(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044693
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】風量調整装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/15 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
F24F13/15 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150386
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】595039852
【氏名又は名称】株式会社渡辺製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英之
(72)【発明者】
【氏名】太田 満
(72)【発明者】
【氏名】図子田 勇人
【テーマコード(参考)】
3L081
【Fターム(参考)】
3L081AA03
3L081AA08
3L081AB01
3L081FA04
3L081HB02
(57)【要約】
【課題】従来の風量調整装置では、ウォームギア等を用いて羽根を回転させるため、構造が複雑となり製造コストが嵩むという課題があった。
【解決手段】本発明の風量調整装置10は、主に、風量調整機構11と、風向調整機構13と、を備え、風量調整機構11では、複数枚の開閉羽根32が連結される開閉羽根連動部31が、ネジ操作部33等を用いて筐体12の内部を上下動作するシンプルな構造となり、製造コストが低減される。また、風量調整機構11では、開閉羽根32の筐体12等に対する連結箇所にフランジブッシュが使用されることで、生産性が向上され、製造コストが低減される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気方向に貫通する筐体と、前記通気方向の一端側の前記筐体の第1の開口部に配設される風量調整機構と、を備える風量調整装置であって、
前記風量調整機構は、
前記筐体の内部に配設され、前記筐体に回転可能に支持されるネジ操作部と、
前記筐体の内部に配設され、前記ネジ操作部の回転操作に連動して前記筐体の高さ方向へと移動可能な開閉羽根連動部と、
前記開閉羽根連動部に連結されると共に、前記筐体に対して回転支点を設けて連結された複数の開閉羽根と、
前記開閉羽根連動部に形成されると共に、前記ネジ操作部の前記回転操作に連動して前記開閉羽根連動部を前記筐体の縦幅方向への移動を可能とするスライド孔と、を有し、
前記開閉羽根が、前記ネジ操作部の前記回転操作に連動して前記筐体に対して回転することで、前記筐体の前記第1の開口部の開口面積が調整されることを特徴とする風量調整装置。
【請求項2】
通気方向に貫通する筐体と、前記通気方向の一端側の前記筐体の第1の開口部に配設される風量調整機構と、を備える風量調整装置であって、
前記風量調整機構は、
前記筐体の内部に配設され、前記筐体に回転可能に支持されるネジ部と、
前記ネジ部を回転動作させる操作手段と、
前記ネジ部の前記回転動作に連動して前記ネジ部に対して上下動作する固定プレートと、
前記筐体の内部にて前記固定プレートに固定され、前記ネジ部の回転動作に連動して前記筐体の高さ方向へと移動可能な開閉羽根連動部と、
前記開閉羽根連動部に連結されると共に、前記筐体に対して回転支点を設けて連結された複数の開閉羽根と、
前記固定プレート及び前記開閉羽根連動部に形成されると共に、前記ネジ部の前記回転動作に連動して前記開閉羽根連動部を前記筐体の縦幅方向への移動を可能とするスライド孔と、を有し、
前記開閉羽根が、前記ネジ部の前記回転動作に連動して前記筐体に対して回転することで、前記筐体の前記第1の開口部の開口面積が調整されることを特徴とする風量調整装置。
【請求項3】
前記開閉羽根連動部は、前記筐体に当接することにより前記開閉羽根連動部の可動域の上限位置を規定する第1のストッパー部と、前記筐体に当接することにより前記開閉羽根連動部の前記可動域の下限位置を規定する第2のストッパー部と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の風量調整装置。
【請求項4】
前記回転支点における前記筐体と前記開閉羽根の間には、少なくともフランジブッシュの一部が配設されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の風量調整装置。
【請求項5】
前記第2のストッパー部が、前記筐体と当接することで、前記第1の開口部は前記開閉羽根により全閉状態となり、
前記全閉状態において、隣接する前記開閉羽根同士の側縁部が当接するように、前記開閉羽根には、その延在方向に渡り屈折部が形成されることを特徴とする請求項3に記載の風量調整装置。
【請求項6】
前記開閉羽根連動部と前記筐体とを張架する防振バネを設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の風量調整装置。
【請求項7】
前記通気方向の他端側の前記筐体の第2の開口部に配設される風向調整機構を備える風量調整装置であって、
前記風向調整機構は、
前記第2の開口部の周囲の前記筐体に対して前記縦幅方向に一定間隔にて形成される複数の取付け孔と、
その両端部が前記取付け孔に対して挿入され、前記第2の開口部の前記縦幅方向に一定間隔にて配設される複数の回転羽根と、
前記筐体に支持されると共に、前記回転羽根を前記筐体の横幅方向へと押圧して固定する一対の付勢部と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の風量調整装置。
【請求項8】
前記付勢部は、前記取付け孔の位置に合わせて櫛歯形状に形成されることを特徴とする請求項7に記載の風量調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風量調整装置に関し、特に、空調ダクトや空調装置などの風路に対して好適に設置される風量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調ダクトなどの風路内部に配置される風量調整装置として、特許文献1に記載の構造が知られている。風量調整装置は、ケーシング内に回動可能に配置された複数の羽根と、複数の羽根を回動させるための駆動部材と、羽根の端部に固着されたクランク部材と、ケーシングの外部駆動部材を上下移動させる操作ハンドルと、を備える。
