(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044813
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】送出装置、搬送装置、及び処理システム
(51)【国際特許分類】
B65H 3/12 20060101AFI20240326BHJP
B65H 31/10 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65H3/12 310Z
B65H31/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150570
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝己
(72)【発明者】
【氏名】土井 雷太
(72)【発明者】
【氏名】梁川 禎介
(72)【発明者】
【氏名】栗田 知一
【テーマコード(参考)】
3F054
3F343
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC01
3F054AC02
3F054AC05
3F054BA04
3F054BG11
3F054BJ07
3F054CA04
3F054DA02
3F054DA16
3F343FA02
3F343FB01
3F343FB02
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3F343FC01
3F343GA02
3F343GB02
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3F343GD01
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3F343HA21
3F343JB05
3F343JB25
3F343KB03
3F343LA04
3F343LA16
3F343LC04
3F343LC16
3F343LC17
3F343LC20
3F343LD07
3F343MC04
3F343MC18
(57)【要約】
【課題】搬送対象の重送を抑制する。
【解決手段】送出装置は、搬送路の搬送方向下流側に配置され、前記搬送路を搬送された搬送対象を、水平方向に対して傾斜する積載面に積載する積載部と、前記積載面に接触する搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送り出す送出手段と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路の搬送方向下流側に配置され、前記搬送路を搬送された搬送対象を、水平方向に対して傾斜する積載面に積載する積載部と、
前記積載面に接触する搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送り出す送出手段と、
を備える送出装置。
【請求項2】
前記送出手段は、
前記積載面に接触する搬送対象の下面を吸引しながら、当該搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送り出す
請求項1に記載の送出装置。
【請求項3】
前記積載部は、
前記搬送対象として、第一搬送対象と、前記第一搬送対象よりも送出方向に沿った寸法が大きい第二搬送対象と、を積載可能とされ、
前記送出手段は、
前記積載面に接触する前記第一搬送対象における送出方向の下流端側の下面を吸引しながら、当該第一搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって搬送する第一搬送部と、
前記第一搬送部に対する送出方向の下流側に配置され、前記積載面に接触する前記第二搬送対象における送出方向の下流端側の下面を吸引しながら、当該第二搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって搬送する第二搬送部と、
を有する
請求項2に記載の送出装置。
【請求項4】
前記第二搬送部は、前記第一搬送部から搬送された前記第一搬送対象を搬送し、
前記第一搬送部は、前記第二搬送部が前記第一搬送対象を搬送する状態において、吸引を停止する
請求項3に記載の送出装置。
【請求項5】
前記積載部に対する送出方向の上流側に設けられ、前記積載部に積載された搬送対象における送出方向の上流端に接触して当該上流端を揃える接触部
を備える請求項1に記載の送出装置。
【請求項6】
前記接触部は、前記積載部に対して位置が固定されている
請求項5に記載の送出装置。
【請求項7】
前記積載部において最も上方側に積載された搬送対象に対して前記接触部側への移動力を付与して、当該搬送対象を当該接触部へ接触させる付与部
を備える請求項5に記載の送出装置。
【請求項8】
前記付与部は、
前記送出手段の送出動作中において、前記積載部において最も上方側に積載された搬送対象に対して前記接触部側への移動力を付与する
請求項7に記載の送出装置。
【請求項9】
前記積載部は、前記積載部に対する送出方向の上流側から前記搬送路を搬送された搬送対象を積載する
請求項1に記載の送出装置。
【請求項10】
前記積載部が、前記搬送対象を積載した状態において、さらに搬送対象を積載しながら、
前記送出手段が、前記積載面に接触する搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送出可能である
請求項1に記載の送出装置。
【請求項11】
前記積載面は、水平方向に対して45度以上90度未満の範囲で傾斜している
請求項1に記載の送出装置。
【請求項12】
前記積載面は、水平方向に対して60度以上85度未満の範囲で傾斜している
請求項11に記載の送出装置。
【請求項13】
請求項1に記載の送出装置と、
前処理装置から搬送された搬送対象を、前記送出装置の前記積載部へ搬送する前記搬送路としての第一搬送路と、
前記送出装置から送り出された搬送対象を後処理装置へ搬送する第二搬送路と、
を備える搬送装置。
【請求項14】
前処理装置から搬送された搬送対象を、前記送出装置を迂回して前記第二搬送路へ搬送する迂回路
を備える請求項13に記載の搬送装置。
【請求項15】
前処理を実行する前処理装置と、
後処理を実行する後処理装置と、
前記前処理装置から搬送された搬送対象を前記後処理装置へ搬送する請求項13又は請求項14に記載の搬送装置と、
を備える処理システム。
【請求項16】
前記前処理装置は、前記搬送対象としての記録媒体に画像を形成する画像形成装置である、
