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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044819
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】浴室床
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20240326BHJP
   E03C 1/20 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
E04F15/00 F
E03C1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150577
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 里江
(72)【発明者】
【氏名】東 麻美子
【テーマコード(参考)】
2D061
2E220
【Fターム(参考)】
2D061CA02
2D061CB00
2D061CC05
2E220AA33
2E220AA45
2E220AB03
2E220BA01
2E220BB04
2E220BB14
2E220GA02X
2E220GA06X
2E220GA07X
2E220GB32X
(57)【要約】
【課題】デザイン性を向上可能な浴室床を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の凸部を含む浴室床の上面視の撮影画像を2次元フーリエ変換した画像を、変換画像とし、通過率が最大値となる周波数が2のn乗である第nバンドパスフィルタ(nは1~8)を変換画像に掛けた画像を第n帯域別変換画像とし、第n帯域別変換画像を逆フーリエ変換した画像を第n大きさ別柄画像とし、第n大きさ別柄画像の輝度値の標準偏差の常用対数を第n大きさ別柄標準偏差とし、第n大きさ別柄標準偏差が1~4番目に大きい第n大きさ別柄画像を算出するときに変換画像に掛けられた第nバンドパスフィルタの通過帯域に対応した長さ範囲を合わせた範囲を柄サイズ範囲とした場合に、凸サイズが柄サイズ範囲以上である凸部の数は、複数の凸部の総数の半分以上であることを特徴とする浴室床が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、
前記樹脂層の表面には、複数の凸部を含む凹凸が設けられ、
前記複数の凸部は、
外周の全部が凹部に囲まれた第1凸部と、
外周の一部が1つの凹部に囲まれ、外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかに囲まれた第2凸部と、
外周の一部が複数の凹部に囲まれ、外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかに囲まれた第3凸部と、
の少なくともいずれかを有し、
前記浴室床の上面視における200mm四方の撮影領域を撮影した65.02dpiとなる解像度の撮影画像を、グレースケールに変換して2次元フーリエ変換した画像を、変換画像とし、
通過率が最大値となる周波数が2のn乗である8つの第nバンドパスフィルタ(nは1から8までの整数)のそれぞれを、前記変換画像に掛けた画像を、8つの第n帯域別変換画像とし、
8つの前記第n帯域別変換画像のそれぞれを逆フーリエ変換した画像を、8つの第n大きさ別柄画像とし、
8つの前記第n大きさ別柄画像のそれぞれの輝度値の標準偏差の常用対数を、8つの第n大きさ別柄標準偏差とし、
前記第nバンドパスフィルタの通過帯域に対応した長さの範囲を、第nバンドパスフィルタの長さ範囲とし、
8つの前記第n大きさ別柄標準偏差のうち1~4番目に大きい標準偏差を有する第n大きさ別柄画像のそれぞれを算出するときに前記変換画像に掛けられた前記第nバンドパスフィルタの4つの前記長さ範囲を合わせた範囲を、前記撮影領域における柄サイズ範囲とし、
上面視において前記第1凸部の最大長さを長辺とし前記第1凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを前記第1凸部の第1凸サイズとし、上面視において前記第2凸部の最大長さを長辺とし前記第2凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを前記第2凸部の第2凸サイズとし、上面視において前記第3凸部を囲み向かい合う2つの凹部の間の最小距離を前記第3凸部の第3凸サイズとした場合に、
前記浴室床の上面視において互いに重ならないように配置されたN個(Nは9以上の整数)の前記撮影領域のうち少なくとも1つの前記撮影領域内において、前記第1凸サイズが前記柄サイズ範囲以上である第1凸部の数と、前記第2凸サイズが前記柄サイズ範囲以上である第2凸部の数と、前記第3凸サイズが前記柄サイズ範囲以上である第3凸部の数と、の合計値は、前記撮影領域内の前記複数の凸部の総数の半分以上であることを特徴とする浴室床。
【請求項2】
前記浴室床の上面視において互いに重ならないように配置されたN個(Nは9以上の整数)の前記撮影領域のうち少なくとも1つの前記撮影領域内において、前記第1凸サイズが前記柄サイズ範囲に含まれる第1凸部の数と、前記第2凸サイズが前記柄サイズ範囲に含まれる第2凸部の数と、前記第3凸サイズが前記柄サイズ範囲に含まれる第3凸部の数と、の合計値は、前記撮影領域内の前記複数の凸部の総数の半分以上であることを特徴とする、請求項1に記載の浴室床。
【請求項3】
前記複数の凸部は、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、
前記隣接凸部の上面視における形状は、前記任意の凸部の上面視における形状と合同でないことを特徴とする請求項1または2に記載の浴室床。
【請求項4】
前記撮影画像を8ビットにグレースケール変換したグレースケール画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値において、前記輝度値が0以上25以下の領域を第1領域、前記輝度値が26以上230以下の領域を第2領域、前記輝度値が231以上255以下の領域を第3領域とした場合に、
前記浴室床の上面視において互いに重ならないように配置されたN個(Nは9以上の整数)の前記撮影領域のうち少なくとも1つの前記撮影領域内において、前記第2領域の画素数は、前記第1領域の画素数、前記第2領域の画素数、及び前記第3領域の画素数の合計値の50%を超え、
前記N個それぞれの画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値から算出される標準偏差を一次標準偏差とし、N個の前記一次標準偏差の標準偏差を二次標準偏差とした場合に、前記二次標準偏差が1以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の浴室床。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴室床に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室床において、表面に排水のための凹凸を設けることが知られている(例えば、特許文献1)。一方で、デザイン性を向上させるために、浴室床の表面に柄を設けることがある。例えば、木目や石目などの自然テクスチャの柄が検討されている。しかし、排水のための凹凸のサイズによっては、凹凸が目立つこととなり、柄のデザイン性が損なわれる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-157527号公報
【特許文献2】特開2006-233520号公報
