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  • 特開-接続構造 図1
  • 特開-接続構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044736
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/66 20060101AFI20240326BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01H33/66 S
H02B1/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150459
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】林 幹哉
(72)【発明者】
【氏名】綾部 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 伸
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA03
5G016DA05
5G016DA23
(57)【要約】
【課題】電気抵抗を小さくすることができる接続構造を提供する。
【解決手段】本開示に係る接続構造は、端子2を収容しているケース1の内側に、導体(ロッド3)の一部が進入して前記端子2に接続されている接続構造であって、前記ケース1の少なくとも一部は導電性を有し、前記ケース1の前記一部と前記端子2とは互いに電気的に接続されており、前記ケース1の外側にて前記導体に電気的に接続するようにして取り付けられている導電性の接続具4と、該接続具4と前記ケース1との間に挟まれている環状の摩擦増加部材5と、前記接続具4に電気的に接続されており、前記摩擦増加部材5の内側を通って前記ケース1の前記一部に接触している導電性の接触部42とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を収容しているケースの内側に、導体の一部が進入して前記端子に接続されている接続構造であって、
前記ケースの少なくとも一部は導電性を有し、
前記ケースの前記一部と前記端子とは互いに電気的に接続されており、
前記ケースの外側にて前記導体に電気的に接続するようにして取り付けられている導電性の接続具と、
該接続具と前記ケースとの間に挟まれている環状の摩擦増加部材と、
前記接続具に電気的に接続されており、前記摩擦増加部材の内側を通って前記ケースの前記一部に接触している導電性の接触部と
を備えることを特徴とする接続構造。
【請求項2】
前記導体はロッドであり、
前記導体の一端部が前記ケースに進入しており、
前記一端部の外周面及び前記導体の前記ケースの外側に位置する外周面夫々に雄ネジが設けられており、
前記端子には、前記雄ネジに螺合する雌ネジが設けられており、
前記接続具は、前記雄ネジに螺合する雌ネジが内周面に設けられた環状部材であり、
前記導体は前記接続具及び前記摩擦増加部材夫々の内側を貫通しており、
前記摩擦増加部材はバネ座金であることを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記ケースの前記一部は前記ケースを構成する壁部の一部分であり、
前記接触部は、
前記接続具に一体に設けられており、且つ前記ケースの前記一部の外面に接触しているか、又は
前記接続具とは別体であり、且つ前記外面及び前記接続具夫々に接触しており、
前記摩擦増加部材は前記接続具及び前記外面夫々に接触していることを特徴とする請求項2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記摩擦増加部材は、内面同士又は外面同士が向かい合わせになった2つの皿バネ座金であることを特徴とする請求項2又は3に記載の接続構造。
【請求項5】
前記摩擦増加部材は非磁性体製であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の開閉器において、ブッシングの中心導体に真空バルブの端子が接続されている。
中心導体が導線性のロッドであり、端子が真空バルブのケースに収容されている場合、ロッドの一端部がケースの内側に進入して端子に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-31275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロッドと端子との接続部分において、通電電流が大きくなると通電面積が不足し、発熱により電気抵抗が増大することがある。
【0005】
本開示の目的は、電気抵抗を小さくすることができる接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る接続構造は、端子を収容しているケースの内側に、導体の一部が進入して前記端子に接続されている接続構造であって、前記ケースの少なくとも一部は導電性を有し、前記ケースの前記一部と前記端子とは互いに電気的に接続されており、前記ケースの外側にて前記導体に電気的に接続するようにして取り付けられている導電性の接続具と、該接続具と前記ケースとの間に挟まれている環状の摩擦増加部材と、前記接続具に電気的に接続されており、前記摩擦増加部材の内側を通って前記ケースの前記一部に接触している導電性の接触部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本開示にあっては、導体の一部がケースの内側に進入して、ケースに収容された端子に接続される。
