(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044720
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】水中ナビゲーションシステム、水中移動体及びダイブコンピュータ
(51)【国際特許分類】
B63C 11/26 20060101AFI20240326BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20240326BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20240326BHJP
G01S 1/76 20060101ALI20240326BHJP
G01S 15/74 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B63C11/26
B63C11/48 D
B63C11/00 B
G01S1/76
G01S15/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150434
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】西谷 明彦
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA03
5J083AA05
5J083AB14
5J083AD01
5J083AD04
5J083AD06
5J083AD17
5J083AE03
5J083AG05
5J083CA10
(57)【要約】
【課題】水中の所定の探索対象物の場所に潜水士を案内することができる技術を提供する。
【解決手段】水中ナビゲーションシステムS100は、水中移動体10と、ダイブコンピュータ20と、測位手段30とを備え、水中移動体10は、水中の探索対象物Tを探索する探索部141と、探索部141が探索対象物Tを検出した場合に警報情報を生成する警報情報生成部142と、警報情報を送信する移動体送信部144と、を有し、測位手段30は、警報情報をダイブコンピュータ20が受信した場合、水中移動体10の位置とダイブコンピュータ20の位置との相対位置を示す相対位置情報を生成し、ダイブコンピュータ20は、警報情報及び相対位置情報を受信する端末受信部241と、警報情報に関連付いた相対位置情報が示す相対位置を表示デバイス22に表示させる表示処理部242と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中を移動する水中移動体と、前記水中移動体と通信可能なダイブコンピュータと、前記水中移動体と前記ダイブコンピュータとの相対位置を測位する測位手段と、を備え、
前記水中移動体は、
水中の探索対象物を探索する探索部と、
前記探索部が前記探索対象物を検出した場合に警報情報を生成する警報情報生成部と、
前記警報情報を送信する移動体送信部と、
を有し、
前記測位手段は、
前記警報情報を前記ダイブコンピュータ又は前記測位手段が受信した場合、前記水中移動体の位置と前記ダイブコンピュータの位置との相対位置を示す相対位置情報を生成し、
前記ダイブコンピュータは、
前記警報情報及び前記相対位置情報を受信する端末受信部と、
前記警報情報に関連付いた前記相対位置情報が示す前記相対位置を表示デバイスに表示させる表示処理部と、
を有する、水中ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記水中移動体は、
前記探索対象物を検出した後に前記探索対象物を追従するように前記水中移動体を動作させ、前記ダイブコンピュータからユーザが前記警報情報を確認したことを示す了解通知を受信した場合に、前記探索対象物への追従を終了し、他の前記探索対象物の検索を開始する移動体制御部をさらに有する、
請求項1に記載の水中ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記水中移動体は、
前記探索対象物を検出した後に前記探索対象物を追従するように前記水中移動体を動作させ、前記水中移動体から前記ダイブコンピュータまでの距離が所定の閾値以下となった場合に、前記探索対象物への追従を終了し、他の前記探索対象物の検索を開始させる移動体制御部をさらに有する、
請求項1に記載の水中ナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記移動体送信部は、前記探索対象物を検出した後に他の前記探索対象物を発見した場合に、前記他の探索対象物についての前記警報情報を送信し、
前記ダイブコンピュータは、前記他の探索対象物についての前記警報情報に応じて前記測位手段が生成した前記相対位置情報を前記他の探索対象物についての前記警報情報に関連付けて蓄積する、
請求項1又は2に記載の水中ナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記表示処理部は、
前記ダイブコンピュータが移動した経路を示す移動情報と、前記測位手段から受信していた前記相対位置情報とに基づいて、前記表示デバイスに表示する前記相対位置を更新する、
請求項1又は2に記載の水中ナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記表示処理部は、
水上設備が計測した前記ダイブコンピュータの緯度経度情報と、前記測位手段から受信していた前記相対位置情報とに基づき、前記表示デバイスに表示する前記相対位置を更新する、
