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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044732
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20240101AFI20240326BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240326BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240326BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60W60/00
B60W50/14
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150454
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石丸 和寿
(72)【発明者】
【氏名】松原 慶幸
【テーマコード(参考)】
3D020
3D241
3D344
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD05
3D020BE03
3D241BA29
3D241BA44
3D241CD28
3D241CD29
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB10Z
3D241DC02Z
3D241DC03Z
3D241DC18Z
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC35Z
3D241DC37Z
3D241DC39Z
3D241DD12Z
3D241DD13Z
3D344AA22
3D344AA30
3D344AB01
(57)【要約】
【課題】車両に搭載された自発光型の表示パネルについて、ユーザの状態や当該車両の走行状況に対応して、表示画像の視認性の確保と消費電力の低減とを両立可能な表示システムを提供する。
【解決手段】表示システムは、車両の乗員のうち自発光型の表示パネル1のユーザの視線情報を取得する視線情報取得部22と、車両の走行軌道のふらつき量を算出するふらつき量算出部23と、車両の走行状態を推定する走行状態推定部24とを有する。表示システムは、表示パネル1の輝度およびフレームレートの少なくとも一方を調整する輝度制御を実行する輝度制御部25をさらに備え、ユーザの視線情報、ふらつき量および走行状態のうち少なくとも1つに基づいて輝度制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された自発光型の表示パネル(1)の表示制御を実行する表示システムであって、
前記車両の乗員のうち前記表示パネルのユーザの視線情報を取得する視線情報取得部(22)と、
前記車両の走行軌道のふらつき量を算出するふらつき量算出部(23)と、
前記車両の走行状態を推定する走行状態推定部(24)と、
前記表示パネルの輝度およびフレームレートの少なくとも一方を調整する輝度制御を実行する輝度制御部(25)と、を備え、
前記輝度制御部は、前記視線情報、前記ふらつき量および前記走行状態のうち少なくとも1つに基づいて前記輝度制御を実行する、表示システム。
【請求項2】
前記ふらつき量算出部は、前記車両の操舵角センサ(33)から前記車両の操舵角の情報を取得し、累積した前記操舵角の所定時間内における分散値から前記ふらつき量を算出し、
前記輝度制御部は、前記ふらつき量が所定の値以上の場合に前記輝度制御を実行し、前記表示パネルの輝度もしくはフレームレートの一方または両方を下げる、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記ふらつき量算出部は、前記車両の車載カメラ(34)が撮像した前記車両が走行している道路の撮像データを取得し、前記道路の撮像データから検出された白線の軌道に基づいて前記車両が走行すると推定される第1の走行軌道を推定し、前記車両の操舵角センサ(33)から取得した操舵角の情報から前記車両が走行した第2の走行軌道を推定すると共に、前記第1の走行軌道に対する前記第2の走行軌道のズレ量を前記ふらつき量として算出し、
前記輝度制御部は、前記ふらつき量が所定の値以上の場合に前記輝度制御を実行し、前記表示パネルの輝度もしくはフレームレートの一方または両方を下げる、請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記走行状態推定部は、前記車両の走行モードを手動運転または自動運転に切り替える自動運転スイッチ(36)からの信号に基づいて前記車両が手動運転モードか自動運転モードかを推定し、
前記輝度制御部は、前記自動運転モードである場合に前記輝度制御を実行し、前記表示パネルの輝度もしくはフレームレートの一方または両方を下げる、請求項1に記載の表示システム。
【請求項5】
前記走行状態推定部は、前記車両の外部の光景を撮像する車載カメラ(34)から撮像データを取得し、前記撮像データに基づいて前記走行状態を推定し、
