(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044799
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240326BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H05K3/46 T
H05K3/46 B
H05K1/03 610T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150547
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】辻井 貴典
(72)【発明者】
【氏名】河野 雅弘
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA38
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD24
5E316EE01
5E316FF01
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH11
5E316HH16
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板は、第1面と前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記コア基板の前記第1面上に形成され、上側の樹脂絶縁層と前記上側の樹脂絶縁層上の上側の導体層を有する上側のビルドアップ層と、前記コア基板の前記第2面上に形成され、下側の樹脂絶縁層と前記下側の樹脂絶縁層上の下側の導体層を有する下側のビルドアップ層、とを有する。前記コア基板は、樹脂と前記樹脂中の第1ガラスクロスと第2ガラスクロスで形成され、前記第1ガラスクロスは、前記コア基板の前記第1面側に位置し、前記第2ガラスクロスは前記コア基板の前記第2面側に位置し、前記第1ガラスクロスの熱膨張係数(第1熱膨張係数)は前記第2ガラスクロスの熱膨張係数(第2熱膨張係数)より大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、
前記コア基板の前記第1面上に形成され、上側の樹脂絶縁層と前記上側の樹脂絶縁層上の上側の導体層を有する上側のビルドアップ層と、
前記コア基板の前記第2面上に形成され、下側の樹脂絶縁層と前記下側の樹脂絶縁層上の下側の導体層を有する下側のビルドアップ層、とを有するプリント配線板であって、
前記コア基板は、樹脂と前記樹脂中の第1ガラスクロスと第2ガラスクロスで形成され、
前記第1ガラスクロスは、前記コア基板の前記第1面側に位置し、前記第2ガラスクロスは前記コア基板の前記第2面側に位置し、前記第1ガラスクロスの熱膨張係数(第1熱膨張係数)は前記第2ガラスクロスの熱膨張係数(第2熱膨張係数)より大きい。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、さらに、前記第1ガラスクロスと前記第2ガラスクロスとの間に第3ガラスクロスを有し、前記第1ガラスクロスと前記コア基板の前記第1面との間にガラスクロスは存在せず、前記第2ガラスクロスと前記コア基板の前記第2面との間にガラスクロスは存在せず、前記第3ガラスクロスの熱膨張係数(第3熱膨張係数)は前記第1熱膨張係数以下であって、前記第2熱膨張係数より大きい。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、さらに、前記第1ガラスクロスと前記第2ガラスクロスとの間に複数のガラスクロスを有し、前記第1ガラスクロスと前記コア基板の前記第1面との間にガラスクロスは存在せず、前記第2ガラスクロスと前記コア基板の前記第2面との間にガラスクロスは存在せず、前記複数のガラスクロスは(K+1)番目のガラスクロスと(K+2)番目のガラスクロスと(K+3)番目のガラスクロスを含み(Kは2以上の整数)、前記(K+1)番目のガラスクロスと前記(K+2)番目のガラスクロスと前記(K+3)番目のガラスクロスは前記第2面から前記第1面に向かって順に配置され、前記(K+1)番目のガラスクロスは(K+1)番目の熱膨張係数を有し、前記(K+2)番目のガラスクロスは(K+2)番目の熱膨張係数を有し、前記(K+3)番目のガラスクロスは(K+3)番目の熱膨張係数を有し、前記(K+2)番目の熱膨張係数は前記(K+1)番目の熱膨張係数より大きく、前記(K+3)番目の熱膨張係数以下であって、前記(K+1)番目の熱膨張係数は前記第2熱膨張係数より大きく、前記(K+3)番目の熱膨張係数は前記第1熱膨張係数以下である。