請求項1又は2に記載の水中ナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記表示処理部は、
複数の前記水中移動体から受信した複数の前記警報情報に対応して、前記ダイブコンピュータと複数の前記水中移動体との複数の前記相対位置を表示させる、
請求項1又は2に記載の水中ナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記探索部は、移動する前記探索対象物の移動方向及び移動速度を特定し、
前記移動体送信部は、前記移動方向及び前記移動速度を前記ダイブコンピュータに送信する、
請求項1又は2に記載の水中ナビゲーションシステム。
【請求項9】
水中を移動する水中移動体であって、
水中の探索対象物を探索する探索部と、
前記探索対象物が検出された場合に警報情報を生成する警報情報生成部と、
前記探索対象物が検出された場合に前記水中移動体の位置とダイブコンピュータの位置との相対位置を示す相対位置情報を生成する測位手段と、
前記相対位置情報と前記警報情報とを関連付けて送信する移動体送信部と、
を備える、水中移動体。
【請求項10】
水中移動体と通信可能なダイブコンピュータであって、
水中移動体が探索対象物を検出したことを示す警報情報を受信する端末受信部と、
前記警報情報を受信した場合に、前記水中移動体の位置と前記ダイブコンピュータの位置との相対位置を示す相対位置情報を生成する測位手段と、
前記警報情報と、前記相対位置情報が示す前記相対位置とを表示デバイスに表示させる表示処理部と、
を備える、ダイブコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中ナビゲーションシステム、水中移動体及びダイブコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中で潜水士が散策している位置を表示デバイスを介して潜水士に知らせるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばダイビングにおいて、ゲストのタイバーらが所定の海中生物を見る場合、通常、ガイド役の潜水士がゲストのダイバーらに先行して目的の海中生物を見つけ、ゲストのダイバーらをその場所に案内する。また、例えば水中で建造物の損傷個所の修復作業をするような場合、まず潜水士が損傷している箇所を見つけ、その後、他の作業者らがその場所まで移動して作業を行う。
【0005】
このように、従来、水中でダイビングや修復作業をする場合、対象の場所を潜水士が探し、その後、他の者らがその場所に向かうということが行われる。特許文献1のシステムでは、潜水士が自身の位置を知ることはできるが、ダイビングや修復作業等において潜水士が探索対象物を探す負担は軽減されない。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、その目的は、水中の所定の探索対象物の場所に潜水士を案内することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水中ナビゲーションシステムは、水中を移動する水中移動体と、前記水中移動体と通信可能なダイブコンピュータと、前記水中移動体と前記ダイブコンピュータとの相対位置を測位する測位手段と、を備え、前記水中移動体は、水中の探索対象物を探索する探索部と、前記探索部が前記探索対象物を検出した場合に警報情報を生成する警報情報生成部と、前記警報情報を送信する移動体送信部と、を有し、前記測位手段は、前記警報情報を前記ダイブコンピュータ又は前記測位手段が受信した場合、前記水中移動体の位置と前記ダイブコンピュータの位置との相対位置を示す相対位置情報を生成し、前記ダイブコンピュータは、前記警報情報及び前記相対位置情報を受信する端末受信部と、前記警報情報に関連付いた前記相対位置情報が示す前記相対位置を表示デバイスに表示させる表示処理部と、を有する。
【0008】
前記水中移動体は、前記探索対象物を検出した後に前記探索対象物を追従するように前記水中移動体を動作させ、前記ダイブコンピュータからユーザが前記警報情報を確認したことを示す了解通知を受信した場合に、前記探索対象物への追従を終了し、他の前記探索対象物の検索を開始させる移動体制御部をさらに有してもよい。
【0009】
前記水中移動体は、前記探索対象物を検出した後に前記探索対象物を追従するように前記水中移動体を動作させ、前記水中移動体から前記ダイブコンピュータまでの距離が所定の閾値以下となった場合に、前記探索対象物への追従を終了し、他の前記探索対象物の検索を開始する移動体制御部をさらに有してもよい。
【0010】
前記移動体送信部は、前記探索対象物を検出した後に他の前記探索対象物を発見した場合に、前記他の探索対象物についての前記警報情報を送信し、前記ダイブコンピュータは、前記他の探索対象物についての前記警報情報に応じて前記測位手段が生成した前記相対位置情報を前記他の探索対象物についての前記警報情報に関連付けて蓄積してもよい。
【0011】
前記表示処理部は、前記ダイブコンピュータが移動した経路を示す移動情報と、前記測位手段から受信していた前記相対位置情報とに基づいて、前記表示デバイスに表示する前記相対位置を更新してもよい。
【0012】
前記表示処理部は、水上設備が計測した前記ダイブコンピュータの緯度経度情報と、前記測位手段から受信していた前記相対位置情報とに基づき、前記表示デバイスに表示する前記相対位置を更新してもよい。
【0013】
