ローラ25と供給ローラ26との当接部である供給ニップ部、及び現像ローラ25と規制ブレード28との当接部である規制ニップ部において摩擦されて負の極性に帯電させられ、現像ローラ25と供給ローラ26との間と、現像ローラ25と規制ブレード28との間との前記第1の電位差δ1によって形成される電場により、供給ローラ26から現像ローラ25に、規制ブレード28から現像ローラ25に移動させられる。
【0100】
感光体ドラム18に形成されたトナー像及び用紙Pは、同じタイミングで感光体ドラム18と転写ベルト31との当接部である各転写ニップ部に送られ、このとき、転写ローラ32に正の極性の電圧が印加される。そして、感光体ドラム18上のトナー像は、感光体ドラム18と転写ローラ32との間の電位差によって形成される電場により、用紙Pに転写される。
【0101】
トナー像が用紙Pに転写された後に感光体ドラム18上に残留した少量のトナーは、クリーニング装置C1によって除去され、廃トナー収容部Rmに送られる。その後、感光体ドラム18は、表面の全体が除電装置29によって除電される。
【0102】
続いて、印刷ジョブのすべての印刷データについての画像が形成されると、印刷処理部Pr1は、用紙センサs1のセンサ出力を読み込み、最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過するのを待機する(ステップS13)。
【0103】
最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過すると、電圧制御処理部Pr5は、タイミングt12で、リセット動作を開始し、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28にリセット動作用の第1の中間用の印加電圧である第1中間印加電圧を印加する(ステップS14)。
【0104】
すなわち、電圧制御処理部Pr5は、図9に示されるように、帯電ローラ24にリセット動作用の第1の中間用の帯電電圧である第1中間帯電電圧Vmc1
Vmc1=-1050〔V〕
を、現像ローラ25にリセット動作用の第1の中間用の現像電圧である第1中間現像電圧Vmd1
Vmd1=-200〔V〕
を、供給ローラ26及び規制ブレード28にリセット動作用の第1の中間用の供給電圧である第1中間供給電圧Vms1
Vms1=-200〔V〕
を印加する。
【0105】
このとき、電圧制御処理部Pr5は、第1中間現像電圧Vmd1及び第1中間供給電圧Vms1のうちの少なくとも一方、本実施の形態においては、第1中間現像電圧Vmd1及び第1中間供給電圧Vms1を、第1の現像電圧Vd1及び第1の供給電圧Vs1に対して変更し、これにより、リセット動作用の第1中間現像電圧Vmd1から第1中間供給電圧Vms1を減算した値である第1の中間電位差δm1
δm1=Vmd1-Vms1
=-200-(-200)
=0〔V〕
が形成される。
【0106】
規制ブレード28に付着する正帯電トナーは供給ローラ26によって保持され、前記第1の中間電位差δm1の形成は、供給ローラ26が1回転する時間に基づいて設定され、該時間以上の動作時間τ11行われる。
【0107】
なお、供給ローラ26が1回転する時間は印刷速度によって異なるが、感光体ドラム18の表面の線速を150〔mm/s〕とすると、感光体ドラム18と供給ローラ26との回転数の関係から388〔ms〕になる。本実施の形態においては、電位差δを第1の電位差δ1から第1の中間電位差δm1に切り替えるのに伴い、供給ニップ部に保持された正帯電トナーが規制ニップ部に到達するまでの遅れ時間を考慮し、わずかにマージンを加え、供給ローラ26が1回転する時間を420〔ms〕にした。すなわち、前記動作時間τ11は420〔ms〕以上の時間にされる。
【0108】
したがって、電圧制御処理部Pr5は、各画像形成ユニット16iにおいて、タイミングt12から動作時間τ11が経過するのを待機し(ステップS15)、動作時間τ11が経過すると、タイミングt13で、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28にリセット動作用の第2の中間用の印加電圧である第2中間印加電圧を印加する(ステップS16)。
【0109】
すなわち、電圧制御処理部Pr5は、図9に示されるように、帯電ローラ24にリセット動作用の第2の中間用の帯電電圧である第2中間帯電電圧Vmc2
Vmc2=-1050〔V〕
を、現像ローラ25にリセット動作用の第2の中間用の現像電圧である第2中間現像電圧Vmd2
Vmd2=-200〔V〕
を、供給ローラ26及び規制ブレード28にリセット動作用の第2の中間用の供給電圧である第2中間供給電圧Vms2
Vms2=-150〔V〕
を印加する。
【0110】
