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  • 特開-電力制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044705
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電力制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240326BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J7/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150409
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】515320123
【氏名又は名称】コスモ石油マーケティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 龍夫
(72)【発明者】
【氏名】榎島 英樹
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G066KA01
5G066KA12
5G066KB07
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA05
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】電気自動車を蓄電池として有効に活用する電力制御システムを提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係る電力制御システムは、電気自動車が貸し出された事業所の電力を制御する電力制御システムであって、従業員が従事する事業所の設備と、事業所の従業員の移動のために供された電気自動車と、設備における電力消費予測量を取得可能で、設備と電気自動車との電力のやり取りを制御するサーバと、を備え、サーバは、設備の電力消費予測量が予め定められた給電閾値を上回る場合に、電気自動車から設備に電力を放電させるように制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車が貸し出された事業所の電力を制御する電力制御システムであって、
従業員が従事する前記事業所の設備と、
前記事業所の従業員の移動のために供された前記電気自動車と、
前記設備における電力消費予測量を取得可能で、前記設備と前記電気自動車との電力のやり取りを制御するサーバと、を備え、
前記サーバは、前記設備の前記電力消費予測量が予め定められた給電閾値を上回る場合に、前記電気自動車から前記設備に電力を放電させるように制御する、
電力制御システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記電力消費予測量が予め定められた放電閾値を下回ると判断した時間帯に、前記設備は前記電気自動車に電力を放電するように制御する、
請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項3】
従業員が従事する事業所の設備と、
前記設備との電力の授受を行う契約を交わした前記従業員の移動に用いられる少なくとも1台以上の電気自動車と、
前記設備における電力消費予測量を取得可能で、前記設備と前記電気自動車との電力のやり取りを制御するサーバと、を備え、
前記サーバは、前記電力消費予測量が予め定められた給電閾値を上回る場合に、前記電気自動車から前記設備に電力を放電させるように制御する、
電力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車(EVともいう)に蓄電された電力を電力網に供給(売電)することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-123270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EVは、移動体としてだけでなく、走行しないときは蓄電と放電が可能な蓄電池としての機能を果たすことができる。例えば、設備の電力消費量が多い時間にEVから設備に電力を供給できる。
【0005】
本発明者は、特に大量の電力を消費する時間帯がある設備(例えば工場、オフィスなど)において、EVを移動体としても蓄電池としても有効に活用する仕組みを検討した。
【0006】
本発明は、電気自動車を蓄電池として有効に活用する電力制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る電力制御システムは、
電気自動車が貸し出された事業所の電力を制御する電力制御システムであって、
従業員が従事する前記事業所の設備と、
前記事業所の従業員の移動のために供された前記電気自動車と、
前記設備における電力消費予測量を取得可能で、前記設備と前記電気自動車との電力のやり取りを制御するサーバと、を備え、
前記サーバは、前記設備の前記電力消費予測量が予め定められた給電閾値を上回る場合に、前記電気自動車から前記設備に電力を放電させるように制御する。