【特許文献3】特許第2899182号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、デザイン性を向上可能な浴室床を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、前記樹脂層の表面には、複数の凸部を含む凹凸が設けられ、前記複数の凸部は、外周の全部が凹部に囲まれた第1凸部と、外周の一部が1つの凹部に囲まれ、外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかに囲まれた第2凸部と、外周の一部が複数の凹部に囲まれ、外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかに囲まれた第3凸部と、の少なくともいずれかを有し、前記浴室床の上面視における200mm四方の撮影領域を撮影した65.02dpiとなる解像度の撮影画像を、グレースケールに変換して2次元フーリエ変換した画像を、変換画像とし、通過率が最大値となる周波数が2のn乗である8つの第nバンドパスフィルタ(nは1から8までの整数)のそれぞれを、前記変換画像に掛けた画像を、8つの第n帯域別変換画像とし、8つの前記第n帯域別変換画像のそれぞれを逆フーリエ変換した画像を、8つの第n大きさ別柄画像とし、8つの前記第n大きさ別柄画像のそれぞれの輝度値の標準偏差の常用対数を、8つの第n大きさ別柄標準偏差とし、前記第nバンドパスフィルタの通過帯域に対応した長さの範囲を、第nバンドパスフィルタの長さ範囲とし、8つの前記第n大きさ別柄標準偏差のうち1~4番目に大きい標準偏差を有する第n大きさ別柄画像のそれぞれを算出するときに前記変換画像に掛けられた前記第nバンドパスフィルタの4つの前記長さ範囲を合わせた範囲を、前記撮影領域における柄サイズ範囲とし、上面視において前記第1凸部の最大長さを長辺とし前記第1凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを前記第1凸部の第1凸サイズとし、上面視において前記第2凸部の最大長さを長辺とし前記第2凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを前記第2凸部の第2凸サイズとし、上面視において前記第3凸部を囲み向かい合う2つの凹部の間の最小距離を前記第3凸部の第3凸サイズとした場合に、前記浴室床の上面視において互いに重ならないように配置されたN個(Nは9以上の整数)の前記撮影領域のうち少なくとも1つの前記撮影領域内において、前記第1凸サイズが前記柄サイズ範囲以上である第1凸部の数と、前記第2凸サイズが前記柄サイズ範囲以上である第2凸部の数と、前記第3凸サイズが前記柄サイズ範囲以上である第3凸部の数と、の合計値は、前記撮影領域内の前記複数の凸部の総数の半分以上であることを特徴とする浴室床である。
【0006】
第n大きさ別柄画像において、第n大きさ別柄標準偏差が大きいことは、その画像内において模様が濃いことに対応する。そのため、撮影領域における柄サイズ範囲は、その撮影領域内における濃い模様のサイズ、つまり使用者から視認されやすい模様の大きさを示す。凸サイズが柄サイズ範囲に比べて小さい場合には、柄が薄い部分に凹凸の陰影が多く見えるため、凹凸が使用者から視認されやすくなる。これに対し、凸サイズが柄サイズ範囲に含まれる、または、柄サイズ範囲よりも大きい場合には、凹凸が柄と重なりやすく、凹凸が使用者から視認されにくくなる。この浴室床によれば、撮影領域内の半数以上の凸部において、凸サイズを柄サイズ範囲以上とすることで、凹凸が使用者から視認されにくくなり、デザイン性を向上させることができる。例えば、浴室床において、凹凸による排水性と、デザイン性と、を両立させることができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記浴室床の上面視において互いに重ならないように配置されたN個(Nは9以上の整数)の前記撮影領域のうち少なくとも1つの前記撮影領域内において、前記第1凸サイズが前記柄サイズ範囲に含まれる第1凸部の数と、前記第2凸サイズが前記柄サイズ範囲に含まれる第2凸部の数と、前記第3凸サイズが前記柄サイズ範囲に含まれる第3凸部の数と、の合計値は、前記撮影領域内の前記複数の凸部の総数の半分以上であることを特徴とする浴室床である。
【0008】
この浴室床によれば、撮影領域内の凸部の半数以上において、凸サイズを柄サイズ範囲と同じとすることで、凹凸が柄に紛れ、凹凸と柄とが区別されにくくなる。すなわち、凹凸を柄で隠し、より目立ちにくくすることができる。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記複数の凸部は、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、前記隣接凸部の上面視における形状は、前記任意の凸部の上面視における形状と合同でないことを特徴とする浴室床である。
【0010】
凹凸の陰影は凹凸の形状によって決まるため、凹凸の形状が規則的であれば、凹凸の陰影も規則的となる。この浴室床によれば、隣接凸部の上面視における形状を任意の凸部の上面視における形状と非合同とすることで、凹凸の陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸による排水性を持たせながら、凹凸をより目立ちにくくすることができる。
【0011】
第4の発明は、第1または第2の発明において、前記撮影画像を8ビットにグレースケール変換したグレースケール画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値において、前記輝度値が0以上25以下の領域を第1領域、前記輝度値が26以上230以下の領域を第2領域、前記輝度値が231以上255以下の領域を第3領域とした場合に、前記浴室床の上面視において互いに重ならないように配置されたN個(Nは9以上の整数)の前記撮影領域のうち少なくとも1つの前記撮影領域内において、前記第2領域の画素数は、前記第1領域の画素数、前記第2領域の画素数、及び前記第3領域の画素数の合計値の50%を超え、前記N個それぞれの画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値から算出される標準偏差を一次標準偏差とし、N個の前記一次標準偏差の標準偏差を二次標準偏差とした場合に、前記二次標準偏差が1以下であることを特徴とする浴室床である。
【0012】
凹凸によってできる陰影にはグラデーションがかかるため、凹凸の陰影の輝度値のヒストグラムでは、中間色の割合が高くなりやすい。この浴室床によれば、中間色の第2領域の画素数が全体の画素数(黒寄りの第1領域の画素数、中間色の第2領域の画素数、及び白寄りの第3領域の画素数の合計値)の50%を超えるような、中間色の割合が高い柄を採用することで、柄の濃淡の特徴を凹凸の陰影の濃淡の特徴に近づけることができる。これにより、凹凸の陰影を柄と見せかけることができ、凹凸を目立ちにくくすることができる。また、十分な排水性を得るためには、樹脂層の全面に偏りなく凹凸を形成することが好ましい。この浴室床によれば、N個の撮影領域に対応する輝度値の標準偏差(一次標準偏差)の標準偏差(二次標準偏差)を1以下とすることで、柄の濃淡を樹脂層の全面でより均一にすることができる。これにより、樹脂層の全面に偏りなく形成された凹凸に対して濃淡の偏りが抑制された柄を重ねることができ、凹凸による排水性を持たせながら、樹脂層の全面で凹凸を目立ちにくくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の態様によれば、デザイン性を向上可能な浴室床が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る浴室床を備えた浴室ユニットを表す斜視図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る浴室床の一部を表す平面図及び断面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る浴室床の一部を表す拡大断面図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、輝度値の測定条件を表す説明図である。
