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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044681
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】光伝送路接続性確認システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/079 20130101AFI20240326BHJP
   H04J 14/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H04B10/079
H04J14/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150362
(22)【出願日】2022-09-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構、「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発 研究開発項目2 SDM 光ネットワークシステム技術 副題:経済性と転送性能に優れた空間多重光ネットワークの研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100208605
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 龍一
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 昇
(72)【発明者】
【氏名】釣谷 剛宏
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA41
5K102AD00
5K102AL11
5K102LA06
5K102LA13
5K102LA52
5K102MA01
5K102MA02
5K102MB11
5K102MD01
5K102MD03
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH22
5K102PA00
5K102PB01
5K102PD17
5K102PH31
5K102PH43
5K102RD02
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】マルチコアファイバの融着接続後に各コアの光伝送路接続性を確認し、対応関係を明確にする。
【解決手段】少なくとも一箇所で融着接続されたマルチコアファイバにおける光伝送路の接続性を確認する光伝送路接続性確認システムであって、光源から出射される信号光を光伝送路に送信する光送信機と、信号光を光伝送路から受信する光受信機と、複数のポートを有し、光伝送路の各コアの両端にそれぞれ接続される入力デバイスおよび出力デバイスと、別系統のネットワークを介して、光送信機と接続されているいずれかのポートである第1のポート、および、光受信機と接続されているいずれかのポートである第2のポートの接続情報を取得する制御管理情報授受機能部、および光伝送路内の光パワーを測定し、第1のポートおよび第2のポート間の接続性を判断する接続性判断機能部、を有するコントローラと、を少なくとも備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一箇所で融着接続されたマルチコアファイバにおける光伝送路の接続性を確認する光伝送路接続性確認システムであって、
光源から出射される信号光を前記光伝送路に送信する光送信機と、
前記信号光を前記光伝送路から受信する光受信機と、
複数のポートを有し、前記光伝送路の各コアの両端にそれぞれ接続される入力デバイスおよび出力デバイスと、
別系統のネットワークを介して、前記光送信機と接続されているいずれかのポートである第1のポート、および、前記光受信機と接続されているいずれかのポートである第2のポートの接続情報を取得する制御管理情報授受機能部、および、前記光伝送路内の光パワーを測定し、前記第1のポートおよび前記第2のポート間の接続性を判断する接続性判断機能部、を有するコントローラと、を少なくとも備えることを特徴とする光伝送路接続性確認システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記接続性判断機能部において、接続性が確認できた前記第1のポートと前記第2のポートの各ポート番号の対応関係を記憶する設定記憶機能部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の光伝送路接続性確認システム。
【請求項3】
前記接続性判断機能部は、前記光受信機における光パワーが閾値未満である場合は、前記第1のポートと前記第2のポートとの対応関係が不適切であると判断する一方、前記光受信機における光パワーが閾値以上である場合は、前記第1のポートと前記第2のポートとの対応関係が適切であると判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の光伝送路接続性確認システム。
【請求項4】
前記光送信機および前記光受信機は、前記光伝送路の両端にそれぞれ配置され、前記光送信機から前記第1のポートへ入力された信号光が、前記第2のポートから出力され前記光受信機で受信された信号光に対応するか否かを判断することを特徴とする請求項3記載の光伝送路接続性確認システム。
【請求項5】
前記光送信機および前記光受信機は、前記光伝送路の一方に配置され、
前記光伝送路の他方に配置されたアイソレータによって、前記光送信機から送信され第1の光伝送路を介して受信した信号光を、前記第1の光伝送路とは異なる第2の光伝送路に対して折り返しポートで折り返して送信し、
前記光受信機は、前記折り返しポートで折り返され前記第2の光伝送路を介して信号光を受信し、
前記光送信機から第1の光伝送路に送信された信号光が、前記第2の光伝送路を介して前記光受信機で受信された信号光に対応するか否かを判断することを特徴とする請求項3記載の光伝送路接続性確認システム。
【請求項6】
前記光送信機および前記光受信機は、前記光伝送路の一方に配置され、
前記光送信機から前記第1のポートへ入力された信号光が、第1の光伝送路を介して前記光伝送路の他方に配置された出力ポートから出力された信号光に対応するか否かを判断し、対応する場合は、前記光伝送路の他方に配置されたパッチコードによって、前記第1の光伝送路とは異なる第2の第2の光伝送路に対して折り返しポートで折り返して送信し、