【0008】
本発明の一側面に係る電力制御システムは、
従業員が従事する事業所の設備と、
前記設備との電力の授受を行う契約を交わした前記従業員の移動に用いられる少なくとも1台以上の電気自動車と、
前記設備における電力消費予測量を取得可能で、前記設備と前記電気自動車との電力のやり取りを制御するサーバと、を備え、
前記サーバは、前記電力消費予測量が予め定められた給電閾値を上回る場合に、前記電気自動車から前記設備に電力を放電させるように制御する。
【0009】
本発明によれば、電気自動車を蓄電池として有効に活用する電力制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る電力制御システムの概略図である。
図2図2は、本実施形態におけるサーバのブロック図である。
図3図3は、設備において事業計画を推進した場合の電力量および設備とEVとの間の電力のやり取りを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0012】
図1は、本実施形態に係る電力制御システム1の概略図である。図1に示すように、電力制御システム1は、電力網2を備えている。電力網2は、例えば本電力制御システム1の事業を行う電気事業者によって運営されている。電力網2は、発電設備3等によって発電された電力を電気事業者と契約した契約者の事業所内の設備4に供給する。事業所内の設備4は、例えば工場またはオフィス等である。
【0013】
本電力制御システム1において、事業所には電気自動車(EV)5がリースされている。EV5の所有者が電気事業者であり、電気事業者から事業所の事業主(契約者)にEVがリースされている。あるいは、車両のリース会社と電気事業者と事業所の事業主との間に契約が交わされており、リース会社が所有するEV5が事業主にリースされていてもよい。
【0014】
EV5は、事業所に従事する従業員に貸し出されており、従業員の住戸6と事業所との間の移動、および、他の事業所7への外勤等において使用される。EV5は、設備4から電力の供給を受けることで充電することが可能であり、また、EV5のバッテリーに蓄電された電力を設備4に対して放電することもできる。
【0015】
本電力制御システム1は、サーバ8を備える。サーバ8は、設備4とEV5との間の電力のやり取りを制御する。サーバ8の運営者は電気事業者であっても異なる事業者であってもよい。
【0016】
図2は、本実施形態におけるサーバ8のブロック図である。図2に示すように、サーバ8は必要電力予測部11と接続されている。必要電力予測部11は、設備4における事業計画を入力することで、事業計画を推進するにあたって時間当たりどれくらいの電力量を消費するかを予測できる。サーバ8は、必要電力予測部11によって得られた電力消費予測量を取得できる。
【0017】
サーバ8は、さらに、EV識別データベース12が記録されたデータサーバとも接続されている。EV識別データベース12には、リースされているEV5について、それぞれの車種およびバッテリー容量等が記録されている。
【0018】
次に、本実施形態にかかる電力制御システム1における、工場等の設備4とEV5との電力のやり取りについて説明する。図3は、設備4において事業計画を推進した場合の電力量および設備4とEV5との間の電力のやり取りを示した図である。なお、放電量の図について、0を超えるとEV5から設備4に電力が供給されていることを示し、0を下回ると設備4からEV5へ電力が供給されていることを示している。
【0019】
契約者が支払う電気料金は、最大デマンド量(給電閾値の一例)に基づき定められている。デマンド量とは、所定時間(例えば30分間)において消費された電力量の平均値である。最大デマンド量は、期間内(例えば当月)において、最も高かったデマンド量である。最大デマンド量を超過してしまうと、例えば電気事業者から請求される翌月の電気料金の基本料金が値上がりする。このため、本実施形態を適用しない場合、契約者は、事業計画の遂行に必要な電力量を予測(電力消費予測量)し、この予測した電力消費予測量に基づき電気料金を設定しておく。
ところが、本実施形態においては、契約者は、電力消費予測量よりも電気料金の契約時の最大デマンド量を低く設定しておき、事業の実施時に不足する電力量(最大デマンド量を超える電力量)を従業員のEVから調達することができる。
【0020】
消費電力量は事業を行う時間によって変動する。工場の装置などが稼働する時間が限られている場合、その製造装置の稼働時間では必要電力量は大きくなりやすく、非稼働時間では必要電力量は小さくなりやすい。装置は従業員が現場にいる時間帯に良く稼働するので、このため例えば、事業所に多くの従業員がいる昼間の時間帯では、必要電力量は大きくなりやすく、従業員が退勤した夜間の時間帯では必要電力量は小さくなりやすい。
【0021】
図3に示すように、必要電力が大きいときには、必要電力量が最大デマンド量を超えてしまうことがある。必要電力予測部11は、事業者の事業計画から時間帯ごとの電力消費予測量を予測する。サーバ8は、必要電力予測部11から電力消費予測量を取得すると、電力消費予測量が最大デマンド量を超過する時間帯(以下、超過時間と呼ぶことがある)があるか判別する。超過時間がある場合は、サーバ8はその時間帯を特定する。
