(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044814
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150571
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】田島 拓明
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AA02
3L037AB01
3L037AB02
(57)【要約】
【課題】所謂スリム型の給湯器であっても、給水管の水入口への接続部近傍に設置される凍結防止ヒータをメンテナンスしやすい給湯器を提供する。
【解決手段】筐体2の底板6におけるポンプ46よりも左右方向で内側となる箇所に、外部の水道管が接続される水入口9を設け、水入口9の筐体2内側に給水管40を接続した。また、給水管40の接続部近傍で、且つ、側方から見るとポンプ46により隠れる位置に、給水管40の凍結を防止するための凍結防止ヒータ81を取付ネジ82により取り付けた。さらに、底板6のポンプ46が設置されている側の側縁を上方へ折り曲げて右側面部83を形成し、その右側面部83にメンテナンス用開口84を開設した。そして、ポンプ46を設置位置から移動させると、筐体2の右側から見た際、凍結防止ヒータ81及び取付ネジ82のネジ頭がメンテナンス用開口84内に露出するようにした。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、バーナを備えた燃焼室と、前記バーナの動作を制御するコントローラと、外部の風呂との間で湯水を循環させるためのポンプとを備えた給湯器であって、
前記筐体の下部前側に前記コントローラが、前記筐体の下部後側に前記ポンプが夫々設置されている一方、
前記筐体の底板における前記ポンプよりも左右方向で内側となる箇所に、外部の水道管が接続される水入口が設けられ、前記水入口の前記筐体内側に給水管が接続されているとともに、
前記給水管の接続部近傍で、且つ、側方から見ると前記ポンプにより隠れる位置に、前記給水管の凍結を防止するための凍結防止ヒータが取付ネジにより取り付けられており、
さらに、前記底板の前記ポンプが設置されている側の側縁が上方へ折り曲げられ、その折り曲げ部分に開口が開設されており、
前記ポンプを設置位置から移動させると、側方から見て前記開口内に前記取付ネジが露出することを特徴とする給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水管の水入口近傍に、給水管の凍結を防止するための凍結防止ヒータが設置されてなる給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器の底部には、外部の水道管と給水管とを接続する接続部、給湯栓と出湯管とを接続する接続部、外部のガス配管と内部ガス配管とを接続する接続部等の構成要素が設けられている。そして、それらの接続部周りに係るメンテナンス等を可能とすべく、給湯器の筐体を構成する側板や天板等が取り外し可能に構成されている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各種配管の位置等によっては、筐体の側板等を取り外しただけでは触ることのできない部品もある。そして、たとえば給水管の接続部に設置される凍結防止ヒータについて、筐体の側板等を取り外しただけでは触ることができないとなると、外部の水道管を止めた上で水入口と筐体内部の給水管との接続を解除しなければならない等、大がかりな作業が必要となるため、凍結防止ヒータの交換等のメンテナンス作業が非常に煩わしいという問題がある。