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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044710
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】分析装置および作業支援システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20240326BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240326BHJP
   B26D 7/18 20060101ALN20240326BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALN20240326BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G06T7/00 600
B26D7/18 D
B23Q17/00 D
B23Q17/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150417
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】竹村 真也
(72)【発明者】
【氏名】中里 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】阿部 周平
(72)【発明者】
【氏名】日野 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 公人
(72)【発明者】
【氏名】秦 由季
(72)【発明者】
【氏名】伊東 慧
【テーマコード(参考)】
2G059
3C029
5L096
【Fターム(参考)】
2G059AA03
2G059AA05
2G059BB11
2G059FF01
2G059KK04
2G059PP04
3C029AA40
3C029FF05
5L096AA02
5L096AA06
5L096DA01
5L096DA02
5L096DA03
5L096EA39
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】加工作業の対象物に対する適切な作業を促すことができる分析装置および作業支援システムを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、分析装置は、入力インターフェースと分析部と出力インターフェースとを有する。入力インターフェースは、カメラが撮影した対象物の画像を取得する。分析部は、入力インターフェースにより入力した対象物の画像に基づいて検出された対象物における不要部に基づいて対象物に対する分析を行う。出力インターフェースは、分析部での分析結果を出力装置に出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラが撮影した対象物の画像を取得する入力インターフェースと;
前記入力インターフェースにより入力した対象物の画像に基づいて検出された前記対象物における不要部に基づいて前記対象物に対する分析を行う分析部と;
前記分析部での分析結果を出力装置に出力する出力インターフェースと;
を有する分析装置。
【請求項2】
前記分析部は、前記画像から検出した前記対象物における不要部の状態に応じて前記対象物の状態を評価し、前記対象物の状態に関する評価結果を前記出力装置に出力する、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記対象物は、食品であり、
前記分析部は、前記食品における不要部の割合に基づいて前記食品の状態を評価する評価値を算出し、前記評価値を示す情報を前記出力装置に出力する、
請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記対象物は、食品であり、
前記分析部は、前記食品の画像から検出した不要部に基づいて前記食品における不要部と必要部とを示す情報を前記出力装置に出力する、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記分析部は、前記食品の画像から検出した不要部の領域に応じて前記食品に対する加工箇所を判断し、前記加工箇所を示す情報を前記出力装置に出力する、
請求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の分析装置と前記出力装置とを有する作業支援システムであって、
前記出力装置は、前記加工箇所を示す情報を前記食品に重畳させて表示する表示装置である、
作業支援システム。
【請求項7】
請求項5に記載の分析装置と前記出力装置とを有する作業支援システムであって、
前記出力装置は、前記食品が置かれる台となる表示画面を備え、前記表示画面上に置かれた前記食品における前記加工箇所を示す情報を前記食品に重畳させないように前記表示画面に表示する表示装置である、
作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、分析装置および作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の加工作業においては、食品ごとに可食部などの必要部とそれ以外の不要部とを分別して加工する作業を作業者が実施している。個々の作業者には、食品における必要部と不要部とを分別するための判断基準を示す所定のルールが伝える。このため、実際の食品の加工作業においては、必要部と不要部とを分別する判断基準が個々の作業者の判断に依存することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-94396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、個々の作業者に対して均一な基準による食品の加工を促すことは難しい。例えば、作業者によっては、不要部とすべき部分が必要部として残ることを警戒し、厳しめの判断基準を持ち続けていることがある。また、各作業者が持つ判断基準は一度形成された後に自身の考えだけで是正することが困難であるという問題もある。