ケースの少なくとも一部は導電性を有する。以下では、ケースの導電性を有する部分を導電性部分という。
ケースの外側にて、導電性の接続具が導体に取り付けられる。また、環状の摩擦増加部材が接続具とケースとの間に挟まれる。摩擦増加部材により、導体に取り付けられている接続具とケースとの間の摩擦が増加するので、導体がケースから抜け出すことが防止される。
【0008】
接続具は導体に電気的に接続される。接触部は接続具に電気的に接続され、且つケースの導電性部分に接触する。ケースの導電性部分は端子に電気的に接続される。故に、導体と端子との間の通電経路には、導体及び端子を互いに直接的に結ぶ経路のみならず、導体、接続具、接触部、ケースの導電性部分、及び端子をこの順に結ぶ経路が含まれる。換言すれば、導体と端子との間の通電経路が広いので、導体と端子との接続部分の電気抵抗を小さくすることができる。
導電性の接触部は、摩擦増加部材の内側を通る。摩擦増加部材の内側が接触部の配置スペースとして有効利用されるので、コンパクトな接続構造の実現を図ることができる。
【0009】
本開示に係る接続構造は、前記導体はロッドであり、前記導体の一端部が前記ケースに進入しており、前記一端部の外周面及び前記導体の前記ケースの外側に位置する外周面夫々に雄ネジが設けられており、前記端子には、前記雄ネジに螺合する雌ネジが設けられており、前記接続具は、前記雄ネジに螺合する雌ネジが内周面に設けられた環状部材であり、前記導体は前記接続具及び前記摩擦増加部材夫々の内側を貫通しており、前記摩擦増加部材はバネ座金であることを特徴とする。
【0010】
本開示にあっては、導体がロッドであり、導体の一端部がケースに進入する。導体と端子とは、導体の一端部の外周面に設けられている雄ネジが端子に設けられている雌ネジに螺合することによって、互いに接続される。
導体の外周面の内、ケースの外側に位置する部分に雄ネジが設けられている。接続具は環状部材であり、接続具の内周面に雌ネジが設けられている。導体は接続具の内側を貫通する。導体の、ケースの外側に位置する雄ネジが、接続具の雌ネジに螺合することによって、接続具は導体に電気的に接続するようにして取り付けられる。
【0011】
導体は摩擦増加部材の内側を貫通する。摩擦増加部材はバネ座金であり、導体を中心とする接続具の回転を摩擦によって阻止する。また、摩擦増加部材は、弾性により、接続具及びケース夫々に導体の長手方向の外力を加えるので、雄ネジと雌ネジとが互いに強く接触して摩擦し合う。以上の結果、摩擦増加部材は導体に対する接続具及び端子夫々の緩み止めとして機能する。
【0012】
本開示に係る接続構造は、前記ケースの前記一部は前記ケースを構成する壁部の一部分であり、前記接触部は、前記接続具に一体に設けられており、且つ前記ケースの前記一部の外面に接触しているか、又は前記接続具とは別体であり、且つ前記外面及び前記接続具夫々に接触しており、前記摩擦増加部材は前記接続具及び前記外面夫々に接触していることを特徴とする。
【0013】
本開示にあっては、ケースを構成する壁部の一部分がケースの導電性部分である。
接触部が接続具に一体的に設けられており、且つケースの導電性部分の外面に接触している。又は、接触部が接続具とは別体であり、且つケースの導電性部分の外面及び接続具夫々に接触している。つまり、ケースの外側に位置している接続具とケースの導電性部分とを互いに電気的に接続するための接触部が導電性部分の外面に接触するので、接続構造の構成は簡易である。
接触部が接続具に一体に設けられている場合は部品点数を更に削減することができる。
【0014】
本開示に係る接続構造は、前記摩擦増加部材は、内面同士又は外面同士が向かい合わせになった2つの皿バネ座金であることを特徴とする。
【0015】
本開示にあっては、摩擦増加部材が2つの皿バネ座金である。2つの皿バネ座金は、内面同士又は外面同士が向かい合わせになるようにして接続具とケースとの間に挟まれるので、皿バネ座金のたわみ代を十分に大きくすることができる。2つの皿バネ座金夫々が十分に撓むので、摩擦増加部材の緩み止め性能を増大させつつ、接続構造の組み立て時に接触部をケースに容易に接触させることができる。
【0016】
本開示に係る接続構造は、前記摩擦増加部材は非磁性体製であることを特徴とする。
【0017】
本開示にあっては、摩擦増加部材が非磁性体製なので、電磁誘導による発熱が起きない。故に、電磁誘導による熱が導体及び接続具等に伝わってこれらの電気抵抗を大きくするという不都合を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の接続構造によれば、電気抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1に係る接続構造の模式的な断面図である。
図2】開閉器の模式的な断面図である。
図3】実施の形態2に係る接続構造の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について説明する。
【0021】
実施の形態 1.