請求項15に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出装置、搬送装置、及び処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置にて画像が形成された用紙を搬送する搬送路と、前記搬送路から分岐点を介して分岐した位置に設けられ当該搬送路上の用紙を退避させる退避手段と、前記搬送路における前記分岐点よりも下流側にて用紙の搬送異常が発生した際に、当該分岐点よりも上流側に位置する用紙を前記退避手段に搬送する搬送手段と、前記搬送異常が発生した後に、前記搬送路における前記分岐点よりも下流側に停止する停止用紙を取り除く操作をユーザに行なわせるための表示を行う表示手段と、前記停止用紙に形成された画像を、新たな用紙に形成するよう前記画像形成装置を制御する制御手段と、前記新たに形成された用紙が前記搬送路を搬送され前記分岐点を通過した後に、前記退避手段に退避させた用紙を当該搬送路へと供給する供給手段とを備えることを特徴とする後処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送出装置としては、搬送路の搬送方向下流側に配置され、前記搬送路を搬送された搬送対象を、水平方向に沿った積載面に積載する積載部と、前記積載面に接触する搬送対象を水平方向に沿って送り出す送出手段と、を備える送出装置が考えられる。
【0005】
当該送出装置では、積載部に積載された搬送対象の自重が積載方向に作用するため、送出手段が搬送対象を送り出した際に、搬送対象の重送(複数の搬送対象が重なって送り出されること)が発生する場合がある。
【0006】
本発明は、水平方向に沿った積載面に積載された搬送対象を水平方向へ沿って送り出す場合に比べ、搬送対象の重送を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、搬送路の搬送方向下流側に配置され、前記搬送路を搬送された搬送対象を、水平方向に対して傾斜する積載面に積載する積載部と、前記積載面に接触する搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送り出す送出手段と、を備える。
【0008】
第2態様では、第1態様において、前記送出手段は、前記積載面に接触する搬送対象の下面を吸引しながら、当該搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送り出す。
【0009】
第3態様では、第2態様において、前記積載部は、前記搬送対象として、第一搬送対象と、前記第一搬送対象よりも送出方向に沿った寸法が大きい第二搬送対象と、を積載可能とされ、前記送出手段は、前記積載面に接触する前記第一搬送対象における送出方向の下流端側の下面を吸引しながら、当該第一搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって搬送する第一搬送部と、前記第一搬送部に対する送出方向の下流側に配置され、前記積載面に接触する前記第二搬送対象における送出方向の下流端側の下面を吸引しながら、当該第二搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって搬送する第二搬送部と、を有する。
【0010】
第4態様では、第3態様において、前記第二搬送部は、前記第一搬送部から搬送された前記第一搬送対象を搬送し、前記第一搬送部は、前記第二搬送部が前記第一搬送対象を搬送する状態において、吸引を停止する。
【0011】
第5態様は、第1態様において、前記積載部に対する送出方向の上流側に設けられ、前記積載部に積載された搬送対象における送出方向の上流端に接触して当該上流端を揃える接触部を備える。
【0012】
第6態様では、第1態様において、前記接触部は、前記積載部に対して位置が固定されている。
【0013】
第7態様は、第5態様において、前記積載部において最も上方側に積載された搬送対象に対して前記接触部側への移動力を付与して、当該搬送対象を当該接触部へ接触させる付与部を備える。
【0014】
第1態様では、第7態様において、前記付与部は、前記送出手段の送出動作中において、前記積載部において最も上方側に積載された搬送対象に対して前記接触部側への移動力を付与する。
【0015】
第9態様では、第1態様において、前記積載部は、前記積載部に対する送出方向の上流側から前記搬送路を搬送された搬送対象を積載する。
【0016】
第10態様では、第1態様において、前記積載部が、前記搬送対象を積載した状態において、さらに搬送対象を積載しながら、前記送出手段が、前記積載面に接触する搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送出可能である。
【0017】
第11態様では、第1態様において、前記積載面は、水平方向に対して45度以上90度未満の範囲で傾斜している。
【0018】
第12態様では、第11態様において、前記積載面は、水平方向に対して60度以上85度未満の範囲で傾斜している。
【0019】
第13態様は、第1態様に記載の送出装置と、前処理装置から搬送された搬送対象を、前記送出装置の前記積載部へ搬送する前記搬送路としての第一搬送路と、前記送出装置から送り出された搬送対象を後処理装置へ搬送する第二搬送路と、を備える。
【0020】
第14態様は、第13態様において、前処理装置から搬送された搬送対象を、前記送出装置を迂回して前記第二搬送路へ搬送する迂回路を備える。
【0021】
第15態様は、前処理を実行する前処理装置と、後処理を実行する後処理装置と、前記前処理装置から搬送された搬送対象を前記後処理装置へ搬送する第13態様又は第14態様に記載の搬送装置と、を備える。
【0022】
第16態様では、第15態様において、前記前処理装置は、前記搬送対象としての記録媒体に画像を形成する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
第1態様の構成によれば、水平方向に沿った積載面に積載された搬送対象を水平方向へ沿って送り出す場合に比べ、搬送対象の重送が抑制される。
【0024】
第2態様の構成によれば、送出手段が、搬送対象との摩擦のみにより搬送対象を送り出す場合に比べ、積載面に接触する搬送対象の送出不良が抑制される。
【0025】
第3態様の構成によれば、送出手段が、第一搬送部のみを有している場合に比べ、第二搬送対象の送出不良が抑制される。
【0026】
第4態様の構成によれば、第二搬送部が第一搬送対象を搬送する状態において、第一搬送部の吸引が継続する場合に比べ、第一搬送対象の重送が抑制される。
【0027】
第5態様の構成によれば、接触部が積載部に対する送出方向の下流側に設けられている場合に比べ、搬送対象の積載面に沿った積載位置のばらつきが抑制される。
【0028】
第6態様の構成によれば、搬送対象の位置が送出方向に沿って変更可能である場合に比べ、搬送対象の積載面に沿った積載位置のばらつきが抑制される。
【0029】
第7態様の構成によれば、積載部に積載された搬送対象が接触部側へ移動する移動力が、搬送対象の自重のみである場合に比べ、搬送対象の積載面に沿った積載位置がばらつくことが抑制される。
【0030】
第8態様の構成によれば、送出手段の送出動作を停止している状態においてのみ、付与部が積載部において最も上方側に積載された搬送対象に対して接触部側への移動力を付与する場合に比べ、搬送対象の重送が抑制される。
【0031】
第9態様の構成によれば、積載部が積載部に対する送出方向の下流側から搬送路を搬送された搬送対象を積載する場合に比べ、搬送された搬送対象によって、積載部から送り出される搬送対象が、干渉することが抑制される。
【0032】
