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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044719
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】梱包方法及び梱包機
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
B65B13/18 F
B65B13/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150433
(22)【出願日】2022-09-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000107697
【氏名又は名称】ストラパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立石 文俊
(72)【発明者】
【氏名】籾山 裕樹
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA02
3E052BA02
3E052CA01
3E052CB05
3E052CB07
3E052LA05
3E052LA08
3E052LA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バンドを正確な位置で切断可能な梱包方法を提供する。
【解決手段】長手方向が被梱包物の1回の梱包に必要な長さL毎のブロック71に区切られたバンド70を使用すると共に、バンド70の各ブロック71の所定位置に目印74を設けて梱包機のバンド搬送路上に設けた検出位置で目印74が検出されたとき、隣接するブロック71,71の境界部分73をシーリングユニットに設けた切断刃上に配置可能とし、少なくとも1つの境界部分73が前記切断刃上を通過するまでバンド70が送り出されている状態からローラユニットによってバンド70の引き戻しを行い、検出位置における目印74の検出がされた状態で引き戻しを終了する位置合わせ処理を行うことで切断刃上に境界部分73を配置して常に境界部分73で正確にバンド70を切断可能とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドの把持,溶着,及び切断を行うシーリングユニットと,バンドロールより引き出したバンドを,前記シーリングユニットを通過するように送り出すと共に,送り出した前記バンドを引き戻すローラユニットを備えた梱包機において,
前記バンドとして,長手方向が被梱包物の1回の梱包に必要な長さ毎のブロックに区切られたものを使用すると共に,前記バンドの前記各ブロックの所定位置に目印を設けることにより,前記梱包機のバンド搬送路上に設けた所定の検出位置で前記目印が検出されたとき,該目印が設けられた前記ブロックと,該ブロックと隣接するブロックの境界部分が,前記シーリングユニットに設けた切断刃上にあることを検出可能とし,
少なくとも1つの前記境界部分が前記切断刃上を通過するまで前記バンドが送り出されている状態から,前記ローラユニットによって該バンドの引き戻しを行い,前記検出位置における前記目印の検出により前記切断刃上に前記境界部分があることが検出された状態で前記引き戻しを終了する,位置合わせ処理を含むことを特徴とする梱包方法。
【請求項2】
前記ローラユニットによって前記バンドロールより引き出した前記バンドを,シーリングユニットを通過するように送り出すバンド供給工程と,
前記シーリングユニットが前記バンドの先端部を把持することにより形成された前記バンドのループ内に被梱包物が配置された状態で,前記ローラユニットに前記バンドを引き戻させて前記バンドを前記被梱包物の外周に巻き付けるバンド引締め工程,及び,
該バンド引締め工程後,前記シーリングユニットに前記バンドを溶着させると共に切断させる溶着切断工程を含み,
前記バンドとして,先端が前記ブロックの開始端で始まるバンドを使用し,
前記バンド供給工程において,前記検出位置における前記目印の検出数をカウントすると共に,
前記バンド引締め工程において,前記バンド供給工程でカウントされた前記目印の数に対し,1つ少ない数の前記目印が検出されるまで前記バンドの前記引き戻しを行うことにより前記位置合わせ処理を実行して前記境界部分を前記切断刃上に配置することを特徴とする請求項1記載の梱包方法。
【請求項3】
前記バンドの先端が前記ブロックの前記開始端で始まっていないときに前記バンドの先端と前記ブロックの前記開始端を一致させるバンドリセット処理を含み,
前記バンドリセット処理が,前記位置合わせ処理と,前記位置合わせ処理後に前記切断刃を使用して行う前記バンドの切断処理を含むことを特徴とする請求項1記載の梱包方法。
【請求項4】
前記バンドの先端が前記ブロックの前記開始端で始まっていないときに前記バンドの先端と前記ブロックの前記開始端を一致させるバンドリセット処理を含み,
前記バンドリセット処理が,前記位置合わせ処理と,前記位置合わせ処理後に前記切断刃を使用して行う前記バンドの切断処理を含み,
前記バンドリセット処理を,前記バンド供給工程後,前記バンド引締め工程前に行い,
該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理で行う前記バンドの前記引き戻しを,前記バンド供給工程で検出された前記目印のカウント数よりも1つ少ない数の前記目印が検出されるまで行い,
該バンドリセット処理後,再度,前記バンド供給工程以降の処理を実行することを特徴とする請求項2記載の梱包方法。
【請求項5】
前記バンドの先端が前記ブロックの前記開始端で始まっていないときに前記バンドの先端と前記ブロックの前記開始端を一致させるバンドリセット処理を含み,
前記バンドリセット処理が,前記位置合わせ処理と,前記位置合わせ処理後に前記切断刃を使用して行う前記バンドの切断処理を含み,
前記バンドリセット処理を,前記バンド供給工程後,前記バンド引締め工程前に行い,該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理における前記バンドの引き戻しを,1つの前記目印が検出されるまで行い,
該バンドリセット処理後,再度,前記バンド供給工程以降の処理を実行することを特徴とする請求項2記載の梱包方法。
【請求項6】
前記バンドリセット処理を,前記バンドが前記シーリングユニット内の所定の位置に配置されていることを条件に行うことを特徴とする請求項3~5いずれか1項記載の梱包方法。
【請求項7】
前記目印が,前記バンドに設けたレジマークであることを特徴とする請求項1~5いずれか1項記載の梱包方法。
【請求項8】
バンドの把持,溶着,及び切断を行うシーリングユニットと,バンドロールより引き出したバンドを,前記シーリングユニットを通過するように送り出すと共に,送り出した前記バンドを引き戻すローラユニットを備えた梱包機において,
前記バンドの搬送路上の所定の検出位置に設けられ,前記バンドに設けた目印を検出する目印検出手段と,
前記ローラユニットの動作を制御するコントローラを設け,
前記コントローラが前記ローラユニットに,少なくとも1つの前記目印が前記検出位置を通過するまで前記バンドが送り出されている状態から,該バンドを,前記検出位置で少なくとも1つの前記目印が検出されるまで引き戻させる,位置合わせ処理を実行させることを特徴とする梱包機。
【請求項9】
前記コントローラが,前記バンドロールより引き出したバンドを,前記シーリングユニットを通過するように送り出すバンド供給処理と,前記シーリングユニットが前記バンドの先端部を把持することにより形成された前記バンドのループ内に被梱包物が配置された状態で前記バンドを引き戻して前記バンドを前記被梱包物の外周に巻き付けるバンド引締め処理を前記ローラユニットに行わせると共に,前記ローラユニットによる前記バンド引締め処理後,前記バンドを溶着すると共に切断する溶着切断工程を前記シーリングユニットに実行させるように構成されており,
前記コントローラが,
前記ローラユニットによる前記バンド供給処理時,前記目印検出手段の検出信号に基づいて前記検出位置における前記目印の検出数をカウントすると共に記憶し,
前記ローラユニットによる前記バンド引締め処理時,前記目印検出手段の検出信号に基づいて前記検出位置における前記目印の検出数をカウントし,前記バンド供給処理時に検出された前記目印数に対し1つ少ない数の目印が検出されたとき,前記ローラユニットによる前記バンドの引き戻しを終了することにより,前記位置合わせ処理がされた状態で前記引締め処理を終了させることを特徴とする請求項8記載の梱包機。
【請求項10】
前記シーリングユニットに向かって前記バンドを誘導するシュータを設け,
前記シュータが,板状のインレットガイドと,該インレットガイド上を覆う板状のガイドカバーと,前記インレットガイドと前記ガイドカバー間の隙間に形成されたバンド通路を備え,
前記インレットガイドと前記ガイドカバーの対応する位置にそれぞれ貫通穴を設け,前記貫通穴の形成位置を前記検出位置と成すと共に,
前記インレットガイドと前記ガイドカバーのいずれか一方の前記貫通穴に対峙して前記目印検出手段を設けると共に,該貫通穴をガラスカバーで塞いだことを特徴とする請求項8記載の梱包機。
【請求項11】
前記コントローラが,バンドリセット指令信号の受信により前記バンドを所定の位置で切断するバンドリセット処理を実行するように構成されており,
前記コントローラは,該バンドリセット処理において前記位置合わせ処理を前記ローラユニットに行わせると共に,前記シーリングユニットに,前記ローラユニットによる前記位置合わせ処理後の前記バンドを切断させることを特徴とする請求項8記載の梱包機。