図1は実施の形態1に係る接続構造の模式的な断面図である。
図1に示す接続構造においては、ケース1に端子2が収容されており、ケース1の内側にロッド3の一端部31が進入して端子2に接続されている。
【0022】
ケース1は、絶縁体製の周壁10と導電性の側壁11とを備える。
周壁10は円筒状をなす。側壁11は有底円筒状をなし、開口が周壁10に向くようにして周壁10に同軸に配されており、周壁10の軸長方向の一端の開口を閉鎖している。側壁11の一部は、円柱状の突出部111である。突出部111は側壁11の底壁から外向きに、且つ側壁11に同軸に突出している。側壁11及び突出部111にわたって、円形断面を有する貫通孔12が側壁11に同軸に設けられている。図1におけるケース1は、周壁10の軸長方向が左右に延び、周壁10の左側の開口が側壁11により閉鎖されており、突出部111が側壁11から左向きに突出する向きで示されている。以下では、ケース1の軸長方向を左右方向という。
【0023】
端子2は導電性を有し、円筒状をなす。端子2の内径は貫通孔12の内径以下である。端子2の内周面には雌ネジ21が設けられている。端子2は、軸長方向が左右に向き、左端開口が貫通孔12の右端開口に向くようにして、ケース1に同軸に収容されている。
ケース1の側壁11と端子2とは互いに電気的に接続されている。例えば、側壁11の内面に図示しない導電性の支持用金具が固定され、この支持用金具に端子2が支持されることによって、側壁11と端子2とが互いに電気的に接続される。又は、端子2が側壁11の内面に溶接されることによって、側壁11と端子2とが互いに電気的に接続される。
【0024】
ロッド3は導体であり、円形断面を有する。ロッド3の一端部31の外周面には、雌ネジ21に螺合可能な雄ネジ32が設けられている。ロッド3の長手方向は左右に向く。ロッド3の一端部31は、ケース1の外側から貫通孔12を通して端子2の内側に右向きに進入することによってケース1の内側に進入しており、雄ネジ32と雌ネジ21との螺合によって端子2に接続されている。雄ネジ32は、ロッド3の一端部31から少なくとも左右方向の中途にわたって設けられている。即ち、ロッド3の、ケース1の外側に位置する外周面にも、雄ネジ32が設けられている。
【0025】
ケース1の外側にて、ロッド3に接続具4が取り付けられている。接続具4は円形断面を有する環状部材であり、導電性を有し、例えば銅製又は真鍮製である。接続具4の内周面には、雄ネジ32に螺合可能な雌ネジ41が設けられている。雄ネジ32と雌ネジ41との螺合により、接続具4は電気的に接続するようにしてロッド3に取り付けられている。ロッド3は接続具4の内側を同軸に貫通している。
【0026】
ケース1の側壁11と接続具4との間に、環状の非磁性体製の摩擦増加部材5が挟まれている。摩擦増加部材5は、食い違い型のバネ座金である。ロッド3は摩擦増加部材5の内側を貫通している。
摩擦増加部材5は側壁11の左面(外面)及び接続具4の右端面夫々に接触している。摩擦増加部材5が側壁11の左面及び接続具4の右端面夫々に摩擦することにより、ケース1と接続具4との間の摩擦が増加する。即ち、摩擦増加部材5により、ロッド3に取り付けられている接続具4とケース1との間の摩擦が増加するので、ロッド3がケース1から抜け出すことが防止される。また、ロッド3を中心とする接続具4の回転が摩擦によって阻止される。
【0027】
側壁11と接続具4との間に挟まれている摩擦増加部材5は、弾性により、ケース1及び接続具4夫々に、両者が離隔する方向の外力を加える。この外力はケース1を介して端子2にも伝わるので、端子2の雌ネジ21及び接続具4の雌ネジ41夫々とロッド3の雄ネジ32とが左右方向に互いに強く接触して摩擦し合う。
以上の結果、摩擦増加部材5はロッド3に対する端子2及び接続具4夫々の緩み止めとして機能する。
摩擦増加部材5の内側には右側から側壁11の突出部111が進入している。突出部111の先端面は、摩擦増加部材5の左右方向の半ばに位置している。
【0028】
