(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044728
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】鉄源の製造方法
(51)【国際特許分類】
C21B 13/00 20060101AFI20240326BHJP
C22B 1/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C21B13/00
C22B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150442
(22)【出願日】2022-09-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2019年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構戦略的省エネルギー技術革新プログラムテーマ設定型事業者連携スキーム、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100136777
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 純子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】足立 毅郎
(72)【発明者】
【氏名】對馬 卓
【テーマコード(参考)】
4K001
4K012
【Fターム(参考)】
4K001AA10
4K001BA02
4K001CA01
4K001CA04
4K001CA15
4K001DA10
4K001GA07
4K001HA09
4K001KA01
4K001KA02
4K001KA06
4K012DA05
(57)【要約】
【課題】鉄鉱石中に存在するリンが鉄と結合している場合であっても、リンを十分に除去できる、鉄源の製造方法を提供する。
【解決手段】リンを0.05質量%以上含有する鉄鉱石を含む、焙焼用組成物であって、前記焙焼用組成物に含まれる元素を酸化物換算したときの、Al
2O
3とSiO
2の合計量が5.0質量%以上である焙焼用組成物を、準備する準備工程と、前記焙焼用組成物を焙焼して焙焼物を得る焙焼工程と、前記焙焼物を、COガスと水素ガスの少なくとも1つを含む雰囲気で還元して、還元鉄相とスラグ相を含む還元物を得る還元工程と、前記還元物を粉砕して、還元物を構成するスラグ相の少なくとも一部が分離した還元鉄相含有物を含む、粉砕物を得る粉砕工程と、前記粉砕物から前記還元鉄相含有物を選別回収する選別回収工程とを含む、鉄源の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンを0.05質量%以上含有する鉄鉱石を含む、焙焼用組成物であって、
前記焙焼用組成物に含まれる元素を酸化物換算したときの、Al2O3とSiO2の合計量が5.0質量%以上である焙焼用組成物を、準備する準備工程と、
前記焙焼用組成物を焙焼して焙焼物を得る焙焼工程と、
前記焙焼物を、COガスと水素ガスの少なくとも1つを含む雰囲気で還元して、還元鉄相とスラグ相を含む還元物を得る還元工程と、
前記還元物を粉砕して、還元物を構成するスラグ相の少なくとも一部が分離した還元鉄相含有物を含む、粉砕物を得る粉砕工程と、
前記粉砕物から前記還元鉄相含有物を選別回収する選別回収工程と
を含む、鉄源の製造方法。
【請求項2】
前記焙焼用組成物は、前記鉄鉱石からなる、請求項1に記載の鉄源の製造方法。
【請求項3】
前記焙焼用組成物は、前記鉄鉱石とフラックスを含む、請求項1に記載の鉄源の製造方法。
【請求項4】
前記フラックスは、Al2O3とSiO2のうちの1以上を含む、請求項3に記載の鉄源の製造方法。
【請求項5】
前記選別回収工程で、選別回収する方法として磁力選別を行う、請求項1~4のいずれかに記載の鉄源の製造方法。
【請求項6】