【請求項12】
前記コントローラが,
前記バンド供給処理後,梱包開始指令の入力があるまで前記ローラユニット及び前記シーリングユニットを停止して前記梱包機を待機状態と成すよう構成されていると共に,
前記コントローラは,前記待機状態にあるときに前記バンドリセット指令を受信すると前記バンドを所定の位置で切断するバンドリセット処理を行うよう構成されており,
前記コントローラは,該バンドリセット処理において前記位置合わせ処理を前記ローラユニットに行わせると共に,前記シーリングユニットに,前記ローラユニットによる前記位置合わせ処理後の前記バンドを切断させるように構成されており,
該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理を,前記目印検出手段の検出信号に基づいて,前記バンド供給処理時に前記検出位置で検出された前記目印の数に対し1つ少ない数の前記目印が検出されるまで前記ローラユニットに前記バンドの引き戻しを行わせることにより実行し,
前記バンドリセット処理後,前記ローラユニットに再度前記バンド供給処理を行わせて前記待機状態に戻すことを特徴とする請求項9記載の梱包機。
【請求項13】
前記コントローラが,
前記梱包機の起動後,梱包開始指令の入力があるまで前記ローラユニット及び前記シーリングユニットを停止して前記梱包機を待機状態と成すよう構成されていると共に,
前記コントローラは,
前記待機状態にあるときに,前記バンドリセット指令を受信すると前記バンドを所定の位置で切断するバンドリセット処理を行うよう構成されており,
前記コントローラは,該バンドリセット処理において,前記位置合わせ処理を前記ローラユニットに行わせると共に,前記シーリングユニットに,前記ローラユニットによる前記位置合わせ処理後の前記バンドを切断させるように構成されており,
該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理を,前記目印検出手段が1つの前記目印を検出するまで前記ローラユニットに前記バンドの引き戻しを行わせることにより実行し,
前記バンドリセット処理の実行後,前記バンド供給処理以降の処理を前記ローラユニット及び前記シーリングユニットに行わせることを特徴とする請求項9記載の梱包機。
【請求項14】
前記シーリングユニットに前記バンドを検出するバンド検出機構を設け,
前記コントローラが,前記バンド検出機構からの検出信号を受信しており,かつ,前記バンドリセット指令を受信したことを条件として前記バンドリセット処理を実行することを特徴とする請求項12又は13記載の梱包機。
【請求項15】
前記目印検出手段が検出する前記目印が,前記バンドに設けたレジマークである請求項9~13いずれか1項記載の梱包機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ポリプロピレン(polypropylene:以下「PP」という。)や二軸延伸ポリプロピレン(Oriented Polypropylene:以下「OPP」という。)等の合成樹脂や,紙,その他の材料から成るバンド,テープ,フィルム等の帯状物(以下,これらを総称して「バンド」という。)を被梱包物に巻き付けて行う梱包方法,及び,前記梱包方法を実行する梱包機に関する。
【背景技術】
【0002】
被梱包物にバンドを巻き付けて梱包する梱包機としては,例えば段ボール箱等にPPバンドを巻き付けて梱包するタイプの梱包機や,OPPフィルム等の樹脂フィルム,熱可塑製樹脂を塗布又はラミネートした紙帯等から成る帯封の取り付け(帯掛け)に使用される「帯掛機」等と呼ばれる梱包機等の各種の梱包機がある。
【0003】
このような梱包機として,前述した帯封の取り付け(帯掛け)に使用する梱包機(帯掛機)の構成例を図11に示す。
【0004】
このような帯掛機100による包装では,樹脂フィルム等で被梱包物の全体をラッピングする場合に比較して省資源を実現できることから,環境問題に強い関心を持つ企業等における商品の包装に対する採用例も増えている。
【0005】
この梱包機100は,被梱包物Wを載置するテーブル107と,前記テーブル107上に跨設されたバンド案内アーチ140と,バンドロール108よりバンド170を引き出して送り出すと共に,送り出したバンド170を引き戻し引き締めるローラユニット120,及び,前記テーブル107の下方に配置され,前記バンド170の把持,溶着及び切断を行うシーリングユニット130を備えている。
【0006】
このように構成された梱包機100において,ローラユニット120がテーブル107上に送り出したバンド170は,バンド案内アーチ140内を通過してループを形成した後,その先端170aがシーリングユニット130の所定位置に挿入される。
【0007】
このバンド先端170aが所定位置に挿入されたことをシーリングユニット130に設けたセンサ(図示せず)が検出すると,ローラユニット120が停止してバンド170の供給が終了する。
【0008】
その後,テーブル107上に被梱包物Wを載置した状態でシーリングユニット130はバンドの先端部を把持すると共に,ローラユニット120によりバンドを引き戻して引締めると,バンド案内アーチ140から脱落したバンド170が被梱包物Wの外周に巻き付けられる。
【0009】
被梱包物Wの外周にバンドが巻き付けられると,シーリングユニット130は被梱包物に巻き付けたバンドが弛まないようにバンド170の後端(供給端)側を押さえると共にローラユニット120が停止してバンドの引き戻しが終了すると共に,シーリングユニット130がバンドの先端側と供給端側の重合部対向面を溶着すると共に切断して梱包が完了し,以後,前述した動作が繰り返される。
【0010】
以上で説明した梱包機100の動作において,ローラユニット120によるバンドの引締め方法としては,一般に「ストローク方式」と呼ばれる方法と,「トルク方式」と呼ばれる方法がある。
【0011】
このうちの「ストローク方式」は,ローラの引締め回転方向への回転をタイマによる設定時間のカウントにより停止して引締めを完了する方法で,例えば同一サイズ(外周長)の被梱包物を連続して梱包する場合には効率良く梱包を行うことができるが,異なるサイズが混在する被梱包物の梱包では,被梱包物のサイズが変化する毎にタイマの再設定が必要となることがある。
【0012】
一方,「トルク方式」は,ローラの回転トルクを監視し,被梱包物に巻きかけられ、引締め回転方向に回転するローラにかかるトルクが予め設定された値に達すると,ローラの回転を停止して引締めを完了する。
【0013】
そのため「トルク方式」では,異なるサイズが混在している被梱包物を梱包する場合であっても,サイズの変化に拘わらず略一定の締め付け力で梱包物にバンドを巻き付けることができるメリットがあるが,例えば、フィルムで包装された野菜と段ボールなど被梱包物の材質等が変化した場合,材質等に応じた適切なトルク調整を怠ると,締め付け不足による梱包不良や,過剰な締め付けによる被梱包物の破損等が生じ得る。
【0014】
このように「ストローク方式」と「トルク方式」にはそれぞれ一長一短があることに鑑み,一台の梱包機で「ストローク方式」と「トルク方式」のいずれの引締め方法についても行うことができるようにし,梱包機の用途に応じてユーザがいずれの引締め方式を適用するかを選択できるようにした梱包機も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006-290380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上で説明した梱包機を使用して行う梱包には,例えば図12に示すように1つ又は複数個重ねた商品の包装容器等(図示の例では3個重ねた包装容器)に帯封としてバンドを巻き付ける場合がある。
【0017】
このような用途では,例えば図13に示すように,被梱包物Wである包装容器(箱)自体には装飾や情報表示のための印刷等を行わず,該被梱包物Wに帯封として巻き付けるOPPフィルム等から成るバンド170に,商品のロゴマークや製造年月日,消費/賞味期限,原材料,製造・販売者,成分表示等を印刷する場合がある。
【0018】
この場合,図13に示すように,バンド170の長手方向を1回の梱包に必要な長さ(被梱包物の外周長に重ね代を加えた長さ)Lのブロック171に分割し,該ブロック171のそれぞれに,前述した商品のロゴマークや製造年月日,消費/賞味期限,原材料,製造・販売者,成分表示等を予め印刷しておいたバンド170が使用される。
【0019】
このようなバンド170を使用した梱包において,例えば商品のロゴマーク等が印刷された部分を消費者の目に触れやすい被梱包物Wの上面部分に,製造年月日や消費/賞味期限,原材料,成分表示等の印刷部分が被梱包物の側面部分に配置する等,被梱包物上の予定した位置に,予定した表示が配置されるようにするためには,バンド170の先端がブロック171の開始端171aで始まるように切断されている必要があると共に,1つ(図示の例では3段重ねで1つ)の被梱包物Wに対し,バンド170を1ブロック単位で正確に巻き付けると共に溶着し,かつ,隣接するブロック171,171の境界部分173で正確にバンド170を切断することが必要となる。
【0020】
しかしながら,従来の梱包機100には,バンド170の先端とブロック171の開始端171aを一致させるようにカットする処理を行う機能を備えたものがなく,納品されたバンドロール108に巻かれたバンド170の先端170aがブロック171の開始端171aと一致していない場合や,梱包作業中に切断位置がずれることによりバンド170の先端170aとブロック171の開始端171aがずれた場合には,オペレータが鋏等を使用して手作業によりバンド170を一部切断して,バンド170の先端170aとブロック171の開始端171aとを一致させる作業が必要であった。
