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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044797
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240326BHJP
   F25D 25/00 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
F25D23/00 302Z
F25D25/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150545
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】高橋 由紀
(72)【発明者】
【氏名】村田 颯太
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA14
3L345BB05
3L345CC01
3L345DD55
3L345GG11
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】貯蔵品の取り出し易さを損なうことなく、収納容器内の保存性を改善することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】実施形態に係る冷蔵庫1は、貯蔵室10を有する冷蔵庫本体2と、前方へ引き出し可能に貯蔵室10に収納された収納容器60と、透湿シート101を有する透湿部材100とを備え、透湿部材100は、収納容器60の後壁60cより前方において収納容器60よりも上方の空間Sを前後に仕切るように冷蔵庫本体2に設けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前方へ引き出し可能に前記貯蔵室に収納された収納容器と、
透湿シートを有する透湿部材とを備え、
前記透湿部材は、前記収納容器の後壁より前方において前記収納容器よりも上方の空間を前後に仕切るように前記冷蔵庫本体に設けられている、冷蔵庫。
【請求項2】
透湿シートを有し、前記透湿部材より後方において前記収納容器よりも上方の空間を前後に仕切る後側透湿部材を備える、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記後側透湿部材は前記冷蔵庫本体に設けられている、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記後側透湿部材は前記収納容器に設けられている、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
透湿シートを有し、前記透湿部材より後方において前記収納容器よりも上方の空間を前後に仕切る第1後側透湿部材及び第2後側透湿部材を備え、
前記第1後側透湿部材は前記冷蔵庫本体に設けられ、
前記第2後側透湿部材は前記収納容器に設けられている、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記収納容器が前方へ移動すると、前記後側透湿部材が前記透湿部材に接近し、前記後側透湿部材が、前記収納容器と前記透湿部材との間に形成される上下方向の隙間を閉じる請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記収納容器が前記貯蔵室に収納されると、前記第2後側透湿部材が前記第1後側透湿部材に接近し、前記第2後側透湿部材が前記収納容器と前記第1後側透湿部材との間に形成される上下方向の隙間を閉じる、請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記収納容器を前方へ引き出すと、前記第2後側透湿部材が前記透湿部材に接近し、前記第2後側透湿部材が、前記収納容器と前記透湿部材との間に形成される上下方向の隙間を閉じる、請求項5又は7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記収納容器が前方へ移動すると、前記後側透湿部材が前記透湿部材より前方に位置する請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫に貯蔵される食品等の貯蔵品の劣化要因として乾燥が知られている。そこで、貯蔵室に設けた収納容器内を高湿度に保持することで、貯蔵品の乾燥を抑えて鮮度を維持することができる冷蔵庫が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-267348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような冷蔵庫では、冷蔵庫内における収納容器の配置や使い勝手を考慮して、収納容器の上面に貯蔵品を取り出すための開口部を設け、収納容器の上面に沿って移動する蓋体によって上部開口部を開閉することがあるが、貯蔵品を収納容器から取り出すためには蓋体の開閉動作が必要となり取り出し易さが損なわれる。
