(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044741
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】家事支援システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240326BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150472
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
(72)【発明者】
【氏名】上野 真司
(72)【発明者】
【氏名】黒田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則和
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA22
(57)【要約】
【課題】
掃除など、家電機器を用いた家事の実施状況の把握を支援することを実現する。
【解決手段】
家電機器31~36と、端末装置10-1~10-4と、端末装置10-1~10-4と、家事支援装置20を有する家事支援システムにおいて、家電機器31~36が、家事のために稼働する稼働部309と、稼働部309の稼働を検知する稼働検知部303と、稼働に応じて、端末装置10-1~10-4と通信を行う家電通信部307を有し、端末装置10-1~10-4が、家電機器31~36との通信での電波強度を算出する電波強度算出部14と、家電機器31~36との通信での通信時間を算出する通信時間算出部15とを有し、家事支援装置20が、算出された電波強度および通信時間に基づいて、最良の端末装置を特定し、特定された最良の端末装置の使用者を、家電機器31~36の使用者として特定する家事実施者特定部23を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家電機器と、当該家電機器を使用する可能性のある複数の使用者の複数の端末装置と、前記端末装置と接続する家事支援装置を有する家事支援システムにおいて、
前記家電機器が、家事のために稼働する稼働部と、前記稼働部の稼働を検知する稼働検知部と、前記稼働に応じて、前記複数の端末装置のそれぞれと通信を行う家電通信部を有し、
前記家電機器と前記複数の端末装置それぞれとの通信での複数の電波強度を算出する電波強度算出部と、
前記家事支援装置が、算出された前記複数の電波強度に基づいて、最良の端末装置を特定し、特定された前記最良の端末装置の使用者を、前記家電機器の使用者として特定する家事実施者特定部を有する家事支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の家事支援システムにおいて、
前記家電機器と前記複数の端末装置それぞれとの通信での複数の通信時間を算出する通信時間算出部と、をさらに有し、
前記家事支援装置が、算出された前記複数の通信時間に基づいて、最良の端末装置を特定し、特定された前記最良の端末装置の使用者を、前記家電機器の使用者として特定する家事実施者特定部を有する家事支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の家事支援システムにおいて、
前記家電機器は、前記稼働部の稼働中に、前記端末装置と通信する家電通信部を有し、
前記電波強度算出部は、前記稼働部の稼働中の電波強度を算出し、
前記通信時間算出部は、前記稼働部の稼働中における通信時間を算出する家事支援システム。
【請求項4】
請求項2に記載の家事支援システムにおいて、
前記家事実施者特定部は、前記電波強度が最大強度であり前記通信時間が最長時間である端末装置を、前記最良の端末装置として特定する家事支援システム。
【請求項5】
請求項1または2に記載の家事支援システムにおいて、
前記家事支援装置は、さらに、前記家電機器による家事の実施の内容を特定する家事内容特定部を有する家事支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の家事支援システムにおいて、
前記家事支援装置は、さらに、前記家事の実施内容および家事実施者に応じて、当該家事に対するアドバイスを作成するアドバイス作成部を有する家事支援システム。
【請求項7】
請求項1または2に記載の家事支援システムにおいて、
前記家電機器は、前記家電通信部を使用者が把持するハンドル端部から掃除機ヘッドの間に設けた掃除機である家事支援システム。
【請求項8】
家事支援システムを構成する家電機器および家事支援装置と接続する複数の端末装置に含まれる第1の端末装置を、コンピュータとして機能させるためのプログラムにおいて、
前記家電機器は、家事のために稼働する稼働部と、前記稼働部の稼働を検知する稼働検知部と、前記稼働に応じて、前記端末装置を含む複数の端末装置のそれぞれと通信を行う家電通信部を有し、
前記家電機器との通信における電波強度を算出する電波強度算出部として機能させ、
算出された前記電波強度に基づいて、前記複数の端末装置から最良の端末装置を特定し、特定された前記最良の端末装置の使用者を、前記家電機器の使用者として特定することを実現するためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記家電機器との通信における通信時間を算出する通信時間算出部として機能させ、
算出された前記通信時間に基づいて、前記複数の端末装置から最良の端末装置を特定し、特定された前記最良の端末装置の使用者を、前記家電機器の使用者として特定することを実現するためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムにおいて、
前記家電機器は、前記稼働部の稼働中に、前記端末装置と通信する家電通信部を有し、
前記電波強度算出部は、前記稼働部の稼働中の電波強度を算出し、
前記通信時間算出部は、前記稼働部の稼働中における通信時間を算出するプログラム。
【請求項11】
請求項9に記載のプログラムにおいて、
さらに、前記第1の端末装置を、算出された前記電波強度および前記通信時間を、前記家事支援装置に送信する端末通信部として機能させ、
前記家事支援装置において、前記電波強度および前記通信時間に基づいて、前記電波強度が最大強度であり前記通信時間が最長時間である端末装置を、前記最良の端末装置として特定するプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記家事支援装置において、前記家電機器による家事の実施の内容を特定するプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムにおいて、
前記家事支援装置において、前記家事の実施内容および家事実施者に応じて、当該家事に対するアドバイスを作成するプログラム。
【請求項14】
請求項8または9に記載のプログラムにおいて、
前記家電機器は、前記家電通信部を使用者が把持するハンドル端部から掃除機ヘッドの間に設けた掃除機である家事支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家事を支援するための技術に関する。その中でも特に、家事の実行者、つまり、家事に用いられる家電機器の使用者等の実施状況を特定し、可視化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、共稼ぎ、在宅勤務の増加などによるライフスタイルの変化が生じている。この変化に伴い、分担など家事の在り方も変容している。この変容に伴い、精度よく家事の実施状況を把握することが求められている。実施状況の把握として、特許文献1が提案されている。
【0003】
特許文献1には、「掃除のモチベーションを高めること」を課題として、「掃除に用いられるほうきであって、ほうきは、掃除面積の算出に用いられるデータを取得するデータ取得手段と、前記データを送信する通信手段を備え、ほうきの柄に設けられた指紋認証システムにより使用者を特定する使用者特定手段を備え、前記通信手段は前記使用者を示す情報を送信し、さらに、掃除の開始および終了を特定する使用期間特定手段を備え、前記通信手段は、掃除の開始および終了を示す情報を送信する」ことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、上述の指紋認証の他、顔認証やボタンにより使用者を特定している。このため、特許文献1では、ほうき、つまり、家電機器の認証用の構成を追加する必要がある。このため、家電機器の構成が複雑化してしまう恐れがある。