前記輝度制御部は、推定された前記走行状態が、前記車両が走行する道路の幅が所定以下、かつ対向車とのすり抜けに該当する場合に前記輝度制御を実行し、前記表示パネルの輝度もしくはフレームレートの一方または両方を下げる、請求項1に記載の表示システム。
【請求項6】
前記走行状態推定部は、前記車両の外部の光景を撮像する車載カメラ(34)から撮像データを取得し、前記撮像データに基づいて前記走行状態を推定し、
前記輝度制御部は、推定された前記走行状態が、前記車両の走行方向における前方に前記車両よりも大型の他の車両が存在し、かつ前記車両が前記他の車両の追い越しに該当する場合に前記輝度制御を実行し、前記表示パネルの輝度もしくはフレームレートの一方または両方を下げる、請求項1に記載の表示システム。
【請求項7】
前記視線情報取得部を有し、前記表示パネルの表示制御を実行する表示制御部(2)を有し、
前記視線情報取得部は、前記車両の乗員撮像部(32)が撮像した前記ユーザの眼を含む撮像データに基づいて前記ユーザの視線方向を推定し、
前記輝度制御部は、前記ユーザが所定時間内に所定回数以上の視線を前記表示パネルに向けたと判定された場合に前記輝度制御を実行し、前記表示パネルの輝度を上げる、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された表示装置の表示制御を行う表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の表示システムとしては、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。この表示システムは、車両に搭載される表示パネルと、運転者の視線を検出する視線検出装置と、当該車両の走行状態を検出する検出部と、運転者の視線および走行状態に基づいて危険度を判定し、危険度が高い場合に表示パネルの輝度を下げる制御部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-39461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、近年、車両に搭載する表示パネルとしては、例えば、有機発光ダイオード(OLED)を用いた自発光型かつフレキシブルな構成とされたOLEDパネルがある。このようなOLEDパネルは、曲げ形状が可能で搭載時の制約が少ない上、黒表示等の輝度制御により消費電力の低減が可能である点からも有望視されている。
【0005】
また、この種の表示パネルでは、大型化のニーズや意匠性の観点から表示パネルへの日差しを遮る庇の除去のニーズがあり、これらのニーズに応えるには、表示画像の視認性を確保しつつも、表示領域の大面積化による消費電力の増大を抑制することが求められる。
【0006】
特許文献1に記載の表示システムは、自車両の運転者の視線や自車両の走行状態に基づいて、危険度が高い場合に表示パネルの輝度を下げることができるものの、輝度制御がなされる状況が限定的である。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み、車両に搭載された自発光型の表示パネルについて、ユーザの状態や当該車両の走行状況に対応して、表示画像の視認性の確保と消費電力の低減とを両立可能な表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の表示システムは、車両に搭載された自発光型の表示パネル(1)の表示制御を実行する表示システムであって、車両の乗員のうち表示パネルのユーザの視線情報を取得する視線情報取得部(22)と、車両の走行軌道のふらつき量を算出するふらつき量算出部(23)と、車両の走行状態を推定する走行状態推定部(24)と、表示パネルの輝度およびフレームレートの少なくとも一方を調整する輝度制御を実行する輝度制御部(25)と、を備え、輝度制御部は、視線情報、ふらつき量および走行状態のうち少なくとも1つに基づいて輝度制御を実行する。
【0009】
この表示システムは、車両に搭載された自発光型の表示パネルにおける表示制御を実行するものであって、当該表示パネルのユーザの視線情報、当該車両の走行軌道のふらつき量および当該車両の走行状態を取得する。そして、この表示システムは、視線情報、車両のふらつき量および車両の走行状態の少なくとも1つに基づいて表示パネルの輝度制御を行う輝度制御部を有する。これにより、ユーザの状態や車両の走行状況に応じた輝度制御を実行でき、表示パネルの画像の視認性確保と消費電力の低減とを両立可能な表示システムとなる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る表示システムの構成例を示すブロック図である。
図2】表示システムにおける表示制御がなされる状況の一例を示す図である。
図3図2の状況において実行される表示制御を示すフローチャートである。
図4】表示システムにおける表示制御がなされる状況の一例を示す図である。
図5図4の状況において実行される表示制御を示すフローチャートである。
図6】表示システムにおける表示制御がなされる状況の一例を示す図である。
図7図6の状況において実行される表示制御を示すフローチャートである。
図8】表示システムにおける表示制御がなされる状況の一例を示す図である。
図9図8の状況において実行される表示制御を示すフローチャートである。
図10】複数の走行パターンにおける走行軌道のふらつき量の算出の一例を説明するための説明図である。