前記光受信機は、前記折り返しポートで折り返され前記第2の光伝送路を介して信号光を受信し、
前記パッチコードで折り返された信号光が、前記光受信機で受信された信号光に対応するか否かを判断することを特徴とする請求項3記載の光伝送路接続性確認システム。
【請求項7】
少なくとも一箇所で融着接続されたマルチコアファイバにおける光伝送路の接続性を確認する光伝送路接続性確認プログラムであって、
光送信機が光源から出射される信号光を前記光伝送路に送信する処理と、
光受信機が前記信号光を前記光伝送路から受信する処理と、
複数のポートを有し、入力デバイスおよび出力デバイスに前記光伝送路の各コアの両端にそれぞれ接続させる処理と、
コントローラが、別系統のネットワークを介して、制御管理情報授受機能部において、前記光送信機と接続されているいずれかのポートである第1のポート、および、前記光受信機と接続されているいずれかのポートである第2のポートの接続情報を取得し、接続性判断機能部において、前記光伝送路内の光パワーを測定し、前記第1のポートおよび前記第2のポート間の接続性を判断する処理と、を少なくとも実行することを特徴とする光伝送路接続性確認プログラム。
【請求項8】
少なくとも一箇所で融着接続されたマルチコアファイバにおける光伝送路の接続性を確認する光伝送路接続性確認方法であって、
光送信機が光源から出射される信号光を前記光伝送路に送信する工程と、
光受信機が前記信号光を前記光伝送路から受信する工程と、
複数のポートを有し、入力デバイスおよび出力デバイスに前記光伝送路の各コアの両端にそれぞれ接続させる工程と、
コントローラが、別系統のネットワークを介して、制御管理情報授受機能部において、前記光送信機と接続されているいずれかのポートである第1のポート、および、前記光受信機と接続されているいずれかのポートである第2のポートの接続情報を取得し、接続性判断機能部において、前記光伝送路内の光パワーを測定し、前記第1のポートおよび前記第2のポート間の接続性を判断する工程と、を少なくとも実行することを特徴とする光伝送路接続性確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送路接続性確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シングルモードファイバ(SMF: Single-Mode Fiber)における伝送容量の物理的限界を打破する技術の一つとして、光ファイバ中に光が伝搬するコアを複数設けるマルチコアファイバ(MCF: Multi-Core Fiber)を用いた空間分割多重(SDM: Space-Division Multiplexing)技術が、精力的に研究開発されている。
【0003】
SDMシステムを構築するにあたって、SDMシステムの送受信端を接続するために、MCFを用いた光伝送路(以下、MCF光伝送路と呼称する)を構築する必要がある。MCF光伝送路の構築には、ある程度の条長を有するMCFを融着接続する必要がある。システム運用の観点から、MCFの融着接続に際して、MCFのコア番号を揃えて接続することが理想的である。そうすることで、SMDシステムの送受信端におけるMCFのコア番号と接続関係が一意に決まり、光伝送路の運用管理の複雑化を回避できるからである。
【0004】
しかしながら、MCFには、コア番号を特定するためのマーカーが有るものと、マーカーが無いものが存在する。MCFにマーカーが有る場合、コア番号の特定が可能であるため、コア番号を揃えて融着接続することが可能である。ただし、MCFにマーカーを設けることはファイバのコスト増加につながる。また、融着接続の際に、コア番号を揃える手順に時間を要するため、作業コストが増大するという欠点がある。また、MCFにマーカーが無い場合、コア番号の特定が困難であるため、コア番号を揃えて融着接続することも困難になる。このように、MCFの融着接続において、MCFのコア番号を揃えて接続することは困難となる事情がある。このような事情から、光伝送路の構築において、MCFのコア番号を意識しない融着接続が許容されれば、MCF光伝送路の構築難易度が下がり、伝送路構築に要する時間及びコストの低減につながる。
【0005】
特許文献1では、クロスコネクト装置と伝送装置の間の物理的なリンクの接続性を確認するリンク接続性確認方法に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-022446号
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、SMFによる光伝送路を用いているため、接続性を確認する光伝送路の入出力ポートの関係が一意に決まっていることを前提としており、接続性を確認する入出力ポートがどのように接続されているか、を特定することは必要ない。そのため、SDMシステムにおいて生じ得る、送受信端のMCFのコア番号と接続関係が一意に決まらないという事象が生じることは考慮されていない。
【0008】
一方、SDMシステムでは、例えば、MCFを融着接続する際に、MCFのコア番号を揃えて接続されていないと、送信端ではMCFのコア1(コア番号1)に信号光を入力したが、受信端ではMCFのコア3(コア番号3)から出力光が得られてしまうような事象が生じることがある。このような場合、SDMシステムにおいてコア番号を基にして信号光を設定すると、所望の経路(送信端:MCFのコア1-受信端:MCFのコア1)に信号光が到達しないことになる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、入出力ポートがどのように接続されているか、システムの送受信端におけるMCFのコア番号と接続関係を明確化する光伝送路接続性確認システムを提供することを目的とする。
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の光伝送路接続性確認システムは、少なくとも一箇所で融着接続されたマルチコアファイバにおける光伝送路の接続性を確認する光伝送路接続性確認システムであって、光源から出射される信号光を前記光伝送路に送信する光送信機と、前記信号光を前記光伝送路から受信する光受信機と、複数のポートを有し、前記光伝送路の各コアの両端にそれぞれ接続される入力デバイスおよび出力デバイスと、別系統のネットワークを介して、前記光送信機と接続されているいずれかのポートである第1のポート、および、前記光受信機と接続されているいずれかのポートである第2のポートの接続情報を取得する制御管理情報授受機能部、および前記光伝送路内の光パワーを測定し、前記第1のポートおよび前記第2のポート間の接続性を判断する接続性判断機能部、を有するコントローラと、を少なくとも備えることを特徴としている。