【0003】
また、特許文献2には、風量調整ダンパが記載されている。風量調整ダンパは、ハンドル操作による回動力を直接受ける主軸と、前記ハンドル操作による回動力を前記主軸を介して間接的に受けて回動する従軸と、を備える。そして、上記主軸及び従軸に取り付けられた羽根の開閉角度を調整することにより風量が調整される。
【0004】
特許文献1および特許文献2に記載の従来の風量調整装置では、ケーシング外部から操作ハンドル等を操作することにより、ケーシング内に配置された複数の羽根が回動し、それぞれの傾斜角度が変化して開度が変わることによって風量調整機能を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-107816号公報
【特許文献2】特許第5777930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した背景技術に係る発明では、羽根の開閉角度を調整するための操作ハンドルがケーシングの外部に配設されている。そのため、風量調整装置をダクトに設置した状態において、ケーシング外部から操作ハンドル等を操作するためのスペースを別途確保する必要があり、風量調整装置の設置箇所の設計が複雑化するといった問題があった。また、操作ハンドル用のスペースを確保できない構造のダクトには設置できないといった問題もあり、改善の余地があった。
【0007】
また、従来は、ウォームギア等を使用して羽根の軸を直接回して、その羽根とリンクを介して他の羽根を連動し、開閉していた。そのため、部品点数が多くなり、構造が複雑化すると共に、製造コストが嵩むといった問題もあった。
【0008】
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、従来設けられていたウォームギア等の複雑な構成を不要とすることにより、設計自由度を向上させると共に、製造コストを低減する風量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の風量調整装置では、通気方向に貫通する筐体と、前記通気方向の一端側の前記筐体の第1の開口部に配設される風量調整機構と、を備える風量調整装置であって、前記風量調整機構は、前記筐体の内部に配設され、前記筐体に回転可能に支持されるネジ操作部と、前記筐体の内部に配設され、前記ネジ操作部の回転操作に連動して前記筐体の高さ方向へと移動可能な開閉羽根連動部と、前記開閉羽根連動部に連結されると共に、前記筐体に対して回転支点を設けて連結された複数の開閉羽根と、前記開閉羽根連動部に形成されると共に、前記ネジ操作部の前記回転操作に連動して前記開閉羽根連動部を前記筐体の縦幅方向への移動を可能とするスライド孔と、を有し、前記開閉羽根が、前記ネジ操作部の前記回転操作に連動して前記筐体に対して回転することで、前記筐体の前記第1の開口部の開口面積が調整されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の風量調整装置では、通気方向に貫通する筐体と、前記通気方向の一端側の前記筐体の第1の開口部に配設される風量調整機構と、を備える風量調整装置であって、前記風量調整機構は、前記筐体の内部に配設され、前記筐体に回転可能に支持されるネジ部と、前記ネジ部を回転動作させる操作手段と、前記ネジ部の前記回転動作に連動して前記ネジ部に対して上下動作する固定プレートと、前記筐体の内部にて前記固定プレートに固定され、前記ネジ部の回転動作に連動して前記筐体の高さ方向へと移動可能な開閉羽根連動部と、前記開閉羽根連動部に連結されると共に、前記筐体に対して回転支点を設けて連結された複数の開閉羽根と、前記固定プレート及び前記開閉羽根連動部に形成されると共に、前記ネジ部の前記回転動作に連動して前記開閉羽根連動部を前記筐体の縦幅方向への移動を可能とするスライド孔と、を有し、前記開閉羽根が、前記ネジ部の前記回転動作に連動して前記筐体に対して回転することで、前記筐体の前記第1の開口部の開口面積が調整されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の風量調整装置では、前記開閉羽根連動部は、前記筐体に当接することにより前記開閉羽根連動部の可動域の上限位置を規定する第1のストッパー部と、前記筐体に当接することにより前記開閉羽根連動部の前記可動域の下限位置を規定する第2のストッパー部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の風量調整装置では、前記回転支点における前記筐体と前記開閉羽根の間には、少なくともフランジブッシュの一部が配設されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の風量調整装置では、前記第2のストッパー部が、前記筐体と当接することで、前記第1の開口部は前記開閉羽根により全閉状態となり、前記全閉状態において、隣接する前記開閉羽根同士の側縁部が当接するように、前記開閉羽根には、その延在方向に渡り屈折部が形成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の風量調整装置では、前記開閉羽根連動部と前記筐体とを張架する防振バネを設けることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の風量調整装置では、前記通気方向の他端側の前記筐体の第2の開口部に配設される風向調整機構を備える風量調整装置であって、前記風向調整機構は、前記第2の開口部の周囲の前記筐体に対して前記縦幅方向に一定間隔にて形成される複数の取付け孔と、その両端部が前記取付け孔に対して挿入され、前記第2の開口部の前記縦幅方向に一定間隔にて配設される複数の回転羽根と、前記筐体に支持されると共に、前記回転羽根を前記筐体の横幅方向へと押圧して固定する一対の付勢部と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の風量調整装置では、前記付勢部は、前記取付け孔の位置に合わせて櫛歯形状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の風量調整装置によれば、複数の開閉羽根が、筐体の内部に配設されたネジ操作部の回転操作に連動して筐体に対して回転することで、筐体の第1の開口部の開口面積が調整される。そして、ネジ操作部の回転による開閉羽根連動部の上下動作により、複数枚の開閉羽根が同時に開閉動作する構成となる。この構造により、回転操作部が筐体の内部に形成され、ダクト内の設置箇所に特段の設計を必要とすることなく、風量調整装置を配設することが可能となる。また、従来のウォームギア等を省略し、ネジ操作部の回転操作により開閉羽根の操作可能となり、部品価格が抑制され、製造コストが大幅に低減される。
