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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044781
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】情報配信方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240326BHJP
   G08B 13/00 20060101ALI20240326BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08B13/00 Z
G08B25/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150524
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鋪田 和夫
(72)【発明者】
【氏名】清水 拓也
(72)【発明者】
【氏名】平林 智則
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 貴史
【テーマコード(参考)】
5C084
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084AA07
5C084AA13
5C084CC26
5C084CC34
5C084DD07
5C084EE06
5C084HH02
5C084HH10
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA04
5C087AA07
5C087AA31
5C087BB73
5C087BB74
5C087DD05
5C087DD14
5C087DD15
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG10
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】
日常生活で用いられる物品が犯罪に流用される恐れがある場合により好適にアラート情報を発信すること。
【解決手段】
特定物品の持ち込みに関するアラート情報を配信する情報配信方法であって、プロセッサが特定物品の監視開始を判断する第1判断を実行するステップと、前記プロセッサが前記特定物品の監視を開始すると判断した後に、前記プロセッサが前記特定物品を対象としたアラート情報の配信期間開始を判断する第2判断を実行するステップと、を含むことを特徴とする情報配信方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定物品の持ち込みに関するアラート情報を配信する情報配信方法であって、
プロセッサが特定物品の監視開始を判断する第1判断を実行するステップと、
前記プロセッサが前記特定物品の監視を開始すると判断した後に、前記プロセッサが前記特定物品を対象としたアラート情報の配信期間開始を判断する第2判断を実行するステップと、
を含むことを特徴とする情報配信方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、店舗での前記特定物品の購入があったか否かを条件として、前記第1判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項3】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、ネットショッピングにおける前記特定物品の購入および受取があったか否かを条件として、前記第1判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項4】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、オペレータによる設定があったか否かを条件として、前記第1判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項5】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、前記特定物品の監視開始から所定時間経過したか否かを条件として、前記第2判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項6】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、乗り物の運行終了時刻になったか否かを条件として、前記第2判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項7】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、オペレータによる設定があったか否かを条件として、前記第2判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項8】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、前記特定物品の持ち込みを禁止する施設または乗り物への前記特定物品の持ち込みがあったか否かを条件として、前記第2判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項9】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサが前記特定物品を対象としたアラート情報の配信期間開始を判断した場合、前記プロセッサが前記特定物品に関するアラート情報の配信を免除するか否かを判断する第3判断を実行するステップを更に含む、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項10】
請求項9に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、前記特定物品を保持して移動する者が正当な資格を有する者であるか否かを条件として、前記第3判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項11】
請求項9に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、
前記特定物品を保持して移動する正当な資格を有する者が前記移動時に保有する携帯情報端末の位置情報が、エリアの境界に設置される設備の位置の近傍で認識されたか否かを条件として、前記第3判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項12】