第10態様の構成によれば、積載部が、搬送対象の積載を行っていない状態においてのみ、送出手段が、搬送対象を送出可能である場合に比べ、送出手段が搬送対象を送り出すタイミングの自由度が高い。
【0033】
第11態様の構成によれば、積載面が、水平方向に対して45度未満の範囲で傾斜している場合に比べ、搬送対象の重送が抑制される。
【0034】
第12態様の構成によれば、積載面が、水平方向に対して60度未満の範囲で傾斜している場合に比べ、搬送対象の重送が抑制され、積載面が、水平方向に対して85度を超える範囲で傾斜している場合に比べ、搬送対象の座屈が抑制される。
【0035】
第13態様の構成によれば、水平方向に沿った姿勢で積載部に積載された搬送対象を前記水平方向へ沿って送り出す場合に比べ、搬送対象の搬送不良が抑制される。
【0036】
第14態様の構成によれば、搬送装置が、搬送路として、第一搬送路及び第二搬送路のみを備える場合に比べ、前処理装置から搬送された搬送対象を後処理装置へ搬送する搬送時間の長短を選択する自由度が高い。
【0037】
第15態様の構成によれば、水平方向に沿った姿勢で積載部に積載された搬送対象を前記水平方向へ沿って送り出す場合に比べ、搬送対象に対する後処理の処理不良が抑制される。
【0038】
第16態様の構成によれば、水平方向に沿った姿勢で積載部に積載された記録媒体を前記水平方向へ沿って送り出す場合に比べ、画像が形成された記録媒体に対する後処理の処理不良が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本実施形態に係る処理システムを示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る前処理装置を示す概略図である。
【
図3】本実施形態に係る後処理装置を示す概略図である。
【
図4】本実施形態に係る搬送装置を示す概略図である。
【
図5】本実施形態に係る搬送装置において、第一記録媒体を送り出す動作を示す動作図である。
【
図6】本実施形態に係る搬送装置において、第一記録媒体を送り出す動作を示す動作図である。
【
図7】本実施形態に係る搬送装置において、第一記録媒体を送り出す動作を示す動作図である。
【
図8】本実施形態に係る搬送装置において、第一記録媒体を送り出す動作を示す動作図である。
【
図9】本実施形態に係る搬送装置において、第二記録媒体を送り出す動作を示す動作図である。
【
図10】本実施形態に係る搬送装置において、第二記録媒体を送り出す動作を示す動作図である。
【
図11】本実施形態に係る搬送装置において、第二記録媒体を送り出す動作を示す動作図である。
【
図12】本実施形態に係る搬送装置において、第三記録媒体を送り出す動作を示す動作図である。
【
図13】本実施形態に係る搬送装置において、第三記録媒体を送り出す動作を示す動作図である。
【
図14】比較例に係る送出装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0041】
<処理システム100>
まず、本実施形態に係る処理システム100を説明する。
図1は、本実施形態に係る処理システム100を示す概略図である。
【0042】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方を示し、矢印DOは、装置の下方を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。
【0043】
上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。なお、「左右方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。
【0044】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。また、各図に示す各部分同士の上下方向、左右方向、前後方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
【0045】
図1に示される処理システム100は、予め定められた処理を実行するシステムであり、
図1に示されるように、前処理装置110と、後処理装置120と、搬送装置10と、を有している。
【0046】
<前処理装置110>
図2は、前処理装置110を示す概略図である。この前処理装置110は、前処理を実行する装置である。具体的には、前処理装置110は、前処理として、記録媒体Pに画像を形成する画像形成装置である。記録媒体Pは、搬送対象の一例である。
【0047】
前処理装置110は、
図2に示されるように、装置本体111と、媒体収容部112と、前処理部としての画像形成部114と、搬送機構116と、を備えている。
【0048】
<装置本体111>
図2に示される装置本体111は、前処理装置110の各構成部が設けられる部分である。この装置本体111は、前処理装置110の各構成部を収容する箱状の筐体111Aを有している。本実施形態では、
図2に示されるように、例えば、媒体収容部112、画像形成部114、及び搬送機構116が、装置本体111の内部に設けられている。
【0049】
<媒体収容部112>
媒体収容部112は、
図2に示されるように、前処理装置110において、記録媒体Pを収容する部分である。この媒体収容部112に収容された記録媒体Pが、画像形成部114へ供給される。なお、記録媒体Pとしては、例えば、用紙が用いられる。
【0050】
<画像形成部114>
図2に示される画像形成部114は、媒体収容部112から送り出された記録媒体Pに対して、前処理として、画像形成を行う構成部である。画像形成部114としては、例えば、トナーを用いて記録媒体Pに画像を形成する電子写真式の画像形成部が用いられる。
【0051】
電子写真式の画像形成部では、例えば、帯電、露光、現像、転写及び定着の各工程を行い、記録媒体Pに画像を形成する。電子写真式の画像形成部としては、帯電、露光、現像、転写の各工程を行って転写体に画像を形成し、当該画像を転写体から記録媒体Pに転写した後、当該画像を記録媒体Pに定着することで、記録媒体Pに画像を形成してもよい。
【0052】
なお、画像形成部の一例としては、前述の電子写真式の画像形成部に限られず、例えば、インクジェット式の画像形成部であってもよく、種々の画像形成部を用いることが可能である。インクジェット式の画像形成部では、例えば、吐出部から記録媒体Pにインク滴を吐出して記録媒体Pに画像を形成する。
【0053】
ここで、前処理とは、搬送装置10にて搬送対象が搬送される前に当該搬送対象に対して実行される処理である。前処理装置110では、前処理部としての画像形成部114が、画像形成を実行していたが、これに限られない。前処理としては、例えば、搬送対象の画像の読み取る画像読取処理、搬送対象を送り出す送出処理、搬送対象を搬送する搬送処理などであってもよく、搬送装置10による搬送前に実行される処理であればよい。
【0054】
<搬送機構116>
図2に示される搬送機構116は、記録媒体Pを搬送する機構である。搬送機構116は、一例として、搬送ロール等の搬送部材117によって、記録媒体Pを搬送する。なお、搬送部材117としては、搬送ベルト等であってもよく、記録媒体Pに搬送力を付与して、記録媒体Pを搬送可能な部材であればよい。