【0018】
また、本発明の風量調整装置によれば、複数の開閉羽根が、筐体の内部に配設されたネジ部の回転操作に連動して筐体に対して回転することで、筐体の第1の開口部の開口面積が調整される。そして、ネジ部の回転による開閉羽根連動部の上下動作により、複数枚の開閉羽根が同時に開閉動作する構成となる。この構造により、ネジ部が筐体の内部に形成され、ダクト内の設置箇所に特段の設計を必要とすることなく、風量調整装置を配設することが可能となる。また、従来のウォームギア等を省略し、ネジ部の回転操作により開閉羽根の操作可能となり、部品価格が抑制され、製造コストが大幅に低減される。
【0019】
また、本発明の風量調整装置によれば、筐体の外部に配設された操作手段を用いて、筐体の外部からネジ部を回転動作させることが出来る。そして、操作手段として操作ワイヤ等を用いて簡易な構成とし、ネジ部の回転動作を正確に制御することで、細かい風量調整が可能となる。
【0020】
また、本発明の風量調整装置によれば、筐体に当接することにより開閉羽根連動部の上限位置を規定する第1のストッパー部と、筐体に当接することにより開閉羽根連動部の下限位置を規定する第2のストッパー部とが設けられる。この構造により、ネジ操作部の回し過ぎによる開閉羽根の破損が防止され、第1の開口部の開閉面積が、開閉羽根により調整可能となる。また、剛性を有する開閉羽根連動部及び筐体により、開閉羽根連動部の可動域の上限位置及び下限位置を規制することで、開閉羽根が薄肉化でき、製造コストが低減される。
【0021】
また、本発明の風量調整装置によれば、筐体と複数の開閉羽根の間に、フランジブッシュのフランジ部が配設される。この構造により、開閉羽根連動部と開閉羽根とが直接接触することが防止され、開閉羽根の動作時のガタつきの発生が防止される。
【0022】
また、本発明の風量調整装置によれば、第1の開口部の全閉状態において、隣接する開閉羽根同士の側縁部が当接するように、開閉羽根に屈折部が形成される。この構造により、第1の開口部の全閉状態における気洩れが防止される。また、開閉羽根に屈折部が形成されることで、開閉羽根の強度を向上させ、開閉羽根を薄肉化による製造コストが低減される。
【0023】
また、本発明の風量調整装置によれば、開閉羽根連動部と筐体とを張架する防振バネが配設される。この構造により、開閉羽根連動部が、筐体に対して安定状態にて固定され、筐体の内部を通過する風流により、開閉羽根が振動することが抑制される。
【0024】
また、本発明の風量調整装置によれば、風向調整するための複数の回転羽根が設けられる場合において、複数の回転羽根が、一対の付勢部により筐体の横幅方向へと押圧して固定される。この構造により、各回転羽根をネジで固定する必要がなくなり、部品点数を削減し、組立工数の削減もできる。
【0025】
また、本発明の風量調整装置によれば、板バネの形状を、取付け孔の位置に合わせて櫛歯形状に形成する。この構造により、各回転羽根に加わる押圧力を均一にできるため、回転羽根ごとの角度調整が容易となると共に、各回転羽根の所望の角度が維持され易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】本発明の一実施形態である風量調整装置を説明する斜視図である。
【
図1B】本発明の一実施形態である風量調整装置を説明する斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態である風量調整装置を説明する断面斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する分解斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面斜視図である。
【
図4B】本発明の一実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【
図5C】本発明の一実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態である風量調整装置の筐体と開閉羽根との組付け状態を説明する断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態である風量調整装置の風向調整機構を説明する斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態である風量調整装置の風向調整機構を説明する斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態である風量調整装置の風向調整機構を説明する斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態である風量調整装置の風向調整機構を説明する断面図である。
【
図13】本発明の他の実施形態である風量調整装置を説明する断面斜視図である。
【
図14】本発明の他の実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する分解斜視図である。
【
図15A】本発明の他の実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する斜視図である。
【
図15B】本発明の他の実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【
図15C】本発明の他の実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【
