(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044778
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/34 20060101AFI20240326BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240326BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240326BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240326BHJP
H10B 43/40 20230101ALI20240326BHJP
H10B 41/40 20230101ALI20240326BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20240326BHJP
G11C 16/26 20060101ALI20240326BHJP
G11C 16/10 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G11C16/34 116
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
H01L27/11573
H01L27/11526
G11C16/04 170
G11C16/26 130
G11C16/10 143
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150519
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 洋
(72)【発明者】
【氏名】磯部 克明
(72)【発明者】
【氏名】木村 啓太
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA02
5B225CA01
5B225CA19
5B225DA09
5B225DB08
5B225DB21
5B225EA05
5B225EC08
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA01
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA19
5F083KA01
5F083LA03
5F083LA10
5F083ZA01
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE06
5F101BH21
(57)【要約】
【課題】データの書き込みを高速化することが可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体記憶装置は、一端がビット線に電気的に接続され、他端がソース線に電気的に接続され、複数のメモリセルを含むストリングを備える。前記複数のメモリセルのうちの隣り合う複数の第1メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記ソース線側の第1メモリセルから前記ビット線側の第1メモリセルへと順に行われる。前記複数の第1メモリセルのそれぞれからのデータの読み出し動作は、前記ストリング内で前記ソース線から前記ビット線に向かう第1方向に電流が流れるように行われる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がビット線に電気的に接続され、他端がソース線に電気的に接続され、複数のメモリセルを含むストリングを備え、
前記複数のメモリセルのうちの隣り合う複数の第1メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記ソース線側の第1メモリセルから前記ビット線側の第1メモリセルへと順に行われ、
前記複数の第1メモリセルのそれぞれからのデータの読み出し動作は、前記ストリング内で前記ソース線から前記ビット線に向かう第1方向に電流が流れるように行われる、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の第1メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記ストリング内で前記第1方向に正電荷が供給されるように行われる、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数の第1メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、ベリファイ読み出し時に前記ストリング内で前記第1方向に電流が流れるように行われる、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記ストリングは、前記複数の第1メモリセルを含む第1部分と、隣り合う複数の第2メモリセルを含み、前記第1部分に対し前記ソース線側に位置する第2部分とを含む、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1部分はさらに、ドレイン側選択トランジスタを含み、
前記第2部分はさらに、ソース側選択トランジスタを含み、
前記第1メモリセルおよび前記第2メモリセルは、前記ドレイン側選択トランジスタと前記ソース側選択トランジスタとの間に設けられている、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1メモリセルおよび前記第2メモリセルはそれぞれ、同じブロックの第1サブブロックおよび第2サブブロック内に含まれる、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記複数の第2メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記ビット線側の第2メモリセルから前記ソース線側の第2メモリセルへと順に行われ、
前記複数の第2メモリセルのそれぞれからのデータの読み出し動作は、前記ストリング内で前記ビット線から前記ソース線に向かう第2方向に電流が流れるように行われる、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記複数の第1メモリセルのそれぞれからのデータの読み出し動作は、前記第1部分内で前記第1方向に電流が流れるように行われ、