【0011】
(2)また、本発明の光伝送路接続性確認システムにおいて、前記コントローラは、前記接続性判断機能部において、接続性が確認できた前記第1のポートと前記第2のポートの各ポート番号の対応関係を記憶する設定記憶機能部をさらに備えることを特徴としている。
【0012】
(3)また、本発明の光伝送路接続性確認システムにおいて、前記接続性判断機能部は、前記光受信機における光パワーが閾値未満である場合は、前記第1のポートと前記第2のポートとの対応関係が不適切であると判断する一方、前記光受信機における光パワーが閾値以上である場合は、前記入力ポートと前記出力ポートとの対応関係が適切であると判断することを特徴としている。
【0013】
(4)また、本発明の光伝送路接続性確認システムにおいて、前記光送信機および前記光受信機は、前記光伝送路の両端にそれぞれ配置され、前記光送信機から前記第1のポートへ入力された信号光が、前記第2のポートから出力され前記光受信機で受信された信号光に対応するか否かを判断することを特徴としている。
【0014】
(5)また、本発明の光伝送路接続性確認システムにおいて、前記光送信機および前記光受信機は、前記光伝送路の一方に配置され、前記光伝送路の他方に配置されたアイソレータによって、前記光送信機から送信され第1の光伝送路を介して受信した信号光を、前記第1の光伝送路とは異なる第2の光伝送路に対して折り返しポートで折り返して送信し、前記光受信機は、前記折り返しポートで折り返され前記第2の光伝送路を介して信号光を受信し、前記光送信機から第1の光伝送路に送信された信号光が、前記第2の光伝送路を介して前記光受信機で受信された信号光に対応するか否かを判断することを特徴としている。
【0015】
(6)また、本発明の光伝送路接続性確認システムにおいて、前記光送信機および前記光受信機は、前記光伝送路の一方に配置され、前記光送信機から前記第1のポートへ入力された信号光が、第1の光伝送路を介して前記光伝送路の他方に配置された出力ポートから出力された信号光に対応するか否かを判断し、対応する場合は、前記光伝送路の他方に配置されたパッチコードによって、前記第1の光伝送路とは異なる第2の第2の光伝送路に対して折り返しポートで折り返して送信し、前記光受信機は、前記折り返しポートで折り返され前記第2の光伝送路を介して信号光を受信し、前記パッチコードで折り返された信号光が、前記光受信機で受信された信号光に対応するか否かを判断することを特徴としている。
【0016】
(7)また、本発明は、少なくとも一箇所で融着接続されたマルチコアファイバにおける光伝送路の接続性を確認する光伝送路接続性確認プログラムであって、光送信機が光源から出射される信号光を前記光伝送路に送信する処理と、光受信機が前記信号光を前記光伝送路から受信する処理と、複数のポートを有し、入力デバイスおよび出力デバイスに前記光伝送路の各コアの両端にそれぞれ接続させる処理と、コントローラが、別系統のネットワークを介して、制御管理情報授受機能部において、前記光送信機と接続されているいずれかのポートである第1のポート、および、前記光受信機と接続されているいずれかのポートである第2のポートの接続情報を取得し、接続性判断機能部において、前記光伝送路内の光パワーを測定し、前記第1のポートおよび前記第2のポート間の接続性を判断する処理と、を少なくとも実行することを特徴としている。
【0017】
(8)また、本発明は、少なくとも一箇所で融着接続されたマルチコアファイバにおける光伝送路の接続性を確認する光伝送路接続性確認方法であって、光送信機が光源から出射される信号光を前記光伝送路に送信する工程と、光受信機が前記信号光を前記光伝送路から受信する工程と、複数のポートを有し、入力デバイスおよび出力デバイスに前記光伝送路の各コアの両端にそれぞれ接続させる工程と、コントローラが、別系統のネットワークを介して、制御管理情報授受機能部において、前記光送信機と接続されているいずれかのポートである第1のポート、および、前記光受信機と接続されているいずれかのポートである第2のポートの接続情報を取得し、接続性判断機能部において、前記光伝送路内の光パワーを測定し、前記第1のポートおよび前記第2のポート間の接続性を判断する工程と、を少なくとも実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マルチコアファイバの融着接続後に各コアの光伝送路接続性を確認し、対応関係を明確にすることを可能とし、その結果、マルチコアファイバのコア番号の有無や配置を意識せず融着接続ができ、MCF光伝送路の構築難易度が下がり、伝送路構築に要する時間及びコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る光伝送路接続性確認システムの概略構成を示す図である。
図2】第1の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すフロー図である。
図3A】第1の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すシーケンス図である。
図3B】第1の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すシーケンス図である。
図4】第2の実施形態に係る光伝送路接続性確認システムの概略構成を示す図である。
図5】第2の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すフロー図である。
図6A】第2の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すシーケンス図である。
図6B】第2の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すシーケンス図である。
図7】第3の実施形態に係る光伝送路接続性確認システムの概略構成を示す図である。
図8】第3の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すフロー図である。
図9A】第3の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すシーケンス図である。