請求項9に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、
オペレータによる設定があったか否かを条件として、前記第3判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項13】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、
警戒レベルに高さに応じて異なる態様の前記アラート情報を配信する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項14】
請求項1に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、
前記特定物品の購入時にカメラが撮像した前記特定物品の購入人物の服装が、エリアの境界に設置される設備の前記特定物品の通過時にカメラが撮像した前記特定物品の持ち込みのタイミングでゲートを通過した人物の服装と異なるか否か、および/または、前記特定物品の購入時にカメラが撮像した前記特定物品の購入人物の靴が、エリアの境界に設置される設備の通過時にカメラが撮像した前記特定物品の持ち込みのタイミングでゲートを通過した人物の靴と異なるか否か、を条件として、前記第2判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項15】
請求項8に記載の情報配信方法であって、
前記プロセッサは、
セキュリティゲートから送信された前記特定物品の持ち込み情報に基づいて、前記第2判断を実行する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
施設や公共交通機関における犯罪行為に用いられる物品には、日常生活で用いられる物品が流用されることがある。たとえば、包丁は通常の使用目的では家庭や店舗での料理に用いられるが、刃物として犯罪行為に用いられることがある。また、ガソリン携行缶は、通常の使用目的では、農業機械等エンジン搭載器具の給油などに用いられるものであるが、ガソリンなどの可燃液体による放火などの犯罪行為に用いられることがある。
【0003】
公共交通機関に関する法令や規則においては、日常生活で用いられる物品であっても犯罪行為に流用されうる危険物は、原則持ち込み禁止としつつも梱包状態によっては持込みを許可していることがある。日常生活で用いられる物品である以上、正当な目的で当該物品を持ち運んでいる場合もある。したがって、日常生活で用いられる物品であっても犯罪行為に流用されうる物品が、犯罪行為のために悪意を持って持ち込まれたものか、正当な目的で持ち込まれたのかを判断することは容易ではない。
【0004】
なお、特許文献1は、物品をトレースする技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-234628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の観点から、日常生活で用いられる物品が犯罪に流用される恐れがある場合により好適にアラート情報を発信するという課題が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、下記の態様の情報配信方法が提供される。この情報配信方法は、特定物品の持ち込みに関するアラート情報を配信する方法である。この情報配信方法は、プロセッサが特定物品の監視開始を判断する第1判断を実行するステップと、前記プロセッサが前記特定物品の監視を開始すると判断した後に、前記プロセッサが前記特定物品を対象としたアラート情報の配信期間開始を判断する第2判断を実行するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、日常生活で用いられる物品が犯罪に流用される恐れがある場合により好適にアラート情報を発信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】システム全体を説明するための図である。
図2】管理サーバの構成の一例を示す図である。
図3】情報処理端末から情報を受信した場合における管理サーバの判断処理の一例を示すフローチャートである。
図4】監視期間開始条件の例を示す図である。
図5】アラート情報配信期間開始条件の例を示す図である。
図6】アラート情報配信免除条件の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0011】
包丁、ナイフ、ガソリン携行缶など、日常生活で用いられる物品でありながら、犯罪行為に用いられる可能性がある物品を、本実施形態では、特定物品と称する。
【0012】
本実施形態においては、これらの特定物品には販売時からRFタグが埋め込まれている。RFタグには個体識別情報や特定物品の種類の情報などの情報が記録されており、RFID方式などの電波によりこれらの情報を取得可能なタグである。本実施形態では、乗り物や施設に設置するセキュリティゲートにより、当該RFタグの通過を検知することができる。セキュリティゲートは、搬送波となる電波を発信して、RFタグの反射波を受信してRFタグの個体識別を行う。なお、個体識別情報は、それぞれの特定物品を区別して識別するための情報である。従って、同種の特定物品であっても、それぞれの個体識別情報は異なっている。
【0013】
[システム全体の説明]
図1を参照しながら、システム全体の一例について説明する。図1に示すように、セキュリティデートは、例えば、駅、銀行に設けられる。そして、それぞれのセキュリティゲート(Sゲート1~4)は情報処理端末に接続されており、当該セキュリティゲートに接続された情報処理端末は、インターネットなどのネットワークを介して管理サーバ100と通信可能である。
【0014】
管理サーバ100は、本実施形態に係るセキュリティシステムの全体を制御する。管理サーバ100は、インターネットなどのネットワークを介してセキュリティゲートに接続された情報処理端末と通信可能である。
【0015】
図2は管理サーバ100の構成の一例を示す。図2に示すように、管理サーバ100は、CPU201と、ストレージ202と、記憶部203と、通信部204と、を備える。管理サーバ100は、インタフェースである通信部204を介してインターネットなどのネットワークにて接続される。管理サーバ100は、記憶部203に展開したプログラムをCPU201が実行して各種処理を行う。管理サーバ100は、ストレージ202に各種情報を記録し、データベースを構築する。管理サーバ100は、記憶部203に展開したプログラムにより、通信部204を介して外部機器と各種情報を送受信する。
【0016】