前記複数の第2メモリセルのそれぞれからのデータの読み出し動作は、前記第2部分内で前記第2方向に電流が流れるように行われる、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記複数の第1メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記第1部分内で前記第1方向に正電荷が供給されるように行われ、
前記複数の第2メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記第2部分内で前記第2方向に正電荷が供給されるように行われる、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記複数の第1メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、ベリファイ読み出し時に前記第1部分内で前記第1方向に電流が流れるように行われ、
前記複数の第2メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、ベリファイ読み出し時に前記第2部分内で前記第2方向に電流が流れるように行われる、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第1メモリセルへの書き込みを行う方向と、前記第2メモリセルへの書き込みを行う方向は、前記半導体記憶装置を制御するコントローラからの指示に応じて、センスアンプにより制御される、請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記ストリングはさらに、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、隣り合う複数の第3メモリセルを含む第3部分を含む、請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記複数の第3メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記第1メモリセルが書込済みセルであり、前記第2メモリセルが消去済みセルである場合には、前記ビット線側の第3メモリセルから前記ソース線側の第3メモリセルへと順に行われる、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記複数の第3メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記第1メモリセルが消去済みセルであり、前記第2メモリセルが書込済みセルである場合には、前記ソース線側の第3メモリセルから前記ビット線側の第3メモリセルへと順に行われる、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記複数の第3メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記第1メモリセルおよび前記第2メモリセルが消去済みセルである場合には、前記ビット線側の第3メモリセルから前記ソース線側の第3メモリセルへと順に、または前記ソース線側の第3メモリセルから前記ビット線側の第3メモリセルへと順に行われる、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記複数の第3メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記第1メモリセルおよび前記第2メモリセルが書込済みセルである場合には、禁止される、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記複数の第3メモリセルのそれぞれからのデータの読み出し動作は、前記第3部分内で電流が流れる方向が、前記第3メモリセルへの書き込みを行う方向と同じになるように行われる、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項18】
前記複数の第3メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、ベリファイ読み出し時に前記第3部分内で電流が流れる方向が、前記第3メモリセルへの書き込みを行う方向と同じになるように行われる、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項19】
前記第1メモリセル、前記第2メモリセル、および前記第3メモリセルはそれぞれ、同じブロックの第1サブブロック、第2サブブロック、および第3サブブロック内に含まれる、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項20】
前記第1メモリセルへの書き込みを行う方向と、前記第2メモリセルへの書き込みを行う方向と、前記第3メモリセルへの書き込みを行う方向は、前記半導体記憶装置を制御するコントローラからの指示に応じて、センスアンプにより制御される、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NANDメモリでは、NANDストリング内の複数のメモリセルにデータを書き込む際に、書き込みが、ベリファイ読み出しに起因して遅くなることが問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5755596号公報
【特許文献2】特開2013-232258号公報
【特許文献3】特開2005-191413号公報
【特許文献4】国際特許出願公開2015/037088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
データの書き込みを高速化することが可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体記憶装置は、一端がビット線に電気的に接続され、他端がソース線に電気的に接続され、複数のメモリセルを含むストリングを備える。前記複数のメモリセルのうちの隣り合う複数の第1メモリセルのそれぞれへのデータの書き込み動作は、前記ソース線側の第1メモリセルから前記ビット線側の第1メモリセルへと順に行われる。前記複数の第1メモリセルのそれぞれからのデータの読み出し動作は、前記ストリング内で前記ソース線から前記ビット線に向かう第1方向に電流が流れるように行われる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のメモリシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態のメモリセルアレイ1の構成を示す回路図である。