特に、色々な部材や部品が前後に重なるように設置される所謂スリム型の給湯器にあっては、給湯器の下部において部材や部品が密集しやすく、上述したような問題が一層顕著になる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、所謂スリム型の給湯器であっても、給水管の水入口への接続部近傍に設置される凍結防止ヒータについてのメンテナンス作業が容易な給湯器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、筐体内に、バーナを備えた燃焼室と、バーナの動作を制御するコントローラと、外部の風呂との間で湯水を循環させるためのポンプとを備えた給湯器であって、筐体の下部前側にコントローラが、筐体の下部後側にポンプが夫々設置されている一方、筐体の底板におけるポンプよりも左右方向で内側となる箇所に、外部の水道管が接続される水入口が設けられ、水入口の筐体内側に給水管が接続されているとともに、給水管の接続部近傍で、且つ、側方から見るとポンプにより隠れる位置に、前記給水管の凍結を防止するための凍結防止ヒータが取付ネジにより取り付けられており、さらに、底板のポンプが設置されている側の側縁が上方へ折り曲げられ、その折り曲げ部分に開口が開設されており、ポンプを設置位置から移動させると、側方から見て開口内に取付ネジが露出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体の下部前側にコントローラが、筐体の下部後側にポンプが夫々設置されている。また、筐体の底板におけるポンプよりも左右方向で内側となる箇所に、外部の水道管が接続される水入口が設けられ、水入口の筐体内側に給水管が接続されている。さらに、給水管の接続部近傍で、且つ、側方から見るとポンプにより隠れる位置に、給水管の凍結を防止するための凍結防止ヒータが取付ネジにより取り付けられている。加えて、底板のポンプが設置されている側の側縁が上方へ折り曲げられ、その折り曲げ部分に開口が開設されている。そして、ポンプを設置位置から移動させると、側方から見て開口内に取付ネジが露出するようになっている。したがって、筐体の下部前側にコントローラが、筐体の下部後側にポンプが夫々設置されるような所謂スリム型の給湯器であるにもかかわらず、給水管の水入口への接続部近傍に設置される凍結防止ヒータについて、ポンプを設置位置から移動させるだけで、凍結防止ヒータの取付ネジを開口内に露出させることができる。すなわち、外部の水道管を止めた上で水入口と給水管との接続を解除する等の大がかりな作業を要することなく、凍結防止ヒータを取り外して交換する等のメンテナンス作業を行うことができ、従来よりも凍結防止ヒータのメンテナンスに係る作業を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】フロントカバーを取り外した状態の給湯器を正面側から示した説明図である。
【
図3】
図1中のA-A線断面を示した説明図である。
【
図4】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を左後方から見た斜視図である。
【
図5】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を右後方から見た斜視図である。
【
図6】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を右前方から見た斜視図である。
【
図7】側板及び背板が外された状態での筐体の後下部を右側から見た説明図である。
【
図8】
図7の状態にある筐体を右下方から見た説明図である。
【
図9】
図7の状態からポンプを取り外した状態での筐体の後下部を右側から見た説明図である。
【
図10】
図9の状態から更に底板を取り外した状態での筐体を右下方から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる給湯器について、図面にもとづき詳細に説明する。
(給湯器の全体構成の説明)
図1は、給湯器1を正面側から示した説明図である。
図2は、フロントカバー4を取り外した状態の給湯器1を正面側から示した説明図である。
図3は、
図1中のA-A線断面を示した説明図である。
図4は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を左後方から見た斜視図である。
図5は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を右後方から見た斜視図である。
図6は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を右前方から見た斜視図である。
図7は、側板7A、7B、及び背板8が外された状態での筐体2の後下部を右側から見た説明図である。