【0055】
搬送機構116は、媒体収容部112から画像形成部114へ記録媒体Pを搬送する。さらに、搬送機構116は、装置本体111に設けられた排出口111Cへ記録媒体Pを搬送する。
【0056】
<後処理装置120>
図3は、後処理装置120を示す概略図である。この後処理装置120は、後処理を実行する装置である。具体的には、後処理装置120は、
図3に示されるように、装置本体121と、後処理部124と、搬送機構126と、を備えている。
【0057】
<装置本体121>
図3に示される装置本体121は、後処理装置120の各構成部が設けられる部分である。この装置本体121は、後処理装置120の各構成部を収容する箱状の筐体121Aを有している。本実施形態では、
図3に示されるように、例えば、後処理部124、及び搬送機構126が、装置本体121の内部に設けられている。
【0058】
<後処理部124>
図3に示される後処理部124は、搬送装置10から搬送された記録媒体Pに対して、予め定められた後処理を実行する構成部である。具体的には、後処理部124は、後処理として、例えば、複数の記録媒体Pを綴じる綴じ処理を実行する。
【0059】
ここで、後処理とは、搬送装置10にて搬送対象が搬送された後に当該搬送対象に対して実行される処理である。後処理装置120では、後処理部124が、綴じ処理を実行していたが、これに限られない。後処理としては、例えば、搬送対象に折り目をつける折り処理、搬送対象を裁断する裁断処理、搬送対象に穴をあける穴あけ処理、複数の搬送対象を製本する製本処理などであってもよく、搬送装置10による搬送後に実行される処理であればよい。また、前処理として、搬送対象を送り出す送出処理を実行する場合には、後処理として、画像を形成する画像形成処理を実行してもよい。
【0060】
<搬送機構126>
図3に示される搬送機構126は、記録媒体Pを搬送する機構である。搬送機構126は、一例として、搬送ロール等の搬送部材127によって、記録媒体Pを搬送する。なお、搬送部材127としては、搬送ベルト等であってもよく、記録媒体Pに搬送力を付与して、記録媒体Pを搬送可能な部材であればよい。
【0061】
搬送機構126は、装置本体121に設けられた入口121Bから後処理部124へ記録媒体Pを搬送する。さらに、搬送機構126は、後処理部124から装置本体121に設けられた排出口121Cへ記録媒体Pを搬送する。
【0062】
<搬送装置10>
図4は、搬送装置10を示す概略図である。この搬送装置10は、前処理装置110から搬送された記録媒体Pを後処理装置120へ搬送する装置である。具体的には、搬送装置10は、前処理装置110から搬送された記録媒体Pを一時的に留めた後に、後処理装置120へ搬送することで、前処理と後処理との処理タイミングを調整する機能を有している。
【0063】
本実施形態では、搬送装置10は、装置本体14と、第一搬送路11と、第一搬送機構15と、第二搬送路12と、第二搬送機構18と、迂回路13と、第三搬送機構17と、送出装置19と、を備えている。
【0064】
<装置本体14>
図4に示される装置本体14は、搬送装置10の各構成部が設けられる部分である。この装置本体14は、搬送装置10の各構成部を収容する箱状の筐体14Aを有している。本実施形態では、
図4に示されるように、例えば、第一搬送路11、第一搬送機構15、第二搬送路12、第二搬送機構18、迂回路13、第三搬送機構17、及び送出装置19が、装置本体14の内部に設けられている。
【0065】
<第一搬送路11及び第一搬送機構15>
第一搬送路11は、前処理装置110から搬送された記録媒体Pを、装置本体14に設けられた入口14Bから送出装置19の後述の積載部20へ搬送する搬送路である。
【0066】
第一搬送機構15は、第一搬送路11において、記録媒体Pを搬送する機構である。第一搬送機構15は、一例として、搬送ロール等の搬送部材15Aによって、記録媒体Pを搬送する。なお、搬送部材15Aとしては、搬送ベルト等であってもよく、記録媒体Pに搬送力を付与して、記録媒体Pを搬送可能な部材であればよい。
【0067】
<第二搬送路12及び第二搬送機構18>
第二搬送路12は、送出装置19から送り出された記録媒体Pを、後処理装置120へ搬送する搬送路である。具体的には、第二搬送路12は、送出装置19の後述の積載部20から送り出された記録媒体Pを、装置本体14に設けられた排出口14Cへ記録媒体Pを搬送する搬送路である。
【0068】
第二搬送機構18は、第二搬送路12において、記録媒体Pを搬送する機構である。第二搬送機構18は、一例として、搬送ロール等の搬送部材18Aによって、記録媒体Pを搬送する。なお、搬送部材18Aとしては、搬送ベルト等であってもよく、記録媒体Pに搬送力を付与して、記録媒体Pを搬送可能な部材であればよい。
【0069】
<迂回路13、及び第三搬送機構17>
迂回路13は、前処理装置110から搬送された記録媒体Pを、送出装置19を迂回して第二搬送路12へ搬送する搬送路である。具体的には、迂回路13は、第一搬送路11と第二搬送路12とに接続されている。
【0070】
第三搬送機構17は、迂回路13において、記録媒体Pを搬送する機構である。第三搬送機構17は、一例として、搬送ロール等の搬送部材17Aによって、記録媒体Pを搬送する。なお、搬送部材17Aとしては、搬送ベルト等であってもよく、記録媒体Pに搬送力を付与して、記録媒体Pを搬送可能な部材であればよい。
【0071】
<送出装置19>
図4に示される送出装置19は、記録媒体Pを送り出す装置である。この送出装置19は、積載部20と、送出機構30と、接触部52と、付与ロール54と、を有している。なお、各図では、送出装置19が記録媒体Pを送り出す方向(以下、送出方向という場合がある)が矢印Xにて示されている。
【0072】
<積載部20>
積載部20は、水平方向に対して傾斜する積載面22Aを有する積載部材22を備えている。この積載部材22は、例えば、板状に形成されている。積載部20は、第一搬送路11の搬送方向下流側に配置され、第一搬送路11を搬送された記録媒体Pを積載面22Aに積載する。
【0073】
具体的には、第一搬送路11の搬送方向下流側は、積載部20に対する送出方向の下流側(具体的には右斜め上方側)ではなく、積載部20に対する送出方向の上流側(具体的には左斜め下方側)に接続されている。したがって、積載部20は、積載部20に対する送出方向の上流側から第一搬送路11を搬送された記録媒体Pを積載する。
【0074】
積載部20は、記録媒体Pとして、第一記録媒体P1(
図5~
図8参照)と、第一記録媒体P1よりも送出方向に沿った寸法が大きい第二記録媒体P2(
図8~
図11参照)と、第二記録媒体P2よりも送出方向に沿った寸法が大きい第三記録媒体P3(
図4、
図12及び
図13参照)と、を積載可能とされている。
【0075】
積載面22Aは、水平方向に対して45度以上90度未満の範囲で傾斜している(図中の角度θ参照)。さらに、積載面22Aは、好ましくは、水平方向に対して60度以上85度未満の範囲で傾斜している。なお、各図において、水平方向に対する積載面22Aの角度がθにて示されている。