【
図3】第1実施形態のセンスアンプ部5等の構成を示す回路図である。
【
図4】第1実施形態のNANDメモリ101の構造を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態のメモリシステムの動作を説明するための回路図である。
【
図7】第1実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図である。
【
図8】第1実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図である。
【
図9】第2実施形態のNANDメモリ101の構造を示す断面図である。
【
図10】第2実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図(1/3)である。
【
図11】第2実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図(2/3)である。
【
図12】第2実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図(3/3)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1~
図12において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のメモリシステムの構成を示すブロック図である。
【0009】
本実施形態のメモリシステムは、NANDメモリ101と、メモリコントローラ102とを備えている。NANDメモリ101は、半導体記憶装置の例であり、メモリコントローラ102は、コントローラの例である。NANDメモリ101は、メモリセルアレイ1と、ロウデコーダ2と、ワード線ドライバ3と、カラムデコーダ4と、センスアンプ部5と、データラッチ部6と、制御回路11と、高電圧発生器12と、アドレスレジスタ13と、コマンドレジスタ14と、I/O(Input/Output)バッファ15とを備えている。
【0010】
NANDメモリ101の動作は、メモリコントローラ102により制御される。メモリコントローラ102は、不図示のホスト装置からの要求に応じて動作する。例えば、メモリコントローラ102は、ホスト装置からの読出要求に応じて、NANDメモリ101からのデータの読み出しを制御する。また、メモリコントローラ102は、ホスト装置からの書込要求に応じて、NANDメモリ101へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ102は、ホスト装置からの消去要求に応じて、NANDメモリ101からのデータの消去を制御する。
【0011】
メモリセルアレイ1は、複数のメモリセルを含んでいる。本実施形態のメモリセルアレイ1は、これらのメモリセルが3次元アレイ状に配置された3次元半導体メモリとなっている。本実施形態のメモリセルアレイ1は複数のブロックを含み、各ブロックが複数のページを含み、各ページが複数のメモリセルを含んでいる。ブロックは、データの消去単位として使用され、ページは、データの書込単位および読出単位として使用される。メモリセルアレイ1のさらなる詳細については、後述する。
【0012】
ロウデコーダ2は、アドレスレジスタ13からロウアドレスを受信し、ロウアドレスをデコードする。ワード線ドライバ3は、デコードされたロウアドレスに基づいてワード線に電圧を供給し、ワード線を駆動する。
【0013】
カラムデコーダ4は、アドレスレジスタ13からカラムアドレスを受信し、カラムアドレスをデコードする。カラムデコーダ4はさらに、デコードされたカラムアドレスに基づいて、データラッチ部6に保持されたデータをデータバスに転送するか否かを決定する。
【0014】
センスアンプ部5は、書込動作の際に、メモリコントローラ102から受信した書込データをメモリセルアレイ1に転送する。また、センスアンプ部5は、読出動作の際に、メモリセルアレイ1から検出した読出データをメモリコントローラ102に転送する。センスアンプ部5とメモリコントローラ102との間のデータの転送は、データラッチ部6を介して行われる。
【0015】
データラッチ部6は、書込動作の際に、メモリコントローラ102から取得した書込データを保持する。データラッチ部6に保持された書込データは、センスアンプ部5に転送される。また、データラッチ部6は、読出動作の際に、センスアンプ部5から取得した読出データを保持する。データラッチ部6に保持された読出データは、メモリコントローラ102に転送される。
【0016】
制御回路11は、NANDメモリ101の種々の動作を制御する。例えば、制御回路11は、コマンドレジスタ14に保持されたコマンドに基づいて、ロウデコーダ2、ワード線ドライバ3、カラムデコーダ4、センスアンプ部5、データラッチ部6、高電圧発生器12、I/Oバッファ15などの動作を制御する。これにより、コマンドに基づいて読出動作、書込動作、消去動作などが実行される。
【0017】
高電圧発生器12は、読出動作、書込動作、消去動作などで使用される高電圧を生成する。高電圧発生器12により生成された高電圧は、ワード線ドライバ3やセンスアンプ部5に供給される。
【0018】
アドレスレジスタ13は、NANDメモリ101がメモリコントローラ102から受信したアドレス情報を保持する。コマンドレジスタ14は、NANDメモリ101がメモリコントローラ102から受信したコマンドを保持する。
【0019】
I/Oバッファ15は、入力端子から入力されたコマンド、アドレス情報、およびデータや、出力端子から出力予定のデータをバッファリングする。I/Oバッファ15はさらに、入力端子から入力されたコマンド、アドレス情報、およびデータをそれぞれ、コマンドレジスタ14、アドレスレジスタ13、およびデータバスに転送する。
【0020】
図2は、第1実施形態のメモリセルアレイ1の構成を示す回路図である。
【0021】
図2は、メモリセルアレイ1に含まれるp個のブロックBLK0~BLKp-1(pは2以上の整数)を示している。以下、各ブロックの構成を、ブロックBLKp-1を題材として説明する。
【0022】