図8は、
図7の状態にある筐体2を右下方から見た説明図である。
図9は、
図7の状態からポンプ46を取り外した状態での筐体2の後下部を右側から見た説明図である。
図10は、
図9の状態から更に底板6を取り外した状態での筐体2を右下方から見た説明図である。
【0010】
給湯器1は、縦長箱状の筐体2を有する。筐体2は、箱本体3とフロントカバー4とを備えている。箱本体3は、前面を開口して前後に深底となっている。フロントカバー4は、箱本体3に前方からネジ止めされて前面を閉塞する。フロントカバー4の上部には、後述する上ケーシング19の前側に設けられた円筒状の排気口37が貫通している。
【0011】
箱本体3は、天板5、底板6、左右の側板7A、7B、及び背板8を備えている。底板6には、外部の水道管に接続するための水入口9と、外部の給湯栓に接続するための湯出口10と、外部の浴槽に接続するための風呂戻り口11と風呂往き口12とが設けられている。底板6の中央部には、外部のガス配管に接続するためのガス入口13と、後述する中和器55に接続される排水口14とが設けられている。背板8の上下には、壁面等へ設置するための取付板15、15が設けられている。
【0012】
箱本体3内の奥側には、燃焼室16が設けられている。燃焼室16は、上下方向に連通する下ケーシング17と中ケーシング18と上ケーシング19とを備えている。
下ケーシング17には、複数のバーナユニット20、20・・が収容されている。各バーナユニット20は、前後方向に延びる扁平なバーナ21を左右方向に複数並設してなる。バーナ21の数は、バーナユニット20毎に異なっている。下ケーシング17の下面には、
図4に示すように、燃焼ファン22が連結されている。燃焼ファン22は、後面側に設けたファンモータ23により、前後方向を軸として回転する。燃焼ファン22は、バーナユニット20に燃焼用空気を供給する。下ケーシング17の前側には、ガス分配ユニット25が設けられている。ガス分配ユニット25は、複数の電磁弁を備えて、各電磁弁の開閉により燃焼させるバーナユニット20を切替可能となっている。バーナユニット20の上流端には、元弁及び比例弁を備えたガス配管26が接続されている。ガス配管26は、ガス入口13に接続されている。
【0013】
中ケーシング18には、給湯一次熱交換器27及び風呂熱交換器28が収容されている。給湯一次熱交換器27は、左右方向に所定間隔をおいて配設される複数のフィン29、29・・と、各フィン29を蛇行状に上下二段で貫通する給湯側伝熱管30とを備えている。風呂熱交換器28は、各フィン29と、上下段の給湯側伝熱管30の間で各フィン29を蛇行状に貫通する風呂側伝熱管31とを備えている。すなわち、給湯器1は、1つの中ケーシング18内に経路が異なる給湯一次熱交換器27と風呂熱交換器28とが併設されて共通のバーナユニット20によって加熱される1缶2水路型となっている。
【0014】
上ケーシング19には、給湯二次熱交換器32が収容されている。給湯二次熱交換器32は、蛇行状に形成される複数の吸熱管33、33・・を収容している。各吸熱管33は、
図4に示すように、両端が上ケーシング19の左側面へ前後に設けた入側ヘッダ34と出側ヘッダ35とに接続されて、入側端部同士と出側端部同士とが互いに連通している。上ケーシング19は、中ケーシング18と後部同士で連通している。上ケーシング19は、前下がり傾斜姿勢で支持されて、前側には、前後に扁平なドレン受け36が設けられている。ドレン受け36の前側に排気口37が前向きに連結されている。
【0015】
水入口9には、給水管40が接続されている。給水管40は、燃焼室16の左側で上方に引き回され、上ケーシング19の入側ヘッダ34に接続されている。
出側ヘッダ35には、中継管41が接続されている。中継管41は、
図5にも示すように、燃焼室16の左側から中ケーシング18の後方を通って中ケーシング18の右側へ回り込んでいる。そして、中継管41は、中ケーシング18の右側で前方へ引き回されて、給湯一次熱交換器27の給湯側伝熱管30の下段の上流端に接続されている。
【0016】
給湯側伝熱管30の上段の下流端には、出湯管42が接続されている。出湯管42は、
図6にも示すように、中ケーシング18の右側面から中ケーシング18の前方へ回り込み、中ケーシング18の前方を横切って中ケーシング18の左側へ移動する。そして、出湯管42は、