このように、従来の食品の加工作業では、食品ごとに必要部と不要部とを区別するための適切な基準を個々の作業者に周知することが難しく、加工作業における無駄が発生したり、複数の作業者によって食品に対する加工の精度が異なったりすることがあるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、加工作業の対象物に対する適切な作業を促すことができる分析装置および作業支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、分析装置は、入力インターフェースと分析部と出力インターフェースとを有する。入力インターフェースは、カメラが撮影した対象物の画像を取得する。分析部は、入力インターフェースにより入力した対象物の画像に基づいて検出された対象物における不要部に基づいて対象物に対する分析を行う。出力インターフェースは、分析部での分析結果を出力装置に出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加工作業の対象物に対する適切な作業を促すことができる分析装置および作業支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る分析装置を含む分析システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る分析装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る分析装置を用いた分析システムの一例である評価システムの構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る分析装置を用いた評価システムによる表示例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る分析装置を用いた評価システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る分析装置を用いた分析システムの第2の例である作業支援システムの第1の構成例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る分析装置を用いた第1の構成例の作業支援システムによる表示例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る分析装置を用いた作業支援システムの第2の構成例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る分析装置を用いた第2の構成例の作業支援システムによる表示例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る分析装置を用いた作業評価システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の分析装置(12)は、入力インターフェース(24)と分析部(21)と出力インターフェース(25)とを有する。入力インターフェース(24)は、カメラ(11)が撮影した対象物の画像を取得する。分析部(21)は、入力インターフェース(24)により入力した対象物の画像に基づいて検出された対象物における不要部に基づいて対象物に対する分析を行う。出力インターフェース(25)は、分析部(21)での分析結果を出力装置(13)に出力する。これにより、分析装置によって対象物における不要部を検出することができ、対象物における不要部を出力装置へ出力することができる。この結果、出力装置では、対象物における不要部を示す情報を報知することが可能となる。
【0010】
実施形態の分析装置(12)では、分析部(21)は、画像から検出した対象物における不要部の状態に応じて対象物の状態を評価し、対象物の状態に関する評価結果を出力装置(13)に出力する。これにより、出力装置(13)は、対象物における不要部に基づく対象物の状態を評価した評価結果を作業者に報知することが可能となる。
【0011】
実施形態の分析装置(12)では、対象物が食品であり、分析部(21)は、食品における不要部の割合に基づいて食品の状態を評価する評価値を算出し、評価値を示す情報を出力装置(13)に出力する。これにより、出力装置(13)は、食品における不要部に基づく食品の状態の評価結果を客観的に認識可能な評価値として報知することが可能となる。
【0012】
実施形態の分析装置(12)では、対象物は食品であり、分析部(21)は、食品の画像から検出した不要部に基づいて食品における不要部と必要部とを示す情報を出力装置(13)に出力する。これにより、出力装置(13)は、食品における不要部と必要部とを作業者に報知することが可能となる。
【0013】
実施形態の分析装置(12)では、分析部(21)は、食品の画像から検出した不要部の領域に応じて食品に対する加工箇所を判断し、加工箇所を示す情報を出力装置(13)に出力する。これにより、出力装置(13)は、食品における不要部を除外するための加工箇所を作業者に明示することが可能となる。
【0014】
実施形態の作業支援システム(200A)は、前述の分析装置(12)と出力装置(13a)とを有する。出力装置(13a)は、加工箇所を示す情報を食品に重畳させて表示する表示装置である。これにより、実際の食品上に不要部を除外するための加工箇所を明示することができ、作業者による加工作業を容易にできる。
【0015】
実施形態の作業支援システム(200A)は、前述の分析装置(12)と出力装置(13b)とを有する。出力装置(13b)は、食品が置かれる台となる表示画面を備え、表示画面上に置かれた食品における加工箇所を示す情報を前記食品に重畳させないように表示画面に表示する表示装置である。これにより、実際の食品の後方において不要部を除外するための加工箇所を明示することができ、作業者による加工作業を容易にできる。
【0016】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る分析装置を含む分析システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、分析システム1は、カメラ11、分析装置12、および、出力装置13を備える。
分析システム1は、分析対象物(対象物)において不要部を検出し、検出した不要部に基づく対象物に対する分析結果を出力する。分析システム1が分析の対象とする対象物は、例えば、食品である。対象物としての食品は、食べられる部分(可食部)又は食品として提供できる部分を必要部とし、それ以外の部分を不要部とする。食品の不要部としては、食用に適さない鮮度である部分(鮮度不可部分)、食用は可能だが硬い、味が悪い、骨が多いなど食用として推奨されない部位(食用非推奨部分)あるいは、芯、ヘタ、脂身、毒のある部位などの一般には食さない部分(非可食部)などが含まれる。