【0022】
サーバ8は、超過時間を特定すると、超過時間が開始する前に、EV5に設備4への電力の供給を開始させる。これにより、契約者は、最大デマンド量以上の電力量を電力事業者から供給されなくても、最大デマンド量以上の電力量を使用できる。
【0023】
事業所における工場等の設備がより稼働している時間帯において、従業員は事業所内の敷地で勤務中であるため、多くの従業員の通勤車や社用車も工場等の設備がよく稼働している時間帯には事業所の敷地内に停まっている。発明者はこのことに気が付き、通勤車や社用車を蓄電池として活用する仕組みを見出した。
【0024】
本実施形態にかかる電力制御システム1において、サーバ8は、設備4の電力消費予測量が最大デマンド量を上回る場合、EV5から設備4に電力を放電させるように制御する。これにより、従業員は、通勤等のための車を自前で用意する必要がない。事業所の運営者は、電力消費量が多くなる時間であっても電気自動車から電力供給を受けることで、最大デマンド量を下げることができる。このほか、電気自動車を、緊急時の電力源として用いることができる。
【0025】
また、本実施形態において電力消費予測量が最大デマンド量を下回った場合は、設備4からEV5に電力が供給されてもよい。例えば、図3に示すように、超過時間が終了してしばらく経過すると、サーバ8は設備4からEV5に電力を供給するように制御する。
【0026】
このように、最大デマンド量(放電閾値の一例)を下回る場合、サーバ8は設備4からEV5に電力を供給するように制御する。電力消費予測量が小さい場合は、EV5の充電に電力を回してもよい。また、敷地内に太陽光発電等の発電設備がある場合は日中に発電した余剰電力をEV5に蓄電して、電力需要が増大したときに活用できる。
【0027】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明した。本実施形態は本開示の一例であって、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を開示できるものであれば任意であり、限定されない。
【0028】
本実施形態においては、給電閾値と放電閾値とは同じ最大デマンド量で説明したが、給電閾値と放電閾値とは最大デマンド量以外の値であってもよく、さらに、給電閾値と放電閾値とが互いに異なる値であってもよい。
【0029】
また、EVは必ずしも電気事業者や契約者から貸与された車である必要はなく、従業員と契約者との合意の下で、本実施形態の電力制御システムのように、設備と従業員が所有するEVとの間で電力がやり取りされてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 電力制御システム
2 電力網
3 発電設備
4 設備
5 電気自動車(EV)
6 住戸
7 他の事業所
8 サーバ
11 必要電力予測部
12 EV識別データベース
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気事業者により事業所に電気が供給され、前記電気事業者により前記事業所に従事する従業員の移動のために供された電気自動車が貸し出された前記事業所の電力を制御する電力制御システムであって、
前記電気自動車と、
前記事業所の設備における電力消費予測量を取得可能で、前記設備と前記電気自動車との電力のやり取りを制御するサーバと、を備え、
前記サーバは、前記設備の前記電力消費予測量が予め定められた給電閾値を上回る場合に、貸し出されている前記電気自動車についてそれぞれの車種およびバッテリー容量が記録されているEV識別データベースに基づき、前記電気自動車から前記設備に電力を放電させるように制御する、
電力制御システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記電力消費予測量が予め定められた放電閾値を下回ると判断した時間帯に、前記設備は前記電気自動車に電力を放電するように制御する、
請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記設備の事業計画に基づいて推測される前記電力消費予測量が予め定められた給電閾値を上回る場合に、前記電気自動車から前記設備に電力を放電させるように制御する、
請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項4】
発電設備を含む、請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項5】
電気事業者により事業所に電気が供給され、前記電気事業者により前記事業所に従事する従業員の移動のために供された電気自動車が貸し出された前記事業所の電力を制御する電力制御方法であって、
前記方法は、前記事業所の設備における電力消費予測量を取得し、前記設備と前記電気自動車との電力のやり取りを制御するものであり、
前記設備の前記電力消費予測量が予め定められた給電閾値を上回る場合に、貸し出されている前記電気自動車についてそれぞれの車種およびバッテリー容量が記録されているEV識別データベースに基づき、前記電気自動車から前記設備に電力を放電させるように制御する、電力制御方法。