図16】本発明の他の実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する斜視図である。
【
図17A】本発明の他の実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【
図17B】本発明の他の実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【
図17C】本発明の他の実施形態である風量調整装置の風量調整機構を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る風量調整装置10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、上下方向は風量調整装置10の高さ方向を示し、左右方向は風量調整装置10の縦幅方向を示し、前後方向は風量調整装置10の横幅方向を示す。
【0028】
最初に、
図1Aから
図8を用いて、風量調整装置10の風量調整機構11について説明する。
図1Aは、本実施形態の風量調整装置10を説明する上面側斜視図である。
図1Bは、本実施形態の風量調整装置10を説明する下面側斜視図である。
図2は、本実施形態の風量調整装置10の断面図であり、
図1Aに示すA-A線方向の断面である。
【0029】
図1Aおよび
図1Bに示す如く、風量調整装置10は、主に、風量調整機構11と、筐体12と、風向調整機構13と、を備える。風量調整装置10は、空調ダクトの内部や空調装置などの吹き出し部等に設置される。そして、風量調整機構11は、筐体12の下面側の開口部12Bに対して形成され、吹き出し部から吹き出される空調風の風量を調整する。一方、風向調整機構13は、筐体12の上面側の開口部12Aに対して形成され、上記空調風の風向を調整する。
【0030】
図2に示す如く、筐体12は、略直方体形状であり、空調ダクト等の内部を送風する空調風を通過させるため、その通風方向(紙面上下方向)に一対の開口部12A,12Bが形成される。筐体12の上面側の開口部12Aには、その開口端部に沿って、蓋部20が設けられる。風向調整機構13は、蓋部20に対して配設される。風向調整機構13は、主に、複数の回転羽根21と、回転羽根21を回転可能に支持する一対の付勢部22と、を有する。そして、回転羽根21は、筐体12の横幅方向(紙面前後方向)を架橋すると共に、筐体12の縦幅方向(紙面左右方向)に一定間隔にて配置される。回転羽根21は、筐体12の縦幅方向へと回転することで、開口部12Aから吹き出される空調風の風向きを調整する。尚、本実施形態の開口部12Aは、本発明の第2の開口部に対応し、本実施形態の開口部12Bは、本発明の第1の開口部に対応する。
【0031】
図3から
図7を用いて、本実施形態の風量調整装置10の風量調整機構11の動作状態について説明する。
図3は、本実施形態の風量調整装置10の風量調整機構11を説明する分解斜視図である。
図4A及び
図4Bは、本実施形態の風量調整装置10の風量調整機構11のネジ操作部33を説明する斜視図である。
図5Aから
図5Cは、本実施形態の風量調整装置10の風量調整機構11の動作について説明する断面図であり、
図1Aに示すB-B線方向の断面である。
図6は、本実施形態の風量調整装置10の風量調整機構11の開閉羽根連動部31の可動域の上限位置を説明する断面図である。
図7は、本実施形態の風量調整装置10の風量調整機構11の開閉羽根連動部31の可動域の下限位置を説明する断面図である。
【0032】
図3に示す如く、筐体12の下面側の開口部12Bには、風量調整機構11が配設される。そして、風量調整機構11は、主に、開閉羽根連動部31と、開閉羽根連動部31及び筐体12に支持される複数の開閉羽根32と、開閉羽根連動部31を高さ方向に移動させるネジ操作部33と、開閉羽根連動部31に形成され、開閉羽根連動部31のスライド方向へ移動を可能とするスライド孔34と、を備える。
【0033】
台座部40が、筐体12の内側であり、開口部12Bの紙面後方側の開口端部の筐体12の縦幅方向に渡り配設される。台座部40は、筐体12に対して固定状態となる。そして、台座部40の上方には、開閉羽根連動部31が配設され、台座部40は、開閉羽根連動部31の下限位置を規制する部材として用いられる。尚、台座部40は、筐体12の一部を折り曲げ加工して形成される場合でも良い。
【0034】
複数の開閉羽根32は、長方形板状の部材であり、筐体12に対して、その傾きを変えることにより、開口部12Bの開口面積が調整され、その結果、空調風の風量が調整される。詳細は後述するが、開閉羽根32による開口部12Bの全閉状態において、隣接する開閉羽根32同士の延在方向(紙面前後方向)の両側縁部が当接するように、その延在方向に渡り屈折部32C,32Dが形成される。
【0035】
図示したように、台座部40及び台座部40との対向領域の筐体12には、開閉羽根32を回転可能に支持する複数の孔部35が形成される。開閉羽根32の延在方向の両端部には、その略中央部に一対の第1の連結孔部32Aが形成される。そして、フランジブッシュ61(
図8参照)及びネジ62(
図8参照)が、孔部35及び第1の連結孔部32Aに挿入されることで、開閉羽根32は、台座部40及び筐体12に対して連結される。詳細は後述するが、孔部35及び第1の連結孔部32Aを用いた上記連結構造41(
図8参照)は、開閉羽根32が筐体12に対して回転する際の回転支点として用いられる。
【0036】
次に、
図4A及び
図4Bを用いて、ネジ操作部33について説明する。最初に、
図3に示す如く、開口部12Bの紙面後方側の開閉羽根32には、第1の連結孔部32Aの近傍に第2の連結孔部32Bが形成される。一方、開閉羽根連動部31には、開閉羽根32と連結するための孔部36が形成される。そして、開閉羽根32は、第2の連結孔部32B及び孔部36にネジ等を挿入して開閉羽根連動部31に連結される。詳細は後述するが、孔部36及び第2の連結孔部32Bを用いた上記連結構造42(
図8参照)は、開閉羽根連動部31が高さ方向に移動する際に開閉羽根32を高さ方向へと連動して移動させる。
【0037】