このとき、電圧制御処理部Pr5は、第2中間現像電圧Vmd2及び第2中間供給電圧Vms2のうちの少なくとも一方、本実施の形態においては、第2中間供給電圧Vms2を第1中間供給電圧Vms1に対して変更し、これにより、リセット動作用の第2中間現像電圧Vmd2から第2中間供給電圧Vms2を減算した値である第2の中間電位差δm2
δm2=Vmd2-Vms2
=-200-(-150)
=-50〔V〕
が負の極性の値で形成される。
【0111】
前記第2の中間電位差δm2の形成は前記動作時間τ11行われる。
【0112】
そして、駆動制御処理部Pr4は、各画像形成ユニット16iにおいて、タイミングt13から動作時間τ11が経過するのを待機し(ステップS17)、動作時間τ11が経過すると、タイミングt14で、電圧制御処理部Pr5は、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28にリセット動作用の第2の印加電圧を印加する(ステップS18)。
【0113】
すなわち、電圧制御処理部Pr5は、帯電ローラ24にリセット動作用の第2の帯電電圧Vc2
Vc2=-1050〔V〕
を、現像ローラ25にリセット動作用の第2の現像電圧Vd2
Vd2=-200〔V〕
を、供給ローラ26及び規制ブレード28にリセット動作用の第2の供給電圧Vs2
Vs2=-100〔V〕
を印加する。
【0114】
このとき、電圧制御処理部Pr5は、第2の現像電圧Vd2及び第2の供給電圧Vs2のうちの少なくとも一方、本実施の形態においては、第2の供給電圧Vs2を第2中間供給電圧Vms2に対して変更し、これにより、第2の現像電圧Vd2から第2供給電圧Vs2を減算した値であるリセット動作用の第2の電位差δ2
δ2=Vd2-Vs2
=-200-(-100)
=-100〔V〕
が負の極性の値で形成される。
【0115】
前記第2の電位差δ2の形成は前記動作時間τ11行われる。
【0116】
そして、駆動制御処理部Pr4は、各画像形成ユニット16iにおいて、タイミングt14から動作時間τ11が経過するのを待機し(ステップS19)し、動作時間τ11が経過すると、タイミングt15で、駆動モータM1及び定着モータM2を停止させ(ステップS20)、電圧制御処理部Pr5は、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28への第2の印加電圧の印加を停止させる(ステップS21)。
【0117】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 駆動制御処理部Pr4は駆動モータM1及び定着モータM2を駆動する。
ステップS12 電圧制御処理部Pr5は第1の印加電圧を印加する。
ステップS13 印刷処理部Pr1は最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過するのを待機する。最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過した場合はステップS14に進む。
ステップS14 電圧制御処理部Pr5は第1中間印加電圧を印加する。
ステップS15 電圧制御処理部Pr5は動作時間τ11が経過するのを待機する。動作時間τ11が経過した場合はステップS16に進む。
ステップS16 電圧制御処理部Pr5は第2中間印加電圧を印加する。
ステップS17 駆動制御処理部Pr4は動作時間τ11が経過するのを待機する。動作時間τ11が経過した場合はステップS18に進む。
ステップS18 電圧制御処理部Pr5は第2の印加電圧を印加する。
ステップS19 駆動制御処理部Pr4は動作時間τ11が経過するのを待機する。動作時間τ11が経過した場合はステップS20に進む。
ステップS20 駆動制御処理部Pr4は駆動モータM1及び定着モータM2を停止させる。
ステップS21 電圧制御処理部Pr5は第2の印加電圧の印加を停止させ、処理を終了する。
【0118】
このように、本実施の形態においては、画像形成時に、現像ローラ25に画像形成用の第1の現像電圧Vd1が、供給ローラ26及び規制ブレード28に画像形成用の第1の供給電圧Vs1が印加されて、画像形成用の第1の電位差δ1が形成され、リセット動作時に、現像ローラ25にリセット動作用の第1中間現像電圧Vmd1、第2中間現像電圧Vmd2及び第2の現像電圧Vd2が、供給ローラ26及び規制ブレード28にリセット動作用の第1中間供給電圧Vms1、第2中間供給電圧Vms2及び第2の供給電圧Vs2が印加されて、リセット動作用の電位差δ2が形成されるとともに、画像形成用の第1の現像電圧Vd1の絶対値とリセット動作用の第2中間供給電圧Vms2及び第2供給電圧Vs2の絶対値との大小関係が逆にされるので、現像ローラ25上でトナーが過剰に帯電したり、凝集したりするのを防止することができる。したがって、画像に汚れ、白抜けによる縦筋等が形成されることがなく、画像品位が低下するのを軽減することができる。