前記焙焼用組成物の塩基度CaO/SiO2は1.0未満である、請求項1~4のいずれかに記載の鉄源の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は鉄源の製造方法に関する。特には、原料の鉄鉱石よりもリン量の抑えられた鉄源の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、良質鉄源の枯渇に伴い、鉄鋼製品の原料として、脈石等の不純物の少ない鉄鉱石を入手することは困難となりつつあり、鉄鉱石の不純物は今後上昇することが見込まれる。脈石を多く含む低品位の鉄鉱石を、直接製鉄法に供するための高品位の鉄鉱石に改質するための事前処理方法として、例えば特許文献1には、還元炉内に投入される鉄鉱石を、炭化水素を含む燃料から発生する還元ガスで還元し銑鉄製造工程を経ずに直接に製鉄原料を得る直接製鉄法において、前記還元炉から排出される高温の炉ガスを還元焙焼炉に導入しこの炉ガス内に残存する還元成分で貯鉱場から供給されるヘマタイト鉱石を還元焙焼してマグネタイト鉱石にする工程と、このマグネタイト鉱石を磁力選別に適する粒径にまで粉砕し磁力選別機で磁力選別する工程と、磁力選別で得られたマグネタイト精鉱を塊状化して焼成しペレットにしてから前記還元炉に供給する工程とから成る方法が記載されている。
【0003】
鉄鉱石の品位を低下させる成分として特にリンが挙げられる。既存の高炉-転炉法では、鉄鉱石中のリンは高炉でほぼ全量が溶銑に移行し、その後の溶銑予備処理工程と転炉工程での除去が一般的である。しかし原料である鉄鉱石中のリン量が増加すると、これらの工程でのリン除去のコストが増加し、生産性が低下する。よって、製鉄に供する鉄鉱石のリン除去技術の開発が望まれている。
【0004】
例えば特許文献2には、湿式処理により鉄鉱石のリンを除去する方法が示されている。詳細には、燐分の高い鉄鉱石を0.5mm以下に粉砕しこれに水を加えてパルプ濃度35%前後とし、溶剤にH2SO4又はHCIを添加しpH2.0以下で反応させ含有している燐鉱物(主として燐灰石)を分解溶出させ、次いで磁力選別により磁鉄鉱等の磁着物を採取し非磁着物たるSiO2、又はAl2O3等をスライムとして沈降分離すると共に液中に溶出したPは消石灰又は生石灰を添加しpH5.0~10.0の範囲中で中和し燐酸カルシウムとして分離回収することを特徴とするP含有鉄鉱石の処理方法が記載されている。しかし特許文献2による方法では、湿式処理であるが故に、生産性を確保することが難しいという問題がある。
【0005】
一方、乾式プロセスにより、鉄鉱石中のリンを除去する方法も提案されている。例えば、非特許文献1には、鉄鉱石中のPをダイカルシウムシリケート(C2S)相に濃化することで、分離するプロセスが提案されている。詳細には、鉄鉱石の塩基度および炭材の配合比を調整、特に前記塩基度について、粉鉱石に含まれるSiO2を基準に、塩基度(C/S)が2.0になる量のCaOを添加し、高温で加熱することで、溶融スラグ中にダイカルシウムシリケート相(2CaO-SiO2,C2S)が固相として共存し,リン酸カルシウム相(3CaO-P2O5,C3P)との固溶体(C2S-C3P固溶体)としてPが濃化することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭53-103915号公報
【特許文献2】特開昭60-261501号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】丸岡 伸洋ら,「部分還元処理による鉄鉱石中りんのダイカルシウムシリケート相への濃化」,鉄と鋼,Vol.107(2021),No.6,pp.527-533
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の方法ではリンが鉄以外の元素等と結びついている場合は有効であるが、リンが鉄と結びついている場合は除去し得ないという問題がある。また非特許文献1の方法では、炭材の使用等により酸素分圧の調整が困難となり、それ故に鉄相にリンが混入しやすく、リンの除去が困難となりうること、また炭材の使用に起因して、硫黄分の混入、温室効果ガスの排出といった問題が挙げられる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、鉄鉱石中に存在するリンが鉄と結合している場合であっても、リンを十分に除去できる、製鉄等に供する鉄源の製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様1は、
リンを0.05質量%以上含有する鉄鉱石を含む、焙焼用組成物であって、
前記焙焼用組成物に含まれる元素を酸化物換算したときの、Al2O3とSiO2の合計量が5.0質量%以上である焙焼用組成物を、準備する準備工程と、
前記焙焼用組成物を焙焼して焙焼物を得る焙焼工程と、
前記焙焼物を、COガスと水素ガスの少なくとも1つを含む雰囲気で還元して、還元鉄相とスラグ相を含む還元物を得る還元工程と、
前記還元物を粉砕して、還元物を構成するスラグ相の少なくとも一部が分離した還元鉄相含有物を含む、粉砕物を得る粉砕工程と、
前記粉砕物から前記還元鉄相含有物を選別回収する選別回収工程と