【0076】
積載部20は、例えば、5枚以上の記録媒体Pを、好ましくは、10枚以上の記録媒体Pを、さらに好ましくは、50枚以上の記録媒体Pを積載可能とされている。具体的には、積載部20は、例えば、100枚程度の記録媒体Pを積載可能とされている。
【0077】
<送出機構30>
送出機構30は、送出手段の一例であり、積載面22Aに接触する記録媒体Pを積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって送り出す機構である。本実施形態では、送出機構30は、積載面22Aに接触する記録媒体Pの下面PBを吸引しながら、記録媒体Pを積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって送り出す。
【0078】
具体的には、送出機構30は、第一搬送部31と、第二搬送部32と、第三搬送部33と、を有している。第一搬送部31、第二搬送部32、及び第三搬送部33は、この順で、送出方向の下流側(具体的には右斜め上方側)へ向かって配置されている。すなわち、第二搬送部32は、第一搬送部31に対する送出方向の下流側に配置されている。第三搬送部33は、第二搬送部32に対する送出方向の下流側に配置されている。
【0079】
第一搬送部31、第二搬送部32、及び第三搬送部33の各々は、搬送ベルト41と、ロール42、43と、吸引部44と、を有している。搬送ベルト41は、環状(具体的には無端状)に形成されている。この搬送ベルト41には、厚み方向に貫通する複数の吸引孔(図示省略)が形成されている。
【0080】
ロール42、43は、送出方向(具体的には右斜め方向)に間隔をおいて配置されている。このロール42、43には、搬送ベルト41が巻き掛けられている。吸引部44は、搬送ベルト41の内周において、ロール42、43の間に配置されている。吸引部44は、搬送ベルト41の吸引孔(図示省略)を通じて、積載面22Aに積載された複数の記録媒体Pのうち、最も下方側の記録媒体Pの下面PBを吸引する。これにより、最も下方側の記録媒体Pが搬送ベルト41の外周面に吸着される。
【0081】
第一搬送部31、第二搬送部32、及び第三搬送部33の各々は、ロール42、43の少なくとも一方が回転駆動されることで、搬送ベルト41の外周面に吸着された記録媒体Pを送出方向(矢印X方向)へ搬送する。
【0082】
以上のように、第一搬送部31、第二搬送部32、及び第三搬送部33が、積載部20に積載された最も下方側の記録媒体Pの下面PBを吸引して搬送する。このため、送出機構30では、積載部20に積載された記録媒体Pを積載された順番に送り出す。
【0083】
さらに、積載部20が、記録媒体Pを積載した状態において、さらに記録媒体Pを積載しながら、送出機構30が、積載面22Aに接触する記録媒体Pを積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって送出可能である。
【0084】
なお、第一搬送部31、第二搬送部32、及び第三搬送部33の各々は、同様に構成されているため、
図4~
図13では、第二搬送部32及び第三搬送部33の各部の符号を省略している。
【0085】
<接触部52>
図4に示される接触部52は、積載部20に積載された記録媒体Pにおける送出方向の上流端に接触して上流端を揃える構成部である。接触部52は、具体的には、例えば、ブロック状又は板状に形成された壁によって構成されている。
【0086】
この接触部52は、積載部20に対する送出方向の上流側に設けられている。また、接触部52は、積載部20に対して位置が固定されている。すなわち、接触部52は、送出方向に沿って移動することがない。
【0087】
<付与ロール54>
図4に示される付与ロール54は、付与部の一例であり、積載部20において最も上方側に積載された記録媒体Pに対して接触部52側(具体的には左斜め下方側)への移動力を付与して、記録媒体Pを接触部52へ接触させる構成部である。
【0088】
具体的には、付与ロール54は、送出機構30の送出動作中において、積載部20において最も上方側に積載された記録媒体Pに対して接触部52側への移動力を付与する。
【0089】
<第一記録媒体P1の送出動作>
送出機構30では、
図5に示されるように、第一搬送部31が、積載面22Aに接触する第一記録媒体P1における送出方向の下流端側の下面PBを吸引部40により吸引しながら、当該第一記録媒体P1を積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって搬送する。なお、各図では、矢印S40が付された吸引部40が駆動していることを示している。
【0090】
さらに、送出機構30では、
図6に示されるように、第二搬送部32が、第一搬送部31から搬送された第一記録媒体P1の下面PBを吸引部40により吸引しながら搬送し、第一搬送部31は、第二搬送部32が第一記録媒体P1を搬送する状態において、吸引を停止する。
【0091】
さらに、送出機構30では、
図7に示されるように、第三搬送部33が、第二搬送部32から搬送された第一記録媒体P1の下面PBを吸引部40により吸引しながら搬送し、第二搬送部32は、第三搬送部33が第一記録媒体P1を搬送する状態において、吸引を停止する。
【0092】
そして、
図8に示されるように、第三搬送部33から搬送された第一記録媒体P1が、第二搬送機構18へ受け渡されると、第三搬送部33は、吸引を停止する。以上のようにして、第一記録媒体P1が積載部20から送り出される。
【0093】
<第二記録媒体P2の送出動作>
送出機構30では、
図9に示されるように、第二搬送部32が、積載面22Aに接触する第二記録媒体P2における送出方向の下流端側の下面PBを吸引部40により吸引しながら、当該第二記録媒体P2を積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって搬送する。
【0094】
さらに、送出機構30では、
図10に示されるように、第三搬送部33が、第二搬送部32から搬送された第二記録媒体P2の下面PBを吸引部40により吸引しながら搬送し、第二搬送部32は、第三搬送部33が第二記録媒体P2を搬送する状態において、吸引を停止する。
【0095】
そして、
図11に示されるように、第三搬送部33から搬送された第二記録媒体P2が、第二搬送機構18へ受け渡されると、第三搬送部33は、吸引を停止する。以上のようにして、第二記録媒体P2が積載部20から送り出される。
【0096】
<第三記録媒体P3の送出動作>
送出機構30では、
図12に示されるように、第三搬送部33は、積載面22Aに接触する第三記録媒体P3における送出方向の下流端側の下面PBを吸引部40により吸引しながら、当該第三記録媒体P3を積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって搬送する。
【0097】
そして、
図13に示されるように、第三搬送部33から搬送された第三記録媒体P3が、第二搬送機構18へ受け渡されると、第三搬送部33は、吸引を停止する。以上のようにして、第三記録媒体P3が積載部20から送り出される。