【0005】
また、収納容器の上部開口部を開放しておくと、収納容器から貯蔵品を取り出しやすくなるが、貯蔵室を循環する空気(風)が収納容器へ進入しやすくなり、貯蔵品が乾燥しやすくなり保存性が損なわれることがある。
【0006】
そこで、本発明は、貯蔵品の取り出し易さを損なうことなく、収納容器内の保存性を改善することができる冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前方へ引き出し可能に前記貯蔵室に収納された収納容器と透湿シートを有する透湿部材とを備え、前記透湿部材は、前記収納容器の後壁より前方において前記貯蔵室の天井面と前記収納容器との間を前後に仕切るように前記冷蔵庫本体に設けられているものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る冷蔵庫の断面図
図2図1の冷蔵庫の要部拡大断面図
図3図1の冷蔵庫の水平方向の断面図
図4図1の冷蔵庫の野菜室扉を開扉した状態の要部拡大断面図
図5図1の冷蔵庫の野菜室扉を開扉した状態の水平方向の断面図
図6】変更例1における冷蔵庫の要部拡大断面図
図7】変更例2における冷蔵庫の要部拡大断面図
図8】変更例2における冷蔵庫の野菜室扉を開扉した状態の要部拡大断面図
図9】変更例3における冷蔵庫の要部拡大断面図
図10】変更例3における冷蔵庫の野菜室扉を開扉した状態の要部拡大断面図
図11】変更例4における冷蔵庫の要部拡大断面図
図12】変更例4における冷蔵庫の野菜室扉を開扉した状態の要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面に基づき説明する。以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0010】
以下の説明において、左右方向、前後方向、上下方向とは、冷蔵庫を正面から見たときの方向を示し、左右方向は冷蔵庫の幅方向に相当する。また、右、左、上、下、前、後、奥、背、手前とは、特に規定がない場合には冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示し、冷蔵庫の扉については閉扉状態において冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示す。
【0011】
(1)冷蔵庫1の構成
本実施形態に係る冷蔵庫1は、図1に示すように、前面に開口する断熱箱体からなる冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は、鋼板製の外箱と、合成樹脂製の内箱と、外箱と内箱との間に形成された断熱空間に設けられた真空断熱材や発泡断熱材等の断熱材と、内箱の内側に設けられた貯蔵空間を上下に区画する断熱仕切壁3及び仕切壁4とを有して構成されている。
【0012】
断熱仕切壁3の上方の空間は、冷蔵温度帯(例えば、1~4℃)に冷却される貯蔵室であり、内部がさらに仕切壁4によって上下に区画されている。仕切壁4の上方には冷蔵室10が設けられ、仕切壁4の下方には野菜室12が設けられている。つまり、仕切壁4の上面が冷蔵室10の下側を区画する底面を構成し、仕切壁4の下面が野菜室12の上側を区画する天井面を構成している。仕切壁4の後部には、冷蔵室10と野菜室12とを繋ぐ連通路4aが設けられている。
【0013】
冷蔵室10の前面開口部には、ヒンジで枢支された回動式の冷蔵室扉11が設けられている。野菜室12の前面開口部は、引出し式の野菜室扉13により閉塞されている。野菜室扉13の庫内側には、貯蔵容器50を保持する左右一対の支持枠が固着されており、開扉動作とともに貯蔵容器50が庫外に引き出されるように構成されている。
【0014】
貯蔵容器50は、下段容器51とその上方に設けられた収納容器60とを備える。収納容器60よりも上方に空間Sが形成されている。空間Sは、収納容器60を野菜室12から庫外へ引き出すために、収納容器60よりも上方に形成され、野菜室12の天井面を構成する仕切壁4の下面よりも下方に形成される空間であり、上下方向の間隔が例えば30~60mm程度の前後左右方向に広がった隙間である。この空間Sには透湿部材100が空間Sを前後に仕切るように設けられている。
