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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044740
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】自律走行型掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A47L9/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150469
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 耐治
(72)【発明者】
【氏名】矢野 将
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則和
(72)【発明者】
【氏名】藤林 聡
(72)【発明者】
【氏名】東野 啓
(72)【発明者】
【氏名】野上 謙三
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DA00
(57)【要約】
【課題】部品点数の増加を抑制する自律走行型掃除機を提供する。
【解決手段】本発明の自律走行型掃除機Sは、走行モータ3m,4mと、ファンモータ22を備えた掃除機本体1と、走行モータ3m,4m、ファンモータ22を制御する制御装置30と、を備える。掃除機本体1には、掃除機本体1の上面から突出し、距離を測定するLiDARユニット40と、LiDARユニット40を覆うLiDARカバー44と、を備える。制御装置30には、LiDARカバー44が障害物に接触したことを検知する検知スイッチ45が備えられている。LiDARカバー44には、LiDARカバー44と一体的に設けられ、LiDARカバー44を回動可能に軸支する回動軸44bと、LiDARカバー44と一体的に設けられ、LiDARカバー44の回動に伴って検知スイッチ45を押圧する検知スイッチ押圧部44dと、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪及び前記駆動輪を駆動する走行モータを備えた掃除機本体と、前記掃除機本体に備えられ、塵埃を集塵するダストケースと、前記掃除機本体に備えられ、吸引力を発生させるファンモータと、前記走行モータ、前記ファンモータに電力を供給する蓄電池と、前記走行モータ、前記ファンモータを制御する制御装置と、を備えた自律走行型掃除機であって、
前記掃除機本体には、前記掃除機本体の上面から突出して設置され、前記自律走行型掃除機と周囲との距離を測定する第1測距センサと、前記第1測距センサを覆うセンサカバーと、を備え、
前記制御装置には、前記センサカバーが障害物に接触したことを検知する検知スイッチが備えられ、
前記センサカバーには、前記センサカバーと一体的に設けられ、前記センサカバーを回動可能に軸支する回動軸と、前記センサカバーと一体的に設けられ、前記センサカバーの回動に伴って前記検知スイッチを押圧する検知スイッチ押圧部と、を備えたことを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項2】
請求項1において、
前記回動軸は、前記掃除機本体の左右方向に伸び、前記センサカバーの前後方向の中心位置よりも前方に位置し、
前記検知スイッチ押圧部は、前記センサカバーの外周面より後方に向かって突出して設けたことを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項3】
請求項2において、
前記回動軸は、前記掃除機本体の上部を構成する上ケースに形成した軸受部と、前記上ケースによって覆われ、前記制御装置を構成する制御基板とにより支持することを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項4】
請求項3において、
前記上ケースには、切欠き部が形成され、
前記検知スイッチ押圧部は、前記切欠き部を通して前記検知スイッチの上方に位置するように配置したことを特徴とする自律走行型掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行して掃除を行う自律走行型掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行型掃除機には、自律走行型掃除機の筐体周囲の障害物を検知する検知手段が備えられている。障害物を検知する手段として、LiDAR(Light Detection and Ranging)がある。LiDARは発光部と受光部を備え、LiDARの中心を軸として発光部と受光部を回転させることにより、筐体周囲の障害物を検知する。LiDARは発光部と受光部を回転させるため、自律走行型掃除機の本体上面から突出するように設置される。
【0003】
自律走行型掃除機は、吸引モータを駆動して吸引力を発生させ、筐体の下面から吸込んだ塵埃を筐体内の集塵容器に集塵する。そして、自律走行型掃除機は、LiDARで検知した障害物を回避し、部屋全体の掃除を行う。このような自律走行型掃除機は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-112416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、例えばベッド等の下の隙間に入り込んで掃除を行う必要がある場合を考慮しなければならない。前記隙間が、製品外形よりも余裕をもって高い場合は、スムーズに走行が行われ、一定以上低い場合は製品前方に設けられた接触センサ(バンパ)などにより隙間に入り込めず回避行動等をとる。LIDARを備えた自律走行型掃除機は、LiDARを回転させ各方位の距離を計測するため本体上部から突出するように設置しなければならない。そのため、バンパで検知できる高さ限界と、製品が走行できる隙間高さに差異が生じてしまう。この高さに近しい隙間の下に自律走行型掃除機が入り込むと、ベッド等と床に挟まれ、動作不可能な状態になってしまう。
【0006】
この課題を解決するために特許文献1では、LiDARを保護するLiDARカバーに押圧され、軸を支点として回動するスイッチレバーと、このスイッチレバーで下方に押し込まれる衝突検知部を設け、LiDARカバーが障害物に衝突した際にスイッチレバーを押圧し、スイッチレバーが軸を支点として回動して衝突検知部を押し込むことにより、LiDARカバーが障害物に衝突したことを検知するようにしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、LiDARカバーが障害物に衝突した際に別部品であるスイッチレバーを介して衝突検知部を押し込むようにしているので、部品点数が多くなり、構造が複雑化するといった課題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決し、部品点数の増加を抑制する自律走行型掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の自律走行型掃除機は、駆動輪及び前記駆動輪を駆動する走行モータを備えた掃除機本体と、前記掃除機本体に備えられ、塵埃を集塵するダストケースと、前記掃除機本体に備えられ、吸引力を発生させるファンモータと、前記走行モータ、前記ファンモータに電力を供給する蓄電池と、前記走行モータ、前記ファンモータを制御する制御装置と、を備えた自律走行型掃除機であって、前記掃除機本体には、前記掃除機本体の上面から突出して設置され、前記自律走行型掃除機と周囲との距離を測定する第1測距センサと、前記第1測距センサを覆うセンサカバーと、を備え、前記制御装置には、前記センサカバーが障害物に接触したことを検知する検知スイッチが備えられ、前記センサカバーには、前記センサカバーと一体的に設けられ、前記センサカバーを回動可能に軸支する回動軸と、前記センサカバーと一体的に設けられ、前記センサカバーの回動に伴って前記検知スイッチを押圧する検知スイッチ押圧部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数の増加を抑制する自律走行型掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sの外観斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sの進行方向左側面図である。
図3】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sの底面図である。
図4】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sから上ケース1uを取り外した状態を示す斜視図である。
図5図1のV-V線断面図である。
図6図1のVI-VI線断面図である
図7】LiDARユニット40を示す斜視図である。