【0098】
<本実施形態に係る作用>
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0099】
本実施形態によれば、第一搬送路11の搬送方向下流側に配置された積載部20が、第一搬送路11を搬送された記録媒体Pを、水平方向に対して傾斜する積載面22Aに積載する。送出機構30は、積載面22Aに接触する記録媒体Pを積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって送り出す。
【0100】
ここで、
図14に示されるように、水平方向に沿った積載面22Aに積載された記録媒体Pを水平方向へ沿って送り出す場合(以下、形態Aという)では、積載面22Aに積載された記録媒体Pの自重が積載方向に作用するため、送出機構30が記録媒体Pを送り出した際に、記録媒体Pの重送(複数の記録媒体Pが重なって送り出されること)が発生する場合がある。
【0101】
これに対して、本実施形態では、送出機構30が、記録媒体Pを積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって送り出すので、記録媒体Pの自重が送出方向の上流側へ作用するので、形態Aに比べ、送出装置19において、記録媒体Pの重送が抑制される。この結果、搬送装置10における記録媒体Pの搬送不良が抑制される。これにより、画像が形成された記録媒体Pに対する後処理の処理不良が抑制される。
【0102】
また、本実施形態では、送出機構30は、積載面22Aに接触する記録媒体Pの下面を吸引しながら、記録媒体Pを積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって送り出す。
【0103】
このため、送出機構30が、記録媒体Pとの摩擦のみにより記録媒体Pを送り出す場合に比べ、積載面22Aに接触する記録媒体Pに作用する搬送抵抗に対抗して、記録媒体Pを搬送可能となり、当該記録媒体Pの送出不良が抑制される。
【0104】
また、本実施形態では、送出機構30において、第一搬送部31が、積載面22Aに接触する第一記録媒体P1における送出方向の下流端側の下面を吸引しながら、当該第一記録媒体P1を積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって搬送する。さらに、第一搬送部31に対する送出方向の下流側に配置された第二搬送部32が、積載面22Aに接触する第二記録媒体P2における送出方向の下流端側の下面を吸引しながら、当該第二記録媒体P2を積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって搬送する。
【0105】
このように、送出機構30では、第一記録媒体P1よりも送出方向に沿った寸法が大きい第二記録媒体P2については、第一搬送部31に対する送出方向の下流側に配置された第二搬送部32が、第二記録媒体P2における送出方向の下流端側の下面を吸引しながら搬送する。このため、送出機構30が第一搬送部31のみを有している場合に比べ、第二記録媒体P2の送出不良が抑制される。
【0106】
また、本実施形態では、第二搬送部32が、第一搬送部31から搬送された第一記録媒体P1を搬送し、第一搬送部31は、第二搬送部32が第一記録媒体P1を搬送する状態において、吸引を停止する。
【0107】
このため、第二搬送部32が第一記録媒体P1を搬送する状態において、第一搬送部31の吸引が継続する場合に比べ、第一記録媒体P1の重送が抑制される。
【0108】
また、本実施形態では、積載部20に対する送出方向の上流側に設けられた接触部52が、積載部20に積載された記録媒体Pにおける送出方向の上流端に接触して上流端を揃える。
【0109】
ここで、接触部52が積載部20に対する送出方向の下流側に設けられている場合(以下、形態Bという)では、記録媒体Pの自重で斜め下方へ移動して、接触部52から離れやすい。これに対して、本実施形態では、接触部52が、積載部20に対する送出方向の上流側に設けられているので、形態Bに比べ、記録媒体Pが離れにくく、記録媒体Pの積載面22Aに沿った積載位置のばらつきが抑制される。
【0110】
また、本実施形態では、接触部52は、積載部20に対して位置が固定されている。ここで、接触部52の位置が送出方向に沿って変更可能である場合(以下、形態Cという)では、記録媒体Pにおける送出方向の上流端の位置が変動しやすく、記録媒体Pの積載面22Aに沿った積載位置がばらつきやすい。
【0111】
これに対して、本実施形態では、接触部52の位置が固定されているので、形態Cに比べ、記録媒体Pの積載面22Aに沿った積載位置のばらつきが抑制される。
【0112】
また、本実施形態では、付与ロール54が、積載部20において最も上方側に積載された記録媒体Pに対して接触部52側(具体的には左斜め下方側)への移動力を付与して、記録媒体Pを接触部52へ接触させる。
【0113】
このため、積載部20に積載された記録媒体Pが接触部52側へ移動する移動力が、記録媒体Pの自重のみである場合に比べ、記録媒体Pの積載面22Aに沿った積載位置がばらつくことが抑制される。
【0114】
また、本実施形態では、付与ロール54は、送出機構30の送出動作中において、積載部20において最も上方側に積載された記録媒体Pに対して接触部52側への移動力を付与する。
【0115】
このため、送出機構30の送出動作を停止している状態においてのみ、付与ロール54が積載部20において最も上方側に積載された記録媒体Pに対して接触部52側への移動力を付与する場合に比べ、記録媒体Pの重送が抑制される。
【0116】
また、本実施形態では、積載部20は、積載部20に対する送出方向の上流側から第一搬送路11を搬送された記録媒体Pを積載する。
【0117】
このため、積載部20が積載部20に対する送出方向の下流側から第一搬送路11を搬送された記録媒体Pを積載する場合に比べ、搬送された記録媒体Pによって、積載部20から送り出される記録媒体Pが、干渉することが抑制される。この結果、記録媒体Pを積載部20へ積載しながら、積載部20から記録媒体Pを送り出せる。
【0118】
また、本実施形態では、積載部20が、記録媒体Pを積載した状態において、さらに記録媒体Pを積載しながら、送出機構30が、積載面22Aに接触する記録媒体Pを積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって送出可能である。
【0119】
このため、積載部20が、記録媒体Pの積載を行っていない状態においてのみ、送出機構30が、記録媒体Pを送出可能である場合に比べ、送出機構30が記録媒体Pを送り出すタイミングの自由度が高い。換言すれば、送出機構30は、積載部20が記録媒体Pを積載しているか否かに関わらず、好きなタイミングで記録媒体Pを送り出すことが可能となる。
【0120】
また、本実施形態では、積載面22Aは、水平方向に対して45度以上90度未満の範囲で傾斜している。このため、積載面22Aが、水平方向に対して45度未満の範囲で傾斜している場合に比べ、記録媒体Pの重送が抑制される。
【0121】