図5】柄サイズ範囲の算出を表す説明図である。
図6】バンドパスフィルタを例示するグラフ図である。
図7】柄サイズ範囲を説明する模式的グラフ図である。
図8図8(a)~図8(g)は、凸サイズを表す説明図である。
図9図9(a)~図9(d)は、柄サイズ範囲と凸サイズとの関係を表す模式的グラフ図である。
図10図10(a)~図10(f)は、柄サイズ範囲と凸サイズとの関係の別の柄サイズ例を表す模式的グラフ図である。
図11図11(a)~図11(f)は、柄サイズ範囲と凸サイズとの関係の別の例を表す模式的グラフ図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、実施形態に係る樹脂層の一例を表す平面図及びこの樹脂層における輝度値の分布を表すヒストグラムである。
図13図13(a)及び図13(b)は、参考例に係る樹脂層の一例を表す平面図及びこの樹脂層における輝度値の分布を表すヒストグラムである。
図14図14(a)~図14(c)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図15図15(a)及び図15(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図16図16(a)及び図16(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図17図17(a)及び図17(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図18図18(a)及び図18(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0016】
図1は、実施形態に係る浴室床を備えた浴室ユニットを表す斜視図である。
図1に表したように、実施形態に係る浴室ユニット500は、浴室床100と、浴槽200と、壁パネル300a~300fと、照明装置400を備える。
【0017】
浴槽200は、設置面(例えば、建物の床)Sの上に、支持脚210を介して設置されている。支持脚210は、浴槽200の底部の裏面における四隅近傍に設けられている。支持脚210の先端側(下端側)にはボルト部が設けられ、そのボルト部を回転させることで支持脚210の高さが調整可能となっている。
【0018】
浴室床100は、設置面Sの上に、支持脚110を介して設置されている。浴室床100は、浴槽200の横に設置されている。支持脚110は、浴室床100の底部の裏面に設けられている。支持脚110の先端側(下端側)にはボルト部が設けられ、そのボルト部を回転させることで支持脚110の高さが調整可能となっている。
【0019】
浴室床100の表面100aは、浴室外部に水を漏出させない防水性を有する。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加温されたお湯も含むものとする。
【0020】
浴室床100の裏側(下方側)において、浴槽200との境界部近傍には排水配管220が設けられている。浴室床100において、浴槽200との境界部近傍には、排水配管220に連通する排水口100hが形成されている。排水口100hは、着脱自在の蓋で塞がれていてもよい。排水口100hが設けられた部分は下方に窪んでおり、浴室床100の表面100aには、排水口100hに向けて下向き傾斜した排水勾配が付けられている。また、浴槽200の底部に設けられた図示しない排水口も、排水配管220に接続されている。
【0021】
図1において2点鎖線で表すように、浴槽200のリムの上には壁パネル300a~300cが設置されている。また、浴室床100の周縁部の上には、壁パネル300d~300fが設置されている。また、壁パネル300fには図示しないドア取付枠を介して浴室ドアが取り付けられる。
【0022】
浴槽200と浴室床100との境界には、浴槽200における浴室床100側の側面を覆い隠すバスエプロン230が設けられている。なお、浴槽200の構造によっては、バスエプロン230を設けなくてよいものもある。
【0023】
また、バスエプロン230の長手方向の一端側と、壁パネル300dとの間には小パネル240が設けられている。また、バスエプロン230の長手方向の他端側と、壁パネル300fとの間には小パネル250が設けられている。小パネル240、250は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0024】
本願明細書では、壁パネル300fから壁パネル300dに向かう方向を「前方」、壁パネル300dから壁パネル300fに向かう方向を「後方」、壁パネル300eから壁パネル300bに向かう方向を「左側方」、壁パネル300bから壁パネル300eに向かう方向を「右側方」とする。
【0025】
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る浴室床の一部を表す平面図及び断面図である。
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る浴室床の一部を表す拡大断面図である。
【0026】
図2(a)は、図1に示した領域Aの拡大図である。
図2(b)は、図2(a)に示したB1-B2線による断面図である。
図3(a)は、図2(b)に示した領域Cを模式的に表した拡大図である。
図3(b)は、図2(b)に示した領域Dの拡大図である。
図2(a)及び図2(b)に表したように、実施形態に係る浴室床100は、樹脂層10と、クッション層20と、を備えている。
【0027】
樹脂層10の表面10aには、凹凸10bが設けられている。また、樹脂層10には、柄が設けられている。「柄」とは、2色以上の色で表される模様である。つまり、樹脂層10には、色の異なる複数の部分が存在する。模様とは、色相や明度、彩度の濃淡、様々な形状や図形の様々な長さや大きさでつくられる。柄は、例えば、非幾何学的な模様である。樹脂層10は、樹脂を含む。
【0028】
この例では、樹脂層10は、本体部11と、柄層12と、を有する。本体部11の表面11aには、凹凸11bが設けられている。柄層12は、本体部11の凹凸11bに沿って、本体部11の上に設けられている。つまり、柄層12の表面12aには、本体部11の凹凸11bに沿った凹凸12bが設けられている。この例では、柄層12の凹凸12bが、樹脂層10の凹凸10bに相当する。
【0029】
柄層12は、柄を有する。つまり、この例では、樹脂層10に凹凸10bを付与する本体部11と、樹脂層10に柄を付与する柄層12と、が別々に設けられている。柄層12は、本体部11に貼り付けられることで形成されてもよいし、本体部11にインクジェット印刷などにより印刷されることで形成されてもよい。柄層12は、単層の構造であってもよいし、複数の層が積層された構造であってもよい。複数の層が積層された構造の場合、各層の柄は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、複数の層が積層された構造の場合、各層の形成方法は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、フィルムを貼り付けることで形成された層と、インクジェット印刷により形成された層と、が積層されていてもよい。