【0021】
しかも,被梱包物Wの梱包時には,前述した「ストローク方式」や「トルク方式」で行う引締め後にバンドの切断が行われるため,タイマの設定時間による引締め時間の変化や,トルクの設定によるローラのスリップ量やバンドの伸び,被梱包物の変形量等が変化すると引き戻されるバンドの長さが変化する。
【0022】
そのため,タイマの設定時間やトルクの設定値が適切でないと,被梱包物Wの外周に巻き付けられるバンドの長さが,1ブロック171の長さLよりも長く,又は短くなることで,被梱包物Wの外周に対し正確に1ブロックずつバンド170を巻き付けることができない。
【0023】
このように1つの被梱包物Wの外周に巻き付けるバンドの長さと,1ブロックの長さLにずれが生じれば,被梱包物Wの上面の中心Wcとバンド170の各ブロック171の中心171c間にずれが生じ,このずれは,梱包を繰り返す毎に積み重なって更に大きなずれを生じさせることとなる。
【0024】
また,このようなずれが生じることで,溶着後のバンド170の切断も隣接するブロック171,171の境界部分173から外れた位置で行われることとなるため,印刷の一部が切断されてしまうことにより,又は,印刷が施された部分でバンドの重ね合わせや溶着が行われることで,印刷内容の一部が読めなくなる場合も生じ得る。
【0025】
また,このような切断位置のずれの発生により,バンド170の先端170aとブロック171の開始端171aを一致させた状態で梱包を開始したとしても,切断により新たに生成されたバンドの先端170aがブロック171の先端171aと一致しなくなることで,それ以降も被梱包物Wに対し印刷位置がずれた状態でバンド170の巻き付けが行われることとなる。
【0026】
このような梱包不良を解消するためには,鋏等を使って再度人の手によりバンド170をブロック171,171間の境界部分173で切断してバンド170の先端170aとブロック171の開始端171aを一致させる処理が必要となるだけでなく,ストローク方式ではタイマのカウント時間の調整,トルク方式では設定トルクの調整を行い,これらの一連の作業を繰り返して1回の梱包で被梱包物Wの外周に巻き付くバンドの長さを,1ブロックの長さLに可及的に近付けるように調整するという,極めて煩雑かつ困難な調整作業が必要となる。
【0027】
なお,以上の説明では,隣接するブロックの境界部分で正確にバンドを切断して被梱包物Wの外周に対し1ブロック単位で正確にバンドを巻き付けることにより得られるメリットを,印刷が施されたバンド170を使用して梱包を行う場合を例に挙げて説明した。
【0028】
しかしながら,被梱包物Wの外周に対し1ブロックずつ正確にバンド170を巻き付けることにより得られるメリットは,印刷等が施されていないバンドにおいても享受し得る。
【0029】
例えば,1つの被梱包物Wの外周に対し,1ブロック171ずつ正確にバンド170を巻き付けることができれば,被梱包物Wの外周に弛みや過剰な締め付けを生じさせることなく適正な状態でバンド170を巻き付けることができる。
【0030】
また,被梱包物Wに巻き付けるバンド170が紙製のバンドである場合等には,熱溶着性を付与するために紙製バンドの片面にはその全長に亘り熱溶着性を有する樹脂を塗布し,あるいは,熱溶着性を有する樹脂のフィルムをラミネートするのが一般的である。
【0031】
しかしながら,被梱包物Wの外周に1ブロック171単位で正確にバンド170を巻き付けることができれば,バンド170の各ブロック171中,溶着が行われる部分にのみ熱溶着性を有する樹脂の塗布やラミネートを行えば良く,熱溶着性樹脂の使用量を大幅に減少させることができることで近年強く叫ばれている省資源化の要請にも貢献し得るものとなる。
【0032】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたもので,前述したように長手方向をブロック毎に分割したバンドを,ブロックとブロックの境界部分で正確に切断することができる構成を備えた梱包方法,及び,該梱包方法を実行可能な梱包機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と,発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0034】
上記目的を達成するために,本発明の梱包方法は,
バンドの把持,溶着,及び切断を行うシーリングユニット30と,バンドロール8より引き出したバンド70を,前記シーリングユニット30を通過するように送り出すと共に,送り出した前記バンド70を引き戻すローラユニット20を備えた梱包機1において,
前記バンド70として,長手方向が被梱包物の1回の梱包に必要な長さL毎のブロック71,71・・・に区切られたものを使用すると共に,前記バンド70の前記各ブロック71,71・・・の所定位置にレジマーク等の目印74を設けることにより,前記梱包機1のバンド搬送路上に設けた所定の検出位置95で前記目印74が検出されたとき,該目印74が設けられた前記ブロック71と,該ブロック71と隣接するブロック71の境界部分73が,前記シーリングユニット30に設けた切断刃37上にあることを検出可能とし,
少なくとも1つの前記境界部分73が前記切断刃37上を通過するまで前記バンド70が送り出されている状態から,前記ローラユニット20によって該バンド70の引き戻しを行い,前記検出位置における前記目印74の検出により前記切断刃37上に前記境界部分73があることが検出された状態で前記引き戻しを終了する,位置合わせ処理を含むことを特徴とする(請求項1)。
【0035】
上記構成の梱包方法が,
前記ローラユニット20によって前記バンドロール8より引き出した前記バンド70を,シーリングユニット30を通過するように送り出すバンド供給工程と,前記シーリングユニット30が前記バンド70の先端部を把持することにより形成された前記バンド70のループ内に被梱包物Wが配置された状態で,前記ローラユニット20に前記バンド70を引き戻させて前記バンド70を前記被梱包物Wの外周に巻き付けるバンド引締め工程,及び,該バンド引締め工程後,前記シーリングユニット30に前記バンド70を溶着させると共に切断させる溶着切断工程を含み,
前記バンド70として,先端70aが前記ブロック71の開始端71aで始まるバンド70を使用し,
前記バンド供給工程において,前記検出位置95を通過した前記目印74の数Nをカウントすると共に,
前記バンド引締め工程において,前記バンド供給工程でカウントされた前記目印74の数Nに対し,1つ少ない数(N-1)の前記目印が検出されるまで前記バンド70の前記引き戻しを行うことにより前記位置合わせ処理を実行して前記境界部分73を前記切断刃37上に配置するものとしても良い(請求項2)。
【0036】
上記梱包方法には,前記バンド70の先端70aが前記ブロック71の前記開始端71aで始まっていないときに前記バンド70の先端70aと前記ブロック71の前記開始端71aを一致させるバンドリセット処理を含めることができ,
前記バンドリセット処理が,
前記位置合わせ処理と,
前記位置合わせ処理後に前記切断刃37を使用して行う前記バンド70の切断処理を含むものとすることができる(請求項3)。
【0037】
前記バンドリセット処理は,前記バンド供給工程及びバンド引締め工程,及び,前記溶着切断工程と組み合わせて行うことができ,
この場合,上記バンドリセット処理を,前記バンド供給工程後,前記バンド引締め工程前に行い,
該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理で行う前記バンド70の前記引き戻しを,前記バンド供給工程でカウントされた前記目印74のカウント数Nよりも1つ少ない数(N-1)の前記目印74が検出されるまで行い,
該バンドリセット処理後,再度,前記バンド供給工程以降の処理を実行するようにすることができる(請求項4)。
【0038】
また,バンドリセット処理は,上記構成に代えて,バンド供給工程でカウントされた目印数に拘わらず,前記位置合わせ処理における前記バンドの引き戻しを,1つの前記目印74が検出されるまで行うようにしても良い(請求項5)。
【0039】
上記いずれの場合においても,前記リセット処理を,前記バンド70が前記シーリングユニット30内の所定位置に配置されていることを条件に行うものとしても良い(請求項6)。
【0040】
なお,前記梱包方法において,前記目印74を,前記バンド70に設けたレジマーク74とすることができる(請求項7)。
【0041】
また,前述した梱包方法を実行する本発明の梱包機1は,
バンド70の把持,溶着,及び切断を行うシーリングユニット30と,バンドロール8より引き出したバンド70を,前記シーリングユニット30を通過するように送り出すと共に,送り出した前記バンド70を引き戻すローラユニット20を備えた梱包機1において,
前記バンド70の搬送路上の所定の検出位置95に設けられ,前記バンド70に設けた目印74を検出する目印検出手段62と,
前記ローラユニット20の動作を制御するコントローラ50を設け,
前記コントローラ50が,前記ローラユニット20に,少なくとも1つの前記目印74が前記検出位置を通過するまで前記バンド70が送り出されている状態から,該バンド70を,前記検出位置95で少なくとも1つの前記目印74が検出されるまで引き戻させる,位置合わせ処理を実行させることを特徴とする(請求項8)。
【0042】
上記構成の梱包機1において,
前記コントローラ50が,