ブロックBLKp-1は、m本(mは2以上の整数)のNANDストリングSTRを含んでいる。各NANDストリングSTRは、m本のビット線BL0~BLm-1のうちの1本とセルソース線CELSRCとの間に配置されている。また、各NANDストリングSTRは、n個(nは2以上の整数)のメモリセルトランジスタ(メモリセル)MTと、ソース側選択トランジスタSTと、ドレイン側選択トランジスタDTとを含んでいる。各メモリセルトランジスタMTは、n本のワード線WL0~WLn-1のうちの1本と電気的に接続されている。ソース側選択トランジスタSTは、ソース側選択線SGSと電気的に接続されている。ドレイン側選択トランジスタDTは、ドレイン側選択線SGDと電気的に接続されている。
【0023】
図2はさらに、センスアンプ部5内のm個のセンスアンプ(S/A)と、データラッチ部6内のm個のデータラッチ(DL)と、選択線BLSに電気的に接続されたm個の選択トランジスタQ0とを示している。各センスアンプは、対応する選択トランジスタQ0を介して、ビット線BL0~BLm-1のうちの1本と電気的に接続可能である。各データラッチは、対応するセンスアンプと電気的に接続可能である。
【0024】
図3は、第1実施形態のセンスアンプ部5等の構成を示す回路図である。
【0025】
センスアンプ部5内の各センスアンプは、
図3に示すように、トランジスタQ1~Q7と、キャパシタCとを含んでいる。
【0026】
トランジスタQ4、Q5、Q1、Q3は、VDDSAノードとSASRCノードとの間に直列に配置されている。SCOMノードは、トランジスタQ5とトランジスタQ1との間に位置し、SGNDノードは、トランジスタQ1とトランジスタQ3との間に位置している。トランジスタQ6は、BLI配線とSCOMノードとの間に配置され、トランジスタQ7は、BLI配線とSGNDノードとの間に配置されている。トランジスタQ1のゲートは、BLI配線と電気的に接続されている。BLI配線は、選択トランジスタQ0を介して、ビット線BLと電気的に接続可能である。ビット線BLは、
図2に示すビット線BL0~BLm-1のいずれかである。
【0027】
トランジスタQ2のソースは、SCOMノードに電気的に接続されている。トランジスタQ2のドレインは、SEN配線と電気的に接続されている。キャパシタCは、SEN配線と電気的に接続された一方の電極と、CLK信号が供給される他方の電極とを有している。
【0028】
なお、各センスアンプは、ビット線BLからセルソース線CELSRCへと流れる電流を検出するABL(All Bit Line)方式で動作してもよいし、セルソース線CELSRCからビット線BLへと流れる電流を検出するDSA(Diode Sense ABL)方式で動作してもよい。また、各センスアンプは、
図3に示す構成以外の構成を有していてもよいし、ABL方式やDSA方式以外の方式で動作してもよい。
【0029】
図4は、第1実施形態のNANDメモリ101の構造を示す断面図である。
図4は、NANDメモリ101内のメモリセルアレイ1等の構造を示している。
【0030】
NANDメモリ101は、基板21と、積層膜22と、柱状部23とを備えている。積層膜22は、下部積層膜22aと、上部積層膜22bとを含んでいる。柱状部23は、下部柱状部23aと、上部柱状部23bとを含んでいる。また、積層膜22は、複数の電極層31と、複数の絶縁膜32とを含んでいる。また、柱状部23は、ブロック絶縁膜33と、電荷蓄積層34と、トンネル絶縁膜35と、チャネル半導体層36と、コア絶縁膜37とを含んでいる。
【0031】
基板21は例えば、Si(シリコン)基板などの半導体基板である。
図4は、基板21の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板21の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。+Z方向は第1方向の例であり、-Z方向は第2方向の例である。
【0032】
下部積層膜22aは、基板21上に形成されている。上部積層膜22bは、下部積層膜22a上に形成されている。下部積層膜22aは、基板21上に交互に積層された複数の電極層31および複数の絶縁膜32を含んでいる。上部積層膜22bは、下部積層膜22a上に交互に積層された複数の電極層31および複数の絶縁膜32を含んでいる。積層膜22内の各電極層31は、例えばW(タングステン)層である。積層膜22内の各絶縁膜32は、例えばSiO2膜(シリコン酸化膜)である。なお、積層膜22は、基板21上に直接形成されていてもよいし、基板21上に他の膜を介して形成されていてもよい。
【0033】
積層膜22内の電極層31は、上述したn本のワード線WL0~WLn-1、ソース側選択線SGS、およびドレイン側選択線SGDを含んでいる。下部積層膜22aは、ワード線WL0~WLn-1のうちの一部と、ソース側選択線SGSとを含んでいる。下部積層膜22a内の最下位の電極層31が、ソース側選択線SGSとして機能する。上部積層膜22bは、ワード線WL0~WLn-1のうちの残りと、ドレイン側選択線SGDとを含んでいる。上部積層膜22b内の最上位の電極層31が、ドレイン側選択線SGDとして機能する。なお、ソース側選択線SGSは、2つ以上の電極層31により形成されていてもよいし、ドレイン側選択線SGDも、2つ以上の電極層31により形成されていてもよい。
【0034】
下部柱状部23aは、下部積層膜22aに設けられた下部メモリホールLMH内に形成されている。上部柱状部23bは、上部積層膜22bに設けられた上部メモリホールUMH内に形成されている。上部メモリホールUMHは下部メモリホールLMH上に形成されており、従って、上部柱状部23bは下部柱状部23a上に形成されている。下部メモリホールLMHと上部メモリホールUMHは、下部メモリホールLMHと上部メモリホールUMHとの間に設けられたジョイント部(不図示)により互いに連結されている。
【0035】
下部柱状部23aと上部柱状部23bは、同じブロック絶縁膜33、電荷蓄積層34、トンネル絶縁膜35、チャネル半導体層36、およびコア絶縁膜37により形成されている。よって、上部柱状部23b内のチャネル半導体層36は、下部柱状部23a内のチャネル半導体層36と電気的に接続されている。ブロック絶縁膜33、電荷蓄積層34、トンネル絶縁膜35、チャネル半導体層36、およびコア絶縁膜37は、下部メモリホールLMHおよび上部メモリホールUMH内に順に形成されている。ブロック絶縁膜33は、例えばSiO2膜である。電荷蓄積層34は例えば、SiN膜(シリコン窒化膜)などの絶縁膜、または、ポリシリコン層などの半導体層である。トンネル絶縁膜35は、例えばSiO2膜である。チャネル半導体層36は、例えばポリシリコン層である。コア絶縁膜37は、例えばSiO2膜である。