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板であって、さらに、前記(K+3)番目のガラスクロスの隣に配置される(K+4)番目のガラスクロスを有し、前記(K+4)番目のガラスクロスは(K+4)番目の熱膨張係数を有し、前記(K+3)番目の熱膨張係数は前記(K+2)番目の熱膨張係数より大きく前記(K+4)番目の熱膨張係数以下である。
【請求項5】
請求項3のプリント配線板であって、前記複数のガラスクロスは前記第2ガラスクロスの隣に配置される3番目のガラスクロスを有し、前記(K+3)番目のガラスクロスは前記第1ガラスクロスの隣に配置され、前記複数のガラスクロスの中の各ガラスクロスの前記熱膨張係数は前記3番目のガラスクロスから前記(K+3)番目のガラスクロスに向かって徐々に大きい。
【請求項6】
請求項1のプリント配線板であって、前記上側の導体層は複数の上側の信号配線を含み、前記下側の導体層は複数の下側の信号配線を含み、前記上側の信号配線のそれぞれは上面を有し、前記下側の信号配線のそれぞれは上面を有し、全ての前記上側の信号配線の前記上面を合算することで得られる値は全ての前記下側の信号配線の前記上面を合算することで得られる値より大きい。
【請求項7】
請求項1のプリント配線板であって、前記上側の導体層は複数の上側の導体回路を含み、前記下側の導体層は複数の下側の導体回路を含み、前記上側の導体回路のそれぞれは上面を有し、前記下側の導体回路のそれぞれは上面を有し、全ての前記上側の導体回路の前記上面を合算することで得られる値は全ての前記下側の導体回路の前記上面を合算することで得られる値より小さい。
【請求項8】
請求項7のプリント配線板であって、さらに、前記上側の樹脂絶縁層と前記上側の導体層上に形成されている第2の上側の樹脂絶縁層と前記下側の樹脂絶縁層と前記下側の導体層上に形成されている第2の下側の樹脂絶縁層を有し、前記第2の上側の樹脂絶縁層は第1面を有し、前記上側の導体回路の前記上面と前記第1面との間の距離が前記第2の上側の樹脂絶縁層の厚みであって、前記第2の下側の樹脂絶縁層は第2面を有し、前記下側の導体回路の前記上面と前記第2面との間の距離が前記第2の下側の樹脂絶縁層の厚みであって、前記第2の上側の樹脂絶縁層の前記厚みは前記第2の下側の樹脂絶縁層の前記厚みより小さい。
【請求項9】
請求項3のプリント配線板であって、前記複数のガラスクロスの数は13以下である。
【請求項10】
請求項9のプリント配線板であって、前記複数のガラスクロスの数は8以上である。
【請求項11】
請求項1のプリント配線板であって、前記第2ガラスクロスの厚みは前記第1ガラスクロスの厚みより薄い。
【請求項12】
請求項1のプリント配線板であって、前記コア基板の厚みは0.5mm以上、1.6mm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コア基板とビルドアップ層を有するプリント配線板を開示する。コア基板は複数の繊維補強基材を有する。複数の繊維補強基材はコア基板の表層側に位置する第1基材および第2基材と内層側に位置する第3基材を含む。第1基材と第2基材の熱膨張係数は第3基材の熱膨張係数より小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1のコア基板では、大きな熱膨張係数を有する第3基材が小さな熱膨張係数を有する第1基材と第2基材で挟まれている。第1基材の厚みと第2基材の厚みに差が発生すると考えられる。各基材の配置位置が所望の位置からずれると考えられる。その場合、コア基板の表層が凹むように、コア基板が反ったり、コア基板の表層が凸むように、コア基板が反ると予想される。