【0015】
なお、野菜室12に設けられた貯蔵容器50及び透湿部材100の具体的な構成については後で詳述する。
【0016】
断熱仕切壁3の下方の空間には、自動製氷機を備えた製氷室(不図示)と第1冷凍室16とが左右に併設され、その下方に仕切板5を介して第2冷凍室18が設けられている。製氷室、第1冷凍室16及び第2冷凍室18は、いずれも冷凍温度帯(例えば、-17℃以下)に冷却される。
【0017】
製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室18の開口部は、野菜室12と同様、引き出し式の扉17,19により閉塞されている。各扉17,19の裏面側に固着した左右一対の支持枠には貯蔵容器20,21が保持されており、扉17,19の開扉動作とともに該貯蔵容器20、21が庫外に引き出されるように構成されている。
【0018】
冷蔵室10及び野菜室12の後部には、エバカバー23で前後に仕切られた冷蔵冷却器室24と、冷蔵室10と冷蔵冷却器室24とを連結するダクト25と、冷蔵室10や野菜室12と冷蔵冷却器室24とを連結するリターンダクト26とが形成されている。冷蔵冷却器室24には、冷蔵冷却器30及び冷蔵ファン31が収納されている。
【0019】
冷蔵冷却器30が冷却した冷蔵冷却器室24の空気(冷気)は、冷蔵ファン31によってダクト25を介して冷蔵室10に供給される。
【0020】
冷蔵室10を流れた空気の一部は、仕切壁4の後部に設けられた吸込口27からリターンダクト26に流れ込み冷蔵冷却器室24へ戻り、残りの空気は仕切壁4の後部に設けられた連通路4aを通って野菜室12へ流れ込む。連通路4aは、収納容器60を収容する貯蔵室に冷気を供給する冷気供給部であり、収納容器60や透湿部材100よりも後方の位置へ冷気を供給する。野菜室12を流れた空気は、リターンダクト26を通って冷蔵冷却器室24へ戻る。
【0021】
製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室18の後部には、エバカバー32で前後に仕切られた冷凍冷却器室33と、製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室18と冷凍冷却器室33とを連結するダクト34と、第2冷凍室18と冷凍冷却器室33とを連結するリターンダクト37とが形成されている。冷凍冷却器室33には、冷凍冷却器35及び冷凍ファン36が収納されている。冷凍冷却器35が冷却した冷凍冷却器室33の空気は、冷凍ファン36によってダクト34を介して製氷室、第1冷凍室16、及び第2冷凍室18へ供給される。
【0022】
冷蔵冷却器30及び冷凍冷却器35は、機械室39に収納された圧縮機38や凝縮器(不図示)とともに冷凍サイクルを構成する。冷凍サイクルでは、圧縮機38から吐出された冷媒が切替弁(不図示)によって冷蔵冷却器30及び冷凍冷却器35の一方に供給されることで所定温度に冷蔵冷却器30及び冷凍冷却器35が冷却される。
【0023】
(2)貯蔵容器50
図2に示すように、野菜室12内に設けられた貯蔵容器50は、野菜室12のほぼ全幅にわたって設けられた下段容器51と、下段容器51の上方に設けられた収納容器60とを備えた上下2段に重なり合う構造をなしている。
【0024】
下段容器51は、前壁、後壁、左右側壁によって囲まれた有底の箱状の容器であり、上方に開口する上部開口部から内部に貯蔵品を出し入れするようになっている。下段容器51は、野菜室扉13の裏面側に固着された左右一対の支持枠に保持され、野菜室扉13の開扉動作とともに庫外へ引き出されるように構成されている。
【0025】
下段容器51は、内底面から上方へ突出する前後仕切52が設けられている。この前後仕切52は、下段容器51の左右側壁の内面を連結するように設けられており、前後仕切52の前側に下段前容器53が形成され、後側に下段後容器54が形成されている。
【0026】
下段後容器54の上部開口部54aの前側は、図1及び図2に示すような野菜室扉13を閉扉した状態(野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態)で収納容器60によって覆われる。下段後容器54の上部開口部54aの後側は、透湿シート55が取り付けられた下段容器透湿部材56によって覆われている。
【0027】
下段容器透湿部材56は、透湿シート55と、透湿シート55を保持する保持具57とを備える。
【0028】