図11】表示システムにおける表示制御がなされる状況の一例を示す図である。
図12図11の状況において実行される表示制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0013】
(実施形態)
実施形態に係る表示システムについて、図面を参照して説明する。本表示システムは、例えば、自発光型の表示パネル1が搭載される車両等の移動体に用いられると好適である。本明細書では、本表示システムが自動車に搭載された車載用表示システムを構成する場合を代表例として説明する。
【0014】
以下、説明の簡便化のため、本表示システムが搭載された車両を「自車両」という。また、本明細書における自車両の「前方」とは、自車両の車室内からウィンドシールドよりも外側に向かう方向をいう。自車両の「車幅方向」とは、自車両のうち前方およびこれと反対方向である後方を繋ぐ方向に沿った方向を「車両全長方向」として、車両全長方向に対して直交する方向をいう。
【0015】
〔基本構成〕
本実施形態の表示システムは、例えば図1に示すように、表示パネル1と、表示制御部2と、車載機器3と、車内LAN4とを有してなる。LANとは、Local Area Networkの略称である。本表示システムは、車載機器3から直接もしくは車内LAN4を介して各種信号が表示制御部2に入力され、表示制御部2が表示パネル1に各種コンテンツに対応する映像を表示させる表示制御を実行する。また、本表示システムは、所定条件を満たす場合には、表示制御部2が表示パネル1の輝度制御を実行する構成となっている。
【0016】
表示パネル1は、例えば、OLEDなどの自発光素子で構成された複数の画素群を有する自発光型のディスプレイであり、表示制御部2からの映像出力信号に対応する画像表示を行う。表示パネル1は、画像表示を行う表示領域を構成するピクセル(画素)単位あるいはサブピクセル(副画素)単位で輝度レベルの調整が可能な構成となっている。表示パネル1は、例えば、自車両のインストルメントパネルに搭載され、各種のメータや車載機器3に対応する各種コンテンツやその設定画面などの各種映像を表示する。表示パネル1の数、サイズおよび搭載位置等については適宜変更されてもよい。例えば、表示パネル1は、インストルメントパネルのうち車幅方向における中心位置に搭載され、センターインフォメーションディスプレイ(CID)として用いられてもよいし、ステアリングハンドル前方に搭載され、メータ表示器として用いられてもよい。また、表示パネル1は、インストルメントパネルの車幅方向におけるほぼ全域にわたる表示領域を有する大型パネルが用いられ、CID、メータ表示、カメラ撮像映像の表示等の各種コンテンツをすべて表示する構成であってもよい。
【0017】
なお、本明細書では、表示パネル1がOLEDディスプレイである場合を代表例として説明するが、OLEDディスプレイ等の自発光型のディスプレイについては公知であるため、ディスプレイ自体の詳細な説明については省略する。また、自発光素子としては、OLEDを代表例として説明するが、これに限定されるものではなく、無機EL(エレクトロルミネッセンス)やマイクロLEDなどの他の自発光素子であっても構わない。また、OLEDディスプレイは、有機ELディスプレイとも称されうる。
【0018】
表示制御部2は、例えば、図示しない回路基板にCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やI/O(Input/Output)等が搭載されてなる電子制御ユニットである。表示制御部2は、例えば図1に示すように、明るさ推定部21、視線情報取得部22、ふらつき量算出部23、走行状態推定部24および輝度制御部25を有してなる。
【0019】
明るさ推定部21は、例えば、日射量に起因する表示パネル1の表示面の明るさ(以下、「表示面の明るさ」という)を推定する。明るさ推定部21は、例えば、照度センサ31からの出力信号に基づいて、表示パネル1が搭載される環境照度を算出すると共に、算出した環境照度に基づき、表示面の明るさを推定する。明るさ推定部21は、例えば、推定した表示面の明るさに応じた信号を輝度制御部25に出力する。明るさ推定部21の出力信号は、推定した表示面の明るさにおいても表示パネル1の表示画像をユーザが視認しやすい輝度値に設定するために用いられる。
【0020】
視線情報取得部22は、自車両の乗員のうち表示パネル1のユーザ(以下、単に「ユーザ」という)の視線情報を取得する。視線情報取得部22は、例えば、車載機器3の乗員撮像部32からユーザの視線方向の情報を取得し、自車両における表示パネル1の位置座標および当該視線方向に基づいて、ユーザが表示パネル1に視線を向けているか否か判定を行う。そして、視線情報取得部22は、例えば、判定結果に応じた信号を輝度制御部25に出力する。視線情報取得部22から輝度制御部25への出力信号は、後述する表示パネル1における輝度制御に用いられる。なお、視線情報取得部22が取得するユーザの視線情報は、表示パネル1における輝度制御以外に、ユーザの状態判定等の他の処理にも利用されてもよい。
【0021】
ふらつき量算出部23は、自車両の走行軌道のふらつき量(以下、単に「ふらつき量」という)を推定する。ふらつき量算出部23は、例えば、操舵角センサ33から取得する自車両の操舵角データや車載カメラ34による撮像画像から認識される道路の白線軌道などに基づいて、ふらつき量を算出する。ふらつき量算出部23は、例えば、算出されたふらつき量が所定以上の値である場合には、運転者の負荷が高い状況と判定し、輝度制御部25へ信号を出力する。ふらつき量の算出の詳細については後述する。