図8】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sを示す制御ブロック図である。
図9】本発明の実施例1に係る制御装置30の処理方法を示すフローチャートである。
図10】自律走行型掃除機Sの分解斜視図である。
図11図1のV-V線断面斜視図である。
図12】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sを含む掃除システムの構成図である。
図13】本発明の実施例1に係る制御装置30の構成を示すブロック図である。
図14】人の第一の特徴と自律走行型掃除機Sの動作を対応させた対応表を示す図である。
図15】人の動作を示す図である。
図16】自律走行型掃除機Sの認識状態を示す図である。
図17】自律走行型掃除機Sの移動状態を示す図である。
図18】本発明の実施例3に係るドローンDの外観斜視図である。
図19】ドローンDから上カバーを取外した状態においてドローンDを上方から見た外観斜視図である。
図20】ドローンDを下方から見た外観斜視図である。
図21】人の動作を示す図である。
図22】ドローンDの認識状態を示す図である。
図23】ドローンDの移動状態を示す図である。
図24】本発明の実施例4に係るゴミ識別方法のフローチャートである。
図25】情報端末装置100の表示結果の一例を示す図である。
図26】本発明の実施例5に係る消費電力を低減する手段を示すフローチャートである。
図27】本発明の実施例6に係る自律走行型掃除機Sを前後方向に垂直断面した側方概略断面図である。
図28】本発明の実施例6に係る自律走行型掃除機Sを水平方向に断面し上方から見た概略断面図である。
図29】実施例6の変形例に係る自律走行型掃除機Sを前後方向に垂直断面した側方概略断面図である。
図30】実施例6の変形例に係る自律走行型掃除機Sを水平方向に断面し上方から見た概略断面図である。
図31】本発明の実施例7に係る自律走行型掃除機Sを側方から見た概略図である。
図32】本発明の実施例7に係る自律走行型掃除機Sを上方から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0013】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【0014】
図中、天井側を上、床面側を下、自律走行型掃除機の進行方向側を前、自律走行型掃除機の進行方向反対側を後、自律走行型掃除機の進行方向左側を左、自律走行型掃除機の進行方向右側を右と定義する。
【実施例0015】
図1は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sの外観斜視図である。図2は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sの進行方向左側面図である。図3は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sの底面図である。図4は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sから上ケース1uを取り外した状態を示す斜視図である。図5は、図1のV-V線断面図である。なお、図5では、LiDARユニット40、その他周囲部品の位置関係等をわかりやすくするため、LiDARカバー44や一部部品は断面表示していない。図6は、図1のVI-VI線断面図である。図7は、LiDARユニット40を示す斜視図である。
【0016】
自律走行型掃除機Sは、所定の掃除領域(例えば、部屋の床面Y(図2図5参照))を自律的に移動しながら自動的に掃除する電気機器である。また、自律走行型掃除機Sは、掃除機本体1、掃除機本体1の側周を覆うバンパ2、一対の駆動輪3,4(図3参照)、補助輪5(図3参照)、及びサイドブラシ6を備えている。
【0017】
掃除機本体1は、上部を構成する上ケース1u及び底部を構成する下ケース1sを有する。また、掃除機本体1は、前後方向中央部1cよりも前方に本体前部1f、前後方向中央部1cよりも後方に本体後部1rを備えている。上ケース1uの本体前部1fには、上カバー1vが備えられている。掃除機本体1(上ケース1u)の上面は、前後方向中央部1cを境として上下方向の高さが異なるように段差状に形成されている。なお、前後方向中央部1cとは、必ずしも前後方向の中心位置を意味するものでは無く、段差が形成されている位置を意味するものである。
【0018】
掃除機本体1の本体前部1fには、LiDARユニット40(Light Detection and Ranging)が設置されている。LiDARユニット40は、本体前部1fの上面17aから上方に突出するように設けられている。
【0019】
また、掃除機本体1の本体後部1rには、自律走行型掃除機Sの運転停止を指令する複数の操作ボタン7(7a,7b,7c)と、塵埃を集塵するダストケース8が備えられている。ダストケース8は、本体後部1rから上方に向かって着脱可能に設けられ、本体後部1rから取り外す際に使用者の持ち手となる回動可能なハンドル8aが取り付けられている。詳細は後述するが、本体後部1rの上面17bは、本体前部1fの上面17aよりも高くなるように形成されている。
【0020】
バンパ2は、掃除機本体1の前後方向中央部1cよりも前側に設けられており、掃除機本体1の前後方向中央部1cに端部2aが設けられている。すなわち、バンパ2は掃除機本体1の前面、左右両側面のうち前後方向中央部1cの端部2aまで一体で形成されている。このように構成することにより、バンパ2に隙間が無くなり、バンパ2から漏れる音を抑制し、自律走行型掃除機Sの静音化が図れる。
【0021】
バンパ2は、少なくとも掃除機本体1の前方側の側周が水平方向、特に前後方向に可動な態様で設けられていればよい。また、バンパ2は、自律走行型掃除機Sが移動して障害物等に接触した場合、接触に伴う力で押されることで自律走行型掃除機Sの内側(自律走行型掃除機Sの前方側でバンパ2に接触した場合は、後方)に向けて変位することができる。
【0022】
図3に示すように、駆動輪3,4は、駆動部の一例としての車輪であり、下ケース1sに取り付けられている。また、駆動輪3,4自体が回転することで自律走行型掃除機Sを前進、後退、旋回(超信地旋回を含む)させることができる。また、駆動輪3,4は左右両側に配置されており、それぞれ走行モータ3m,4m(図4参照)及び減速機構3b,4b(図3参照)で構成される車輪ユニットにより回転駆動される。また、駆動輪3,4は、前後方向において略中央で、左右方向について下ケースの外周寄りに(外側に)設けられている。
【0023】
また、下ケース1sには、走行モータ3m,4m、アーム3a,4a、及び減速機構3b,4bを含んで構成される駆動機構を収容する駆動機構収容部11,11(図3参照)が設けられている。
【0024】
また、駆動輪3,4および駆動機構収容部11,11よりも後側には、回転ブラシ14を収容すると共にごみを吸い込む吸口部12、掻取りブラシ15などが設けられている。
【0025】
回転ブラシ14は、駆動輪3,4の回転中心を通る軸(左右方向)に略並行に配置されている。また、回転ブラシ14は、回転ブラシモータ14a(図4参照)によって駆動される。
【0026】
掻取りブラシ15は、回転ブラシ14の回転軸と平行に配置されている。また、掻取りブラシ15は、いわゆるリントブラシで構成され、所定の角度範囲内で回動するようになっている。
【0027】
補助輪5は、従動輪であり、自由回転するキャスタである。また、補助輪5は、前後方向において自律走行型掃除機Sの前方側、左右方向について略中央に設けられている。また、補助輪5は、駆動輪3,4とともに下ケース1sを床面Y(図5参照)から所定高さに保たせることに寄与する。また、駆動輪3,4及び補助輪5によって、自律走行型掃除機Sを円滑に移動させることができる。補助輪5は、自律走行型掃除機Sの移動に伴い床面Yとの間で生じる摩擦力によって従動回転し、さらに向きが水平方向に360°公転できるように、下ケース1sに軸支されている。
【0028】
サイドブラシ6は、掃除機本体1の左右方向中心から左右の何れかに寄せて配置され、一部が掃除機本体1よりも外側にあり、壁際等回転ブラシ14が届き難い場所の塵埃を掻き出し、吸口部12に導くブラシである。また、サイドブラシ6は、平面視において120°間隔で放射状に延びる3束のブラシを有し、下ケース1sの前側に配置されている。また、サイドブラシ6は、その根元がサイドブラシホルダ6aに固定されている。本実施例ではサイドブラシ6を進行方向左側に配置しているが、進行方向右側であっても良い。少なくとも左右の何れか一方、または両方に配置すれば良い。
【0029】
また、図3に示すように下ケース1sには、前後左右の4箇所に床面用測距センサ13a,13b,13c,13dが設けられている。床面用測距センサ13aは、補助輪5の前方に位置している。床面用測距センサ13cは、駆動輪4と左側のサイドブラシ6との間の外周側に位置している。床面用測距センサ13bは、床面用測距センサ13cに対して左右対称に位置している。床面用測距センサ13dは、掻取りブラシ15の後方に位置している。