透湿シート55は、例えばポリエステル長繊維不織布とポリエチレン多孔質フィルムをラミネートした透湿防水シートであり、安定した防水性の機能と、透湿性の機能と、そして風(冷気)を通しにくい機能を有する。このポリエステル長繊維不織布は、ポリエチレン多孔質フィルムを配置するための基材である。この透湿シート55は、複数の孔を有しており、これらの孔は、例えば直径の0.5μm~3μmの複数の孔を有しており、例えば0.0004μm以下の水蒸気粒子を通過させるが、0.5μm~3μmよりも大きい水の分子は通過させない。このため、透湿シート55は、透湿性及び防水性の両方を兼ね備えている。
【0029】
透湿シート55は、保持具57に設けられた開口部57aを閉塞するように保持具57に設けられている。保持具57は、下段後容器54の上部開口部54aの後側を閉塞するように下段容器51に取り付けられる。
【0030】
下段容器透湿部材56は、保持具57が下段容器51に取り付けられると、下段後容器54の上部開口部54aが保持具57の開口部57aを介して透湿シート55によって閉塞され、下段後容器54の外部を流れる空気(風)の直接的な進入が制限されている。
【0031】
上記した下段後容器54において、上部開口部54aを開放する場合、野菜室扉13を開扉し下段容器51を庫外へ引き出した後、後述する下脚部62の係止部62aと下段容器51の凸部51aとの係止を解除して、収納容器60を下段容器51に対して後方へ摺動させることで上部開口部54aを開放する。なお、下段前容器53の上部開口部は、野菜室扉13の開扉状態及び閉扉状態に関わらず収納容器60によって覆われることなく開放している。
【0032】
下段容器51の上方に設けられた収納容器60は、仕切壁4の下方に間隔をあけて配置されている。収納容器60は、前壁60b、後壁60c、左右側壁によって囲まれた有底の箱状の容器であり、上方に開口する上部開口部60aから内部に貯蔵品を出し入れするようになっている。本実施形態では、下段容器51に比べて収納容器60の収容深さが浅く設けられている。
【0033】
収納容器60の左右側壁の外側には、上脚部61、及び下脚部62が幅方向外方へ突出している。
【0034】
上脚部61は、収納容器60の左右側壁の前部及び後部にそれぞれ設けられている。上脚部61は、野菜室12の左右の内側壁面に設けられた内箱レール28に載置されこの上を前後方向に摺動することで、収納容器60の上部を前後方向へ移動可能に支持する。
【0035】
下脚部62は、上脚部61より下方であって収納容器60の下部に位置し、収納容器60の左右側壁の前部及び後部にそれぞれ設けられている。下脚部62は、下段容器51の左右側壁の上端に載置され、この上を前後方向に摺動することで、収納容器60の下部を前後方向へ移動可能に支持する。
【0036】
前側に位置する下脚部62の下面には、上方に陥没する係止部62aが形成されている。図1及び図2に示すような野菜室扉13の閉扉状態では、収納容器60全体が下段容器51の上方に位置し、下脚部62に設けられた係止部62aに下段容器51の凸部51aが嵌まり込み、収納容器60が下段容器51と前後方向に係止する。
【0037】
収納容器60は、図1に示す野菜室扉13が閉扉された状態から開扉され下段容器51が庫外へ引き出されると、下脚部62の係止部62aが下段容器51の凸部51aと係止しているため、収納容器60も下段容器51とともに庫外へ引き出される(図4参照)。
【0038】
また、野菜室扉13の閉扉動作とともに下段容器51が後方へ移動すると、下脚部62の係止部62aに下段容器51の凸部51aが嵌まり込んだ状態にあれば、下段容器51とともに収納容器60も後方へ移動し庫内へ収納され、前側の下脚部62が下段容器51の凸部51aより後方に位置した状態(つまり、収納容器60が下段容器51に対して後方へスライド移動した状態)にあれば、閉扉動作に伴う下段容器51の後方移動中に下段容器51の凸部51aが下脚部62の係止部62aに嵌まり込み、その後、下段容器51とともに収納容器60も後方へ移動し庫内へ収納されるようになっている。
【0039】
(3)透湿部材100
透湿部材100は、図2及び図3に示すように、透湿シート101と保持具102とを備える。透湿部材100は、左右方向の長さが収納容器60の上部開口部60aと同一又は上部開口部60aより長い。透湿部材100は、野菜室扉13を閉扉して野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で、収納容器60の後壁60cより前方において野菜室12の天井面から空間Sへ突出するように設けられ、空間Sを前後に仕切っている。透湿部材100は、仕切壁4に固定されており野菜室扉13が開閉されても移動しない。
【0040】