【0036】
NANDメモリ101は、積層膜22内に複数の柱状部23を備えている。
図4は、これらの柱状部23のうちの1つを示している。各柱状部23は、1本のNANDストリングSTRを形成している。
図4に示す柱状部23は、ワード線WL0~WLn-1と共に複数のメモリセル(メモリセルトランジスタ)MTを形成しており、ソース側選択線SGSと共にソース側トランジスタSTを形成しており、ドレイン側選択線SGDと共にドレイン側トランジスタDTを形成している。
【0037】
なお、本実施形態のNANDメモリ101が、複数枚の基板を互いに貼り合わせて製造される場合には、基板21を備えていなくてもよい。例えば、複数枚の基板を互いに貼り合わせた後、積層膜22の下面側の基板(=基板21)を除去し、積層膜22の上面側の基板を残存させてもよい。
【0038】
図5は、第1実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図である。
【0039】
図5(a)に示す4列の四角形は、メモリセルアレイ1内の4本のNANDストリングSTR0~STR3に含まれる複数のメモリセルMTを表している。各行内の4つのメモリセルMTは、n本のワード線WL0~WLn-1のうちのいずれかに電気的に接続されている。例えば、最下位の行内の4つのメモリセルMTは、ワード線WL0に電気的に接続されている。また、最上位の行内の4つのメモリセルMTは、ワード線WLn-1に電気的に接続されている。
【0040】
ドットハッチングで示す四角形は、下部メモリホールLMHと上部メモリホールUMHとの間のジョイント部の位置を示している。よって、ワード線WL0~WLk-1に電気的に接続されたメモリセルMTは、下部メモリホールLMH(下部柱状部23a)内に位置し、ワード線WLk~WLn-1に電気的に接続されたメモリセルMTは、上部メモリホールUMH(上部柱状部23b)内に位置している。ただし、kは1≦k≦n-1を満たす整数である。
【0041】
図5(a)は、NANDメモリ101が通常モードにある場合の動作を示している。この場合、センスアンプ部5は、各NANDストリングSTR上のメモリセルMTにデータを書き込む際、ワード線WL0上のメモリセルMTから、ワード線WLn-1上のメモリセルMTへと順に書き込みを行う。すなわち、センスアンプ部5は、柱状部23の下端から上端へと向かう方向(+Z方向)に順に書き込みを行う。
図5(a)は、この方向を矢印で示している。
図5(a)では、NANDストリングSTR0上のメモリセルMTへの書き込みが、この矢印の順に行われている。このような書き込みを、NOP(Normal Order Program)と呼ぶ。
【0042】
図5(b)は、NANDメモリ101が別の通常モードにある場合の動作を示している。この場合、センスアンプ部5は、各NANDストリングSTR上のメモリセルMTにデータを書き込む際、ワード線WLn-1上のメモリセルMTから、ワード線WL0上のメモリセルMTへと順に書き込みを行う。すなわち、センスアンプ部5は、柱状部23の上端から下端へと向かう方向(-Z方向)に順に書き込みを行う。
図5(b)は、この方向を矢印で示している。
図5(b)では、NANDストリングSTR0上のメモリセルMTへの書き込みが、この矢印の順に行われている。このような書き込みを、ROP(Reverse Order Program)と呼ぶ。
【0043】
図5(c)は、NANDメモリ101がサブブロックモード(SBM)にある場合の動作を示している。
図5(c)に示す4本のNANDストリングSTR0~STR3は、1つのブロックに含まれている。SBMでは、このブロックを2つのサブブロックに分割し、このブロックへのアクセスを、サブブロックごとに異なる態様で行う。
図5(c)では、下部メモリホールLMH(下部柱状部23a)内のメモリセルMTが、一方のサブブロックに属し、上部メモリホールUMH(上部柱状部23b)内のメモリセルMTが、他方のサブブロックに属している。この場合、ジョイント部が、これらのサブブロック間の境界となる。なお、サブブロック間の境界は、ジョイント部と異なる位置にあってもよく、例えばジョイント部の上方または下方にあってもよい。これらのサブブロックは、第1サブブロックおよび第2サブブロックの例である。
【0044】
図5(c)では、センスアンプ部5は、各NANDストリングSTR上のメモリセルMTにデータを書き込む際、下部メモリホールLMH内のメモリセルMTと、上部メモリホールUMH内のメモリセルMTとを異なる態様で取り扱う。具体的には、センスアンプ部5は、下部メモリホールLMH内のメモリセルMTにデータを書き込む際、ワード線WLk-1上のメモリセルMTから、ワード線WL0上のメモリセルMTへと順に書き込みを行う。すなわち、下部柱状部23aの上端から下端へと向かう方向(-Z方向)に順に書き込みが行われる。一方、センスアンプ部5は、上部メモリホールUMH内のメモリセルMTにデータを書き込む際、ワード線WLk上のメモリセルMTから、ワード線WLn-1上のメモリセルMTへと順に書き込みを行う。すなわち、上部柱状部23aの下端から上端へと向かう方向(+Z方向)に順に書き込みが行われる。
【0045】
図5(c)は、これらの方向を矢印で示している。
図5(c)では、NANDストリングSTR0上のメモリセルMTへの書き込みが、これらの矢印の順に行われている。下部メモリホールLMH内のメモリセルMTについては、ROPが行われている。上部メモリホールUMH内のメモリセルMTについては、NOPが行われている。
【0046】
センスアンプ部5は、メモリセルMTにデータを書き込む際、書き込み用のパルスをNANDストリングSTRに印加する。この際、書き込み用のパルスをNANDストリングSTRに印加する前に、ビット線またはソース線からNANDストリングSTR内に正電荷を供給するプリチャージを行う。これにより、チャネル半導体層36から残留電子を抜くことが可能となる。
図5(a)では、各NANDストリングSTRへのプリチャージが、ドレイン側選択線SGDを導通させることでビット線側から行われる。
図5(b)では、各NANDストリングSTRへのプリチャージが、ソース側選択線SGSを導通させることでソース線側から行われる。
図5(c)では、各NANDストリングSTRへのプリチャージが、下部メモリホールLMH内についてはソース線側から行われ、上部メモリホールUMH内についてはビット線側から行われる。