を含む、鉄源の製造方法である。
【0011】
本発明の態様2は、
前記焙焼用組成物は、前記鉄鉱石からなる、態様1に記載の鉄源の製造方法である。
【0012】
本発明の態様3は、
前記焙焼用組成物は、前記鉄鉱石とフラックスを含む、態様1に記載の鉄源の製造方法である。
【0013】
本発明の態様4は、
前記フラックスは、Al2O3とSiO2のうちの1以上を含む、態様3に記載の鉄源の製造方法である。
【0014】
本発明の態様5は、
前記選別回収工程で、選別回収する方法として磁力選別を行う、態様1~4のいずれかに記載の鉄源の製造方法である。
【0015】
本発明の態様6は、
前記焙焼用組成物の塩基度CaO/SiO2は1.0未満である、態様1~5のいずれかに記載の鉄源の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、鉄鉱石中に存在するリンが鉄と結合している場合であっても、リンを十分に除去できる、製鉄等に供する鉄源の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る製造方法の各工程を模式的に示したイメージ図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る製造方法の別の各工程を模式的に示したイメージ図である。
【
図3】
図3は、実施例における、種々の焙焼用組成物のリン除去率を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施例における、種々の焙焼用組成物のリン除去率を示す別のグラフである。
【
図5】
図5は、実施例の粉砕前のサンプルの走査型電子顕微鏡像である。
【
図6】
図6は、前記
図5の符号1、2の分析点のEDX分析値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態に係る鉄源の製造方法は、
リンを0.05質量%以上含有する鉄鉱石を含む、焙焼用組成物であって、
前記焙焼用組成物に含まれる元素を酸化物換算したときの、Al2O3とSiO2の合計量が5.0質量%以上である焙焼用組成物を、準備する準備工程と、
前記焙焼用組成物を焙焼して焙焼物を得る焙焼工程と、
前記焙焼物を、COガスと水素ガスの少なくとも1つを含む雰囲気で還元して、還元鉄相とスラグ相を含む還元物を得る還元工程と、
前記還元物を粉砕して、還元物を構成するスラグ相の少なくとも一部が分離した還元鉄相含有物を含む、粉砕物を得る粉砕工程と、
前記粉砕物から前記還元鉄相含有物を選別回収する選別回収工程とを含む。
【0019】
本実施形態の製造方法によれば、リン量が一定以上の鉄鉱石を含み、かつ、アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)を合計で一定以上含む、焙焼用組成物を、焙焼する焙焼工程と、前記焙焼により得られた焙焼物を、COガスと水素ガスの少なくとも1つを含む雰囲気で還元する還元工程とを分けている。その結果、鉄鉱石中の鉄と結びついたリンを、前記組成物の焙焼(酸化焙焼)により形成されたスラグ相(鉄以外の成分、不純物相)側に移行させてスラグ成分と結合させ、かつ上記還元工程を経ることで、リンをスラグ成分に固定したまま酸化鉄の還元が行われ、リンと鉄相との化学的な分離を実現でき、その後の粉砕と選別回収により、鉄源として還元鉄相含有物が得られることを見出した。本実施形態では、後述する実施例でのEDX分析結果の通り、リンとスラグ成分が結合し、リン酸化物とアルミナとシリカの複合酸化物としてリンが捕捉されることで、鉄鉱石中のリンを十分に除去できると考えられる。
【0020】
前記鉄鉱石とともに、アルミナ(Al
2O
3)とシリカ(SiO
2)を合計で一定以上含む、焙焼用組成物の態様として、前記鉄鉱石からなる場合と、前記鉄鉱石とフラックスを含む場合とが挙げられる。前記鉄鉱石からなる場合、鉄鉱石自体にアルミナ(Al
2O
3)とシリカ(SiO
2)が合計で一定以上含まれる。
図1は、焙焼用組成物が前記鉄鉱石からなる場合の、本実施形態に係る製造方法の各工程を模式的に示したイメージ図である。一方、
図2は、焙焼用組成物が鉄鉱石とフラックスを含む場合の、本実施形態に係る製造方法の各工程を模式的に示したイメージ図である。以下の各工程の説明では、
図1と
図2に基づいて説明する場合があるが、
図1と