さらに、本実施形態では、積載面22Aは、好ましくは、水平方向に対して60度以上85度未満の範囲で傾斜している。このため、積載面22Aが、水平方向に対して60度未満の範囲で傾斜している場合に比べ、記録媒体Pの重送が抑制され、積載面22Aが、水平方向に対して85度を超える範囲で傾斜している場合に比べ、記録媒体Pの座屈が抑制される。
【0122】
また、本実施形態では、迂回路13が、前処理装置110から搬送された記録媒体Pを、送出装置19を迂回して第二搬送路12へ搬送する。このため、搬送装置10が、搬送路として、第一搬送路11及び第二搬送路12のみを備える場合に比べ、前処理装置110から搬送された記録媒体Pを後処理装置120へ搬送する搬送時間の長短を選択する自由度が高い。
【0123】
<変形例>
本実施形態では、前処理装置110が画像形成装置であったため、搬送対象の一例として、記録媒体Pを搬送していたが、これに限られない。前処理装置110で実行される前処理に応じて、搬送対象が定められればよく、搬送対象としては、搬送可能な種々の対象を用いることが可能である。
【0124】
また、本実施形態では、送出機構30は、積載面22Aに接触する記録媒体Pの下面を吸引しながら、記録媒体Pを積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって送り出していたが、これに限られない。例えば、送出機構30が、記録媒体Pとの摩擦のみにより記録媒体Pを送り出す構成であってもよく、送出機構30が、記録媒体Pを送り出す構成であればよい。
【0125】
また、本実施形態では、送出機構30は、第一搬送部31と、第二搬送部32と、第三搬送部33と、を有していたが、これに限られない。例えば、送出機構30は、第一搬送部31、第二搬送部32及び第三搬送部33のうち、いずれか1つのみを有する構成、又は、いずれか2つを有する構成であってもよい。また、送出機構30は、第一搬送部31、第二搬送部32及び第三搬送部33に加えて、1つ又は複数の搬送部を有する構成であってもよい。
【0126】
また、本実施形態では、第二搬送部32が、第一搬送部31から搬送された第一記録媒体P1を搬送し、第一搬送部31は、第二搬送部32が第一記録媒体P1を搬送する状態において、吸引を停止していたが、これに限られない。例えば、第二搬送部32が第一記録媒体P1を搬送する状態において、第一搬送部31の吸引が継続する構成であってもよい。なお、第三搬送部33が、第二搬送部32から搬送された第一記録媒体P1又は第二記録媒体P2の下面PBを吸引部40により吸引しながら搬送する状態において、第二搬送部32が吸引を停止する場合においても、同様に、吸引を継続する構成を採用してもよい。
【0127】
また、本実施形態では、積載部20に対する送出方向の上流側に設けられた接触部52が、積載部20に積載された記録媒体Pにおける送出方向の上流端に接触して上流端を揃えていたが、これに限られない。例えば、接触部52が積載部20に対する送出方向の下流側に設けられている構成であってもよい。
【0128】
また、本実施形態では、接触部52は、積載部20に対して位置が固定されていたが、これに限られない。例えば、接触部52の位置が送出方向に沿って変更可能である構成であってもよい。
【0129】
また、本実施形態では、付与ロール54が、積載部20において最も上方側に積載された記録媒体Pに対して接触部52側(具体的には左斜め下方側)への移動力を付与して、記録媒体Pを接触部52へ接触させていたが、これに限られない。例えば、積載部20に積載された記録媒体Pが接触部52側へ移動する移動力が、記録媒体Pの自重のみである構成であってもよい。
【0130】
また、本実施形態では、付与ロール54は、送出機構30の送出動作中において、積載部20において最も上方側に積載された記録媒体Pに対して接触部52側への移動力を付与していたが、これに限られない。例えば、送出機構30の送出動作を停止している状態においてのみ、付与ロール54が積載部20において最も上方側に積載された記録媒体Pに対して接触部52側への移動力を付与する構成であってもよい。
【0131】
また、本実施形態では、積載部20は、積載部20に対する送出方向の上流側から第一搬送路11を搬送された記録媒体Pを積載していたが、これに限られない。例えば、積載部20が積載部20に対する送出方向の下流側から第一搬送路11を搬送された記録媒体Pを積載する構成であってもよい。
【0132】
また、本実施形態では、積載部20が、記録媒体Pを積載した状態において、さらに記録媒体Pを積載しながら、送出機構30が、積載面22Aに接触する記録媒体Pを積載面22Aに沿って斜め上方へ向かって送出可能とされていたが、これに限られない。例えば、積載部20が、記録媒体Pの積載を行っていない状態においてのみ、送出機構30が、記録媒体Pを送出可能である構成であってもよい。
【0133】
また、本実施形態では、積載面22Aは、水平方向に対して45度以上90度未満の範囲で傾斜していたが、これに限られない。例えば、積載面22Aが、水平方向に対して45度未満の範囲で傾斜している構成であってもよい。
【0134】
また、本実施形態では、迂回路13が、前処理装置110から搬送された記録媒体Pを、送出装置19を迂回して第二搬送路12へ搬送していたが、これに限られない。例えば、搬送装置10が、搬送路として、第一搬送路11及び第二搬送路12のみを備える構成であってもよい。
【0135】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0136】
<付記>
(((1)))
搬送路の搬送方向下流側に配置され、前記搬送路を搬送された搬送対象を、水平方向に対して傾斜する積載面に積載する積載部と、
前記積載面に接触する搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送り出す送出手段と、
を備える送出装置。
【0137】
(((2)))
前記送出手段は、
前記積載面に接触する搬送対象の下面を吸引しながら、当該搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送り出す
(((1)))に記載の送出装置。
【0138】
(((3)))
前記積載部は、
前記搬送対象として、第一搬送対象と、前記第一搬送対象よりも送出方向に沿った寸法が大きい第二搬送対象と、を積載可能とされ、
前記送出手段は、
前記積載面に接触する前記第一搬送対象における送出方向の下流端側の下面を吸引しながら、当該第一搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって搬送する第一搬送部と、
前記第一搬送部に対する送出方向の下流側に配置され、前記積載面に接触する前記第二搬送対象における送出方向の下流端側の下面を吸引しながら、当該第二搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって搬送する第二搬送部と、
を有する
(((2)))に記載の送出装置。
【0139】
(((4)))
前記第二搬送部は、前記第一搬送部から搬送された前記第一搬送対象を搬送し、
前記第一搬送部は、前記第二搬送部が前記第一搬送対象を搬送する状態において、吸引を停止する