【0047】
本実施形態のNANDメモリ101は、
図5(a)の通常モードと、
図5(b)の通常モードと、
図5(c)のSBMの3つの動作モードで動作可能でもよい。一方、本実施形態のNANDメモリ101は、
図5(a)の通常モードと、
図5(c)のSBMの2つの動作モードのみで動作可能でもよいし、または、
図5(b)の通常モードと、
図5(c)のSBMの2つの動作モードのみで動作可能でもよい。
【0048】
次に、引き続き
図5(a)~
図5(c)を参照し、これらの動作モードのさらなる詳細を説明する。
【0049】
メモリセルMTにデータを書き込む際、
図5(a)のNOPの代わりに、
図5(b)のROPを採用すると、書き込み方向と読み出しの電流方向が揃うことで、近接WL効果(NWI:Neighbor WL Influence)による種々の分布の幅の増大を抑制することが可能となる。このような分布の例は、閾値電圧の分布である。しかしながら、
図5(c)のSBMで、もし上部メモリホールUMH内のメモリセルMTの書き込みにROPを適用すると、LMH側のサブブロックのセルがすでに書込済みであった場合には上述のプリチャージが困難となり、書込ディスターブの抑制が困難となることが問題となる。
【0050】
そこで、UMH側のメモリセルMTにデータを書き込む際、本実施形態では
図5(c)にあるようにUMH側セルの書き込みにはNOPを適用する。これにより、上述のプリチャージを容易に行うことが可能となる。
【0051】
一方、近接WL効果の為に、上部メモリホールUMH内のメモリセルMTにNOPでデータを書き込む際の書込速度が、下部メモリホールLMH内のメモリセルMTにROPでデータを書き込む際の書込速度よりも遅くなる可能性がある。この問題を解決する手段については、後述する。
【0052】
図6は、第1実施形態のメモリシステムの動作を説明するための回路図である。
【0053】
図6(a)は、1本のNANDストリングSTRを示している。このNANDストリングSTRへの書き込みにNOPを採用する場合には、ソース側選択トランジスタSTからドレイン側選択トランジスタDTに向かう方向に書き込みが行われる。一方、このNANDストリングSTRへの書き込みにROPを採用する場合には、ドレイン側選択トランジスタDTからソース側選択トランジスタSTに向かう方向に書き込みが行われる。
【0054】
図6(a)は、NANDストリングSTR内の複数のメモリセルMTを示している。センスアンプ部5は、これらのメモリセルMTにデータを書き込む際、これらのメモリMTセルに対しベリファイ読み出しを行う。ベリファイ読み出しでは、これらのメモリセルMTからデータを読み出すことで、これらのメモリセルMTにデータが正しく書き込まれたか否かを確認する。ベリファイ読み出しの際には、NANDストリングSTRのチャネル半導体層36内にセル電流が流れる。
【0055】
図6(a)は、このようなセル電流の一例を示している。
図6(a)では、ドレイン側選択トランジスタDTからソース側選択トランジスタSTに向かう方向にセル電流が流れるように、ベリファイ読み出しが行われている。すなわち、ベリファイ読み出しの際にセル電流が流れる方向が、ROPの方向と同じになっている。
【0056】
図6(a)では、NANDストリングSTRへの書き込みにROPを採用すると、ベリファイ読み出しの際のセル電流が、ROPと同じ方向に流れる。これにより、NANDストリングSTR内の寄生抵抗を低減し、NANDストリングSTRへの書込速度を速くすることが可能となる。
【0057】
一方、
図6(a)でNANDストリングSTRへの書き込みにNOPを採用すると、ベリファイ読み出しの際のセル電流が、NOPと逆の方向に流れる。その結果、NANDストリングSTR内の寄生抵抗が増加し、NANDストリングSTRへの書込速度が遅くなってしまう。
【0058】
図6(b)も、1本のNANDストリングSTRを示している。
図6(b)では、ソース側選択トランジスタSTからドレイン側選択トランジスタDTに向かう方向にセル電流が流れるように、ベリファイ読み出しが行われている。すなわち、ベリファイ読み出しの際にセル電流が流れる方向が、NOPの方向と同じになっている。これにより、NOPにおけるNANDストリングSTRへの書込速度を速くすることが可能となる。
【0059】
本実施形態のセンスアンプ部5は、NANDストリングSTRへの書き込みにROPを採用する場合には、
図6(a)に示すベリファイ読み出しを採用し、NANDストリングSTRへの読み出しにNOPを採用する場合には、
図6(b)に示すベリファイ読み出しを採用する。これにより、NOPおよびROPにおけるNANDストリングSTRへの書込速度を速くすることが可能となる。
【0060】
なお、
図6(a)および
図6(b)に示すベリファイ読み出しの方法は、ベリファイ読み出し以外の読み出しにも適用してもよい。これにより、ベリファイ読み出しと、ベリファイ読み出し以外の読み出しとを、同じ方法で行うことが可能となり、読出動作の制御を簡易化することが可能となる。また、
図6(a)および
図6(b)に示す書き込みの方法は、SBMにも適用してもよい。これらの詳細については、後述する。
【0061】
図7は、第1実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図である。
【0062】
図7(a)は、
図5(a)と同様に、NANDメモリ101が通常モードにある場合の動作を示している。この場合、センスアンプ部5は、NANDストリングSTRへの書き込みにNOPを採用する。さらには、ベリファイ読み出しの際にセル電流が流れる方向が、NOPの方向と同じに設定される。これにより、NOPにおけるNANDストリングSTRへの書込速度を速くすることが可能となる。
【0063】
図7(b)は、
図5(b)と同様に、NANDメモリ101が別の通常モードにある場合の動作を示している。この場合、センスアンプ部5は、NANDストリングSTRへの書き込みにROPを採用する。さらには、ベリファイ読み出しの際にセル電流が流れる方向が、ROPの方向と同じに設定される。これにより、ROPにおけるNANDストリングSTRへの書込速度を速くすることが可能となる。
【0064】
図7(c)は、