前記バンドロール8より引き出したバンド70を,前記シーリングユニット30を通過するように送り出すバンド供給処理と,前記シーリングユニット30が前記バンド70の先端部を把持することにより形成された前記バンド70のループ内に被梱包物Wが配置された状態で前記バンド70を引き戻して前記バンド70を前記被梱包物Wの外周に巻き付けるバンド引締め処理を前記ローラユニット20に行わせると共に,前記ローラユニット20による前記バンド引締め処理後,前記バンド70を溶着すると共に切断する溶着切断工程を前記シーリングユニット30に実行させるように構成されており,
前記コントローラ50が,
前記ローラユニット20による前記バンド供給処理時,前記目印検出手段62の検出信号に基づいて前記検出位置95における前記目印74の検出数Nをカウントすると共に記憶し,
前記ローラユニット20による前記バンド引締め処理時,前記目印検出手段62の検出信号に基づいて前記検出位置95における前記目印74の検出数をカウントし,前記バンド供給処理時にカウントされた前記目印74の数Nに対し1つ少ない数(N-1)の目印74が検出されたとき,前記ローラユニット20による前記バンドの引き戻しを終了することにより,前記位置合わせ処理がされた状態で前記引締め処理を終了させることを特徴とする(請求項9)。
【0043】
上記構成の梱包機1において,
前記シーリングユニット30に向かって前記バンド70を誘導するシュータ90を設け,
前記シュータ90が,板状のインレットガイド91と,該インレットガイド91上を覆う板状のガイドカバー92と,前記インレットガイド91と前記ガイドカバー92間の隙間に形成されたバンド通路(図示せず)を備え,
前記インレットガイド91と前記ガイドカバー92の対応する位置にそれぞれ貫通穴91a,92aを設け,前記貫通穴91a,92aの形成位置を前記検出位置95と成すと共に,
前記インレットガイド91と前記ガイドカバー92のいずれか一方の前記貫通穴91a,92a(実施形態ではインレットガイド91の貫通穴91a)に対峙して前記目印検出手段62を設けると共に,該貫通穴(実施形態ではインレットガイド91の貫通穴91a)をガラスカバー96で塞いだ構成を採用するものとしても良い(請求項10)。
【0044】
さらに,本発明の梱包機1において,前記コントローラ50は,バンドリセット指令信号の受信により前記バンド70を所定の位置で切断するバンドリセット処理を実行するように構成されており,
前記コントローラ50は,該バンドリセット処理において前記位置合わせ処理を前記ローラユニット20に行わせると共に,
前記シーリングユニット30に,前記ローラユニット20による前記位置合わせ処理後の前記バンド70を切断させるように構成するものとしても良い(請求項11)。
【0045】
前記コントローラ50は,
前記バンド供給処理後,梱包開始指令の入力があるまで前記ローラユニット20及び前記シーリングユニット30を停止して前記梱包機1を待機状態と成すよう構成されていると共に,
前記コントローラ50は,
前記待機状態にあるときに前記バンドリセット指令を受信すると前記バンドを所定の位置で切断するリセット処理を行うよう構成されており,
前記コントローラ50は,該バンドリセット処理において前記位置合わせ処理を前記ローラユニット20に行わせると共に,前記シーリングユニット30に,前記ローラユニット20による前記位置合わせ処理後の前記バンド70を切断させるように構成されており,
該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理を,前記目印検出手段62の検出信号に基づいて,前記バンド供給処理時に前記検出位置95で検出された前記目印74の数Nに対し1つ少ない数(N-1)の前記目印74が検出されるまで前記ローラユニット20に前記バンド70の引き戻しを行わせることにより実行し,
前記バンドリセット処理後,前記ローラユニット20に再度前記バンド供給処理を行わせて前記待機状態に戻すように構成するものとしても良い(請求項12)。
【0046】
又は,
上記構成に代えて,前記コントローラ50は,該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理を,前記目印検出手段が1つの前記目印を検出するまで前記ローラユニット20に前記バンドの引き戻しを行わせることにより実行するように構成するものとしても良い(請求項13)。
【0047】
上記バンドリセット処理を可能とした梱包機1にあっては,前記シーリングユニット30に前記バンド70を検出するバンド検出機構63を設け,
前記コントローラ50が,前記バンド検出機構63からの検出信号を受信しており,かつ,前記バンドリセット指令を受信したことを条件として前記バンドリセット処理を実行するように構成するものとしても良い(請求項14)。
【0048】
なお,前述目印検出手段62が検出する前記目印74は,前記バンド70に設けたレジマークとするものとしても良い(請求項15)。
【発明の効果】
【0049】
以上で説明した本発明の構成により,本発明の梱包方法及び梱包機1では,前述した位置合わせ処理の採用によって隣接するブロック71,71の境界部分73で正確にバンド70を切断することができた。
【0050】
その結果,バンド供給工程でローラユニット20が送り出したバンド70の供給量を,検出位置95で検出された目印74の数Nをカウントして記憶しておくと共に,記憶した目印74のカウント数Nに対し1つ少ない数(N-1)の目印74が検出されるまでバンド70の引き戻しを行うことにより前述の位置合わせ処理を実行して前記境界部分73を前記切断刃37上に配置することで,仮にバンド70の引締め時にローラユニット20に設けたローラ21,22の滑りやバンド70の伸び,被梱包物の変形が発生したとしても,各被梱包物Wに対し,常に正確に1ブロック71ずつ,バンド70を巻き付けることができた。
【0051】
その結果,例えば印刷が施されたバンド70を被梱包物Wに巻き付ける場合,被梱包物W上の予定された位置に,バンド70の予定された印刷部分を正確に配置させることができる等,被梱包物W上に正確な位置でバンド70を巻き付けることができた。
【0052】
また,バンド70は,最初のブロック71と,二番目のブロック71の境界部分73で正確に切断されるため,印刷の一部が切断されて見えなくなる等の梱包不良が発生することも防止できた。
【0053】
また,紙製のバンドを使用する場合には,各ブロック71の開始端71a及び/又は終了端71b付近に設ける重ね代の部分にのみ熱溶着性を有する樹脂を塗布又はラミネートすれば良く,バンド70の全体に熱溶着性樹脂の塗布やラミネートを行う場合に比較して樹脂の使用量を大幅に減少させることもできる。
【0054】
更に,バンド供給工程時にカウントした目印74の数に応じて引き戻し量が決まるため,梱包対象とする被梱包物Wをサイズの異なるものに変更した場合であっても,被梱包物Wの変更に伴ってタイマによるカウント時間の設定や,締め付けトルクの設定変更等の煩雑な設定作業を行う必要がなく,梱包機1にセットするバンドロール8を変更後の被梱包物Wに対応した長さのブロック71を有するバンド70が巻かれたものに交換するだけで,被梱包物Wに対し適切にバンド70の巻き付けを行うことが可能となる。
【0055】
前記バンド70の先端70aが,ブロック71の開始端71aで始まっていない場合,前述の位置合わせ処理によって隣接する2つのブロック71,71の境界部分73をシーリングユニット30の切断刃37上に配置する前述の位置合わせ処理を行った後,該切断刃37でバンドを切断するバンドリセット処理を行うことで,梱包機よりバンドロール8の取り外しや,鋏を使用した人手による切断等を行うことなく,簡単にバンド70の先端70aとブロック71の開始端71aを一致させることができた。
【0056】
このバンドリセット処理を,前記バンド供給工程の終了後に行う場合,前記バンド供給工程でカウントされた前記目印の数Nよりも1つ少ない数(N-1)の前記目印74が検出されるまで行うことで,可及的に短い長さでバンド70を切断することでバンド70の先端70aとブロック71の開始端71aを一致させる処理を,人手によらず自動で,かつ,省資源を実現しつつ実行することができた。
【0057】
また,前記バンドリセット処理における前記位置合わせを,1のブロック71の開始端71aが前記切断刃37上を通過するまでバンド70の引き戻しを行うことにより実行することで,梱包機1の再起動時等,一旦,梱包機1の電源を落としたことでカウント数の記憶が失われてしまっている場合であっても,バンド70の先端70aとブロック71の開始端71aを一致させる処理を人手によらず自動で実現することができた。
【0058】
なお,バンド70の先端70aがシーリングユニット30内の所定の位置に達していない状態でバンド70の引き戻しを行うと,バンド70がシーリングユニット30やローラユニット20から抜け落ちてしまい,再度,シーリングユニット30やローラユニット20にバンド70をセットする煩雑な作業が必要となる場合があるが,シーリングユニット30にバンド70を検出するバンド検出機構63を設ける等して,前記バンド70が前記シーリングユニット30内の所定の位置にあることが検出されている場合に前述のバンドリセット処理を行うようにすることで,シーリングユニット30やローラユニット20に対してバンド70をセットし直す等の煩雑な作業の発生を回避することができた。
【0059】
なお,前述したブロック71の開始端71aの検出は,バンド70にレジマーク74を設け,該レジマーク74を検出することにより容易に行うことができた。
【0060】