前記表示処理部は、複数の前記水中移動体から受信した複数の前記警報情報に対応して、前記ダイブコンピュータと複数の前記水中移動体との複数の前記相対位置を表示させてもよい。
【0014】
前記探索部は、移動する前記探索対象物の移動方向及び移動速度を特定し、前記移動体送信部は、前記移動方向及び前記移動速度を前記ダイブコンピュータに送信してもよい。
【0015】
本発明の水中移動体は、水中を移動する水中移動体であって、水中の探索対象物を探索する探索部と、前記探索対象物が検出された場合に警報情報を生成する警報情報生成部と、前記探索対象物が検出された場合に前記水中移動体の位置とダイブコンピュータの位置との相対位置を示す相対位置情報を生成する測位手段と、前記相対位置情報と前記警報情報とを関連付けて送信する移動体送信部と、を備える。
【0016】
本発明のダイブコンピュータは、水中移動体と通信可能なダイブコンピュータであって、水中移動体が探索対象物を検出したことを示す警報情報を受信する端末受信部と、前記警報情報を受信した場合に、前記水中移動体の位置と前記ダイブコンピュータの位置との相対位置を示す相対位置情報を生成する測位手段と、前記警報情報と、前記相対位置情報が示す前記相対位置とを表示デバイスに表示させる表示処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水中の所定の探索対象物の場所に潜水士を案内することができる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態の水中ナビゲーションシステムの一例を示す図である。
【
図2】水中ナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】探索対象物を検出した後の水中ナビゲーションシステムの基本的な動作のフローチャートである。
【
図4】探索対象物を検出した後の水中移動体の動作の一例のフローチャートである。
【
図5】本発明の一変形例に係る水中ナビゲーションシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の実施の形態の水中ナビゲーションシステムの一例を示す図である。
図2は、水中ナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【0020】
[水中ナビゲーションシステムS100の概要]
本実施形態の水中ナビゲーションシステムS100は、
図1及び
図2に示すように、水中移動体10と、ダイブコンピュータ20と、測位手段30とを備えている。以下では、測位手段30を構成する第1測位装置31及び第2測位装置32が、水中移動体10及びダイブコンピュータ20と別体である構成を例示するが、本発明においては、第1測位装置31がダイブコンピュータ20に組み込まれ、第2測位装置32が水中移動体10に組み込まれていてもよい。
【0021】
水中移動体10とダイブコンピュータ20とは、水中で相互に通信可能な態様で接続されている。測位手段30は、水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置を測位する。水中移動体10が探索する探索対象物Tは、どのようなものであってもよいが、以下では、探索対象物Tが海洋生物であることを例示する。海洋生物は、特定の対象に限定されないが、例えばオニヒトデのような駆除が必要な生物であってもよい。
【0022】
本実施形態の水中ナビゲーションシステムS100の特徴の1つは、水中移動体10が探索対象物Tを検出すると、ダイブコンピュータ20に通知が送られ、測位手段30が水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置を計測し、その相対位置がダイブコンピュータ20に表示される点にある。このような構成によれば、水中移動体10が予め探索対象物Tを検出し、水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置がダイブコンピュータ20に表示されるので、所定の探索対象物Tが存在する位置に潜水士を良好に案内することができる。相対位置は、例えばダイブコンピュータ20から見た水中移動体10の位置等であってもよい。以下、各部の構成について詳細に説明する。
【0023】
[水中移動体10]
水中移動体10は、例えば水中を潜行可能な水中ドローンである。水中移動体10は、
図2に示すように、カメラ11、通信部12、記憶部13、及び制御ユニット14を有し、検索対象として設定された探索対象物Tを探索する。水中移動体10は、例えば、水中ケーブル又は無線通信で水面の操作機器と通信可能であり、水上の操縦者が遠隔で操縦可能である。
【0024】
カメラ11は、所定の周期で撮影を行い、撮像画像を出力する。通信部12は、外部の機器との間の通信を行う通信インタフェースであり、既知の光無線通信又は音響通信等の水中通信モジュールで実現されている。水中移動体10は、水中において通信部12を介してダイブコンピュータ20と通信する。記憶部13は、水中移動体10を動作させるためのコンピュータプログラム、及び、このコンピュータプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納する。
【0025】
制御ユニット14は、水中移動体10のCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することによって、探索部141、警報情報生成部142、移動体制御部143、及び移動体送信部144として機能する。
【0026】