図5(c)と同様に、NANDメモリ101がSBMにある場合の動作を示している。この場合、センスアンプ部5は、下部メモリホールLMH内のメモリセルMTへの書き込みにROPを採用し、上部メモリホールUMH内のメモリセルMTへの書き込みにNOPを採用する。さらには、ベリファイ読み出しの際にセル電流が流れる方向が、下部メモリホールLMHについてはROPの方向と同じに設定され、上部メモリホールUMHについてはNOPの方向と同じに設定される。これにより、SBMにおけるNANDストリングSTRへの書込速度を速くすることが可能となる。下部メモリホールLMH内のNANDストリングSTRは、第2部分の例であり、上部メモリホールUMH内のNANDストリングSTRは、第1部分の例である。下部メモリホールLMH内のメモリセルMTは、第2メモリセルの例であり、上部メモリホールUMH内のメモリセルMTは、第1メモリセルの例である。
【0065】
図8は、第1実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図である。
【0066】
図8(a)は、
図5(a)および
図7(a)と同様に、NANDメモリ101が通常モードにある場合の動作を示している。この場合、センスアンプ部5は、NANDストリングSTRへの書き込みにNOPを採用する。さらには、ベリファイ読み出し以外の読み出しの際にセル電流が流れる方向が、NOPの方向と同じに設定される。これにより、NOPにより書き込まれたデータを、NOPと同じ方向に流れるセル電流により読み出すことが可能となる。
【0067】
図8(b)は、
図5(b)および
図7(b)と同様に、NANDメモリ101が別の通常モードにある場合の動作を示している。この場合、センスアンプ部5は、NANDストリングSTRへの書き込みにROPを採用する。さらには、ベリファイ読み出し以外の読み出しの際にセル電流が流れる方向が、ROPの方向と同じに設定される。これにより、ROPにより書き込まれたデータを、ROPと同じ方向に流れるセル電流により読み出すことが可能となる。
【0068】
図8(c)は、
図5(c)および
図7(c)と同様に、NANDメモリ101がSBMにある場合の動作を示している。この場合、センスアンプ部5は、下部メモリホールLMH内のメモリセルMTへの書き込みにROPを採用し、上部メモリホールUMH内のメモリセルMTへの書き込みにNOPを採用する。さらには、ベリファイ読み出し以外の読み出しの際にセル電流が流れる方向が、下部メモリホールLMHについてはROPの方向と同じに設定され、上部メモリホールUMHについてはNOPの方向と同じに設定される。これにより、ROPにより書き込まれたデータは、ROPと同じ方向に流れるセル電流により読み出し、NOPにより書き込まれたデータは、NOPと同じ方向に流れるセル電流により読み出すことが可能となる。
【0069】
以上のように、本実施形態のセンスアンプ部5は、あるNANDストリングSTRからデータを読み出す際にセル電流が流れる方向を、そのNANDストリングSTRへの書き込みを行う方向と同じに設定する。例えば、下部メモリホールLMH内のメモリセルMTへの書き込みにROPを採用し、下部メモリホールLMH内のセル電流の方向をROPと同じ方向に設定する。さらには、上部メモリホールUMH内のメモリセルMTへの書き込みにNOPを採用し、上部メモリホールUMH内のセル電流の方向をNOPと同じ方向に設定する。よって、本実施形態によれば、各NANDストリングSTRへのデータの書き込みを高速化することが可能となる。
【0070】
なお、書き込みの方向や、読み出し(ベリファイ読み出しも含む)時にセル電流が流れる方向は、例えばメモリコントローラ102により制御される。この場合、メモリコントローラ102は、これらの方向に関する指示をNANDメモリ101に出力し、NANDメモリ101内のセンスアンプ部5は、この指示に応じて当該方向を制御する。これにより、
図5~
図8に示す制御が実現可能となる。これは、後述する
図10~
図12に示す制御についても同様である。
【0071】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態のNANDメモリ101の構造を示す断面図である。
図9は、
図4と同様に、NANDメモリ101内のメモリセルアレイ1等の構造を示している。
【0072】
本実施形態のNANDメモリ101は、第1実施形態のNANDメモリ101の構成要素に加え、積層膜22内の中間積層膜22cと、柱状部23内の中間柱状部23cとを備えている。
【0073】
中間積層膜22cは、下部積層膜22aと上部積層膜22bとの間に形成されている。中間積層膜22cは、下部積層膜22a上に交互に積層された複数の電極層31および複数の絶縁膜32を含んでいる。中間積層膜22cは、ワード線WL0~WLn-1のうちの一部を含んでいる。
【0074】
中間柱状部23cは、中間積層膜22c内に設けられた中間メモリホールMMH内に形成されている。中間メモリホールMMHは、下部メモリホールLMHと上部メモリホールUMHとの間に形成されており、従って、中間柱状部23cは、下部柱状部23aと上部柱状部23bとの間に形成されている。下部メモリホールLMHと中間メモリホールMMHは、下部メモリホールLMHと中間メモリホールMMHとの間に設けられた下部ジョイント部(不図示)により互いに連結されている。中間メモリホールMMHと上部メモリホールUMHは、中間メモリホールMMHと上部メモリホールUMHとの間に設けられた上部ジョイント部(不図示)により互いに連結されている。
【0075】
下部柱状部23a、中間柱状部23c、および上部柱状部23bは、同じブロック絶縁膜33、電荷蓄積層34、トンネル絶縁膜35、チャネル半導体層36、およびコア絶縁膜37により形成されている。よって、中間柱状部23c内のチャネル半導体層36は、下部柱状部23a内のチャネル半導体層36や、上部柱状部23b内のチャネル半導体層36と電気的に接続されている。ブロック絶縁膜33、電荷蓄積層34、トンネル絶縁膜35、チャネル半導体層36、およびコア絶縁膜37は、下部メモリホールLMH、中間メモリホールMMH、および上部メモリホールUMH内に順に形成されている。
【0076】
NANDメモリ101は、積層膜22内に複数の柱状部23を備えている。
図9は、これらの柱状部23のうちの1つを示している。各柱状部23は、1本のNANDストリングSTRを形成している。
図9に示す柱状部23は、ワード線WL0~WLn-1と共に複数のメモリセルMTを形成しており、ソース側選択線SGSと共にソース側トランジスタSTを形成しており、ドレイン側選択線SGDと共にドレイン側トランジスタDTを形成している。
【0077】