図2は、あくまでもイメージ図であって本実施形態を限定するものではない。例えば、焙焼によりリンがスラグ相側に完全に移行しない場合や、粉砕により、スラグ相と還元鉄相とが完全に分離せず、還元鉄相にスラグ相の一部が結合したままの場合がありうるが、この様な態様は当然に許容され、本実施形態に係る製造方法はこれらの態様についても含みうる。
【0021】
[準備工程]
リンを0.05質量%以上含有する鉄鉱石を含む焙焼用組成物であって、焙焼用組成物に含まれる元素を酸化物換算したときの、Al2O3とSiO2の合計量が5.0質量%以上である焙焼用組成物を準備する。前記Al2O3とSiO2の合計量は、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、前記Al2O3とSiO2の合計量の上限は、おおよそ40質量%、好ましくは30質量%、より好ましくは20質量%である。
【0022】
なお、Al2O3とSiO2の合計量が上記範囲であればよく、Al2O3とSiO2の個々の含有量は特に限定されない。焙焼用組成物のAl2O3量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは2.0質量%以上、最も好ましくは3.0質量%以上でありうる。なお前記Al2O3量は、生産性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下でありうる。
【0023】
また、焙焼用組成物のSiO2量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、より更に好ましくは2.5質量%以上、最も好ましくは5.0質量%以上でありうる。生産性の観点から、SiO2量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下とすることができる。
【0024】
Al2O3、SiO2といった酸化物は、鉄鉱石を採掘する際に不純物として同時に産出されるが、用途が無く産業廃棄物として扱われる。すなわち、これらAl2O3、SiO2といった酸化物は、鉄鉱石の採掘に加えて更に追加のコストやエネルギーを必要とせず、かつ大量に発生するため、例えば、採掘所付近で、本実施形態に係る鉄源を製造する場合、輸送工程も省略できる。また、上記Al2O3等の酸化物は、昇温時に熱分解によるCO2発生を伴わない。よって、上記Al2O3等を用いて鉄鉱石中のリンを除去することができれば、後述する石灰石を利用した鉄鉱石中のリン除去と比較して、コストと環境負荷のいずれの面でも優位である。
【0025】
焙焼用組成物には、リンを0.05質量%以上含有する鉄鉱石が含まれる。本実施形態によれば、鉄鉱石中のリン量が更には0.10質量%以上、より更には0.15質量%以上と多い場合であってもリンを十分低減できる。前記鉄鉱石は、焙焼前またはフラックスと混合前に、粉砕、分級する等して、サイズの均一化を図ってもよい。前記鉄鉱石は、上記量のリンと共に、上述した量のアルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)の1以上を含みうる。なお、本明細書において「鉄鉱石」とは、Fe2O3、Fe3O4などのFeの酸化物とともに、SiO2などの不純物が含まれるものをいう。一方、本明細書における「酸化鉄」は、Fe2O3、Fe3O4などのFeの酸化物相のみをいう。
【0026】
鉄鉱石自体にアルミナ(Al
2O
3)とシリカ(SiO
2)が一定以上含まれる場合、
図1のAに示す通り、焙焼用組成物として鉄鉱石11のみを焙焼に供することができる。リン成分と結びつきやすい添加物として知られるCaO系の酸化物を、フラックスとして添加しなくとも、鉄鉱石中の酸化鉄含有相12A以外に、鉄以外の元素であるケイ素やアルミニウムの酸化物を主成分とする不純物相12Bが鉄鉱石に存在することで、CaO系の酸化物をフラックスとして添加した場合と同等またはそれ以上のりん除去効果を得ることができる。これは、生成するAl
2O
3-SiO
2-P
2O
5系のスラグが、CaO系の酸化物をフラックスに用いた場合に形成される2CaO・SiO
2-3CaO・P
2O
5固溶体と同様に、りんを固定化する効果を有するためと考えられる。
【0027】
または、焙焼用組成物は、
図2のAに示す通り、鉄鉱石21とフラックス22を含むものであってもよい。焙焼用組成物が鉄鉱石21とフラックス22を含む場合、たとえば上記規定するAl
2O
3量は、鉄鉱石に含まれるAl
2O
3量とフラックスに含まれるAl
2O
3量の合計量である。前記フラックスとして、好ましくはアルミナ(Al
2O
3)とシリカ(SiO