図9B】第3の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、SDMシステムにおいて生じ得る、送受信端のMCFのコア番号と接続関係が一意に決まらないという点に着目し、マルチコアファイバの融着接続後に各コアの光伝送路接続性を確認し、対応関係を明確にする方法を見出し、本発明に至った。その結果、マルチコアファイバのコア番号の有無や配置を意識せず融着接続ができ、MCF光伝送路の構築難易度が下がり、伝送路構築に要する時間及びコストの低減を可能とした。
【0021】
すなわち、本発明の光伝送路接続性確認システムは、少なくとも一箇所で融着接続されたマルチコアファイバにおける光伝送路の接続性を確認する光伝送路接続性確認システムであって、光源から出射される信号光を前記光伝送路に送信する光送信機と、前記信号光を前記光伝送路から受信する光受信機と、複数のポートを有し、前記光伝送路の各コアの両端にそれぞれ接続される入力デバイスおよび出力デバイスと、別系統のネットワークを介して、前記光送信機と接続されているいずれかのポートである第1のポート、および、前記光受信機と接続されているいずれかのポートである第2のポートの接続情報を取得する制御管理情報授受機能部、および前記光伝送路内の光パワーを測定し、前記第1のポートおよび前記第2のポート間の接続性を判断する接続性判断機能部、を有するコントローラと、を少なくとも備えることを特徴としている。
【0022】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明するが、まず、各実施形態に係る光伝送路接続性確認システムを構成する要素(共通要素)について説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各実施形態の図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
光送信機は、信号光を出射する光源を備え、設定した波長の光(信号光)を、設定したパワーにて送信することが可能な機能を有する。なお、波長とパワーの設定については、対象とするSDM(Space-Division Multiplexing)システムの規定範囲とする。また、光送信機は、制御管理インターフェースを備え、外部コントローラから光送信機の制御を行うことが可能である。
【0024】
光受信機は、パワーメータを備え、受信光のパワー(以下、受信光パワーとも呼称する)を測定することが可能な機能を有する。また、光受信機は、制御管理インターフェースを有し、外部コントローラから光受信機の制御を行うことが可能であり、受信光パワー情報を制御インターフェース経由で外部コントローラへ送信することが可能である。
【0025】
光スイッチは、入出力ポート数がm×n(m、nは正の整数)の光スイッチであり、入力と出力間の任意のポート間を接続することが可能な機能を有する。以下、本明細書における各実施形態では、説明をわかりやすくするため、入出力ポート数が1×nの光スイッチを一例として説明するが、これに限定されない。入出力ポート数については、光送信機側及び光受信機側のポート数が最低1つ具備されていればよい。また、後述する入力デバイス、出力デバイスと接続される光スイッチのポート数については、入力デバイス及び出力デバイスのポート数分の数量が最低限必要である。また、光スイッチは、制御管理インターフェースを備え、外部からポート切り替えなどの設定が可能な機能を有する。
【0026】
入力デバイス(Fan-In device:FIデバイス)は、シングルコアファイバ(SCF: Single-Core Fiber)とマルチコアファイバ(MCF: Multi-Core Fiber)を接続するデバイスであり、MCF光伝送路の入力側に用いられるデバイスを入力デバイスと呼称する。4コアファイバ(4CF)の入力デバイスの場合は、SCFが4本接続されることを意味する。
【0027】
出力デバイス(Fan-Out device:FOデバイス)は、シングルコアファイバ(SCF: Single-Core Fiber)とマルチコアファイバ(MCF: Multi-Core Fiber)を接続するデバイスであり、MCF光伝送路の出力側に用いられるデバイスを出力デバイスと呼称する。4コアファイバ(4CF)の出力デバイスの場合は、SCFが4本接続されることを意味する。
【0028】
マルチコアファイバ(MCF: Multi-Core Fiber)は、1つのクラッド中に、光が伝搬する複数のコアを配置した光ファイバである。本明細書における各実施形態では、MCFにより光伝送路が構成されている。また、本明細書における各実施形態では、4コアファイバ(4CF)を用いた例を一例として説明するが、これに限定されない。2CFであってもよいし、それ以上のコア数を有していてもよい。また、本明細書におけるマルチコアファイバは、非結合型マルチコアファイバ、結合型マルチコアファイバ、いずれも含み、本発明は、いずれのマルチコアファイバに適用可能である。
【0029】
コントローラは、通信機能を有し、制御管理用網や公衆網を介して各機器にアクセス可能である。また、コントローラは、光伝送路を含むデータ通信網の各機器を制御管理する機能として、設定記憶機能部、接続性判断機能部、制御管理情報授受機能部を少なくとも有する。設定記憶機能部は、MCF光伝送路の送受信端において設定した機器(光送信機、光受信機、光スイッチ、入力デバイス、出力デバイスなど)の情報を記憶する記憶手段を備え、例えば、接続性が確認できたFIポートとFOポートのポート番号の対応関係なども記憶する。接続性判断機能部は、機器の設定及び機器から取得した情報を基にして、MCF伝送路の接続性を判断する手段を備える。機器の設定及び機器から取得した情報には、例えば、光送信機で設定した信号光のパワーに関する情報、光受信機で受信する受信光パワーに関する情報、MCF光伝送路内の光パワーに関する情報など、接続性を判断するための閾値に関する情報なども含む。制御管理情報授受機能部は、MCF光伝送路の送受信端の間で制御管理用網や公衆網を介して情報を授受(取得)する通信手段を備える。
【0030】
本明細書の各実施形態において、データ通信網は、ユーザが使用するデータが流れる通信網、つまり信号光が通る通信網を指す。データ通信網を構成する要素として、光送信機、光受信機、光スイッチ、MCF光伝送路(マルチコアファイバ)、入力デバイス、出力デバイスが含まれる。
【0031】