コア基板の反りの方向と量を制御することが難しいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1面と前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記コア基板の前記第1面上に形成され、上側の樹脂絶縁層と前記上側の樹脂絶縁層上の上側の導体層を有する上側のビルドアップ層と、前記コア基板の前記第2面上に形成され、下側の樹脂絶縁層と前記下側の樹脂絶縁層上の下側の導体層を有する下側のビルドアップ層、とを有する。前記コア基板は、樹脂と前記樹脂中の第1ガラスクロスと第2ガラスクロスで形成され、前記第1ガラスクロスは、前記コア基板の前記第1面側に位置し、前記第2ガラスクロスは前記コア基板の前記第2面側に位置し、前記第1ガラスクロスの熱膨張係数(第1熱膨張係数)は前記第2ガラスクロスの熱膨張係数(第2熱膨張係数)より大きい。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板では、コア基板の第1面側に位置する第1ガラスクロスの第1熱膨張係数は第2面側に位置する第2ガラスクロスの第2熱膨張係数より大きい。そのため、第1ガラスクロスの厚みと第2ガラスクロスの厚みに差が発生したとしても、コア基板の反りの方向と量を制御することができる。第1ガラスクロスと第2ガラスクロスが所望の位置からずれても、プリント配線板の反りを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。
図1に示されるように、プリント配線板2は、コア基板10と上側のビルドアップ層500Fと下側のビルドアップ層500Bを有する。コア基板10は第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Bを有する。上側のビルドアップ層500Fはコア基板10の第1面F上に形成されている。上側のビルドアップ層500Fは、上側の樹脂絶縁層30F、50F、70F、90Fと上側の導体層40F、60F、80F、100Fを有する。上側の樹脂絶縁層30F、50F、70F、90Fと上側の導体層40F、60F、80F、100Fは交互に形成されている。上側のビルドアップ層500Fは、さらに各上側の樹脂絶縁層30F、50F、70F、90Fを貫通するビア導体45F、65F、85F、105Fを有する。上側のビルドアップ層500Fはビア導体とそのビア導体の直上に形成されているビア導体で形成されるスタックビアSVを有する。下側のビルドアップ層500Bはコア基板10の第2面B上に形成されている。下側のビルドアップ層500Bは、下側の樹脂絶縁層30B、50B、70B、90Bと下側の導体層40B、60B、80B、100Bを有する。下側の樹脂絶縁層30B、50B、70B、90Bと下側の導体層40B、60B、80B、100Bは交互に形成されている。下側のビルドアップ層500Bは、さらに各下側の樹脂絶縁層30B、50B、70B、90Bを貫通するビア導体45B、65B、85B、105Bを有する。下側のビルドアップ層500BはスタックビアSVを有する。
【0009】
コア基板10は、第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Bを有する絶縁性基材101と第1面F上の導体層20Fと第2面B上の導体層20Bと絶縁性基材101を貫通し、導体層20Fと導体層20Bを接続するスルーホール導体25で形成されている。絶縁性基材101は樹脂210と樹脂210中の複数のガラスクロス(
図1の200F、200C、200B)で形成される。樹脂210は熱硬化性樹脂である。コア基板10を形成する絶縁性基材101はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁性基材101の厚みは0.5mm以上1.6mm以下である。実施形態の絶縁性基材101に含まれるガラスクロスの数は3である。複数のガラスクロスは、第1ガラスクロス200Fと第2ガラスクロス200B、第3ガラスクロス200Cを含む。
【0010】