【0017】
対象物は、食品に限定されるものではなく、汚れや傷、劣化などの状態に基づいて状態が評価されるリサイクル品などであっても良い。対象物としてのリサイクル品は、汚れ、傷、劣化、欠損などの正常な状態でない部分を不要部として取り扱うことができる。また、対象物は、不要部が生じることがあり得る工業製品などであっても良い。
ただし、以下の実施形態では、対象物が食品であるものとして説明するものとする。
【0018】
カメラ11は、対象物である食品の画像を撮影する。カメラ11は、対象物である食品の状態を分析するための情報として食品の画像を取得する情報取得部である。カメラ11は、対象物の状態を分析するための画像を撮影するものであれば良く、動画を撮影するものであっても良い。カメラ11は、分析装置12に接続される。カメラ11は、対象物としての食品を撮影した画像を分析装置12へ出力(送信)する。
【0019】
分析装置12は、対象物としての食品の状態を分析する処理を実行する。分析装置12は、コンピュータなどの情報処理装置である。分析装置12は、カメラ11および出力装置13に接続する。分析装置12は、カメラ11から対象物である食品を撮影した撮影画像を取得する。分析装置12は、カメラ11から取得する食品の撮影画像に基づいて当該食品における不要部を検出する機能を有する。分析装置12は、食品における不要部の検出結果を含む分析結果を出力(送信)する。
【0020】
例えば、分析装置12は、食品における不要部の検出結果などに基づいて当該食品全体の状態を評価する分析を行う。分析装置12は、分析結果としてカメラ11が撮影した食品の状態の評価結果を示す情報を出力装置13に出力(送信)する。
【0021】
また、分析装置12は、食品における不要部の検出結果に基づいて当該食品を加工するための分析を行うようにしても良い。この場合、分析装置12は、カメラ11が撮影した食品を加工するための分析結果として食品の不要部と必要部とを区別する情報を出力する。例えば、分析装置12は、食品における不要部の領域に基づいて不要部をカットするためにカット位置(加工箇所)を示す情報を出力装置13に出力(送信)する。
【0022】
出力装置13は、分析装置12に接続される。出力装置13は、分析装置12から対象物である食品に対する分析結果などの情報を取得する。出力装置13は、分析装置12から取得する分析結果などを示す情報を出力する。出力装置13は、作業者又は管理者などの人物が分析装置12による分析結果などの情報を認識可能な情報として出力するものであれば良い。
【0023】
例えば、出力装置13は、液晶又は有機EL等の表示パネルを有するディスプレイ、プロジェクタ(投影装置)、ヘッドマウントディスプレイなどの表示装置である。また、出力装置13は、スピーカなどの音声出力装置を含むものであっても良い。表示装置としての出力装置13は、分析装置12による食品の状態の評価結果を示す情報を表示画面に表示する。また、出力装置13は、分析装置12による食品を加工するための加工箇所を示す情報を表示する。
【0024】
次に、実施形態に係わる分析装置12の構成について説明する。
分析装置12は、分析部であるプロセッサ21、システムメモリ22、データメモリ23、カメラインターフェース(I/F)24、および、出力インターフェース(I/F)25などを備える。
【0025】
プロセッサ21は、システムメモリ22又はデータメモリ23などに記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を実現する。プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、および、DSP(Digital Signal processor)などで構成される。
【0026】
システムメモリ22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、半導体メモリなどの記憶装置により構成される。システムメモリ22は、プロセッサ21が処理を実行するための使用するメモリを含む。例えば、システムメモリ22は、プロセッサ21が実行するプログラムあるいは設定データなどを記憶する。
【0027】
データメモリ23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの書き換え可能な不揮発性の記憶装置により構成される。例えば、データメモリ23は、画像データ、プロセッサ21による処理結果、あるいは、設定情報などを記憶する。なお、データメモリ23は、分析装置12にインターフェースを介して接続される外部記憶装置に置き換えても良い。
【0028】
カメラインターフェース24は、カメラ11を接続する。カメラインターフェース24は、カメラ11が撮影した画像を取得する画像取得部(入力インターフェース)である。カメラインターフェース24は、カメラ11が備えるインターフェースに対応するものであれば良い。
【0029】
出力インターフェース25は、出力装置13を接続する。出力インターフェース25は、出力装置13が備えるインターフェースに対応するものであれば良い。出力インターフェース25は、出力装置13に出力させる分析結果などを示す情報を出力する。例えば、出力装置13が表示装置である場合、出力インターフェース25は、表示装置に表示させる表示データを供給するものであっても良い。
【0030】
なお、分析装置12は、外部装置と通信するための通信部などを備えても良い。分析装置12は、通信部を介して接続される外部装置が備える撮影デバイスをカメラ11として利用しても良いし、外部装置が備える表示装置やスピーカなどを出力装置13として用いるようにしても良い。
【0031】
次に、実施形態に係る分析装置12を含む分析システム1の一例として食品に対する加工作業の結果を評価する評価システム100について説明する。
図3は、実施形態に係わる分析装置12を含む分析システム1の一例である評価システム100の構成例を示す図である。
評価システム100は、食品Oを複数の食品パーツ31に分離し、分離した食品パーツを食品として使用するパーツ(使用パーツ)32と廃棄するパーツ(廃棄パーツ)33との何れかに分類する加工作業において、廃棄パーツ33(又は使用パーツ32)の状態を評価するシステムである。
【0032】