2)の1以上を含み、より好ましくはCa化合物の含有が抑制されたフラックスを使用することができる。すなわち、リン成分と結びつきやすい添加物として知られるCaO系の酸化物をフラックスに用いず、ケイ素やアルミニウムを含む酸化物をフラックスに用いることによっても、CaO系の酸化物をフラックスに用いた場合と同等またはそれ以上のりん除去効果を得ることができる。これは前述の通り、生成するAl
2O
3-SiO
2-P
2O
5系のスラグが、りんを固定化する効果を有するためと考えられる。後述する実施例に示す通り、ケイ素やアルミニウムを含む酸化物をフラックスに用いることにより、リン除去率をより高めることができる。よってリン除去率を高める観点から、フラックスを用いる場合、該フラックスは、アルミナ(Al
2O
3)とシリカ(SiO
2)の1以上を含むことが好ましく、より好ましくはアルミナ(Al
2O
3)およびシリカ(SiO
2)の両方を含むことである。
【0028】
本実施形態によれば、従来用いていたCaOの添加を抑制することができる。一般にCaO源として石灰石(主成分:CaCO3)は安価であるが、生産コストをより抑制するため、上記石灰石を使用しないことが考えられる。また、石灰石の採掘/輸送や昇温にかかるエネルギー、および石灰石の熱分解(CaCO3→CaO+CO2)はいずれもCO2排出量の増加につながるため、「CaO成分の添加」を含まないりん除去技術を実現できれば、より安価かつCO2排出量を削減でき環境負荷の低いプロセスを達成することができる。更に、CaOを必須とすることなく鉄鉱石の脱リンを実現できれば、プロセスの選択肢を拡げることができる。その観点から、前記フラックスはCaO、CaCO3およびCa(OH)2よりなる群から選択される1以上が添加されていないか、含有量が極力抑制されていることが好ましい。例えばフラックスは、上記Ca化合物をCaO換算したときに、塩基度CaO/SiO2が1.0未満であることが好ましい。フラックスのサイズは、一般的に工業で使用されるサイズであればよい。
【0029】
本実施形態における焙焼用組成物は、鉄鉱石中に含まれる不純物またはフラックスとして、上述したAl2O3、SiO2、CaO以外の、酸化物、炭酸塩、水酸化物、水和物、フッ化物、塩化物などの化合物を含む場合がある。しかし該化合物の含有量も、上記CaOと同様に極力抑えられていることが好ましい。特に炭酸塩は、上記CaCO3と同様に加熱時に分解してCO2を発生すると考えられるため好ましくない。また、上記CaOの製造と同様に、採掘/輸送などのフラックスの準備に要するコストを抑制する観点からも、上記化合物は、上記CaOと同様に極力抑えられていることが好ましい。焙焼用組成物に含まれる、上記化合物と、CaO、CaCO3およびCa(OH)2といったCa化合物との合計含有量は、1質量%未満であることが好ましい。
【0030】
鉄鉱石と共にフラックスを用いる場合、鉄鉱石とフラックスは、工業的に用いられている方法で混合することができる。必要に応じて、上記鉄鉱石とフラックスに更に例えば水等の媒体を加え、造粒物を形成してもよい。
【0031】
[焙焼工程]
焙焼工程では、前記焙焼用組成物を焙焼して、
図1のBまたは
図2のBに示す焙焼物を得る。
図1のAからBへの矢印aで表される焙焼工程で、鉄分と結びついたリンを含む鉄鉱石11を単独で焙焼(酸化焙焼)することによって、鉄鉱石中に一般に数%程度含まれる、例えばSiO
2、Al
2O
3といった不純物が溶融し、
図1のBに示される通り、焙焼スラグ相(鉄分以外の成分を主成分とする不純物相)14として例えばAl
2O
3-SiO
2-P
2O
5系のスラグ相と、酸化鉄含有相13に分離することが考えられる。すなわち、リン成分と結びつきやすい添加物として知られるCaO系の酸化物を、フラックスとして添加しなくても、上記の通り焙焼スラグ相14と、酸化鉄含有相13に分離でき、結果として鉄鉱石からりん成分を除去できる。
【0032】
または、
図2のAからBへの矢印aで表される焙焼工程で、鉄分と結びついたリンを含む鉄鉱石21をフラックス22とともに焙焼(酸化焙焼)することによって、
図2のBに示される通り、リンの移行25、詳細には鉄鉱石21中のリンが、フラックスの焙焼により形成された焙焼スラグ相24へ移行し、焙焼スラグ相24と結合すると考えられる。焙焼スラグ相14、24として、Al
2O
3-SiO
2-P
2O
5系のスラグ相が形成されうると考えられる。よって、リン成分と結びつきやすい添加物として知られるCaO系の酸化物を、フラックスとして添加せずとも、リンを十分に除去することができる。
【0033】
図1または