【0119】
また、前記リセット動作用の第1中間現像電圧Vmd1、第2中間現像電圧Vmd2及び第2の現像電圧Vd2、並びに第1中間供給電圧Vms1、第2中間供給電圧Vms2及び第2の供給電圧Vs2のうちの少なくとも一方が段階的に変更されるので、電位差の変化量が少なくなり、規制ブレード28に正規帯電とは逆の極性に帯電させられたトナーが付着しなくなる。したがって、画像に斑点模様が形成されることがなくなり、画像品位が低下するのを一層軽減することができる。
【0120】
さらに、規制ブレード28に正帯電トナーが付着しなくなるので、トナーの消費量を少なくすることができる。
【0121】
ところで、画像の形成が終了し、リセット動作が開始されるのに伴い、電位差が第1の電位差δ1から第1の中間電位差δm1に変化させられる際に、電位差の正負が逆にならなければ供給ローラ26上の正帯電トナーが現像ローラ25に付着することはない。
【0122】
そのために、本実施の形態においては、リセット動作用の供給電圧Vsの変更量が、第1の段階において大きくされ、他の段階において小さくされる。すなわち、現像電圧Vdの絶対値と供給電圧Vsの絶対値との大小関係が逆にされるまでの、第1の供給電圧Vs1から第1中間供給電圧Vms1への変更量が大きくされて100〔V〕にされ、現像電圧Vcの絶対値と供給電圧Vsの絶対値との大小関係が逆にされた後の、第1中間供給電圧Vms1から第2中間供給電圧Vms2への変更量、及び第2中間供給電圧Vms2から第2の供給電圧Vs2への変更量が小さくされて50〔V〕にされる。
【0123】
したがって、第1の段階において、第1の電位差δ1から第1の中間電位差δm1への電位差の変化量が大きくなる分だけ、電位差を少ない回数変更するだけでリセット動作を行うことができるようになるので、リセット動作を行うのに必要な時間を短くすることができ、駆動モータM1及び定着モータM2を長時間駆動し続ける必要がない。その結果、プリンタ10の耐久性を向上させることができる。
【0124】
ただし、画像形成時とリセット動作時とで電位差の正負が逆になる場合は、供給ローラ26上の正帯電トナーが現像ローラ25に移動するので、電位差の変化量を大きくしすぎると、正帯電トナーの現像ローラ25に移動する量が多くなり、規制ブレード28に付着する可能性が高くなる。
【0125】
したがって、画像形成時とリセット動作時とで電位差の正負が逆になる場合の電位差の変化量、例えば、電位差が第1の中間電位差δm1から第2の中間電位差δm2に変更される際の変化量は、電位差が第1の電位差δ1から第1の中間電位差δm1に変更される際の変化量より小さくされることが好ましい。本実施の形態において、画像形成時とリセット動作時とで電位差の正負が逆になる場合、電位差の変化量は50〔V〕にされる。
【0126】
なお、本実施の形態においては、第1中間現像電圧Vmd1、第2中間現像電圧Vmd2及び第2の現像電圧Vd2が-200〔V〕に固定され、第1中間供給電圧Vms1、第2中間供給電圧Vms2及び第2の供給電圧Vs2が、-200〔V〕、-150〔V〕、-100〔V〕のように段階的に変更されることによって、第1の中間電位差δm1、第2の中間電位差δm2及び第2の電位差δ2が0〔V〕、-50〔V〕、-100〔V〕のように段階的に変化するようになっているが、第1中間供給電圧Vms1、第2中間供給電圧Vms2及び第2の供給電圧Vs2を固定し、第1中間現像電圧Vmd1、第2中間現像電圧Vmd2及び第2の現像電圧Vd2を変更することによって、第1の中間電位差δm1、第2の中間電位差δm2及び第2の電位差δ2を段階的に変更することができる。
【0127】
また、本実施の形態においては、プリンタ10の使用条件に関わらず、リセット動作時に、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に各第1中間印加電圧及び各第2中間印加電圧が印加されるようになっているが、プリンタ10が斑点模様の形成されやすい使用条件に置かれている場合にだけ、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に各第1中間印加電圧及び各第2中間印加電圧が印加され、プリンタ10が斑点模様の形成されやすい使用条件に置かれていない場合は、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に各第1中間印加電圧及び各第2中間印加電圧が印加されないようにすることができる。
【0128】
次に、プリンタ10が斑点模様の形成されやすい使用条件に置かれている場合にだけ、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に各第1中間印加電圧及び各第2中間印加電圧が印加されるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0129】