【0030】
また、柄層12は、本体部11の上方または下方に設けられる。この例では、柄層12は、本体部11の上方に設けられている。本体部11が光透過性を有する場合には、柄層12は、本体部11の下方に設けられていてもよい。この場合、本体部11の表面11aが、樹脂層10の表面10aに相当する。
【0031】
樹脂層10の凹凸10bは、1又は複数の凹部50と、複数の凸部60と、を有する。凹部50は、下方に窪んでおり、排水口100hに連通している。凹部50は、上下方向に直交する平面方向において分岐及び合流することで、凹部50以外の部分である凸部60を形成している。つまり、上面視において、凸部60の外周の少なくとも一部は、凹部50により囲まれている。言い換えれば、凹部50は、互いに隣り合う2つの凸部60の間に位置している。凸部60の外周は、それぞれ、凹部50、浴室の壁(300d~300f)、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれている。凹部50の幅は、例えば、0.5mm以上2.5mm以下である。凸部60の形状や配置などについては、後述する。柄層12は、凹部50及び凸部60の上方または下方に設けられている。
【0032】
クッション層20は、樹脂層10の下に設けられている。クッション層20は、弾性変形可能である。クッション層20は、浴室床100にクッション性を付与する。クッション層20は、例えば、発泡性樹脂を含む。
【0033】
クッション層20を設けることで、浴室床100のクッション性を向上させることができる。これにより、浴室床100に物品を落とした際に物品が破損することを抑制できる。クッション層20は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0034】
浴室床100は、クッション層20の下に設けられる基材層や、基材層の下に設けられる金属製のフレームなどをさらに備えていてもよい。
【0035】
図3(a)に表したように、凹部50は、基準面RPよりも下方に位置する部分である。凸部60は、基準面RPよりも上方に位置する部分である。凹部50は、例えば、底部51と、第1湾曲部52と、を有する。底部51は、凹部50の最下部に位置する。第1湾曲部52は、底部51と凸部60との間に位置する。第1湾曲部52は、底部51から凸部60に向かう湾曲した傾斜面を構成する。第1湾曲部52の曲率半径の中心C1は、凹部50側に位置する。すなわち、第1湾曲部52は、断面視において下に凸となるように湾曲している。凸部60は、例えば、頂部61と、第2湾曲部62と、を有する。頂部61は、凸部60の最上部に位置する。第2湾曲部62は、頂部61と第1湾曲部52との間に位置する。第2湾曲部62は、頂部61から第1湾曲部52(凹部50)に向かう湾曲した傾斜面を構成する。第2湾曲部62の曲率半径の中心C2は、凸部60側に位置する。すなわち、第2湾曲部62は、断面視において上に凸となるように湾曲している。基準面RPは、底部51と頂部61との間の上下方向の中央に位置する。つまり、底部51と基準面RPとの間の距離は、頂部61と基準面RPとの間の距離と等しい。
【0036】
第1湾曲部52は、断面視において、曲率半径r1で湾曲している。第2湾曲部62は、断面視において、曲率半径r2で湾曲している。曲率半径r2は、曲率半径r1以上であることが好ましい。曲率半径r2は、曲率半径r1よりも大きいことがより好ましい。曲率半径r1は、例えば、0.5mm以上15mm以下である。曲率半径r2は、例えば、10mm以上25mm以下である。傾斜角度θは、例えば、50度以下であり、好ましくは45度以下であり、より好ましくは30度以下であり、さらに好ましくは25度以下である。このような角度であれば、より凹凸10bの陰影を目立たなくさせることができる。なお、凹凸10bの陰影とは、例えば、浴室の照明装置400等からの光が浴室床100に照射されることで、浴室床100の凹凸10bによって生じる影で暗くなった部分である。
【0037】
凹凸10bに照明が当たることで第2湾曲部62にはハイライトができ、凹凸10bのハイライトのグラデーション幅は、凸部60の第2湾曲部62の形状によって決まる。すなわち、第2湾曲部62の曲率半径r2が小さい場合には、ハイライトのグラデーション幅は小さくなり、ハイライトがはっきりする。一方で、浴室床100の柄として人気の高い木目や石目などの自然テクスチャの柄はマットな質感が多いため、ハイライトがはっきりした凹凸10bに自然テクスチャの柄を合わせた場合には、光沢感があるように見え、自然テクスチャの柄のリアリティが損なわれてしまうおそれがある。そこで、第2湾曲部62の曲率半径r2を第1湾曲部52の曲率半径r1以上にすることで、凹凸10bによる排水性を持たせながら、ハイライトのグラデーション幅をできるだけ大きくし、凹凸10bのハイライトを目立ちにくくすることで自然テクスチャの柄のリアリティを維持することができる。
【0038】
この例では、第1湾曲部52と第2湾曲部62との間に、断面視において直線状に延びる傾斜面55が設けられている。傾斜面55は、必要に応じて設けられ、省略可能である。つまり、第1湾曲部52及び第2湾曲部62は、連続していてもよい。
【0039】
図3(b)に表したように、樹脂層10の上には、コーティング層30が設けられている。コーティング層30は、例えば、透明な微細粒子31と、親水層33と、を有する。透明な微細粒子31は、例えば、アクリル粒子である。透明な微細粒子31の粒子径は、例えば、5μm以上200μm以下である。親水層33は、柄層12の上に設けられている。親水層33は、例えば、スルホン酸を含む。透明な微細粒子31は、親水層33の内部に設けられている。透明な微細粒子31は、浴室床100の表面100aに微細な凹凸を付与する。
【0040】
透明な微細粒子31を含むコーティング層30を設けることで、柄の質感をマットにし、より柄のリアリティを高めることができる。さらに、排水性を持たせながら、使用者が浴室を使用する際の滑り止めの機能も持たせることができる。コーティング層30は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0041】
本願発明者は、凹凸10bを見えにくくするために、上面視における凹凸10bの大きさ(凸サイズ)と、柄のうち相対的に濃い模様の大きさと、の関係に着目した。相対的に濃い模様の大きさは、以下に説明する柄サイズ範囲SPに対応する。柄サイズ範囲SPを算出する際には、浴室床100(樹脂層10)の画像の輝度値を測定する。
【0042】
図4(a)及び図4(b)は、輝度値の測定条件を表す説明図である。
目から取り込んだ情報は、脳内で二次元の情報として扱われると考えられている。人は、三次元の現実にある柄の様相や凹凸を、柄の濃淡や大きさ、凹凸陰影の濃淡や大きさが反映された画像の輝度値等で認識していると考えられている。
【0043】
図4(a)に表したように、浴室床100の一部に設定した撮影領域を上方から撮影する。撮影した画像の輝度値に基づいて、その撮影領域における柄サイズ範囲SPを算出する。撮影領域は、例えば図4(a)に表した複数の撮影領域(第1~第17撮影領域MR1~MR17)のいずれか1つとすることができる。複数の撮影領域は、上面視において互いに重ならないように配置された200mm四方のN個(例えばNは9以上17以下の整数)の領域である。
【0044】
第1撮影領域MR1は、樹脂層10の前後方向及び左右方向の中心を含む。第2撮影領域MR2、第3撮影領域MR3、第4撮影領域MR4、第5撮影領域MR5、第6撮影領域MR6、第7撮影領域MR7、第8撮影領域MR8、及び第9撮影領域MR9は、それぞれ、第1撮影領域MR1の周りにおいて、第1撮影領域MR1と隣り合うように配置されている。以下、第1~第9撮影領域MR1~MR9を中心測定部CMとする。