【0022】
走行状態推定部24は、車載機器3からの各種信号等に基づいて自車両の走行状態、すなわち自車両がどのような状況であるかを推定する。走行状態推定部24が推定する走行状態としては、例えば、「対向車とのすれ違い」、「並走車の追い越し」、「自動運転中または手動運転中」、「自車両が交差点で待機している」などの状況が挙げられるが、これらに限定されない。走行状態推定部24は、例えば、操舵角センサ33や車載カメラ34から取得する各種データに基づいて自車両の走行状態を推定し、運転者の負荷が高いと想定される所定の条件を満たす場合に輝度制御部25へ信号を出力する。自車両の走行状態の推定およびこれに伴う輝度制御の例については後述する。
【0023】
輝度制御部25は、表示パネル1を構成する複数の画素群の輝度値や映像表示におけるフレームレートの制御を実行する。例えば、輝度制御部25は、明るさ推定部21からの照度情報に基づいて画素群の輝度値を設定し、設定した輝度値に応じた映像信号を表示パネル1に出力する。また、輝度制御部25は、例えば、フレームレートを所定の値に決定し、決定したフレームレートに合わせて映像信号を表示パネル1に出力する。輝度制御部25は、視線情報取得部22、ふらつき量算出部23および走行状態推定部24の少なくとも1つからの入力信号に基づき、所定の条件を満たす場合に輝度値もしくはフレームレートまたはその両方を変更する制御を実行する。輝度制御部25による輝度制御の例については後述する。
【0024】
車載機器3は、自車両に搭載される各種のセンサや電子機器であり、例えば、照度センサ31、乗員撮像部32、操舵角センサ33、車載カメラ34、ナビゲーション装置35および自動運転スイッチ36等により構成されている。なお、上記の車載機器3の構成は、あくまで一例であり、ジャイロセンサ、車輪速センサ、マルチメディアやエアコン等の上記した機器等以外のものを含んでいても良い。また、車載機器3から表示制御部2への各種信号の入力は、個々の機器から直接または車内LAN4を介してなされてもよいし、車載機器3が車両ECUを含み、車両ECUを経由してなされてもよく、その経路については適宜変更されうる。なお、ECUとは、Electronic Control Unitの略称である。
【0025】
照度センサ31は、例えば、表示パネル1が搭載された環境照度を検出するものであり、表示パネル1の近傍に1つまたは複数配置される。照度センサ31は、光量に応じたセンサ信号を直接または車内LAN4を介して表示制御部2に出力する。
【0026】
乗員撮像部32は、例えば、自車両の乗員のうち表示パネル1のユーザを撮像する任意の撮像装置である。撮像対象のユーザは、例えば、自車両の運転席に着座する運転者とされる。乗員撮像部32は、例えば、株式会社デンソー製のドライバーステータスモニター(登録商標)とされ、ユーザの眼を含む所定の空間を撮像する。乗員撮像部32は、例えば、公知の画像認証技術に基づいて、撮像したユーザの眼を含む画像データから、当該乗員から当該ユーザの視線方向を推定し、推定した視線方向の結果を表示制御部2に出力する。乗員撮像部32は、表示パネル1のユーザの眼を撮像可能な位置に搭載されていればよく、自車両の車室内の任意の位置に配置される。
【0027】
操舵角センサ33は、自車両の操舵装置の操舵角を検出するものであり、検出した操舵角に応じた信号を出力する。操舵角センサ33からの出力信号は、表示制御部2に入力され、自車両の走行軌道の推定や後述するふらつき量の算出に用いられる。
【0028】
車載カメラ34は、例えば、自車両の外部の光景を撮像する撮像装置であり、自車両の前方および前側方を撮像可能な位置に搭載される。車載カメラ34は、例えば、デジタルカメラ装置であって、CCDあるいはCMOS等のイメージセンサを備える。CCDとは、Charge Coupled Deviceの略称である。CMOSとは、Complementary Metal Oxide Semiconductorの略称である。車載カメラ34は、例えば、単眼ステレオあるいは複眼ステレオの技術を用いて、自車両に対する相対的な物標の3次元位置の検出が可能となるように構成される。ここでいう「物標」としては、例えば、道路を区画する白線、停止線や横断歩道等の道路表示、および人、壁、電柱、他の車両などの立体物などが挙げられる。車載カメラ34による撮像データおよび画像認証技術により得られる物標のデータは、ふらつき量算出部23におけるふらつき量の算出や走行状態推定部24における自車両の状態推定に用いられる。
【0029】
ナビゲーション装置35は、例えば、地図データベースに記憶してある地図情報に基づいて、自車両の現在位置や地図の映像などを示す映像信号を表示制御部2に入力する。また、ナビゲーション装置35は、ユーザの操作に基づいて、例えば目的地設定を行うための映像や、車両周辺もしくは目的地周辺の施設や店舗情報に関する映像などを示す映像信号を表示制御部2に入力する。ナビゲーション装置35は、例えば、公知のGPSにより車両の緯度、経度、現在時刻、車両が向いている方位に関する情報を取得し、これらの情報を表示制御部2に入力する。なお、GPSとは、Global Positioning Systemの略称である。
