(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044684
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】多連式引戸
(51)【国際特許分類】
E05F 17/00 20060101AFI20240326BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
E05F17/00 A
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150372
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】浅野 光
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014FA00
2E014FB01
2E014FB05
2E014FC01
(57)【要約】
【課題】上吊り式の多連式引戸において、見映えを悪化させることなく隣り合う戸体を連動できるようにする。
【解決手段】上吊りされた少なくとも2つの戸体を備える多連式引戸であって、2つの戸体は見付け方向に延びるガイド溝を下端面に有し、2つの戸体は、見付け方向に移動可能な第1戸体と、第1戸体の移動に連動して見付け方向に移動可能な第2戸体と、を有し、第2戸体は、下端面の見付け方向における連動元の第1戸体側の端部に固定された連結ガイド部材を有し、連結ガイド部材は、第2戸体の下端面に固定される固定プレート部と、固定プレート部から連動元の第1戸体のガイド溝の下方に向けて延びるガイドプレート部と、ガイドプレート部の上面から突出して第1戸体のガイド溝に嵌合するガイドピンと、を有し、固定プレート部とガイドプレート部との間には段差が設けられ、固定プレート部は段差を介してガイドプレート部よりも上方に配置される。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ見付け方向に移動可能に上吊りされた少なくとも2つの戸体を備える多連式引戸であって、
前記2つの戸体は、見付け方向に移動可能な第1戸体と、前記第1戸体の移動に連動して見付け方向に移動可能な第2戸体と、を有するとともに、見付け方向に延びるガイド溝を下端面にそれぞれ有し、
前記第2戸体は、前記下端面の見付け方向における連動元の前記第1戸体側の端部に固定された連結ガイド部材を有し、
前記連結ガイド部材は、
前記第2戸体の前記下端面に固定される固定プレート部と、
前記固定プレート部から連動元の前記第1戸体の前記ガイド溝の下方に向けて延びるガイドプレート部と、
前記ガイドプレート部の上面から突出して連動元の前記第1戸体の前記ガイド溝に嵌合するガイドピンと、を有し、
前記固定プレート部と前記ガイドプレート部との間には段差が設けられ、前記固定プレート部は、前記段差を介して前記ガイドプレート部の位置よりも上方に配置される、多連式引戸。
【請求項2】
前記固定プレート部の下面に下部ピース部材が配置され、
前記下部ピース部材と前記連結ガイド部材とは、固定ねじによって前記第2戸体の前記下端面に共締めされて固定される、請求項1に記載の多連式引戸。
【請求項3】
前記固定プレート部は、見付け方向に突出する突起部を有し、前記突起部を前記第2戸体の下桟に設けられた溝部に挿入した状態で前記第2戸体の前記下端面に固定される、請求項1又は2に記載の多連式引戸。
【請求項4】
前記ガイドプレート部は、連動元の前記第1戸体の下桟を見込み方向に挟む一対の突壁部を有する、請求項1又は2に記載の多連式引戸。
【請求項5】
前記第1戸体は、戸先側に引手を有するとともに、前記ガイド溝の戸先側の端部に、前記第2戸体の前記ガイドピンを当接させるストッパ部材を有し、
前記第2戸体の前記ガイドピンが前記第1戸体の前記ストッパ部材に当接した状態における前記第2戸体の戸先側の位置は、前記第1戸体の前記引手よりも前記第1戸体の戸尻側に配置される、請求項1又は2に記載の多連式引戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多連式引戸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚の移動可能な戸体を備える上吊り式の多連式引戸が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の多連式引戸は、天井に固定されたレールにそれぞれ移動可能に吊下げ支持される第一引戸と第二引戸との2つの戸体を備える。第二引戸の縦枠の下端にはガイド体が固定されている。ガイド体は、ガイド固定部、ガイド梁部及びガイド支持部からなり、ガイド固定部を縦枠の下端側面にボルト固定することによって引戸に取り付けられている。ガイド体の先端のガイド支持部は、第一引戸に向けて延び、第一引戸の枠部下端面に設けられるガイド凹部内に下方から挿入されている。これによって、第一引戸が開方向及び閉方向に移動する過程で第二引戸のガイド体が第一引戸のガイド凹部の端部に当接すると、第二引戸は、第一引戸の移動に連動して開方向及び閉方向に移動する。開口部を全開した際には、第一引戸と第二引戸とは全体にわたって重ねて配置されるため、引き残しは生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の多連式引戸は、ガイド体を縦枠の下端側面に固定しているため、枠体の下桟を細くすると、枠体に納められる面材がガラスである場合に、一方の引戸のガラス越しに他方の引戸のガイド体が丸見えとなり、見映えが悪くなる。さらに、縦枠を細くすると、ガイド体の取付け自体も困難になる。