図4に示すように、中ケーシング18の左前方で下方向に屈曲し、下方へ直線状に引き回された後、湯出口10に接続されている。出湯管42の直線部43は、バイパス管44を介して給水管40に接続されている。
【0017】
風呂戻り口11には、風呂戻り管45が接続されている。風呂戻り管45は、
図4~6に示すように、ポンプ46を介して燃焼室16の右側を上方へ引き回される。そして、風呂戻り管45は、中ケーシング18の前方を横切って中ケーシング18の左側に回り込み、風呂熱交換器28の風呂側伝熱管31の上流端に接続される。風呂戻り管45は、落とし込み管47を介して出湯管42と接続されている。
風呂往き口12には、風呂往き管48が接続されている。風呂往き管48は、燃焼室16の右側を上方へ引き回された後、中ケーシング18の右側で風呂側伝熱管31の下流端に接続されている。
【0018】
燃焼室16の周囲には、樹脂シート50が巻回されている。樹脂シート50は、
図2及び
図3に示すように、下ケーシング17と中ケーシング18とに跨がって燃焼室16の周囲に巻回される帯状体である。樹脂シート50は、各配管の外側で左右の側板7A、7B、背板8の内面に沿って巻回されることで、燃焼室16と非接触となっている。
【0019】
樹脂シート50には、幅方向に往復して蛇行しながら長手方向に延びる連続状の導電パターン51が、長手方向の全長に亘って印刷されている。導電パターン51の両端は、後述する電装基板66へ電気的に接続されて、過熱防止装置を形成している。この過熱防止装置は、下ケーシング17又は中ケーシング18の異常過熱によってひび割れや穴あき等が生じて燃焼排気が噴出すると、樹脂シート50の溶融と共に導電パターン51が破断して抵抗値が急増又は無限大となることで、その抵抗値の変化を検知した電装基板66が燃料ガスの供給を停止してバーナユニット20を消火させるものである。
【0020】
燃焼室16の前側には、中和器55が配置されている。中和器55は、正面視が矩形状の箱体で、内部には図示しない中和剤が充填されている。中和器55の上面には、上ケーシング19の前側底面及びドレン受け36に接続されるドレン排出管56、56が接続されている。中和器55の下面には、排水口14と接続される排水管57が接続されている。
【0021】
中和器55の上部は、
図3に示すように、中ケーシング18及び上ケーシング19から下向きに固定されたブラケット金具58に、側面視L字状の取付金具59を介して固定されている。中和器55の下部は、ガス分配ユニット25の前側で下ケーシング17に固定されて左右方向に延びる固定バー60に固定されている。
中和器55の下方には、コントローラ65が配置されている。コントローラ65は、電装基板66と、収納ケース67と、カバー68とを含んでなる。
【0022】
(給湯器の動作説明)
給湯器1において、通常の給湯は以下の如くなされる。
湯出口10に接続された外部配管の給湯栓が開栓されて器具内に通水され、その通水を給水管40に設けた給湯水量センサで検知すると、コントローラ65は、燃焼ファン22を所定時間駆動させて、燃焼室16内に貯留している燃焼排気を排出させる(プリパージ)。その後、ガス配管26の元弁及びガス分配ユニット25の電磁弁を開弁させ、比例弁を所定開度で開弁させて、バーナユニット20へガスを供給すると共に、イグナイタを作動させてバーナユニット20に点火する。
【0023】
これにより、給水管40から供給される水は、給湯二次熱交換器32の吸熱管33を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換して潜熱を回収する。このとき発生したドレンは、ドレン排出管56を介して中和器55に回収され、中和剤で中和された後、排水管57から器具外部へ排出される。
そして、給湯二次熱交換器32を通過した湯水は、中継管41を介して給湯一次熱交換器32に流れ、給湯側伝熱管30を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換して顕熱を回収する。こうして加熱された湯は、出湯管42及び外部配管を通って給湯栓から出湯される。
【0024】