【0030】
また、下ケース1sには、充電台と電気的に接続される接続部16が設けられている。接続部16は、サイドブラシホルダ6aと床面用測距センサ13aとの間に位置している。
【0031】
図1図2図4図5に示すように、自律走行型掃除機Sは、光を用いた測距センサの一例としてのLiDARユニット40(第1測距センサ)、カメラ(撮像部)50、測距センサ60(第2測距センサ),測距センサ61(第3測距センサ)、赤外線受光部70を備えている。
【0032】
LiDARユニット40(Light Detection and Ranging)は、自律走行型掃除機Sの外郭を構成する掃除機本体1の本体前部1fの上面17aから突出して設置される。カメラ50及び測距センサ60、赤外線受光部70は、図1に示すように、それぞれが正面側を向くように本体前部1fの前方に配置されている。LiDARユニット40は、後述するLiDARカバー44(センサカバー)によって覆われている。
【0033】
測距センサ61は、自律走行型掃除機Sの進行方向の左右のうち、サイドブラシ6が配置されている側の掃除機本体1の側面に配置されている。本実施例では、測距センサ61は、自律走行型掃除機Sの進行方向左側を向くように配置されている。
【0034】
赤外線受光部70は、充電台から発信される赤外線信号(充電台帰還信号)を受光する。
【0035】
本実施例の自律走行型掃除機Sは、掃除機本体1を駆動させる駆動輪3,4と、掃除機本体1に設けられるLiDARユニット40と、掃除機本体1の前面および側面に設けられるカメラ(撮像部)50と、掃除機本体1に設けられるカメラ(撮像部)50と、を備えることにより、清掃場所の地図を正確に作成することができる。
【0036】
図7に示すように、LiDARユニット40は上側の回転部40aと下側の固定部40bに分けられる。上側には赤外線等の光を用いて自律走行型掃除機Sと周囲との距離を測定する測距センサであるLiDAR41が構成されている。下側の固定部はLiDAR41を回転させるための回転駆動モータ42、回転駆動モータ42の回転をLiDAR41に伝えるベルト43と回転部が回転する際の固定部との摩擦力を軽減するベアリングで構成される。LiDAR41は発光部41aと受光部41bで構成され、発光部41aの発光角度と受光部41bの受光角度に基づいて三角法で物体との距離を測定する。本実施例では、発光部41aは赤外線の発光部であり、受光部41bは赤外線の受光部であり、これらが一つのユニットで構成されている。また、LiDARカバー44には、LiDAR41の赤外線を通過させるための切欠き開口44cが形成されている。また、開口を無くし、LiDAR41から発行される赤外線を透過する機能性樹脂の部品で覆われていても良い。赤外線を透過する機能性樹脂は、LiDAR41から発せられる赤外線の波長のみを透過する樹脂にすることで、様々な波長が混ざっている太陽光などの外乱を防ぐことができる。
【0037】
LiDARユニット40で測定した掃除機本体1の水平面上の角度と障害物との距離に基づいて、周囲の地図情報を作成しながら、地図上の掃除機本体1の位置、速度ベクトルを特定する。なお、長距離周囲検出センサはLiDAR41に替えて、ミリ波レーダや超音波センサなど1m以上測定できる測距センサであればよい。また、LiDARユニット40の回転部の回転角度は360°に限らず、ベルトをリンク機構に置き換えて、60°以上測定できればよい。回転は首振り動作としても良い。LiDARの距離の測定方法は三角法でなく発光部と受光部の光の位相差を利用したTime of Flight方式でもよい。
【0038】
また、LiDARユニット40は、LiDAR41の光の強度を変更することで、より遠方の障害物を検出できるものであっても良い。しかし、LiDAR41の光の強度を常に高くしておくと消費電力が増加するので、遠方の障害物を検出する必要がないときには、強度を低くするようにすると良い。また、回転駆動モータ42の回転数を上げることで、より詳細に障害物の検出を行うことができる。しかし、回転駆動モータ42も常に回転数を高くしておくと消費電力が増加するので、障害物を詳細な角度で検出する必要がないときには、回転数を低くするようにすると良い。
【0039】
カメラ(撮像部)50は、単眼カメラであり、掃除機本体1の前面の中心軸に位置している。
【0040】
また、カメラ50は、LiDARユニット40に比べて、物の形状や位置を正確に検知することができるので、障害物を避け易くなる。また、カメラ50は、LiDARユニット40に比べて上下方向の画角を広く取ることができるので、床面の障害物を避けることができる。例えば、床面にある衣服を巻き込んだり、コードがブラシに絡まったりするのを防止できる。このように、カメラ50をLiDARユニット40と併用することにより、広範囲の障害物の大まかな配置を検知しながら、近距離の障害物の形状と位置を明確に検知することができ、障害物を判別することが可能になる。
【0041】
また、カメラ50は、フレームレートを変化させることができるものである。例えば、近くの障害物を検知する際にはフレームレートを上げ、障害物が何もない広い場所を移動する際にはフレームレートを下げる。これにより、カメラ50を、常にフレームレートを上げた状態で作動させる必要がないのでカメラ50の消費電力を抑えることができる。
【0042】
このように、本実施例ではLiDAR41とカメラ50との両者を利用することで、障害物までの距離情報と形状情報とを高精度に検知可能である。より具体的には、掃除領域の地図を作成するに際して、検知した障害物等の位置情報を主に又は専らLiDAR41を利用して検知及びマッピングし、形状情報を主に又は専らカメラを利用して検知及びマッピングすることができる。これらの連関を高精度にするため、本実施形態ではLiDAR41とカメラとを互いに隣接させて(離間距離が10cm、5cm又は3cm以内)設けている。
【0043】
さらに、LiDAR41によって検知した距離情報に基づいてカメラの焦点距離を調整したり掃除機本体1の移動速度を変更(例えば減速)したりしてもよい。
【0044】
測距センサ60(第2測距センサ)は、超音波センサであり、超音波を発して、その返ってくるまでの時間を計測して障害物との距離を測定する。測距センサ60は、掃除機本体1の正面左右両側の2箇所に設けられている。
【0045】
また、掃除機本体1の進行方向左側には、測距センサ61(第3測距センサ)は、LiDARより検知範囲が例えば1/10程度以上短く、比較的近傍の障害物(例えば1m程度、好ましくは50cm又は30cm程度まで以下)までの距離を測定する赤外線センサであり、例えばPSD(Position Sensitive Detector)センサによって構成される。測距センサ61は、赤外線を発光させる発光部と、赤外線が障害物で反射して戻ってくる反射光を受光する受光部とを有している。受光部によって検出される反射光に基づいて、障害物までの距離が算出される。具体的には反射光を受ける位置、反射光を受けるまでの時間、反射光の量、強さ等に基づいて、障害物までの距離が算出される。なお、測距センサ61は、PSDセンサに限定されるものではなく、超音波センサとしてもよい。このようにサイドブラシ6が配置されている側に測距センサ61を設けることにより、自律走行型掃除機Sを壁際まで寄せてサイドブラシ6を壁際に接触することができ、壁際に沿った掃除を行うことができる。
【0046】
自律走行型掃除機Sは、接続部16を介して充電台と電気的に接続され、蓄電池21に給電する。また自律走行型掃除機Sは、充電台から発信される3種類の赤外線LEDを赤外線受光部70で受信することで、受信した赤外線の種類に応じて掃除機本体1に対する充電台の方向を特定する。
【0047】
図5に示すように、自律走行型掃除機Sは、蓄電池21、ファンモータ22、塵埃センサ80、第1制御基板10a、第2制御基板10bを内部に備えている。
【0048】
蓄電池21は、ファンモータ22の前方に配置され、走行モータ3m,4m(図4参照)、サイドブラシモータ6b(図4参照)、回転ブラシモータ14a、ファンモータ22などの各種モータ、バンパセンサ(不図示)、カメラ50、測距センサ60,61、床面用測距センサ13a~13d、LiDARユニット40などの各種センサに電力を供給する。
【0049】
第1制御基板10a及び第2制御基板10bは、後述する制御装置30(図8参照)を構成する。第1制御基板10aは、自律走行型掃除機Sの前後方向に中央部の位置からLiDARユニット40を避けて前方に向かって延び、ファンモータ22の上方に配置されている。第1制御基板10aには、複数の操作ボタン7(7a,7b,7c)のそれぞれに対応した複数の操作スイッチ46(46a,46b,46c)と、後述するLiDARカバー44が障害物に接触したことを検知する検知スイッチ45が備えられている。
【0050】