【0030】
自動運転スイッチ36は、例えば、自車両の手動運転/自動運転の切り替えに用いられるスイッチ装置である。
【0031】
「手動運転」とは、自車両の運転者が全部の動的運転タスクを実行する状態をいう。また、「自動運転」とは、運転者によらず、システムが一部または全部の動的運転タスクを実行する状態、例えば、アメリカの自動車技術者協会(SAE)が設定した国際基準の自動運転レベルが1以上の状態をいい、運転の主体が人である半自動運転を含む。
【0032】
自動運転スイッチ36は、例えば、自車両の運転者が手動運転とACCなどの運転支援機能を含む自動運転との切り替え操作を行う際に用いられる。ACCとは、Adaptive Cruise Controlの略称である。例えば、自動運転スイッチ36は、自動運転の場合にはオン状態、手動運転の場合にはオフ状態となり、オン状態であるときにオン信号を出力する。自動運転スイッチ36からの出力信号は、例えば、走行状態推定部24における自車両の走行モードが手動運転モードか自動運転モードのいずれであるかの判定に用いられる。
【0033】
車内LAN4は、例えば、自車両に搭載される表示パネル1、表示制御部2や車載機器3のやり取りを可能にするものであり、所定の通信規格に準拠した車載ネットワークを構成する。
【0034】
以上が、本表示システムの基本的な構成の一例である。本表示システムは、車載機器3によりユーザの視線情報、自車両のふらつき量および走行状態を推定し、これらの少なくとも1つに基づいて表示パネル1の輝度制御を実行する。そして、本表示システムは、例えば、ユーザが表示パネル1を注視する状況では表示パネル1の輝度を上げ、ユーザの負荷が高い状況では表示パネル1の輝度を下げることにより、表示画像の視認性確保および低消費電力化を両立する。
【0035】
次に、本表示システムにおける表示制御の実施例について説明する。
【0036】
以下、「輝度を下げる」、「輝度を上げる」とは、表示パネル1の輝度値を輝度制御前に対して下げるまたは上げるという相対的な制御であり、輝度制御後の輝度値については環境照度などに応じて適宜決定される。また、輝度制御部25は、表示パネル1の輝度値を下げる代わりに、フレームレートを下げてもよいし、あるいは輝度値およびフレームレートの両方を下げる輝度制御を実行してもよい。
【0037】
表示パネル1の輝度値を変更する場合、例えば、表示画像のうち文字、図形、記号、アイコンやカメラによる撮像光景などの情報部分の輝度値を主に変更するが、情報部分以外の背景部分や情報部分と背景部分との輝度比(コントラスト比)も変更されうる。また、輝度制御を実行する際における情報部分の輝度値やコントラスト比については、例えば、環境照度に応じて十分に視認性を確保できるように予め設定されており、表示制御部2の図示しない記録媒体等に輝度制御用のデータが格納されている。
【0038】
以下、説明の簡便化のため、表示パネル1の輝度値もしくはフレームレートまたはその両方を上げるまたは下げることを、それぞれ「輝度等を上げる」、「輝度等を下げる」という。
【0039】
また、後述する図8における「WL」は、道路に引かれた区画線、いわゆる白線を示すものである。
【0040】
〔表示制御の実施例1〕
図2は、自車両V1の前方を走行する先行車両V2が存在し、自車両V1がACCにより先行車両V2に追従して走行する自動運転モードである走行状態であって、自車両V1の車室内から見た様子を示している。表示制御部2は、例えば図2に示す走行状態である場合、表示パネル1の輝度等を下げる制御を実行する。これは、自車両V1が自動運転モードである場合には、視線を前方から外す時間の制約がなく、ユーザである運転者が表示パネル1を見る余裕があり、輝度を下げたとしても視認性を十分確保できるためである。これにより、表示画像の視認性を確保しつつ、輝度値を下げることにより低消費電力化される。
【0041】
具体的には、表示制御部2は、自車両V1のイグニッションがオン状態になるなどの所定の開始条件を満たす場合に、例えば図3に示す制御フローを実行する。ステップS101では、例えば、走行状態推定部24は、自動運転スイッチ36からオン信号が入力されているか否かを判定し、肯定判定、すなわち自車両V1が自動運転モードである場合には、所定の信号を輝度制御部25に出力する。表示制御部2は、ステップS101にて肯定判定の場合には処理をステップS102に進め、否定判定の場合には処理をステップS101に戻す。続くステップS102では、輝度制御部25は、表示パネル1の輝度等を下げる制御を実行する。ステップS102の終了後、例えば、表示制御部2は、処理を終了する。
【0042】
〔表示制御の実施例2〕
図4は、幅方向における両端近傍に白線が引かれた狭い道路を自車両V1が走行すると共に、対向車V3とすれ違う走行状態であって、自車両V1の車室内から見た様子を示している。表示制御部2は、例えば図4に示す走行状態である場合、表示パネル1の輝度等を下げる制御を実行する。これは、上記の状況において、ユーザである運転者が安全確保のために自車両V1の前方を注視しなければならず、表示パネル1を見る余裕がないことから、表示画像の視認性を確保する必要がないためである。これにより、表示パネル1に必要以上の電力を割くことが抑制され、低消費電力化の効果が得られる。
【0043】