図2に示したような作用効果を発揮させるには、焙焼の温度を、前記焙焼用組成物の少なくとも一部が溶融しうる1150℃以上とすることが好ましい。前記温度は更には1200℃以上であってもよい。焙焼の温度の上限は、リンを鉄鉱石からスラグ相側に移行させる観点からは特に限定されない。例えば設備の劣化抑制等の観点から、温度の上限を1500℃程度としてもよい。なお、上記焙焼の温度は、焙焼用組成物の充填域における温度をいい、該温度として、後述する実施例では使用する炉の雰囲気温度で制御した。
【0034】
本実施形態における焙焼の雰囲気とは、焙焼による酸化鉄の還元率(以下「鉄の還元率」という)が10%以下となるような雰囲気をいう。本実施形態では、焙焼の段階では酸化鉄の還元を抑制し、焙焼工程と還元工程を分けて、還元工程で酸化鉄の還元を行うことによって、鉄鉱石に含まれるかまたは鉄鉱石に由来の鉄相(以下、単に「鉄相」という)とリンを分離しかつ鉄相へのリンの混入を防止できる。上記還元率は、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下であり、0%であってもよい。上記還元率を達成するための手段は、上述した雰囲気の制御、温度の制御などが挙げられる。
【0035】
前記雰囲気として、酸素含有雰囲気が挙げられる。例えば大気雰囲気とすることができる。焙焼工程では、例えば熱源として炭材を用いることも可能であり、この炭材を用いた場合、大気雰囲気よりもやや還元雰囲気となりうるが、その様な雰囲気も許容される。焙焼のための設備として、例えば電気抵抗炉(外部加熱)、バーナー式加熱炉、ドワイトロイド式焼結機、ポット型焼結機等を用いることができる。
【0036】
[還元工程]
還元工程では、前記焙焼物を、COガスと水素ガスの少なくとも1つを含む雰囲気で還元し、
図1のCまたは
図2のCに示される還元物、すなわち還元鉄相16、26とスラグ相17、27を含む還元物を得る。
図1または
図2の、BからCへの矢印bで表される還元工程を経ることで、酸化鉄含有相13、23が還元されて得られた還元鉄相16、26と、リンが固定されたままである還元スラグ相17、27(前記焙焼スラグ相14、24がこの還元工程を経た後のスラグ相)とで形成された、還元物が得られる。本実施形態において、焙焼工程と還元工程を分け、還元工程にて上記雰囲気で還元を行うことでリンを化学的に容易に分離できる理由について、以下に詳述する。
【0037】
還元時に酸素分圧が低くなると、スラグ中のP2O5の酸素が乖離してリンが発生し、これがFeと結びつきやすく、鉄鉱石からのリンの除去が困難となる。よって還元時の酸素分圧は変動を抑える必要がある。しかし、非特許文献1の方法では還元時の酸素分圧が変動しやすいと考えられる。非特許文献1の方法では炭材を用いているが、この様に炭材を用いると、還元時に炭材の周囲で酸素分圧が局所的に低下することや、炭材が加熱されることで、COガス、CO2ガスが生じるなど、予測できない酸素の消費が生じるためである。一方、本実施形態によれば、COガス、水素ガスといったガス状態の還元剤を還元に使用するため、還元時の酸素分圧の変動を抑制でき、酸素分圧の低減によるリンの鉄との結合を防止でき、その結果、リンが化学的に分離した状態を維持できると考えられる。
【0038】
還元工程における雰囲気を構成するガスは、COガスと水素ガスの少なくとも1つを含んでいればよく、残りのガス成分は特に限定されない。還元を目的としていることから、残りのガス成分は酸化作用を有しないガスであることが好ましい。残りのガス成分として、例えばCO2ガス、N2ガスなどが挙げられる。後述する実施例では還元ガスとして、COガスと水素ガスの混合ガスを用いているが、還元ガスが水素ガスのみであってもよく、例えば、水素ガスが10%で残りがN2ガスであってもよい。本実施形態によれば、還元ガスとして水素を使用する場合、非特許文献1のように還元剤として炭材を使用する場合と比較して温室効果ガスの削減に寄与する。
【0039】
上記条件で還元を行うことにより、SiO2やAl2O3の還元スラグ相17、27への移行が進み、かつ、多くのリンは還元スラグ相17、27に固定された状態で、酸化鉄含有相13、23の還元が進み、例えばM.Fe(金属鉄)またはFe3O4主体の還元鉄相16、26が得られる。すなわち、上記酸化焙焼と上記還元の工程により、還元スラグ相17、27に固定されたリンと還元鉄相16、26に化学的に十分分離された還元物を得ることができる。
【0040】
本実施形態において、還元鉄相には、M.Fe(金属鉄)のみならず、Fe2O3の還元により得られたFe3O4、FeOも含みうる。また還元鉄相には、不純物として例えば、鉄以外の元素の酸化物等を含みうる。