探索部141は、水中の探索対象物Tを探索する。具体的には、探索部141は、カメラ11が撮影した撮像画像を解析し、撮像画像の中に所定の探索対象物Tが写っているか否かを判定する。探索部141は、また、例えば撮像画像中に写っている探索対象物の種別を識別する。
【0027】
探索対象物Tが魚などの動く対象物の場合、探索部141は、移動する探索対象物Tの移動方向及び移動速度を特定してもよい。探索部141は、例えば、連続的に撮影された複数の撮像画像を解析し、探索対象物Tの移動方向及び移動速度を特定する。なお、探索部141は、例えば潮の流れによって移動する探索対象物Tの移動方向及び移動速度を特定してもよい。
【0028】
警報情報生成部142は、探索部141が探索対象物Tを検出した場合に、その検索対象物に関連付けて警報情報を生成する。警報情報は、例えば、探索対象物Tを検出したことを示す情報である。
【0029】
移動体制御部143は、水中移動体10の推進機構(不図示)を制御することで、水中移動体10を移動させる。移動体制御部143は、例えば、予め設定された移動ルートに従って水中移動体10が移動するように推進機構を制御する。水中移動体10が探索対象物Tを発見すると、移動体制御部143は、探索動作を終了し、その探索対象物Tを追従するように水中移動体10を動作させる。探索対象物Tが魚などの動く対象物であれば、水中移動体10は探索対象物Tを追って移動することとなる。一方、探索対象物Tが動かない又は実質的に動かない対象物であれば、水中移動体10はその場でホバリング(水中移動体10が水中で所定の位置に留まる動作)をすることとなる。
【0030】
(探索対象物Tの探索)
本実施形態の水中ナビゲーションシステムS100では、水中移動体10が探索対象物Tを検出すると、ダイブコンピュータ20に警報情報が通知され、測位手段30が測位した水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置がダイブコンピュータ20に表示される。潜水士は、ダイブコンピュータ20に表示された情報を見ながら、水中移動体10が検出した探索対象物Tに近づくことができる。このような構成において、潜水士が水中移動体10にある程度近づいたら、水中移動体10が次の探索対象物Tの探索を開始できる状態となることが一例として好ましい。
【0031】
そこで、移動体制御部143は、水中移動体10からダイブコンピュータ20までの距離が所定の閾値以下となった場合に、探索対象物Tへの追従を終了してもよい。移動体制御部143は、具体的には、測位手段30の測位結果に基づき、水中移動体10からダイブコンピュータ20までの距離が所定の閾値以下となったか否かを判定する。「所定の閾値」は、例えば潜水士が探索対象物Tを視認可能な距離に基づいて定められている。移動体制御部143は、例えば撮像画像に基づいて水の透明度を特定し、特定した透明度が低いほど閾値が小さくなるように閾値を決定してもよい。ここで、透明度を特定する処理は、移動体制御部143とは異なる別の機能部が実施してもよい。
【0032】
移動体制御部143は、追従の終了後、他の探索対象物Tの探索を開始する。このような構成によれば、水中移動体10が探索対象物Tを検出した後、潜水士が水中移動体10まで移動するのを待つことなく、水中移動体10は他の探索対象物Tの探索を開始できるので、効率的に探索対象物Tを探索できる。
【0033】
水中移動体10は、ユーザである潜水士が水中移動体10から送信された警報情報を確認した場合に、追従を終了し、他の探索対象物Tの探索を開始してもよい。これを実現するために、移動体制御部143は、ダイブコンピュータ20から潜水士が警報情報を確認したことを示す了解通知を受信した場合に、探索対象物Tへの追従を終了し、他の探索対象物Tの探索を開始してもよい。このような構成によれば、潜水士が水中移動体10に近づかなくても、水中移動体10は他の探索対象物Tの探索を開始できるので、効率的な探索が可能となる。
【0034】
さらに、水中移動体10の移動体送信部144は、水中移動体10からダイブコンピュータ20までの距離が所定の閾値以下となった場合に、ダイブコンピュータ20に通知を送り、ダイブコンピュータ20はこの通知を受信すると、追従を終了して次の探索対象物Tの探索を開始してよいかを否かの確認メッセージを表示デバイス22に表示させてもよい。そして、潜水士がダイブコンピュータ20に了解の旨の入力を行い、ダイブコンピュータ20は、水中移動体10に了解通知を送信する。
【0035】
水中移動体10は、この了解通知を受信するまでは次の探索対象物Tの探索は開始せず、了解通知を受信したことを条件に探索対象物Tの探索を開始してもよい。このような構成によれば、単に、ダイブコンピュータ20が水中移動体10に近づいたというだけでは次の探索対象物Tの探索は開始されないので、例えば、潜水士からの距離は近いが、潜水士から見えないような場所に水中移動体10が位置している場合に、潜水士が水中移動体10の場所を十分に確認する前に水中移動体10が移動してしまうことが防止される。
【0036】
水中移動体10側が測位手段の親機(詳細下記)であり、ダイブコンピュータ20側が子機(詳細下記)として機能する場合、水中移動体10側が測位情報を有することとなるため、このような方式が有効となる。もっとも、このような場合においても、親機側が有している測位情報を子機側に送信することで同様の処理が可能となる。
【0037】