図3に示す例において、対象物とする食品Oとしてはキャベツを想定し、加工作業としては対象物とする食品Oにおける不要な部分を除外する作業を想定するものとする。作業者3は、作業台40の上で食品Oを複数のパーツ(食品パーツ)31に分離し、食品として使用するパーツ(使用パーツ)32と廃棄するパーツ(廃棄パーツ)33との何れかに分類する。例えば、作業者Pは、食品Oとしてのキャベツを葉ごとに分離し、分離した葉に廃棄すべき部分があれば廃棄すべき部分を包丁又は手でカットすることにより廃棄パーツ33を生成する。
【0033】
言い換えると、複数のパーツ(食品パーツ)31のいずれか1つにおいて、廃棄すべき部分がなければ、その食品パーツ31全体が使用パーツ32となる。また、複数のパーツ(食品パーツ)31のいずれか1つにおいて、全てが廃棄すべき部分であれば、その食品パーツ31全体が廃棄パーツ33となる。また、複数のパーツ(食品パーツ)31のいずれか1つにおいて、廃棄すべきでない部分と、廃棄すべき部分と、が混在する場合は、食品パーツ31を、廃棄すべきでない部分と、廃棄すべき部分と、に分離し、廃棄すべきでない部分として分離されたパーツが使用パーツ32となり、廃棄すべき部分として分離されたパーツが廃棄パーツ33となる。この場合、仕様パーツ32と、廃棄パーツ33とは、食品パーツ31の一部分である。作業者Pは、廃棄パーツ33を収容部52に収容し、それ以外の食品パーツ31を使用パーツ32として収容部51に収容する。なお、上述した手順において、作業台40の上で食品Oを複数のパーツ(食品パーツ)31に分離する手順については無くてもよい。
【0034】
図3に示すように、評価システム100は、上述した分析システム1と同様に、カメラ11、分析装置12および出力装置13などを備える。図3に示す例において、評価システム100は、収容部52に収容(廃棄)された廃棄パーツ33が廃棄されるパーツとして適切であったかを評価するための評価値などを評価結果として出力する。
【0035】
ただし、評価システム100が評価の対象とする対象物は、廃棄パーツ33に限定されるものではなく、複数のパーツ(食品パーツ)31それぞれであっても良いし、使用パーツ32であっても良いし、廃棄パーツ33と使用パーツ32との両方であっても良い。また、評価の対象とする対象物は、キャベツなどの農作物に限定されるものでもなく、食品として使用するパーツ(使用パーツ)32と廃棄するパーツ(廃棄パーツ)33との何れかに分離されるものであれば良い。例えば、評価の対象とする対象物は、複数のパーツにカットされた肉や魚などの食品パーツであっても良いし、食品以外の物であっても良い。
【0036】
また、評価システム100は、個々のパーツの状態を評価するものだけに限定されるものではなく、複数のパーツが収容された収容部内の状態(複数のパーツの集合)を評価するものであっても良い。すなわち、評価システム100は、個々の廃棄パーツ33(又は使用パーツ32)の状態を評価するものであっても良いし、収容部52(又は収容部51)に収容されている複数の廃棄パーツ33(又は使用パーツ32)の状態を評価するものであっても良い。
【0037】
評価システム100において、カメラ11は、評価の対象とする対象物を撮影する位置に設けられる。図3に示す構成例では、廃棄パーツ33を評価の対象とするため、カメラ11は、収容部52に収容(廃棄)される廃棄パーツ33を撮影する位置に設けられている。
【0038】
なお、複数のパーツ(食品パーツ)31それぞれを評価の対象とする場合、カメラ11は、複数のパーツ(食品パーツ)31それぞれを撮影する位置に設ければ良い。使用パーツ32を評価の対象とする場合、カメラ11は、使用パーツ32を撮影する位置に設ければ良い。また、使用パーツ32と廃棄パーツ33との両方を評価の対象とする場合、カメラ11は、廃棄パーツ33を撮影する位置と使用パーツ32を撮影する位置との両方に設けるようにすれば良い。
以下の説明では、評価システム100が廃棄パーツ33を評価の対象とし、カメラ11が廃棄パーツ33を撮影する位置に設けられているものとする。
【0039】
分析装置12は、カメラ11が撮影する食品Oの廃棄パーツ33の画像に基づいて廃棄パーツ33の状態を評価する。また、分析装置12は、カメラ11が撮影する収容部52内の画像に基づいて収容部52に収容された食品(廃棄パーツ33)の状態を評価するようにしても良い。分析装置12は、食品を評価するための分析要素として食品における不要部(又は必要)を検出する。
【0040】
不要部は、食品として提供不可とする部分(以下、提供不可部と称する)と食品として提供しないと定めた部分(以下、非可食部と称する)とを含むものとする。提供不可部(鮮度NG部)は、食品としての提供を不可とする部分であり、非可食部は、当該加工作業では使用しないとする部分(食品としては問題ない部分を含んでも良い)である。分析装置12は、提供不可部と非可食部とを含む不要部を検出するものしても良いし、提供不可部と非可食部とをそれぞれ検出するようにしても良い。なお、食用非推奨部分は、提供不可部として扱われても良いし、非可食部として扱われても良い。
【0041】
提供不可部および非可食部は、対象物によって定義が異なるものであるため、対象物あるいは加工作業の内容に応じて定義されるものとする。例えば、提供不可部は、腐敗が進んでいる部分(鮮度NG部)、汚れや害虫が付着していた部分、傷などで損傷した部分などが含まれる。非可食部は、対象物がキャベツなどの農作物であれば芯やヘタなどの部分である。また、非可食部は、対象物が肉であれば脂身などの部分であっても良いし、対象物が魚であれば頭や内臓、ヒレなどの部分であっても良い。
【0042】
分析装置12は、カメラ11が撮影した食品パーツの画像を分析することにより不要部(提供不可部および非可食部)を検出する。例えば、分析装置12は、カメラ11が撮影した食品パーツの画像における色に基づいて提供不可部と判定する領域と非可食部と判定する領域とを検出する。
なお、分析装置12が食品パーツにおける不要部(提供不可部および非可食部)を検出する方法は、特定の方法に限定するものでないが、本実施形態ではカメラ11が撮影した食品パーツの画像から不要部を検出するものとして説明する。
【0043】
分析装置12は、カメラ11が撮影した画像に対する不要部の検出結果によって食品パーツ又は食品パーツの集合を評価する。例えば、分析装置12は、廃棄パーツ33(食品パーツ)の状態を示す評価値として、鮮度が高い部分が多いほど(食品として優れているほど)高くなるような評価値を算出する。
【0044】