コア基板10は、第1面Fと第2面Bを有する。絶縁性基材101の第1面Fとコア基板10の第1面Fは同じ面である。絶縁性基材101の第2面Bとコア基板10の第2面Bは同じ面である。第1ガラスクロス200Fはコア基板10の第1面F側に位置する。第1ガラスクロス200Fとコア基板10の第1面Fの間にガラスクロスは存在しない。第2ガラスクロス200Bはコア基板10の第2面B側に位置する。第2ガラスクロス200Bとコア基板10の第2面Bの間にガラスクロスは存在しない。第3ガラスクロス200Cは第1ガラスクロス200Fと第2ガラスクロス200Bの間に位置する。第1ガラスクロス200Fの熱膨張係数(第1熱膨張係数)は第2ガラスクロス200Bの熱膨張係数(第2熱膨張係数)より大きい。第3ガラスクロス200Cの熱膨張係数(第3熱膨張係数)は第1熱膨張係数以下であって第2熱膨張係数より大きい。第2ガラスクロス200Bの厚みは第1ガラスクロス200Fの厚みより薄いことが好ましい。第3ガラスクロス200Cの厚みは第2ガラスクロス200Bの厚みより薄いことが好ましい。第3ガラスクロス200Cの厚みは第1ガラスクロス200Fの厚み以下であることが好ましい。
【0011】
上側の樹脂絶縁層30F、50F、70F、90Fは、樹脂と樹脂内に分散されている多数の無機粒子(図示省略)で形成されている。樹脂はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子は例えばシリカやアルミナである。
【0012】
上側の樹脂絶縁層30Fは絶縁性基材101の第1面Fと導体層20F上に形成されている。上側の樹脂絶縁層50Fは上側の樹脂絶縁層30Fと上側の導体層40F上に形成されている。上側の樹脂絶縁層70Fは上側の樹脂絶縁層50Fと上側の導体層60F上に形成されている。上側の樹脂絶縁層90Fは上側の樹脂絶縁層70Fと上側の導体層80F上に形成されている。上側の樹脂絶縁層90Fは最上の上側の樹脂絶縁層90Fである。
【0013】
上側の樹脂絶縁層30Fは導体層20Fを露出する開口35Fを有している。上側の樹脂絶縁層50Fは上側の導体層40Fを露出する開口55Fを有している。上側の樹脂絶縁層70Fは上側の導体層60Fを露出する開口75Fを有している。上側の樹脂絶縁層90Fは上側の導体層80Fを露出する開口95Fを有している。
【0014】
上側の導体層40Fは上側の樹脂絶縁層30F上に形成されている。上側の導体層60Fは上側の樹脂絶縁層50F上に形成されている。上側の導体層80Fは上側の樹脂絶縁層70F上に形成されている。上側の導体層100Fは上側の樹脂絶縁層90F上に形成されている。上側の導体層100Fは最上の上側の導体層100Fである。上側の導体層40F、60F、80F、100Fはそれぞれ複数の上側の信号配線SFを含む。上側の導体層40F、60F、80F、100Fはシード層40Fa、60Fa、80Fa、100Faと電解めっき層40Fb、60Fb、80Fb、100Fbで形成されている。
【0015】
上側のビア導体45Fは上側の樹脂絶縁層30Fの開口35F内に形成されている。上側のビア導体45Fは導体層20Fと上側の導体層40Fを接続する。上側のビア導体65Fは上側の樹脂絶縁層50Fの開口55F内に形成されている。上側のビア導体65Fは上側の導体層40Fと上側の導体層60Fを接続する。上側のビア導体85Fは上側の樹脂絶縁層70Fの開口75F内に形成されている。上側のビア導体85Fは上側の導体層60Fと上側の導体層80Fを接続する。上側のビア導体105Fは上側の樹脂絶縁層90Fの開口95F内に形成されている。上側のビア導体105Fは上側の導体層80Fと上側の導体層100Fを接続する。上側のビア導体45F、65F、85F、105Fはシード層40Fa、60Fa、80Fa、100Faと電解めっき層40Fb、60Fb、80Fb、100Fbで形成されている。
【0016】
最上の上側の樹脂絶縁層90Fと最上の上側の導体層100F上に開口122Fを有する上側のソルダーレジスト層120Fが形成されている。開口122F内には、ICチップを実装するための上側のはんだバンプ130Fが形成されている。
【0017】
下側の樹脂絶縁層30B、50B、70B、90Bは、樹脂と樹脂内に分散されている多数の無機粒子(図示省略)で形成されている。樹脂はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子は例えばシリカやアルミナである。
【0018】