【0006】
このように、従来の多連式引戸は、隣り合う戸体間の引き残し寸法を小さくできる利点を有する一方で、枠体を細くしてガラス面積を大きくした戸体を使用する場合には、見映えが悪化し、ガイド体の取付けが困難となる、という課題がある。
【0007】
本開示は、上吊り式の多連式引戸において、見映えを悪化させることなく、隣り合う戸体を連動させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、それぞれ見付け方向に移動可能に上吊りされた少なくとも2つの戸体を備える多連式引戸であって、前記2つの戸体は、見付け方向に移動可能な第1戸体と、前記第1戸体の移動に連動して見付け方向に移動可能な第2戸体と、を有するとともに、見付け方向に延びるガイド溝を下端面にそれぞれ有し、前記第2戸体は、前記下端面の見付け方向における連動元の前記第1戸体側の端部に固定された連結ガイド部材を有し、前記連結ガイド部材は、前記第2戸体の前記下端面に固定される固定プレート部と、前記固定プレート部から連動元の前記第1戸体の前記ガイド溝の下方に向けて延びるガイドプレート部と、前記ガイドプレート部の上面から突出して連動元の前記第1戸体の前記ガイド溝に嵌合するガイドピンと、を有し、前記固定プレート部と前記ガイドプレート部との間には段差が設けられ、前記固定プレート部は、前記段差を介して前記ガイドプレート部の位置よりも上方に配置される、多連式引戸に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】多連式引戸における先導戸体の正面図である。
【
図4】多連式引戸における先導戸体の底面図である。
【
図5】先導戸体の戸先側の端部ピースの分解斜視図である。
【
図6】先導戸体の戸尻側の端部ピースの分解斜視図である。
【
図7】中間従動戸体及び後尾従動戸体の正面図である。
【
図8】中間従動戸体及び後尾従動戸体の底面図である。
【
図9】中間従動戸体及び後尾従動戸体の戸先側の端部ピースの分解斜視図である。
【
図10】連結ガイド部材を上面側から見た斜視図である。
【
図11】連結ガイド部材を戸体の見付け方向から見た図である。
【
図12】戸体を全閉した状態を示す多連式引戸の底面図である。
【
図13】戸体を全開した状態を示す多連式引戸の戸先側の底面図である。
【
図14】戸体を全閉した状態の多連式引戸の下端部を戸体の見付け方向から見た図である。
【
図15】他の実施形態に係る連結ガイド部材を備える戸体の下端部を見付け方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の多連式引戸の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。多連式引戸1は、
図1に示すように、例えば、建物内の仕切り壁に形成された開口部100に開閉可能に設けられる。
【0011】
多連式引戸1は、上枠21、下枠22、戸先側の縦枠23及び戸尻側の縦枠24を矩形に枠組みした枠体2の内側に、上枠21にそれぞれ移動可能に上吊りされた複数の戸体を有する。本実施形態の多連式引戸1は、先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の3つの戸体を備える。下枠22の上面22aは、建物の床面と面一状に配置されている。先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の下端は、下枠22の上面22aに対してそれぞれ同一距離で上方に離隔して配置されている。多連式引戸1が備える戸体の数は3つに限定されず、少なくとも2つであればよい。
【0012】
各図中に示す方向について定義する。X1-X2で示される方向は、開口部100を通過する方向であり、多連式引戸1の「見込み方向」を示す。Y1-Y2で示される方向は、先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の開閉時の移動方向であり、多連式引戸1の「見付け方向」を示す。Y1は、先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の「閉方向」及び「戸先側」を示す。Y2は、先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の「開方向」及び「戸尻側」を示す。Z1-Z2で示される方向は、多連式引戸1の上下方向である。Z1は「上方」を示し、Z2は「下方」を示す。