なお,上記梱包方法を実行する梱包機において,シーリングユニット30に向かって前記バンド70を誘導するシュータ90のインレットガイド91とガイドカバー92の対応する位置にそれぞれ貫通穴91a,92aを設け,前記貫通穴91a,92aの形成位置を前記検出位置95と成すと共に,インレットガイド91とガイドカバー92のいずれか一方の前記貫通穴(実施形態において91a)に対峙して目印検出手段62を設けると共に,該貫通穴(実施形態において91a)をガラスカバー96で塞いだ構成では,目印検出手段62がガラスカバー96によってカバーされることで,目印検出手段62に対する異物の堆積等を防止して誤作動などの発生を好適に防止することができた。
【0061】
また,このようにシュータ90に目印検出手段62を設ける構成では,仮に目印検出手段62の感応部前面を覆うガラスカバー96に対する一時的な異物の堆積が生じた場合であっても,この異物は,シュータ90内を高速で通過するバンド70によって掻き取られて除去される点でも異物の堆積を生じ難くすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明の梱包機の斜視図。
図2】本発明の梱包機の概略正面図。
図3】ローラユニット及びシーリングユニットの説明図。
図3-1】シュータの分解斜視図。
図4】シーリングユニットの動作説明図であり,(A)は初期状態,(B)は前ダンパー(右押さえ)の上昇によりバンドの先端部を把持した状態,(C)は後ダンパー(左押さえ)の上昇によりバンドの弛み止めがされた状態,(D)はプレスヘッド(中押さえ)の上昇によりバンドの溶着と切断が行われた状態。
図5図2のV-V線概略断面図。
図6】本発明の構成を示す梱包機のブロック図。
図7】本発明の梱包方法で使用するバンドの説明図。
図8】本発明の梱包方法の一実施形態におけるバンド供給工程のフロー図。
図9】本発明の梱包方法の一実施形態におけるバンド引締め工程のフロー図。
図10】本発明の梱包方法の一実施形態におけるバンドリセット処理のフロー図。
図11】従来の梱包機(帯掛け機)の説明図。
図12】食品包装容器(3段重ね)に対する帯掛けのイメージ図。
図13】被梱包物とバンド(ブロック)の好適な位置関係の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の梱包方法及び梱包機1について説明する。
【0064】
なお,以下で説明する本発明の梱包機1は,バンド案内アーチ40を備えており,ローラユニット20によって供給されたバンド70の先端部がバンド案内アーチ40に案内されて自動でシーリングユニット30の所定位置に導入されて保持される,所謂「全自動型」と呼ばれる梱包機の構成例について説明する。
【0065】
しかしながら,本発明の梱包機の構成は図示の実施形態に限定されず,テーブル7上にバンド案内アーチ40を備えておらず,ローラユニット20がテーブル7上に送り出したバンド70の先端部を,オペレータがバンド70を手で持ってシーリングユニット30の所定位置に挿入する,既知の「半自動型」と呼ばれる梱包機に対しても適用可能である。
【0066】
〔梱包機の全体構造〕
図1及び図2中,符号1は本発明の梱包機であり,この梱包機1は,被梱包物Wを載置するテーブル7と,例えばOPP製のフィルムより成るバンド70が巻かれたバンドロール8(図2参照)を備え,前記バンドロール8よりバンド70を引き出して前記テーブル7上に跨設されたバンド案内アーチ40内に送り出すと共に,送り出したバンド70の引戻し及び引締めを行うローラユニット20(図2及び図3参照),及び,前記テーブル7の下方に配置され,前記ローラユニット20によって送り出されたバンド70の先端を把持すると共に,該バンド70の切断と溶着を行うシーリングユニット30(図2及び図3参照)と,前記ローラユニット20及びシーリングユニット30の動作を制御する,電子制御装置から成るコントローラ50(図6参照)を備えている。
【0067】
〔ローラユニット〕
本発明の梱包機1において,バンド70の供給と,供給したバンド70を引き戻して被梱包物Wの外周に対するバンド70の巻き付けを行う前述のローラユニット20は,図2及び図3に示すように,駆動ローラ21と,この駆動ローラ21の外周に接触するタッチローラ22を備える。
【0068】
このうちの駆動ローラ21の回転軸はフィードモータ(図示せず)に連結されており,このフィードモータによって駆動ローラ21を,図中,紙面反時計回り方向に回転する供給回転方向と,紙面時計回り方向に回転する引締回転方向に回転させることができるように構成されている。
【0069】
また,前述のタッチローラ22は,駆動ローラ21と接触可能に配置されており,駆動ローラ21とタッチローラ22間にバンドを通すことで,駆動ローラ21の供給回転方向への回転によってテーブル7上にバンドを送り出すと共に,駆動ローラ21の引締回転方向への回転により送り出したバンドの引き戻しを行うことができるように構成されている。
【0070】
図3に示す構成では,ローラユニット20の駆動ローラ21とタッチローラ22間には,シュータ90が設けられており,ローラユニット20によってバンドロール8より引き出されたバンド70を,このシュータ90を介して後述のシーリングユニット30に導入することができるように構成されている。
【0071】
このシュータ90は,図3及び図3-1に示すように板状のインレットガイド91と,該インレットガイド91上を覆う板状のガイドカバー92を備え,インレットガイド91とガイドカバー92間の隙間にバンド通路が形成されており,インレットガイド91に設けた接触用穴93と,該接触用穴93の形成位置に対応してガイドカバー92に設けられたスリット94を介して,シュータ90の下側に配置された駆動ローラ21と,シュータ90の上側に配置されたタッチローラ22がバンド通路に導入されたバンド70を介して接触回転することで,バンド70の供給と引き戻しを行うことができるように構成されている。
【0072】
本実施形態では,インレットガイド91とガイドカバー92の対応する位置にそれぞれ貫通穴91a,92aを設け,前記貫通穴91a,92aの形成位置を,後述するバンドに設けた目印(レジマーク)74の検出位置95と成すと共に,前記インレットガイド91と前記ガイドカバー92のいずれか一方の前記貫通穴(本実施形態においてインレットガイド91の貫通穴91a)に対峙して,目印(レジマーク)74を検出するための目印検出手段62をシュータ90(本実施形態ではシュータ90の下面側)に設けると共に,前記貫通穴(本実施形態ではインレットガイド91の貫通穴91a)をガラスカバー96で塞いだ構成を採用することで,バンド70に設けた目印(レジマーク)74を検出可能と成すと共に,目印検出手段62に対する異物の堆積等を防止できるようにした。
【0073】
〔シーリングユニット〕
前述のローラユニット20によってバンドロール8より引き出されたバンド70は,シュータ90及びシーリングユニット30を通過してテーブル7上に送り出されると共に,テーブル7上に跨設されたバンド案内アーチ40内を案内されてテーブル7上でバンドのループを形成した後,バンド70の先端部が再度,シーリングユニット30の所定の位置に導入されて把持されるように構成されている。
【0074】
このシーリングユニット30には,図3及び図4に示すようにカムモータ31と,該カムモータ31によって回転されるカムシャフト32,該カムシャフト32と共に回転するカム33a~33c,及び,このカム33a~33cによって昇降動作される後ダンパー(左押さえ)34,前ダンパー(右押さえ)35,及び切断刃37を備えたプレスヘッド(中押さえ)36,及びヒータ(図示せず)を備え,これによりバンド70の把持と溶着,及び切断を行うことができるように構成されている。
【0075】
このシーリングユニット30は,原位置において前述の後ダンパー34,前ダンパー35,及びプレスヘッド36はいずれも下降した位置にあり〔図4(A)参照〕,この位置から,カムモータ31がカムシャフト32を回転させることで,前ダンパー35の上昇によるバンド先端部の把持〔図4(B)〕,バンド引締め後の後ダンパー34の上昇によるバンド70の把持〔図4(C)〕,及び,プレスヘッド36の上昇によるバンドの溶着と切断〔図4(D)〕が行われた後,後ダンパー34,前ダンパー35,及びプレスヘッド36が下降した原位置〔図4(A)〕に復帰するように構成されている。
【0076】
〔バンド案内アーチ〕
前述のテーブル7上には,テーブル7の長手方向に跨設されたバンド案内アーチ40が設けられている。
【0077】
ローラユニット20によってバンドロール8より引き出されると共に送り出されたバンド70は,シーリングユニット30を通過した後,このバンド案内アーチ40内に導入されることで,テーブル7上でループを形成すると共に,その先端部が再度,シーリングユニット30に導入されてシーリングユニット30の前ダンパー(右押さえ)35の上昇によって把持されるように構成されている。
【0078】
このバンド案内アーチ40には,図5に示すように断面コ字状のスリット43を備えた一対のガイドレール41,42が設けられており,このガイドレール41,42を,前記スリット43の開口部が向き合うように配置することで,バンド70の幅方向の両端から中央にかけて所定の範囲がスリット43,43内に挿入されてバンド案内アーチ40内を通過することができるように構成されている。
【0079】
一対のガイドレール41,42は,前述のローラユニット20によるバンド70の引き戻しに際して間隔が広がるように構成されており,これによりローラユニット20によるバンドの引締め時,バンド案内アーチ40よりバンドを確実に脱落させてテーブル7上に載置した被梱包物Wの外周にバンド70を巻き付けることができるように構成されている。
【0080】