また、スライド孔34は、開閉羽根連動部31の略中央部に形成され、開閉羽根連動部31の延在方向(紙面左右方向)に長い長穴として形成される。そして、スライド孔34の中心部の下方に位置する台座部40には、ネジ操作部33を支持する孔部38が形成される。
【0038】
ネジ部33Aに挿入されたワッシャーやナット等の固定部材33Bが、スライド孔34周辺の開閉羽根連動部31の板材を挟み込むことで、ネジ部33Aの頭部側は、開閉羽根連動部31に固定される。そして、ネジ部33Aの下端側は、孔部38の内部に設置されたネジ受け部33Cに対して挿入される。ネジ受け部33Cの内周面には、ネジ切り加工が施される。
【0039】
図4Bでは、
図5Aにて説明する全開状態時のネジ操作部33の位置を示す。ネジ操作部33は、使用者がネジ操作部33を回転操作することで、スライド孔34の内部を開閉羽根連動部31の延在方向(紙面左右方向)へとスライド移動する。このとき、固定部材33Bでは、開閉羽根連動部31の板材をワッシャーで挟み、皿バネでガタの無い様圧縮することにより、ネジ操作部33が、スライド孔34の内部をガタつくことなくスムーズに移動することができる。
【0040】
この構造により、使用者が、ネジ操作部33のネジ部33Aの頭部をドライバ等の工具にて回転操作することで、ネジ操作部33は、筐体12の台座部40に対して高さ方向へと移動する。そして、ネジ部33Aが、台座部40に固定されたネジ受け部33C内に挿入された構造となることで、ネジ操作部33は、台座部40の上面に対して略垂直方向に上下動作を行う。尚、ネジ部33Aは、後述する開閉羽根連動部31の可動域の上限位置においてもネジ受け部33Cの内部に挿入された状態となる。
【0041】
次に、
図5Aから
図5Cを用いて、ネジ操作部33の回転操作に連動する開閉羽根連動部31及び開閉羽根32の動作について説明する。
図5Aは、開口部12Bの全開状態を示し、開閉羽根連動部31が上限位置まで移動した状態を示す。一方、
図5Cは、開口部12Bの全閉状態を示し、開閉羽根連動部31が可動域の下限位置まで移動した状態を示す。また、
図5Bは、
図5Aに示す全開状態と
図5Cに示す全閉状態の中間状態である半開き状態であり、開閉羽根連動部31が上下方向のどちらにも移動可能な状態を示す。
【0042】
上述したように、開閉羽根32は、上記連結構造41を介して開閉羽根連動部31に連結されると共に、上記連結構造42を介して筐体12及び台座部40に連結される。そして、開閉羽根32は、開閉羽根連動部31の上下動作に連動して、連結構造42を回転支点として筐体12に対して回転動作する。この構造により、開閉羽根連動部31が、筐体12に対して平行に移動する平行リンク機構が形成される。かかる平行リンク機構により、開閉羽根連動部31の上下移動に連動して、複数の開閉羽根32が筐体12に対して回転することが可能となる。
【0043】
最初に、
図5Bに示す中間状態から
図5Aに示す全開状態へと移行する場合の風量調整機構11の動作について説明する。使用者が、工具を用いてネジ操作部33を回転操作するとネジ操作部33が台座部40の上面に対して上方へ移動し、開閉羽根連動部31を上方へと引っ張り上げる。
【0044】
この際、
図5Bの中間状態では、ネジ操作部33の頭部はスライド孔34の略中央に位置するが、その後、紙面左側へとスライド孔34内にてスライド移動する。つまり、ネジ操作部33の回転操作により、開閉羽根連動部31の上下動作に連動して、上記平行リンク機構によるスライド動作が連動することで、開閉羽根連動部31は、時計回りに円弧を描きながら紙面右側へと移動する。そして、複数の開閉羽根32は、それぞれ連結構造42を回転支点として時計回りに一定の角度回転し、台座部40の上面に対して略垂直状態となる。その結果、開口部12Bの開口面積は最大となり、筐体12内を通過する空調風の風量が最大化される。
【0045】
次に、
図5Bに示す中間状態から
図5Cに示す全閉状態へと移行する場合の風量調整機構11の動作について説明する。使用者が、工具を用いてネジ操作部33を回転操作するとネジ操作部33が、台座部40の上面に対して下方へ移動し、開閉羽根連動部31を下方へと押し下げる。
【0046】
この際、
図5Bの中間状態では、ネジ操作部33の頭部は、スライド孔34内にて紙面右側へとスライド移動する。つまり、ネジ操作部33の回転操作により、開閉羽根連動部31の上下動作に連動して、上記平行リンク機構によるスライド動作が連動することで、開閉羽根連動部31は、反時計回りに円弧を描きながら紙面左側へと移動する。そして、複数の開閉羽根32は、それぞれ連結構造42を回転支点として反時計回りに一定の角度回転し、台座部40の上面に対して略水平状態となる。その結果、開口部12Bの開口面積は実質無くなり、筐体12内への空調風の供給が停止する。尚、このとき、隣接する開閉羽根32同士の側縁部32C,32Dが当接することで、より確実に全閉状態が実現される。
【0047】
次に、
図6及び
図7を用いて、開閉羽根連動部31の可動域の上限位置及び下限位置について説明する。
【0048】
図6に示す如く、開閉羽根連動部31の延在方向の端部には、第1のストッパー部51が形成される。
図5Aにも示すように、第1のストッパー部51は、例えば、開閉羽根連動部31の一部であり、開閉羽根連動部31の延在方向の先端部に形成される。丸印52にて示すように、第1のストッパー部51は、上記全開状態において、筐体12の内壁に突き当たるよう設計される。そして、筐体12及び開閉羽根連動部31は、所望の剛性を満たす板厚により形成されることで、開閉羽根連動部31は、上限位置で確実に止まる構造としている。
【0049】
開閉羽根連動部31の一部を筐体12の内壁に当接させる極めて簡易な構成により、作業者が、上記全開状態への回転操作時にネジ操作部33を回転させ過ぎることが防止される。そして、上記平行リンク機構が反転動作し、開閉羽根32の通常動作が出来なくなることが防止される。
【0050】
図7に示す如く、開閉羽根連動部31は、断面視略コの字形状に形成される。そして、開閉羽根連動部31の紙面後方側の側壁部が、第2のストッパー部53として用いられる。丸印54にて示すように、開閉羽根連動部31の側壁部が、上記全閉状態において、筐体12の台座部40の上面に突き当たるよう設計される。そして、筐体12の台座部40及び開閉羽根連動部31は、所望の剛性を満たす板厚により形成されることで、開閉羽根連動部31は、下限位置で確実に止まる構造としている。