第2制御基板10bは、自律走行型掃除機Sの前後方向に前方の位置で、ファンモータ22の前方(カメラ50、測距センサ60,61の後方)に配置されている。第1制御基板10aは、水平方向に延びるように配置され、第2制御基板10bは鉛直方向に延びるように配置されている。
【0051】
第1制御基板10aは、走行モータ3m,4m、サイドブラシモータ6b、回転ブラシモータ14a、ファンモータ22、塵埃センサ80、床面用測距センサ13a~13dなどを制御する。第2制御基板10bは、カメラ50、測距センサ60,61、LiDARユニット40などを制御する。本実施例では、制御基板を第1制御基板10a及び第2制御基板10bに分けて構成しているので、例えばカメラ50、測距センサ60,61、LiDARユニット40と第2制御基板10bとを接続する配線が短くすることができ、自律走行型掃除機Sの組み立て作業性を向上することができる。
【0052】
図5及び図6に示すように、蓄電池21は複数のセル21a,21b,21cから構成されており、セルの長手方向と直交する方向にセル21a,21bが前後に並ぶように配置され(図5参照)、セルの長手方向に沿ってセル21a,21cが直列に配置されている(図6参照)。本実施例では、サイドブラシモータ6bと蓄電池21が干渉すること無く、掃除機本体1の高さ寸法が増加することを抑制できる。
【0053】
ファンモータ22(図5参照)は、吸引力を発生させて、回転ブラシ14によって掻き取られた塵埃をダストケース8内に集塵させるものである。ファンモータ22は、モータ部22aと、モータ部22aによって駆動されるファン22bと、モータ部22aとファン22bを繋ぐ回転軸22cを備えている。また、ファンモータ22は、前後方向中央において駆動輪3,4間に設けられている。
【0054】
ダストケース8は、塵埃の入口となる流入口8cと、塵埃を収容する塵埃収容部8dと、流入口8cから流入した塵埃を塵埃収容部8dに案内するガイドリブ8eを備えている。ガイドリブ8eは上下方向(鉛直方向)に延びるように配置されている。図5の矢印Aで示すように、流入口8cから流入した塵埃は、ガイドリブ8eに沿って上方へ移動し、ガイドリブ8eの上端部の位置で流れ方向が変更され、前方に向かって移動し、塵埃収容部8dに収容される。ダストケース8とファンモータ22との間には集塵フィルタ8bが配置されている。
【0055】
ダストケース8に塵埃とともに取り込まれた空気は、集塵フィルタ8bを介してファンモータ22内に取り込まれる。ファンモータ22の排気は主に下ケース1sに形成された排気口1t(図4参照)から自律走行型掃除機Sの外部に排出されるが、一部が掃除機本体1の前方方向に排出し、排気を回転駆動モータ42の冷却に利用する。
【0056】
図5に示すように、本実施例のファンモータ22の回転軸22cは、掃除機本体1の前後方向に延びるように配置されると共に、自律走行型掃除機Sを床面Yに載置した状態で集塵フィルタ8b側(後方側)が高くなるように傾斜して配置している。回転軸22cに取り付けられたファン22bは、集塵フィルタ8bを向くようになり、流入口8c、ガイドリブ8e、塵埃収容部8d、集塵フィルタ8bへと流れる空気流れがスムーズになる。これにより、通風抵抗が抑止され、塵埃の捕集効率を向上することができる。
【0057】
図8は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sを示す制御ブロック図である。図8に示すように、制御装置30は、自律走行型掃除機Sを統括的に制御するものであり、例えばマイコン(Microcomputer)と周辺回路とが基板に実装されることで構成される。マイコンは、ROM(Read Only Memory)に記憶された制御プログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開し、CPU(Central Processing Unit)が実行することで各種処理が実現される。周辺回路は、A/D・D/A変換器、センサ駆動回路、蓄電池21の充電回路のほか、地図作成部、画像処理部、自己位置判定部、走行経路作成部、走行制御部を有している。
【0058】
また、制御装置30は、利用者による命令を入力可能な操作ボタン7の操作や、バンパセンサ(不図示)、床面用測距センサ13a~13d、測距センサ60、カメラ50、LiDAR41、塵埃センサ80、通信手段90から入力される信号に応じて演算処理を実行し、演算処理後の信号を出力する。図示はしないが、通信手段90は掃除機本体1の任意の位置に備えられている。制御装置30は、上記各センサに基づいて、走行モータ3m,4m、サイドブラシモータ6b、回転ブラシモータ14a、ファンモータ22、を制御する。
【0059】
自律走行型掃除機Sは、例えば使用者の指示、或いは予約された開始時間になると充電台から走行を開始し、床面等の掃除を実行する。掃除が終了すると、自律走行型掃除機は、充電台に帰還する。
【0060】
次に、制御装置30の処理方法について説明する。図9は、本発明の実施例1に係る制御装置30の処理方法を示すフローチャートである。
【0061】
カメラ50で撮影された情報は制御装置30(第2制御基板10b)で処理される。制御装置30には、物体群に含まれる各物体それぞれの形状、色相、その他について少なくとも1つ以上の情報について機械学習によって学習された情報と、物体群に含まれる各物体が清掃対象であるか否か、清掃難易度といった情報が記憶されている。ここで、物体群とは、自律走行型掃除機Sに検出させたい物体を当該自律走行型掃除機を生産する製造者が出荷前に選択、または使用者が任意に選択し情報を記憶させた少なくとも1つ以上の物体の集合を指す。制御装置30は、この学習された情報を基に、カメラ50で撮影された被写体が物体群に含まれる各物体である確信度C(確率)と映像中における被写体の位置情報を計算している。
【0062】
図9に示すように、カメラ50が物体を撮影し(ステップS901)、撮影した物体の被写体情報が制御装置30に送信される。
【0063】
制御装置30は、確信度Cに基づきカメラ50で撮影された被写体が清掃対象か否か判断する(ステップS902)。
【0064】
カメラ50で撮影された被写体が清掃対象の物体であると判定された場合(ステップS902のYES)、制御装置30は、確信度C1が所定の閾値TV1以上か否か判断する(ステップS903)。
【0065】
カメラ50で撮影された被写体が清掃対象の物体でないと判定された場合(ステップS902のNo)、制御装置30はステップS907の処理を実行する。
【0066】
確信度C1が所定の閾値TV1以上であると判定された場合(ステップS903のYES)、制御装置30は、自律走行型掃除機Sから被写体までの距離Lと、被写体の自律走行型掃除機Sの正面に対して位置する角度Aを推定する。距離Lおよび角度Aは、映像中に映った被写体の位置情報から推定する。すなわち、映像中に映る被写体の上下方向位置を距離Lに変換し、また、左右方向位置を使い角度Aを推定する。また、これらの推定にLiDAR41や測距センサ60など他のセンサ情報を用いても良い。
【0067】
確信度C1が所定の閾値TV1以上でないと判定された場合(ステップS903のNo)、ステップS901を実行する。
【0068】
制御装置30は、被写体を掃除すべく、被写体の位置に自律走行型掃除機Sが移動するように走行モータ3m,4mを駆動し、推定された距離Lと角度Aと、自律走行型掃除機Sの走行速度から、被写体に到達するまでの時間Tを計算する(ステップS904)。
【0069】
所定の時間T経過後、制御装置30は、自律走行型掃除機Sに設けられた塵埃センサ80がゴミを検知したか否かを判断し(ステップS905)、自律走行型掃除機Sに設けられた塵埃センサ80がゴミを検知したとき(ステップS905のYES)、制御装置30は、被写体が清掃された(ダストケース8内に吸引された)と判定し、使用者に報知する。
【0070】
報知するにあたって制御装置30は、確信度C1が所定の閾値TV2以上か否か判断する(ステップS906)。制御装置30は、確信度C1が任意の第二閾値TV2以上(TV1<TV2≦C1)のとき(ステップS906のYES)、被写体を物体と判定し、被写体のイメージと名称、被写体を清掃したことを報知する(ステップS906のYES)。このとき、制御装置30に記憶された物体の清掃難易度に応じて、ファンモータ22や回転ブラシモータ14aへの入力を変更し清掃することが可能である。
【0071】
一方、確信度Cが第二閾値TV2未満(TV1<C1<TV2)のときには、被写体を物体と判定せず、被写体51のイメージと、清掃したことのみを報知する(ステップS906のNo)。
【0072】
これにより、使用者は自律走行型掃除機Sが何を清掃したか(吸引したか)を具体的に知ることができ、使用者自身が不在時に自律走行型掃除機Sがどれだけ部屋を綺麗に掃除したかを知ることができる。また、意図せず床に落としてしまった所有物をもし吸引してしまった場合も、報知によって把握することが可能である。
【0073】
また、時間T経過後、塵埃センサ80が反応しなかったとき(ステップS905のNO)、制御装置30は、被写体が清掃されなかった(吸い残した)と判定し、被写体のイメージと清掃できなかったことを使用者に報知する。