具体例として、分析装置12は、カメラ11が個々の廃棄パーツ33(又は使用パーツ32)を撮影した画像から検出した不要部の大きさとそれ以外の部分(必要部)との割合によって当該廃棄パーツ33に対する評価値を算出する。また、分析装置12は、カメラ11が収容部52(又は収容部51)を撮影した画像から検出した不要部と必要部との割合によって収容部52(又は収容部51)に収容されている廃棄パーツ33(又は使用パーツ32)の状態に対する評価値を算出しても良い。
【0045】
また、分析装置12は、使用パーツ32と廃棄パーツ33とを分ける基準値と不要部の割合を示す評価値とを比較することにより廃棄パーツ33が廃棄すべき食品パーツとして適切であるかを判定するようにしても良い。例えば、分析装置12は、不要部の割合を示す評価値が基準値よりも小さい廃棄パーツ(不要部の大きさが基準値よりも小さい廃棄パーツ)を廃棄する食品パーツとして相応しくないと評価し、そのような評価結果を出力装置13により出力するようにしても良い。
【0046】
出力装置13は、分析装置12における食品パーツ(廃棄パーツ33又は使用パーツ32)に対する評価結果を示す情報を作業者又は管理者に認識できる情報として報知(出力)する。例えば、出力装置13としての表示装置は、分析装置12から取得する廃棄パーツ33に関する評価結果を示す情報を表示する。出力装置13としての表示装置は、カメラ11が撮影した廃棄パーツ33の画像とともに、当該廃棄パーツ33に対する評価結果を示す情報を表示する。
【0047】
なお、図3では出力装置13としての表示装置を作業者Pが視認できる位置に設置する構成を例示するが、出力装置13は、分析装置12による評価結果などの情報を作業者又は管理者などの人物が確認できるような場所に設置するようにすれば良い。
【0048】
図4は、出力装置13としての表示装置が廃棄パーツ33に関する評価結果を示す情報を表示した表示例を示す図である。
図4に示す表示例において、出力装置(表示装置)13は、カメラ11による廃棄パーツ33の撮影画像とともに、不要部と判定した箇所、および、廃棄パーツ全体に対する評価値(全体評価値)を表示する。また、図4に示す表示例において、廃棄パーツ33において不要部と判定した箇所を示す情報としては、鮮度NGと判定した部分(提供不可部)と使用しない部位である芯と判定した部分(非可食部)とを表示する。
【0049】
分析装置12は、カメラ11の撮影画像から廃棄パーツ33の画像を抽出し、廃棄パーツ33の画像において不要部とする提供不可部と非可食部とを検出する。分析装置12は、廃棄パーツ33における不要部を検出すると、廃棄パーツ33全体に対する不要部の割合などから廃棄パーツ33の状態を示す評価値(スコア)を算出する。
【0050】
なお、評価値(スコア)の算出は、例えば、廃棄パーツ33の全体面積における不要部(提供不可部、非可食部)の面積の割合によって算出される。この場合、算出された評価値(スコア)のみで、作業者Pの作業の良し悪しが判断される。また、評価値(スコア)の算出は、不要部の面積によって算出される。この場合、それ以前に算出された他の食品における評価値(スコア)との比較で、作業者Pの作業の良し悪しが判断される。なお、評価値(スコア)の算出においては、提供不可部と、非可食部と、にそれぞれ異なる重みを付けて算出が行われてもよい。例えば、提供不可部が客先に提供されてしまい、その客が提供不可部を食してしまった場合、体調へ影響を及ぼすことが考えられるため、提供不可部に対しては、非可食部よりも評価値(スコア)が高くなるように算出されてもよい。
【0051】
分析装置12は、廃棄パーツ33の画像に提供不可部と判定した領域を示す点線と非可食部と判定した領域を示す点線とを重畳し、さらに、評価値を表示する評価結果を示す表示データ(図4に示すような表示データ)を出力装置13へ出力する。出力装置13は、分析装置12から評価結果を示す表示データを取得し、図4に示すような表示画面を表示する。
【0052】
図4に示すような表示例によれば、作業者又は管理者は、廃棄パーツに対する分析装置による評価結果を簡単に視認することができ、廃棄したパーツが廃棄されるべきものとして適切であったかを客観的に確認できる。
【0053】
次に、実施形態に係る分析システム1の一例である評価システム100における分析装置12の動作について説明する。
図5は、実施形態に係る分析システム1の一例である評価システム100における分析装置12の動作例を説明するためのフローチャートである。
まず、評価システム100は、図3に示すように、作業者が収容部52に収容する廃棄パーツ33をカメラ11が撮影するものとする。分析装置12は、カメラ11が撮影した画像をカメラインターフェース24により取得する(ST11)。分析装置12のプロセッサ21は、カメラ11が撮影した撮影画像を取得すると、撮影画像から収容部52に収容される食品パーツ31としての廃棄パーツ33の画像を抽出する。
【0054】
なお、カメラ11は、分析装置12からの指示に応じて撮影した撮影画像を分析装置12へ供給するようにしても良いし、所定の周期で撮影した画像(又は動画)を分析装置12へ供給するようにしても良い。後者の場合、分析装置12は、カメラ11から供給される撮影画像をデータメモリ23などの記憶部に蓄積しておくようにしても良い。
【0055】
分析装置12のプロセッサ21は、廃棄パーツ33の画像を抽出すると、廃棄パーツ33の画像に基づいて当該廃棄パーツ33における不要部を検出する(ST12)。ここで、プロセッサ21は、カメラ11が撮影した撮影画像から抽出する廃棄パーツ33の画像において不要部とする提供不可部と非可食部とをそれぞれ検出するものとする。
【0056】
例えば、プロセッサ21は、提供不可部と非可食部とを廃棄パーツ33の画像における色によって検出する。分析装置12は、提供不可部と判定する色を示す情報(提供不可部の色情報)および非可食部と判定する色を示す情報(非可食部の色情報)を不要部と検出するための設定情報(不要部の検出基準情報)としてデータメモリ23に保存しておく。この場合、プロセッサ21は、提供不可部の色情報が示す提供不可部の色となっている部分を提供不可部として検出し、非可食部の色情報が示す非可食部の色となっている部分を非可食部として検出する。
【0057】
また、プロセッサ21は、廃棄パーツ全体又は周辺領域に対する色の変化量によって不要部(提供不可部および非可食部)を検出するようにしても良い。例えば、一部が腐敗している場合、腐敗部分(提供不可部)の色は、腐敗していない周辺領域における色(正常な状態の色)とは大きく異なる。また、芯やヘタなどの非可食とする部位の色は、可食部の色(必要部の色)とは大きく異なることがある。分析装置12は、廃棄パーツの画像全体又は周辺画像に対する色の変化量によって不要部を検出するための設定情報(不要部の検出基準情報)をデータメモリ23に保存しておく。この場合、プロセッサ21は、不要部の検出基準情報に基づき、廃棄パーツの画像全体又は周辺画像に対する色の変化量から不要部(提供不可部および非可食部)を検出する。