また、管理サーバ100は時刻管理や期間管理が可能なタイマー205を有する。また、管理サーバ100は、インターネットなどのネットワークを介して、特定物品の購入履歴や購入日時が記録されている購入記録装置と通信可能である。ここで、購入記録装置の一例としては、店舗販売であれば、店舗のPOSシステムなどである。また、購入記録装置の一例として、通信販売やインターネット等を介したネットショッピングであれば、これらの購入履歴のデータベースを有する電子商取引サーバなどである。
【0017】
具体的には、管理サーバ100は、購入記録装置から特定物品の購入履歴、購入日時、購入店舗情報、購入店舗位置情報、配送日時、配送先位置情報、配送品の受取日時情報、特定物品の種類の情報、および購入された特定物品の個体識別情報などを受信する。なお、ここでいう「購入」とは購入者視点での表現である。販売者視点では、「販売」と表現してもよい。本実施形態の以降の説明では、購入者視点での表現である「購入」で統一するが、販売者視点での表現である「販売」に変えても良い。
【0018】
管理サーバ100は、駅、ショッピングモール、デパートメントストア、銀行、公共施設、公官庁などの施設、電車、バス、タクシー、レンタカーなどの乗り物などに設置されたセキュリティゲートに接続された情報処理端末と通信して、当該セキュリティゲートを特定物品が通過したことを示す情報を受信する。この情報は、特定物品がこれらの施設や乗り物に持ち込まれた情報として、特定物品の持込情報と称してもよい。持込情報には、当該セキュリティゲートがRFタグから読み取った個体識別情報および/または特定物品の種類の情報などが含まれる。
【0019】
また、管理サーバ100は、記憶部203に展開したプログラムをCPU201が実行することにより、セキュリティゲートに接続された情報処理端末から持込情報を受信したとき、所定の条件を満たすか否かを判断する判断処理を行う。当該判断処理は、当該所定の条件を基準として、管理サーバ100がアラート情報を発信するか否かを判断する処理である。管理サーバ100は、当該所定の条件を満たす場合、応答としてアラート情報を当該セキュリティゲートに接続された情報処理端末へ送信する。当該アラート情報は、特定物品が正当な使用理由と異なる理由で持ち運ばれている可能性があることを示し、当該セキュリティゲートが設置される施設や乗り物において警戒を促すための情報である。
【0020】
[特定物品の移動とアラート情報配信期間の一例]
図1の(1)および(2)の部分を参照しながら、特定物品の移動とアラート情報配信期間の一例について説明する。特定物品として包丁が店舗で販売されているとする。特定物品には、RFタグが埋め込まれている。RFタグには、個体識別情報が記録されている。また、当該RFタグには、特定物品の種類の情報として「包丁」や「刃物」という情報が記録されている。
【0021】
まず、特定物品として包丁が店舗で購入された場合、購入記録装置の一例であるPOSシステムまたはPOSシステムに接続された情報処理端末が、特定物品の購入に関する情報をインターネットを介して管理サーバ100に送信する。管理サーバ100に送信される特定物品の購入に関する情報とは、特定物品の購入履歴、購入日時、購入店舗情報、購入店舗位置情報、および特定物品の種類の情報、購入された特定物品の個体識別情報などである。
【0022】
管理サーバ100は、特定物品の購入に関する情報を受信し、当該個体識別情報を有する特定物品に関する監視期間を開始する。このとき、管理サーバ100の記憶部203に展開したプログラムは監視期間モードに移行する。本図(図1)の例では、管理サーバ100は、タイマー205を用いて、監視期間の開始時刻からの経過時間の計測を行う。
【0023】
次に、特定物品として包丁が店舗で購入された場合、購入者が自宅へ帰宅するために駅に入場し、電車1に乗車する。駅または電車1に設置されるセキュリティゲート(Sゲート1)では、特定物品に埋め込まれたRFタグの通過を検知し、当該セキュリティゲートに接続された情報処理端末が、特定物品が持ち込まれたことを示す持込情報を管理サーバ100に送信する。
【0024】
ここで、監視期間の開始時刻からの経過時間が所定時間(例えば24時間)に達するまでは、管理サーバ100はアラート情報を当該セキュリティゲート(Sゲート1)に接続された情報処理端末には発信しない。経過時間の管理に基づくこれらの処理は、管理サーバ100の記憶部203に展開されCPU201で実行されるプログラムにより行われる。なお、管理サーバ100がアラート情報を発信しない所定期間を、アラート情報配信猶予期間と称する。
【0025】
監視期間の開始時刻から所定期間のアラート情報配信猶予期間を設けることで、通常の使用目的のために特定物品を購入した人物を対象としたアラート情報の発信を抑制することができる。例えば、通常の使用目的として家庭での料理に使用するために包丁を購入した人物は、購入した包丁を自宅まで持ち帰る。その移動における乗り物への包丁の持ち込みに対してまでアラート情報を発信するのは過剰なアラート情報であり、好適ではない。よって、アラート情報配信猶予期間として例えば24時間などの所定期間を設けることにより、このような過剰なアラート情報の発信を抑制できる。なお、電車のように終電時刻などの当日の運行終了時刻がある運行の乗り物では、アラート情報配信猶予期間の終了は24時間の所定期間よりも早く、アラート情報配信猶予期間は当日の運行終了時刻で終了するようにしてもよい。包丁の持ち込みを行った人物の目的が自宅へ帰宅するための移動の目的であれば、当該人物は終電時刻までには乗車すると考えられるためである。
【0026】
なお、監視期間の開始やアラート情報配信猶予期間の管理は、特定物品に埋め込まれたRFタグから取得される個体識別情報により識別される個体ごとに行う。すなわち特定物品ごとに各種期間の管理を行う。
【0027】
次に、当該特定物品(包丁)の監視期間の管理において、アラート情報配信猶予期間が終了したあとアラート配信期間へと移行する。ここで、当該特定物品(包丁)のアラート情報配信猶予期間の終了後、当該特定物品が、駅または電車2に持ち込まれた場合、駅または電車2に設置されたセキュリティゲート(Sゲート2)では、特定物品に埋め込まれたRFタグの通過を検知し、当該セキュリティゲート2に接続された情報処理端末が、特定物品が持ち込まれたことを示す持込情報を管理サーバ100に送信する。
【0028】
ここで、アラート情報配信猶予期間を超えておりアラート配信期間がすでに開始されているので、管理サーバ100はアラート情報を当該セキュリティゲート(Sゲート2)に接続された情報処理端末に発信する。経過時間の管理に基づくこれらの処理は、管理サーバ100の記憶部203に展開されCPU201で実行されるプログラムにより行われる。アラート情報を受信した当該セキュリティゲート(Sゲート2)に接続された情報処理端末は当該駅や電車2における警戒を促す各種処理を行う。ここで、警戒を促す各種処理とは、駅員などのスタッフ、運転手などに警戒情報を連絡する処理、駅や電車2が備える警戒情報を発信するモニタやスピーカーに警戒情報の発信を指示する処理、または、当該電車2がネットワークを介して接続される運行システムに警戒事案の発生ついての連絡をする処理などである。