下側の樹脂絶縁層30Bは絶縁性基材101の第2面Bと導体層20B上に形成されている。下側の樹脂絶縁層50Bは下側の樹脂絶縁層30Bと下側の導体層40B上に形成されている。下側の樹脂絶縁層70Bは下側の樹脂絶縁層50Bと下側の導体層60B上に形成されている。下側の樹脂絶縁層90Bは下側の樹脂絶縁層70Bと下側の導体層80B上に形成されている。下側の樹脂絶縁層90Bは最上の下側の樹脂絶縁層90Bである。
【0019】
下側の樹脂絶縁層30Bは導体層20Bを露出する開口35Bを有している。下側の樹脂絶縁層50Bは下側の導体層40Bを露出する開口55Bを有している。下側の樹脂絶縁層70Bは下側の導体層60Bを露出する開口75Bを有している。下側の樹脂絶縁層90Bは下側の導体層80Bを露出する開口95Bを有している。
【0020】
下側の導体層40Bは下側の樹脂絶縁層30B上に形成されている。下側の導体層60Bは下側の樹脂絶縁層50B上に形成されている。下側の導体層80Bは下側の樹脂絶縁層70B上に形成されている。下側の導体層100Bは下側の樹脂絶縁層90B上に形成されている。下側の導体層100Bは最上の下側の導体層100Bである。下側の導体層40B、60B、80B、100Bはそれぞれ複数の下側の信号配線SBを含む。下側の導体層40B、60B、80B、100Bはシード層40Ba、60Ba、80Ba、100Baと電解めっき層40Bb、60Bb、80Bb、100Bbで形成されている。
【0021】
下側のビア導体45Bは下側の樹脂絶縁層30Bの開口35B内に形成されている。下側のビア導体45Bは導体層20Bと下側の導体層40Bを接続する。下側のビア導体65Bは下側の樹脂絶縁層50Bの開口55B内に形成されている。下側のビア導体65Bは下側の導体層40Bと下側の導体層60Bを接続する。下側のビア導体85Bは下側の樹脂絶縁層70Bの開口75B内に形成されている。下側のビア導体85Bは下側の導体層60Bと下側の導体層80Bを接続する。下側のビア導体105Bは下側の樹脂絶縁層90Bの開口95B内に形成されている。下側のビア導体105Bは下側の導体層80Bと下側の導体層100Bを接続する。下側のビア導体45B、65B、85B、105Bはシード層40Ba、60Ba、80Ba、100Baと電解めっき層40Bb、60Bb、80Bb、100Bbで形成されている。
【0022】
最上の下側の樹脂絶縁層90Bと最上の下側の導体層100B上に開口122Bを有する下側のソルダーレジスト層120Bが形成されている。開口122B内には、マザーボード等の外部基板に接続するための下側のはんだバンプ130Bが形成されている。
【0023】
各上側の導体層40F、60F、80F、100Fに含まれる上側の信号配線SFのそれぞれは上面を有する。各下側の導体層40B、60B、80B、100Bに含まれる下側の信号配線SBのそれぞれは上面を有する。上面の面積の関係(関係X)が次に示される。上側の導体層40Fに含まれる全ての上側の信号配線SFの上面を合算することで得られる値は、下側の導体層40Bに含まれる全ての下側の信号配線SBの上面を合算することで得られる値より大きい。上側の導体層60Fに含まれる全ての上側の信号配線SFの上面を合算することで得られる値は、下側の導体層60Bに含まれる全ての下側の信号配線SBの上面を合算することで得られる値より大きい。上側の導体層80Fに含まれる全ての上側の信号配線SFの上面を合算することで得られる値は、下側の導体層80Bに含まれる全ての下側の信号配線SBの上面を合算することで得られる値より大きい。上側の導体層100Fに含まれる全ての上側の信号配線SFの上面を合算することで得られる値は、下側の導体層100Bに含まれる全ての下側の信号配線SBの上面を合算することで得られる値より大きい。このように、コア基板10を介してほぼ対称な位置に形成されている導体層(上側の導体層40Fと下側の導体層40B、上側の導体層60Fと下側の導体層60B、上側の導体層80Fと下側の導体層80B、上側の導体層100Fと下側の導体層100B)は、先に示されている関係Xを満足する。
【0024】