表示制御部2は、例えば、上記の実施例1と同様に、所定の開始条件を満たす場合に図5に示す制御フローを実行する。ステップS201では、例えば、走行状態推定部24は、自車両V1が狭い道路を走行中か否かの判定を行う。表示制御部2は、ステップS201にて肯定判定の場合には処理をステップS202に進め、否定判定の場合には所定間隔でステップS201を繰り返す。
【0044】
ステップS201における判定処理は、例えば、ナビゲーション装置35から自車両V1が走行中の道路情報を取得し、走行中の道路が1車線道路であるか否かにより行われる。例えば、走行状態推定部24は、取得した道路情報において走行中の道路が1車線道路である場合には道路の幅が「狭い」と判定し、2車線以上の道路である場合には道路の幅が「広い」と判定する。なお、ここでいう1車線道路とは、片側1車線道路のことではなく、例えば、道路幅が3メートル以上5.5メートル未満の道路をいう。
【0045】
また、ステップS201における判定処理は、例えば、上記の方法に限られず、車載カメラ34での撮像データを用いた画像認証の結果に基づいて実行されてもよい。例えば、本表示システムは、車載カメラ34により自車両V1が走行中の道路の前方を撮像させ、得られた撮像データを用いて公知の画像認証技術により当該道路の両端である道路端を検出する。そして、走行状態推定部24は、検出された道路端同士の自車両V1の車幅方向における距離が所定以下(例えば5.5メートル以下)である場合には走行中の道路幅が「狭い」と判定し、そうでない場合には当該道路幅が「広い」と判定することができる。さらに、走行状態推定部24は、道路端に代わって、走行中の道路前方の領域であって、他の車両等が検出されない領域を「走行可能領域」として、走行可能領域の幅が所定以下であるか否かによりステップS201の判定処理を行ってもよい。
【0046】
続くステップS202では、例えば、走行状態推定部24は、対向車V3が存在するか否かの判定を行い、肯定判定の場合、すなわち自車両V1が対向車V3とのすれ違いの状態である場合には所定の信号を輝度制御部25に出力する。そして、例えば、表示制御部2は、ステップS202にて肯定判定の場合には処理をステップS203に進め、否定判定の場合には、所定間隔でステップS202の処理を繰り返す。ステップS202における判定処理は、例えば、車載カメラ34による撮像画像において、自車両V1の走行方向の前方から自車両V1に近づく他の車両が検出されたか否かにより行うことができる。
【0047】
ステップS203では、例えば、輝度制御部25は、表示パネル1の輝度等を下げる制御を実行する。ステップS203の終了後、例えば、表示制御部2は、処理を終了する。なお、ステップS201、202の処理の順番については逆であってもよい。また、ステップS202にて否定判定の場合、表示制御部2は、処理をステップS201に戻す処理を実行してもよい。
【0048】
〔輝度制御の実施例3〕
図6は、自車両V1よりも前方に、自車両V1と同方向に並走する他の車両である先行車V4が存在し、自車両V1が先行車V4を追い抜こうとする走行状態であって、自車両V1の車室内から見た様子を示している。
【0049】
表示制御部2は、例えば図6に示す走行状態である場合、表示パネル1の輝度等を下げる表示制御を実行する。これは、上記の状況においては、ユーザである運転者の前方に先行車V4によって遮られた死角領域が存在し、すり抜け時に自車両V1の前方や側方を注視しなければならず、表示パネル1を見る余裕がなく、表示画像の視認性を確保する必要がないためである。これにより、表示パネル1に必要以上の電力を割くことが抑制され、低消費電力化の効果が得られる。
【0050】
表示制御部2は、例えば、上記の実施例1、2と同様に、所定の開始条件を満たす場合に図7に示す制御フローを実行する。ステップS301では、例えば、走行状態推定部24は、自車両V1の前方に先行車V4が存在するか否かについて判定を行う。ここでいう先行車V4とは、自車両V1の前方において所定以上の死角領域を生じさせる車両、例えば、自車両V1よりも大型の車両を指す。ステップS301における判定処理は、例えば、車載カメラ34による撮像画像において自車両V1の前方に所定以上の面積の車両が検出されたか否かにより行うことができる。表示制御部2は、ステップS301にて肯定判定の場合には処理をステップS302に進め、否定判定の場合には所定間隔でステップS301を繰り返す。
【0051】
続くステップS302では、例えば、走行状態推定部24は、自車両V1が先行車V4に接近しているか否かについて判定を行い、肯定判定の場合、すなわち自車両V1が大型車両を追い抜く状態である場合には所定の信号を輝度制御部25に出力する。ステップS302における判定処理は、例えば、自車両V1の走行速度が先行車V4の走行速度よりも大きいか否かにより行うことができる。また、当該判定処理は、例えば、所定時間内に自車両V1と先行車V4との距離あるいは自車両V1の走行可能領域が減少しているか否かにより行われてもよい。
【0052】
ステップS303では、例えば、輝度制御部25は、表示パネル1の輝度等を下げる制御を実行する。ステップS303の終了後、例えば、表示制御部2は、処理を終了する。
【0053】
なお、ステップS302にて否定判定の場合、表示制御部2は、処理をステップS301に戻す処理を実行してもよい。
【0054】
〔輝度制御の実施例4〕