具体的には、透湿シート101は、下段容器透湿部材56に設けられた透湿シート55と同様、透湿性及び防水性の両方を兼ね備えるシート材からなり、例えばポリエステル長繊維不織布とポリエチレン多孔質フィルムをラミネートした透湿防水シートであり、安定した防水性の機能と、透湿性の機能と、そして風(冷気)を通さない機能を有する。このポリエステル長繊維不織布は、ポリエチレン多孔質フィルムを配置するための基材である。この透湿シート101は、複数の孔を有しており、これらの孔は、例えば直径の0.5μm~3μmの複数の孔を有しており、例えば0.0004μm以下の水蒸気粒子を通過させるが、0.5μm~3μmよりも大きい水の分子は通過させない。
【0041】
保持具102は、保持具102に設けられた開口部102aを閉塞するように透湿シート101を保持する。野菜室12の天井面から空間Sへ突出し、仕切壁4に固定されている。本実施形態において保持具102は、透湿シート101の平面部分が前後方向を向くように透湿シート101を保持し、透湿シート101が保持具102の開口部102aを介して空間Sを前後に区画している。
【0042】
なお、野菜室扉13の開閉時に収納容器60が透湿部材100と接触することを防ぐため、透湿部材100の下端と収納容器60の上端との間には、例えば10~30mm程度の隙間が設けられている。
【0043】
このような透湿部材100は、図2及び図3に示すように、野菜室扉13を閉扉して野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で収納容器60の後壁60cより前方に位置している。好ましくは、野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で透湿部材100の少なくとも一部が収納容器60の前壁60bの上方又は前壁60bより前方に位置する。なお、透湿部材100は空間Sに設けられていればよく、野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で収納容器60の上方位置に透湿部材100がなくてもよい。
【0044】
また、図4及び図5に示すように、野菜室扉13を開扉して貯蔵容器50の下段容器51を庫外へ引き出した状態で、透湿部材100が収納容器60の後壁60cと前後方向において同じ位置に設けられていることが好ましい。なお、透湿部材100が収納容器60の後壁60cと前後方向において同じ位置に設けられているとは、上方から見て透湿部材100が収納容器60の後壁60cと重なる場合だけでなく、前後方向のズレが50mm以下の場合も含む。
【0045】
また、図4及び図5に示すように、野菜室扉13を開扉して貯蔵容器50の下段容器51を庫外へ引き出しても、下段容器透湿部材56の少なくとも一部が透湿部材100より後方に位置するように、透湿部材100を設けてもよい。
【0046】
(4)効果
上記した本実施形態の冷蔵庫1では、透湿部材100が収納容器60の後壁60cより前方において空間Sを前後に仕切っているため、仕切壁4の連通路4aから野菜室12に供給された冷気は空間Sへ流れにくくなり、収納容器60が上方に開口していても野菜室12に収納されている収納容器60内に冷気が流入しにくい。これにより、野菜室12に供給された冷気が収納容器60に収納された貯蔵品に当たりにくくなり、冷気による貯蔵品の乾燥を抑え、貯蔵品の保存性を高めることができる。
【0047】
本実施形態では、空間Sを前後に仕切る透湿部材100に、水蒸気粒子が通過可能な孔を有する透湿シート101が設けられているため、収納容器60内の温度が下がる等によって野菜室12内に収納された収納容器60内の湿度が高くなっても、水蒸気分子を収納容器60の外部へ排出することができ、収納容器60内の結露も防ぐことができる。
【0048】
また、本実施形態では、野菜室扉13を開扉すると、下段容器51とともに収納容器60が庫外へ引き出され、収納容器60内の空気が庫外の空気と入れ替わるが、透湿部材100の後方にある空気の多くは、野菜室扉13が開扉しても貯蔵容器50及び透湿部材100によって堰き止められ庫内に残っている。野菜室扉13を閉扉すると、貯蔵容器50及び透湿部材100の後方にとどまっていた空気が、収納容器60の上部開口部60aから収納容器60内に流れ込み、収納容器60内を速やかに冷却するとともに適切な湿度とすることができる。
【0049】
(5)変更例
上記の実施形態の変更例を説明する。上記の実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。また、以下の変更例の他にも様々な変更が可能である。
【0050】
(変更例1)