接続具4には円環状の接触部42が同軸に一体に設けられている。接触部42の内径は接続具4の内径以上であり、ロッド3は接触部42の内側を貫通している。接触部42は接続具4の右端面から右向きに突出しており、左側から摩擦増加部材5の内側に進入して側壁11の突出部111の先端面に接触している。つまり、接触部42は導電性を有し、接続具4に電気的に接続されており、摩擦増加部材5の内側を通って側壁11の外面に接触している。
【0029】
接触部42の内径が接続具4の内径に等しい場合、接触部42の内周面に、接続具4の雌ネジ41に連続する雌ネジが設けられていてもよい。接触部42の内周面に雌ネジが設けられている場合、ロッド3の雄ネジ32は接触部42の雌ネジにも螺合する。
【0030】
接触部42は、摩擦増加部材5の内側を通る。摩擦増加部材5の内側が接触部42の配置スペースとして有効利用されるので、コンパクトな接続構造の実現を図ることができる。
【0031】
接続具4はロッド3に電気的に接続されている。接触部42は接続具4に一体であり、且つ側壁11の外面に接触している。側壁11は端子2に電気的に接続されている。故に、端子2とロッド3との間の通電経路には、端子2及びロッド3を互いに直接的に結ぶ経路のみならず、端子2、側壁11、接触部42、接続具4、及びロッド3をこの順に結ぶ経路が含まれる。換言すれば、端子2とロッド3との間の通電経路が広いので、端子2とロッド3との接続部分の電気抵抗を小さくすることができる。従って、端子2とロッド3との接続部分の電気抵抗によりこの部分が発熱して、電気抵抗を更に大きくするという不都合を防止することができる。
【0032】
しかも、摩擦増加部材5が非磁性体製なので、電磁誘導による発熱が起きない。故に、電磁誘導による熱がロッド3及び接続具4等に伝わってこれらの電気抵抗を大きくするという不都合を防止することができる。
ケース1の外側に位置している接続具4とケース1の側壁11とを互いに電気的に接続するための接触部42が側壁11の外面に接触するので、本実施の形態の接続構造の構成は簡易である。
以上のような接続構造は、例えば開閉器に備えられる。
【0033】
図2は開閉器の模式的な断面図である。
図中7は開閉器であり、開閉器7は図1に示す接続構造を備える。
開閉器7は筐体71及び真空バルブ72を更に備える。筐体71は真空バルブ72を収容している。ケース1及び端子2は真空バルブ72のケース及び端子である。
筐体71は、図中左右方向に対向している2つの側壁711,712を有する。側壁711の左側/右側は筐体71の外側/内側である。側壁711を絶縁性の碍管73が左右方向に気密に貫通しており、碍管73の右端部は筐体71の内側にある。碍管73は側壁711に固定されている。
【0034】
図1及び図2に示すように、碍管73の外周面の右端部にはフランジ731が設けられている。ロッド3は碍管73を貫通している。ロッド3の一端部31は碍管73の右端部から露出して筐体71の内側に位置している。ロッド3の他端部は碍管73の左端部から露出して筐体71の外側に位置している。ロッド3の他端部には、電線に接続される端子(各不図示)が設けられている。
【0035】
碍管73の右端部には介在部材74が取り付けられている。介在部材74は円板部741と円筒部742を一体に有する。円筒部742はロッド3に貫通されており、ロッド3の外周面と碍管73の内周面との間に介在している。円板部741はロッド3に貫通されており、碍管73のフランジ731の右端面を覆っている。フランジ731の右端面と接続具4の左端面との間には、円板部741と、ロッド3に貫通された平座金76とが介在している。平座金76は、接続具4が円板部741に食い込むことを防止している。介在部材74は、開閉器7の組み立て時にロッド3の芯出しのために用いられる。
【0036】
図2に示すように、側壁712を絶縁性の碍管75が左右方向に気密に貫通している。碍管75は側壁712に固定されている。碍管75を導電性のロッド77が貫通している。ロッド77の一端部は筐体71の内側に位置しており、ロッド77の他端部は筐体71の外側に位置している。ロッド77の他端部には、電線に接続される端子(各不図示)が設けられている。
【0037】