【0006】
ここで、近年、スマート家電などと称される通信機能を有する家電機器が普及している。そこで、本発明では、家電機器の通信機能を利用して、より容易に家電機器の使用状況、つまり、家事の実施状況を把握することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では、家電機器と使用者の端末装置の通信状況を用いて家事の実施状況を把握する。より望ましくは、通信状況として、家電機器と端末装置間の通信における電波強度および通信時間が用いられる。
【0008】
より具体的には、家電機器と、当該家電機器を使用する可能性のある複数の使用者の複数の端末装置と、前記端末装置と接続する家事支援装置を有する家事支援システムにおいて、前記家電機器が、家事のために稼働する稼働部と、前記稼働部の稼働を検知する稼働検知部と、前記稼働に応じて、前記複数の端末装置のそれぞれと通信を行う家電通信部を有し、前記家電機器と前記複数の端末装置それぞれとの通信での複数の電波強度を算出する電波強度算出部と、前記家電機器と前記複数の端末装置それぞれとの通信での複数の通信時間を算出する通信時間算出部とを有し、前記家事支援装置が、算出された前記複数の電波強度および前記複数の通信時間に基づいて、最良の端末装置を特定し、特定された前記最良の端末装置の使用者を、前記家電機器の使用者として特定する家事実施者特定部を有する家事支援システムである。
【0009】
また、本発明には、家事支援システムを構成する各装置やこれらのサブシステムも含まれる。また、これら各装置やサブシステムで実行される家事支援方法も本発明に含まれる。
【0010】
さらに、上述の各装置やサブシステムないし家事支援システムを、コンピュータとして機能させるためのプログラムやこれを格納する記憶媒体も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、家電機器を用いた家事の実施状況の把握を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における家事支援システムのシステム構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態における家電機器の機能ブロック図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態における掃除機をスティック状態で充電台に収納した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態における掃除機本体の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態における端末装置の機能ブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態における端末装置のハードウエア構成図である。
【
図7】本発明の一実施形態における家事支援装置のハードウエア構成図である。
【
図8】本発明の一実施形態で用いられる使用者管理情報を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態で用いられる端末管理情報を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態で用いられる稼働履歴情報を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態で用いられる使用者履歴情報を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態で用いられるログデータを示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態の処理フローを示すフローチャートである。
【
図14】本発明の一実施形態における最良の端末装置の特定を説明するための図である。
【
図15】本発明の一実施形態において通信基板(家電通信部)をハンドル部付近に設けた原理を説明するための図である。
【
図16】本発明の一実施形態における表示画面を示す図(その1)である。
【
図17】本発明の一実施形態における表示画面を示す図(その2)である。
【
図18】本発明の一実施形態におけるアドバイス表示処理におけるデータの流れを示す図である。
【
図20】実施例1の処理の詳細を示すシーケンス図である。
【
図22】実施例2の処理の詳細を示すシーケンス図である。
【
図24】実施例3の処理の詳細を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について説明する。主たる使用対象の家電機器として、掃除機を用いて説明する。つまり、家事として、主に掃除の実施状況を把握する。また、掃除と他の家電機器を連携することも説明する。
【0014】
図1は、本実施形態における家事支援システムのシステム構成図である。
図1においては、家屋1内に家電機器31~36(以下、単に家電機器30と称する)が使用されている。また、家屋1の家族がそれぞれ端末装置10を有しているものとする。そして、これら家電機器30や端末装置10は、ルータ40を介して、もしくは直接互いに接続可能である。
【0015】
そして、ネットワーク50には、家事支援装置20が接続される。さらに、これら家電機器30や端末装置10は、ルータ40を介して、もしくは直接インターネット等で実現できるネットワーク50と接続する。さらに、端末装置10、家電機器30とルータ40、ネットワーク50間は、有線接続でも無線接続でも構わない。以下、これらの各装置について説明する。
【0016】
まず、家屋1には、家電機器30として、掃除機31、IH調理器32、電子レンジ33、冷蔵庫34、空気清浄機35および洗濯機36が使用されている。なお、家屋1は、家電機器30の使用領域の一例であり、他の領域にも本実施形態を適用できる。また、使用領域は、複数であってもよい。さらに、上述の各家電機器30も一例であり、その一部であってもよいし、他の家電機器を加えてもよい。
【0017】
ここで、
図2に、本実施形態における家電機器30の機能ブロック図を示す。
図2は、家電機器30それぞれを代表するものであり、共通化して記載している。
図2に示すように、家電機器30は、制御部301、通信状況判定部304、家電通信部307、表示操作パネル308および稼働部309を有する。そして、これらは通信路を介して互いに接続されている。以下、各構成について説明する。
【0018】
まず、制御部301は、制御信号作成部302、稼働検知部303および通信状況判定部304を有する。つまり、制御部301は、制御信号作成部302により、掃除等の当該家電機器30の機能を実現するための制御信号を作成、出力し、家電機器30の稼働を制御する。また、制御部301は、稼働検知部303は、当該家電機器30が、稼働中であるかを検知する。このために、稼働検知部303は、例えば、家電機器30の起動および停止を検知する。
【0019】
また、通信状況判定部304は、当該家電機器30と端末装置10間の通信状況を判定する。このために、通信状況判定部304は、例えば、電波強度算出部305および通信時間算出部306を有する。つまり、電波強度算出部305により、家電機器30と端末装置10間の通信における電波強度が算出される。また、通信時間算出部306により、家電機器30と端末装置10間の通信における通信時間や、通信頻度等が算出される。なお、通信状況判定部304については、その機能を端末装置10に設け、家電機器30から省略することも可能である。
【0020】
なお、制御部301は、MPU(Micro-Processing Unit)で実現可能であり、制御信号作成部302、稼働検知部303や通信状況判定部304は、専用ハードウエアやプログラムといったソフトウエアで実現できる。なお、稼働検知部303は、家電機器30の家電機器30の稼働に関する時系列データを収集し、これに基づき稼働時間を算出してもよいし、他の部、装置でのデータに基づき稼働時間を算出してもよい。
【0021】
また、家電通信部307は、ルータ40やネットワーク50を介した通信や近距離無線通信機能を有する。そして、家電通信部307は、通信状況を出力したり、端末装置10や家事支援装置20などから制御指示を受け付けたりする。また、表示操作パネル308は、使用者から家電機器30に対する操作を受け付けたり、家電機器30の稼働状況を出力したりする。なお、表示操作パネル308は、操作を受け付ける操作部(例えばボタン)と、表示を行う表示部に分けて構成してもよい。
【0022】