【0013】
本実施形態の上枠21及び下枠22は、開口部100の開口幅よりも長尺に形成されている。そのため、開口部100で連通する2つの室のうちの一方の室から多連式引戸1を見たときに、枠体2の内側における縦枠24側に、略戸体1枚分の面積を有する壁部200が臨んでいる。先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5は、縦枠24側に移動して開口部100を全開にしたときに、この壁部200に重なり合うように収容される。
【0014】
図2に示すように、上枠21の下面21aには、先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5をそれぞれ独立して吊下げ支持する3つのレール25が複数の取付けねじ26によって固定されている。3つのレール25は、見込み方向に並列し、上枠21の長さ方向の全長に亘って延びている。レール25が固定された上枠21の見込み方向において、壁部200と反対のX2側には、レール25を目隠しするための側面化粧板27が取り付けられている。レール25の下面側には、先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の移動用の開口をそれぞれ残して遮蔽する下面化粧板28が取り付けられている。
【0015】
先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5は、
図2に示すように、見込み方向に隣り合って配置されている。先導戸体3は、見込み方向において、3つの戸体のうちで壁部200から最も遠いX2側に配置される。後尾従動戸体5は、見込み方向において、3つの戸体のうちで壁部200に最も近いX1側に配置される。中間従動戸体4は、見込み方向において、先導戸体3と後尾従動戸体5との間に配置される。
【0016】
図1に示すように、先導戸体3は、縦枠23に向けて閉方向に移動する際の先導側の戸体である。中間従動戸体4は、開口部100の全閉時に先導戸体3の戸尻側に隣接して配置される。先導戸体3は、中間従動戸体4の連動元の戸体である。本実施形態において、先導戸体3は「第1戸体」に対応する。中間従動戸体5は、開口部100の全閉時に中間従動戸体4の戸尻側に隣接して配置され、中間従動戸体4と壁部200との間を閉鎖する。中間従動戸体4は、後尾従動戸体5の連動元の戸体である。本実施形態において、中間従動戸体4は「第2戸体」に対応する。但し、「第1戸体」は「第2戸体」に対する連動元の戸体であればよい。したがって、本実施形態のように3枚の戸体を有する場合、中間従動戸体4を「第1戸体」とし、後尾従動戸体5を「第2戸体」としてもよい。
【0017】
まず、先導戸体3について
図3~
図6を参照して説明する。
図3に示すように、先導戸体3は、上桟31、下桟32、戸先側の縦框33及び戸尻側の縦框34を矩形に框組みした框体30の内側に、面材35を納めることによって構成される。上桟31には、一対の吊り車36が取り付けられている。本実施形態の先導戸体3に取り付けられる一対の吊り車36は、いずれも通常の吊り車を使用するが、一対の吊り車36のうちの少なくとも一方は、移動の終端近傍で減速する機能を有するソフトモーション部材付きの吊り車であってもよい。先導戸体3は、
図2に示すように、一対の吊り車36がレール25内に転動可能に収容されることによって、レール25に沿って見付け方向に移動可能に上吊りされる。面材35の表面には、先導戸体3の開閉操作時に手を掛けるための引手37が設けられている。本実施形態の引手37は、戸先側の縦框33の近傍において、面材35の表裏両面にそれぞれ配置される。但し、引手37の位置及び形状は任意であり、図示するものに限定されない。先導戸体3は、必ずしも引手を有していなくてもよい。
【0018】
図4~
図6に示すように、先導戸体3の下端面32a(下桟32の下面)には、見付け方向に延びる一対のガイド凸部321が下方に向けて所定の高さH0で突出している。ガイド凸部321は、内側に溝部321aを有する断面コ型に形成されている。ガイド凸部321は、アルミ等の金属材料によって下桟32に一体成形されている。一対のガイド凸部321は、溝部321aを互いに向かい合わせて間隔をあけて平行に配置されている。溝部321aは、下桟32の長さ方向の両端部にそれぞれ開放している。
【0019】
一対のガイド凸部321の間には、ガイド凸部321の長さ方向に沿ってガイドレール322が収容されている。ガイドレール322は、すべり性の良好な樹脂材によって、下方に向けて開口する樋状に形成されている。ガイドレール322の開口によって、先導戸体3の下端面32aに、見付け方向に延びるガイド溝323が形成される。一対のガイド凸部321の間には、下桟32の長さ方向の全長に亘る凹部324が形成されている。ガイドレール322は、一対のガイド凸部321の間で、溝部321a及び凹部324に嵌合して配置されている。
【0020】