水中移動体10側が測位手段の子機であり、ダイブコンピュータ20側が親機として機能する場合は、機器間の距離が閾値以下となったかどうかを例えばダイブコンピュータ20が判定し、ダイブコンピュータ20が、次の探索対象物Tの探索を開始してよいかを否かの確認メッセージを表示してもよい。潜水士により了解が入力されたら、ダイブコンピュータ20が水中移動体10に通知し、通知を受け取ったら水中移動体10が次の探索対象物Tの探索を開始してもよい。
【0038】
移動体送信部144は、警報情報生成部142によって生成された警報情報を外部の機器に送信する。移動体送信部144は、具体的には、水中移動体10を識別するための識別情報に関連付けて警報情報を送信する。上述したように、水中移動体10が複数の探索対象物Tを連続して探索する場合、移動体送信部144は、水中移動体10が探索対象物Tを検出する度に、検出した探索対象物Tについての警報情報を送信する。
【0039】
移動体送信部144は、カメラ11によって撮影された、探索対象物Tが写っている撮像画像を、警報情報に関連付けて送信してもよい。また、移動体送信部144は、探索部141が特定した探索対象物Tの移動方向及び移動速度を、例えば、ダイブコンピュータ20に送信してもよい。ダイブコンピュータ20はこれらの情報を受信し、表示デバイス22に表示する。探索対象物Tの種別にもよるが、このような構成によれば、ダイブコンピュータ20に表示された情報を基に、潜水士は、急いで探索対象物Tに近づいた方がよいか否かを判断できる。
【0040】
[ダイブコンピュータ20]
ダイブコンピュータ20は、潜水士が水中で使用する機器であり、通信部21、表示デバイス22、記憶部23、及び制御ユニット24を有している。また、ダイブコンピュータ20は、一例として、これら通信部21、表示デバイス22、記憶部23、及び制御ユニット24を収容するハウジング(不図示)を有している。潜水士によって所持されるか又は潜水士に装着される。ダイブコンピュータ20の形状は任意であり、例えば腕に装着される腕時計のような形態であってもよいし、タブレット端末のような形態であってもよい。
【0041】
通信部21は、外部の機器との間の通信を行う通信インタフェースであり、例えば水中移動体10の通信部12と同様、既知の光無線通信又は音響通信等の水中通信モジュールで実現されている。ダイブコンピュータ20は、通信部21を介して、水中移動体10と通信する。表示デバイス22は種々の情報を表示するディスプレイである。記憶部23は、ダイブコンピュータ20を動作させるためのコンピュータプログラム、及び、このコンピュータプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納する。
【0042】
制御ユニット24は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部23に記憶されたプログラムを実行することによって、端末受信部241、及び表示処理部242として機能する。
【0043】
端末受信部241は、外部の機器から送信された情報を受信する。端末受信部241は、具体的には、水中移動体10が送信した警報情報を受信する。端末受信部241は、また、測位手段30によって生成された、水中移動体10の位置とダイブコンピュータ20の位置との相対位置を示す相対位置情報を受信する。端末受信部241は、例えば、測位手段30から受信した相対位置情報を警報情報に関連付けて記憶部23に記憶させる。
【0044】
端末受信部241は、水中移動体10が連続して探索対象物Tの探索を行う場合、複数の探索対象物Tについての複数の警報情報を複数の相対位置情報に関連付けて記憶部23に記憶させる。すなわち、所定の探索対象物Tが検出された後に他の探索対象物Tが検出された場合、端末受信部241は、所定の探索対象物Tが検出された後、他の探索対象物Tについての警報情報も、その警報情報に応じて測位手段が生成した相対位置情報に関連付けて記憶部23に記憶させる。このようにして、記憶部23には、水中移動体10が検出した複数の探索対象物Tの情報が次々と蓄積されることとなる。
【0045】
表示処理部242は、表示デバイス22の動作を制御する。表示処理部242は、具体的には、水中移動体10から受信した警報情報に関連付いた相対位置情報が示す水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置を表示デバイス22に表示させる。表示処理部242は、例えば、ダイブコンピュータ20から水中移動体10までの距離、深度、及び方向を表示デバイス22に表示させる。表示処理部242は、例えば、上記相対位置とともに、警報情報として、探索対象物Tが検出されたことを表示デバイス22に表示させる。表示処理部242は、一例として、上記警報情報を確認したことを示す入力が潜水士から入力された場合に、通信部21を介して、水中移動体10へ了解通知を送信させる。なお、この入力は、例えばダイブコンピュータ20に備えられた不図示のボタンを介して入力されてもよい。
【0046】
[測位手段30]
測位手段30は、水中で水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置を測定する既知の測位デバイスである。測位手段30は、ダイブコンピュータ20が警報情報を受信した場合、水中移動体10の位置とダイブコンピュータ20の位置との相対位置を示す相対位置情報を生成する。具体的には、例えば、ダイブコンピュータ20が警報情報を受信したことを第1測位装置31に通知すると、測位手段30が測位を行う。
【0047】