なお,バンド案内アーチ40の構成は,テーブル7上でループを形成するようにバンド70を案内することができるように構成されていると共に,ローラユニット20によるバンド70の引締め時にバンド70を円滑に脱落させることができるものであれば,前述した構成のものに限定されず,既知の各種のバンド案内アーチの構造が採用可能である。
【0081】
また,本発明の梱包方法を実行するにあたり前述のバンド案内アーチ40は必ずしも設ける必要はなく,バンド案内アーチ40を設けることなくローラユニット20がテーブル7上に送り出したバンド70の先端を,オペレータが手作業でシーリングユニット30に設けたスロット等に差し込ようにしても良い。
【0082】
〔バンド〕
本発明の梱包方法及び梱包機で使用するバンド70は,図7に示すようにその長手方向が被梱包物Wの一回の梱包に必要な長さL毎のブロック71,71に区切られている。
【0083】
このバンド70の各ブロック71には,隣接する2つのブロック71,71の境界部分73を特定するための目印が設けられており,本実施形態ではこのような目印としてレジマーク又はアイマークと呼ばれる目印(本明細書では「レジマーク」と記載する。)74を印刷している。
【0084】
このレジマーク74は,前述した梱包機1のバンド搬送路上の所定位置(本実施形態ではシュータ90)に設けた検出位置95で前述のレジマーク74が検出されたときに,該レジマーク74が設けられているブロック71と,該ブロック71と隣接するブロック71との境界部分73がシーリングユニット30に設けられている切断刃37上に配置されるようにその印刷位置が設定されている。
【0085】
本実施形態では,前述の検出位置95を,シーリングユニット30にバンド70を導入するシュータ90に設けており,該検出位置95におけるレジマーク74の検出により,該レジマーク74が設けられているブロック71と,該ブロック71の1つ前のブロック71との境界部分73が切断刃37上にあることを検出することができる位置にレジマーク74を印刷している。
【0086】
もっとも,隣接するブロック71の境界部分73がシーリングユニット30に設けた切断刃37上にあることを検出可能とするものであれば,レジマーク74の印刷位置は図示の例に限定されず,検出位置95との関係でその印刷位置を適宜変更可能である。
【0087】
〔スイッチ類,検出機器類〕
本実施形態の梱包機1には図6に示すように下記のスイッチ類及び検出機器類が設けられている。
【0088】
(1)バンドリセットスイッチ(バンドリセット指令入力手段)
バンドリセットスイッチ61は,コントローラ50に対しバンドリセット処理の開始を指令するスイッチであり,本実施形態では,梱包機1のフロントパネルに押しボタン式のモメンタリスイッチを設けてバンドリセットスイッチ61とした(図1図2参照)。
【0089】
バンド70の先端70aが,バンド70に設けた最初のブロック71の開始端71aで始まっていない場合,オペレータがこのバンドリセットスイッチ61を押してバンドリセット処理の開始をコントローラ50に対し指令することにより,コントローラ50は,バンド70の2つのブロック71,71の境界部分73をシーリングユニット30に設けた切断刃37上に配置する位置合わせ処理をローラユニット20に行わせると共に,該切断刃37によるバンド70の切断をシーリングユニット30に行わせることにより,切断によって新たに生成されたバンド70の先端70aを,ブロック71の開始端71aと一致させるバンドリセット処理を実行する。
【0090】
(2)目印検出手段
目印検出手段62は,バンド搬送路上に設けた検出位置95でバンド70に設けた目印74を検出するものであれば,近接センサなど,既知の各種検出手段が採用可能であるが,本実施形態ではバンド70の各ブロック71に目印として設けた前述のレジマーク74を検出する,例えば,光センサを用いている。
【0091】
なお,シーリングユニット30にバンド70を導入するシュータ90に設けた検出位置95に目印検出手段62を配置した本実施形態の構成では,各ブロック71の開始端71aに対しレジマーク74を,シーリングユニット30の切断刃37と検出位置95間の間隔に対応した間隔分,離れた位置に印刷する。
【0092】
これにより,検出位置95でレジマーク74が検出されたとき,該レジマーク74を備えたブロック71と,その一つ前のブロック71の境界部分73が切断刃37上に配置されるようにした。
【0093】
なお,切断刃37上に隣接するブロック71,71の境界部分があることを検出することができれば,上記構成に限定されず,レジマーク74に代えて他の目印を検出するように構成しても良い。
【0094】
また,前述したようにバンド70の各ブロック71に対するレジマーク74の印刷位置も,検出位置95及び目印検出手段62の配置に対応して適宜変更可能である。
【0095】
(3)バンド検出機構
バンド検出機構63は,シーリングユニット30の所定の位置にバンド70が存在するか否かを検出するもので,本実施形態では図4に示すようにシーリングユニット30中,バンド70の先端70aが突合される部分に近接センサを設け,この近接センサをシーリングユニット30内の所定位置に対するバンド70の先端部の導入の有無を検出する前述のバンド検出機構63とした。
【0096】
もっとも,このバンド検出機構63は,前述した近接センサやその他のセンサによりバンドを検出する構成に限定されず,例えばタイマやパルスによりフィードモータの回転量をカウントしてバンドの送り量が所定の長さとなったときにバンドが所定位置にあることを検出するものとしても良く,シーリングユニット30の所定位置にバンド70が存在することを検出し得るものであれば既知の各種の構成が採用可能である。
【0097】
(4)スタートスイッチ
スタートスイッチ66は,バンド供給工程の終了後,ローラユニット20とシーリングユニット30が停止して梱包機1が待機状態となっているときに,コントローラ50に対しバンド引締め工程以降の処理の開始を指令するためのスイッチであり,本実施形態ではテーブル7の上面に押しボタン式のモメンタリスイッチを設けてこれをスタートスイッチ66とした(図1参照)。
【0098】
〔コントローラ〕
なお,図6に示したように,本発明の梱包機1には,電子制御装置から成るコントローラ50が設けられており,このコントローラ50は,前述した各スイッチの操作により入力された指令,及び,検出機器類からの検出信号に基づいて,ローラユニット20に設けたフィードモータやシーリングユニット30に設けたカムモータ31の動作を制御することで,以下に説明する動作を各部に対して行わせることで本発明の梱包方法を実行する。
【0099】
〔動作説明〕
(1)バンド供給工程
先の被梱包物に対する梱包が終了すると,コントローラ50は,次の被梱包物Wに対する梱包に備え,ローラユニット20の駆動ローラ21を供給回転方向に回転させてバンド70の供給を開始する(図8:S1)。
【0100】
ローラユニット20によるバンド70の供給が開始されると,コントローラ50は目印検出手段62からの検出信号に基づき,バンド70の通過に伴って検出位置95で検出される目印74の数(本実施形態ではレジマーク数)をカウントする(図8:S2)。
【0101】
また,コントローラ50は,ローラユニット20によるバンドの供給中,シーリングユニット30に設けたバンド検出機構63からの検出信号に基づき,バンド70の先端70aがバンド案内アーチ40を通過してシーリングユニット30の所定の位置に到達したか否かを監視し(図8:S3),バンド70の先端70aがシーリングユニット30の所定位置に到達してバンド検出機構63によりバンド70が検出されると(S3のyes),駆動ローラ21の供給回転方向の回転を停止してバンド70の供給を終了すると共に(図8:S4),カウントされたレジマークの検出数を記憶して(図8:S5),ローラユニット20及びシーリングユニット30を停止させた待機状態となる(図8:S6)。
【0102】
このようにして,ローラユニット20によってバンドロール8より引き出されたバンド70は,シーリングユニット30を通過した後,バンド案内アーチ40を通過してその先端部が再度シーリングユニット30に導入されて,テーブル7上にバンドのループが形成される。
【0103】
(2)バンド引締め工程
前述したバンド供給工程が終了した後の待機状態(図8及び図9のS6)において,テーブル7上に被梱包物Wを載置してスタートスイッチ66がON操作されると(図9:S7のyes),コントローラ50はシーリングユニット30のカムモータ31を作動させて前ダンパー(右押さえ)35の上昇によりバンド70の先端部を把持させると共に〔図9のS8,図4(B)参照〕,ローラユニット20の駆動ローラ21を引締回転方向に回転させてバンド70の引き戻しを開始する(図9:S9)。
【0104】
このバンドの引き戻し中,コントローラ50は,目印検出手段62からの検出信号に基づいて検出位置95におけるレジマーク74の検出数をカウントし,バンド供給時にカウントされたレジマーク74の数Nよりも1つ少ない数(N-1)のレジマーク74が検出されるまでローラユニット20にバンド70の引き戻しを継続させる。
【0105】
そして,バンドの供給時に検出されたレジマーク74の数Nよりも一つ少ない数(N-1)のレジマーク74が検出されると(図9:S10のyes),コントローラ50はシーリングユニット30のカムモータ31を作動させて後ダンパー(左押さえ)34を上昇させてバンド70を弛まないように把持すると共に,ローラユニット20の駆動ローラ21の回転を停止してバンドの引き戻しを終了すると共に,シーリングユニット30のプレスヘッド(中押さえ)36を上昇させてバンド70の溶着と切断を行う〔図9:S11,図4(C),(D)参照〕。
【0106】