【0029】
次に、当該特定物品(包丁)を持ち込んだ人物が、電車2から退場した後、銀行である施設1に当該特定物品を持ち込んだ場合も、銀行である施設1に設置されたセキュリティゲート(Sゲート3)では、特定物品に埋め込まれたRFタグの通過を検知し、当該セキュリティゲート(Sゲート3)に接続された情報処理端末が、特定物品が持ち込まれたことを示す持込情報を管理サーバ100に送信する。
【0030】
ここで、アラート情報配信猶予期間を超えておりアラート配信期間がすでに開始されているので、管理サーバ100はアラート情報を当該セキュリティゲート(Sゲート3)に接続された情報処理端末に発信する。アラート情報を受信した当該セキュリティゲート(Sゲート3)に接続された情報処理端末は当該施設1(銀行)における警戒を促す各種処理を行う。ここで、警戒を促す各種処理とは、当該銀行の銀行員などのスタッフなどに警戒情報を連絡する処理、当該銀行が備える警戒情報を発信するモニタやスピーカーに警戒情報の発信を指示する処理、または、当該銀行が提携しているセキュリティ会社に警戒事案の発生ついての連絡をする処理などである。
【0031】
次に、当該特定物品(包丁)を持ち込んだ人物が、施設1(銀行)から退場した後、バス1に当該特定物品を持ち込んだ場合も、バス1に設置されたセキュリティゲート(Sゲート4)では、特定物品に埋め込まれたRFタグの通過が検知され、当該セキュリティゲート(Sゲート4)に接続された情報処理端末が、特定物品が持ち込まれたことを示す持込情報を管理サーバ100に送信する。
【0032】
ここで、アラート情報配信猶予期間を超えておりアラート配信期間がすでに開始されているので、管理サーバ100はアラート情報を当該セキュリティゲート(Sゲート4)に接続された情報処理端末に発信する。アラート情報を受信した当該セキュリティゲート(Sゲート4)に接続された情報処理端末はバス1における警戒を促す各種処理を行う。ここで、警戒を促す各種処理とは、当該バスの運転手などに警戒情報を連絡する処理、当該バスが備える警戒情報を発信するモニタやスピーカーに警戒情報の発信を指示する処理、または、当該バスがネットワークを介して接続される運行システムに警戒事案の発生ついての連絡をする処理などである。
【0033】
以上説明したように、本実施形態では、管理サーバ100は、特定物品の個体識別情報ごとに監視期間の開始、アラート情報配信猶予期間の管理、アラート配信期間の管理を行う。管理サーバ100は、各セキュリティゲートから特定物品の持込情報を受信するたびに、当該特定物品の個体識別情報に基づいて、当該特定物品の監視期間が、アラート情報配信猶予期間であるかアラート配信期間であるかを判断する。この判断により、アラート情報配信猶予期間であると判断した場合には、アラート情報を発信しない。この判断により、アラート配信期間であると判断した場合には、アラート情報を発信する。当該判断処理により、過剰なアラート情報を抑制し、より好適にアラート情報の発信を行うことができる。また、後で詳しく説明するように、アラート配信期間であり、その他のアラート配信の条件が満たされていると判断した場合に、管理サーバ100はアラート情報を発信してもよい。
【0034】
なお、図1において、各セキュリティゲートに接続された情報処理端末は、ネットワークを介して、管理サーバ100と通信を行っている。しかしながら、各セキュリティゲートに接続された情報処理端末は、各施設のセキュリティを統括して管理する施設の管理システムや、乗り物を統括して管理する交通機関の管理システム等と通信を行ってもよい。そして、施設の管理システムや交通機関の管理システム等が管理サーバ100と通信を行ってもよい。この場合は、各セキュリティゲートに接続された情報処理端末から管理サーバ100へ持込情報を送信する場合に、施設の管理システムや交通機関の管理システムがこれを中継することになる。管理サーバ100がアラート情報を送信する場合は、当該アラート情報を施設の管理システムまたは交通機関の管理システムが受信して、施設の管理システムまたは交通機関の管理システムが警戒を促す各種処理を行うように構成してもよい。この場合、必ずしも個々のセキュリティゲートまでアラート情報を送信する必要はない。
【0035】
[管理サーバの判断処理]
次に、管理サーバ100が、セキュリティゲートに接続された情報処理端末から発信される、特定物品についての持込情報に基づく情報を受信した場合の判断処理について説明する。図3は、当該判断処理のフローチャートである。
【0036】
まず、管理サーバ100の通信部204が、セキュリティゲートに接続された情報処理端末から発信される持込情報を受信する(ステップ301)。この場合、管理サーバ100の記憶部203に展開してCPU201が実行するプログラムは以降の各種処理を行う。
【0037】
管理サーバ100のプログラムは、第1判断として、持込情報に含まれる当該特定物品の個体識別情報に基づいて、当該特定物品について監視期間が開始済か否かを判断する(ステップ302)。なお、ステップ302についての監視期間が開始済か否かの判断の詳細は後述する。当該特定物品について監視期間が開始済でない場合(NO)、ステップ305に進みアラート情報を発信しない(ステップ305)。当該特定物品について監視期間が開始済である場合(YES)、ステップ303に進む。
【0038】
次に、ステップ303において、管理サーバ100のプログラムは、第2判断として、当該特定物品についてアラート配信期間開始条件を満たしているか判断する。なお、ステップ303のアラート配信期間開始条件を満たしているか否かの判断の詳細は後述する。当該特定物品についてアラート配信期間開始条件を満たしていない場合(NO)、ステップ305に進みアラート情報を発信しない(ステップ305)。当該特定物品についてのアラート配信期間開始条件を満たしてる場合(YES)、ステップ304に進む。
【0039】
次に、ステップ304において、管理サーバ100のプログラムは、第3判断として、当該特定物品についてアラート情報配信免除条件に該当するか否かを判断する。上記の図1を用いた説明では、当該特定物品についてのアラート情報配信免除条件の説明が省略されたが、これを詳細に説明する。すなわち、アラート情報配信免除条件とは、当該特定物品について監視期間が開始済であって、かつ、当該特定物品についてのアラート配信期間開始条件を満たしている場合であっても、アラート情報の発信を免除する理由があると認められることを判断するための条件である。
【0040】