本明細書の各実施形態において、制御管理用網は、データ通信網とは別系統のネットワークであって、コントローラとデータ通信網を構成するネットワーク機器間を接続する通信網であり、制御管理用の専用線や公衆網を活用した制御管理用通信網を指す。制御管理用網を構成する要素として、光送信機、光受信機、光スイッチ、コントローラが含まれる。
【0032】
次に、MCF光伝送路のコア接続性の判断方法について、以下、各実施形態で具体的に説明する。
【0033】
[第1の実施形態]
[1]光伝送路接続性確認システムの概略構成
図1は、第1の実施形態に係る光伝送路接続性確認システムの概略構成を示す図である。光伝送路接続性確認システム1は、少なくとも光送信機10、光受信機20、光スイッチ51、61、MCF光伝送路(マルチコアファイバ)40、入力デバイス53、出力デバイス63、コントローラ30から構成され、光送信機10は、光スイッチ51および入力デバイス53を介し、MCF光伝送路の入力端に接続されている。光受信機20は、光スイッチ61および出力デバイス63を介し、MCF光伝送路の出力端に接続されている。
【0034】
[2]MCF光伝送路の接続性判断手順
図2は、第1の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すフロー図である。図3Aおよび図3Bは、第1の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すシーケンス図である。第1の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順について、図2および図3A図3Bを参照しながら説明する。
【0035】
まず、初期化処理を行う(ステップS1)。初期化処理では、コントローラは、光送信機、光受信機、光送信機側光スイッチ、光受信機側光スイッチに対し、次の処理を行う。コントローラは、光送信機の出力光をオフにし、初期波長の設定を行う。そして、コントローラは、光受信機の受信動作をオフにする。そして、コントローラは、光送信機側光スイッチおよび光受信機側光スイッチのスイッチ設定を解除する処理を行う。初期化処理時に設定エラーが出た場合は、機器不良であると判断し、実行停止する。
【0036】
次に、接続性確認を行う。接続性確認では、まず、光送信機と接続されている光スイッチのポート(第1のポート)を、FIポート1に接続し、切替設定を行う(ステップS2)。次に、光受信機と接続されている光スイッチのポート(第2のポート)を、FOポート1に接続し、切替設定を行う(ステップS3)。切替設定後、コントローラは光受信をオンにし、光受信機において受信を開始する(ステップS4)。光受信機は受信光パワーの測定を開始し、コントローラに対し、受信光パワーの測定情報を通知する。
【0037】
コントローラは、取得した受信光パワーの測定情報を確認する(ステップS5)。ステップS5において、受信光パワーが閾値以上である場合、設定異常として終了する(ステップS6)。これは、ステップS5の段階では、コントローラが光送信機に対し送信光をオンにする前であるため、光受信機において閾値以上の受信光パワーが測定された場合、光の伝搬による光パワーではなく、他の原因による何らかの光パワーを検出することを意味し、意図した設定ではない。そのため、設定異常として終了する。ステップS5において、受信光パワーが閾値未満である場合、光受信機といずれかのFIポート間の伝送経路は確立されていると判断できる。なお、判断基準となる閾値は任意に設定することができ、コントローラの接続性判断機能部において、予め設定されている。
【0038】
次に、コントローラは、光送信機において設定出力にて光出力をオンにし、光送信機は信号光を送出する(ステップS7)。コントローラは、光受信機から受信光パワーの測定情報を取得する(ステップS8)。
【0039】
コントローラは取得した受信光パワーの測定情報を確認し(ステップS9)、受信光パワーが閾値以上である場合、現在接続されているコア間において、光送信機から光受信機に信号光が到着し、伝送経路は確立されていると判断できる。これにより、FIポート1とFOポート1の接続性確認が完了する(ステップS10)。コントローラの設定記憶機能部にて、接続性が確認できたFIポート1とFOポート1の各ポート番号の対応関係を記憶する。なお、光ファイバは、光の波長や光ファイバケーブルの長さなどにより、損失する光パワーが異なる。そのため、判断基準となる閾値は、各光ファイバに応じて任意に設定することができ、コントローラの接続性判断機能部において、予め設定されている。
【0040】
次のFIポートとFOポートの接続性確認を行うため、ステップS1同様、コントローラは、光送信機、光受信機、光送信機側光スイッチ、光受信機側光スイッチの初期化を行う(ステップS11)。そして、コントローラは、接続性確認対象となるポートが残っているかを確認し、接続性確認未完了の送信・受信ポートの有無の確認を行う(ステップS12)。
【0041】
ステップS12において、接続性確認未完了の送信・受信ポートの有無の確認の結果、接続性確認対象となるポートが残っていない場合は、接続性確認処理を終了する(ステップS13)。ステップS12において、接続性確認未完了の送信・受信ポートの有無の確認の結果、接続性確認対象となるポートが残っている場合は、コントローラは、光送信機の接続ポート番号をインクリメントして接続する。(ステップS14)。本実施形態の場合、光送信機と接続されている光スイッチのポートを、FIポート1から接続ポート番号をインクリメントしたFIポート2に接続する。次に、コントローラは、光受信機の接続ポート番号を、接続性確認未完了ポートの最小番号に設定して接続する(ステップS15)。本実施形態の場合、光受信機と接続されている光スイッチのポートを、接続性確認未完了ポートの最小番号であるFOポート2に接続する。光送信機および光受信機と各光スイッチのポートとの接続完了後、ステップS4~S9の処理を同様に行う。
【0042】
ステップS9において、受信光パワーが閾値未満である場合、FIポート1とFOポート1は接続されていないため、コントローラは、光受信機の接続ポート番号を、接続性確認未完了ポートの最小番号に設定して接続する。本実施形態の場合、光受信機と接続されている光スイッチのポートを、接続性確認未完了ポートの最小番号であるFOポート2に接続する。
【0043】
新たにFOポートを設定した状態で、ステップS1同様、コントローラは、初期化処理を行う。コントローラは、光送信機、光受信機、光送信機側光スイッチ、光受信機側光スイッチの初期化を行う(ステップS16)。
【0044】