図11は本発明の第2の実施の形態における制御部の動作を示す第1のフローチャート、図12は本発明の第2の実施の形態における制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【0130】
ホストコンピュータから画像形成装置としてのプリンタ10に通信部としてのインタフェース部IFを介して印刷ジョブが送られると、印刷処理部Pr1は、画像の形成を開始し、駆動制御処理部Pr4は、第1の駆動部としての駆動モータM1及び第2の駆動部としての定着モータM2を駆動する(ステップS31)。
【0131】
また、電圧制御処理部Pr5は、第2の記憶部としてのフラッシュROM52の印加電圧テーブルTb1(図9)を参照し、前記タイミングt11で、帯電装置としての帯電ローラ24、現像剤担持体としての現像ローラ25、並びに供給部材としての供給ローラ26及び規制部材としての規制ブレード28に第1の印加電圧を印加する(ステップS32)。
【0132】
続いて、印刷ジョブのすべての印刷データについての画像が形成されると、印刷処理部Pr1は、媒体検出部としての用紙センサs1のセンサ出力を読み込み、最後の媒体としての用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過するのを待機する(ステップS33)。
【0133】
最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過すると、電圧制御処理部Pr5は、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に段階的に印加電圧を印加する必要があるかどうかを、プリンタ10が斑点模様の形成されやすい使用条件に置かれているかどうかによって判断する(ステップS34)。
【0134】
ところで、プリンタ10において、印刷デューティが低かったり、現像剤収容部としてのトナーカートリッジCt内のトナー残量TRが少なかったり、プリンタ10が置かれた環境である湿度が高かったりすると、現像剤としてのトナーが、供給ニップ部、規制ニップ部等で繰り返し摩擦させられて劣化し、帯電性が低下し、リセット動作時に規制ブレード28に正帯電トナーが付着しやすくなる。
【0135】
そこで、本実施の形態においては、電圧制御処理部Pr5が、デューティ算出処理部Pr2によって算出された印刷デューティ、現像剤残量算出処理部としてのトナー残量算出処理部Pr3によって算出されたトナー残量TR、及び環境検出部s2によって検出された湿度を読み込み、印刷デューティが閾値以下であるかどうかによって第1の条件が成立するかどうかを判断し、トナー残量TRが閾値以下であるかどうかによって第2の条件が成立するかどうかを判断し、湿度が閾値以上であるかどうかによって第3の条件が成立するかどうかを判断し、第1~第3の条件のうち少なくとも一つの条件が成立する場合、プリンタ10が斑点模様の形成されやすい使用条件に置かれていて、段階的に印加電圧を印加する必要があると判断する。
【0136】
段階的に印加電圧を印加する必要がある場合、電圧制御処理部Pr5は、リセット動作を開始し、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に第1の中間用の印加電圧である第1中間印加電圧を印加する(ステップS35)。
【0137】
続いて、駆動制御処理部Pr4は動作時間τ11が経過するのを待機し(ステップS36)、動作時間τ11が経過すると、電圧制御処理部Pr5は、帯電ローラ24、現像ローラ25、供給ローラ26及び規制ブレード28に第2の中間用の印加電圧である第2中間印加電圧を印加する(ステップS37)。
【0138】
そして、駆動制御処理部Pr4は更に動作時間τ11が経過するのを待機し(ステップS38)、動作時間τ11が経過すると、電圧制御処理部Pr5は、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に第2の印加電圧を印加する(ステップS39)。
【0139】
さらに、駆動制御処理部Pr4は、動作時間τ11が経過するのを待機し(ステップS40)、動作時間τ11が経過すると、駆動モータM1及び定着モータM2を停止させ(ステップS41)、電圧制御処理部Pr5は、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28への第2の印加電圧の印加を停止させる(ステップS42)。
【0140】