【0045】
第10撮影領域MR10は、樹脂層10の後端と中心測定部CMの後端との間の前後方向の中心を含み、前後方向において第1撮影領域MR1と重なる位置に配置されている。第11撮影領域MR11は、樹脂層10の前端と中心測定部CMの前端との間の前後方向の中心を含み、前後方向において第1撮影領域MR1と重なる位置に配置されている。
【0046】
第12撮影領域MR12は、樹脂層10の左側端と中心測定部CMの左側端との間の左右方向の中心を含み、左右方向において第1撮影領域MR1と重なる位置に配置されている。第13撮影領域MR13は、樹脂層10の右側端と中心測定部CMの右側端との間の左右方向の中心を含み、左右方向において第1撮影領域MR1と重なる位置に配置されている。
【0047】
第14撮影領域MR14は、左右方向において第10撮影領域MR10と重なり、前後方向において第12撮影領域MR12と重なる位置に配置されている。第15撮影領域MR15は、左右方向において第11撮影領域MR11と重なり、前後方向において第12撮影領域MR12と重なる位置に配置されている。第16撮影領域MR16は、左右方向において第10撮影領域MR10と重なり、前後方向において第13撮影領域MR13と重なる位置に配置されている。第17撮影領域MR17は、左右方向において第11撮影領域MR11と重なり、前後方向において第13撮影領域MR13と重なる位置に配置されている。
【0048】
撮影領域の数は、例えば、浴室床の大きさに応じて変更可能である。実施形態においては、例えば第1~第9撮影領域MR1~MR9の9箇所の撮影領域(中心測定部CM)の少なくともいずれかを測定対象としてもよい。浴室床が小さく撮影領域が確保できない場合には、第10~第17撮影領域MR10~MR17は、省略してもよい。
【0049】
図4(b)に表したように、各撮影領域では、樹脂層10の上に照明装置LDを載置し、照明装置LDの上に設けられたカメラCRで撮影し、撮影画像を取得する。撮影条件は、以下の通りである。
(照明装置LD)
ドーム型照明装置:CCS社製HPD2-400SW
照明強度:最大(Light intensity:255)
(カメラCR)
シャッタースピード:1/30秒
F値:18
ISO:200
ホワイトバランス:反射率18%グレーカードで調整
カメラ位置:照明装置LDの上端(高さ205mm)より照明装置LD内をのぞき込
むようにして撮影。
【0050】
図5は、柄サイズ範囲の算出を表す説明図である。
図5に表したように、浴室床の上面視における200mm四方の撮影領域(第1~第17撮影領域MR1~MR17のいずれか)を撮影した撮影画像CIを取得する。撮影画像CIは、縦512pxで横512pxの画像である。すなわち、撮影画像CIの解像度は、200mmが512pxとなる解像度65.02dpiである。撮影画像を撮影する際は、200mmが512pxとなる解像度以上の解像度で撮影し、ダウンサンプリングしてもよい。
【0051】
図5に表したように、得られた撮影画像CIから、変換画像TIを算出する。変換画像TIは、撮影画像CIをグレースケールに変換した画像に対して、2次元フーリエ変換を実行した画像である。なお、グレースケールへの変換方式は、特に限定されないが、例えば、NTSC係数による加重平均法を用いることができる。また、グレースケール変換された画像は、例えば画素の輝度値が0から255までの256階調で表される8ビット画像とすることができる。変換画像TIにおいては、中心からの距離が長いほど周波数が高いことを表し、輝度値が高いほど周波数スペクトルが大きいことを表す。横軸は、周波数成分の向きが画像の水平方向であることに対応し、縦軸は、周波数成分の向きが画像の垂直方向であることに対応する。
【0052】
周波数は、柄の模様が画像の一辺の長さ(すなわち200mm)あたりに繰り返される数(分割数:cycle/image)である。模様の周波数がfである場合、その模様の長さ(波長:λmm)は、λ=200/fと考えることができる。
【0053】
次に、図5に表したように、変換画像TIから、8つの第n帯域別変換画像TInを算出する。8つの第n帯域別変換画像TInは、変換画像TIに対して、8つの第nバンドパスフィルタFnのそれぞれをかけた画像である。すなわち、変換画像TIの画素値に、周波数に応じて第nバンドパスフィルタFnごとに定められた通過率を掛けた画像(第n帯域別変換画像TIn)を算出する。なお、nは、1から8までの整数である。
【0054】
具体的には、変換画像TIに第1バンドパスフィルタF1を掛けた第1帯域別変換画像TI1、変換画像TIに第2バンドパスフィルタF2を掛けた第2帯域別変換画像TI2、変換画像TIに第3バンドパスフィルタF3を掛けた第3帯域別変換画像TI3、変換画像TIに第4バンドパスフィルタF4を掛けた第4帯域別変換画像TI4、変換画像TIに第5バンドパスフィルタF5を掛けた第5帯域別変換画像TI5、変換画像TIに第6バンドパスフィルタF6を掛けた第6帯域別変換画像TI6、変換画像TIに第7バンドパスフィルタF7を掛けた第7帯域別変換画像TI7、及び、変換画像TIに第8バンドパスフィルタF8を掛けた第8帯域別変換画像TI8を算出する。
【0055】
次に、図5に表したように、8つの第n帯域別変換画像TInから、8つの第n大きさ別柄画像PInを算出する。第n大きさ別柄画像PInは、第n帯域別変換画像TInに対して、2次元逆フーリエ変換を実行し、実数部分のみを抽出した画像である。
【0056】
具体的には、第1帯域別変換画像TI1を逆フーリエ変換し、実数部分のみを抽出した第1大きさ別柄画像PI1、第2帯域別変換画像TI2を逆フーリエ変換し、実数部分のみを抽出した第2大きさ別柄画像PI2、第3帯域別変換画像TI3を逆フーリエ変換し、実数部分のみを抽出した第3大きさ別柄画像PI3、第4帯域別変換画像TI4を逆フーリエ変換し、実数部分のみを抽出した第4大きさ別柄画像PI4、第5帯域別変換画像TI5を逆フーリエ変換し、実数部分のみを抽出した第5大きさ別柄画像PI5、第6帯域別変換画像TI6を逆フーリエ変換し、実数部分のみを抽出した第6大きさ別柄画像PI6、第7帯域別変換画像TI7を逆フーリエ変換し、実数部分のみを抽出した第7大きさ別柄画像PI7、及び、第8帯域別変換画像TI8を逆フーリエ変換し、実数部分のみを抽出した第8大きさ別柄画像PI8を算出する。
【0057】
例えば、8つの第n大きさ別柄画像PInは、グレースケール変換した撮影画像CIを、柄の模様の長さごとに8つに分解した画像と考えることができる。例えば、第1大きさ別柄画像PI1は、8つに分類した模様の長さのうち、最も長い模様を表す画像である。例えば、第8大きさ別柄画像PI8は、8つに分類した模様の長さのうち、最も短い模様を表す画像である。
【0058】
次に、8つの各第n大きさ別柄画像PInの512×512個の輝度値のばらつき、すなわち輝度値の標準偏差の常用対数を算出し、8つの第n大きさ別柄標準偏差SDnとする。
【0059】
具体的には、第1大きさ別柄画像PI1に含まれる複数の画素の輝度値の標準偏差の常用対数を、第1大きさ別柄画像PI1の第1大きさ別柄標準偏差SD1とする。この例では第1大きさ別柄標準偏差SD1は、0.17である。
第2大きさ別柄画像PI2に含まれる複数の画素の輝度値の標準偏差の常用対数を、第2大きさ別柄画像PI2の第2大きさ別柄標準偏差SD2とする。この例では第2大きさ別柄標準偏差SD2は、0.69である。
第3大きさ別柄画像PI3に含まれる複数の画素の輝度値の標準偏差の常用対数を、第3大きさ別柄画像PI3の第3大きさ別柄標準偏差SD3とする。この例では第3大きさ別柄標準偏差SD3は、0.86である。