【0051】
開閉羽根連動部31の下端を筐体12の一部に当接させる極めて簡易な構成により、開閉羽根32の当接状態により下限位置を規制することが不要となる。そして、開閉羽根32の板厚を薄く出来、製造コストが低減される。また、作業者が、回転操作時にネジ操作部33を回転させ過ぎることが無く、開閉羽根32が折れ曲がることや上記平行リンク機構が反転することが防止される。
【0052】
次に、
図8を用いて、開閉羽根連動部31と開閉羽根32との連結構造41,42について説明する。
図8は、
図5Cに示す開口部12Bの全閉状態時を説明する断面図である。
【0053】
図8に示す如く、連結構造41は、フランジブッシュ61及びネジ62を孔部35及び第1の連結孔部32Aに挿入することで構成され、開閉羽根32は、台座部40及び筐体12に対して連結される。そして、連結構造41は、開閉羽根32が筐体12に対して回転する際の回転支点として用いられる。
【0054】
図示したように、フランジブッシュ61のフランジ部61Aが、開閉羽根32と筐体12及び台座部40との間に位置することで、開閉羽根32と筐体12と開閉羽根連動部31及び台座部40との間に1mm程度の隙間が形成される。この構造により、筐体12、台座部40及び開閉羽根32は板金により形成されるが、開閉羽根32の回転動作時に板金同士が非接触状態となり、ガタつきが防止される。また、開閉羽根32の回転動作による摩擦を減らし、部品の摩耗を防ぐことができるだけでなく、通常ワッシャーにより隙間を確保する所をワッシャー無しで構成することができ、部品点数を削減することができる。更には、ネジ締め作業が不要となり、加工工数の低減や部品点数の低減により、製造コストが低減される。
【0055】
また、連結構造42は、ネジ63を孔部36及び第2の連結孔部32Bに挿入することで構成される箇所と、フランジブッシュ61及びネジ62を孔部36及び第2の連結孔部32Bに挿入することで構成される箇所と、を有する。ネジ63の取付け箇所では、開閉羽根32は開閉羽根連動部31に対して位置固定される。一方、フランジブッシュ61及びネジ62の取付け箇所では、開閉羽根32は開閉羽根連動部31に対して位置固定されない。
【0056】
この構造により、複数の開閉羽根32の半分程度が、ネジ63により開閉羽根連動部31に対して位置固定されることで、開閉羽根連動部31が高さ方向に移動する際に、確実に開閉羽根32を高さ方向へと連動して移動させることが出来る。また、複数の開閉羽根32の半分程度において、ネジ締め作業が不要となり、加工工数の低減や部品点数の低減により、製造コストが低減される。尚、フランジブッシュ61として、例えば、軸受け用のフランジブッシュを用いることで、フランジブッシュ61の外径と筐体12の孔部35に対する精度及びフランジブッシュ61の内径とネジ62,63の外径に対する精度を高め、開閉羽根32のガタつきをより抑えることが可能となる。
【0057】
次に、
図9から
図12を用いて風量調整装置10の風向調整機構13について説明する。
図9は、本実施形態の風量調整装置10の風向調整機構13を説明する斜視図であり、下方側から見た状態を示す。
図10は、本実施形態の風量調整装置10の風向調整機構13の回転羽根21を説明する斜視図である。
図11は、本実施形態の風量調整装置10の風向調整機構13の付勢部22を説明する斜視図である。
図12は、本実施形態の風量調整装置10の風向調整機構13の組付け状態を説明する断面図である。
【0058】
図9に示す如く、筐体12(
図1A参照)の上面側の開口部12Aには、その開口端部に沿って、蓋部20が設けられる。風向調整機構13が、蓋部20に対して配設される。そして、風向調整機構13は、主に、複数の回転羽根21と、回転羽根21を回転可能に支持する一対の付勢部22と、を有する。尚、蓋部20は、筐体12の一部として用いられる。
【0059】
図示したように、筐体12の上面側に蓋部20が配置されることで、開口部12Aは、蓋部20の内側に形成される。そして、回転羽根21は、筐体12の横幅方向(紙面前後方向)を架橋すると共に、筐体12の縦幅方向(紙面左右方向)に一定間隔にて配置される。回転羽根21は、筐体12の縦幅方向へと回転することで、開口部12Aから吹き出される空調風の風向きを調整する。
【0060】
図10に示す如く、回転羽根21の延在方向(紙面前後方向)の両端部には、例えば、断面D形状の軸部21Aが形成される。蓋部20(
図1A参照)の縦幅方向(紙面左右方向)の側面には、一定間隔に複数の取付け孔24(
図12参照)が形成される。そして、各回転羽根21の軸部21Aが、蓋部20の取付け孔24に対して挿入されることで、回転羽根21は蓋部20に対して回転可能に軸支される。尚、風向調整機構13は、蓋部20を介して筐体12に対して着脱自在に装着される。
【0061】
本実施形態では、回転羽根21の軸部21Aが、断面D形状として形成されることにより、回転羽根21の空回転を防止する効果が得られる。尚、空回転防止効果を増大する為、回転羽根21の軸部21Aの先端と付勢部22の押圧部22Bとの間に、ゴム板や、軟質PVCからなる摩擦部材(図示せず)を使用する場合でも良い。この場合には、摩擦部材が、軸部21Aの先端に当たり、回転摩擦力が高められ回転防止効果がさらに増大する。
【0062】
図11に示す如く、付勢部22としては、例えば、板金を断面視略L字形状に曲げ加工した板バネが用いられる。付勢部22は、蓋部20(
図1A参照)の取付け孔24の位置に合わせて櫛歯形状に形成されることで、個々の回転羽根21の軸部21Aをそれぞれ両側から支持する。
【0063】
図示したように、付勢部22は、筐体12の縦幅方向(紙面左右方向)に延在して形成され、筐体12の設置面と当接する基部22Aと、基部22Aから上方へと延在する押圧部22Bと、を有する。そして、基部22Aの延在方向の中央部には、付勢部22を筐体12へと位置固定するための孔部22Cが少なくとも1箇所形成される。押圧部22Bは、基部22Aに対して、例えば、60度から85度傾斜した状態に折り曲げ加工される。
【0064】
図12に示す如く、蓋部20が筐体12(