また、稼働部309は、制御部301からの制御に従って、各種機能を実行する。このために、例えば、制御信号作成部302で作成された制御信号が用いられる。実行される機能としては、掃除機能、調理機能、洗濯機能、冷凍機能等であり、電動送風機、ヒータ、圧縮器やモータ、アクチュエータなどで実現できる。なお、上記に加え、カメラ等のセンサを家電機器30に設けてもよい。特に、掃除機31に移動位置を検知する一(座標)センサやごみの量を検知するセンサや冷蔵庫34に庫内を撮影するカメラを設けることが望ましい。
【0023】
次に、本実施形態における主たる使用対象の家電機器30である掃除機31の構造について説明する。
図3は、本実施形態における掃除機31をスティック状態で充電台に収納した状態を示す斜視図である。そして、掃除機31は、掃除機本体310、延長管311および掃除機ヘッド312を備えて構成されている。また、掃除機31は、ハンディ状態、スティック状態など各種の使用状態に変更して掃除を行うことができるものである。掃除機31が収納される充電台60は、掃除機31をスティック状態で収納するものであり、ベース部材61と3つのスタンド部材62とホルダ部材63を備えて構成されている。そして、
図2に示す機能ブロックは、主に掃除機本体310に実装される。
【0024】
そこで、掃除機本体310の実装例について説明する。
図4は、本実施形態における掃除機本体310の断面図である。掃除機本体310は、ハンドル部313、表示操作パネル308、制御基板314、電動送風機315および通信基板316を有する。ハンドル部313は、使用者が掃除をするために把持する部位である。また、表示操作パネル308は、
図2で説明した部位である。なお、表示操作パネル308(表示部)については、充電台60に設けてもよい。また、制御基板314は、
図2の制御部301に相当する。
【0025】
また、電動送風機315は、粉塵を吸引する機能を有し、
図2の稼働部309に相当する。また、通信基板316は、
図2の家電通信部307に相当する。ここで、通信基板316は、ハンドル部313付近に設けられる。特に、
図4に図示したように、ハンドル部313に対向する位置に設けられ、使用者が直接把持しにくいことが望ましい。なお、シリンダー式においては、使用者が把持せずかつ掃除時に操作する部位(キャスターがつく掃除機本体ではない部位)に設けることが望ましい。よって、スティック式およびキャニスター式に共通して、使用者が把持するハンドル端部から掃除機ヘッド312の間に通信基板316を配置することが望ましい。そして、通信基板316は、掃除機31の使用時において上部に位置する掃除機本体310に設けられることが望ましい。このように、人体から離れ、上部、つまり、より高い位置に配置されることにより、通信基板316、つまり、家電通信部307での通信の電波が減衰しにくくなる。つまり、本実施形態における通信状況の判定がより容易になる。以上で、家電機器30、特に掃除機31の説明を終わり、
図1の説明に戻り、他の構成について説明する。
【0026】
図1において、端末装置10-1~10-4のそれぞれは、家族により、家電機器30の管理に利用されるもので、スマートフォン、携帯電話、タブレット、PCなどのコンピュータで実現できる。ここで、
図5は、本実施形態における端末装置10の機能ブロック図である。
図5において、端末装置10は、端末通信部11、稼働検知部12、通信状況判定部13、入力部16、出力部17および記憶部18を有する。
【0027】
そして、端末通信部11は、ルータ40やネットワーク50を介した通信や近距離無線通信機能を有する。また、稼働検知部12は、家電機器30の稼働検知部303と同様に、家電機器30の稼働を検知する。このために、端末通信部11が家電機器30から受け付けた家電機器30の稼働に関する時系列データを用いることができる。なお、稼働検知部303と稼働検知部12の少なくとも一方を省略することもできる。
【0028】
また、通信状況判定部13は、通信状況判定部304と同様に、当該端末装置10と家電機器30間の通信状況を判定する。このために、通信状況判定部13は、例えば、電波強度算出部14および通信時間算出部15を有する。電波強度算出部14は、電波強度算出部305と同様に、家電機器30と端末装置10間の通信における電波強度を算出する。また、通信時間算出部15は、通信時間算出部306と同様に、家電機器30と端末装置10間の通信における通信時間を算出する。なお、通信状況判定部304と通信状況判定部13の少なくとも一方を省略することもできる。さらに、電波強度算出部305と電波強度算出部14、通信時間算出部306と通信時間算出部15についても少なくともいずれか一方を省略してもよい。また、通信時間算出部15は、稼働部309の稼働中における通信時間を算出することが望ましい。
【0029】
また、入力部16は、使用者、つまり、家族から各種操作を受け付ける。また、出力部17は、家事状況や家事に関するアドバイス等の各種情報を出力する。なお、入力部16および出力部17は、タッチパネルのように一体で構成できる。さらに、記憶部18は、稼働検知部12や通信状況判定部13の処理、家電機器30や家事支援装置20の処理で用いられる各種情報などが記憶される。
【0030】
ここで、端末装置10の一実現例について説明する。
図6は、本実施形態における端末装置10のハードウエア構成図である。
図6において、端末装置10は、タッチパネル101、処理装置102、通信装置103、記憶装置104を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0031】
まず、タッチパネル101は、
図5の入力部16および出力部17を兼ねた構成であり、利用者の操作を受け付けたり、各種情報を表示したりする。なお、タッチパネル101は、入力デバイスと出力デバイスに分けて構成してもよい。また、処理装置102は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサで実現でき、後述する記憶装置104に記憶されている家電機器管理プログラム105(統合アプリ)に従って演算を実行する。
【0032】
そして、家電機器管理プログラム105は、その機能ごとに、稼働検知モジュール106、電波強度算出モジュール107および通信時間算出モジュール108で構成される。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。
【0033】
ここで、各モジュールと同一の機能を実行する
図5に示す構成は、以下のとおりである。
稼働検知モジュール106:稼働検知部12
電波強度算出モジュール107:電波強度算出部14
通信時間算出モジュール108:通信時間算出部15
なお、電波強度算出モジュール107および通信時間算出モジュール108は、通信状況を判定する通信状況判定モジュールとして構成してもよい。
【0034】
このため、処理装置102は、家電機器管理プログラム105に従って、稼働検知部12、電波強度算出部14および通信時間算出部15(通信状況判定部13)の処理を実行することになる。
【0035】
また、記憶装置104は、家電機器管理プログラム105、使用者管理情報109、端末管理情報110および使用者履歴情報111を記憶する。ここで、家電機器管理プログラム105は、家電機器30を管理するためのプログラムであってもよいし、家電機器30ごとの複数のプログラムで構成してもよい。後者については、掃除機31、IH調理器32、電子レンジ33、冷蔵庫34、空気清浄機35や洗濯機36各々の管理プログラムを用いることになる。
【0036】
なお、使用者管理情報109、端末管理情報110および使用者履歴情報111については、家事支援装置が記憶する情報を説明する際に追って説明する。
また、記憶装置104は、メモリのような主記憶装置と、いわゆるストレージである副記憶装置(記憶媒体)で実現してもよい。なお、副記憶装置は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどで実現してもよい。さらに、家電機器管理プログラム105、使用者管理情報109、端末管理情報110および使用者履歴情報111の少なくとも一部は省略できる。これは、後述の家事支援装置20で保持されていればよい。またさらに、家電機器管理プログラム105の少なくとも一部のモジュール(機能)を、端末装置10や家事支援装置20に設けてもよい。
【0037】
以上で
図6の説明を終わり、
図1の説明に戻る。家事支援装置20は、家電機器30の使用、つまり、家事の支援を実現するために設けられ、サーバ、クラウドといったコンピュータで実現できる。家事の支援としては、家事の実施状況の可視化やアドバイスの作成が含まれる。このために、家事支援装置20は、装置通信部21、家事状況特定部22、アドバイス作成部25および記憶部26を有する。