上側のビルドアップ層500Fに含まれる全ての上側の信号配線SFの上面を合算することで得られる値は、下側のビルドアップ層500Bに含まれる全ての下側の信号配線SBの上面を合算することで得られる値より大きい。このため、実施形態のプリント配線板2は、コア基板10の反りの方向と量を制御することができる。実施形態のプリント配線板2は、プリント配線板2の反りの方向と量を制御することができる。
【0025】
上側の導体層40F、60F、80F、100Fはそれぞれ複数の上側の導体回路を含む。上側の導体回路のそれぞれは上面を有する。上側の導体回路は、上側の信号配線SFのほかに上側の電源回路と上側のグランド回路(図示省略)を含む。下側の導体層40B、60B、80B、100Bはそれぞれ複数の下側の導体回路を含む。下側の導体回路のそれぞれは上面を有する。下側の導体回路は、下側の信号配線SBのほかに下側の電源回路と上側のグランド回路(図示省略)を含む。上側のビルドアップ層500Fに含まれる全ての上側の導体回路の上面を合算することで得られる値は、下側のビルドアップ層500Bに含まれる全ての下側の導体回路の上面を合算することで得られる値より小さい。このため、実施形態のプリント配線板2は、コア基板10の反りの方向と量を制御することができる。実施形態のプリント配線板2は、プリント配線板2の反りの方向と量を制御することができる。
【0026】
上側の樹脂絶縁層50Fは第1面52Fを有する。第1面52F上に上側の導体層60Fが形成されている。上側の導体層40Fに含まれる上側の信号配線SFの上面と第1面52Fとの間の距離が上側の樹脂絶縁層50Fの厚みTFである。上側の導体回路の上面は上側の信号配線SFの上面で代表される。上側の樹脂絶縁層50Fは第2の上側の樹脂絶縁層の例である。下側の樹脂絶縁層50Bは第2面52Bを有する。第2面52B上に下側の導体層60Bが形成されている。下側の導体層40Bに含まれる下側の信号配線SBの上面と第2面52Bとの間の距離が下側の樹脂絶縁層50Bの厚みTBである。下側の導体回路の上面は下側の信号配線SBの上面で代表される。下側の樹脂絶縁層50Bは第2の下側の樹脂絶縁層の例である。樹脂絶縁層の厚みの関係(関係Y)が次に示される。上側の樹脂絶縁層50Fの厚みTFは、下側の樹脂絶縁層50Bの厚みTBより小さい。同様に上側の樹脂絶縁層70F、90Fの厚みTFは、下側の樹脂絶縁層70B、90Bの厚みより小さい。このように、コア基板10を介してほぼ対称な位置に形成されている樹脂絶縁層(上側の樹脂絶縁層30Fと下側の樹脂絶縁層30B、上側の樹脂絶縁層50Fと下側の樹脂絶縁層50B、上側の樹脂絶縁層70Fと下側の樹脂絶縁層70B、上側の樹脂絶縁層90Fと下側の樹脂絶縁層90B)は、先に示されている関係Yを満足する。このため、実施形態のプリント配線板2は、コア基板10の反りの方向と量を制御することができる。実施形態のプリント配線板2は、プリント配線板2の反りの方向と量を制御することができる。
【0027】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
第1ガラスクロス200Fと第3ガラスクロス200C、第2ガラスクロス200B、エポキシ樹脂、銅箔が準備される。第1ガラスクロス200Fの熱膨張係数(第1熱膨張係数)は第2ガラスクロス200Bの熱膨張係数(第2熱膨張係数)より大きい。第3ガラスクロス200Cの熱膨張係数(第3熱膨張係数)は第1熱膨張係数以下であって、第2熱膨張係数より大きい。エポキシ樹脂が第1ガラスクロス200Fに含浸される。第1含浸部材が得られる。第1含浸部材を乾燥することで、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂中の第1ガラスクロス200Fで形成される第1プリプレグが得られる。同様な方法を用いて、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂中の第2ガラスクロス200Bで形成される第2プリプレグが得られる。エポキシ樹脂とエポキシ樹脂中の第3ガラスクロス200Cで形成される第3プリプレグが得られる。銅箔上に第2プリプレグと第3プリプレグと第1プリプレグと銅箔が順に積層される。積層部材が得られる。積層部材に熱と圧力が加えられる。エポキシ樹脂と第1ガラスクロス200F、第2ガラスクロス200B、第3ガラスクロス200C、銅箔からなる銅張積層板が得られる。