一対のガイド凸部321の見付け方向の長さは、下桟32の全長よりも短い。そのため、下桟32の見付け方向の両端部には、ガイド凸部321が形成されていない端部領域32bがそれぞれ設けられている。各端部領域32bには、ガイド溝323の両端部を閉鎖する戸先端部ピース6と戸尻端部ピース7とが取り付けられている。
【0021】
戸先端部ピース6は先導戸体3の下桟32の戸先側に配置される。戸先端部ピース6は、
図5に示すように、スペーサ61と、下部ピース部材62と、ストッパ部材63と、を含んで構成される。
【0022】
スペーサ61は、アルミ等の金属製の板材からなる。スペーサ61は、見付け方向よりも見込み方向に長い略矩形状に形成されている。ガイド溝323側に配置されるスペーサ61の側縁には、ガイド溝323と略同一の幅を有する切欠き部61aが形成されている。スペーサ61には、見込み方向に離隔して配置される一対のねじ貫通孔61bが形成されている。
【0023】
下部ピース部材62は、スペーサ61の下面側に配置される。下部ピース部材62は、アルミ等の金属製の板材によって、スペーサ61と略同一の大きさに形成されている。下部ピース部材62には、ガイド溝323側から見付け方向に大きく切り欠かれた矩形状の切欠き部62aが形成されている。切欠き部62aは、ガイド溝323と略同一の幅を有し、スペーサ61の切欠き部61aよりも見付け方向に深く切り欠かれている。下部ピース部材62には、見込み方向に離隔して配置される一対のねじ貫通孔62bが形成されている。ガイド溝323と反対側の下部ピース部材62の側縁には、上方に向けて延びる立上がり部62cが形成されている。立上がり部62cは、下部ピース部材62の見込み方向の全長に亘って形成されている。
【0024】
ストッパ部材63は、先導戸体3を閉方向に移動させた際に、中間従動戸体4に設けられる後述のガイドピンを弾性的に当接させる部材である。ストッパ部材63は、ガイド溝323の深さと略同一の厚みを有し、ゴム等の弾性材によって見付け方向に長いブロック状に形成されている。ストッパ部材63の見付け方向外側の端面には、スペーサ61を挿入して挟持する溝63aが形成されている。ストッパ部材63の見込み方向の両面には、それぞれ見込み方向に突出する凸部63bが一体に形成されている。一対の凸部63bを含むストッパ部材63の見込み方向の幅は、ガイド溝323の幅よりもやや大きい。
【0025】
ストッパ部材63は、スペーサ61を切欠き部61a側から溝63a内に挿入し、スペーサ61を上下から挟持した状態でガイド溝323に収容されている。戸先端部ピース6は、ストッパ部材63に挟持された状態のスペーサ61と下部ピース部材62とが、ねじ貫通孔61b,62bを貫通する固定ねじSCで下桟32の一対のねじ孔325に共締めされることによって、端部領域32bに固定されている。ストッパ部材63は、スペーサ61と下桟32の凹部324との間で挟着されるとともに、凸部63bがガイド溝323内で弾性変形することによってガイド溝323内に保持される。下部ピース部材62の立上がり部62cは、スペーサ61の見付け方向外側の側縁を覆っている。下桟32に固定された戸先端部ピース6の下部ピース部材62の下面62d及びストッパ部材63の下面63cは、ガイド凸部321の下面321bと略面一に配置されている。戸先端部ピース6の見込み方向の幅は、下桟32の一対のガイド凸部321の全体の見込み方向の幅と略同一である。
【0026】
戸尻端部ピース7は先導戸体3の下桟32の戸尻側に配置される。戸尻端部ピース7は、
図6に示すように、スペーサ71と、下部ピース部材72と、ストッパ部材73と、を含んで構成される。
【0027】
スペーサ71及び下部ピース部材72は、戸先端部ピース6のスペーサ61及び下部ピース部材62と同一構成である。すなわち、スペーサ71は、切欠き部71aと、一対のねじ貫通孔71bと、を備える。下部ピース部材72は、切欠き部72aと、一対のねじ貫通孔72bと、立上がり部72cと、を備える。
【0028】
ストッパ部材73は、先導戸体3を開方向に移動させた際に、中間従動戸体4に設けられる後述のガイドピンを弾性的に当接させる部材である。ストッパ部材73は、戸先端部ピース6におけるストッパ部材63が有する凸部63bを有していない点、及び見付け方向の長さがストッパ部材63よりも短い点を除いて、ストッパ部材63と同一構成である。すなわち、ストッパ部材73の見付け方向外側の端面には、スペーサ71を挿入して挟持する溝73aが形成されている。ストッパ部材73の見付け方向の長さは、端部領域32bの見付け方向の長さと略同一である。
【0029】
戸尻端部ピース7は、戸先端部ピース6と同様に、ストッパ部材73に挟持された状態のスペーサ71と下部ピース部材72とが、一対の固定ねじSCによって下桟32の一対のねじ孔325に共締めされることによって、端部領域32bに固定されている。ストッパ部材73は、見付け方向の長さがストッパ部材63よりも短いため、ガイド溝323には収容されていない。下桟32に固定された戸尻端部ピース7の下部ピース部材72の下面72d及びストッパ部材73の下面73bは、ガイド凸部321の下面321bと略面一に配置されている。戸尻端部ピース7の見込み方向の幅は、下桟32の一対のガイド凸部321の全体の見込み方向の幅と略同一である。