【0038】
ここで、装置通信部21は、ネットワーク50を介して、端末装置10や家電機器30と接続する。また、家事状況特定部22は、端末装置10や家電機器30からの情報に基づいて、家電機器30の使用、つまり、家事の実施状況を特定する。このために、家事状況特定部22は、例えば、家事実施者特定部23を用いて家事の実施者、つまり、家電機器の使用者候補を特定する。また、家事状況特定部22は、例えば、家事内容を、家事内容特定部24を用いて実施された家事の内容、つまり、家電機器30の使用内容を特定する。
【0039】
また、アドバイス作成部25は、家事状況特定部22で特定された家事状況に応じて、家事に関するアドバイスを作成する。なお、これら家事状況特定部22、アドバイス作成部25については、端末装置10や家電機器30に設け、家事支援装置20から省略してもよい。
【0040】
さらに、記憶部26は、使用者管理情報261、端末管理情報262、稼働履歴情報263、使用者履歴情報264、アドバイス作成ルール265およびログデータ266を記憶する。これら各情報については、追って説明するが、その前に家事支援装置20の一実現例について説明する。
図7は、本実施形態における家事支援装置20のハードウエア構成図である。
図4において、家事支援装置20は、処理装置201、通信装置202、メモリ203および副記憶装置204を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0041】
まず、処理装置201は、CPUなどのプロセッサで実現でき、後述する副記憶装置204に記憶されている家電機器管理プログラム205に従って演算を実行する。家電機器管理プログラム205については、後述する。
【0042】
また、通信装置202は、
図1の装置通信部21に該当し、ネットワーク50と接続し、他の装置との通信を行う。
【0043】
また、メモリ203および副記憶装置204が、
図1の記憶部26に該当する。そして、メモリ203は、副記憶装置204に記憶されている家電機器管理プログラム205や処理装置201での処理に用いられる情報が展開される。また、副記憶装置204は、いわゆるストレージで実現でき、家電機器管理プログラム205、使用者管理情報261、端末管理情報262、稼働履歴情報263、使用者履歴情報264、アドバイス作成ルール265およびログデータ266を記憶する。また、副記憶装置204は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどの各種記憶媒体で実現してもよいし、ファイルサーバのように家事支援装置20とは別装置で実現してもよい。
【0044】
ここで、家電機器管理プログラム205は、家事実施者特定モジュール206、家事内容特定モジュール207およびアドバイス作成モジュール208で構成される。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。
【0045】
ここで、各モジュールと同一の機能を実行する
図1に示す構成は、以下のとおりである。
家事実施者特定モジュール206:家事実施者特定部23
家事内容特定モジュール207:家事内容特定部24
アドバイス作成モジュール208:アドバイス作成部25
また、家事実施者特定モジュール206および家事内容特定モジュール207は、家電機器30の使用、つまり、家事の実施状況を特定する家事状況特定モジュールとして構成してもよい。
【0046】
このため、処理装置201は、当該プログラムに従って、家事実施者特定部23および家事内容特定部24(家事状況特定部22)やアドバイス作成部25の処理を実行することになる。
【0047】
次に、副記憶装置204に記憶する各情報について、
図6に示す情報と共に説明する。まず、
図8は、本実施形態で用いられる使用者管理情報261を示す図である。使用者管理情報261は、家電機器30を使用する使用者に関する情報である。
図8において、使用者管理情報261は、家族ごとに、使用者、住所、連絡先、端末装置、保有機器およびレイアウト情報の各項目を有する。まず、家族は、家屋1で生活する人の単位を示す。また、使用者は、家族の構成員や自律に駆動する家事ロボットを示し、「パパ」や「ロボット掃除機」などの属性、氏名、ニックネームで表現できる。家族の構成員およびロボット掃除機を含む家事ロボットを登録することによって、だれが当該家事を実施したのか表示が可能となる。なお、家事ロボットを登録した場合、家事ロボットが通信機能を有するため、使用者管理情報261には家事ロボット自身ないしその通信機器を示す情報が登録されることになる。
【0048】
住所は、該当の使用者の住所を示すが、家族として単一の住所としてもよい。また、連絡先は、該当の使用者の電話番号やメールアドレスなどの連絡先を示すが、家族として単一の連絡先としてもよい。
【0049】
また、端末装置は、該当の使用者が使用する端末装置10を示す。また、保有機器は、家屋1での家電機器30を列挙したものであるが、使用者毎の項目としてもよい。さらに、レイアウト情報は、家屋1で家電機器30を使用する対象、例えば、家屋のレイアウトを示す情報であり、座標情報等の位置情報と部屋の区分などが対応付けられて記憶されている。このため、レイアウト情報は、いわゆる地図(マップ)情報として実現できる。
【0050】
なお、家電機器30が有するセンサによっては、レイアウト情報は屋内の部屋の区分が示されるマップに限られない。例えば、レイアウト情報はエリア名リストであって、マップ表示はされないものの、どのエリア、例えば、リビング、寝室などの家屋1にあるエリアの名前を示す情報である。これによって、少ないセンサを有する家電機器30であっても、家屋1の情報を表示することができる。
【0051】
ここで、端末装置10が記憶する使用者管理情報109は、使用者管理情報261と同様の項目を有し、当該端末装置10を使用する使用者分のレコードで構成してもよいし、当該使用者の家族分のレコードで構成してもよい。
【0052】
次に、
図9は、本実施形態で用いられる端末管理情報262を示す図である。端末管理情報262は、端末装置10に関する情報である。
図9において、端末管理情報262は、端末装置ごとに、使用者、通信相手機器、通信状況の各項目を有する。使用者は、該当の端末装置の使用者を示す。通信相手機器は、家電機器30など該当の端末装置の通信相手となり得る機器を示す。
【0053】
通信状況は、該当の端末装置の通信の状況を示す。そして、本実施形態での通信状況は、通信中、電波強度および通信時間の各項目を有する。ここで、通信中は、該当の端末装置と通信相手機器が通信中かを示し、周期ごとなど所定規則に従って最新の情報に更新される。また、電波強度は、通信中における端末装置と通信相手機器の電波強度を示す。具体的には、通信中の時系列データであってもよいし、最新の通信中における最大値や平均値のような代表値を用いてもよい。また、通信時間は、通信中における端末装置と通信相手機器の通信時間、または所定時間内に通信が成立した頻度を示す。このため、通信時間として、通信開始時間および終了時間やその期間、通信頻度の何れかを用いることができる。なお、通信時間の算出方法については、端末装置側にある通信時間算出部15単独で通信時間もしくは通信頻度を算出しても、家電機器の通信時間算出部306単独で通信時間もしくは通信頻度を算出してもよい。また、それぞれが始点と終点を算出しても、各々算出して整合性を確認してもよい。
【0054】
ここで、端末装置10が記憶する端末管理情報110は、端末管理情報262と同様の項目を有し、当該端末装置10分のレコードで構成してもよいし、当該端末装置10の使用者の家族分のレコードで構成してもよい。
【0055】
また、
図10は、本実施形態で用いられる稼働履歴情報263を示す図である。稼働履歴情報263は、各家電機器30の稼働の履歴を示す情報である。
図10において、稼働履歴情報263は、家電機器ごとに、特定使用者および稼働状況の各項目を有する。特定使用者は、家屋1での使用者のうち、家事実施者特定部23で特定された使用者、つまり、家事実施者を示す。ここで、家事実施者特定部23が特定使用者を特定できない、もしくは、特定しない場合、該当項目にはブランク(-)が記録されることになる(
図10の第3レコード)。ブランクは、「その他」や「不明」などの単語(意味のある情報)を表示してもよい。
【0056】