上記した実施形態では、収納容器60の後壁60cより前方に空間Sを前後に仕切る透湿部材100を設けたが、図6に示すように、透湿部材100に加えて仕切壁4に第1後側透湿部材110を設け、第1後側透湿部材110によって透湿部材100より後方において空間Sを前後に仕切ってもよい。
【0051】
具体的には、第1後側透湿部材110は、透湿部材100と同様、透湿シート111と保持具112とを備え、左右方向の長さが収納容器60の上部開口部60aと同一又は上部開口部60aより長い。
【0052】
透湿シート111は、透湿部材100に設けられた透湿シート101と同様、透湿性及び防水性の両方を兼ね備えるシート材からなる。保持具112は、保持具112に設けられた開口部112aを閉塞するように透湿シート111を保持し、野菜室12の天井面から空間Sへ突出するように仕切壁4に固定されている。本変更例では、保持具112は、透湿シート111の平面部分が前後方向を向くように透湿シート111を保持し、透湿シート111が保持具112の開口部112aを介して空間Sを前後に区画している。
【0053】
第1後側透湿部材110は、透湿部材100の後方であって仕切壁4の連通路4aの前方に、野菜室12の天井面から空間Sへ突出するように設けられている。第1後側透湿部材110は、仕切壁4に固定されており野菜室扉13が開閉されても移動しない。
【0054】
第1後側透湿部材110は、野菜室扉13を閉扉して野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で、収納容器60の後壁60cよりも前方に位置してもよく、後壁60cよりも後方に位置してもよく、また、収納容器60の後壁60cと前後方向において同じ位置にあってもよい。
【0055】
本変更例では、第1後側透湿部材110によって空間Sの後部が閉塞されているため、収納容器60が上方に開口していても、野菜室12に収納されている収納容器60内に冷気が流入しにくい。これにより、野菜室12に供給された冷気が収納容器60に収納された貯蔵品に当たりにくくなり、冷気による貯蔵品の乾燥を抑え、貯蔵品の保存性を高めることができる。
【0056】
また、本変更例では、透湿部材100及び第1後側透湿部材110に透湿シート101、111が設けられているため、収納容器60内の湿度が高くなっても、水蒸気分子を収納容器60の外部へ排出することができ、収納容器60内の結露も防ぐことができる。
【0057】
また、本変更例では、野菜室扉13の開扉によって収納容器60が庫外へ引き出され、収納容器60内の空気が庫外の空気と入れ替わっても、野菜室扉13を閉扉すると、貯蔵容器50及び透湿部材100の後方にとどまっていた空気が、収納容器60の上部開口部60aから収納容器60内に流れ込み、収納容器60内を速やかに冷却するとともに適切な湿度とすることができる。
【0058】
(変更例2)
上記した実施形態では、収納容器60の後壁60cより前方に空間Sを前後に仕切る透湿部材100を設けたが、図7に示すように、透湿部材100に加えて収納容器60に第2後側透湿部材120を設け、第2後側透湿部材120によって透湿部材100より後方において空間Sを前後に仕切ってもよい。
【0059】
具体的には、第2後側透湿部材120は、透湿部材100と同様、透湿シート121と保持具122とを備え、左右方向の長さが収納容器60の上部開口部60aと同一又は上部開口部60aより長い。
【0060】
透湿シート121は、透湿部材100に設けられた透湿シート101と同様、透湿性及び防水性の両方を兼ね備えるシート材からなる。保持具122は、その一部が収納容器60の後壁60cから空間Sへ突出するように収納容器60に固定されている。
【0061】
保持具122は、後壁60cより上方の位置に開口部122aが設けられ、この開口部122aを閉塞するように透湿シート121を保持する。本変更例では、保持具122は、透湿シート121の平面部分が前後方向を向くように透湿シート121を保持し、透湿シート121が保持具122の開口部122aを介して空間Sを前後に区画している。
【0062】
第2後側透湿部材120は、透湿部材100の後方であって仕切壁4の連通路4aの前方に設けられ、収納容器60から空間Sへ突出するように設けられている。第2後側透湿部材120が収納容器60から上方へ突出する突出量は、第2後側透湿部材120の一部が透湿部材100と前後方向に重なるように(つまり、前方から見て第2後側透湿部材120が透湿部材100の下端部と重なるように)設定されている。
【0063】
なお、第2後側透湿部材120は、収納容器60の後壁60cの前側や、後壁60cの後側や、後壁60cの上端部に固定されてもよく、また、収納容器60の左右側壁の後端部に固定されてもよい。
【0064】