【0030】
次に、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5について
図7~
図9を参照して説明する。中間従動戸体4と後尾従動戸体5とは実質的に同一構成である。そのため、
図7~
図9を中間従動戸体4と後尾従動戸体5とで共通に使用し、中間従動戸体4の構成部位については先頭が「4」の符号を付記し、後尾従動戸体5の構成部位については先頭が「5」の符号を付記して説明する。
【0031】
図7に示すように、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5は、上桟41,51、下桟42,52、戸先側の縦框43,53及び戸尻側の縦框44,54を矩形に框組みした框体40,50の内側に、面材45,55を納めることによって構成される。上桟41,42には、一対の吊り車46,56が取り付けられている。本実施形態の中間従動戸体4及び後尾従動戸体5に取り付けられる一対の吊り車46,56は、いずれも通常の吊り車を使用するが、一対の吊り車46,56のうちの少なくとも一方は、移動の終端近傍で減速する機能を有するソフトモーション部材付きの吊り車であってもよい。中間従動戸体4及び後尾従動戸体5は、
図2に示すように、先導戸体3と同様に、一対の吊り車46,56がレール25内に転動可能に収容されることによって、レール25に沿って見付け方向に移動可能に上吊りされる。先導戸体3に設けられている引手37は、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5には設けられていない。
【0032】
本開示の多連式引戸1において、各戸体3,4,5に納められる面材35,45,55は、木質パネル等の不透光性の板材であってもよいし、透明もしくは半透明のガラス板であってもよい。本実施形態の框体30,40,50は細いものを使用しているため框体30,40,50が目立たない。そのため、特に面材35,45,55が透明なガラス板である場合には、開口部100を全閉した場合でも広い採光を確保することができ、意匠性の良い多連式引戸1とすることができる。
【0033】
図8及び
図9に示すように、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の下端面42a,52a(下桟42,52の下面)には、先導戸体3のガイド凸部321、ガイドレール322、ガイド溝323及び凹部324と同様の構成を有するガイド凸部421,521、ガイドレール422,522、ガイド溝423,523及び凹部424,524が設けられる。ガイド凸部421,521は、第1戸体3のガイド凸部321と同様に、下桟42,52の長さ方向の両端部にそれぞれ開放する溝部421a,521aを有する。下桟42,52の見付け方向の両端部には、ガイド凸部421,521が形成されていない端部領域42b,52bがそれぞれ設けられている。
【0034】
中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の各端部領域42b,52bにも、先導戸体3と同様に、ガイド溝423,523の両端部を閉鎖するための戸先端部ピース8と戸尻端部ピース7とが取り付けられている。中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の下桟42,52の戸尻側に配置される戸尻端部ピース7は先導戸体3の戸尻端部ピース7と同一のものであるため、戸尻端部ピース7についての詳細な説明は上記説明を援用して省略する。以下においては、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の下桟42,52の戸先側に配置される戸先端部ピース8について説明する。
【0035】
戸先端部ピース8は、
図9に示すように、先導戸体3の戸先側に配置される戸先端部ピース6のスペーサ61に代えて、連結ガイド部材81が設けられている点、及びストッパ部材83が戸先端部ピース6のストッパ部材63よりも短い点で、先導戸体3に設けられる戸先端部ピース6と相違している。
図4に示す先導戸体3の戸先端部ピース6のストッパ部材63の見付け方向の長さL1は、
図8に示す中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の戸先端部ピース8のストッパ部材83の見付け方向の長さL2よりも長い。戸先端部ピース8のストッパ部材83は、戸尻端部ピース7のストッパ部材73と同一の構成を有する。下部ピース部材82は、先導戸体3の戸先端部ピース6における下部ピース部材62と同一の構成を有する。
【0036】
連結ガイド部材81は、ステンレス鋼(SUS)等の金属製の板材からなる。連結ガイド部材81は、
図9~
図11に示すように、固定プレート部811と、段差プレート部812と、ガイドプレート部813と、ガイドピン814と、を備える。
【0037】