銅張積層板は第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Bを有する絶縁性基材101と第1面F上の銅箔と第2面B上の銅箔で形成される。絶縁性基材101はエポキシ樹脂とエポキシ樹脂中の第1ガラスクロス200Fと第2ガラスクロス200B、第3ガラスクロス200Cで形成されている。エポキシ樹脂は樹脂の1例である。第1ガラスクロス200Fと第2ガラスクロス200B、第3ガラスクロス200Cの中で第2ガラスクロス200Bは第2面Bに最も近く、第1ガラスクロス200Fは第1面Fに最も近い。第3ガラスクロス200Cは第1ガラスクロス200Fと第2ガラスクロス200Bの間に配置されている。公知な方法を用いて、第1面F上に導体層20Fが形成される。第2面B上に導体層20Bが形成される。絶縁性基材101を貫通し導体層20Fと導体層20Bを接続するスルーホール導体25が形成される。実施形態のコア基板10が形成される。セミアディティブ法によって上側のビルドアップ層500Fと下側のビルドアップ層500Bがコア基板10上に形成される。上側のビルドアップ層500F上に上側のソルダーレジスト層120Fが形成される。下側のビルドアップ層500B上に下側のソルダーレジスト層120Bが形成される。上側のはんだバンプ130Fと下側のはんだバンプ130Bが形成される。実施形態のプリント配線板2(
図1)が得られる。
【0028】
実施形態のプリント配線板2では、第1ガラスクロスと第2ガラスクロスとの間に位置する第3のガラスクロスの熱膨張係数は第1熱膨張係数以下であって第2熱膨張係数より大きい。複数のガラスクロスの熱膨張係数は第2面から第1面に向かって大きくなる。そのため、実施形態のプリント配線板2は、コア基板10の反りの方向と量を制御することができる。実施形態のプリント配線板2は、プリント配線板2の反りの方向と量を制御することができる。そのため、実施形態のプリント配線板2によれば、凹の反りと凸の反りが繰り返しがたい。高い品質を有するプリント配線板が提供される。
【0029】
[実施形態の改変例1]
図2は改変例1のプリント配線板2のコア基板10を示す。
図2に示されるように、改変例1のコア基板10は5層のガラスクロスを有する。
図2では上側のビルドアップ層500Fと下側のビルドアップ層500B(
図1参照)は省略されている。コア基板10は、第1面F側の第1ガラスクロス200Fと、第2面B側の第2ガラスクロス200Bと、第1ガラスクロス200Fと第2ガラスクロス200B間の3層のガラスクロス200C1、200C2、200C3を有する。
【0030】
第1ガラスクロス200Fとコア基板10の第1面Fの間にガラスクロスは存在しない。第2ガラスクロス200Bとコア基板10の第2面Bの間にガラスクロスは存在しない。ガラスクロス200C1、200C2、200C3は第2面B側から第1面F側に向かってこの順で配置されている。ガラスクロス200C1、200C2、200C3は、第2面B側から順に3番目のガラスクロス200C1、4番目のガラスクロス200C2、5番目のガラスクロス200C3と呼ばれる。
【0031】
第1ガラスクロス200Fの熱膨張係数(第1熱膨張係数)は第2ガラスクロス200Bの熱膨張係数(第2熱膨張係数)より大きい。3番目のガラスクロス200C1は3番目の熱膨張係数を有する。4番目のガラスクロス200C2は4番目の熱膨張係数を有する。5番目のガラスクロス200C3は5番目の熱膨張係数を有する。3番目の熱膨張係数は第2熱膨張係数より大きい。3番目の熱膨張係数は4番目の熱膨張係数以下であることが好ましい。4番目の熱膨張係数は3番目の熱膨張係数より大きく、5番目の熱膨張係数以下である。5番目の熱膨張係数は第1熱膨張係数以下である。5番目の熱膨張係数は4番目の熱膨張係数より大きいことが好ましい。第2ガラスクロス200Bの厚みは第1ガラスクロス200Fの厚みより薄いことが好ましい。ガラスクロス200C1~200C3の厚みは第2ガラスクロス200Bの厚みより薄いことが好ましい。ガラスクロス200C1、200C2、200C3の厚みは第1ガラスクロス200Fの厚み以下であることが好ましい。
【0032】