図2参照)の上面側に配置されることで、筐体12の内側であり、蓋部20と筐体12との間に付勢部22が配置される空間部25が形成される。空間部25には、回転羽根21の軸部21Aが挿入されると共に、付勢部22が配設される。上述したように、付勢部22の基部22Aが、筐体12の設置面に対してネジ固定されることで、付勢部22は、空間部25内に位置固定される。このとき、櫛歯形状に形成された押圧部22Bは、個々の回転羽根21の軸部21Aを内側へと押圧する。そして、押圧部22Bは、軸部21Aにより筐体12の外側へと押されるが、板金の有する弾性力により元の状態に戻る力を用いて回転羽根21を押圧固定する。
【0065】
この構造により蓋部20の取付け孔24から突出する軸部21Aの高さや軸部21Aの長さが若干異なったとしても、個々の軸部21Aに対して適当な押圧力を加えることができる。その結果、個々の回転羽根21が、上述した軸部21Aの形状と合わさり所望の角度に維持された状態となり、空調風の風向調整が容易となる。また、各回転羽根21をネジで固定する必要がなくなるため、部品点数を削減し、組立工数の削減することで、製造コストが低減される。
【0066】
上述したように、本実施形態の風量調整装置10では、ネジ操作部33の一本のネジ部33Aの回転操作による開閉羽根連動部31の高さ方向への動作により、複数の開閉羽根32を同時に回転動作させることが出来る。そして、筐体12の開口部12Bの開口面積が、ネジ部33Aの操作量に応じて細かく調整できるので、風量調整装置10から吹き出される空調風の風量を、所望の範囲内にて正確に制御することができる。また、ネジ操作部33が、筐体12の内部に配設されることで、風量調整装置10が建屋の壁の内部に設置された後においても、上記壁を壊すことなく、蓋部20を取り外し、ネジ操作部33を回転操作することで、風量の調整が可能となる。更には、ネジ操作部33が、筐体12の外部に突出することがなく、風量調整装置10の設置箇所に特段の設計を必要とすることなく、簡易に取り付けることができる。
【0067】
尚、本実施形態では、筐体12の内部に1本のネジ部33Aから構成されるネジ操作部33を配置し、使用者等が、ネジ部33Aの頭部を工具を用いて回転操作することで、風量調整機構11を動作させ、風量調整装置10から吹き出される空調風の風量を調整する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、ネジ操作部33の回転操作が、モータ及びその制御手段を用いて自動にて行う場合でも良い。この場合には、例えば、煙検知センサや温度センサ等を組み合わせることで、火災を検知した際に風量調整機構11を
図5Cを用いて説明した全閉状態へと移行させることで、防災ダンパとして使用することもできる。また、風向調整機構13は、筐体12の上面側の開口部12Aに対して形成され、風量調整機構11は、筐体12の下面側の開口部12Bに対して形成される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、風向調整機構13は、筐体12の下面側の開口部12Bに対して形成され、風量調整機構11は、筐体12の上面側の開口部12Aに対して形成される場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【0068】
次に、
図13から
図17Cを用いて、更なる他の形態にかかる風量調整装置100を説明する。
図13は本発明の他の実施形態である風量調整装置100を説明する断面斜視図である。
図14は本発明の他の実施形態である風量調整装置100の風量調整機構101を説明する分解斜視図である。
図15Aは、風量調整機構101のネジ部71及び固定プレート73の構造を説明するための斜視図である。
図15Bは、風量調整機構101のネジ部71及び固定プレート73の構造を説明するための紙面左右方向の断面図である。
図15Cは、風量調整機構101のネジ部71及び固定プレート73の構造を説明するための紙面前後方向の断面図である。
【0069】
本実施形態の風量調整装置100は、
図1から
図12に示した風量調整装置10と同様に、ダクト102等の風路を流れる空調風の風量を調整する装置である。そして、風量調整装置100は、主に、以下の2つの構造において風量調整装置10と異なり、異なる構造を中心に説明する。
【0070】
図示したように、風量調整装置100は、風量調整機構101を備え、風量調整機構101がダクト102の内部に直接配設される。そして、風量調整機構101のネジ部71が、ダクト102の外部に配設される操作手段により操作される構造及び風流による開閉羽根32の振動を抑制するための防振バネ70が開閉羽根連動部31に配設される構造が、主に、上記風量調整装置10と異なる構造となる。尚、防振バネ70は、上記風量調整装置10にも配設されることで同様な効果が得られる。また、操作手段として、操作ワイヤ72、つまみネジ、モーター等を用いることが出来るが、以下の説明では、操作ワイヤ72を用いて説明する。
【0071】
図13に示す如く、風量調整機構101は、ダクト102の内部に取り付けられる筐体12に回転可能に支持されるネジ部71と、ダクト102の外部からネジ部71を回転動作させる操作ワイヤ72と、開閉羽根連動部31に固定されるとともに、ネジ部71の回転動作に連動してネジ部71に対して上下動作する固定プレート73と、を備える。尚、風量調整機構101は、その他の構造として、開閉羽根連動部31と、開閉羽根連動部31及び筐体12に支持される複数の開閉羽根32と、開閉羽根連動部31に形成され、開閉羽根連動部31のスライド方向へ移動を可能とするスライド孔34と、を備え、上記風量調整機構11と同じ符番を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0072】
図14に示す如く、筐体12に固定されたネジ支持プレート12Cには、ネジ部71を挿入するための孔部12Dが形成される。ネジ部71は、ネジ支持プレート12Cの孔部12Dに挿入され、ワッシャーやナット等の固定部材を介してネジ支持プレート12Cに固定される。そして、ネジ部71は、筐体12に対して回転可能に支持されると共に、ネジ支持プレート12Cに対して上下動作しない構造となる。
【0073】