固定プレート部811は、スペーサ61,71と同様に見付け方向よりも見込み方向に長い略矩形状に形成されている。ガイド溝323側に配置される固定プレート部811の側縁には、ガイド溝323と略同一の幅を有する切欠き部811aが形成されている。固定プレート部811には、見込み方向に離隔して配置される一対のねじ貫通孔811bが形成されている。切欠き部811aの見込み方向の両側には、下桟42,52の一対のガイド凸部421,521に向けて見付け方向に突出する一対の突起部811cが一体に形成されている。
【0038】
段差プレート部812は、固定プレート部811とガイドプレート部813との間に一体に設けられている。段差プレート部812は、固定プレート部811における隣りの戸体側の端部から下方に向けて略直角に延びている。詳しくは、中間従動戸体4の連結ガイド部材81の場合、段差プレート部812は、固定プレート部811における先導戸体3側の端部に配置される。後尾従動戸体5の連結ガイド部材81の場合、段差プレート部812は、固定プレート部811における中間従動戸体4側の端部に配置される。
【0039】
ガイドプレート部813は、段差プレート部812の下端から、固定プレート部811と平行に、隣りの戸体に向けて延びている。詳しくは、中間従動戸体4の連結ガイド部材81の場合、ガイドプレート部813は、段差プレート部812の下端から先導戸体3に向けて延びている。後尾従動戸体5の連結ガイド部材81の場合、ガイドプレート部813は、段差プレート部812の下端から中間従動戸体4の下方に向けて延びている。さらに詳しくは、ガイドプレート部813は、
図8~
図10に示すように、段差プレート部812の下端から隣りの戸体に向けて延びるとともに、固定プレート部811よりも見付け方向の戸先側に向けて延びている。
【0040】
ガイドプレート部813は、段差プレート部812を介して固定プレート部811に接続されているため、固定プレート部811とガイドプレート部813との間には、
図11に示すように、高さH1の段差が形成される。この段差の高さH1は、下桟32,42,52の下端面32a,42a,52aからのガイド凸部321,421,521の高さH0(
図5、
図9参照)よりも大きい。そのため、ガイドプレート部813は、隣りの戸体の下桟よりも下方に配置される。詳しくは、中間従動戸体4の連結ガイド部材81の場合、ガイドプレート部813は、先導戸体3の下桟32におけるガイド凸部321の下面321bから僅かに距離をあけて配置される。中間従動戸体5の連結ガイド部材81の場合、ガイドプレート部813は、中間従動戸体4の下桟42におけるガイド凸部421の下面421bから僅かに距離をあけて配置される。これによって、ガイドプレート部813は、先導戸体3のガイド溝323及び中間従動戸体4のガイド溝423の下方にそれぞれ配置される。
【0041】
ガイドピン814は、ガイドプレート部813の上面813aに配置され、上方に向けて円柱形状で突出している。ガイドピン814は、固定プレート部811の位置よりも見付け方向の戸先側の位置に配置されている。すなわち、中間従動戸体4の連結ガイド部材81の場合、ガイドピン814は、中間従動戸体4の戸先側端部よりも見付け方向の外側に配置されている。また、後尾従動戸体5の連結ガイド部材81の場合、ガイドピン814は、後尾従動戸体の戸先側端部よりも見付け方向の外側に配置されている。
【0042】
連結ガイド部材81は、固定プレート部811を切欠き部811a側からストッパ部材83の溝83a内に挿入することによって、ストッパ部材83によって挟持される。固定プレート部811の一対の突起部811cは、下桟42,52のガイド凸部421,521の端部から溝部421a,521aに挿入されている。この状態で、固定プレート部811と下部ピース部材82とが、ねじ貫通孔811b,82bを貫通する固定ねじSCによって下桟42,52の一対のねじ孔425,525に共締めされる。これによって、戸先端部ピース8が端部領域42b,52bに固定される。ストッパ部材83は、連結ガイド部材81の固定プレート部811と下桟42,52の凹部424,524との間で挟着されることによって保持される。下部ピース部材82の立上がり部82cは、固定プレート部811の見付け方向外側の側縁を覆っている。下桟42,52に固定された戸先端部ピース8の下部ピース部材82の下面82d及びストッパ部材83の下面83bは、ガイド凸部421,521の下面421b,521bと略面一に配置されている。連結ガイド部材81を除く戸先端部ピース8の見込み方向の幅は、下桟42,52の一対のガイド凸部421,521の全体の見込み方向の幅と略同一である。
【0043】
中間従動戸体4の下桟42及び後尾従動戸体5の下桟52にそれぞれ取り付けられた戸先端部ピース8のガイドピン814は、
図12~
図14に示すように、隣りの先導戸体3のガイド溝323及び中間従動戸体4のガイド溝423にそれぞれ嵌合する。後尾従動戸体5のガイド溝523には、下枠22の上面22aに配置された規制用ガイドピン9が嵌合している。規制用ガイドピン9は、開口部100と壁部200との境界部の近傍の下枠22の上面22aに、ねじ91によって固定されている。