一方、段階的に印加電圧を印加する必要がない場合、電圧制御処理部Pr5は、リセット動作を開始し、帯電ローラ24、現像ローラ25並びに供給ローラ26及び規制ブレード28に第2の印加電圧を印加し(ステップS39)、その後、段階的に印加電圧を印加する必要がある場合と同様に、駆動制御処理部Pr4は、動作時間τ11が経過するのを待機し(ステップS40)、動作時間τ11が経過すると、駆動モータM1及び定着モータM2を停止させる(ステップS41)。
【0141】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS31 駆動制御処理部Pr4は駆動モータM1及び定着モータM2を駆動する。
ステップS32 電圧制御処理部Pr5は第1の印加電圧を印加する。
ステップS33 印刷処理部Pr1は最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過するのを待機する。最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過した場合はステップS34に進む。
ステップS34 電圧制御処理部Pr5は段階的に印加電圧を印加する必要があるかどうかを判断する。段階的に印加電圧を印加する必要がある場合はステップS35に進み、段階的に印加電圧を印加する必要がない場合はステップS39に進む。
ステップS35 電圧制御処理部Pr5は第1中間印加電圧を印加する。
ステップS36 駆動制御処理部Pr4は動作時間τ11が経過するのを待機する。動作時間τ11が経過した場合はステップS37に進む。
ステップS37 電圧制御処理部Pr5は第2中間印加電圧を印加する。
ステップS38 駆動制御処理部Pr4は動作時間τ11が経過するのを待機する。動作時間τ11が経過した場合はステップS39に進む。
ステップS39 電圧制御処理部Pr5は第2の印加電圧を印加する。
ステップS40 駆動制御処理部Pr4は動作時間τ11が経過するのを待機する。動作時間τ11が経過した場合はステップS41に進む。
ステップS41 駆動制御処理部Pr4は駆動モータM1及び定着モータM2を停止させる。
ステップS42 電圧制御処理部Pr5は第2の印加電圧の印加を停止させ、処理を終了する。
【0142】
本実施の形態においては、プリンタ10が斑点模様の形成されやすい使用条件に置かれていてない場合、段階的に印加電圧が印加されないので、リセット動作時に駆動モータM1及び定着モータM2を駆動する時間を短くすることができる。したがって、駆動モータM1及び定着モータM2の耐久性を向上させることができる。
【0143】
なお、前記各実施の形態においては、供給ローラ26と規制ブレード28とが導通させられ、同じ供給電圧Vsが印加されるようになっているが、供給ローラ26と規制ブレード28とを導通させず、供給ローラ26に供給電圧Vsを、規制ブレード28に規制電圧Vrを印加することができる。
【0144】
その場合、供給ローラ26から現像ローラ25に正帯電トナーが移動するのを抑制するために、リセット動作用の現像電圧Vd、供給電圧Vs及び規制電圧Vrのうちの少なくとも一方、例えば、供給電圧Vsだけを変更したり、供給電圧Vs及び規制電圧Vrを変更したり、現像電圧Vd、供給電圧Vs及び規制電圧Vrを変更したりすることができる。
【0145】
前記各実施の形態においては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの4色のプリンタ10について説明したが、本発明を、単色のプリンタ、5色以上のプリンタ等に適用することができる。
【0146】
また、各実施の形態においては、用紙搬送路Rt1における画像形成部QA及び転写ユニットu1より下流側に用紙センサs1が配設されるようになっているが、レジストローラ対m1より上流側にレジストローラ対m1と隣接させて用紙センサを配設し、用紙Pの搬送速度、用紙センサによる検出タイミング、用紙センサから画像形成部QAまでの距離等に基づいて、最後の用紙Pが画像形成部QAと転写ユニットu1との間を通過したかどうかを判断することができる。
【0147】
その場合、用紙センサの配設位置による制約を受けず、用紙Pの実際の通過タイミングと制御上の用紙Pの通過判定タイミングとを近付けられるので、画像の形成を終了してからリセット動作に移行するまでのプリンタ10の空回し時間を短くすることができる。
【0148】
また、前記各実施の形態においてはプリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0149】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0150】
10 プリンタ
25 現像ローラ
26 供給ローラ
28 規制ブレード
M1 駆動モータ
P 用紙
Pr4 駆動制御処理部
Pr5 電圧制御処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12