コントローラ65の電装基板66は、出湯管42に設けた出口温度サーミスタによって、給湯一次熱交換器27直後から出湯される湯の温度である出口温度を監視し、バイパス管44に設けた分配弁を駆動させて、出口温度が、給湯一次熱交換器27でのドレンの発生や過熱を防止できる温度範囲内に維持されるようにバイパス管44への流量(バイパス率)を制御する。
また、電装基板66は、出湯管42に設けた出湯温度サーミスタによって出湯温度を監視し、出湯温度が外部の給湯リモコン又は風呂リモコンによって指示された設定温度となるように、ガス分配ユニット25の各電磁弁の開閉制御と比例弁の開度調整とを行うと共に、燃焼ファン22の動作制御によって空気量を連続的に変化させる。
給湯栓を閉じると、給湯水量センサからの信号停止を確認した電装基板66は、元弁及びガス分配ユニット25の電磁弁を閉じてバーナユニット20を消火させ、所定時間燃焼ファン22を駆動させる(ポストパージ)。
【0025】
一方、給湯リモコン又は風呂リモコンの自動スイッチを押すと、電装基板66は、落とし込み管47に設けた落とし込み水電磁弁を開弁して給湯一次熱交換器27及び給湯二次熱交換器32に通水させてバーナユニット20を燃焼させる。出湯管42からの湯は、落とし込み管47及び風呂戻り管45を通って外部の浴槽に供給される。落とし込み管47に設けた風呂水量センサで検出した水量が設定水量に達すると、電装基板66は、落とし込み水電磁弁を閉じて通水を停止し、バーナユニット20を消火させる。
次に、電装基板66は、ポンプ46を作動させて、風呂熱交換器28と浴槽との間で湯を循環させる。このとき、電装基板66は、風呂戻り管45及び風呂往き管48に設けたサーミスタで循環する湯の温度を監視し、設定温度からの低下を確認すると、給湯時と同様にバーナユニット20を点火すると共に、燃焼ファン22によって燃焼用空気を供給する。よって、風呂熱交換器28と浴槽との間を循環する風呂循環水は、風呂側伝熱管31を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換されて設定温度まで加熱される。設定温度に達すると、電装基板66は、バーナユニット20の燃焼を停止させ、ポンプ46を停止させる。
【0026】
(凍結防止ヒータのメンテナンス構造の説明)
筐体2を構成する底板6において、水入口9は、最も後部における左右方向での中央部分に設けられている。また、底板6における水入口9よりも前側にガス入口13が設けられ、ガス入口13の更に前側に排水口14が設けられており、ガス入口13及び排水口14の前後方向での位置は底板6の略中央となっている。加えて、ガス入口13の左側に湯出口10が設けられている一方、ガス入口13の右側に風呂戻り口11が、排水口14の右側に風呂往き口12が夫々設けられている。このように各種口が底板6の中央から奥側に設けられている理由は、底板6の前部上にコントローラ65が設置されているためである。
【0027】
また、水入口9には、筐体2外側において図示しない外部の水道管が接続される一方、筐体2内側において給水管40が接続される。そして、その給水管40の接続部(水入口9の上側)には、給水管40の凍結を防止するための凍結防止ヒータ81が取り付けられているとともに、凍結防止ヒータ81を取り付けるための取付ネジ82が右側にネジ頭を向けた姿勢でネジ止めされている。
【0028】
さらに、底板6の右後ろ隅部上で、凍結防止ヒータ81及び取付ネジ82の右側となる箇所にはポンプ46が設置されている。したがって、凍結防止ヒータ81及び取付ネジ82は、
図7に示すように右側から見るとポンプ46の後ろに隠れるようになっている。さらにまた、凍結防止ヒータ81及び取付ネジ82の上側には、燃焼ファン22及びファンモータ23が設置されている。
【0029】
加えて、底板6の右側縁には、上方へ折り曲げられた右側面部83が設けられており、その右側面部83の後部には、前後方向へ長い長孔状のメンテナンス用開口84が開設されている。そして、ポンプ46を取り外す、若しくは、ポンプ46を後方及び上方へ所定量ずらす(たとえば、後方に3mm、上方に7mm程度ずらす)等して、ポンプ46を設置位置から移動させると、筐体2の右側から見た際、
図9に示すようにメンテナンス用開口84内に凍結防止ヒータ81及び取付ネジ82のネジ頭が露出するようになっている。なお、右側面部83及びメンテナンス用開口84は、筐体2の組み立てにおける右側の側板7Bの取り付けに伴い、側板7Bによって右側から被覆される。