例えば、刃物として犯罪に用いられる可能性がある特定物品である包丁については、調理師免許を有する料理人であれば、店舗間の移動などの正当な理由で何回も施設や乗り物に持込む可能性は十分にあり得る。また、放火などの犯罪に用いられる可能性がある特定物品であるガソリン携行缶については、整備士などが必要により業務で持ち運ぶことも十分にあり得る。よってのこれらの条件をあらかじめ、管理サーバ100のストレージに構成されるデータベースにアラート情報配信免除条件に関する情報として登録しておき、当該情報を管理サーバ100のプログラムが確認することによって、当該特定物品についてアラート情報配信免除条件に該当するか否かを判断することができる。
【0041】
よって、ステップ304について、具体的には、管理サーバ100のプログラムは、当該特定物品の個体識別情報に基づいて、管理サーバ100のストレージ202に構成されるデータベースにおいて、当該特定物品についてのアラート情報配信免除条件に関する情報が記録されていないか確認する。当該特定物品についてのアラート情報配信免除条件に関する情報が記録されており、アラート情報配信免除条件を満たすと判断した場合には(YES)、ステップ305に進みアラート情報を発信しない(ステップ305)。アラート情報配信免除条件を満たさないと判断した場合には(NO)、ステップ306に進み、管理サーバ100はアラート情報を、当該セキュリティゲートに接続された情報処理端末、当該セキュリティゲートが設置される施設の管理システム、または当該セキュリティゲートが設置される乗り物が属する交通機関の管理システムなどに発信する。なお、ステップ304におけるアラート情報配信免除条件に該当するか否かの判断の詳細については後述する。
【0042】
以上説明した、当該判断処理のフローチャートによる判断処理によれば、より好適にアラート情報の発信可否を判断することができる。なお、ステップ302における監視期間が開始済か否かの判断(第1判断)、ステップ303におけるアラート配信期間開始条件を満たしているか否かの判断(第2判断)、およびステップ304におけるアラート情報配信免除条件に該当するか否かの判断(第3判断)の好適な態様には、様々な態様が考えられうる。以降の図4図5図6を用いてこれらの対応について説明する。
【0043】
図4は、監視期間開始条件の例を示している。監視期間開始条件の例としては図示するようにいくつかの条件例が考えられる。
【0044】
条件例1は、店舗において、特定物品が購入された場合である。図1で説明したように、店舗販売において、POSシステムなどの購入記録装置から特定物品の個体識別情報と購入日時等の、特定物品が購入されたことを示す情報が管理サーバ100へ送信されたことをもって、監視期間開始条件とする例である。店舗販売の特定物品の購入後の監視を行う場合に好適である。
【0045】
条件例2は、通信販売やインターネット等を介したネットショッピングにおいて、特定物品が購入された場合、その購入および受取が行われたことをもって、監視期間開始条件とする例である。より具体的には、通信販売やインターネット等を介したネットショッピングの購入履歴のデータベースを有する電子商取引サーバは、配達業者からの受取完了に関する情報を受信し、データベースに記録する。当該電子商取引サーバからの情報には、特定物品の個体識別情報および/または配送品の受取日時情報が含まれる。特定物品が購入されたことを示す情報が管理サーバ100へ送信されたことをもって、監視期間開始条件とすればよい。
【0046】
条件例3は、管理サーバ100のオペレータが対象となる特定物品について監視期間の開始を設定したことをもって監視期間開始条件とする例である。これは、オペレータの手動操作により、ある個体識別情報を有する特定物品について、監視期間開始条件を開始させることができる方法である。例えば、店舗や倉庫において、特定物品が盗難などにより紛失した場合など、通常の販売、購入処理以外の例外的な経緯により、特定物品を公共の場にいる人物が持ち運ぶ状況となる場合がある。店舗のPOSシステムなどにおいて、商品管理IDと特定物品の個体識別情報のデータベースなどを有しておけば、このような紛失があった場合に、店舗や倉庫の管理者が管理している当該紛失した特定物品の商品管理IDなどに基づいて、店舗のPOSシステムまたは管理サーバ100等におけるデータベースから、当該特定物品の個体識別情報を把握することができる。店舗や倉庫の管理者からの紛失した特定物品の個体識別情報の連絡が、管理サーバ100のオペレータに伝えられた場合に、通常とは異なる例外処理として、オペレータの手動操作により、当該個体識別情報を有する特定物品について監視期間開始条件を開始させることができる。
【0047】
なお、オペレータの手動操作は、具体的には、管理サーバ100の動作ソフトウェアに所定のコマンドを入力してもよいし、管理サーバ100の記憶部203またはストレージ202に記憶される情報を書き換えることによって、監視期間開始条件を開始する状態に変更する操作などがある。これは、以降説明する「オペレータの手動操作」においても同様である。
【0048】
なお、これらの条件例のいずれかを単独で用いても良いし、これらの条件のいずれかを満たせば監視期間開始条件が満たされると判断するようにしてもよい。
【0049】
図5は、アラート情報配信期間開始条件の例を示している。アラート情報配信期間開始条件の例としては図示するようにいくつかの条件例が考えられる。
【0050】
条件例1は、監視期間開始から所定時間の経過によりアラート配信猶予期間が終了したことをもって、アラート情報配信期間開始とする例である。ここで、所定時間とは例えば、24時間(1日間)などである。48時間(2日間)などに設定しても良い。通常の使用目的として特定物品を購入した人物が、通常の目的で使用する場所(自宅や店舗)まで、購入した特定物品を持ち帰るために移動することは自然であり、24時間あれば、その移動も終了するであろう、という予測に基づく条件である。以上説明した条件例1を用いるようにすれば、通常の使用目的で特定物品を購入し、持ち運ぶ人物をアラート情報発信の対象とする確率を下げることができ、過剰なアラート情報の発信を抑制できる。
【0051】
条件例2は、監視期間開始した日における、終電時刻などの当日の運行終了時刻がある運行の乗り物への持込みについては、当日の運行終了時刻になったことをもって、アラート配信猶予期間を終了させ、これをもって、アラート情報配信期間開始とする例である。すなわち、通常の使用目的として特定物品を購入した人物が、通常の目的で使用する場所(自宅や店舗)まで、購入した特定物品を持ち帰るために移動することは自然であり、当日の運行終了時刻までには、その移動も終了するであろう、という予測に基づく条件である。以上説明した条件例2を用いるようにすれば、通常の使用目的で特定物品を購入し、持ち運ぶ人物をアラート情報発信の対象とする確率を下げることができ、過剰なアラート情報の発信を抑制できる。
【0052】