【0074】
また、カメラ50で撮影された被写体が清掃非対象物体と判定された場合(ステップS902のNO)、制御装置30は、確信度C2が所定の閾値TV3以上か否か判断する(ステップS907)。
【0075】
被写体が清掃非対象物体である確信度C2が任意の閾値TV3以上と判断されたとき(ステップS907のYES)、制御装置30は、自律走行型掃除機Sが被写体を回避するように走行させる(ステップS908)。
【0076】
自律走行型掃除機Sが被写体を回避後、確信度C2が任意の閾値TV4以上(TV3<TV4≦C2)のとき(ステップS909のYES)、制御装置30は、被写体を物体と判定し、被写体のイメージと名称、被写体を回避したことを報知する。一方、確信度C2が閾値TV4未満(TV3<C2<TV4)のとき(ステップS909のNO)、制御装置30は、被写体を物体と判定せず、被写体のイメージと、自律走行型掃除機Sが回避したことを報知する。
【0077】
ここで、報知手段としては、例えば図12に示すような情報端末装置100に表示する。情報端末装置100に報知内容を表示するにあたっては、地図上に位置情報と共に表示する。または、地図と連動せず情報端末装置100にポップアップとして表示してもよいし、清掃された物体や清掃できなかった物体として一覧にするなど、使用者に情報を提供できる任意の手段とする。
【0078】
図12及び図13を用いて、自律走行型掃除機Sを含む掃除システムの構成及び地図作成方法について説明する。図12は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機Sを含む掃除システムの構成図である。
【0079】
図12において、本実施例の掃除システムは、自律走行型掃除機S、無線LANルーター200、情報端末装置100、家電サーバー300により構成されている。
【0080】
自律走行型掃除機Sは、宅内に設置された無線LANルーター200を介して、宅外の家電サーバー300に無線で接続することができる。また、自律走行型掃除機Sは、無線LANルーター200、家電サーバー300を介して、宅外及び宅内の情報端末装置100と通信を行うことができる。自律走行型掃除機Sは、宅内の情報端末装置100と通信を行う場合には、無線LANルーター200、家電サーバー300、無線LANルーター200、家電サーバー300を経由する。
【0081】
情報端末装置100は、無線LANルーター200、家電サーバー300を介して、自律走行型掃除機Sのスケジュール予約、掃除開始、停止の指示を行うことができる。スケジュール予約を受け付けた自律走行型掃除機Sは、設定された日時に掃除を開始する。また、掃除開始を受け付けた自律走行型掃除機Sは、充電台を離れ掃除を開始する。
【0082】
さらに、自律走行型掃除機Sは、LiDAR41と、カメラ50の情報に基づいて作成された地図情報を無線LANルーター200、家電サーバー300を介して、情報端末装置100に送信する。
【0083】
図13は、本発明の実施例1に係る制御装置30の構成を示すブロック図である。図13において、地図作成部31は、LiDAR41が検出した情報に基づいて自律走行型掃除機Sが掃除を行っている部屋の地図を作成する。地図作成部31で作成される地図情報は、二次元の格子状の地図である。
【0084】
画像処理部32は、カメラ50が撮影した画像データから障害物を識別し、障害物の相対位置に関する情報を取得して地図作成部31に送信する。
【0085】
自己位置判定部33は、LiDAR41が検出した情報に基づいて自律走行型掃除機Sの自己位置を判定し、地図作成部31に送信する。
【0086】
地図作成部31では、画像処理部32が特定した障害物の位置情報を含む障害物識別結果、自己位置判定部33が判定した自律走行型掃除機Sの自己位置を作成した地図上に書き込む。地図作成部31で作成された地図情報、障害物識別結果は、制御装置30の記憶部に記憶される。
【0087】
走行経路作成部34は、自己位置判定部33が判定した自律走行型掃除機Sの自己位置、及び記憶部に記憶された地図情報に基づいて、走行可能な範囲を計算すると共に、自己位置を起点とした自律走行型掃除機Sの走行経路を作成し、通信手段90、走行制御部35に送信する。
【0088】
走行制御部35は、作成された走行経路に従って自律走行型掃除機Sが走行するよう走行モータ3m,4mを制御する。
【0089】
デバイス制御部36は、自律走行型掃除機Sの走行に伴い、走行モータ3m,4m、サイドブラシモータ6b、回転ブラシモータ14a、ファンモータ22を制御する。
【0090】
通信手段90は、走行経路作成部34が作成した走行経路を家電サーバー300に送信すると共に、自己位置判定部33が判定した自律走行型掃除機Sの自己位置、記憶部に記憶された地図情報、記憶部に記憶された障害物識別結果を定期的に家電サーバー300に送信する。
【0091】
さて、自律走行型掃除機は、例えばベッドの下の隙間に入り込んで掃除を行う必要があるため、ベッドの下の隙間に合わせ高さ方向の寸法が制限される。自律走行型掃除機の筐体の上部にLiDARを備えたものにおいては、LiDARの上部位置が制限を受ける高さ方向の寸法となる。このため、自律走行型掃除機では、LiDARの上部位置をベースとして自律走行型掃除機の筐体を設計しているので、筐体の高さ方向の寸法が小さくなり、筐体内に設置される集塵容器の容量が小さくなるという課題があった。そのため、本実施例では、ダストケース8が備えられる本体後部1rの上面17bが、LiDARユニット40が設置される本体前部1fの上面17aよりも高くなるように形成されている。換言すると、本体前部1fの上面17aは、本体後部1rの上面17bよりも低く形成されている。ダストケース8の上面8uは、本体後部1rの上面17bと面一に形成されている。
【0092】
本実施例によれば、ダストケース8が備えられる本体後部1rの上面17bを、LiDARユニット40が設置される本体前部1fの上面17aよりも高くなるように形成するようにしているので、LiDARユニット40を搭載した自律走行型掃除機Sであっても、ベッド等の下の隙間に入り込んで掃除を行うことができると共に、ダストケース8の集塵容量を確保することができる。また、LiDARユニット40は本体前部1fの上面17aから突出するように設けているので、LiDARユニット40による障害物検知が阻害されることを抑制することができる。
【0093】
本実施例の自律走行型掃除機Sでは、LiDARユニット40の上面位置が、本体後部1rの上面17bよりも高くなっている。家具の種類によっては、自律走行型掃除機Sがベッド等の下の隙間に入り込んだ際、LiDARユニット40の上部がベッド等に引っ掛かり、自律走行型掃除機Sが走行不能となる可能性がある
自律走行型掃除機Sは、例えばベッドの下の隙間に入り込んで掃除を行う必要があるため、ベッドの下の隙間に合わせ高さ方向の寸法が制限される。また、回転などの動作をするLiDARユニット40では使用者が触れてしまう等の危険があるため、LiDAR41を覆い、使用者からの接触を保護するLiDARカバー44を設けなくてはならない。よって、自律走行型掃除機Sの筐体の上部にLiDARを備えたものにおいては、LiDARカバー44の上面44aが制限を受ける高さ方向の寸法となる。そのため、LiDAR41の発光部41aと受光部41bの検知範囲92と、カバー上面44aの高さ方向の間に、その他検知手段含め、検知不可範囲94ができてしまう(図5)。例えばベッドやソファなど、下側に隙間があり、測距センサ60やバンパ2では空間を検知してしまう場合、隙間の上面が前記高さ寸法の範囲にあるとLiDARユニット40がベッドやソファに衝突してしまう。このため、自律走行型掃除機では、LiDAR41を覆うLiDARカバー44を可動式にし、干渉する箇所に検知スイッチ45やそれに類するものを配置することで対応をしてきた。しかしながら、LiDARユニット40やLiDARカバー44など、検知に関係する部品が増えると製品高さが高くなってしまう。また、前記構造を解消するためには、方法のひとつとして前記構造の高さ方向で上下に部品等を配置せず高さを抑えることもできるが、その場合、製品の水平方向の寸法が大きくなってしまい、狭いスペースの掃除ができなくなってしまう。これを解決するための手段について図5図10図11を用いて説明する。
【0094】
図10は、自律走行型掃除機Sの分解斜視図である。図10では、上ケース1uにバンパ2を取り付けている状態で示している。図11は、図1のV-V線断面斜視図である。なお、図11では、LiDARユニット40、第1制御基板10aは断面していない状態で表示している。
【0095】
自律走行型掃除機Sは、下から下ケース1s、LiDARユニット40、第1制御基板10a、上ケース1u、LiDARカバー44、上カバー1vの順で組み立てられている。
【0096】