図8は、自車両V1の走行軌道のふらつき量が所定以上の走行状態である一例として、大きく湾曲した道路に沿って走行する状況を示している。走行軌道のふらつき量が所定以上の状況としては、例えば、右折、左折、転回等の自車両V1の走行方向が大きく変化する運転操作が複数回行われる状況、所定以上の曲率半径で湾曲した道路や曲がりくねった道路に沿って走行している状況などが挙げられる。
【0055】
表示制御部2は、例えば図8に示す走行状態のように運転操作における負荷が高い場合に、表示パネル1の輝度等を下げる表示制御を実行する。これは、上記の状況においては、ユーザである運転者が自車両V1の前方を注視したハンドル操作が要求されることから、表示パネル1を見る余裕がなく、表示画像の視認性を確保する必要がないためである。これにより、表示パネル1に必要以上の電力を割くことが抑制され、低消費電力化の効果が得られる。
【0056】
表示制御部2は、例えば、上記の実施例1~3と同様に、所定の開始条件を満たす場合に図9に示す制御フローを実行する。ステップS401では、例えば、ふらつき量算出部23は、自車両V1の走行軌道のふらつき量を算出する。
【0057】
ステップS401におけるふらつき量の算出については、例えば、次のような方法により行うことができる。まず、車載カメラ34により自車両V1が走行する道路の前方を撮像し、得られた撮像画像を用いて公知の画像認証技術により白線WLを検出する。次に、例えば図8に示すように、検出した白線WLのうち自車両V1が走行する車線の両端に引かれた2つの白線WLそれぞれに沿った軌道を白線軌道WLT1、WLT2として、ふらつき量算出部23は、白線軌道WLT1、WLT2を算出する。続いて、ふらつき量算出部23は、白線軌道WLT1、WLT2の中心に沿った軌道を「第1の走行軌道RT1」として算出する。次いで、例えば、ふらつき量算出部23は、図示しない車速センサおよびヨーレートセンサから取得され、表示制御部2の図示しない記録媒体に累積された車速とヨーレートの数値データのうち直近のものを読み込む。例えば、ふらつき量算出部23は、自車両V1が所定時間ごとに仮想半径Rで角度変化Δθの円弧を描くように走行すると仮定し、読み込んだ車速とヨーレートを使って所定時間ごとに計算した軌道を累積したものを「第2の走行軌道RT2」とする。そして、ふらつき量算出部23は、第1の走行軌道RT1に対する第2の走行軌道RT2のズレ量をふらつき量として算出する。
【0058】
また、「第1の走行軌道RT1」を円弧モデルで推定した曲率またはカーブ半径を時系列で記録し、その分散値をふらつき量として算出してもよい。この手法は、例えば、走行中の道路の白線が不鮮明であるなどの理由で、画像認証技術による白線軌道の認識ができない、あるいは不安定である場合に有効である。このような状況では、自車両V1のドライバにとっても運転し難く、運転負荷が高い場合には、円弧モデルで推定した曲率またはカーブ半径の分散値が所定以上の数値となると想定される。
【0059】
なお、自車両V1が走行中の車線の中心から左右の一方にずれて走行していることで、第2の走行軌道RT2が第1の走行軌道RT1と同様の軌道を描いているが、車幅方向に沿ってスライドし、ふらつき量が多く算出されてしまう場合も想定される。この場合には、第2の走行軌道RT2から第1の走行軌道RT1とのオフセット量を差し引くオフセット処理を行った後に、2つの走行軌道RT1、RT2の差分からふらつき量を算出する。オフセット処理におけるオフセット量は、例えば、検出された道路端REに対する自車両V1の位置に基づいて算出することも可能である。
【0060】
また、ステップS401におけるふらつき量の算出については、例えば、カメラでの撮像データに代わって、上記の累積された操舵角の数値データに基づいて行うこともできる。例えば、ふらつき量算出部23は、図10に示すように、累積された操舵角の数値データのうち現時刻から所定時間の過去分の数値データ(以下「選択データ」という)に基づいて、選択データの分散値を算出する。そして、表示制御部2は、算出された分散値をふらつき量として記録する。なお、分散値は、例えば、選択データの平均値と各数値データとの差(偏差)の二乗の総和を選択データの数で割ることで算出できる。例えば、図10に示す走行パターンAのように、所定時間における操舵角の変化および各データの偏差が大きいため、分散値すなわちふらつき量が所定値以上となり、運転負荷が大きい状況と言える。逆に、図10に示す走行パターンBのように、所定時間における操舵角の変化および各データの偏差が小さい場合には、ふらつき量が所定値未満となり、運転負荷が小さい状況と言える。また、図10では、見易くするための便宜上、2つの走行パターンを並べて示している。
【0061】
ステップS401では、例えば、上記した方法により、自車両V1の走行軌道のふらつき量が算出され、ステップS401の終了後に、表示制御部2は、処理をステップS402に進める。
【0062】
ステップS402では、例えば、ふらつき量算出部23は、算出したふらつき量が所定の閾値以上であるか否かを判定し、肯定判定の場合には所定の信号を輝度制御部25に出力する。ふらつき量の判定における閾値については、上記のいずれの算出方法においても適宜設定される。そして、例えば、表示制御部2は、ステップS402にて肯定判定の場合には処理をステップS403に進め、否定判定の場合には処理をステップS401に戻す。
【0063】