条件例3は、管理サーバ100のオペレータが対象となる特定物品についてアラート情報配信期間の開始を設定したことをもってアラート情報配信期間の開始とする例である。これは、オペレータの手動操作により、ある個体識別情報を有する特定物品について、アラート情報配信期間の開始させることができる方法である。
【0053】
例えば、図4の条件例3で説明した、店舗や倉庫において、特定物品が盗難などにより紛失した場合など、通常の販売、購入処理以外の例外的な経緯により、特定物品が公共の場にいる人物に持ち運ばれる状況となる場合には、通常の使用目的以外の目的で使用されるリスクがより高いと考えられる。したがって、このような場合まで、当該特定物品について、アラート配信猶予期間を設けるのは好適とは言えない場合があり得る。そこで、図4の条件例3で説明したように、店舗や倉庫の管理者からの紛失した特定物品の個体識別情報の連絡が管理サーバ100のオペレータに伝えられた場合に、通常とは異なる例外処理として、オペレータの手動操作により、当該個体識別情報を有する特定物品について監視期間開始条件を開始させ、さらに、続けて、当該特定物品についてアラート情報配信期間開始の設定を行うことが望ましい。
【0054】
また、監視期間開始条件が、図4の条件例1や条件例2など、通常の購入行為により満たされた場合であっても、オペレータの手動操作により、ある個体識別情報を有する特定物品についてのアラート情報配信期間の開始させることが望ましい場合はある。例えば、通常の購入行為により購入され、通常の目的で使用する予定であった人物が、当該特定物品をアラート配信猶予期間内に持ち運び中に盗難などにより紛失してしまった場合、などである。POSシステムにおいて、購入履歴と特定物品の個体識別情報を紐づけるデータベースなどを有しておけば、通常の目的で使用する予定であった人物の店舗などでの購入履歴をPOSシステムなどで調べることにより、当該人物が購入した特定物品の個体識別情報を把握することができる。通常の目的で使用する予定であった人物が紛失した特定物品の個体識別情報についての連絡が、管理サーバ100のオペレータに伝えられた場合に、通常とは異なる例外処理として、管理サーバ100のオペレータが当該特定物品についてアラート情報配信期間開始の設定を行うことが望ましい。このように、管理サーバ100のオペレータが当該特定物品についてアラート情報配信期間の開始を設定したこと、をアラート情報配信期間開始条件として設けておけば、アラート情報配信期間の開始制御をより好適に実現できる。
【0055】
条件例4は、セキュリティゲートが設置される施設や交通機関において、対象となる特定物品の持ち込みが例外なく禁止されている場合、当該セキュリティゲートに接続された情報処理端末が、特定物品が持ち込まれたことを示す持込情報を管理サーバ100に送信されたことをもって、アラート情報配信期間開始とする例である。
【0056】
本実施形態のセキュリティシステムにおいてアラート配信猶予期間を設けている理由は、犯罪行為に流用されうる特定物品であっても、施設や乗り物において、日常生活で用いるための移動の途中に正当な理由で持ち込まれる可能性があり得るためである。これに対し、当該施設や当該交通機関において、対象となる特定物品の持ち込みが例外なく禁止されている場合は、そもそも正当な理由で持ち込まれる可能性が無い。したがって、このような場合まで、アラート配信猶予期間を設ける必要はなく、当該セキュリティゲートについては、アラート情報配信期間開始とすることが望ましい。
【0057】
なお、対象となる特定物品の持ち込みが例外なく禁止されているか否かは、施設または交通機関によって異なる。したがって、管理サーバ100のデータベースには、あらかじめセキュリティゲートが設置される施設および交通機関毎に、持ち込みが例外なく禁止されている特定物品の種類の情報を格納しておくことが望ましい。管理サーバ100のCPU201が実行するプログラムは、セキュリティゲートに接続された情報処理端末から持込情報が管理サーバ100に送信された場合に、当該持込情報に含められた特定物品の種類の情報に基づいて、当該セキュリティゲートが設置される施設および交通機関において、当該種類の特定物品の持込みが例外なく禁止されているか否かについて上記データベースを用いて確認する。当該セキュリティゲートが設置される施設および交通機関において、当該種類の特定物品の持込みが例外なく禁止されていると、管理サーバ100のCPU201が実行するプログラムが判断する場合は、管理サーバ100は、当該特定物品について、当該セキュリティゲートへのアラート情報配信期間を開始する。
【0058】
なお、当該条件例4に基づいて、アラート情報配信期間が開始された場合、それ以降のすべてのセキュリティゲートにおいて、アラート情報配信期間が開始された状態としてもよい。しかしながら、他の施設または他の交通機関において、必ずしも当該種類の特定物品の持込みが例外なく禁止されているとは限らないため、当該条件例4におけるアラート情報配信期間開始は、当該条件例4の条件を満たす持込情報を発信したセキュリティゲートに限定して適用してもよい。
【0059】
ここで、条件例4以外の他の条件で、アラート情報配信期間が開始されていない場合には、当該種類の特定物品の持込みが例外なく禁止されている施設や交通機関に設置されるセキュリティゲートにおいては、アラート情報配信期間が開始された状態となるが、当該種類の特定物品の持込みが例外なく禁止されているわけではない施設や交通機関に設置されるセキュリティゲートにおいては、アラート情報配信期間が開始されていない状態のままとなる。このようにすれば、各施設または各交通機関のセキュリティポリシーをより好適に反映したアラート情報配信制御を実現することが可能となる。
【0060】
なお、これらの条件例のいずれかを単独で用いても良いし、これらの条件のいずれかを満たせばアラート情報配信期間開始条件が満たされると判断するようにしてもよい。
【0061】
図6は、アラート情報配信免除条件の例を示している。アラート情報配信免除条件の例としては図示するようにいくつかの条件例が考えられる。
【0062】
アラート情報配信免除条件とは、図3を用いて説明したとおり、アラート情報配信期間が開始されていたとしても、管理サーバ100のプログラムがアラート情報配信免除条件を満たしていると判断した場合に、アラート情報を発信しないように処理を行うようにする条件である。すなわち、アラート情報配信期間が開始されていてもアラート情報を発信しない理由が十分にあり得る条件を設定すればよい。
【0063】
条件例1は、特定物品を保持して移動する正当な資格を有する者が所有者としてデータベースに登録されていることをもって、アラート情報配信免除とする例である。例えば、調理師免許を保有している料理人に関して、包丁は自宅で使用するだけでなく店舗など自宅以外の場所で使用する仕事道具でもある。調理師免許保有者が仕事道具である包丁を、仕事で用いるために正当な理由で持ち運びながら移動している状況においてまで、アラート情報を配信するのは好適ではない。