【0041】
還元工程の雰囲気温度は、例えば600℃以上、900℃以下の範囲とすることができる。該還元工程の雰囲気温度は、還元のための炉における雰囲気温度をいう。好ましくは還元工程の雰囲気温度は850℃以下である。還元工程の雰囲気温度の下限は、還元を促進させる観点から、650℃以上であることが好ましい。
【0042】
還元の時間は、処理量に応じて適宜決定することができる。上記雰囲気温度での還元が終了した後、室温までの冷却時は、非酸化雰囲気であればよく、還元ガス雰囲気に限定されない。例えば、N2ガス、Ar等の不活性ガスの雰囲気であってもよい。
【0043】
[粉砕工程]
粉砕工程では、前記還元物を粉砕して、還元物を構成するスラグ相の少なくとも一部が分離した還元鉄相含有物を含む粉砕物を得る。
図1または
図2のCからDへの矢印cで表される粉砕工程により、
図1のDまたは
図2のDに示す通り、還元スラグ相17、27と還元鉄相16、26とが粉砕の衝撃により分離される。この粉砕と下記の選別回収により、リンは物理的に分離される。還元物は、金属と酸化物といった異なる粉砕特性を有する物質で構成され、異相界面が形成されうる。還元ままでは、
図1のCの通り還元鉄相とスラグ相が結合したままであるが、粉砕を行うことで、還元スラグ相と還元鉄相26の界面で効率的に分離しやすくなり、分離後は、下記の選別回収工程で還元鉄相26を回収しやすくなる。なお、上述の通り
図1と
図2はイメージ図であり、
図1と
図2の通り還元スラグ相17、27と還元鉄相16、26が完全に分離されることに加え、還元鉄相16、26に還元スラグ相17、27の一部が残存する場合も含みうる。本実施形態では、還元スラグ相17、27と完全に分離した還元鉄相16、26と、還元鉄相16、26に還元スラグ相17、27の一部が残存するものとを総称して「還元鉄相含有物」という。粉砕は、ケージミル、ボールミル、ロータリーミル、ジェットミルなどの粉砕設備を用いて行われる。
【0044】
[選別回収工程]
選別回収工程では、前記粉砕物から還元鉄相含有物を選別回収する。
図1または
図2のDからEへの矢印dで表される選別回収工程により、還元鉄相含有物(
図1または
図2のEでは、例として還元鉄相16、26のみ表示)を得る。金属鉄は磁性を有するため、選別回収する方法として磁力選別(磁選)を用いることができる。前段の還元によって鉄相が磁性を帯びることで、磁力選別が可能となる。磁力選別は、比重選鉱などと比較し分離効率が高いことが知られている。なお、前記還元工程での還元を十分に行わずに、例えば還元鉄相がFe
3O
4主体である場合、異相界面形成による粉砕促進効果は十分ではないが、Fe
3O
4も金属鉄と同様に磁性を有するため、磁力選別を用いることができ、そのような態様も本実施形態に含まれうる。また、還元鉄相含有物に更なる工程を施して鉄源としてもよい。
【0045】
磁力選別の方法として、還元鉄相と還元スラグ相との分離が可能であれば特に限定されず、例えば、ハンド磁選でも問題ないが、大量処理が伴う場合、ドラム式磁選機、ロータリー式磁選機などの大型磁選機を使用してもよい。
【実施例0046】
以下、実施例を挙げて本実施形態をより具体的に説明する。本開示は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本開示の技術的範囲に包含される。
【0047】
以下の実施例では、鉄鉱石からリンを除去し、還元鉄相含有物を得るラボ試験を行った。
【0048】
[準備工程]
リン除去対象物である鉄鉱石として、表1に示す化学成分を有する銘柄OreA、OreBの鉄鉱石を用いた。鉄鉱石は篩下2mm未満に篩って使用した。フラックスを用いる場合には、表2に示す砕石を用いた。また比較例として、表2に示す石灰石をフラックスとして用い、一般的な手法であるCaO成分を添加したりん除去処理を実施した。焙焼用組成物として、表3に示す通り、鉄鉱石のみを用いるか、鉄鉱石とフラックスを組み合わせて用いた。焙焼用組成物におけるSiO2、Al2O3の含有量は、焙焼用組成物に含まれる元素を酸化物換算、すなわち、Si、Al、Ca、Fe、P、Mgをそれぞれ、SiO2、Al2O3、CaO、FeO、P2O5、MgOに換算したときの、全酸化物中のSiO2、Al2O3それぞれの割合(質量%)を求めた。
【0049】
【0050】
【0051】
[焙焼工程]
焙焼には、抵抗式電気加熱炉を用いた。上記焙焼用組成物を株式会社ニッカトー製緻密質MgO容器に入れ、大気雰囲気中にて、昇温速度10℃/minで1300℃(炉内の雰囲気温度)まで昇温してから、1300℃で30分間保持した。その後、室温まで冷却して焙焼サンプルを得た。なお、本発明者らが別途確認したところ、焙焼後の還元率はほぼ0%であった。