第4大きさ別柄画像PI4に含まれる複数の画素の輝度値の標準偏差の常用対数を、第4大きさ別柄画像PI4の第4大きさ別柄標準偏差SD4とする。この例では第4大きさ別柄標準偏差SD4は、0.90である。
第5大きさ別柄画像PI5に含まれる複数の画素の輝度値の標準偏差の常用対数を、第5大きさ別柄画像PI5の第5大きさ別柄標準偏差SD5とする。この例では第5大きさ別柄標準偏差SD5は、0.83である。
第6大きさ別柄画像PI6に含まれる複数の画素の輝度値の標準偏差の常用対数を、第6大きさ別柄画像PI6の第6大きさ別柄標準偏差SD6とする。この例では第6大きさ別柄標準偏差SD6は、0.70である。
第7大きさ別柄画像PI7に含まれる複数の画素の輝度値の標準偏差の常用対数を、第7大きさ別柄画像PI7の第7大きさ別柄標準偏差SD7とする。この例では第7大きさ別柄標準偏差SD7は、0.64である。
第8大きさ別柄画像PI8に含まれる複数の画素の輝度値の標準偏差の常用対数を、第8大きさ別柄画像PI8の第8大きさ別柄標準偏差SD8とする。この例では第8大きさ別柄標準偏差SD8は、0.57である。
【0060】
なお、第n大きさ別柄標準偏差SDnは、第n大きさ別柄画像PInのうちの凸部60の領域の画素の輝度値から算出する。すなわち、第n大きさ別柄画像PInから凸部60のみの領域(凸部60を含み凹部50を含まない領域)を切り出した凸領域画像を作成し、この凸領域画像から第n大きさ別柄標準偏差SDnを算出する。凸領域画像は、撮影領域の凹凸を3Dスキャナで計測することにより、求めることができる。例えば、撮影領域と同じ場所を三次元測定機(例えばKEYENCE社製VL-500)で計測し、床の形状情報を取得する。そのうち、凹凸の高低差の半分より低い領域、もしくは凹凸の高低差の半分と同じかそれより低い領域を凹部50のみの領域と定義し、凹凸の高低差の半分と同じかそれより高い領域、もしくは凹凸の高低差の半分より高い領域を凸部60のみの領域と定義する。凸領域画像は、凹部50のみの領域にある撮影画像の画素の輝度値は非数に変換し、凸部60のみの領域にある撮影画像の画素の輝度値はそのままにした画像である。凸領域画像の輝度値のばらつきすなわち標準偏差の常用対数を求めることで、第n大きさ別柄標準偏差SDnを算出することができる。
【0061】
図6は、バンドパスフィルタを例示するグラフ図である。
図6の横軸は周波数であり、縦軸は通過率を表す。第nバンドパスフィルタFnの通過率は、周波数が2のn乗のときに最大となる。例えば、第nバンドパスフィルタFnの通過帯域の中心は、2のn乗である。なお、各第nバンドパスフィルタFnにおいて、通過率の最大値は、100%である。
【0062】
具体的には、第1バンドパスフィルタF1の通過率は、周波数が2において最大となる。第2バンドパスフィルタF2の通過率は、周波数が4において最大となる。第3バンドパスフィルタF3の通過率は、周波数が8において最大となる。第4バンドパスフィルタF4の通過率は、周波数が16において最大となる。第5バンドパスフィルタF5の通過率は、周波数が32において最大となる。第6バンドパスフィルタF6の通過率は、周波数が64において最大となる。第7バンドパスフィルタF7の通過率は、周波数が128において最大となる。第8バンドパスフィルタF8の通過率は、周波数が256において最大となる。
【0063】
各第nバンドパスフィルタの周波数特性は、例えば中心が2のn乗のガウス関数である。これに限らず、各第nバンドパスフィルタの周波数特性は、適宜定められた釣鐘型の関数でよく、例えば正弦波(サインカーブ)でもよい。各第nバンドパスフィルタの半値幅(半値全幅)は、例えば1オクターブである。
【0064】
第nバンドパスフィルタFnの通過帯域に対応した長さの範囲を、第nバンドパスフィルタの長さ範囲Snとする。この長さ範囲Snは、例えば、第nバンドパスフィルタの通過帯域の半値幅に相当する長さの範囲である。第n大きさ別柄画像PInの模様の長さとは、長さ範囲Snと定義する。
【0065】
例えば、図6に表したように、第nバンドパスフィルタにおいて、通過率が最大値の半分となる2つの周波数を、第n半値低周波数fna及び第n半値高周波数fnbとする。このとき、第nバンドパスフィルタの長さ範囲Snは、第n半値高周波数fnbの模様の長さλnb(=200/fnb)mm以上、第n半値低周波数fnaの模様の長さλna(=200/fna)mm未満の範囲に対応する。ただし、第nバンドパスフィルタの長さ範囲は、厳密に長さλnb以上長さλna未満でなくてもよい。
【0066】
具体的には、第1バンドパスフィルタF1の長さ範囲S1を50mm以上200mm未満とし、第2バンドパスフィルタF2の長さ範囲S2を28.6mm以上50mm未満とし、第3バンドパスフィルタF3の長さ範囲S3を16.7mm以上28.6mm未満とし、第4バンドパスフィルタF4の長さ範囲S4を8.3mm以上16.7mm未満とし、第5バンドパスフィルタF5の長さ範囲S5を4.3mm以上8.3mm未満とし、第6バンドパスフィルタF6の長さ範囲S6を2.2mm以上4.3mm未満とし、第7バンドパスフィルタF7の長さ範囲S7を1.1mm以上2.2mm未満とし、第8バンドパスフィルタF8の長さ範囲S8を0.6mm以上1.1mm未満とする。
【0067】
図7は、柄サイズ範囲を説明する模式的グラフ図である。
図7の縦軸は、第n大きさ別柄標準偏差SDnを表す。図7の上側の第1横軸は、模様の周波数であり、下側の第2横軸は、模様の大きさ(長さ)である。上側の第1横軸においては、右側ほど周波数が高いことを表し、下側の第2横軸では、右側ほど大きさが小さいことを表す。
【0068】
1つの撮影領域における柄サイズ範囲SPは、8つの第n大きさ別柄標準偏差SDnのうち1~4番目に大きい標準偏差を有する第n大きさ別柄画像PInのそれぞれを算出するときに変換画像TIに掛けられた第nバンドパスフィルタFnの長さ範囲Snを合わせた範囲とする。柄サイズ範囲SPは、撮影領域ごとに算出される。
【0069】
具体的には、この例では、8つの第n大きさ別柄標準偏差SDnのうち1~4番目に大きい標準偏差は、大きい順に、第4大きさ別柄標準偏差SD4、第5大きさ別柄標準偏差SD5、第3大きさ別柄標準偏差SD3、第6大きさ別柄標準偏差SD6である。最も大きい第4大きさ別柄標準偏差SD4を有する第4大きさ別柄画像PI4を算出するときに変換画像TIに掛けられたバンドパスフィルタは、第4バンドパスフィルタF4である。2番目に大きい第5大きさ別柄標準偏差SD5を有する第5大きさ別柄画像PI5を算出するときに変換画像TIに掛けられたバンドパスフィルタは、第5バンドパスフィルタF5である。3番目に大きい第3大きさ別柄標準偏差SD3を有する第3大きさ別柄画像PI3を算出するときに変換画像TIに掛けられたバンドパスフィルタは、第3バンドパスフィルタF3である。4番目に大きい第6大きさ別柄標準偏差SD6を有する第6大きさ別柄画像PI6を算出するときに変換画像TIに掛けられたバンドパスフィルタは、第6バンドパスフィルタF6である。したがって、柄サイズ範囲SPは、第4バンドパスフィルタF4の長さ範囲S4と、第5バンドパスフィルタF5の長さ範囲S5と、第3バンドパスフィルタF3の長さ範囲S3と、第6バンドパスフィルタF6の長さ範囲S6と、を合わせた範囲である。つまり、この例では、柄サイズ範囲SPは、2.2mm以上28.6mm未満である。
【0070】
第n大きさ別柄画像PInにおいて大きさ別柄標準偏差SDnが大きいことは、その第n大きさ別柄画像PInにおいて濃淡の差が大きく柄が目立ちやすいこと、言い換えれば、その第n大きさ別柄画像PIn内において相対的に模様が濃いことに対応する。そのため、撮影領域における柄サイズ範囲SPは、その撮影領域内における濃い模様のサイズ、つまり使用者から認識されやすい模様の大きさを示す。