LiDARユニット40は、本体前部1fの上面17aから上方に向かって突出しており、LiDARユニット40の上部にはLiDARユニット40を覆うようにLiDARカバー44が配置されている。また、水平方向の製品外形抑制、ダストケース8の集塵容量確保のため、蓄電池21、LiDARユニット40、第1制御基板10a、LiDARカバー44を高さ方向(上下方向)に重ねるように配置している。
【0097】
LiDARカバー44は、左右方向に伸びLiDARカバー44の外周面より左右外側に向かって突出した回動軸44bを備えている。回動軸44bは、LiDARカバー44の前後方向の中心位置よりも前方に位置している。
【0098】
上ケース1uには、LiDARカバー44の回動軸44bを挿入する軸受部1wが備えられている(図5図6図10図11)。回動軸44bは、上部が軸受部1wに支持され、下部が第1制御基板10aにより支持される。
【0099】
LiDARカバー44には、LiDARカバー44を回動可能に軸支する回動軸44bが一体的に設けられている。LiDARカバー44は、回動軸44bと軸受部1wにより、回動軸44bより後方側が上下方向に回動可能となっている。回動軸44bと軸受部1wの接続はネジによる固定であってもよいし、凹凸のはめ込みなどであっても良い。
【0100】
また、LiDARカバー44は、LiDARカバー44の外周面より後方に向かって突出した検知スイッチ押圧部44dを備えている。検知スイッチ押圧部44dは、LiDARカバー44に一体的に設けられている。
【0101】
第1制御基板10aには、検知スイッチ45が設けられている。検知スイッチ45の上方に位置する上ケース1uには、切欠き部1u1が形成されている。
【0102】
LiDARカバー44を掃除機本体1に装着した状態において検知スイッチ押圧部44dは、切欠き部1u1を通して検知スイッチ45の上方に位置するように配置されている。すなわち、検知スイッチ押圧部44dは、検知スイッチ45と接触、開放となる位置に配置されている。検知スイッチ45は、上方に向かって付勢されており、LiDARカバー44に負荷が加わっていない状態においては検知スイッチ45が検知スイッチ押圧部44dを介してLiDARカバー44を支持している。
【0103】
そして、自律走行型掃除機Sが走行中、ベッド等の下の隙間に入り込み、LiDARカバー44の前方や上方が障害物に接触すると、LiDARカバー44が回動軸44bを支点として回動し、回動軸44bより後方側のLiDARカバー44が下方に移動する。LiDARカバー44と一体に形成された検知スイッチ押圧部44dは、LiDARカバー44と共に下方に移動し、検知スイッチ45を押圧する。
【0104】
検知スイッチ45が押圧されると、制御装置30は自律走行型掃除機Sが障害物に接触したことを検知し、障害物を回避するように走行モータ3m,4mを制御する。
【0105】
このようにすることにより、その他センサなどで検知できない障害物を回避したり、ベッドの下の隙間で床と隙間上面に挟み込まれ走行できなくなる状態になることを回避できる。
【0106】
本実施例では、検知スイッチ45として検知スイッチ押圧部44dと接触する接触式のスイッチを用いたが、検知スイッチ45をフォトインタラプタなどのように非接触型のものに置き換えても良い。
【0107】
また、制御装置30は検知スイッチ45が押圧されたことを検知した際、走行モータ3m,4m、回転ブラシモータ14a、ファンモータ22の運転を停止させるようにしても良い。そして、制御装置30は、各モータを停止後、通信手段90を介して使用者が所有する情報端末装置等に自律走行型掃除機Sが緊急停止したことを報知する。
【0108】
LiDARカバー44は前述したとおり上ケース1uに配置されているが、LiDARユニット40や蓄電池21は下ケース1sに配置されている。これは、LiDARユニット40など、第1制御基板10aに配線を介して信号や制御を伝達する電気系統の部品を第1制御基板10aと同一ユニットに配置することで、第1制御基板10aに配線をしやすくし、また配線の接続ミスの抑制や、配線確認を容易にしているためである。
【0109】
LiDARカバー44は単一部品であるため、LiDARカバー44を回転移動させるときにかかる力は小さくて済む。そのため、LiDARカバー44の姿勢補正や、検知スイッチ45押下後にフリーになった際、元の姿勢に戻すためのスプリングの様な部品が不要、または最小限の数で良く、大きな力が要らない小型で済むため、部品点数が少なく、原価の抑制、組立性の向上、製品の小型化をすることができる。
【0110】
実施例1によれば、検知スイッチ45を押圧する検知スイッチ押圧部44dをLiDARカバー44と一体に設けるようにしたので、部品点数の増加を抑制する自律走行型掃除機を提供することができる。
【0111】
なお、実施例1では、製品筐体内部の目隠しやデザイン性の向上のため、本体前部1fに上ケース1uを配置することで、回動軸44bが見えてしまうことにより美観が損なわれることを回避しているが、その他方法により回動軸44bを隠す、または回動軸44bを外観としたデザインとして扱っても良い。
【実施例0112】
自律走行型掃除機Sでは、動作を変更する際に、使用者は自律走行型掃除機Sの操作のために自律走行型掃除機S、または、自律走行型掃除機Sに電子または電波的に接続された情報端末装置やリモートコントローラなどの外部端末を直接操作する必要がある。自律走行型掃除機S、または、外部端末を直接操作するためには、どちらかに使用者自ら近づき操作しなくてはならず、利便性を欠いていた。以下、上記課題を解決するための手段について説明する。
【0113】
実施例2では、カメラ50が人の特徴や位置を認識し、人が追加操作可能な位置に自律走行型掃除機Sを移動させるようにしている。
【0114】
自律走行型掃除機Sのカメラ50は人の第一の特徴として、人の形状や色、動作、熱、生体電気、電磁波、または、声を認識することができる。次に、制御装置30には、上記人の第一の特徴を判定する判定部が備えられている。制御装置30の判定部では、人の第一の特徴と対応した自律走行型掃除機Sの第一の動作を判定する。
【0115】
図14は、人の第一の特徴と自律走行型掃除機Sの動作を対応させた対応表を示す図である。
【0116】
人の第一の動作の判定は、図14に示すように予め設定された人の第一の特徴と、自律走行型掃除機Sの第一の動作の対応表に基づいて判定される。例えば、人が「低い位置で手を振る動作」は自律走行型掃除機Sが「人が追加操作可能な位置への移動」に対応し、人が「手を上げる動作」は自律走行型掃除機Sが「人から離れる方向への移動」に対応する。ここで、人の動作とそれに対応した自律走行型掃除機Sの動作は上記の例に限定されるものではない。また、これらの対応表は、予め設定されたものでも良く、使用者が自ら設定したものでも良い。
【0117】
制御装置30は判定部にて判定された自律走行型掃除機Sの第一の動作に応じて自律走行型掃除機Sを制御する。以下図15乃至図17に具体例を示す。
【0118】
図15は、人の動作を示す図である。図16は、自律走行型掃除機Sの認識状態を示す図である。図17は、自律走行型掃除機Sの移動状態を示す図である。
【0119】
図15において、例えば人が床面近くの低い位置で手を振る動作を行う。自律走行型掃除機Sのカメラ50は、手を振る動作を撮像し、人の第一の特徴として取得する。次に、図16に示すように自律走行型掃除機Sは、人がいる位置をカメラ50や測距センサの何れか若しくは両方を利用して認識する。その後、制御装置30の判定部は、図14の対応表を参酌し、人が床面近くの低い位置で手を振る動作に対応する自律走行型掃除機Sの第一の動作は、人が追加操作可能な位置への移動であると判定する。それに伴い、制御装置30は人の手が操作ボタン7に届く範囲を目的地として移動経路を生成し、図17に示すように制御装置30は生成した移動経路に沿って自律走行型掃除機Sを動かすように車輪を駆動させる。制御装置30は自律走行型掃除機Sが目的地に到着した時点で移動を停止させ、人に操作されるまで待機する。
【0120】
ここでカメラ50は、人による追加操作として、人の第二の特徴を取得する。制御装置30の判定部は、人の第二の特徴と対応する自立移動装置の第二の動作を判定し、制御装置30は判定された第二の動作を実行するように自律走行型掃除機Sを制御する。
【0121】
人の第一または第二の特徴を取得する手段は、カメラ50に限らず、感熱機、電磁波受信機、収音機などでもよい。
【0122】
人の位置情報を取得手段はカメラ50や測距センサに限らず、電磁波受信機、収音機、距離検知機、位置検知機、速度検知機、加速度検知機、角速度検知機、角加速度検知機などでもよい。
【0123】
以上で説明したように、実施例2では、自律走行型掃除機Sは人の第一の特徴および位置情報を取得し、人の第一の特徴に応じた自律走行型掃除機Sの動作を判定し、実行させるための制御を行う。具体的には、人が低い位置で手を振る動作をすることで自律走行型掃除機Sを人が追加操作可能な位置に移動させることができる。これにより、使用者が自律走行型掃除機Sを操作する際の使用者の移動コストを削減することができ、かつ、自律走行型掃除機Sに高度な操作ができる。