【0030】
上述したような位置に取り付けられている凍結防止ヒータ81のメンテナンスについて説明すると、まず側板7Bを取り外して、右側面部83及びメンテナンス用開口84を露出させる。それから、ポンプ46を設置位置からずらす等して移動させて、メンテナンス用開口84内に凍結防止ヒータ81及び取付ネジ82のネジ頭を露出させる。最後に、メンテナンス用開口84から工具を差し込んで取付ネジ82を取り外し、凍結防止ヒータ81を取り外せば、凍結防止ヒータ81を交換する等、凍結防止ヒータ81についてのメンテナンスを行うことができる。すなわち、凍結防止ヒータ81のメンテナンスに際して、水道管の通水を停止させたり、水入口9と給水管40との接続を解除したりという煩雑な作業を必要としない。また、コントローラ65を取り外したり、燃焼ファン22を取り外したりという煩雑な作業も必要としない。
【0031】
(凍結防止ヒータのメンテナンス構造に係る発明の効果)
以上のような構成を有する給湯器1によれば、筐体内において中和器55の後方に燃焼室16が設置されているとともに、筐体2の下部前側にコントローラ65が、筐体2の下部後側にポンプ46及び燃焼ファン22が夫々設置されて、所謂スリム型の給湯器1とされている。そして、そのような給湯器1において、筐体2の底板6におけるポンプ46よりも左右方向で内側となる箇所に、外部の水道管が接続される水入口9が設けられ、水入口9の筐体2内側に給水管40が接続されている。さらに、給水管40の接続部近傍で、且つ、側方から見るとポンプ46により隠れる位置に、給水管40の凍結を防止するための凍結防止ヒータ81が取付ネジ82により取り付けられている。加えて、底板6のポンプ46が設置されている側の側縁が上方へ折り曲げられて右側面部83が形成され、その右側面部83にメンテナンス用開口84が開設されている。そして、ポンプ46を設置位置から移動させると、筐体2の右側から見た際、メンテナンス用開口84内に凍結防止ヒータ81及び取付ネジ82のネジ頭が露出するようになっている。したがって、所謂スリム型の給湯器1であるにもかかわらず、給水管40の水入口9への接続部近傍に設置される凍結防止ヒータ81について、ポンプ46を設置位置からずらす等して移動させるだけで、凍結防止ヒータ81の取付ネジ82をメンテナンス用開口84内に露出させることができる。すなわち、外部の水道管を止めた上で水入口9と給水管40との接続を解除する等の大がかりな作業を要することなく、凍結防止ヒータ81を取り外してメンテナンスすることができ、従来よりも凍結防止ヒータ81のメンテナンスに係る作業を簡易化することができる。
【0032】
なお、本発明に係る給湯器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、給湯器の全体的な構成は勿論、凍結防止ヒータのメンテナンス構造に係る構成についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0033】
たとえば、上記実施形態では、筐体の右後ろ隅部上にポンプを設置しているが、筐体の左後ろ隅部上にポンプを設置してもよく、その際、左から見てポンプに隠れる位置に凍結防止ヒータを取付ネジによって取り付けるとともに、底板の左縁を上方へ折り曲げ、その折り曲げ部分に取付ネジを露出させる開口を設けるとすることも可能である。
また、水入口以外の口(湯出口、風呂戻り口、風呂往き口)について、設置位置は上記実施形態の位置に何ら限定されることはなく、底板のどの部分に設置するかについて適宜設計変更することができる。
さらに、上記実施形態では、側板の取り付けに伴い、右側面部及びメンテナンス用開口が側板に覆われるように構成しているが、側板の取り付け後、ひいては筐体の組み立て状態において、右側面部及びメンテナンス用開口が露出したままとなるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・給湯器、2・・筐体、6・・底板、9・・水入口、16・・燃焼室、20・・バーナユニット、40・・給水管、46・・ポンプ、65・・コントローラ、81・・凍結防止ヒータ、82・・取付ネジ、83・・右側面部、84・・メンテナンス用開口。