図9に示すNANDストリングSTRは、メモリセルアレイ1内の1つのブロックに含まれている。本実施形態のSBMでは、このブロックを3つのサブブロックに分割し、このブロックへのアクセスを、サブブロックごとに異なる態様で行う。本実施形態では、下部メモリホールLMH(下部柱状部23a)内のメモリセルMTが、下部サブブロックに属し、上部メモリホールUMH(上部柱状部23b)内のメモリセルMTが、上部サブブロックに属し、中間メモリホールMMH(中間柱状部23c)内のメモリセルMTが、中間サブブロックに属している。この場合、下部ジョイント部と上部ジョイント部が、これらのサブブロック間の境界となる。なお、サブブロック間の境界は、これらのジョイント部と異なる位置にあってもよい。これらのサブブロックは、第1サブブロック、第2サブブロック、および第3サブブロックの例である。
【0078】
図10~
図12は、第2実施形態のメモリシステムの動作を説明するための図である。
図10~
図12は、NANDメモリ101がSBMにある場合の動作を示している。
【0079】
図10(a)は、1本のNANDストリングSTR(柱状部23)の形状を模式的に示している。
図10(a)はさらに、柱状部23内の下部柱状部23a、上部柱状部23b、および中間柱状部23cや、柱状部23を含む下部メモリホールLMH、中間メモリホールMMH、および上部メモリホールUMHを示している。中間メモリホールMMH内のNANDストリングSTRは、第3部分の例である。中間メモリホールMMH内のメモリセルMTは、第3メモリセルの例である。
【0080】
図10(a)は、NANDストリングSTR内のメモリセルMTの状態を、符号Pや符号Eで示している。符号Pは、メモリセルMTが書込済みセルであることを示している。符号Eは、メモリセルMTが消去済みセルであることを示している。書込済みセルは、データが書き込まれているメモリセルMTである。消去済みセルは、データが消去された後にデータが書き込まれていないメモリセルMTである。例えば、あるブロックからデータが消去され、その後にそのブロック内のあるページにデータが書き込まれた場合には、そのページ内の各メモリセルMTは、書込済みセルとなる。一方、あるブロックからデータが消去され、その後にそのブロック内のどのページにもデータが書き込まれなかった場合には、そのブロック内の各メモリセルMTは、消去済みセルとなる。
【0081】
図10(a)では、下部メモリホールLMH内の各メモリセルMTは、書込済みセルでも消去済みセルでもよく、中間メモリホールMMH内の各メモリセルMTも、書込済みセルでも消去済みセルでもよい。この場合、センスアンプ部5は、上部メモリホールUMH内のメモリセルMTへの書き込みにNOPを採用する。さらには、読み出し(ベリファイ読み出しを含む。以下同様)の際にセル電流が流れる方向が、上部メモリホールUMHではNOPの方向と同じに設定される。これにより、上部メモリホールUMHでの書込速度を速くすることが可能となる。
【0082】
図10(b)では、上部メモリホールUMH内の各メモリセルMTは、書込済みセルでも消去済みセルでもよく、中間メモリホールMMH内の各メモリセルMTも、書込済みセルでも消去済みセルでもよい。この場合、センスアンプ部5は、下部メモリホールLMH内のメモリセルMTへの書き込みにROPを採用する。さらには、読み出しの際にセル電流が流れる方向が、下部メモリホールLMHではROPの方向と同じに設定される。これにより、下部メモリホールLMHでの書込速度を速くすることが可能となる。
【0083】
図11(a)では、下部メモリホールLMH内の各メモリセルMTは、消去済みセルであり、上部メモリホールUMH内の各メモリセルMTは、書込済みセルである。この場合、センスアンプ部5は、中間メモリホールMMH内のメモリセルMTへの書き込みにROPを採用する。さらには、読み出しの際にセル電流が流れる方向が、中間メモリホールMMHではROPの方向と同じに設定される。
【0084】
図11(b)では、下部メモリホールLMH内の各メモリセルMTは、書込済みセルであり、上部メモリホールUMH内の各メモリセルMTは、消去済みセルである。この場合、センスアンプ部5は、中間メモリホールMMH内のメモリセルMTへの書き込みにNOPを採用する。さらには、読み出しの際にセル電流が流れる方向が、中間メモリホールMMHではNOPの方向と同じに設定される。
【0085】
図12(a)では、下部メモリホールLMH内の各メモリセルMTは、消去済みセルであり、上部メモリホールUMH内の各メモリセルMTも、消去済みセルである。この場合、センスアンプ部5は、中間メモリホールMMH内のメモリセルMTへの書き込みに、ROPとNOPのいずれを採用してもよい。さらには、読み出しの際にセル電流が流れる方向が、中間メモリホールMMHでは書き込みの方向と同じに設定される。すなわち、ROPで当該書き込みが行われる場合には、当該読み出しの際にセル電流が流れる方向が、ROPの方向と同じに設定される。一方、NOPで当該書き込みが行われる場合には、当該読み出しの際にセル電流が流れる方向が、NOPの方向と同じに設定される。
【0086】
図12(b)では、下部メモリホールLMH内の各メモリセルMTは、書込済みセルであり、上部メモリホールUMH内の各メモリセルMTも、書込済みセルである。この場合、センスアンプ部5は、中間メモリホールMMH内のメモリセルMTへの書き込みを禁止する。
【0087】
本実施形態によれば、
図11(a)~
図12(b)の手法を採用することで、中間メモリホールMMHでの書込速度を速くすることが可能となる。また、本実施形態によれば、
図11(a)~
図12(b)の手法を採用することで、下部メモリホールLMHおよび上部メモリホールUMH内の書込済みセルの存在を考慮に入れて、中間メモリホールMMH内のメモリセルMTへの書き込みを行うことが可能となる。
【0088】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0089】
1:メモリセルアレイ、2:ロウデコーダ、3:ワード線ドライバ、
4:カラムデコーダ、5:センスアンプ部、6:データラッチ部、
11:制御回路、12:高電圧発生器、13:アドレスレジスタ、
14:コマンドレジスタ、15:I/Oバッファ、21:基板、
22:積層膜、22a:下部積層膜、22b:上部積層膜、22c:中間積層膜、
23:柱状部、23a:下部柱状部、23b:上部柱状部、23c:中間柱状部、
31:電極層、32:絶縁膜、33:ブロック絶縁膜、34:電荷蓄積層、
35:トンネル絶縁膜、36:チャネル半導体層、37:コア絶縁膜、
101:NANDメモリ、102:メモリコントローラ