第2後側透湿部材120は収納容器60に固定されているため、野菜室扉13の開閉等によって収納容器60が前後方向へ移動すると、収納容器60とともに第2後側透湿部材120も前後方向へ移動する。図8に示すように、収納容器60が前方へ移動すると、第2後側透湿部材120が前方へ移動して透湿部材100に接近し、収納容器60が最も前方に引き出された位置に達すると、第2後側透湿部材120が透湿部材100の後側近傍に配置され、収納容器60の上端と透湿部材100の下端との間に形成される上下方向の隙間を閉じる。
【0065】
本変更例では、野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で、第2後側透湿部材120によって空間Sの後部が閉塞されている。そのため、収納容器60が上方に開口していても、野菜室12に収納されている収納容器60内に冷気が流入しにくい。これにより、野菜室12に供給された冷気が収納容器60に収納された貯蔵品に当たりにくくなり、冷気による貯蔵品の乾燥を抑え、貯蔵品の保存性を高めることができる。
【0066】
また、本変更例では、透湿部材100及び第2後側透湿部材120に透湿シート101、121が設けられているため、収納容器60内の湿度が高くなっても、水蒸気分子を収納容器60の外部へ排出することができ、収納容器60内の結露も防ぐことができる。
【0067】
また、本変更例では、野菜室扉13の開扉によって収納容器60が庫外へ引き出されると、第2後側透湿部材120が収納容器60の上端と透湿部材100の下端との間に形成される上下方向の隙間を閉じるため、貯蔵容器50及び透湿部材100の後方にある空気が、収納容器60の上端と透湿部材100の下端との隙間から庫外へ流出しにくくなる。そのため、野菜室扉13を閉扉すると、透湿部材100の後方にとどまっていた空気が、収納容器60の上部開口部60aから収納容器60内に流れ込み、収納容器60内を速やかに冷却するとともに適切な湿度とすることができる。
【0068】
なお、本変更例では、収納容器60が最も前方に引き出された位置に達すると、第2後側透湿部材120が透湿部材100の後側近傍に配置される場合について説明したが、第2後側透湿部材120が透湿部材100より前方に位置してもよい。
【0069】
(変更例3)
上記した実施形態では、収納容器60の後壁60cより前方に空間Sを前後に仕切る透湿部材100を設けたが、図9に示すように、透湿部材100に加えて、変更例1と同様の第1後側透湿部材110を仕切壁4に設けるとともに、変更例2と同様の第2後側透湿部材120を収納容器60に設け、第1後側透湿部材110及び第2後側透湿部材120によって透湿部材100より後方において空間Sを前後に仕切ってもよい。
【0070】
第1後側透湿部材110は、透湿部材100の後方、かつ、仕切壁4の連通路4aの前方であって、野菜室扉13を閉扉して野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で、収納容器60の後壁60cの後方近傍に位置するように仕切壁4に設けられている。第1後側透湿部材110の下端は収納容器60の上端より上方に例えば10~30mm程度の間隔をあけて配置されている。
【0071】
第2後側透湿部材120は、透湿部材100の後方、かつ、仕切壁4の連通路4aの前方であって、野菜室扉13を閉扉して野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で第1後側透湿部材110の前方近傍に位置するように設けられ、収納容器60から空間Sへ突出するように設けられている。第2後側透湿部材120が収納容器60から上方へ突出する突出量は、第2後側透湿部材120の一部が透湿部材100及び第1後側透湿部材110と前後方向に重なるように(つまり、前方から見て第2後側透湿部材120が透湿部材100及び第1後側透湿部材110の下端部と重なるように)設定されている。
【0072】
本変更例では、野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で、第2後側透湿部材120が第1後側透湿部材110の前方近傍に位置し、第1後側透湿部材110及び第2後側透湿部材120によって空間Sの後部が閉塞されている。そのため、収納容器60が上方に開口していても、野菜室12に収納されている収納容器60内に冷気が流入しにくい。これにより、野菜室12に供給された冷気が収納容器60に収納された貯蔵品に当たりにくくなり、冷気による貯蔵品の乾燥を抑えることができる。
【0073】