【0058】
プロセッサ21は、廃棄パーツ33における不要部を抽出すると、廃棄パーツ33(食品パーツ)の状態を示す評価値を算出する(ST13)。例えば、プロセッサ21は、廃棄パーツ33における不要部とその他の部分(必要部)との割合に基づいて評価値を算出する。この場合、評価値は、廃棄パーツ33全体に対する不要部の大きさが小さければ小さいほど高くなる。さらに、プロセッサ21は、提供不可部と非可食部とにそれぞれ重み付けをして評価値を算出しても良い。この場合、評価値は、鮮度NGとして提供不可部とした領域が大きければ評価値を低くなるようにすることが可能となる。また、プロセッサ21は、不要部以外(必要部)の領域における鮮度を推定し、必要部の鮮度に応じて評価値を算出しても良い。この場合、評価値は、必要部の鮮度が悪ければ評価値を低くなるようにすることができる。
【0059】
プロセッサ21は、廃棄パーツ33に対する評価値を算出すると、廃棄パーツ33(食品パーツ)の状態を示す評価結果を示す情報を出力装置13に出力する(ST14)。例えば、プロセッサ21は、図4に示すように、廃棄パーツ33の画像において提供不可部の領域と非可食部の領域とを示すとともに、算出した評価値を表示する表示データを評価結果を示す情報として出力装置13へ出力する。これに応じて、出力装置13は、分析装置12から取得する評価結果を示す表示データを表示画面に表示する。また、出力装置13がスピーカである場合は、評価値が基準値以上の場合の音(例えば、ピンポン)と、評価値が基準値よりも小さい場合の音(例えば、ブー)を分けて出力する。
【0060】
また、プロセッサ21は、使用パーツ32と廃棄パーツ33とを分ける基準値と評価値とを比較することにより廃棄パーツ33が廃棄すべき食品パーツとして適切であるかを判定し、その判定結果を出力装置13に出力するようにしても良い。例えば、プロセッサ21は、評価した廃棄パーツ33が廃棄する食品パーツとして相応しくないと評価した場合に、廃棄パーツが廃棄される食品パーツとして不適切であったことを出力装置13により出力するようにしても良い。
【0061】
以上のように、評価システムにおいて、分析装置は、カメラが撮影した加工作業によって生成された食品パーツの画像を取得する。分析装置12は、カメラが撮影した食品パーツの画像に基づいて食品パーツにおける不要部を検出する。分析装置12は、検出した不要部の状態などから食品パーツの状態を評価した評価結果を生成する。分析装置12は、食品パーツに対する評価結果を示す情報を出力装置としての表示装置に出力する。出力装置としての表示装置は、分析装置から取得する食品パーツに対する評価結果を示す情報を表示する。これにより、作業者又は管理者は、出力装置としての表示装置が表示する食品パーツに対する評価結果を簡単に視認することができ、客観的に加工作業の内容を確認できる。
【0062】
また、上述した評価システムによれば、分析装置は、加工作業によって生成された食品パーツに対する評価結果として数値化した評価値を出力装置に出力し、出力装置により評価値を表示させる。これにより、作業者又は管理者は、加工作業の結果を数値化した情報によって確認することができ、作業者に対して加工作業における判断基準の適正化を促すことができる。
【0063】
次に、実施形態に係る分析装置12を含む分析システム1の他の例として食品に対する加工作業を支援する作業支援システム200について説明する。
作業支援システム200は、作業者Pが食品Oから不要部(提供不可部および非可食部)を分離させる食品加工作業を支援するためのシステムである。実施形態に係る作業支援システム200は、食品Oにおける不要部を検出し、検出した不要部をカットするための加工箇所を作業者Pに提示するものとする。
【0064】
以下、作業支援システム200の第1の構成例と第2の構成例とについて説明する。
図6は、実施形態に係わる分析装置12を用いた作業支援システム200Aの第1の構成例を示す図である。
図6に示す構成例において、作業支援システム200Aは、作業者Pが作業台41上の食品Oを加工する加工作業を支援する。加工作業は、食品Oにおける不要部をカットする作業を想定する。作業支援システム200Aは、作業台41上の食品Oに対して不要部をカットする作業を支援するための情報を提供する。
【0065】
作業支援システム200Aは、カメラ11、分析装置12、および、出力装置13aを備える。
作業支援システム200Aにおいて、カメラ11は、加工作業の対象とする対象物である食品Oの画像を撮影する。カメラ11は、食品Oを撮影する位置に設けられる。図6に示す構成例では、カメラ11は、食品Oを配置する作業台41の上方において作業台41の面に向けて設置されている。
【0066】
作業支援システム200Aにおいて、分析装置12は、カメラ11が撮影する作業台41上の食品Oの画像に基づいて食品Oにおける不要部を検出する。作業支援システム200Aが検出する不要部は、上述した評価システム100と同様に、提供不可部と非可食部とを含むものとする。また、作業支援システム200Aにおける分析装置12は、上述した評価システム100の分析装置12と同様に、食品Oにおける不要部を検出するものとする。
【0067】
作業支援システム200Aにおける分析装置12は、さらに、食品Oにおける不要部の領域に基づいて食品Oに対する加工箇所を特定する。加工箇所は、提供不可部および非可食部を含む不要部を可食部(必要部)から切り離すための位置である。例えば、包丁などで不要部をカットすることを想定する場合、食品Oに対する加工箇所は、不要部を効率良く(例えば、少ないカット動作で、または、可能な限り必要部を得られるように)カットできるラインを特定する。
【0068】
分析装置12は、食品Oに対する加工箇所を特定すると、特定した加工箇所を示す情報(加工箇所を出力装置13bに表示させるための情報)を出力装置13aに出力する。また、分析装置12は、食品Oにおいて傷みが生じている部位(鮮度NG部)などの提供不可部を示す情報などを出力装置(プロジェクタ)13aに供給しても良い。さらに、分析装置12は、食品Oにおける不要部の領域に基づく可食部(又は非可食部)の割合などを示す食品Oに対する評価値を示す情報を出力装置13aに出力するようにしても良い。