また、稼働状況とは、家電機器30の稼働の状況を示し、稼働時間および稼働内容の各項目を有する。ここで、稼働時間とは、対象の家電機器30が稼働していた時間(開示から終了)を示す。また、稼働内容は、家事内容特定部24で特定された稼働の内容を示す。これは、実施された家事の内容を示すことになる。そして、本実施形態では、稼働内容として、家電機器の稼働位置やその運転内容などを示す。また、本実施形態では、家電機器ごとに、各特定特定者の稼働時間や稼働内容の合計(総計)を示すレコード(項目)を設けたが、省略してもよい。なお、端末管理情報262は、複数の家庭分の情報が含まれる。
【0057】
ここで、端末装置10に稼働履歴情報263に相当する情報を記憶してもよい。これは、稼働履歴情報263と同様の項目を有し、該当の端末装置10の家屋1で用いられる家電機器分のレコードで構成してもよい。
【0058】
また、
図11は、本実施形態で用いられる使用者履歴情報264を示す図である。使用者履歴情報264は、使用者ごとの家電機器30の使用の履歴、つまり、家事の実施履歴を示す。このため、
図11に示すように、使用者履歴情報264は、使用者ごとに、使用履歴を有する。使用履歴としては、例えば、家電機器、使用時間および使用内容の各項目を有する。使用時間は、稼働履歴情報263の稼働時間と同様の内容を示す。使用内容は、稼働履歴情報263の稼働内容と同様の内容を示す。使用者が自律的に家事を行う家事ロボットの場合は、家事ロボットによる家事成果が示されることになる。
【0059】
さらに、本実施形態では、使用者ごとに、各家電機器の使用時間や使用内容の合計(総計)を示すレコード(項目)を設けたが、省略してもよい。なお、使用者履歴情報264は、複数の家庭分の情報が含まれる。
【0060】
ここで、端末装置10が記憶する使用者履歴情報111は、使用者履歴情報264と同様の項目を有し、当該使用者分のレコードで構成してもよいし、当該使用者の家族をレコードとして構成してもよい。以上の各情報、特に、使用者管理情報109、端末管理情報110および使用者履歴情報111については、その少なくとも一部を省略してもよい。
【0061】
また、本実施形態におけるアドバイス作成ルール265は、稼働履歴情報263や使用者履歴情報264もしくは端末装置10の稼働履歴情報や使用者履歴情報111に基づき、家事に関するアドバイスを作成するための規則を示す。例えば、上述情報が示す内容とアドバイスの対応関係を示す。また、アドバイスの作成については、人工知能を用いて実行してもよい。なお、稼働履歴情報263や使用者履歴情報264もしくは端末装置10の稼働履歴情報や使用者履歴情報111については、まとめて家事に関する履歴情報として管理してもよい。
【0062】
また、
図12は、本実施形態で用いられるログデータ266を示す図である。ログデータ266は、家電機器30の稼働や端末装置10と家電機器30の通信に関するログデータである。例えば、
図12に示すように、家電機器30ごとの稼働状況および端末装置10と家電機器30の通信状況を含む。稼働状況は、家電機器ごとに、稼働時間および稼働内容の各項目を有する。ここで、使用時間および稼働内容は、稼働履歴情報263と同様の内容である。なお、稼働内容に含まれる座標情報は、上述の位置(座標)センサで検知することが可能であるが、ルータ40や、もしくはルータ40ではなく掃除機の充電台や各々の部屋の壁に備え付けられたコンセント等に設置されたその他電波発信源(図示せず)を用いて座標情報を特定してもよい。つまり、電波強度算出部305が、ルータ40等との電波強度を算出し、この電波強度とルータ40等の設置位置に基づいて座標情報を特定してもよい。
【0063】
また、通信状況は、通信機器ごとに、電波強度および通信時間の各項目を有する。通信機器とは、通信を行っている家電機器30と端末装置10を示す。また、電波強度および通信時間は、端末管理情報262のそれと同様である。なお、ログデータ266は、時間ごとに、稼働状況および通信情報を記録する構成としてもよい。なお、ログデータ266は、複数の家庭分のデータである。
【0064】
ここで、端末装置10が記憶するログデータ112は、ログデータ266と同様の項目を有し、当該使用者分のレコードで構成してもよいし、当該使用者の家族をレコードとして構成してもよい。以上の各情報、特に、使用者管理情報109、端末管理情報110、使用者履歴情報111およびログデータ112については、その少なくとも一部を省略してもよい。
【0065】
以上で各情報の説明を終わり、
図1の説明に戻る。ルータ40等は、各装置を接続するための機能を有するもので、家電機器30と同じ敷地内に設けられることが望ましい。なお、ルータ40等は省略もしくはホームサーバといった他の通信機器と説き替え可能である。また、ネットワーク50は、インターネットや公衆回線網等の通信網である。以上で、本実施形態の構成についての説明を終わる。
【0066】
次に、本実施形態の処理フローについて、説明する。
図13は、本実施形態の処理フローを示すフローチャートである。なお、本フローチャートでは、
図1、
図2、
図5の機能ブロック図の部位を参照して説明する。また、上述のように、本処理フローの使用対象として掃除機31を用いる。
【0067】
まず、ステップS1において、掃除機31は、充電台60に設置され、待機(充電)されている。また、ステップS2において、掃除機31の稼働検知部303が、掃除機31の稼働が開始されたかを判定する。このために、例えば、稼働検知部303は、表示操作パネル308において運転ボタンが押下されたかを判定する。また、稼働検知部303は、家電通信部307が端末装置10からの制御指令(稼働開始)を受け付けたかにより、本ステップの判定を行ってもよい。ここで、端末装置10からの制御指令については、端末装置10もしくはその使用者の識別情報含めてもよいし、含めなくともよい。前者の場合、後述の特定使用者の特定の代わりに、制御指令の端末装置10もしくはその使用者の識別情報を用いて、特定使用者特定してもよい。
【0068】
以上の結果、稼働が開始された場合(Y)、ステップS3に遷移する。開始されていない場合(N)、ステップS1に戻り待機する。
【0069】
また、ステップS3において、掃除機31の通信状況判定部304もしくは端末装置10の通信状況判定部13において、通信状況を判定する。ここで、通信状況とは、掃除機31と端末装置10-1~10-4のうち少なくとも1つとの間の通信における通信状況とその通信を行った端末装置10の対応関係を示す情報である。このために、掃除機31と端末装置10-1~10-4の少なくとも1つの間でビーコン通信やその返信などの通信が実行される。そして、その通信中に適宜通信状況が判定される。なお、通信中には、通信の終了後を含んでもよい。
【0070】
ここで、通信状況の判定としては、例えば、掃除機31の電波強度算出部305もしくは端末装置10の電波強度算出部14が、当該通信における電波強度の算出を行う。さらに、電波強度の算出に加え、掃除機31の通信時間算出部306もしくは端末装置10の通信時間算出部15が、当該通信における通信時間の算出を行ってもよい。この結果、電波強度算出部305もしくは電波強度算出部14では、電波強度を示す値とその通信を行った端末装置10の対応関係が特定されることになる。また、通信時間算出部306もしくは通信時間算出部15では、通信時間を示す値とその通信を行った端末装置10の対応関係が特定されることになる。これらが通信状況として扱われる。
【0071】
また、ステップS4において、稼働検知部303が、該当の掃除機31の稼働状況を収集する。これは掃除機31の稼働中に適宜実行される。本実施形態での稼働状況とは、掃除機31における
図10で説明した稼働状況を示し、当該掃除機31の識別情報と対応付けられた情報となる。
【0072】
また、ステップS5において、稼働検知部303が、掃除機の掃除機31の稼働が終了されたかを判定する。このために、例えば、稼働検知部303は、表示操作パネル308において終了ボタンが押下されたかを判定する。また、稼働検知部303は、家電通信部307が端末装置10からの制御指令(稼働終了)を受け付けたかにより、本ステップの判定を行ってもよい。ここで、端末装置10からの制御指令については、端末装置10もしくはその使用者の識別情報含めてもよいし、含めなくともよい。前者の場合、後述の特定使用者の特定の代わりに、制御指令の端末装置10もしくはその使用者の識別情報を用いて、特定使用者特定してもよい。以上の結果、稼働が終了された場合(Y)、ステップS6に遷移する。終了されていない場合、つまり、稼働中である場合(N)、ステップS3、ステップS4に戻り、稼働(掃除)を継続する。
【0073】