【実施例0124】
次に実施例3について説明する。実施例3は、実施例2の自律走行型掃除機Sに代えて、ドローンを用いた例である。
【0125】
図18は、本発明の実施例3に係るドローンDの外観斜視図である。図19は、ドローンDから上カバーを取外した状態においてドローンDを上方から見た外観斜視図である。図20はドローンDを下方から見た外観斜視図である。ドローンDは、空中を飛行し、地上や周囲の撮影の他、貨物の運搬等ができるものである。
【0126】
ドローンDには装置本体を構成する部品を組み付けるベースとなる下ケース400があり、部品を本体内部に格納するための上カバー401が取り付けられている。上カバー401には、使用者がドローンDを操作するために最低限必要な操作スイッチ402を備えている。上カバー401の内側には、ドローンDを電子的に制御するためのソフトウェア(以下、制御ソフトと記述される場合もある)を搭載した制御装置403を備えている。
【0127】
制御装置403は、判定部及び制御部を備えている。制御装置403には圧力検知部が設けられ、操作スイッチ402を押下することを介して操作される。制御装置403はドローンDに搭載された電池(不図示)を電源として、制御装置403を駆動させる他、ドローンDに搭載された他の全ての電子機器を駆動するための電力を分配する。制御装置403は移動制御や画像処理等、複数機能を果たす場合もあり、機能毎に複数個に分けられていても良い。
【0128】
下ケース400周囲にはドローンDの移動手段として、羽根車404が搭載されており、制御装置403の制御部によって任意の移動制御ができるように駆動される。羽根車404の周囲には羽根車404を保護するための保護部材405が備えられている。
【0129】
下ケース400、及び保護部材405の周囲には、それぞれを接続するための支柱406が搭載されている。さらに下ケース400前方下部には、ドローンDの周囲を撮像するために、カメラ407が搭載されている。ドローンDには、図示しないがその他に、羽根車404を駆動させる駆動系、各種環境情報を取得するセンサ、LED等の表示部、スピーカ、電波送受信機、配線等、ドローンDが最低限必要動作するための部品を搭載されている。
【0130】
次に、撮像機37が人の特徴や位置を認識し、人が追加操作可能な位置にドローンDを移動させ、追加の操作を受けるまでの自律移動制御方法について説明する。本制御に入る前のドローンDの各種駆動系は停止していても良いし、動作していても良い。制御部はあらかじめ、認識できる人の特徴の情報を保持している。
【0131】
ドローンDのカメラ407は人の第一の特徴として、人の形状や色、動作、熱、生体電気、電磁波、声を認識することができる。次に制御装置403の判定部において、人の第一の特徴と対応したドローンDの第一の動作を判定する。第一の動作の判定は、図14に示すような予め設定された人の特徴とドローンDの動作の対応表に基づいて判定される。例えば、人が「顔の横で手を振る動作」はドローンDが「人が追加操作可能な位置への移動」に対応し、人が「手を上げる動作」はドローンDが「人から遠ざかる動作」と対応する。ここで、人の動作とそれに対応したドローンDの動作はこれらの例に限定されない。また、これらの対応表は、予め設定されたものでもよいし、使用者が自ら設定したものでもよい。
【0132】
制御装置403は判定部にて判定されたドローンDの第一の動作に応じてドローンDを制御する。以下図21乃至図23に具体例を示す。
【0133】
図21は、人の動作を示す図である。図22は、ドローンDの認識状態を示す図である。図23は、ドローンDの移動状態を示す図である。
【0134】
図21において、例えば人が顔の横で手を振る動作を行う。ドローンDのカメラ407は、手を振る動作を撮像し、人の第一の特徴として取得する。次に、図22に示すようにドローンDは、人がいる位置をカメラ407や測距センサ(不図示)の何れか若しく両方を利用して認識する。その後、制御装置403の判定部は、対応表を参酌し、人が顔の横で手を振る動作に対応するドローンDの動作は、人が追加操作可能な位置への移動であると判定する。それに伴い、制御装置403は追加の操作として、人の第二の特徴を得るために、撮像範囲に人の第二の特徴が大きく映る位置を目的地として、移動経路を生成する。さらに、図23に示すように、制御装置403は前記移動経路に沿ってドローンDを動かすように羽根車404を駆動させ、目的地に到着した時点で移動を停止し、人に操作されるまで待機する。ここでカメラ407は、人による追加操作として、人の第二の特徴を取得する。制御装置403の判定部は、人の第二の特徴と対応する自立移動装置の第二の動作を判定し、制御装置403の制御部は判定された第二の動作を実行するようにドローンDを制御する。
【0135】
人の第一または第二の特徴を取得する手段は、撮像機に限らず、感熱機、電磁波受信機、収音機などでもよい。また、人の位置情報を取得手段は撮像機や測距センサに限らず、電磁波受信機、収音機、距離検知機、位置検知機、速度検知機、加速度検知機、角速度検知機、角加速度検知機などでもよい。
【0136】
以上で説明したように、実施例3では、ドローンDは人の第一の特徴および位置情報を取得し、人の第一の特徴に応じたドローンDの動作を判定し、実行させるための制御を行う。具体的には、人が顔の横で手を振っている動作をすることで、ドローンDを人が追加操作可能な位置に移動させることができる。これにより、使用者がドローンDを操作する際の使用者の移動コストを削減することができ、かつ、ドローンDに高度な操作ができる。
【実施例0137】
次に実施例4について説明する。実施例4では、ごみの識別方法について説明する。自律走行型掃除機Sは、自動で掃除を行うため、ごみの種類に応じて動作させることが好ましい。また、自律走行型掃除機Sが吸込んだごみの種類を使用者が把握できることが好ましい。これらを解決するための手段について説明する。
【0138】
図24は、本発明の実施例4に係るゴミ識別方法のフローチャートである。図24に示す動作は、図8の制御装置30により実行される。
【0139】
図24に示すように、カメラ50が物体を撮影し(ステップS1001)、撮影した物体の被写体情報が制御装置30に送信される。
【0140】
制御装置30は、カメラ50で撮影された被写体が清掃対象か否か判断する(ステップS1002)。
【0141】
カメラ50で撮影された被写体が清掃対象の物体であると判定された場合(ステップS1002のYES)、制御装置30は、ごみの種類を識別する(ステップS1003)。制御装置30には、色、形といった特徴からごみの種類に関する情報が予め保存されており、カメラ50で撮影した物体の被写体情報とごみの種類に関する情報とを比較し、ごみの種類を識別する。カメラ50で撮影された被写体が清掃対象の物体でないと判定された場合(ステップS1002のNO)、制御装置30は、ステップS1001の処理を実行する。
【0142】
次に、制御装置30は、識別したごみが所定の重量以上であるか否かを判断する(ステップS1004)。例えば、制御装置30は、ごみが金属、プラスチック等と判断した場合にはごみが所定の重量以上であると判断する。
【0143】
識別したごみが所定の重量以上であると判断した場合(ステップS1004のYES)、制御装置30は、ファンモータ22を強運転し、吸引力を上げる(ステップS1005)。
【0144】
ファンモータ22を強運転した後、制御装置30は、走行モータ3m,4mを駆動させ、ごみがある位置に自律走行型掃除機Sを移動させる(ステップS1006)。
【0145】
ステップS1004において、識別したごみが所定の重量未満であると判断した場合(ステップS1004のNO)、制御装置30は、ステップS1006を実行する。
【0146】
次に、制御装置30は、識別したごみが自律走行型掃除機Sに吸引されたか否か判断する(ステップS1007)。この判断にあたっては、塵埃センサ80の検知結果を使用する。
【0147】
識別したごみが自律走行型掃除機Sに吸引された場合(ステップS1007のYES)、制御装置30は、通信手段90を介して使用者が保有する情報端末装置100に結果を送信する(ステップS1008)。識別したごみが自律走行型掃除機Sに吸引されていない場合(ステップS1007のNo)、制御装置30は、ステップS1007の処理を繰り返す。
【0148】
実施例4では、ごみが吸引された結果を情報端末装置100に送信するようにしている。図25は、情報端末装置100の表示結果の一例を示す図である。
【0149】
情報端末装置100の表示画面101には、掃除時間、掃除面積、マップ、掃除完了日時が表示されている。表示画面101に表示されるマップには、部屋の見取り図、被掃除面の種類、自律走行型掃除機Sの走行軌跡、吸込んだごみの位置が表示されている。
【0150】
吸込んだごみの種類を確認したい場合には、情報端末装置100の表示画面101に表示されているごみの位置をタッチすると、ポップアップ画面102,103が表示され、吸込んだごみの種類が表示される。図25では、一例として情報端末装置100に表示されているごみの位置をタッチすると、コイン、紙屑が表示される。