【0069】
作業支援システム200Aにおいて、出力装置13aは、加工作業の対象とする対象物である食品Oに対して画像を投影(重畳)するプロジェクタ(投影装置)である。出力装置13aは、食品Oに対して加工箇所などを示す画像を撮影できる位置に設けられる。図6に示す構成例において、出力装置13aとしてのプロジェクタは、食品Oを配置する作業台41の上方において作業台41の面に向けて画像を投影するように設置されている。
【0070】
出力装置13aは、分析装置12が特定した加工箇所を示す情報を取得した場合、加工箇所を示す情報(画像)を食品Oに投影する。出力装置13aとしてのプロジェクタは、作業台41上の食品Oの位置に応じて加工箇所を示す画像を投影する位置を設定する。例えば、カメラ11の撮影位置(撮影画像の位置)とプロジェクタの投影位置との関係を予め設定しておき、分析装置12は、食品Oの撮影画像から加工箇所を示す画像の投影位置を特定し、出力装置(プロジェクタ)13aに加工箇所を示す画像の投影位置を指示するようにしても良い。また、出力装置13aとしてのプロジェクタは、作業台41上の食品Oの位置を特定する機能を備え、食品Oの位置に応じて加工箇所を示す画像を投影する位置を調整するようにしても良い。
【0071】
図7は、出力装置13aとしてのプロジェクタが作業台41上の食品Oに対して加工箇所を示す画像を投影した表示例を示す図である。
図7に示す表示例において、出力装置(プロジェクタ)13aは、作業台41上の食品Oに対して加工箇所を示す補助線61を投影する。補助線61は、少なくとも食品O上に重畳される(重なる)領域に出力(投影)される。このような食品Oに投影した補助線61によれば、直接的に加工すべき箇所を作業者に提示することができる。この結果、食品Oに対してどのように加工すればよいかの判断やどの程度加工すればよいかの判断などを作業者が迷うことを軽減することができ、作業効率を向上させることができる。また、出力装置(プロジェクタ)13aは、食品Oに対して、不要部を示す色領域を投影してもよい。この場合、作業者Pは、出力装置(プロジェクタ)13aによって食品Oに色領域が重畳された箇所を不要部と認識することが可能である。なお、色領域は必要部を示すものであってもよい。
【0072】
また、出力装置(プロジェクタ)13aは、作業台41上の食品Oに対して提供不可部を示すマーク62を投影する。マーク62は、全ての不要部を示すものでなくても良く、傷みが生じている部位を示すものであっても良い。このようなマーク62によれば、傷みが生じている部位の確認を作業者に促すこともできる。
さらに、出力装置(プロジェクタ)13aは、食品O全体に対する可食部の割合を示す評価値63を作業台41(又は食品O)上に投影する。これにより、作業者は、食品O全体としての状態を客観的な指標によって確認できる。
【0073】
なお、図6に示す構成例では出力装置13aがプロジェクタであることを想定して説明したが、出力装置13aは、食品Oの画像に図7に示すような補助線61、マーク62および評価値63を重畳した画像を表示できるスマートグラスなどのヘッドマウントディスプレイであっても良い。さらに、出力装置13aは、作業者が加工作業中に視認できる表示であれば、別に食品Oの画像とともに図7に示すような補助線61、マーク62および評価値63を重畳した画像を表示する表示装置であっても良い。
【0074】
次に、作業支援システム200の第2の構成例について説明する。
図8は、実施形態に係わる分析装置12を用いた作業支援システム200Bの第2の構成例を示す図である。
図8に示す構成例において、作業支援システム200Bは、作業者Pが作業台41上に設けた出力装置13b上に置いた食品Oを加工する加工作業を支援する。加工作業は、食品Oにおける不要部をカットする作業を想定する。作業支援システム200Bにおいて、出力装置13bは、表示画面上がまな板として使用される表示装置(画面付きまな板)である。作業者Pは、出力装置13bの表示画面上に置いた食品Oに対して不要部のカットなどの加工作業を実施する。
【0075】
作業支援システム200Bは、カメラ11b、分析装置12b、および、出力装置13bを備える。
作業支援システム200Bにおいて、カメラ11bは、加工作業の対象とする対象物である食品Oの画像を撮影する。カメラ11bは、食品Oを撮影する位置に設けられる。図8に示す構成例では、カメラ11bは、食品Oを配置する作業台41上の出力装置13bの表示画面に向けて設置されている。
【0076】
作業支援システム200Bにおいて、分析装置12bは、上述した作業支援システム200Aの分析装置12aと同様に、食品Oの画像に基づいて食品Oにおける不要部を検出し、食品Oにおける不要部の領域に基づいて食品Oに対する加工箇所を特定する。
【0077】
作業支援システム200Bの分析装置12bは、食品Oに対する加工箇所を特定すると、特定した加工箇所を示す情報(加工箇所を出力装置13bに表示させるための情報)を出力装置13bに出力する。また、分析装置12bは、食品Oにおいて傷みが生じている部位(鮮度NG部)などの提供不可部を示す情報などを出力装置13bに供給しても良いし、食品Oにおける不要部の領域に基づく可食部(又は非可食部)の割合などを示す評価値を示す情報を出力装置13bに出力するようにしても良い。
【0078】
作業支援システム200Aにおいて、出力装置13bは、加工作業の対象とする対象物である食品Oが置かれる表示画面を備える。出力装置13bは、食品Oが置かれた表示画面に加工箇所などを示す画像を表示する。出力装置13bとしての表示装置は、図8に示すように、作業台41上に設置される。
【0079】
出力装置13bは、分析装置12が特定した加工箇所を示す情報を取得した場合、食品Oが置かれた表示画面に加工箇所を示す情報(画像)を表示する。すなわち、出力装置13bは、食品Oに下方において加工箇所を示す画像などを表示する。
【0080】
例えば、カメラ11の撮影位置(撮影画像の位置)と出力装置13bの表示画面との関係を予め設定しておき、分析装置12は、食品Oに対する加工箇所を示す画像の表示位置を決定し、出力装置(表示装置)13bに加工箇所を示す画像の表示位置を指示するようにしても良い。また、出力装置13bは、表示画面上に存在する食品Oの位置を検知する機能を備え、食品Oの検知位置に応じて加工箇所を示す画像を表示位置を調整するようにしても良い。
【0081】
図9は、出力装置13bとしての表示装置が食品Oが置かれた表示画面に加工箇所などを示す画像を表示した表示例を示す図である。