また、ステップS6において、家事支援装置20の家事実施者特定部23が、ステップS3で判定された通信状況が「最良」である端末装置10を特定する。ここで、最良とは、電波強度や通信時間に基づき、掃除機31との距離の関係性を示すもので、特にその近接性に基づくものである。
【0074】
ここで、最良の端末装置10を特定する理由および原理について説明する。
図14は、本実施形態における最良の端末装置10の特定を説明するための図である。
図14においては、端末装置10-1の方が、端末装置10-2より近接している(通信距離が短い)。この場合、各端末装置10と掃除機31が通信することを想定する。この場合、近接する端末装置10-1との通信の電波がより強く検知できる。逆に言えば、近接する端末装置10-1ほど掃除機31に近接して位置していることになる。ここで、端末装置10は、使用者がその名のとおり携帯するため、端末装置10-1の使用者が掃除機31に最も近くに位置していると推定できる。つまり、端末装置10-1の使用者が掃除機31を使用、つまり、家事を実施していると判定できる。
【0075】
さらに、
図15は、本実施形態において通信基板316(家電通信部307)をハンドル部313付近に設けた原理を説明するための図である。このような配置については、
図4を用いて説明したが、以下その原理について説明する、
図15(a)は、掃除機31を使用者100が使用した際の端末装置10の通信距離を説明するための図である。
図15(a)において、使用者100は、ズボンのポケットに端末装置10を入れて、掃除機31を使用している。ここで示されるように、ハンドル部313付近に通信基板316を設けた場合の方が、掃除機ヘッド312に設けた場合よりも通信距離が短くなる。この結果、ハンドル部313付近に通信基板316を設けた場合の方が、電波強度を大きく認識できるる面でより有利であると推測される。
【0076】
ここで、
図15(b)に端末装置10の高さごとに、その電波強度を測定した結果をグラフ形式で示す。また、このグラフでは、通信基板316の設置位置を「ハンドル部313付近」と「掃除機ヘッド312」とした場合のそれぞれについて測定されている。本グラフが示すように、端末装置10をズボンのポケット入れている場合に電波強度が極大となる。また、仮にポケットに端末装置10を入れていなくても、ほとんどの位置で通信基板316がハンドル部313付近に位置する方が、電波強度が大きくなる(強い)。また、端末装置10の一例であるウェラブル端末では、指輪や眼鏡などもあるが、これらもポケットの位置(高さ)により近く、電波強度の面でやはり有利に働くことが分かる。この結果、上述のように、本実施形態では、通信基板316(家電通信部307)をハンドル部313付近に設けている。
【0077】
また、最良の端末装置10の特定のために、ステップS6では、まず、装置通信部21が、家電通信部307もしくは端末通信部11から、ステップS3で判定された通信状況および稼働状況を受け付ける。なお、通信状況については、ステップS3やステップS4と並行的に逐次受け付けてもよい。
【0078】
そして、家事状況特定部22は、受け付けられた通信状況および稼働状況をそれぞれ記憶部26に、ログデータ266として記憶する。
【0079】
そして、家事実施者特定部23が、ログデータ266の通信状況から最良の通信状況を抽出する。例えば、家事実施者特定部23は、電波強度のうち最大の電波強度および/または最長の通信時間を特定する。但し、電波強度として、他の条件を用いることもできる。例えば、掃除機31の電波強度と最も近似するものを用いることができる。そして、家事実施者特定部23は、これらに該当する端末装置10を特定する。
【0080】
以上で
図15の説明を終わり、ステップS6の説明を続ける。ここで、最良の端末装置10の特定の1つの具体例について説明する。ここで、通信状況として、電波強度および通信時間を用いる。まず、家事実施者特定部23は、電波強度の値が最大の電波強度を特定する。これを受け、家事実施者特定部23は、特定された電波強度に対応する端末装置10(例えば、端末装置10-1)を特定する。また、家事実施者特定部23は、通信時間の値が最長の通信時間を特定する。これを受け、家事実施者特定部23は、同様に特定された通信時間に対応する端末装置10((例えば、端末装置10-2)を特定する。
【0081】
そして、家事実施者特定部23は、特定された端末装置10-1と端末装置10-2が一致するかを判定する。この結果、一致する場合は、家事実施者特定部23は、特定された端末装置10-1(ないし10-2)を最良の端末装置10として特定する。また、一致しない場合、最良の端末装置10は無し=ブランクとする。
【0082】
なお、本実施形態において、一致するかを以下のとおり判定してもよい。電波強度が最大もしくは通信時間が最長の端末装置10が同じでない場合、いずれか一方が最大(最長)であり、他方が所定の上位の順位である端末装置10を最良の端末装置10とする。上位の順位とは2位が好適であるが、複数順位を含める場合、最上位以外の観点がより上位である端末装置10を最良の端末装置10としてもよい。
【0083】
さらに、最良の端末装置10の特定の別の具体例について説明する。家事実施者特定部23は、電波強度の値および通信時間の値を、パラメータとして予め定めた計算式で計算を実行し、通信状況についての通信状況指標を算出する。そして、家事実施者特定部23は、通信状況指標を用いて最良の端末装置10を特定する。
【0084】
なお、本実施形態では、各具体例を組み合わせてもよい。例えば、最大の電波強度と最長の通信時間の端末装置10が一致しない場合、通信状況指標を算出してもよい。なお、通信状況指標を用いる場合、各端末装置10の通信状況指標の差が所定範囲内である場合や最大の通信状況指標が閾値以下の場合、最良の端末装置10は無し=ブランクとしてもよい。また、最大の電波強度や最長の通信時間が閾値以下の場合、最良の端末装置10は無し=ブランクとしてもよい。
【0085】
本ステップで、最良の端末装置10が特定されると、これが、掃除機31が稼働している際に、近隣に位置した端末装置10として特定されることになる。この結果、端末装置10を使用する使用者が掃除機31を使用して、掃除(家事)を実行したと推定できる。そして、本ステップでは、家事実施者特定部23は、特定された端末装置10の使用者を、使用者管理情報261もしくは端末管理情報262から、特定使用者として特定する
そして、ステップS7において、家事実施者特定部23が、ステップS5で最良の端末装置10、つまり、特定使用者が特定されたかを判定する。この結果、特定された場合(Y)、ステップS9に遷移する。また、特定されない場合(N)、ステップS8に遷移する。
【0086】
また、ステップS8において、家事実施者特定部23が、稼働履歴情報263において特定使用者にブランク(-)を記憶する。このように、ブランク、つまり、掃除機31の使用者(家事実施者)の推定が困難であることを記憶することで、別の使用者の特定操作を省略することができ、操作性の向上が図れる。すなわち、家事における使用者特定が使用者の認証が目的ではないため、ブランクであっても主たる目的の家事は達せられる他、他の使用者の特定操作を省略できることで、家事をスムーズに開始できる。
【0087】
また、ステップS9において、家事実施者特定部23が、稼働履歴情報263において特定使用者にステップS7で特定された特定使用者(例えば、パパ)を記憶する。また、本ステップでは、家事内容特定部24が、ステップS7やステップS8で記憶された特定使用者やブランクに関連するログデータ266を用いて、各情報を更新する。
【0088】
以下、この更新の具体例を説明する。家事内容特定部24は、ログデータ266のうち、通信状況を端末管理情報262および使用者履歴情報264に記憶する。つまり、端末管理情報262および使用者履歴情報264のうち通信状況の通信機に該当するレコードに、電波強度および通信時間が記憶される。なお、通信状況が取得された場合、端末管理情報262の通信中の項目に「〇」が記憶される。また、通信状況については、端末管理情報262および使用者履歴情報264の一方に記憶する構成としてもよい。
【0089】
また、家事内容特定部24が、稼働状況を稼働履歴情報263および使用者履歴情報264に記憶する。つまり、稼働状況を、端末管理情報262のうち稼働状況の対象である家電機器30(本例では掃除機31)のレコードに、稼働時間および稼働内容が記憶される。また、稼働状況を、より理解し易い使用状況(使用時間および使用内容)に変換し、使用者履歴情報264に記憶される。ここで、この変換には、使用者管理情報261のレイアウト情報などを用いることができる。なお、端末管理情報262および使用者履歴情報264、稼働履歴情報263および使用者履歴情報264については、それぞれ一方のみ設けてもよい。さらに、ログデータ266のみを設けてもよい。