ステップS403では、例えば、輝度制御部25は、表示パネル1の輝度等を下げる制御を実行する。ステップS403の終了後、例えば、表示制御部2は、処理を終了する。
【0064】
〔輝度制御の実施例5〕
表示制御部2は、例えば図11に示すように、ユーザが所定時間内に表示パネル1に所定回数以上の視線を向けている場合に、表示パネル1の輝度等を上げる表示制御を実行する。これは、ユーザである運転者が表示パネル1の表示画像を意識的に見ようとする状況であると考えられ、表示画像を短時間で認識できるように、視認性を十分に確保する必要があるためである。これにより、表示パネル1の輝度等を必要な状況において上げることとなり、表示画像の視認性確保および消費電力の増大抑制を両立することができる。
【0065】
表示制御部2は、例えば、上記の実施例1~4と同様に、所定の開始条件を満たす場合に図12に示す制御フローを実行する。ステップS501では、例えば、視線情報取得部22は、乗員撮像部32からユーザの視線方向についての情報を取得する。
【0066】
続くステップS502では、例えば、視線情報取得部22は、ステップS501で取得したユーザの視線情報および表示パネル1の位置情報に基づいて、所定時間内に所定回数以上、表示パネル1の表示面にユーザが視線を向けたか否かを判定する。ステップS502における判定処理は、例えば、所定時間については数秒程度の短時間、所定回数については2回と設定される。例えば、視線情報取得部22は、ステップS502にて肯定判定の場合には所定の信号を輝度制御部25に出力する。表示制御部2は、ステップS502にて肯定判定の場合には処理をステップS503に進め、否定判定の場合には処理をステップS501に戻す。
【0067】
ステップS503では、例えば、輝度制御部25は、表示パネル1の輝度等を上げる制御を実行する。ステップS503の終了後、例えば、表示制御部2は、処理を終了する。
【0068】
なお、上記した実施例1~5の表示制御の処理は、例えば、それぞれ独立して並行で行われるが、実施例1~4のうちいずれか1つの表示制御を実行する条件を満たした場合、他の表示制御の処理を止めてもよい。また、実施例1~4のいずれかの表示制御(輝度等を下げる)の実行条件と実施例5の表示制御(輝度等を上げる)の実行条件とを共に満たす場合、例えば、実施例5の表示制御を優先し、実施例1~4の表示制御を止めてもよいし、その逆を行ってもよい。
【0069】
本表示システムは、車載機器3から自車両V1のユーザの視線情報、自車両V1の走行軌道のふらつき量およびその走行状態の各情報を取得し、視線情報、ふらつき量および走行状態の少なくとも1つに基づき、表示パネル1の輝度制御を実行する。これにより、ユーザの状態や自車両V1の走行状況に応じて、様々なシーンに対応した輝度制御ができ、表示パネル1の画像の視認性確保と消費電力の低減とを両立可能な表示システムとなる。
【0070】
(他の実施形態)
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらの一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0071】
(1)上記実施形態では、視線情報取得部22、ふらつき量算出部23および走行状態推定部24が各種判定処理を行い、それぞれが輝度制御部25に輝度制御を実行させる信号を出力する構成について説明したが、これに限定されない。例えば、表示制御部2は、視線情報取得部22、ふらつき量算出部23、走行状態推定部24からの各種信号が入力される図示しない判定処理部を有し、判定処理部が当該信号に基づいて判定処理および輝度制御部25への信号入力を行う構成であってもよい。
【0072】
(2)本表示システムは、例えば、図示しない灯火装置や方向指示器からの信号が表示制御部2に入力され、灯火装置あるいは方向指示器がオン状態の場合に、表示パネル1の輝度等を下げる制御を実行する構成であってもよい。例えば、この場合、走行状態推定部24は、灯火装置からオン信号が入力されている場合には環境照度が所定以下の暗い状況と推定し、方向指示器からオン信号が入力されている場合には自車両V1の走行方向を変更する運転操作を行う状況と推定する。前者の場合はさほど高い輝度を要しない状況であり、後者の場合は前方や側方を注視しなければならず、運転負荷が高い状況である。そして、輝度制御部25は、走行状態推定部24から所定の信号が入力され、表示パネル1の輝度等を下げる制御を実行する。
【0073】
(3)本開示に記載の表示制御部2及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の表示制御部2及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の表示制御部2及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0074】
(4)なお、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0075】
1 表示パネル
2 表示制御部
22 視線情報取得部
23 ふらつき量算出部
24 走行状態推定部
25 輝度制御部
32 乗員撮像部
33 操舵角センサ
34 車載カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12