前述したように,バンド供給時にカウントされたレジマーク数Nよりも一つ少ない数(N-1)のレジマーク74が検出位置95で検出されたときにバンド70の引き戻しを停止することで,切断刃37上には,バンド70の先端70aから一番目のブロック71と二番目のブロック71の境界部分73が配置されることとなる。
【0107】
従って,この状態でシーリングユニット30のプレスヘッド36を上昇させてバンド70の溶着と切断を行うことで,被梱包物Wの外周に,正確に1ブロック71分のバンド70を巻き付けることができる。
【0108】
このようにして被梱包物Wの梱包が終了すると,コントローラ50は図8を参照して説明したバンド供給工程を行った後,ローラユニット20及びシーリングユニット30を停止して,梱包機1は待機状態となる。
【0109】
(3)バンドリセット処理
前述したバンド引締め工程における梱包不良等により被梱包物Wの外周に対するバンド70の巻き付けに失敗する等して,バンド70の切断が隣接する2つのブロック71,71の境界部分73から外れた位置で行われた場合には,バンド70の先端70aがブロック71の開始端71aで始まっていない状態となり,以後,被梱包物Wに対し正確に1ブロック71のバンドを巻き付けることができなくなる。
【0110】
そこで,このような場合には,オペレータはコントローラ50に対しバンドリセット処理の実行を指令する。
【0111】
このバンドリセット処理は,一例として,バンド供給工程後の,梱包機1が待機状態にあるときに行うことができる。
【0112】
このような待機状態にあるときに,オペレータがバンドリセットスイッチ61を操作してコントローラ50に対しバンドリセット処理の実行を指令すると(図10:S12のyes),コントローラ50はバンド検出機構63からの検出信号に基づいてバンド70がシーリングユニット30内の所定の位置にあるか否かを判断し,バンド70が検出できない場合には(図10:S13のno),バンドリセット処理を終了する。
【0113】
この場合,オペレータは,梱包機に設けられているバンド送りスイッチ(図示せず)を操作する等して,コントローラ50にバンド送りを指令して,シーリングユニット30の所定位置にバンド70を到達させた後,再度,バンドリセットスイッチ61を操作して,コントローラ50に対しバンドリセット処理の実行を指令する。
【0114】
一方,バンド検出機構63によりバンド70が検出されていると(図10:S13のyes),コントローラ50は,ローラユニット20の駆動ローラ21を引締回転方向に回転させてバンドの引き戻しを開始する(図10:S14)。
【0115】
コントローラ50は,バンド供給工程のときに検出されたレジマークのカウント数Nの記憶を保持している場合には(図10:S15のyes),引き戻し中,記憶しているカウント数Nよりも一つ少ない数(N-1)のレジマーク74が検出されたか否かを目印検出手段62の検出信号に基づいて監視し(図10:S16),記憶しているカウント数Nよりも一つ少ない数(N-1)のレジマークが検出されるとバンドの引き戻しを終了する(図10:S16yes→S18)。
【0116】
一方,梱包機1の電源を切った後に再起動させたときの待機状態のように,バンド案内アーチ40内を通過したバンド70がシーリングユニット30内の所定の位置に配置された状態でバンド供給工程が終了した状態とはなっているが,電源を切る前のバンド供給工程時にカウントしたレジマーク74のカウント数Nの記憶が失われてしまっている場合には,コントローラ50は目印検出手段62からの信号に基づいて,引き戻し中,1つのレジマークが検出されたか否かを監視し(図10:S17),1つのレジマーク74が検出されるとバンド70の引き戻しを終了する(図10:S17のyes→S18)。
【0117】
上記のタイミングでバンドの引き戻しを終了することで,シーリングユニット30の切断刃37上に,バンド70の隣接する2つのブロック71,71の境界部分73が配置されることとなるから,この状態でシーリングユニット30のプレスヘッド36を上昇させてプレスヘッド36に設けた切断刃37でバンドを切断することで(図10:S19),この切断によって新たに生成されたバンド70の先端70aを,ブロック71の開始端71aと一致させることができる。
【0118】
このようにしてバンド70の先端70aとブロック71の開始端71aを一致させるバンドリセット処理の終了後,コントローラ50は,図8を参照して説明したバンド供給工程(図8のS1~S5)を実行した後,ローラユニット20とシーリングユニット30を停止して梱包機1を次の被梱包物Wがセットされるまで待機状態とする。
【0119】
なお,本実施形態では,バンド検出機構63によりバンド70の端部の検出が行われている場合,すなわち,シーリングユニット30内の所定の位置でバンド70の検出が行われている場合にバンドリセット処理を実行可能とする構成について説明したが,この構成に代えて,シーリングユニット30内の所定の位置でバンド70が検出されているか否かに拘わらず,バンドリセットスイッチ61の操作によりコントローラ50がバンドリセット処理を実行するようにしても良い。
【0120】
もっとも,バンド検出機構63でバンド70が検出されていない状態,従って,バンド70の先端部がシーリングユニット30の所定の位置に配置されていない状態でバンド70の引き戻しを行うと,バンド70がシーリングユニット30やローラユニット20から抜け落ちてしまう場合がある。この場合には,抜け落ちたバンド70を再度シーリングユニット30やローラユニット20にセットする煩雑な作業が必要となることから,本実施形態で説明したようにバンド検出機構63がバンド70を検出していない場合にはバンドリセット処理を行わないように構成することが好ましい。
【符号の説明】
【0121】
1 梱包機
7 テーブル
8 バンドロール
20 ローラユニット
21 駆動ローラ
22 タッチローラ
30 シーリングユニット
31 カムモータ
32 カムシャフト
33a~33c カム
34 後ダンパー(左押さえ)
35 前ダンパー(右押さえ)
36 プレスヘッド(中押さえ)
37 切断刃
40 バンド案内アーチ
41,42 ガイドレール
43 スリット
50 コントローラ
61 バンドリセットスイッチ(バンドリセット指令入力手段)
62 目印検出手段
63 バンド検出機構
66 スタートスイッチ(梱包開始指令入力手段)
70 バンド
70a 先端(バンド70の)
71 ブロック
71a 開始端(ブロック71の)
71b 終了端(ブロック71の)
73 境界部分(ブロック71,71間の)
74 目印(レジマーク)
80 窓
90 シュータ
91 インレットガイド
91a 貫通穴
92 ガイドカバー
92a 貫通穴
93 接触用穴
94 スリット
95 検出位置
96 ガラスカバー
100 梱包機
107 テーブル
108 バンドロール
120 ローラユニット
130 シーリングユニット
140 バンド案内アーチ
170 バンド
170a 先端(バンド170の)
171 ブロック
171a 開始端(ブロック171の)
171c ブロックの中心
173 境界部分(ブロック171,171間の)
W 被梱包物
Wc被梱包物の上面中心
図1
図2
図3
図3-1】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドの把持,溶着,及び切断を行うシーリングユニットと,バンドロールより引き出したバンドを,前記シーリングユニットを通過するように送り出すと共に,送り出した前記バンドを引き戻すローラユニットを備えた梱包機において,
前記バンドとして,長手方向が被梱包物の1回の梱包に必要な長さ毎のブロックに区切られたものを使用すると共に,前記バンドの前記各ブロックの所定位置に目印を設けることにより,前記梱包機のバンド搬送路上に設けた所定の検出位置で前記目印が検出されたとき,該目印が設けられた前記ブロックと,該ブロックと隣接するブロックの境界部分が,前記シーリングユニットに設けた切断刃上にあることを検出可能とし,
少なくとも1つの前記境界部分が前記切断刃上を通過するまで前記バンドが送り出されている状態から,前記ローラユニットによって該バンドの引き戻しを行い,前記検出位置における前記目印の検出により前記切断刃上に前記境界部分があることが検出された状態で前記引き戻しを終了する,位置合わせ処理を含むことを特徴とする梱包方法。
【請求項2】
前記ローラユニットによって前記バンドロールより引き出した前記バンドを,シーリングユニットを通過するように送り出すバンド供給工程と,
前記シーリングユニットが前記バンドの先端部を把持することにより形成された前記バンドのループ内に被梱包物が配置された状態で,前記ローラユニットに前記バンドを引き戻させて前記バンドを前記被梱包物の外周に巻き付けるバンド引締め工程,及び,
該バンド引締め工程後,前記シーリングユニットに前記バンドを溶着させると共に切断させる溶着切断工程を含み,
前記バンドとして,先端が前記ブロックの開始端で始まるバンドを使用し,
前記バンド供給工程において,前記検出位置における前記目印の検出数をカウントすると共に,
前記バンド引締め工程において,前記バンド供給工程でカウントされた前記目印の数に対し,1つ少ない数の前記目印が検出されるまで前記バンドの前記引き戻しを行うことにより前記位置合わせ処理を実行して前記境界部分を前記切断刃上に配置することを特徴とする請求項1記載の梱包方法。
【請求項3】
前記バンドの先端が前記ブロックの開始端で始まっていないときに前記バンドの先端と前記ブロックの前記開始端を一致させるバンドリセット処理を含み,
前記バンドリセット処理が,前記位置合わせ処理と,前記位置合わせ処理後に前記切断刃を使用して行う前記バンドの切断処理を含むことを特徴とする請求項1記載の梱包方法。