【0090】
また、ステップS10において、家事状況特定部22が、ステップS9で記録された特定使用者および/または更新された情報の修正が必要かを判定する。このために、家事状況特定部22(家事実施者特定部23、家事内容特定部24)が、装置通信部21を用いて、ステップS9で記録された特定使用者および/または更新された情報を出力する。この結果、掃除機31の表示操作パネル308および/または端末装置10の出力部17に、これらの情報が表示される。例えば、更新された分の使用者履歴情報264が表示されるようにしてもよい。
【0091】
そして、本ステップにおいて、家事状況特定部22が、使用者からの修正の要否を受け付ける。より具体的には、掃除機31の表示操作パネル308および/または端末装置10の入力部16が、使用者から修正が必要である旨の入力を受け付けた場合、修正が要(Y)と判定する。また、使用者から修正が必要である旨の入力を受け付けない場合、修正が不要(N)と判定する。この結果、修正が要の場合(Y)、ステップS11に遷移する。また、修正が不要の場合(N)、ステップS12に遷移する。
【0092】
また、ステップS11において、装置通信部21が、掃除機31の表示操作パネル308および/または端末装置10の入力部16に対する使用者の修正入力を受け付ける。この修正入力には、表示された情報に対する修正内容の指定が含まれる。そして、ステップS9に遷移し、家事実施者特定部23や家事内容特定部24が、修正内容に応じて、各情報を更新する。
【0093】
また、ステップS12において、アドバイス作成部25が、更新された情報、例えば、使用者履歴情報264を用いて、家事に関するアドバイスを作成する。この際、更新された情報に、アドバイス作成ルール265を適用することになる。この結果、使用者A(パパ)の掃除時間がB(ママ)に比較して少ないので、Aの掃除を増やしましょう、といった家事に関するアドバイスが作成される。また、書斎の掃除が足りないので、次回は書斎も掃除をしましょう、寝室のごみ量が少ないため頻度を減らしても問題ないです、等のアドバイスも作成できる。これによれば、使用者や家事状況が加味されたアドバイスが生成されるため、より具体的なアドバイスで家事の効率化を提供できる。
【0094】
そして、アドバイス作成部25が装置通信部21を介して、アドバイスを出力する。この結果、掃除機31の表示操作パネル308および/または端末装置10出力部17がこれらのアドバイスを表示することになる。
【0095】
なお、ステップS12では、以下のような表示を行ってもよい。本ステップでは、更新された情報について、家事実施についてより理解し易い形式で表示を行うことも可能である。以下、この具体的な一例について説明する。まず、前提として、本例では、使用者履歴情報264を用いる。本実施形態では、家事状況特定部22が、使用者ごとの使用履歴に対する変換(修正、一部抽出、統計等)を行う。この結果、
図16や
図17に示す表示画面での表示が行われる。
【0096】
図16は、本実施形態における表示画面を示す図(その1)である。まず、
図16(a)は、1週間との期間における各使用者の掃除の時間を示す画面である。この画面は、使用者履歴情報264の各使用者の使用時間の合計を用いて作成される。なお、本実施形態では、掃除機31に加え、家事ロボットの一種であるいわゆるロボット掃除機(ロボ)を使用者として用いてもよい。この場合、掃除機31とロボット掃除機を掃除機グループとして管理し、それぞれの家事、つまり、掃除の実施状況(使用状況)を管理することになる。このような
図16(a)により、各使用者の掃除の実施状況が把握できる。特に、各使用者がどの程度掃除を分担しているかを直感的に把握できる。
【0097】
また、
図16(b)は、使用者ごとに、掃除したごみ量の割合を示している。このために、上述した掃除機31のごみの量を検知するセンサでの検知結果を用いる。このような表示を実現するために、ログデータ266の稼働内容にごみの量を含めることが望ましい。この結果、各使用者の掃除の分担に関し、(a)とは別観点で把握することが可能となる。
【0098】
さらに、
図16(c)は、使用者ごとに、掃除した場所(部屋)の割合を示している。このために、使用内容が用いられる。つまり、この画面は、使用者履歴情報264の各使用者の使用内容の合計を用いて作成される。この結果、各使用者の掃除の分担に関し、(a)や(c)とは別観点で把握することが可能となる。
【0099】
図17は、本実施形態における表示画面を示す図(その2)である。まず、
図17(a)は、カレンダに使用者(家事実施者)を重畳した画面である。この画面は、使用者履歴情報264の各使用者の日時ごとの使用時間を用いて作成される。このような
図17(a)により、各使用者がいつ掃除を分担しているかを直感的に把握できる。
【0100】
また、
図17(b)は、使用者ごとの掃除のランキングを示す画面である。このために、上述した掃除機31のごみの量を検知するセンサでの検知結果やメンテナンス(使用者履歴情報264の使用内容)を用いる。このような表示を実現するために、ログデータ266の稼働内容にごみの量や保守(メンテナンス)を含めることが望ましい。この結果、各使用者の掃除の分担を多角的に評価することが可能となる。
【0101】
さらに、
図17(c)は、家屋1に各使用者の掃除実績を重畳した画面である。このために、上述の使用内容や使用者管理情報261のレイアウト情報が用いられる。つまり、この画面は、レイアウト情報に使用内容を重畳して実現できる。この結果、各使用者の掃除の分担に関し、どの部屋を誰が掃除したかを直感的に把握することが可能となる。
【0102】
なお、
図16(a)~(c)や
図17(a)~(c)については、その少なくとも一部を組み合わせて表示することも可能である。この組合せには、一画面(含むスクロールで移動可能)の他、各画面を切替えて表示させてもよい。このような組み合わせて表示することで、家事の分担を多角的に把握することが可能なる。なお、これら
図16、
図17の表示は、ステップS10として実行してもよい。また、
図16、
図17の表示は、アドバイスの前提となる分析結果を示している。このため、これら分析結果とこれに対応するアドバイスを対応付けて表示してもよい。例えば、同じ画面内で並列表示してもよいし、ワンタッチで切り替えて表示してもよい。
【0103】
ここで、ステップS12における各装置間のデータの流れについて、説明する。
図18は、本実施形態におけるステップS12、つまり、アドバイス表示処理におけるデータの流れを示す図である。
図18(a)において、家事支援装置20は、掃除機31や充電台60、端末装置10に作成されたアドバイスを通知する。なお、掃除機31や充電台60に表示部がない場合は、端末装置10のみに作成されたアドバイスを通知する。この際、端末装置10については、最良の端末装置として特定された端末装置10-1に限定して、アドバイスを通知してもよい。さらに、使用者がアドバイスを要求した掃除機31や端末装置10に対し、限定的にアドバイスが通知されてもよい。
【0104】
そして、
図18(b)に示すように、通知されたアドバイスが、通知先の掃除機31や端末装置10で表示される。なお、
図16、
図17に示す分析結果も
図18に示すデータの流れで表示できる。
【0105】
なお、ステップS12、ステップS9までとは別サイクルで実行されてもよい。例えば、1週間といった所定周期で実行してもよい。
【0106】
以上で、本実施形態の説明を終わる。なお、本発明は、本実施形態に限定されず、様々な応用、変形が可能である。例えば、ステップS10およびステップS11は省略して、ステップS9の後にステップS12を実行してもよい。さらに、家事支援装置20が、家事状況を特定しているが、端末装置10や掃除機31を始めとする家電機器30で実行してもよい。
【0107】
またさらに、本実施形態は、以下の実施例1~4のような、より具体的な態様でも実現できる。このうち、実施例1~3では、特定使用者を特定するための処理(ステップS2~ステップS6)についての実施例であり、実施例4では掃除機31以外の家電機器30との連携に関する実施例である。以下、これら各実施例について説明する。
【実施例0108】
実施例1は、通信状況の判定に、ビーコンを利用する例である。
図19は、実施例1の概要を示す図である。まず、