【0071】
図8(a)~図8(g)は、凸サイズを表す説明図である。
凸部60は、第1凸部81と、第2凸部82と、第3凸部83と、の少なくともいずれかを有する。凸部60は、例えば、第1凸部81と、第2凸部82と、を有する。凸部60は、例えば、第2凸部82と、第3凸部83と、を有する。
【0072】
図8(a)は、第1凸部81を表している。第1凸部81とは、外周の全部が凹部50により囲まれた凸部60である。
【0073】
例えば、樹脂層10の凹凸10bは、複数の第1凸部81を有している。各第1凸部81は、第1外周を有する。第1外周の全部は、いずれか1つの凹部50と接する。なお、第1凸部81は、1つでも良いし、設けられなくてもよい。
【0074】
図8(a)に表したように、第1凸部81の大きさを示す第1凸サイズは、上面視において第1凸部81の最大長さを長辺とし第1凸部81に外接する仮想長方形IRの短辺の長さL1で表される。
【0075】
図8(b)~図8(d)は、第2凸部82を表している。第2凸部82とは、外周の一部が1つの凹部50に囲まれ、外周のその他の部分が浴室の壁(壁パネル300d~300f)、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部60である。
【0076】
例えば、樹脂層10の凹凸10bは、複数の第2凸部82を有する。各第2凸部82は、第2外周を有する。第2外周の一部は、いずれか1つの凹部と接する。第2外周のうち当該一部を除いた全部は、浴室の壁、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかと接する。なお、第2凸部82は、1つでも良いし、設けられなくてもよい。
【0077】
図8(b)~図8(d)に表したように、第2凸部82の大きさを示す第2凸サイズは、上面視において第2凸部82の最大長さを長辺とし第2凸部82に外接する仮想長方形IRの短辺の長さL2で表される。
【0078】
図8(e)~図8(g)は、第3凸部83を表している。第3凸部83とは、外周の一部が複数の凹部50に囲まれ、外周のその他の部分が浴室の壁(壁パネル300d~300f)、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部60である。
【0079】
例えば、樹脂層10の凹凸10bは、複数の第3凸部83を有する。各第3凸部83は、第3外周を有する。第3外周の一部は、互いに離間した複数の凹部と接する。第3外周のうち当該一部を除いた全部は、浴室の壁、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかと接する。なお、第3凸部83は、1つでも良いし、設けられなくてもよい。
【0080】
図8(e)~図8(g)に表したように、第3凸部83の大きさを示す第3凸サイズは、上面視において第3凸部83を囲み向かい合う2つの凹部50の間の最小距離である長さL3で表される。すなわち、長さL3は、第3凸部83の外周に接し互いに離間した(連続していない)2つの凹部50同士を結ぶ最短距離である。
【0081】
本願明細書では、第1凸サイズ、第2凸サイズ、及び第3凸サイズをまとめて「凸サイズ」と称する場合がある。
【0082】
図9(a)~図9(d)は、柄サイズ範囲と凸サイズとの関係を表す模式的グラフ図である。
図7と同様に、図9(a)~図9(d)において、縦軸は、第n大きさ別柄標準偏差SDnの値、第1横軸は模様の周波数、第2横軸は模様の大きさを表す。図9(a)~図9(d)において、撮影領域における柄サイズ範囲SPは、長さ範囲S3と長さ範囲S4と長さ範囲S5と長さ範囲S6と、を合わせた範囲である。網掛けの範囲は、柄サイズ範囲SPを算出した当該撮影領域内における複数の凸部60のうち、半分以上の凸部60が有するサイズの範囲SCを表す。つまり、当該撮影領域内において、凸サイズが範囲SC内である凸部60の数は、凸部60の総数の半分以上である。
【0083】
図9(a)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SP以上である。すなわち、1つの撮影領域内において、第1凸サイズ(長さL1)が柄サイズ範囲SP以上である第1凸部81の数をNa1とし、第2凸サイズ(長さL2)が柄サイズ範囲SP以上である第2凸部82の数をNa2とし、第3凸サイズ(長さL3)が柄サイズ範囲SP以上である第3凸部83の数をNa3とし、複数の凸部60の総数をNTとすると、Na1とNa2とNa3との合計値NaSは、NTの半分以上である(Na1+Na2+Na3=NaS、NaS≧0.5×NT)。
【0084】
なお、凸サイズが柄サイズ範囲SP以上とは、凸サイズが柄サイズ範囲SPの最小値以上(この例において2.2mm以上)であることである。例えば、凸サイズが柄サイズ範囲SP以上の場合、凸サイズは、柄サイズ範囲SPに含まれる、または、柄サイズ範囲SPよりも大きい。Na1は、柄サイズ範囲SPの最小値以上の第1凸サイズを有する第1凸部81の数である。Na2は、柄サイズ範囲SPの最小値以上の第2凸サイズを有する第2凸部82の数である。Na3は、柄サイズ範囲SPの最小値以上の第3凸サイズを有する第3凸部83の数である。
【0085】
図9(b)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPに含まれる。すなわち、1つの撮影領域内において、第1凸サイズが柄サイズ範囲SPに含まれる第1凸部81の数をNb1とし、第2凸サイズが柄サイズ範囲SPに含まれる第2凸部82の数をNb2とし、第3凸サイズが柄サイズ範囲SPに含まれる第3凸部83の数をNb3とし、複数の凸部60の総数をNTとすると、Nb1とNb2とNb3との合計値NbSは、NTの半分以上である(Nb1+Nb2+Nb3=NbS、NbS≧0.5×NT)。
【0086】
図9(c)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPよりも大きい。すなわち、1つの撮影領域内において、第1凸サイズが柄サイズ範囲SPの最大値よりも大きい第1凸部81の数をNc1とし、第2凸サイズが柄サイズ範囲SPの最大値よりも大きい第2凸部82の数をNc2とし、第3凸サイズが柄サイズ範囲SPの最大値よりも大きい第3凸部83の数をNc3とし、複数の凸部60の総数をNTとすると、Nc1とNc2とNc3との合計値NcSは、NTの半分以上である(Nc1+Nc2+Nc3=NcS、NcS≧0.5×NT)。
【0087】
図9(d)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPよりも小さい。すなわち、1つの撮影領域内において、第1凸サイズが柄サイズ範囲SPの最小値よりも小さい第1凸部81の数をNd1とし、第2凸サイズが柄サイズ範囲SPの最小値よりも小さい第2凸部82の数をNd2とし、第3凸サイズが柄サイズ範囲SPの最小値よりも小さい第3凸部83の数をNd3とし、複数の凸部60の総数をNTとすると、Nd1とNd2とNd3との合計値NdSは、NTの半分以上である(Nd1+Nd2+Nd3=NdS、NdS≧0.5×NT)。
【0088】
なお、凸部の数は、例えば1つの撮影領域内に全体が含まれている凸部の数を数える。または、凸部の数は、1つの撮影領域内に少なくとも一部が含まれている凸部の数でもよい。
【0089】
柄は、一般的に複数のサイズの模様の組み合わせである。また、既に述べたように、柄サイズ範囲SPは、撮影領域内において、使用者から視認されやすい模様の大きさに対応する。ここで、凸サイズ(凹凸サイズ)が柄サイズ範囲に比べて小さい場合には、柄が薄い部分に凹凸の陰影が多く見えるため、凹凸が使用者から視認されやすくなる。これに対し、凸サイズが柄サイズ範囲に含まれる、または、柄サイズ範囲よりも大きい場合には、凹凸が柄と重なりやすく、凹凸が使用者から視認されにくくなる。