図9に示す表示例において、出力装置(表示装置)13bは、食品Oが置かれた表示画面に食品Oに対する加工箇所を示す補助線61を表示する。表示装置13bは、食品Oの下側で補助線61を表示するため、上方からは食品Oに重なった部分が視認できなくなるが、それ以外の部分(食品Oと重ならない領域)において補助線61が視認可能に表示される。つまり、本実施形態においては、補助線61は、少なくとも食品O上に重畳されない(重ならない)領域に出力(投影)される。
【0082】
図9に示すように、食品Oが置かれる表示画面に補助線61を表示することにより、作業者は表示された補助線61に沿って加工作業をすることができる。この結果、食品Oに対してどのように加工すればよいかの判断やどの程度加工すればよいかの判断などを作業者が迷うことを軽減することができ、作業効率を向上させることができる。
また、出力装置(表示装置)13bは、表示画面における食品Oが置かれてない表示位置に食品O全体に対する可食部の割合を示す評価値63を表示する。これにより、作業者は、食品O全体としての状態を客観的な指標によって確認することができる。
【0083】
次に、実施形態に係る分析システム1の例である作業支援システム200(200A、200B)における分析装置12の動作について説明する。
図10は、実施形態に係る分析システム1の一例である作業支援システム200(200A、200B)における分析装置12の動作例を説明するためのフローチャートである。
まず、作業支援システム200において、カメラ11は、作業台41又は出力装置13bの表示画面上に置かれた食品Oを撮影する。分析装置12は、カメラ11が撮影した食品Oの画像をカメラインターフェース24により取得する(ST21)。
【0084】
分析装置12のプロセッサ21は、カメラ11が撮影した食品Oの撮影画像を取得すると、食品Oの画像に基づいて当該食品Oにおける不要部を検出する(ST22)。ここで、プロセッサ21は、カメラ11が撮影した食品Oの画像において不要部とする提供不可部と非可食部とをそれぞれ検出するものとする。例えば、プロセッサ21は、評価システム100の動作例で説明したように、提供不可部と非可食部とを廃棄パーツ33の画像における色によって検出する。また、プロセッサ21は、食品O全体又は周辺領域に対する色の変化量によって不要部(提供不可部および非可食部)を検出するようにしても良い。
【0085】
プロセッサ21は、食品Oにおける不要部を抽出すると、食品Oにおける加工箇所を判定する(ST23)。プロセッサ21は、食品Oから不要部を除外するためのカット位置を分析し、分析結果として得られる不要部を除外するためのカット位置を加工箇所として判定する。また、プロセッサ21は、加工箇所の判定以外に、食品Oに対する分析として、食品Oにおける可食部(又は不要部)の割合などに基づく食品Oの評価値を算出しても良いし、傷んでいる部位などの作業者に報知すべき部位を特定するようにしても良い。
【0086】
プロセッサ21は、食品Oに対する加工箇所を特定すると、食品Oに対する分析結果として加工箇所などの情報を表示させるためのデータを出力装置13(13a、13b)へ出力する(ST24)。プロセッサ21は、出力装置13(13a又は13b)に食品Oに対する加工箇所を明示させるような表示データを食品に対する分析結果(加工箇所)を示す情報として出力装置13へ出力する。
【0087】
例えば、作業支援システム200Aであれば、プロセッサ21は、図7に示すような加工箇所を示す画像(補助線)などを食品Oに重畳して表示させるための表示データをプロジェクタとしての出力装置13aへ出力する。これに応じて、出力装置(プロジェクタ)13aは、図7に示すように、加工箇所を示す画像を作業台41に置かれた食品Oに対して重畳(投影)して表示する。
【0088】
また、作業支援システム200Bであれば、プロセッサ21は、図9に示すような加工箇所を示す画像(補助線)などを食品Oが置かれる表示画面に表示させるための表示データを表示装置としての出力装置13bへ出力する。このとき、少なくとも加工箇所を示す画像(補助線)などを食品Oに重畳しないように表示させるための表示データをモニターなどの出力装置13bへ出力する。なお、このとき、食品Oに重畳しない表示データと、食品Oに重畳する表示データと、の両方を出力してもよい。これに応じて、出力装置(表示装置)13bは、図9に示すように、加工箇所を示す画像を食品Oが置かれている表示画面に表示する。
【0089】
以上のように、作業支援システムにおいて、分析装置は、カメラが撮影した食品の画像に基づいて食品における不要部を検出する。分析装置は、検出した不要部の位置などに基づいて食品から不要部を除外するための加工箇所を判定する。分析装置は、食品に対する分析結果として加工箇所を表示するための情報を出力装置としての表示装置に出力する。出力装置としての表示装置は、食品に対する加工箇所を示す情報を表示する。これにより、作業者は、出力装置としての表示装置が表示する食品に対する加工箇所の提示を視認することができ、食品に対する加工作業を効率良く実行することができる。
【0090】
また、作業支援システムは、出力装置が分析装置により判定された加工箇所を示す情報を作業台上の食品に重畳して表示するようにして良い。これにより、作業支援システムとしては作業者に対して直接的に食品に対する加工箇所を提示することができ、作業者は食品上に表示された加工箇所を見ながら加工作業を実行することができ、加工作業を容易に行うことができる。
【0091】
また、作業支援システムは、出力装置が分析装置により判定された加工箇所を示す情報を加工作業の対象とする食品が置かれる表示画面に表示するようにして良い。これにより、作業支援システムとしては食品加工時に視認可能な画面において加工箇所を提示することができ、作業者は食品と食品に対する加工箇所を表示した画面とを同時に見ながら加工作業を実行することができ、加工作業を容易に行うことができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1…分析システム、11…カメラ、12…分析装置、13…出力装置、13a…出力装置(プロジェクタ)、13b…出力装置(表示装置)、100…評価システム、200(200A、200B)…作業支援システム、21…プロセッサ、22…システムメモリ、23…データメモリ、24…カメラインターフェース(入力インターフェース)、25…出力インターフェース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10