(((3)))に記載の送出装置。
【0140】
(((5)))
前記積載部に対する送出方向の上流側に設けられ、前記積載部に積載された搬送対象における送出方向の上流端に接触して当該上流端を揃える接触部
を備える(((1)))~(((4)))のいずれか1つに記載の送出装置。
【0141】
(((6)))
前記接触部は、前記積載部に対して位置が固定されている
(((5)))に記載の送出装置。
【0142】
(((7)))
前記積載部において最も上方側に積載された搬送対象に対して前記接触部側への移動力を付与して、当該搬送対象を当該接触部へ接触させる付与部
を備える(((5)))に記載の送出装置。
【0143】
(((8)))
前記付与部は、
前記送出手段の送出動作中において、前記積載部において最も上方側に積載された搬送対象に対して前記接触部側への移動力を付与する
(((7)))に記載の送出装置。
【0144】
(((9)))
前記積載部は、前記積載部に対する送出方向の上流側から前記搬送路を搬送された搬送対象を積載する
(((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載の送出装置。
【0145】
(((10)))
前記積載部が、前記搬送対象を積載した状態において、さらに搬送対象を積載しながら、
前記送出手段が、前記積載面に接触する搬送対象を前記積載面に沿って斜め上方へ向かって送出可能である
(((1)))~(((9)))のいずれか1つに記載の送出装置。
【0146】
(((11)))
前記積載面は、水平方向に対して45度以上90度未満の範囲で傾斜している
(((1)))~(((10)))のいずれか1つに記載の送出装置。
【0147】
(((12)))
前記積載面は、水平方向に対して60度以上85度未満の範囲で傾斜している
(((11)))に記載の送出装置。
【0148】
(((13)))
(((1)))~(((12)))のいずれか1つに記載の送出装置と、
前処理装置から搬送された搬送対象を、前記送出装置の前記積載部へ搬送する前記搬送路としての第一搬送路と、
前記送出装置から送り出された搬送対象を後処理装置へ搬送する第二搬送路と、
を備える搬送装置。
【0149】
(((14)))
前処理装置から搬送された搬送対象を、前記送出装置を迂回して前記第二搬送路へ搬送する迂回路
を備える(((13)))に記載の搬送装置。
【0150】
(((15)))
前処理を実行する前処理装置と、
後処理を実行する後処理装置と、
前記前処理装置から搬送された搬送対象を前記後処理装置へ搬送する(((13)))又は(((14)))に記載の搬送装置と、
を備える処理システム。
【0151】
(((16)))
前記前処理装置は、前記搬送対象としての記録媒体に画像を形成する画像形成装置である、
(((15)))に記載の処理システム。
【0152】
(((1)))の構成によれば、水平方向に沿った積載面に積載された搬送対象を水平方向へ沿って送り出す場合に比べ、搬送対象の重送が抑制される。
【0153】
(((2)))の構成によれば、送出手段が、搬送対象との摩擦のみにより搬送対象を送り出す場合に比べ、積載面に接触する搬送対象の送出不良が抑制される。
【0154】
(((3)))の構成によれば、送出手段が、第一搬送部のみを有している場合に比べ、第二搬送対象の送出不良が抑制される。
【0155】
(((4)))の構成によれば、第二搬送部が第一搬送対象を搬送する状態において、第一搬送部の吸引が継続する場合に比べ、第一搬送対象の重送が抑制される。
【0156】
(((5)))の構成によれば、接触部が積載部に対する送出方向の下流側に設けられている場合に比べ、搬送対象の積載面に沿った積載位置のばらつきが抑制される。
【0157】
(((6)))の構成によれば、搬送対象の位置が送出方向に沿って変更可能である場合に比べ、搬送対象の積載面に沿った積載位置のばらつきが抑制される。
【0158】
(((7)))の構成によれば、積載部に積載された搬送対象が接触部側へ移動する移動力が、搬送対象の自重のみである場合に比べ、搬送対象の積載面に沿った積載位置がばらつくことが抑制される。
【0159】
(((8)))の構成によれば、送出手段の送出動作を停止している状態においてのみ、付与部が積載部において最も上方側に積載された搬送対象に対して接触部側への移動力を付与する場合に比べ、搬送対象の重送が抑制される。
【0160】
(((9)))の構成によれば、積載部が積載部に対する送出方向の下流側から搬送路を搬送された搬送対象を積載する場合に比べ、搬送された搬送対象によって、積載部から送り出される搬送対象が、干渉することが抑制される。
【0161】
(((10)))の構成によれば、積載部が、搬送対象の積載を行っていない状態においてのみ、送出手段が、搬送対象を送出可能である場合に比べ、送出手段が搬送対象を送り出すタイミングの自由度が高い。
【0162】
(((11)))の構成によれば、積載面が、水平方向に対して45度未満の範囲で傾斜している場合に比べ、搬送対象の重送が抑制される。
【0163】
(((12)))の構成によれば、積載面が、水平方向に対して60度未満の範囲で傾斜している場合に比べ、搬送対象の重送が抑制され、積載面が、水平方向に対して85度を超える範囲で傾斜している場合に比べ、搬送対象の座屈が抑制される。
【0164】
(((13)))の構成によれば、水平方向に沿った姿勢で積載部に積載された搬送対象を前記水平方向へ沿って送り出す場合に比べ、搬送対象の搬送不良が抑制される。
【0165】
(((14)))の構成によれば、搬送装置が、搬送路として、第一搬送路及び第二搬送路のみを備える場合に比べ、前処理装置から搬送された搬送対象を後処理装置へ搬送する搬送時間の長短を選択する自由度が高い。
【0166】
(((15)))の構成によれば、水平方向に沿った姿勢で積載部に積載された搬送対象を前記水平方向へ沿って送り出す場合に比べ、搬送対象に対する後処理の処理不良が抑制される。
【0167】
(((16)))の構成によれば、水平方向に沿った姿勢で積載部に積載された記録媒体を前記水平方向へ沿って送り出す場合に比べ、画像が形成された記録媒体に対する後処理の処理不良が抑制される。
【符号の説明】
【0168】
10 搬送装置
11 第一搬送路
12 第二搬送路
13 迂回路
14 装置本体
14A 筐体
14B 入口
14C 排出口
15 第一搬送機構
15A 搬送部材
17 第三搬送機構
17A 搬送部材
18 第二搬送機構
18A 搬送部材
19 送出装置
20 積載部
22 積載部材
22A 積載面
30 送出機構
31 第一搬送部
32 第二搬送部
33 第三搬送部
40 吸引部
41 搬送ベルト
42、43 ロール
44 吸引部
52 接触部
54 付与ロール
100 処理システム
110 前処理装置
111 装置本体
111A 筐体
111C 排出口
112 媒体収容部
114 画像形成部
116 搬送機構
117 搬送部材
120 後処理装置
121 装置本体
121A 筐体
121B 入口
121C 排出口
124 後処理部
126 搬送機構
127 搬送部材
P1 第一記録媒体
P2 第二記録媒体
P3 第三記録媒体
P 記録媒体