測位手段30は、本実施形態では、ダイブコンピュータ20に設けられた第1測位装置31と、水中移動体10に設けられた第2測位装置32とを有し、第1測位装置31と第2測位装置32との相対位置(水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置に対応する)を計測する。限定されるものではないが、例えば、第1測位装置31が親機として機能し、第2測位装置32が子機として機能してもよい。第1測位装置31及び第2測位装置32は、いずれも、音を発生する手段と、音を受信する複数のマイクとを有している。測位手段30は、例えば既知の水中音響測位技術を利用する。水中音響測位技術としては、SSBL(Super Short Baseline、(USBL:Ultra Short Baselineともいう))方式等が挙げられる。こうした技術により、例えば、第1測位装置31に対する水中移動体10側の第2測位装置32の相対位置(方向、距離及び深度)をリアルタイムに計測することができる。
【0048】
具体的には、まず第1測位装置31が水中で音を発し、第2測位装置32がその音を受信すると、それに対する応答として第2測位装置32が音を発する。第1測位装置31は、複数のマイクで第2測位装置32からの音を受信し、音の発生源である第2測位装置32の方向及び第1測位装置31から第2測位装置32までの距離を計算する。このようにして第1測位装置31と第2測位装置32との相対位置が測位される。他の方式として、第2測位装置32が断続的に発している音を第1測位装置31が受信し、第1測位装置31が、第2測位装置32の方向及び第2測位装置32までの距離等を計算することも可能である。ここで、距離等とは、例えば、距離に加え深度をも含む。
【0049】
測位手段30は、水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置を示す相対位置情報を、ダイブコンピュータ20又は水中移動体10に送信する。測位手段30は、所定の時間間隔で連続的に相対位置を計測し、相対位置情報を連続的にダイブコンピュータ20又は水中移動体10に送信してもよい。
【0050】
本実施形態では、ダイブコンピュータ20の第1測位装置31が測位をする側で、水中移動体10の第2測位装置32が測位される側の構成を例示するが、本発明はこれに限定されない。第2測位装置32が、測位する側の装置として動作し、測位結果を、第1測位装置31に送信してもよい。また、水中移動体10が第2測位装置32から測位結果を取得して、通信部12を介して、測位結果をダイブコンピュータ20に送信してもよい。このような場合、第2測位装置32側から見た第1測位装置31の位置が、第1測位装置31側から見た第2測位装置32の位置(方位、距離及び深度)に換算されてもよい。この処理は、測位手段30が行ってもよいし、水中移動体10又はダイブコンピュータ20が行ってもよい。表示処理部242は、第1測位装置31側から見た第2測位装置32の位置である相対位置を表示デバイス22に表示させる。
【0051】
なお、第2測位装置32が水中移動体10の一部として設けられていてもよく、具体的には、例えば、第2測位装置32が、水中移動体10のハウジング(不図示)の内部に配置されていてもよい。このように測位手段である第2測位装置32が設けられた水中移動体10においては、移動体送信部144が、第2測位装置32が生成した相対位置情報と探索部141が生成した警報情報とを関連付けて、これらの情報をダイブコンピュータ20に送信してもよい。
【0052】
また、第1測位装置31がダイブコンピュータ20の一部として設けられていてもよく、具体的には、例えば、第1測位装置31が、ダイブコンピュータ20のハウジング(不図示)の内部に配置されていてもよい。
【0053】
[水中ナビゲーションシステムS100の動作例]
(探索対象物Tを検出した後の基本動作)
図3は、探索対象物Tを検出した後の水中ナビゲーションシステムS100の基本的な動作のフローチャートである。
【0054】
まず、ステップS1において、
図1に示すように水中移動体10が探索対象物Tを探索し、水中の撮像画像に基づき探索対象物Tを検出する。
【0055】
次いで、ステップS2において、水中移動体10の警報情報生成部142が、探索対象物Tを検出ししたことを示す警報情報を生成し、移動体送信部144がその警報情報をダイブコンピュータ20に送信する。
【0056】
次いで、ステップS3において、ダイブコンピュータ20が水中移動体10からの警報情報を受信すると、測位手段30が水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置を計測する。具体的には、一例として、第1測位装置31が発した音に対する応答して第2測位装置32が発した音を第1測位装置31が受信し、第1測位装置31と第2測位装置32との相対位置を計測する。第1測位装置31は、計測した相対位置を示す相対位置情報を生成しダイブコンピュータ20に送信する。
【0057】
次いで、ステップS4において、相対位置情報を受信したダイブコンピュータ20の端末受信部241は、警報情報に関連付けて相対位置情報を記憶部23に記憶させる。また、表示処理部242は、上記相対位置情報が示す相対位置をダイブコンピュータ20の表示デバイス22に表示させる。これにより、表示デバイス22には、例えばダイブコンピュータ20から水中移動体10までの距離、深度、及び方向が表示され、潜水士は、この情報を見て、水中移動体10が検出した探索対象物Tに向かって移動可能となる。
【0058】
(探索対象物Tの追従に関する動作例)