【0044】
次に、多連式引戸1の作用について説明する。開口部100が全開されている状態で先導戸体3を戸先側の縦枠23に向けて移動させると、やがて中間従動戸体4のガイドピン814が先導戸体3の戸尻端部ピース7のストッパ部73に当接する。これによって、中間従動戸体4は、先導戸体3の移動に連動して縦枠23に向けて移動する。中間従動戸体4が移動すると、やがて後尾従動戸体5のガイドピン814が中間従動戸体4の戸尻端部ピース7のストッパ部73に当接する。これによって、後尾従動戸体5は、中間戸体戸体4の移動に連動して縦枠23に向けて移動する。先導戸体3が縦枠23に当接し、下枠22の規制用ガイドピン9が後尾従動戸体5の戸尻端部ピース7のストッパ部73に当接すると、
図12に示すように、先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5は開口部100を全閉する。
【0045】
開口部100が全閉した状態で先導戸体3を戸尻側の縦枠24に向けて移動させると、やがて中間従動戸体4のガイドピン814が先導戸体3の戸先端部ピース6のストッパ部材63に当接する。これによって、中間従動戸体4は、先導戸体3の移動に連動して縦枠24に向けて移動する。中間従動戸体4が移動すると、やがて後尾従動戸体5のガイドピン814が中間従動戸体4の戸先端部ピース8のストッパ部83に当接する。これによって、後尾従動戸体5は、中間従動戸体4の移動に連動して縦枠24に向けて移動する。下枠22の規制用ガイドピン9が後尾従動戸体5の戸先端部ピース8のストッパ部83に当接すると、
図13に示すように、先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5は壁部200に重なり合うように収容され、開口部100を全開する。吊り車36,46,56がソフトモーション部材付きである場合、先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5は、後尾従動戸体5の戸先端部ピース8のストッパ部83が下枠22の規制用ガイドピン9に当接する直前で減速するため、所定の位置までゆっくり移動しながら収容される。
【0046】
図13に示すように、開口部100が全開して先導戸体3、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5が重なり合ったとき、後尾従動戸体5の戸先端部ピース8における連結ガイド部材81のガイドプレート部813は、中間従動戸体4の戸先端部ピース8の下方に重なるように配置される。詳しくは、
図14に示すように、戸先端部ピース8の連結ガイド部材81の固定プレート部811は、段差プレート部812によって形成される段差を介してガイドプレート部813の位置よりも上方に配置される。そのため、中間従動戸体5のガイドピン814が中間従動戸体4のストッパ部材83に当接したとき、後尾従動戸体5のガイドプレート部813は、中間従動戸体4の連結ガイド部材81と干渉することなく、中間従動戸体4の戸先端部ピース8における下部ピース部材82の一部を下方から覆うように配置される。これによって、中間従動戸体4と後尾従動戸体5との間の引き残し寸法L10は可及的に小さく設定される。
【0047】
先導戸体3の戸先端部ピース6におけるストッパ部材63の見付け方向の長さは、中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の戸先端部ピース8におけるストッパ部83の見付け方向の長さよりも長い。そのため、中間従動戸体4のガイドピン814が先導戸体3のストッパ部材63に当接した状態における中間従動戸体4の戸先側の位置は、先導戸体3の引手37よりも先導戸体3の戸尻側に配置される。このときの先導戸体3と中間従動戸体4との間の引き残し寸法L20は、中間従動戸体4と後尾従動戸体5との間の引き残し寸法L10よりも大きく設定される。この引き残し寸法L20は、操作者が先導戸体3の引手37を操作可能であり、且つ指挟みが生じない安全な寸法に設定される。上述のとおり、中間従動戸体4と後尾従動戸体5との間の引き残し寸法L10は可及的に小さく設定されるため、多連式引戸1の全体の引き残し寸法L10+L20は小さい。そのため、この多連式引戸1によれば、開口部100の開口領域を広く確保することができる。
【0048】
中間従動戸体4及び後尾従動戸体5の戸先端部ピース8のガイドピン814が、先導戸体3及び中間従動戸体4のストッパ部材63、73,83に当接すると、連結ガイド部材81には、
図9に示すように、見付け方向に沿う応力Fが作用する。この応力Fは、連結ガイド部材81を下桟42,52の下端面42a,52aに沿って回転させる方向の力である。連結ガイド部材81が回転すると、固定状態に緩みが発生するおそれがある。これに対して、連結ガイド部材81の固定プレート部811は、突起部811cを下桟42,52のガイド凸部421,521の溝部421a,521aに挿入することによって取り付けられているため、連結ガイド部材81に応力Fが作用しても、溝部421a,521aに挿入された突起部811cが連結ガイド部材81の回転を阻止する。そのため、連結ガイド部材81の固定状態に緩みが生じることはない。