次に、光送信機と接続されている光スイッチのポートを、ステップS16において初期化する前に接続されていたFIポートに接続する(ステップS17)。本実施形態では、ステップS16において初期化する前に接続されていたFIポートは、FIポート1となる。
【0045】
次に、光受信機の接続ポート番号をインクリメントして接続する(ステップS18)。本実施形態では、光受信機と接続されている光スイッチのポートを、FOポート1から接続ポート番号をインクリメントしたFOポート2に接続する。ステップS4の手順に戻り、処理を繰り返す。上述した処理を繰り返すことで、MCF光伝送路を構成するすべてのコアの接続性を確認することが可能となる。
【0046】
[第2の実施形態]
[1]光伝送路接続性確認システムの概略構成
図4は、第2の実施形態に係る光伝送路接続性確認システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る光伝送路接続性確認システム2の基本構成は、第1の実施形態と同様である。本実施形態に係る光伝送路接続性確認システム2では、光送信機10および光受信機20は、光スイッチ51および入力デバイス53を介し、MCF光伝送路の入力端に接続されている。MCF光伝送路の出力端には、出力デバイス63および光スイッチ61を介し、アイソレータ71が設けられている。このように、出力端側の光スイッチ61にアイソレータ71を設け、折り返し構成とすることにより、片端から接続性を確認可能な構成としている。なお、光スイッチ61における折り返しポートは固定としている。また、折り返しにはアイソレータを用いて光の進行方向を限定している。これにより、MCF光伝送路のコア間接続性(近端である入力端と、遠端である出力端間において接続されたコア番号の関係を明確化することができる。例えば、「近端のコア1と遠端のコア2が接続されており、近端のコア2と遠端のコア1が接続されている」というように、接続されたコア番号の関係を明確化することができる。
【0047】
一方、アイソレータ71を用いない場合は、接続性のみは確認できるが、近端と遠端間において接続されたコア番号の関係を明確化できない場合がある。例えば、近端のコア1に光を入力し、遠端間で折り返されて、近端のコア2で光を受信した場合、折り返し地点の経路が、コア1→コア2なのか、コア2→コア1なのか判断ができない。したがって、アイソレータ71を用いないで、MCF光伝送路のコア間接続性を確認することも可能であるが、コア番号の対応関係も明確にするためには、アイソレータ71を用いることがより好ましい。
【0048】
[2]MCF光伝送路の接続性判断手順
図5は、第2の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すフロー図である。図6Aおよび図6Bは、第2の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すシーケンス図である。第2の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順について、図5および図6A図6Bを参照しながら説明する。
【0049】
まず、初期化処理を行う(ステップT1)。初期化処理では、コントローラは、光送信機、光受信機、近端(入力端)側光スイッチ、遠端(出力端)側光スイッチに対し、次の処理を行う。コントローラは、光送信機の出力光をオフにし、初期波長の設定を行う。そして、コントローラは、光受信機の受信をオフにする。そして、コントローラは、近端側光スイッチおよび遠端側光スイッチのスイッチ設定を解除する処理を行う。初期化処理時に設定エラーが出た場合は、機器不良であると判断し、実行停止する。
【0050】
次に、接続性確認を行う。接続性確認では、まず、光送信機と接続されている光スイッチのポート(第1のポート)を、FIポート1に接続し、光受信機と接続されている光スイッチのポート(第2のポート)をFIポート2に接続し、切替設定を行う(ステップT2)。次に、遠端のFOポート1と2を、光スイッチにおける折り返しポート1と2にそれぞれ接続し、切替設定を行う(ステップT3)。切替設定後、コントローラは光受信をオンにし、光受信機において受信を開始する(ステップT4)。光受信機は光パワーの測定を開始し、コントローラに対し、受信光パワーの測定情報を通知する。
【0051】
コントローラは、取得した受信光パワーの測定情報を確認する(ステップT5)。ステップT5において、受信光パワーが閾値以上である場合、設定異常として終了する(ステップT6)。これは、ステップT5の段階では、コントローラが光送信機に対し送信光をオンにする前であるため、光受信機において閾値以上の受信光パワーが測定された場合、光の伝搬による光パワーではなく、他の原因による何らかの光パワーを検出することを意味し、意図した設定ではない。そのため、FIポートとFOポートとの対応関係が不適切であると判断し、設定異常として終了する。ステップT5において、受信光パワーが閾値未満である場合、FIポートとFOポートとの対応関係が適切である、つまり、光受信機・いずれかのFI・FOポート間の伝送経路は確立されていると判断できる。なお、判断基準となる閾値は任意に設定することができ、コントローラの接続性判断機能部において、予め設定されている。
【0052】
次に、コントローラは、光送信機において設定出力にて光出力をオンにし、光送信機は信号光を送出する(ステップT7)。コントローラは、光受信機から受信光パワーの測定情報を取得する(ステップT8)。
【0053】
コントローラは取得した受信光パワーの測定情報を確認し(ステップT9)、受信光パワーが閾値以上である場合、現在接続されているコア間において、光送信機から光受信機に信号光が到着し、伝送経路は確立されていると判断できる。これにより、FIポート1とFOポート1、FIポート2とFOポート2の接続性確認が完了する(ステップT10)。コントローラの設定記憶機能部において、接続性が確認できたFIポート1とFOポート1、FIポート2とFOポート2の各ポート番号の対応関係を記憶する。なお、光ファイバは、光の波長や光ファイバケーブルの長さなどにより、光パワーが損失する。そのため、判断基準となる閾値は、各光ファイバに応じて任意に設定することができ、コントローラの接続性判断機能部において、予め設定されている。
【0054】