【0052】
[還元工程]
前記焙焼サンプルを、事前に手粉砕またはケージミルを用いて塊砕し、篩にかけて篩下2mm未満の還元用サンプルを得た。還元は、内径130mmで長さ200mmのドラム型回転加熱炉を用いて実施した。還元ガスは、ガス組成がH2:70体積%、CO:20体積%、CO2:5体積%、N2:5体積%となるように室温で混合後、炉内に導入した。また、昇温開始直後から還元ガスを導入した。800℃まで昇温速度:450℃/hで昇温し、800℃で60分間の保持を行った後、N2雰囲気で室温まで冷却して、還元サンプルを得た。還元工程におけるその他の条件は以下の通りとした。尚、上記温度は炉内の雰囲気温度である。
・ドラム型回転加熱炉の回転数:12rpm
・還元用サンプル量:500g
・還元ガスの流量:10NL/min
【0053】
【0054】
[粉砕工程]
還元サンプルの粉砕を、株式会社増野製作所製ケージミルを用い、回転数2850rpmで行った。ケージミルへの一回の供給量は200gとし、ケージミルで粉砕後のサンプルを再びケージミルに供給し、全量のサンプルが合計3回ケージミルを通過するよう処理し、粉砕サンプルを得た。
【0055】
[選別回収(磁選)工程]
選別回収方法として、磁選を行い、還元鉄相含有物を得た。磁選は、乾式ドラム磁選機に粉砕サンプルを装入して行った。乾式ドラム磁選機は、磁力を1200Gauss、回転数を80rpmとした。乾式ドラム磁選機への粉砕物の供給量は50g/回とし、2回(N1、N2)行ってそれぞれの回の還元鉄相含有物を得た。
【0056】
[リン除去率の算出]
各回(N1、N2)で得られた還元鉄相含有物の化学成分(T.FeとP)の分析を行った。T.Fe(全鉄)量は塩化チタン(III)還元二クロム酸カリウム滴定法で求めた。リンの定量は、JIS M8216(吸光光度法)に準じて実施した。これらの結果を、表4において「化学成分N1」「化学成分N2」として示す。そして、各回の化学成分から各回(N1、N2)のリン除去率を求め、その平均値を算出した。リン除去率は下記式から求めた。得られたリン除去率(平均値)を表4に示す。
【0057】
【0058】
【0059】
上記結果を用いて作成した、各焙焼条件別のリン除去率を示すグラフを
図3に示す。
図3において、棒グラフのパターンは、使用した鉄鉱石の種類を除いて同じ条件で処理したことを示している。また、各焙焼条件別、特にSiO
2+Al
2O
3の合計量とリン除去率の関係を示すグラフを
図4に示す。既往の技術である石灰石を添加した場合と比較して、フラックスを添加しない場合も石灰石と同等以上の効果が得られていることが分かる。これは、鉄鉱石中に元々含まれていた不純物(SiO
2,Al
2O
3)から生じた融液が、リンを固定したまま凝固することによって、鉄鉱石と相分離したスラグ相を形成し、粉砕工程で該スラグ相が金属鉄相と分離されることに加え、該スラグ相は磁性を持たないため、磁選工程で容易に選別されたためと考えられる。
【0060】
また、鉄鉱石とフラックスを含む焙焼用組成物を焙焼に用いた場合について、既知のプロセスである石灰石を添加した場合と比べて、SiO2を主成分とする砕石を添加した場合にはより高いりん除去効果が得られていることが分かった。
【0061】
[顕微鏡観察およびEDX分析]
表3のNo.5における、焙焼および還元後に粉砕したサンプルを樹脂に埋めて断面研磨を行ってから、走査型電子顕微鏡で観察した。その結果を
図5に示す。更に、
図5の符号1と符号2のそれぞれの分析点の成分を、EDX(エネルギー分散X線分光法、energy dispersive X-ray spectroscopy)で分析した。その結果を
図6に示す。なお、
図6のEDX半定量分析値は、各元素が
図6の凡例に示す酸化物を形成していると仮定し、酸素以外の各元素量から算出した。
【0062】
上記
図5および
図6から、上記
図5の符号1のグレー部分はリン濃化相であり、上記
図5の符号2の白色の多い領域は鉄相であることを確認した。また、上記
図5および
図6と、上記表4の結果から、酸化焙焼および還元の後に選別回収を行うことによって、高いリン除去率を達成できた理由として、上記酸化焙焼と還元により、鉄鉱石中のリンが不純物相に移動し鉄と結合することなく固定、すなわちリンが化学的に十分に分離除去され、かつ、その後の粉砕と選別回収により、リンを含有するスラグ相が分離除去されて、磁性を帯びた還元鉄相が回収されたためと考えられる。