【0049】
応力Fが作用したときの連結ガイド部材81の回転を阻止するためには、
図15に示すように、連結ガイド部材81のガイドプレート部813の上面813aに、隣りの先導戸体3及び中間従動戸体4の下桟32,42を見込み方向に挟持する一対の突壁部815を突設してもよい。この場合、連結ガイド部材81の固定プレート部811は、突起部811cを備えていなくてもよい。
【0050】
本実施形態の多連式引戸1によれば、以下の効果を奏する。
【0051】
(1) それぞれ見付け方向に移動可能に上吊りされた少なくとも2つの戸体を備える多連式引戸1であって、2つの戸体は、見付け方向に移動可能な第1戸体である先導戸体3と、先導戸体3の移動に連動して見付け方向に移動可能な第2戸体である中間従動戸体4と、を有するとともに、見付け方向に延びるガイド溝323,423を下端面32a,42aにそれぞれ有し、中間従動戸体4は、下端面42aの見付け方向の一方端部における連動元の先導戸体3側の端部に固定された連結ガイド部材81を有し、連結ガイド部材81は、中間従動戸体4の下端面42aに固定される固定プレート部811と、固定プレート部811から連動元の先導戸体3のガイド溝323の下方に向けて延びるガイドプレート部813と、ガイドプレート部813の上面813aから突出して連動元の先導戸体3のガイド溝323に嵌合するガイドピン814と、を有し、固定プレート部811とガイドプレート部813との間には段差が設けられ、固定プレート部811は、段差を介してガイドプレート部813の位置よりも上方に配置される。
【0052】
これによれば、連結ガイド部材81は中間従動戸体4の下端面に取り付けられるため、戸体3,4の意匠性向上のために框体30,40を細く形成して面材35,45にガラスを使用しても、連結ガイド部材81が丸見えになるようなことがなく、多連式引戸1の見映えが悪化することはない。連結ガイド部材81の固定プレート部811は、段差を介してガイドプレート部813の位置よりも上方に配置されるため、隣接する2つの戸体3,4間で、ガイドプレート部813が干渉することがない。
【0053】
(2) 上記(1)に記載の多連式引戸1において、固定プレート部811の下面に下部ピース部材82が配置され、下部ピース部材82と連結ガイド部材81とは、固定ねじSCによって中間従動戸体4の下端面42aに共締めされて固定される。
【0054】
これによれば、戸体3,4の意匠性向上のために框体30,40を細く形成しても、意匠性を妨げることなく、連結ガイド部材81を下桟42に固定することができる。
【0055】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の多連式引戸1において、固定プレート部811は、見付け方向に突出する突起部811cを有し、突起部811cを中間従動戸体4の下桟42に設けられた溝部421aに挿入した状態で中間従動戸体4の下端面42aに固定される。
【0056】
これによれば、連結ガイド部材81に回転方向の応力Fが作用しても、連結ガイド部材81が回転することが阻止される。そのため、連結ガイド部材81の固定状態に緩みが生じることはない。
【0057】
(4) 上記(1)又は(2)に記載の多連式引戸1において、ガイドプレート部813は、連動元の先導戸体3の下桟32を見込み方向に挟む一対の突壁部を有する。
【0058】
これによれば、連結ガイド部材81に回転方向の応力Fが作用しても、連結ガイド部材81が回転することが阻止される。そのため、連結ガイド部材81の固定状態に緩みが生じることはない。
【0059】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかに記載の多連式引戸1において、先導戸体3は、戸先側に引手37を有するとともに、ガイド溝323の戸先側の端部に、中間従動戸体4のガイドピン814を当接させるストッパ部材63を有し、中間従動戸体4のガイドピン814が先導戸体3のストップ部材63に当接した状態における中間従動戸体4の戸先側の位置は、先導戸体3の引手37よりも先導戸体3の戸尻側に配置される。
【0060】
これによれば、ストッパ部材63の長さを設定するだけで、先導戸体3の引手37を操作可能であり、且つ指挟みが生じない安全な引き残し寸法を容易に設定することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 多連式引戸、 3 先導戸体、 4 中間従動戸体、 5 後尾従動戸体、 32a,42a,52a 下端面、 323,423,523 ガイド溝、 63,83 ストッパ部材、 81 連結ガイド部材、 811 固定プレート部、 811c 突起部、 812 段差プレート部、 813 ガイドプレート部、 813a ガイドプレート部の上面、 814 ガイドピン、 815 突壁部、 82 下部ピース部材、 421a,521a 溝部、 SC 固定ねじ