図19(a)において、ルータ40等の発信源から掃除機31および端末装置10-1~10-4のそれぞれに、ビーコンIDを送信する(ビーコン通信を行う)。そして、掃除機31および各端末装置10-1~10-4において、ビーコン通信における電波強度および通信時間を算出する。
【0109】
次に、
図19(b)において、掃除機31および端末装置10-1~10-4のそれぞれから家事支援装置20に、算出された電波強度および通信時間を送信する。そして、家事支援装置20において、電波強度および通信時間から特定使用者を特定する。例えば、掃除機31の電波強度および通信時間に最も近似する端末装置10の使用者が特定使用者として特定される。
【0110】
以下、実施例1の詳細について説明する。
図20は、実施例1の処理の詳細を示すシーケンス図である。なお、実施例1~3のシーケンス図では、上述の実施形態におけるステップS2~ステップS6に該当する部分を抽出して説明する。このため、シーケンス図の符号は、
図13のフローチャートと対応付けている(シーケンス図の10の位がフローチャートに対応)。また、説明を簡易化するために、ログデータの収集(ステップS4)の説明は省略する。
【0111】
図20では、まず、ステップS21において、ルータ40等の発信源にて、掃除機31の稼働開始を検知する。具体的には、発信源は、掃除機31の家電通信部307から、掃除機31が稼働を開始したことを示す情報を受け付ける。このために、掃除機31は、稼働検知部303を用いる。
【0112】
稼働の開始を検知すると、発信源から掃除機31および端末装置10-1~10-4のそれぞれに、ビーコンIDを送信し、ビーコン通信を行う。このことによれば、使用者を特定したいタイミングのみでビーコン通信を行うため、掃除機31および端末装置10-1~10-4の通信に係る電力を抑制できる。
【0113】
そして、ステップS31において、掃除機31および各端末装置10-1~10-4にて、ビーコンを受信する。つまり、ステップS31-1において、掃除機31の家電通信部307がビーコンを受信する。また、ステップS31-2において、各端末装置10-1~10-4の端末通信部11もビーコンを受信する。
【0114】
また、ステップS32において、掃除機31およびにて、自身のビーコン通信の電波強度を算出する。つまり、ステップS32-1において、掃除機31の電波強度算出部305が、当該電波強度を算出する。また、ステップS32-2において、各端末装置10-1~10-4の電波強度算出部14が、当該電波強度を算出する。このことによれば、ビーコン通信において、掃除機31と各端末装置10-1~10-4の間で双方向の通信を行う必要がないため、安定して電波強度および通信時間の算出が可能となる。また、双方向の1対1の通信と異なり、電波強度の算出を各端末装置10-1~10-4で同時に行えるため、「最良」である端末装置の候補を早く絞り込める。
【0115】
なお、この際、掃除機31の通信時間算出部306および各端末装置10-1~10-4の通信時間算出部15が、受信タイミングを通信開始時間として検知することになる。そして、掃除機31および各端末装置10-1~10-4から家事支援装置20に対して、自身の電波強度を送信する。
【0116】
また、ステップS61-1において、家事支援装置20が、受信した電波強度に基づいて、使用者候補を特定する。例えば、家事実施者特定部23が、端末装置10-1~10-4の電波強度を、掃除機31の電波強度を比較して、所定条件を満たす端末装置10-1~10-4を抽出する。所定条件とは、その差分が所定位置以下であることや差分の上位であることが含まれる。そして、家事実施者特定部23は、抽出された端末装置10の使用者を使用者候補して特定できる。
【0117】
また、ステップS33-1において、発信源が、ステップS21から所定時間を経過したことを検知し、再度掃除機31および端末装置10-1~10-4のそれぞれに、ビーコンIDを送信し、ビーコン通信を行う。
【0118】
そして、ステップS31-3~ステップS32-4として、ステップS31-1~ステップS32-2と同様の処理を実行する。また、ステップS61-2において、ステップS61-1と同様の処理を実行するが、ステップS61-2では、ステップS61-1で特定された使用者候補を対象に、絞込みを行うことが望ましい。
【0119】
また、ステップS51において、ルータ40等の発信源にて、掃除機31の稼働終了を検知する。具体的には、発信源は、掃除機31の家電通信部307から、掃除機31が稼働を終了したことを示す情報を受け付ける。このために、掃除機31は、稼働検知部303を用いる。
【0120】
そして、ステップS31-5~ステップS32-6として、ステップS31-1~ステップS32-2やステップS31-3~ステップS32-4と同様の処理を実行する。但し、また、この際、掃除機31の通信時間算出部306および各端末装置10-1~10-4の通信時間算出部15が、ビーコンIDの受信タイミングを通信終了時間として検知することになる。この通信終了時間の検知に応じて、通信時間算出部306および通信時間算出部15が、上述の通信開始時間と通信終了時間を用いて、通信時間を算出する。このことで、掃除機31の稼働中における通信時間が算出できる。このことは、実施例2や3でも同様である。ただし、効率的な探索のために、所定の時間内は同じ端末と双方向通信を行わないといったような排他処理があることが望ましい。さらに、通信時間の算出と同様に、稼働部309の稼働終了まで電波強度が算出されるため、掃除機31の稼働中における電波強度が算出できる。このことは、実施例2や3でも同様である。なお、通信時間の算出には、所定時間内に通信が成立した頻度を用いてもよい。所定時間は、通信開始から通信終了までの一部またはすべてを含む時間である。所定の間隔でビーコンIDを送信し、各端末装置10-1~10-4がビーコンIDを受信できた頻度または回数を通信時間とする。これによれば、掃除機側と端末側の時間が精度よく一致していない場合であっても、どちらか一方の時計を用いて算出できるため、時計合わせの処理が不要となる。
【0121】
そして、掃除機31の家電通信部307および各端末装置10-1~10-4の端末通信部11が、該当の電波強度および通信時間を、家事支援装置20に送信する。
【0122】
また、ステップS61-3において、ステップS61-2と同様の処理を行う。そして、ステップS62において、家事支援装置20の家事実施者特定部23が、受信した通信時間を用いて、ステップS61-3で特定された使用者候補から特定使用者を特定する。このために、例えば、家事実施者特定部23は、使用者候補の端末装置10の通信時間が最長の端末装置10を特定し、この使用者を特定使用者とする。または、家事実施者特定部23は、使用者候補の端末装置10のうち、電波強度が掃除機31の電波強度と最も近似し、通信時間が最長の端末装置10を特定し、この使用者を特定使用者とすることも可能である。以上で、実施例1の説明を終わる。
また、ステップS32-1において、掃除機31の電波強度算出部305が、各端末装置10-1~10-4のビーコン通信の電波強度を算出する。そして、周期的にビーコン通信およびステップS32-1を実行する。つまり、ステップS32-2以降の処理が実行される。
また、ステップS51において、掃除機31の稼働検知部303が、掃除機31の稼働終了を検知すると、ステップS61に遷移する。この際、通信時間算出部306は、稼働終了時間と上述の通信開始時間を用いて、通信時間を算出する。そして、ステップS61において、通信状況判定部304が、使用者候補を特定する。以下、ステップS61の詳細を説明する。
ステップS61では、電波強度算出部305が、算出された各電波強度のうち、閾値以上の電波強度である端末装置10を抽出する。そして、電波強度算出部305が抽出された端末装置10の使用者を使用者候補として特定する。また、通信時間算出部306が、閾値以上の通信時間である端末装置10を抽出する。そして、通信時間算出部306が抽出された端末装置10の使用者を使用者候補として特定する。これらを受け、家電通信部307は、家事支援装置20に、抽出された使用者候補と、これに対応する電波強度および通信時間を送信する。
そして、ステップS62において、家事支援装置20の家事実施者特定部23が、受信した使用者候補から特定使用者を特定する。このために、例えば、家事実施者特定部23は、使用者候補の端末装置10の電波強度が最大であり、通信時間が最長での端末装置10を特定し、この使用者を特定使用者とする。なお、この特定方法は、実施形態で説明した内容など、本例に限定されない。また、ステップS62については、掃除機31や端末装置10のいずれかで実行してもよい。以上で、実施例2の説明を終わる。