なお、遠端側の光スイッチにおいて折り返しポート間には、アイソレータが入っているため、光の方向性も一意に特定できる。つまり、近端から遠端方向には、FIポート1→FOポート1へ光が進行し、遠端から近端方向には、FOポート2→FIポート2に光が進行していることが分かる。これらから、近端と遠端間のMCF光伝送路のコアの接続関係は、FIポート1とFOポート1間の接続性、及びFIポート2とFOポート2間の接続性を確認することができる。
【0055】
次のFIポートとFOポートの接続性確認を行うため、ステップS1同様、コントローラは、光送信機、光受信機、近端側光スイッチ、遠端側光スイッチの初期化を行う(ステップT11)。そして、コントローラは、接続性確認対象となるポートが残っているかを確認し、接続性未完了の送信・受信ポートの有無の確認を行う(ステップT12)。
【0056】
ステップT12において、接続性未完了の送信・受信ポートの有無の確認の結果、接続性確認対象となるポートが残っていない場合は、接続性確認処理を終了する(ステップT13)。ステップS12において、確認の結果、接続性確認対象となるポートが残っている場合は、コントローラは、光送受信機の接続ポート、つまり近端の光スイッチのポート番号の内、接続性確認未完了のものから2つを選択して接続する(ステップT14)。光送受信機の接続ポートの選択方法として、例えば、ポート番号が小さい順に選択する。選択されたポート番号の中でも、光送信機をポート番号が小さいほうに接続し、残りのポートを光受信機に接続するようにしてもよい。本実施形態では、光送信機と接続されている光スイッチのポートをFIポート3に接続し、光受信機と接続されている光スイッチのポートをFIポート4に接続する。
【0057】
次に、コントローラは、遠端の光スイッチの接続ポートの番号の内、接続性確認未完了のものから2つを選択して、折り返しポートに接続する(ステップT15)。本実施形態では、ポート番号が小さい順に折り返しポートに接続する。つまり、FOポート3と4を、折り返しポート1と2にそれぞれ接続する。ポート接続完了後、ステップT4~T9の処理を同様に行う。
【0058】
ステップT9において、受信光パワーが閾値未満である場合、FIポート1とFOポート1、FIポート2とFOポート2は接続されていないため、ステップT1と同様の初期化処理を行う(ステップT16)。コントローラは、近端の光受信機とFIポート間の接続にあたって、接続ポート番号をインクリメント可能か確認する(ステップT17)。
【0059】
ステップT17において、接続ポート番号をインクリメントが不可能な場合は、近端の光送受信機の接続ポート番号の内、接続性確認未完了のものから2つを選択して接続する(ステップT18)。接続ポートの選択方法として、ポート番号が小さい順に選択してもよい。この場合、選択されたポート番号の中でも、光送信機をポート番号が小さいほうに接続し、残りのポートを光受信機に接続する。また、遠端の光スイッチの接続ポートについて、折り返しポート1に接続されるFOポートをインクリメントし接続し、折り返しポート2に接続されるFOポートについては、接続性確認未完了のFOポートのものから1つ選択して接続する。この際、ポート番号が小さい順に選択する。
【0060】
本実施形態では、折り返し区間にアイソレータが入っているので、方向性が一意である。そのため、最初のステップでFIポート1とFOポート1を接続し、FIポート2とFOポート2を接続して、それらの接続性確認を試行した際に、接続性が確認できなかった場合は、FIポート1とFOポート2、及びFIポート2とFOポート1を接続して、それらの接続性確認を試行するという手順が必要である。
【0061】
ステップT17において、接続ポート番号をインクリメントが可能な場合、近端の光送信機とFIポート間の光スイッチによる接続については、直前と同じ接続設定にし、近端の光受信機とFIポート間の光スイッチによる接続については、接続ポート番号をインクリメントして接続し、切替設定を行う(ステップT19)。本実施形態では、光送信機とFIポート1、光受信機とFIポート3を接続し、切替設定を行う。
【0062】
そして、遠端の光スイッチの接続ポートは、直前と同じ設定にする(ステップT20)。本実施形態では、遠端のFOポート1と2を、光スイッチにおける折り返しポート1と2にそれぞれ接続し、切替設定を行う。ステップS4の手順に戻り、処理を繰り返す。上述した処理を繰り返すことで、MCF光伝送路を構成するすべてのコアの接続性を確認することが可能となる。
【0063】
[第3の実施形態]
[1]光伝送路接続性確認システムの概略構成
図7は、第3の実施形態に係る光伝送路接続性確認システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る光伝送路接続性確認システム3の基本構成は、第1の実施形態と同様である。本実施形態に係る光伝送路接続性確認システム3では、光送信機10および光受信機20は、光スイッチ51および入力デバイス53を介し、MCF光伝送路の入力端に接続されている。MCF光伝送路の出力端には、出力デバイス63および光スイッチ61を介し、パッチコード81が設けられている。このように、出力端の光スイッチにパッチコードを設け、折り返し構成とすることにより、片端から接続性を確認可能な構成としている。光スイッチには各ポートにおいて光パワーを監視する機能を具備するものとする。本実施形態では、第2の実施形態で設けたアイソレータがないものの、光スイッチの各ポートにおける光パワー監視機能を用いることで、MCF光伝送路のコア接続性を確認する手順を設けている。
【0064】
[2]MCF光伝送路の接続性判断手順
図8は、第3の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すフロー図である。図9Aおよび図9Bは、第3の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順を示すシーケンス図である。第3の実施形態におけるMCF光伝送路の接続性判断手順について、図8、および図9A図9Bを参照しながら説明する。
【0065】
まず、初期化処理を行う(ステップP1)。初期化処理では、コントローラは、光送信機、光受信機、近端(入力端)側光スイッチ、遠端(出力端)側光スイッチに対し、次の処理を行う。コントローラは、光送信機の出力光をオフにし、初期波長の設定を行う。そして、コントローラは、光受信機の受信をオフにする。そして、コントローラは、近端側光スイッチおよび遠端側光スイッチのスイッチ設定を解除する処理を行う。初期化処理時に設定エラーが出た場合は、機器不良であると判断し、実行停止する。
【0066】