図4は、探索対象物Tを検出した後の水中移動体10の動作の一例のフローチャートである。水中ナビゲーションシステムS100は、水中移動体10を
図4のフローチャートのように動作させてもよい。
【0059】
まず、ステップS11において、水中移動体10が探索対象物Tを検出し、警報情報をダイブコンピュータ20に送信する。水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置は測位手段30によって上記と同様の手法によって計測され、警報情報は、水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置とともにダイブコンピュータ20の表示デバイス22に表示される。
【0060】
探索対象物Tを検出すると、水中移動体10は、ステップS12において、水中での探索対象物Tの探索を停止し、検出した探索対象物Tを追従する。
【0061】
次いで、ステップS13において、水中移動体10の移動体制御部143は、ダイブコンピュータ20から送信された了解通知を受信したかを判定し、了解通知を受信した場合(S13においてYes)、ステップS14において、水中移動体10は追従を終了し、他の探索対象物Tの探索を開始する。ステップS13においてNoの場合、このステップが繰り返される。
【0062】
このように、了解通知を受信すると水中移動体10が他の探索対象物Tの探索を開始する構成によれば、水中移動体10が所定の探索対象物Tを検出した後、潜水士がこの探索対象物Tの場所まで移動するのを待つことなく、次の探索対象物Tを探索できるので、効率的な探索が可能となる。
【0063】
(水中ナビゲーションシステムS100の効果)
以上説明したように、本実施形態の水中ナビゲーションシステムS100によれば、水中において水中移動体10が探索対象物Tを検出すると、測位手段30によって水中移動体10とダイブコンピュータ20とのとの相対位置が計測され、ダイブコンピュータ20にその相対位置が表示されるので、所定の探索対象物Tが存在する位置に潜水士を良好に案内することができる。
【0064】
また、ダイブコンピュータ20に表示された警報情報を確認したことを示す潜水士からの了解通知を受信した場合に、水中移動体10が探索対象物Tへの追従を終了し、他の探索対象物Tの探索を開始する構成によれば、効率的に探索対象物Tを探索できる。
【0065】
また、水中移動体10からダイブコンピュータ20までの距離が所定の閾値以下となった場合に、水中移動体10が探索対象物Tへの追従を終了し、他の探索対象物Tの探索を開始する構成によっても、効率的に探索対象物Tを探索できる。
【0066】
<変形例1>
上述したように、本実施形態の水中ナビゲーションシステムS100では、水中移動体10が探索対象物Tを検知すると、警報情報が水中移動体10に通知され、測位手段30が水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置を測位し、測位された相対位置がダイブコンピュータ20に表示される。ところで、潜水士が水中移動体10に向かって移動している途中で、水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置が更新され、更新された情報がダイブコンピュータ20に表示されると潜水士にとって利便性がよい。
【0067】
そこで、ダイブコンピュータ20の表示処理部242は、ダイブコンピュータ20が移動した経路を示す移動情報と、測位手段30から受信していた相対位置情報とに基づいて、表示デバイス22に表示する相対位置を更新してもよい。具体的には、当初の相対位置を特定した時点のダイブコンピュータ20の位置から、ダイブコンピュータ20の移動情報が示す移動方向に、当該移動情報が示す移動量だけ移動させた位置を特定し、特定した位置と水中移動体10との相対位置を算出することにより更新してもよい。
【0068】
水中移動体10が複数の探索対象物Tを検出し、ダイブコンピュータ20に複数の相対位置情報が蓄積されている場合、表示処理部242は、これら複数の相対位置情報の相対位置を上記のように更新してもよい。なお、表示処理部242は、複数の探索対象物Tのうち、潜水士が移動している方向にある探索対象物T(一例として、特定された1つの探索対象物T)に対応する相対位置情報を更新して表示し、その他の探索対象物Tに対応する相対位置情報は更新しないようにしてもよく、表示しないようにしてもよい。このように表示処理部242が動作することで、潜水士にとって不要な情報が表示されないので、潜水士が向かっている探索対象物Tとの相対位置を把握しやすくなるとともに、処理の負荷が軽減する。
【0069】
ダイブコンピュータ20が移動した経路を検出するデバイスとしては、既知の任意のデバイスを利用可能であるが、例えば、移動する物体の加速度を連続的に測定して所定の基準地点からの移動経路を求める慣性航法装置であってもよく、この慣性航法装置は、ダイブコンピュータ20の一部品としてハウジング内に設けられていてもよい。
【0070】
<変形例2>
図5は、本発明の一変形例に係る水中ナビゲーションシステムを示す図である。
図5の水中ナビゲーションシステムS100Aは、
図2の構成に加えてさらに水上設備40を備えている。その他の構成要素は上述した実施形態と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0071】
水上設備40は、水上に位置する設備である。水上設備40は、所定の設置場所に固定されている必要はなく、例えば、水上に浮かぶ機器であってもよい。具体的には、水上設備40は、船上に配置された機器であってもよい。