【請求項4】
前記バンドの先端が前記ブロックの前記開始端で始まっていないときに前記バンドの先端と前記ブロックの前記開始端を一致させるバンドリセット処理を含み,
前記バンドリセット処理が,前記位置合わせ処理と,前記位置合わせ処理後に前記切断刃を使用して行う前記バンドの切断処理を含み,
前記バンドリセット処理を,前記バンド供給工程後,前記バンド引締め工程前に行い,
該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理で行う前記バンドの前記引き戻しを,前記バンド供給工程で検出された前記目印のカウント数よりも1つ少ない数の前記目印が検出されるまで行い,
該バンドリセット処理後,再度,前記バンド供給工程以降の処理を実行することを特徴とする請求項2記載の梱包方法。
【請求項5】
前記バンドの先端が前記ブロックの前記開始端で始まっていないときに前記バンドの先端と前記ブロックの前記開始端を一致させるバンドリセット処理を含み,
前記バンドリセット処理が,前記位置合わせ処理と,前記位置合わせ処理後に前記切断刃を使用して行う前記バンドの切断処理を含み,
前記バンドリセット処理を,前記バンド供給工程後,前記バンド引締め工程前に行い,
該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理における前記バンドの引き戻しを,1つの前記目印が検出されるまで行い,
該バンドリセット処理後,再度,前記バンド供給工程以降の処理を実行することを特徴とする請求項2記載の梱包方法。
【請求項6】
前記バンドリセット処理を,前記バンドが前記シーリングユニット内の所定の位置に配置されていることを条件に行うことを特徴とする請求項3~5いずれか1項記載の梱包方法。
【請求項7】
前記目印が,前記バンドに設けたレジマークであることを特徴とする請求項1~5いずれか1項記載の梱包方法。
【請求項8】
バンドの把持,溶着,及び切断を行うシーリングユニットと,バンドロールより引き出したバンドを,前記シーリングユニットを通過するように送り出すと共に,送り出した前記バンドを引き戻すローラユニットを備えた梱包機において,
前記バンドの搬送路上の所定の検出位置に設けられ,前記バンドに設けた目印を検出する目印検出手段と,
前記ローラユニットの動作を制御するコントローラを設け,
前記コントローラが前記ローラユニットに,少なくとも1つの前記目印が前記検出位置を通過するまで前記バンドが送り出されている状態から,該バンドを,前記検出位置で少なくとも1つの前記目印が検出されるまで引き戻させる,位置合わせ処理を実行させることを特徴とする梱包機。
【請求項9】
前記コントローラが,
前記バンドロールより引き出したバンドを,前記シーリングユニットを通過するように送り出すバンド供給処理と,前記シーリングユニットが前記バンドの先端部を把持することにより形成された前記バンドのループ内に被梱包物が配置された状態で前記バンドを引き戻して前記バンドを前記被梱包物の外周に巻き付けるバンド引締め処理を前記ローラユニットに行わせると共に,
前記ローラユニットによる前記バンド引締め処理後,前記バンドを溶着すると共に切断する溶着切断工程を前記シーリングユニットに実行させるように構成されており,
前記コントローラが,
前記ローラユニットによるバンド供給処理時,前記目印検出手段の検出信号に基づいて前記検出位置における前記目印の検出数をカウントすると共に記憶し,
前記ローラユニットによる前記バンド引締め処理時,前記目印検出手段の検出信号に基づいて前記検出位置における前記目印の検出数をカウントし,前記バンド供給処理時に検出された前記目印の検出数に対し1つ少ない数の目印が検出されたとき,前記ローラユニットによる前記バンドの引き戻しを終了することにより,前記位置合わせ処理がされた状態で前記バンド引締め処理を終了させることを特徴とする請求項8記載の梱包機。
【請求項10】
前記シーリングユニットに向かって前記バンドを誘導するシュータを設け,
前記シュータが,板状のインレットガイドと,該インレットガイド上を覆う板状のガイドカバーと,前記インレットガイドと前記ガイドカバー間の隙間に形成されたバンド通路を備え,
前記インレットガイドと前記ガイドカバーの対応する位置にそれぞれ貫通穴を設け,前記貫通穴の形成位置を前記検出位置と成すと共に,
前記インレットガイドと前記ガイドカバーのいずれか一方の前記貫通穴に対峙して前記目印検出手段を設けると共に,該貫通穴をガラスカバーで塞いだことを特徴とする請求項8記載の梱包機。
【請求項11】
前記コントローラが,バンドリセット指令信号の受信により前記バンドを所定の位置で切断するバンドリセット処理を実行するように構成されており,
前記コントローラは,該バンドリセット処理において前記位置合わせ処理を前記ローラユニットに行わせると共に,前記シーリングユニットに,前記ローラユニットによる前記位置合わせ処理後の前記バンドを切断させることを特徴とする請求項8記載の梱包機。
【請求項12】
前記コントローラが,
前記バンド供給処理後,梱包開始指令の入力があるまで前記ローラユニット及び前記シーリングユニットを停止して前記梱包機を待機状態と成すよう構成されていると共に,
前記コントローラは,前記待機状態にあるときにバンドリセット指令を受信すると前記バンドを所定の位置で切断するバンドリセット処理を行うよう構成されており,
前記コントローラは,該バンドリセット処理において前記位置合わせ処理を前記ローラユニットに行わせると共に,前記シーリングユニットに,前記ローラユニットによる前記位置合わせ処理後の前記バンドを切断させるように構成されており,
該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理を,前記目印検出手段の検出信号に基づいて,前記バンド供給処理時に前記検出位置で検出された前記目印の数に対し1つ少ない数の前記目印が検出されるまで前記ローラユニットに前記バンドの引き戻しを行わせることにより実行し,
前記バンドリセット処理後,前記ローラユニットに再度前記バンド供給処理を行わせて前記待機状態に戻すことを特徴とする請求項9記載の梱包機。
【請求項13】
前記コントローラが,
前記梱包機の起動後,梱包開始指令の入力があるまで前記ローラユニット及び前記シーリングユニットを停止して前記梱包機を待機状態と成すよう構成されていると共に,
前記コントローラは,前記待機状態にあるときに,バンドリセット指令を受信すると前記バンドを所定の位置で切断するバンドリセット処理を行うよう構成されており,
前記コントローラは,該バンドリセット処理において,前記位置合わせ処理を前記ローラユニットに行わせると共に,前記シーリングユニットに,前記ローラユニットによる前記位置合わせ処理後の前記バンドを切断させるように構成されており,
該バンドリセット処理における前記位置合わせ処理を,前記目印検出手段が1つの前記目印を検出するまで前記ローラユニットに前記バンドの引き戻しを行わせることにより実行し,
前記バンドリセット処理の実行後,前記バンド供給処理以降の処理を前記ローラユニット及び前記シーリングユニットに行わせることを特徴とする請求項9記載の梱包機。
【請求項14】
前記シーリングユニットに前記バンドを検出するバンド検出機構を設け,
前記コントローラが,前記バンド検出機構からの検出信号を受信しており,かつ,前記バンドリセット指令を受信したことを条件として前記バンドリセット処理を実行することを特徴とする請求項12又は13記載の梱包機。
【請求項15】
前記目印検出手段が検出する前記目印が,前記バンドに設けたレジマークである請求項9~13いずれか1項記載の梱包機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
上記梱包方法には,前記バンド70の先端70aが前記ブロック71の開始端71aで始まっていないときに前記バンド70の先端70aと前記ブロック71の前記開始端71aを一致させるバンドリセット処理を含めることができ,
前記バンドリセット処理が,
前記位置合わせ処理と,
前記位置合わせ処理後に前記切断刃37を使用して行う前記バンド70の切断処理を含むものとすることができる(請求項3)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
上記構成の梱包機1において,
前記コントローラ50が,
前記バンドロール8より引き出したバンド70を,前記シーリングユニット30を通過するように送り出すバンド供給処理と,前記シーリングユニット30が前記バンド70の先端部を把持することにより形成された前記バンド70のループ内に被梱包物Wが配置された状態で前記バンド70を引き戻して前記バンド70を前記被梱包物Wの外周に巻き付けるバンド引締め処理を前記ローラユニット20に行わせると共に,
前記ローラユニット20による前記バンド引締め処理後,前記バンド70を溶着すると共に切断する溶着切断工程を前記シーリングユニット30に実行させるように構成されており,
前記コントローラ50が,
前記ローラユニット20によるバンド供給処理時,前記目印検出手段62の検出信号に基づいて前記検出位置95における前記目印74の検出数Nをカウントすると共に記憶し,
前記ローラユニット20による前記バンド引締め処理時,前記目印検出手段62の検出信号に基づいて前記検出位置95における前記目印74の検出数をカウントし,前記バンド供給処理時にカウントされた前記目印74の検出数Nに対し1つ少ない数(N-1)の目印74が検出されたとき,前記ローラユニット20による前記バンドの引き戻しを終了することにより,前記位置合わせ処理がされた状態で前記バンド引締め処理を終了させることを特徴とする(請求項9)。