次に、接続性確認を行う。接続性確認では、まず、光送信機と接続されている光スイッチのポート(第1のポート)をFIポート1に接続し、光受信機と接続されている光スイッチのポート(第2のポート)をFIポート2に接続し、切替設定を行う(ステップP2)。切替設定後、コントローラは、光送信機において設定出力にて光出力をオンにし、光送信機は信号光を送出する(ステップP3)。
【0067】
次に、近端側から遠端側へのコアの接続性について、以下ステップP4からP7の手順で、確認する。コントローラは、遠端側の光スイッチにおける受信光パワーを確認する(ステップP4)。ここでは、コントローラは、遠端側の光スイッチにおいて、光パワー監視機能を用いて、FOポートと接続されている全ポートにおいて、光パワーが検出されるか確認する。これにより、受信光パワーが検出されているポートを特定する。
【0068】
ステップP4において、受信光パワーが検出されているポートを特定できなかった場合、光伝送路のいずれのコアも遠端側と接続されていないことを意味するため、設定異常として終了する(ステップP6)。
【0069】
ステップP4において、受信光パワーが検出されているポートを特定できた場合、受信光パワーの測定情報を取得する。コントローラは取得した受信光パワーの測定情報を確認する(ステップP5)。受信光パワーが検出されたポートの受信光パワーが閾値未満である場合、想定以上の伝送路損失が発生していることが想定されるため、接続が適切ではないと判断し、設定異常として終了する(ステップP6)。なお、判断基準となる閾値は任意に設定することができ、コントローラの接続性判断機能部において、予め設定されている。
【0070】
ステップP5において、受信光パワーが検出されたポートの受信光パワーが閾値以上である場合、現在接続されているコア間において、光送信機から光受信機に信号光が到着し、伝送経路は確立されていると判断できる。本実施形態では、ステップP2で設定した光送信機のFIポート1と、ステップP4で受信光パワーが検出された受信端側のFOポートの接続性が確認できたことになる。これにより、近端側から遠端側へのコアの接続性確認が完了する(ステップP7)。コントローラの設定記憶機能部において、接続性が確認できたFIポート1とFOポートの各ポート番号の対応関係を記憶する。なお、光ファイバは、光の波長や光ファイバケーブルの長さなどにより、光パワーが損失する。そのため、判断基準となる閾値は、各光ファイバに応じて任意に設定することができ、コントローラの接続性判断機能部において、予め設定されている。
【0071】
次に、遠端側から近端側へのコアの接続性について、以下ステップP8からP16の手順で、確認する。まず、コントローラは、ステップP1と同様、初期化処理を行う(ステップP8)。遠端の光スイッチの折り返しポート1に、ステップP7にて接続性を確認した遠端側光スイッチのポートを接続する(ステップP9)。
【0072】
コントローラは、遠端側光スイッチにおいて、折り返しポート2に接続するFO側の接続性確認未完了ポートがあるか否かを確認する(ステップP10)。ステップP10において、接続性確認未完了ポートがない場合は、接続性確認を継続できないため、設定異常とみなし終了する(ステップP11)。ステップP10において、接続性確認未完了ポートがある場合、遠端の光スイッチのFO側ポートの番号の内、接続性確認未完了ポートから一つを選択して、折り返しポート2に接続する(ステップP12)。折り返しポートの選択方法は、ポート番号が小さい順に選択する。
【0073】
次に、コントローラは、光送信機において設定出力にて光出力をオンにし、光送信機は信号光を送出する(ステップP13)。光受信機において、受信光パワーが確認できた場合、コントローラは、光受信機から受信光パワーの測定情報を取得し(ステップP14)、取得した受信光パワーの測定情報を確認する(ステップP15)。ステップP15において、受信光パワーが閾値未満の場合、FO側ポートとの接続が確立されていないコアであると判断できるため、ステップP12の処理へ戻る。一方、ステップP15において、受信光パワーが閾値以上である場合、信号光が到達したと判断できる。そのため、ステップP12で設定した遠端のFOポートと、前の手順(ステップP2もしくはステップP19)において確認した近端のFIポート間の接続性が確認できたことになる。これにより、遠端側から近端側へのコアの接続性確認が完了する(ステップP16)。コントローラの設定記憶機能部において、接続性が確認できたFIポート1とFOポートの各ポート番号の対応関係を記憶する。なお、光ファイバは、光の波長や光ファイバケーブルの長さなどにより、光パワーが損失する。そのため、判断基準となる閾値は、各光ファイバに応じて任意に設定することができ、コントローラの接続性判断機能部において、予め設定されている。
【0074】
引き続き、別のコアの接続性を確認するため、ステップP1と同様、初期化処理を行う(ステップP17)。コントローラは、接続性確認未完了の遠近端のポートが残っているか否かを確認する(ステップP18)。接続性確認未完了の遠近端のポートが残っている場合、近端の光送受信機の接続ポート番号の内、接続性確認未完了のものから2つを選択して接続する(ステップP19)。光送受信機の接続ポートの選択方法として、例えば、ポート番号が小さい順に選択する方法をとってもよい。光送受信機の接続ポート選択後、ステップP3の手順に戻り、処理を繰り返す。上述した処理を繰り返すことで、MCF光伝送路を構成するすべてのコアの接続性を確認することが可能となる。ステップP18において、接続性確認未完了の遠近端のポートが残っていない場合、全ての接続性を確認したため、終了する(ステップP20)。
【0075】
以上説明したように、上記実施形態によれば、マルチコアファイバの融着接続後に各コアの光伝送路接続性を確認し、対応関係を明確にすることを可能とし、その結果、マルチコアファイバのコア番号の有無や配置を意識せず融着接続ができ、MCF光伝送路の構築難易度が下がり、伝送路構築に要する時間及びコストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1、2、3 光伝送路接続性確認システム
10 光送信機
20 光受信機
30 コントローラ
301 設定記憶機能部
303 接続性判断機能部
305 制御管理情報授受機能部
40 MCF光伝送路
51、61 光スイッチ
53 入力デバイス
63 出力デバイス
71 アイソレータ
81 パッチコード


図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B