操作ワイヤ72の一端には、ネジ部71を回転するための回転ユニット72Aが備えられる。また、操作ワイヤ72の他端には、ワイヤを介して回転ユニット72Aの回転動作を遠隔操作する回転操作部72Bが備えられる。そして、回転操作部72Bは、ダクト102の外側に設置されることで、設置業者等の作業者は、ダクト102の外部からネジ部71の回転を遠隔操作することができる。
【0074】
また、図示したように、固定プレート73の略中央部には、ネジ部71を挿入するための孔部73Bが形成されるとともに、孔部73Bの紙面左右両側には、それぞれ開閉羽根連動部31の紙面左右方向に延在するスライド孔73Aが形成される。
【0075】
図15Aに示す如く、固定プレート73の略中央部に形成された孔部73Bには、下方向からナット73Cが挿入される。そして、ナット73Cの下端が、固定プレート73に対してカシメ固定あるいは溶接固定される。また、
図15B及び
図15Cに示すように、ナット73Cの内側には、ネジ部71のネジ山に係合するネジ溝が形成される。この構造により、固定プレート73は、ネジ部71の回転動作に連動して、ネジ部71に対して上下動作する。詳細は後述するが、固定プレート73は、開閉羽根連動部31にネジ固定されることで、開閉羽根連動部31もネジ部71に対して上下動作する。
【0076】
また、図示したように、開閉羽根連動部31のスライド孔34の左側近傍及び右側近傍には、固定プレート73に固定されるためのネジ部31Aが固定される。そして、開閉羽根連動部31に固定された2本のネジ部31Aのそれぞれに挿入されたワッシャーやナット等の固定部材33Bが、2つのスライド孔73A周辺の固定プレート73の板材を挟み込むように固定される。この構造により、開閉羽根連動部31は、固定プレート73に連動してネジ部71に対して上下動作すると共に、上記平行リンク機構により筐体12に対して紙面左右方向にスライド可能に固定される。
【0077】
図16に示す如く、防振バネ70は、例えば、引っ張りバネであり、防振バネ70の一端が、固定ネジ31Cによって開閉羽根連動部31に固定される。一方、防振バネ70の他端が、筐体12の内壁に固定されることにより、開閉羽根連動部31と筐体12との間に常に張力がかかる状態となる。
【0078】
ここで、
図8を用いて上述したように、開閉羽根32は、第1の連結孔部32Aとネジ部62との隙間、及び、第2の連結孔部32Bとネジ部42の隙間の発生により、ガタつきが発生する場合もある。特に、筐体12の内部の通過風速が早い場合には、上記ガタつきにより異音等が発生する恐れもある。そこで、本実施形態では、防振バネ70により、開閉羽根連動部31をダクト102に固定される筐体12側へと引っ張り続けることにより、開閉羽根連動部31を安定して筐体12に対して固定することで、風流による開閉羽根32の振動を抑制することができる。尚、防振バネ70としては、引っ張りバネの他にも、圧縮バネ、定荷重バネ等を用いてもよい。
【0079】
次に、
図17Aから
図17Cを用いて、ネジ部71の回転操作に連動する開閉羽根連動部31及び開閉羽根32の動作について説明する。
図17Aは、開口部12Bの全開状態を示し、
図17Cは、開口部12Bの全閉状態を示し、
図17Bは、
図17Aに示す全開状態と
図17Cに示す全閉状態の中間状態である半開き状態を示す。
【0080】
図17Bに示す半開き状態から
図17Aに示す全開状態へと移行する場合、作業者等が、ダクト102の外部から操作ワイヤ72の回転操作部72Bを操作することにより、ネジ部71を回転させる。ここで、ネジ部71自体は、回転動作するのみで、筐体12に対して上下方向には移動しないが、上述したように、ナット73Cが固定プレート73に固定されているため、ネジ部71の回転動作に連動して、固定プレート73はネジ部71に対して上方に移動する。その結果、固定プレート73が、開閉羽根連動部31を上方へと引っ張り上げる。この際、
図17Aの全開状態では、開閉羽根連動部31が円弧軌道に移動することで、ネジ部31Aの頭部は固定プレート73のスライド孔73Aの略中央位置から、紙面右側へとスライド孔73A内にてスライド移動する。
【0081】
図17Bに示す半開き状態から
図17Cに示す全閉状態へと移行する場合、作業者等が、ダクト102の外部から操作ワイヤ72の回転操作部72Bを操作することにより、ネジ部71を逆方向に回転させる。そして、ネジ部71の回転動作に連動して、固定プレート73はネジ部71に対して下方に移動し、開閉羽根連動部31を下方へと押し下げる。この際、
図17Cの全閉状態では、開閉羽根連動部31が円弧軌道に移動することで、ネジ部31Aの頭部はスライド孔73Aの略中央位置から紙面右側へとスライド孔73A内をスライド移動する。
【0082】
図17Cに示す全閉状態から
図17Aに示す全開状態へと移行するに従い、開閉羽根連動部31が右方向へ円弧軌道に移動し、開閉羽根連動部31と筐体12とを張架する防振バネ70にかかる張力は増大する。このため、通風速度が増大しても、開閉羽根連動部31が安定状態にて筐体12に支持されることで、開閉羽根32の振動を抑制することができる。
【0083】
尚、本実施形態では、ダクト102の内部に風量調整装置100の風量調整機構101が配設される場合について説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、風量調整装置100においても、ダクト102の内部に風量調整機構101及び風向調整機構13が配設される場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
10,100 風量調整装置
11,101 風量調整機構
12 筐体
12A,12B 開口部
13 風向調整機構
20 蓋部
21 回転羽根
21A 軸部
22 付勢部
22A 基部
22B 押圧部
22C 孔部
24 取り付け孔
25 空間部
31 開閉羽根連動部
31A ネジ部
31C 固定ネジ
32 開閉羽根
32A 第1の連結孔部
32B 第2の連結孔部
33 ネジ操作部
33A ネジ部
33B 固定部材
33C ネジ受け部
34,73A スライド孔
35,36,38 孔部
40 台座部
41,42 連結構造
51 第1のストッパー部
53 第2のストッパー部
61 フランジブッシュ
61A フランジ部
62,63 ネジ
70 防振バネ
71 ネジ部
72 操作ワイヤ
73 固定プレート
102 ダクト