【0064】
そこで、このような場合、管理サーバ100のストレージ202に構成されるデータベースに特定物品の個体識別情報と、当該特定物品の所有者が正当な資格を有している旨の情報を対応付けて保持させる構成とすればよい。所有者が正当な資格を有している旨の情報が対応付けられて記憶されている特定物品については、管理サーバ100が、アラート情報配信免除条件を満たしている、と判断することが可能となる。
【0065】
管理サーバ100のストレージ202に構成されるデータベースに特定物品の所有者が正当な資格を有している旨の情報を、当該特定物品の個体識別情報と対応付けて保持させる方法の具体例としては、以下の方法があり得る。すなわち、その一例として、所有者が保有するスマートフォンのカメラ機能などで、身分証明書と資格を証明する書類等を撮影し、撮影して生成した画像をスマートフォンの通信機能により、ネットワークを介して管理サーバ100へ送信する。当該管理サーバ100に送信された画像に基づいた確認を経て、管理サーバ100のオペレータの手動操作により、当該特定物品の所有者が正当な資格を有している旨の情報を対応付けて保持させるようにすればよい。以上説明した条件例1を用いるようにすれば、正当な理由で特定物品を持ち運ぶ人物をアラート情報発信の対象とする確率を下げることができ、過剰なアラート情報の発信を抑制できる。
【0066】
条件例2は、(1)特定物品を保持して移動する正当な資格を有する者が所有者としてデータベースに登録されていること、および(2)セキュリティゲートの位置の近傍に、当該所有者の保有する携帯情報端末の位置情報が認識されたこと、の2点が満たされたことをもって、アラート情報配信免除とする例である。
【0067】
(1)特定物品を保持して移動する正当な資格を有する者が所有者としてデータベースに登録されていること、については、図6の条件例1と同じ条件であり、その条件を用いる主旨もすでに説明したとおりであるので、繰り返しの説明は省略する。これに対し、条件例2では、(2)セキュリティゲートの位置の近傍に、当該所有者の保有する携帯情報端末の位置情報が認識されたこと、を条件として追加している。ここで、(1)特定物品を保持して移動する正当な資格を有する者が所有者としてデータベースに登録されていること、を満たしていても、当該特定物品を実際に所持して移動している人物が上記所有者とは別人である場合もあり得る。例えば、正当な資格を有する上記所有者の自宅に保管されていた当該特定物品を、当該所有者とは別人が持ち出した場合などである。この場合、当該特定物品が正当な理由で所持されている状況とはいえない可能性が高い。
【0068】
そこで、管理サーバ100のストレージ202に構成されるデータベースに特定物品の所有者が正当な資格を有している旨の情報を、当該特定物品の個体識別情報と対応付けて保持させる処理を行う際に、当該所有者のスマートフォンの位置情報が管理サーバ100側から取得できるようにする処理を合わせて行うようにすればよい。
【0069】
当該所有者のスマートフォンの位置情報が管理サーバ100側から取得できるようにする処理とは、管理サーバ100からの位置情報に関する問い合わせの通信に対して、所有者のスマートフォンが応答を許可する設定を行う処理などである。当該処理において、管理サーバ100から当該スマートフォンに関する情報の取得先の情報も管理サーバ100のストレージ202に構成されるデータベースに記録する。
【0070】
その後、セキュリティゲートに接続された情報処理端末から、特定物品が持ち込まれたことを示す持込情報が管理サーバ100に送信された場合に、管理サーバ100は、ストレージ202に構成されるデータベースに記録されている当該特定物品の個体識別情報と対応付けられたスマートフォンに関する情報の取得先にアクセスし、当該スマートフォンの位置情報を取得する。取得したスマートフォンの位置情報が、管理サーバ100に特定物品が持ち込まれたことを示す持込情報を送信したセキュリティゲートの位置の近傍である場合に、上述の「(2)セキュリティゲートの位置の近傍に、当該所有者の保有する携帯情報端末の位置情報が認識されたこと」との条件が満たされた、と判断すればよい。なお、「近傍」とは、例えば、100m以内などに設定すればよい。
【0071】
以上説明した条件例2を用いるようにすれば、正当な資格を有する者(所有者)がデータベースに登録されている特定物品についての持込情報が管理サーバ100に送信されたときであっても、正当な資格を有する者以外の者が当該特定物品を持ち運んでいる場合は、管理サーバ100はアラート情報を当該セキュリティゲートに接続された情報処理端末に発信することになる。すなわち、条件例2を用いるようにすれば、正当な理由で特定物品を持ち運ぶ人物をアラート情報発信の対象とする確率を下げるという効果を、図6の条件例1よりも精度高く実現することができ、必要なアラート情報をより好適に発信しつつ、過剰なアラート情報の発信をより好適に抑制できる。
【0072】
条件例3は、管理サーバ100のオペレータが対象となる特定物品についてアラート情報配信免除を設定したことをもってアラート情報配信免除とする例である。これは、オペレータの手動操作により、ある個体識別情報を有する特定物品について、アラート情報配信の免除をさせることができる方法である。
【0073】
例えば、飲食店の店舗が、ある施設から別の施設へ移転する場合など、移転作業において、包丁などの特定物品が多数セキュリティゲートを通過する場合があり得る。このような場合までアラート情報を発するのは、無用の混乱を招く場合がある。またこのような場合では、当該包丁を使用する調理人が同時に移動するとは限らない。よって、図6の条件例2などでは、当該アラートの発信を抑制することはできない。そこで、例えば、移転する飲食店のスタッフなどからあらかじめ、当該移転により所定の施設のセキュリティゲートを通過する予定の特定物品の個体識別情報の連絡が、管理サーバ100のオペレータに伝えられた場合に、通常とは異なる例外処理として、オペレータの手動操作により、当該個体識別情報を有する特定物品についてアラート情報配信免除を行うことが望ましい。
【0074】
なお、当該アラート情報配信免除は、すべてのセキュリティゲートを対象にしてもよいが、上記店舗移転等において通過が正当に必要なセキュリティゲートの通過にのみアラート情報配信免除をおこなうように設定してもよい。本来通過が不要なセキュリティゲートからの持込情報が送信された場合は、想定外の異常事態が生じている可能性があり、管理サーバ100がアラート情報を発信するのは好適であると考えられるためである。また、オペレータの手動操作による特定物品についてアラート情報配信免除は終了時刻を設定することが望ましい。店舗移転等の作業に必要な時間はあらかじめ想定可能であるうえ、当該終了時刻以降では、オペレータの手動操作が無くともアラート情報配信免除が終了するほうが、必要なアラート情報配信を好適に再開できるためである。このように、管理サーバ100のオペレータが当該特定物品についてアラート情報配信免除を設定したこと、をアラート情報配信免除条件として設けておけば、アラート情報配信免除制御をより好適に実現できる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0076】