【0151】
実施例4によれば、ごみの種類を識別し、そのごみが所定の重量以上であるかを判断し、ごみが所定の重量以上の場合にファンモータを強運転するようにしているので、ごみの吸い残しを抑制できる。また、本実施例によれば、ごみが所定の重量未満の場合には、ファンモータを強運転しないようにしているので、消費電力を低減できる。さらに、吸込んだごみの位置と、吸込んだごみの種類を情報端末装置100に表示するようにしているので、コインのように自律走行型掃除機Sが誤って吸込んだものを把握することができる。
【実施例0152】
次に実施例5について説明する。実施例5では、消費電力低減方法の一例について説明する。自律走行型掃除機Sは、カメラ50、測距センサ60,61、LiDARユニット40等、3つ以上の複数のセンサを備えている。特に物体を撮影するカメラ50は消費電力が大きい。これを低減する手段について以下説明する。
【0153】
図26は、本発明の実施例5に係る消費電力を低減する手段を示すフローチャートである。
【0154】
自律走行型掃除機Sが走行を開始すると(ステップS1101)、測距センサ60,61、LiDARユニット40で障害物の有無を検知する(ステップS1102)。
【0155】
測距センサ60,61、LiDARユニット40が障害物を検知すると(ステップS1102のYES)、制御装置30は、カメラ50を起動する(ステップS1103)。測距センサ60,61、LiDARユニット40が障害物を検知しない場合(ステップS1102のNO)、ステップS1102の処理を繰り返す。
【0156】
カメラ50を起動後、制御装置30は、撮影した画像を認識し、障害物か吸引可能なごみかを判別する(ステップS1104)。
【0157】
撮影した画像が吸引可能なごみの場合(ステップS1105)、制御装置30は、走行モータ3m,4mを駆動し、自律走行型掃除機Sをごみに接近させて吸引する(ステップS1106)。
【0158】
一方、撮影した画像が障害物の場合(ステップS1107)、制御装置30は、走行モータ3m,4mを駆動し、自律走行型掃除機Sが障害物を回避するように動作させる(ステップS1108)。
【0159】
自律走行型掃除機Sがごみを吸引後、若しくは自律走行型掃除機Sが障害物を回避した後、制御装置30は、カメラ50を停止させる(ステップS1109)。
【0160】
カメラ50を停止後、制御装置30は、自律走行型掃除機Sを再度走行開始させる(ステップS1110)。
【0161】
実施例5によれば、3つ以上のセンサを搭載することで、今まで検知不可能であった障害物や障害物に対する自律走行型掃除機Sからの距離を検知できるようになり、自走中の走行性能を向上させることができる。また、カメラ50の起動時間を他センサで障害物を検知した時に限定することで、消費電力を抑えることができる。
【実施例0162】
次に実施例6について説明する。実施例6では、自律走行型掃除機Sから発生する騒音を低減する手段について説明する。自律走行型掃除機Sは、ファンモータ22、サイドブラシを駆動するサイドブラシモータ6b、回転ブラシを駆動する回転ブラシモータ14a、駆動輪3,4を駆動する走行モータ3m,4mといったように複数のモータを備えており、これらモータが騒音発生の原因となっている。掃除機本体の側面はバンパで覆われているが、バンパを稼働させるためにバンパは掃除機本体から隙間を開けて取り付けられており、この隙間かモータ音が漏れ出し、騒音となっている。特に、高速回転するファンモータ22、回転ブラシモータ14aから発生する騒音が顕著である。騒音を低減する手段について以下説明する。
【0163】
図27は、本発明の実施例6に係る自律走行型掃除機Sを前後方向に垂直断面した側方概略断面図である。図28は、本発明の実施例6に係る自律走行型掃除機Sを水平方向に断面し上方から見た概略断面図である。
【0164】
実施例6では、下ケース1sに載置したファンモータ22,回転ブラシモータ14aを掃除機本体1の後方側に寄せて配置すると共に、下ケース1sの上方に隙間が生じないように上ケース1uを配置している。そのため、掃除機本体1の周囲に配置するバンパ2を前方のみに配置している。
【0165】
ファンモータ22及び回転ブラシモータ14aを駆動すると騒音が発生するが、下ケース1sと上ケース1uは隙間なく接続されているので、ファンモータ22及び回転ブラシモータ14aから発生した音は、上ケース1u内で反射される。
【0166】
次に、実施例6の変形例について説明する。図29は、実施例6の変形例に係る自律走行型掃除機Sを前後方向に垂直断面した側方概略断面図である。図30は、実施例6の変形例に係る自律走行型掃除機Sを水平方向に断面し上方から見た概略断面図である。
【0167】
図27図28の構成と異なるところは、掃除機本体1の内部空間を仕切板500によって前後に仕切り、仕切板500によって仕切られた後方の空間にファンモータ22及び回転ブラシモータ14aを配置した点にある。
【0168】
変形例では、仕切板500を設けたことにより、掃除機本体1の後方空間に密閉度が高まり、音が漏れ出し抑制効果をより高めることができる。
【0169】
実施例6によれば、ファンモータ22及び回転ブラシモータ14aから発生した音が掃除機本体1の外に漏れ出すことを抑制し、騒音を低減することができる。
【実施例0170】
次に実施例7について説明する。実施例7では、自律走行型掃除機Sの吸口部12の浮き上がりを抑制する手段について説明する。
【0171】
図31は、本発明の実施例7に係る自律走行型掃除機Sを側方から見た概略図である。図32は、本発明の実施例7に係る自律走行型掃除機Sを上方から見た概略図である。
【0172】
自律走行型掃除機Sは、掃除機本体1の前後方向の中央部に駆動輪3,4が配置され、前方にサイドブラシ、後方に吸口部12が配置されている。自律走行型掃除機Sは、重心が駆動輪3,4よりも前方にあり、この駆動輪3,4を支点に掃除機本体1が前傾した場合、掃除機本体1の後方に配置された吸口部12が床面Yから離れ、ごみ取り性能が低下することがある。
【0173】
そこで、実施例7では、駆動輪3,4よりも吸口部12側(後方側)に錘600を配置している。錘600は、掃除機本体1の左右方向に分割して配置している。掃除機本体1に錘600を配置すると、自律走行型掃除機Sの重量が増加し、駆動輪3,4を駆動する走行モータ3m,4mの負荷が増加し、消費電力が増加する。そのため、本実施例では自律走行型掃除機Sの全体重量に対し、錘の重量を10%以下にしている。一般的な自律走行型掃除機Sの重量は2300g~2500g(錘を搭載していない重量)であるので、自律走行型掃除機Sに搭載する錘600は200g程度(左右の合計)とするのが好ましい。
【0174】
実施例7によれば、駆動輪3,4よりも吸口部12側(後方側)に錘600を配置するようにしているので、吸口部12が床面Yから離れるのを抑制し、掃除性能を向上することができる。
【0175】
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。
【符号の説明】
【0176】
S…自律走行型掃除機、1…掃除機本体、1c…前後方向中央部、1f…本体前部、1r…本体後部、1s…下ケース、1t…排気口、1u…上ケース、1v…上カバー、1w…軸受部、2…バンパ、2a…端部、3…駆動輪、3a…アーム、3b…減速機構、3m…走行モータ、4…駆動輪、4a…アーム、4b…減速機構、4m…走行モータ、5…補助輪、6…サイドブラシ、6a…サイドブラシホルダ、6b…サイドブラシモータ、7…操作ボタン、8…ダストケース、8a…ハンドル、8b…集塵フィルタ、8c…流入口、8d…塵埃収容部、8e…ガイドリブ、10a…第1制御基板、10b…第2制御基板、11…駆動機構収容部、12…吸口部、13a,13b,13c,13d…床面用測距センサ、14…回転ブラシ、14a…回転ブラシモータ、15…掻取りブラシ、16…接続部、17a,17b…上面、21…蓄電池、21a,21b,21c…セル、22…ファンモータ、30…制御装置、40…LiDARユニット、40a…回転部、40b…固定部、41…LiDAR、41a…発光部、41b…受光部、42…回転駆動モータ、43…ベルト、44…LiDARカバー、44a…上面、44b…回動軸、44c…切欠き開口、44d…検知スイッチ押圧部、45…検知スイッチ、50…カメラ、60,61…測距センサ、70…赤外線受光部、80…塵埃センサ、90…通信手段、92…検知範囲、94…検知不可範囲、100…情報端末装置、101…表示画面、102,103…ポップアップ画面、200…無線LANルーター、300…家電サーバー、D…ドローン、400…下ケース、401…上カバー、402…操作スイッチ、403…制御装置、404…羽根車、405…保護部材、406…支柱、407…カメラ、500…仕切板、600…錘
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