改変例1の3番目のガラスクロス200C1と4番目のガラスクロス200C2、5番目のガラスクロス200C3がそれぞれ「(K+1)番目のガラスクロス」、「(K+2)番目のガラスクロス」、「(K+3)番目のガラスクロス」の一例である。Kは2以上の整数である。
【0033】
[実施形態の改変例2]
図3は改変例2のプリント配線板2のコア基板10を示す。
図3に示されるように、改変例2のコア基板10は10層のガラスクロスを有する。
図3では上側のビルドアップ層500Fと下側のビルドアップ層500B(
図1参照)は省略されている。コア基板10は、第1面F側の第1ガラスクロス200Fと、第2面B側の第2ガラスクロス200Bと、第1ガラスクロス200Fと第2ガラスクロス200B間の8層のガラスクロス200C1~200C8を有する。
【0034】
第1ガラスクロス200Fとコア基板10の第1面Fの間にガラスクロスは存在しない。第2ガラスクロス200Bとコア基板10の第2面Bの間にガラスクロスは存在しない。ガラスクロス200C1~200C8は第2面B側から第1面F側に向かってこの順で配置されている。ガラスクロス200C1~200C8は、第2面B側から順に3番目のガラスクロス200C1、4番目のガラスクロス200C2、5番目のガラスクロス200C3、6番目のガラスクロス200C4、7番目のガラスクロス200C5、8番目のガラスクロス200C6、9番目のガラスクロス200C7、10番目のガラスクロス200C8と呼ばれる。
【0035】
第1ガラスクロス200Fの熱膨張係数(第1熱膨張係数)は第2ガラスクロス200Bの熱膨張係数(第2熱膨張係数)より大きい。3番目のガラスクロス200C1は3番目の熱膨張係数を有する。4番目のガラスクロス200C2は4番目の熱膨張係数を有する。同様に5番目から10番目のガラスクロス200C3~200C8はそれぞれ5番目から10番目の熱膨張係数を有する。3番目の熱膨張係数は第2熱膨張係数より大きい。3番目の熱膨張係数は4番目の熱膨張係数以下であることが好ましい。4番目の熱膨張係数は3番目の熱膨張係数より大きく、5番目の熱膨張係数以下である。5番目の熱膨張係数は4番目の熱膨張係数より大きく、6番目の熱膨張係数以下である。このように、3番目から10番目のガラスクロス200C1~200C8の熱膨張係数は、3番目のガラスクロス200C1から10番目のガラスクロス200C8に向かって徐々に大きい。10番目の熱膨張係数は第1熱膨張係数以下である。
【0036】
第2ガラスクロス200Bの厚みは第1ガラスクロス200Fの厚みより薄いことが好ましい。ガラスクロス200C1~200C8の厚みは第2ガラスクロス200Bの厚みより薄いことが好ましい。ガラスクロス200C1~200C8の厚みは第1ガラスクロス200Fの厚み以下であることが好ましい。
【0037】
改変例2の3番目のガラスクロス200C1、4番目のガラスクロス200C2、5番目のガラスクロス200C3、6番目のガラスクロス200C4がそれぞれ「(K+1)番目のガラスクロス」、「(K+2)番目のガラスクロス」、「(K+3)番目のガラスクロス」、「(K+4)番目のガラスクロス」の一例である。Kは2以上の整数である。
【0038】
[改変例2の別例]
改変例2の別例では、第1ガラスクロス200Fと第2ガラスクロス200Bの間に8層以上13層以下のガラスクロスが配置される。
【0039】
実施形態と各改変例のコア基板10が複数のガラスクロスを有する。複数のガラスクロスの中で、第1ガラスクロスは最も大きな熱膨張係数を有し、第2ガラスクロスは最も小さな熱膨張係数を有する。各ガラスクロスは異なる熱膨張係数を有することが好ましい。各ガラスクロスの熱膨張係数は第2面Bから第1面Fに向かって大きいことが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
2:プリント配線板
10:コア基板
40F、60F、80F、100F:上側の導体層
30F、50F、70F、90F:上側の樹脂絶縁層
40B、60B、80B、100B:下側の導体層
30B、50B、70B、90B:下側の樹脂絶縁層
200F:第1ガラスクロス
200B:第2ガラスクロス
200C:第3ガラスクロス
500F:上側のビルドアップ層
500B:下側のビルドアップ層
F:第1面
B:第2面
SF:上側の信号配線
SB:上側の信号配線