[変形例1]
管理サーバ100が配信するアラート情報に警戒レベルが複数設けられてもよい。例えば、警戒レベル1(警戒レベル中)、警戒レベル2(警戒レベル高)などの警戒レベルが設けられてもよい。そして、警戒レベルの高さに応じた態様のアラート情報を配信してもよい。
【0077】
図3のS306「アラート情報を発信する」に該当する特定物品が同時に複数持ち込まれた場合は、特定物品が1つだけ持ち込まれた場合に送信されるアラート情報に比べて、警戒レベルを高めたアラート情報を送信するように構成してもよい。例えば、「アラート情報を発信する」に該当する特定物品が1つだけ持ち込まれた場合に送信されるアラート情報は警戒レベル1(警戒レベル中)のアラート情報とし、「アラート情報を発信する」に該当する特定物品が同時に複数持ち込まれた場合に送信されるアラート情報は警戒レベル2(警戒レベル高)のアラート情報とするようにしてもよい。
【0078】
また、複数の異なる種類の特定物品が同時に持ち込まれた場合は、同じ種類の特定物品が同時に持ち込まれた場合に送信されるアラート情報に比べて、警戒レベルを高めたアラート情報を送信するように構成してもよい。例えば、「アラート情報を発信する」に該当する特定物品として「包丁」のみが持ち込まれる場合、アラート情報は警戒レベル1(警戒レベル中)のアラート情報とし、「アラート情報を発信する」に該当する特定物品として「包丁」および「ガソリン携行缶」が同時に持ち込まれる場合、アラート情報は警戒レベル2(警戒レベル高)のアラート情報としてもよい。
【0079】
このように警戒レベルを異ならせた複数種類のアラート情報を、各施設や各交通機関に送信することにより、各施設や各交通機関は警戒レベルに応じた警戒態勢とすることが可能となる。
【0080】
[変形例2]
カメラで撮像して取得した情報が管理サーバ100に保管され、管理サーバ100は当該情報を用いて処理を行ってもよい。
【0081】
例えば、店舗購入時にカメラが購入人物の服装や靴などを含めて撮像し、購入記録装置からの特定物品の個体識別情報とともに、管理サーバ100に撮像画像が送信される。そして、管理サーバ100は、当該購入人物の撮像画像を、特定物品の個体識別情報と対応付けてストレージ202に記録しておく。
【0082】
各セキュリティゲートにも同様に、ゲートを通過した人物を撮像するカメラが設けられる。そして、セキュリティゲートが特定物品の持ち込みを検知した場合には、そのタイミングでゲートを通過した人物をカメラが撮像する。情報処理端末は、持込情報を管理サーバ100に送信する際に、セキュリティゲートが特定物品の持ち込みを検知したタイミングでゲートを通過した人物の撮像画像をともに送信する。
【0083】
そして、この処理に関する条件例が追加されてもよい。すなわち、図3のステップ303の条件例として、図5(アラート情報配信期間開始条件)に条件例5が追加されてもよい。条件例5は、「セキュリティゲートが特定物品の持ち込みを検知したタイミングでゲートを通過した人物の服装が購入人物の服装と異なる場合、または、セキュリティゲートが特定物品の持ち込みを検知したタイミングでゲートを通過した人物の靴が購入人物の靴と異なる場合」とする。
【0084】
図5の条件例1や条件例2を満たしていない場合でも、セキュリティゲートが特定物品の持ち込みを検知したタイミングでゲートを通過した人物の服装や靴が購入時と異なる場合は、当該人物が同一人物であれば一度帰宅している可能性が高い。そのため、包丁などの特定物品を帰宅後にもう一度持ち出している場合は警戒が必要となる。また、別人である場合は、包丁などの特定物品を別人に渡していることになり、正当な理由以外の理由で持ち運んでいる可能性が少なからず増える。よって、このような場合は、より警戒を高めるために、アラート情報配信期間の開始制御を行うことが望ましい。
【0085】
なお、条件例5は、「セキュリティゲートが特定物品の持ち込みを検知したタイミングでゲートを通過した人物の服装が購入人物の服装と異なる場合、および/または、セキュリティゲートが特定物品の持ち込みを検知したタイミングでゲートを通過した人物の靴が購入人物の靴と異なる場合」としてもよい。
【0086】
上記の説明では、プロセッサとして、CPU201を用いる例が説明された。しかしながら、所定の処理の実行主体であればよく、プロセッサとして、他の種類の半導体デバイスが用いられてもよい。ストレージ202は、HDD(Hard Disk Drive)等の適宜の記憶装置を用いて構成することができる。記憶部203は、例えば、RAM(Random Access Memory)を用いて構成することができる。
【0087】
上記の説明では、エリアの境界に設置される設備としてセキュリティゲートを用いるシステムの一例が説明された。しかしながら、エリアの境界に設置される他の種類の設備が用いられてもよい。当該設備として、例えば、駅の改札内と改札外の境界に設置される自動改札機、店舗や公共機関などの出入り口に設けられるゲート、乗り物の乗降口に設けられるゲート等が考えられる。
【0088】
そして、これらの設備は、RFタグの通過を検知する装置を備えてもよい。また、これらの設備は情報処理端末に接続されてもよい。また、情報処理端末が施設の管理システムや交通機関のシステムなどに接続され、当該情報処理端末が接続されたシステムが管理サーバ100と通信を行ってもよい。
【0089】
また、アラート情報配信期間開始条件、および、アラート情報配信免除条件において、これらの設備を対象とする条件例が設定されてもよい。例えば、アラート情報配信免除条件において、これらの設備に関して、「特定物品を保持して移動する正当な資格を有する者が所有者としてデータベースに登録されていること、および設備の位置の近傍に、当該所有者の保有する携帯情報端末の位置情報が認識されたこと」の条件例が設定されてもよい。また、対象となる特定物品の持ち込みが例外なく禁止されている施設や乗り物に設備が設置される場合、アラート情報配信期間開始条件において、「対象となる特定物品の持ち込みが例外なく禁止されている施設や乗り物に設置された設備から持込情報が送信された場合」の条件例が設定されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
100 管理サーバ
201 CPU
202 ストレージ
203 記憶部
204 通信部
205 タイマー
図1
図2
図3
図4
図5
図6