ケース1の内側には端子2とは異なる不図示の第2の端子が収容されている。ロッド77の一端部はケース1の内側に進入して第2の端子に接続されている。ロッド77の一端部と第2の端子との接続構造は、ロッド3の一端部31と端子2との接続構造と同様の構造を有していてもよい。
真空バルブ72は、例えば作業者による不図示の操作部の操作に応じて、端子2と第2の端子との電気的な接続が継断されるように構成されている。端子2と第2の端子との電気的な接続が継断されることにより、ロッド3に接続される電線とロッド77に接続される電線との電気的な接続が継断される。
【0038】
なお、本実施の形態の接続構造を備える装置は開閉器に限定されず、例えば遮断器又は変圧器でもよい。
ところで、接触部42が存在しない場合、導電性の摩擦増加部材5を用いることが考えられる。摩擦増加部材5が導電性を有していれば、端子2、側壁11、摩擦増加部材5、接続具4、及びロッド3をこの順に結ぶ通電経路が生じる。しかしながら、必要十分な導電性を有し、且つ摩擦増加部材5として必要十分な弾性を有するバネ座金の入手は困難である。換言すれば、接触部42の存在により、端子2とロッド3との間の通電経路を広げる目的で摩擦増加部材5を利用する必要がない。
ケース1は部分的に導電性を有するが、全体的に導電性を有してもよい。
【0039】
実施の形態 2.
本実施の形態の接続構造は、接触部42に替えて接触部6を備える点、及び、摩擦増加部材5が複数の部材からなる点を除き、実施の形態1の接続構造と略同様である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0040】
図3は実施の形態2に係る接続構造の模式的な断面図である。
本実施の形態の摩擦増加部材5は2つの皿バネ座金51である。各皿バネ座金51は非磁性体であり、ロッド3は2つの皿バネ座金51夫々の内側を貫通している。2つの皿バネ座金51は、内面同士が向かい合わせになるようにして、ケース1の側壁11と接続具4との間に挟まれている。なお、2つの皿バネ座金51は、外面同士が向かい合わせになるようにしてケース1と接続具4との間に挟まれていてもよい。
【0041】
2つの皿バネ座金51が互いに接触して摩擦し合い、左側の皿バネ座金51が接続具4に摩擦し、右側の皿バネ座金51がケース1に摩擦するので、ケース1と接続具4との間の摩擦が増加する。2つの皿バネ座金51は、弾性により、ケース1及び接続具4夫々に、両者が離隔する方向の外力を加える。
以上の結果、実施の形態1の場合と同様に、摩擦増加部材5はロッド3に対する端子2及び接続具4夫々の緩み止めとして機能する。
【0042】
接触部6の構成は接触部42の構成と同様である。ただし、接触部6は接続具4とは別体であり、接触部6は側壁11の外面のみならず、接続具4の右端面にも接触している。接続具4と接触部6とが互いに別体なので、例えば、接続具4として市販の導電性のナットが利用され、接触部6として市販の導電性のカラ(collar)が利用されてもよい。なお、接続具4がカラであり、接触部6がナットであってもよい。
右側の皿バネ座金51の内側には右側からケース1の側壁11の突出部111が進入している。左側の皿バネ座金51の内側には左側から接触部6が進入して突出部111の先端面に接触している。つまり、接触部6は導電性を有し、接続具4に電気的に接続されており、摩擦増加部材5の内側を通って側壁11の外面に接触している。
【0043】
2つの皿バネ座金51は、内面同士又は外面同士が向かい合わせになるようにして接続具4とケース1との間に挟まれるので、皿バネ座金51のたわみ代を十分に大きくすることができる。2つの皿バネ座金51夫々が十分に撓むので、摩擦増加部材5の緩み止め性能を増大させつつ、接続構造の組み立て時に接触部6を側壁11に容易に接触させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ケース; 11 側壁(導電性部分); 2 端子; 21 雌ネジ; 3 ロッド(導体); 32 雄ネジ; 4 接続具(環状部材); 41 雌ネジ; 42 接触部; 5 摩擦増加部材(バネ座金); 51 皿バネ座金; 6 接触部
図1
図2
図3