また、図10に示すように、収納容器60が前方へ移動すると、第2後側透湿部材120が前方へ移動して透湿部材100に接近し、収納容器60が最も前方に引き出された位置に達すると、第2後側透湿部材120が透湿部材100の後側近傍に配置され、収納容器60の上端と透湿部材100の下端との間に形成される上下方向の隙間を第2後側透湿部材120が閉じる。これにより、貯蔵容器50及び透湿部材100の後方にある空気が、収納容器60の上端と透湿部材100の下端との隙間から庫外へ流出しにくくなる。そのため、野菜室扉13を閉扉すると、透湿部材100の後方にとどまっていた空気が、収納容器60の上部開口部60aから収納容器60内に流れ込み、収納容器60内を速やかに冷却するとともに適切な湿度とすることができる。
【0074】
また、本変更例では、透湿部材100、第1後側透湿部材110及び第2後側透湿部材120に透湿シート101、111,121が設けられているため、収納容器60内の湿度が高くなっても、水蒸気分子を収納容器60の外部へ排出することができ、収納容器60内の結露も防ぐことができる。
【0075】
なお、本変更例では、収納容器60が最も前方に引き出された位置に達すると、第2後側透湿部材120が透湿部材100の後側近傍に配置される場合について説明したが、第2後側透湿部材120が透湿部材100より前方に位置してもよい。
【0076】
(変更例4)
上記した実施形態では、透湿部材100を構成する保持具102は、透湿シート101の平面部分が前後方向を向くように透湿シート101を保持し、透湿シート101が空間Sを前後に区画するように透湿部材100を設けたが、図11に示すように、透湿シート141の平面部分が上下方向を向くように保持具142が透湿シート141を保持し、透湿シート141が空間Sを上下に区画するように透湿部材140を設けてもよい。
【0077】
図11に例示する透湿部材140では、保持具142は、仕切壁4から下方に垂れ下がる垂下部142bと、垂下部142bの下端部から折れ曲がり後方へ延びる取付部142cとを備える。取付部142cには透湿シート141によって閉塞される開口部142aが設けられている。保持具142は、左右方向の長さが収納容器60の上部開口部60aと同一又は上部開口部60aより長い断面L字状の部材からなる。開口部142aは、取付部142cを上下方向に貫通するように設けられ、透湿シート141によって閉塞されている。
【0078】
なお、本変更例では、図11に示すように取付部142cを水平に設け、透湿シート141の平面部分が鉛直方向を向くように透湿シート141を保持具142に保持させたが、取付部142cを水平方向に対して傾斜するように設け、透湿シート141の平面部分が鉛直方向に対して傾斜するように設けてもよい。
【0079】
この透湿部材140は、図11に示すように、野菜室扉13を閉扉して野菜室12内に貯蔵容器50を収納した状態で、開口部142aの少なくとも一部が収納容器60の前壁60bより前方に位置し、かつ、取付部142cの後部が、上下方向に隙間あけて収納容器60の前壁60bの上端と上下に対向する。また、図12に示すように、収納容器60を前方に引き出すと、取付部142cの後部が収納容器60の後壁60cと上下に対向する。
【0080】
本変更例では、後方に延びる取付部142cが収納容器60の前壁60bや後壁60c上下に対向するように配置されているため、収納容器60が前方へ完全に引き出されない場合であっても、透湿部材140と収納容器60の後壁60cとが上下方向に対向し、貯蔵容器50及び透湿部材100の後方にある空気が、収納容器60の上方から庫外へ流出しにくくなる。
【0081】
(変更例5)
上記した実施形態では、収納容器60が上下2段の容器から構成される貯蔵容器50の上段側に設けられた容器である場合について説明したが、上下に分割されていない1段の容器を収納容器60としたり、3段以上の容器の最上段の容器を収納容器60としたりしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、4…仕切壁、4a…連通路、10…冷蔵室、11…冷蔵室扉、12…野菜室、13…野菜室扉、50…貯蔵容器、51…下段容器、60…収納容器、60a…上部開口部、60b…前壁、60c…後壁、100…透湿部材、101…透湿シート、102…保持具、102a…開口部、110…透湿部材、111…透湿シート、112…保持具、112a…開口部、120…透湿部材、121…透湿シート、122…保持具、122a…開口部、140…透湿部材、141…透湿シート、142…保持具、142a…開口部、142b…垂下部、142c…取付部
図1
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