【0072】
水上設備40は、水中移動体10及びダイブコンピュータ20と通信可能に構成されている。水上設備40は、水中移動体10及びダイブコンピュータ20の少なくともいずれかの緯度及び経度を計測し、緯度経度情報を生成する。水上設備40は、生成した緯度経度情報をダイブコンピュータ20に送信する。
【0073】
図5のように水上設備40が設けられている場合、例えば、水上設備40がダイブコンピュータ20の緯度経度情報を生成し、生成した緯度経度情報と、測位手段30が生成した、水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置情報とに基づき、表示デバイス22に表示する相対位置が更新されてもよい。具体的な一例として、ダイブコンピュータ20が水上設備40から緯度経度情報を取得し、表示処理部242が、その緯度経度情報と、水中移動体10から受信された相対位置情報とに基づき、相対位置を更新してもよい。表示処理部242は、更新された相対位置を表示デバイス22に表示させる。このような相対位置の更新及び表示デバイス22への表示は、所定の時間間隔で連続的に行われてもよい。
【0074】
このような構成によれば、ダイブコンピュータ20に慣性航法装置が備えられていない場合であっても、水上設備40が生成した緯度経度情報を利用して、水中移動体10とダイブコンピュータ20との相対位置を更新できる。
【0075】
なお、上記の例では、水上設備40として船上の機器を例示したが、水上設備40は、水空合体ドローンの一部を構成する水上ドローンであってもよい。この場合、水上ドローンである水上設備40が水上に浮いている状態で、水中ドローンである水中移動体10が水上ドローンから分離して水中を潜航する。両ドローンは例えば水中ケーブルで互いに接続される。
【0076】
図5の構成において、水中移動体10は、探索対象物Tを検出した場合に警報情報を水上設備40に送信してもよい。水上設備40は、水中移動体10を識別する識別情報に関連付けて警報情報を受信し、それらの情報を外部のサーバ等に送信してもよい。
【0077】
図5のように水上設備40が存在する場合、一例として、水上設備40が、測位機能(測位する側の親機としての機能)を備えており、水上設備40がダイブコンピュータ20と水中移動体10の位置を計測し、その情報をダイブコンピュータ20及び水中移動体10に伝えてもよい。すなわち、このように本発明においては、水中移動体10やダイブコンピュータ20ではない他の機器に測位機能が備わっており、その機器が測位した結果が利用されてもよく、このような構成であっても、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0078】
<変形例3>
上述した実施形態では、水中ナビゲーションシステムS100が1つの水中移動体10を含む構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。水中ナビゲーションシステムは、ダイブコンピュータ20と通信可能な複数の水中移動体10を含んでいてもよい。この場合、例えば、ダイブコンピュータ20の端末受信部241は、複数の水中移動体10のそれぞれから、各水中移動体10の識別情報に関連付けて複数の警報情報を受信する。そして、表示処理部242は、各警報情報に対応して、ダイブコンピュータ20と複数の水中移動体10との複数の相対位置を表示デバイス22に表示させてもよい。このような構成によれば、例えば、複数の水中移動体10が別々の場所で探索対象物Tを検出した場合、探索対象物Tを検出したそれぞれの水中移動体10の位置が表示デバイス22に表示される。したがって、潜水士は、一例として、検出された複数の探索対象物Tのうち、現在位置から近い順に、目的の探索対象物Tに向かって移動することができる。
【0079】
上述した実施形態では、水中移動体10の探索部141が探索対象物を検出したが、探索部141に相当する機能部が、水中移動体10とは異なる他の機器に備えられていてもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、ダイブコンピュータ20が警報通知を受領したことをトリガとして測位手段30が測位を行うことを例示したが、測位手段30自体が警報通知を受信したことをトリガとして測位手段30が測位を行ってもよい。
【0081】
また、水中移動体10及び潜水士が海洋生物を探索することを例示したが、本発明の水中ナビゲーションシステムはこれに限らず種々の探索対象物に適用可能である。例えば、水中での観光案内や建造物の破損箇所の点検、及び、遺失物の捜索や回収作業などにおいても、本発明は適用可能である。
【0082】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0084】
本出願は、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものも開示する。
【符号の説明】
【0085】
10 水中移動体
11 カメラ
12 通信部
13 記憶部
20 ダイブコンピュータ
21 通信部
22 表示デバイス
23 記憶部
30 測位手段
31 第1測位装置
32 第2測位装置
40 水上設備
141 探索部
142 警報情報生成部
143 移動体制御部
144 移動体送信部
241 端末受信部
242 表示処理部
S100 水中ナビゲーションシステム
S100A 水中ナビゲーションシステム
T 探索対象物