【0090】
そこで、実施形態においては、図9(a)の例のように、NaS≧0.5×NTとする。すなわち、1つの撮影領域内において、第1凸サイズが柄サイズ範囲SP以上である第1凸部81の数と、第2凸サイズが柄サイズ範囲SP以上である第2凸部82の数と、第3凸サイズが柄サイズ範囲SP以上である第3凸部の数と、の合計値は、複数の凸部60の総数の半分以上とする。
【0091】
このように、撮影領域内の半数以上の凸部60において、凸サイズを柄サイズ範囲SP以上とすることで、凹凸が使用者から視認されにくくなり、デザイン性を向上させることができる。例えば、浴室床において、凹凸による排水性と、デザイン性と、を両立させることができる。例えば、排水性を維持しながら、自然テクスチャの柄のリアリティを向上させることができる。例えば、NaS>0.5×NTとしてもよい。
【0092】
例えば、凸サイズが柄サイズ範囲SPと異なる場合には、使用者は、凹凸の陰影を柄とは区別して見やすくなる。そこで、実施形態においては、図9(b)のように、NbS≧0.5×NTであることが、より好ましい。すなわち、1つの撮影領域内において、第1凸サイズが柄サイズ範囲SPに含まれる第1凸部81の数と、第2凸サイズが柄サイズ範囲SPに含まれる第2凸部82の数と、第3凸サイズが柄サイズ範囲SPに含まれる第3凸部83の数と、の合計値は、複数の凸部の総数の半分以上であることが好ましい。このように、撮影領域内の凸部60の半数以上において、凸サイズを柄サイズ範囲SPと同じとすることで、凹凸が柄に紛れ、凹凸と柄とが区別されにくくなる。すなわち、凹凸を柄で隠し、より目立ちにくくすることができる。例えば、NbS>0.5×NTとしてもよい。
【0093】
図5図9においては、1つの撮影領域における、凸サイズ及び柄サイズ範囲の評価について説明した。図4(a)に関して説明したN個の撮影領域のそれぞれにおいて、同様に、凸サイズと柄サイズ範囲SPとを比較してもよい。凸サイズ及び柄サイズ範囲SPは、撮影領域ごとに算出され、比較される。例えば、NaS≧0.5×NTが成り立つ撮影領域の数は、N個の撮影領域のうちの半数(0.5×N)以上、好ましくは全部である。例えば、NbS≧0.5×NTが成り立つ撮影領域の数は、N個の撮影領域のうちの半数(0.5×N)以上、好ましくは全部である。
【0094】
図10(a)~図10(f)及び図11(a)~図11(f)は、柄サイズ範囲と凸サイズとの関係の別の例を表す模式的グラフ図である。
図10(a)~図10(f)及び図11(a)~図11(f)においても、図9(a)~図9(d)と同様に、縦軸は、第n大きさ別柄標準偏差SDnの値、第1横軸は模様の周波数、第2横軸は模様の大きさを表す。網掛けの範囲は、凸部60が有するサイズの範囲SCを表す。
【0095】
図10(a)~図10(c)の例においては、8つの大きさ別柄標準偏差SDnのうち1~4番目に大きい標準偏差は、大きい順に、第8大きさ別柄標準偏差SD8、第1大きさ別柄標準偏差SD1、第7大きさ別柄標準偏差SD7、第2大きさ別柄標準偏差SD2である。そのため、図10(a)~図10(c)の例において、柄サイズ範囲SPは、第8大きさ別柄画像PI8を算出する際に用いられた第8バンドパスフィルタF8の長さ範囲S8と、第1大きさ別柄画像PI1を算出する際に用いられた第1バンドパスフィルタF1の長さ範囲S1と、第7大きさ別柄画像PI7を算出する際に用いられた第7バンドパスフィルタF7の長さ範囲S7と、第2大きさ別柄画像PI2を算出する際に用いられた第2バンドパスフィルタF2の長さ範囲S2と、を合わせた範囲となる。
【0096】
すなわち、図10(a)~図10(c)の例における柄サイズ範囲SPは、0.6mm以上2.2mm未満の範囲、及び、28.6mm以上200mm未満の範囲となる。このように、柄サイズ範囲SPは、離散的な複数の範囲を含んでもよい。
【0097】
図10(a)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SP以上である。すなわち、撮影領域内において、凸サイズが柄サイズ範囲SPの最小値以上である凸部60の数(NaS=Na1+Na2+Na3)は、複数の凸部60の総数の半分(0.5×NT)以上である。
【0098】
図10(b)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPに含まれる。すなわち、撮影領域において、凸サイズが柄サイズ範囲SPに含まれる凸部60の数(合計値NbS=Nb1+Nb2+Nb3)は、複数の凸部60の総数の半分(0.5×NT)以上である。
【0099】
図10(c)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPよりも小さい。すなわち、撮影領域内において、凸サイズが柄サイズ範囲SPの最小値よりも小さい凸部60の数(NdS=Nd1+Nd2+Nd3)は、複数の凸部60の総数の半分(0.5×NT)以上である。
【0100】
実施形態においては、凸部60のサイズの範囲SCは、図10(a)のように柄サイズ範囲SP以上であることが好ましく、図10(b)のように柄サイズ範囲SPに含まれることがより好ましい。これにより、浴室床において、凹凸が使用者から見えにくくなり、デザイン性を向上させることができる。
【0101】
図10(d)~図10(f)の例においては、8つの大きさ別柄標準偏差SDnのうち1~4番目に大きい標準偏差は、大きい順に、第8大きさ別柄標準偏差SD8、第7大きさ別柄標準偏差SD7、第6大きさ別柄標準偏差SD6、第5大きさ別柄標準偏差SD5である。そのため、図10(d)~図10(f)の例において、柄サイズ範囲SPは、長さ範囲S8と、長さ範囲S7と、長さ範囲S6と、長さ範囲S5と、を合わせた範囲となる。すなわち、図10(d)~図10(f)の例における柄サイズ範囲SPは、0.6mm以上8.3mm未満である。
【0102】
図10(d)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SP以上である(NaS=Na1+Na2+Na3、NaS≧0.5×NT)。図10(e)の例においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPに含まれる(NbS=Nb1+Nb2+Nb3、NbS≧0.5×NT)。図10(f)の例においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPよりも小さい(NdS=Nd1+Nd2+Nd3、NdS≧0.5×NT)。
【0103】
実施形態においては、凸部60のサイズの範囲SCは、図10(d)のように柄サイズ範囲SP以上であることが好ましく、図10(e)のように柄サイズ範囲SPに含まれることがより好ましい。これにより、浴室床において、凹凸が使用者から見えにくくなり、デザイン性を向上させることができる。
【0104】
図11(a)~図11(c)の例においては、8つの大きさ別柄標準偏差SDnのうち1~4番目に大きい標準偏差は、大きい順に、第1大きさ別柄標準偏差SD1、第2大きさ別柄標準偏差SD2、第3大きさ別柄標準偏差SD3、第4大きさ別柄標準偏差SD4である。そのため、図11(a)~図11(c)の例において、柄サイズ範囲SPは、長さ範囲S1と、長さ範囲S2と、長さ範囲S3と、長さ範囲S4と、を合わせた範囲となる。すなわち、図11(a)~図11(c)の例における柄サイズ範囲SPは、8.3mm以上200mm未満である。
【0105】
図11(a)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SP以上である(NaS=Na1+Na2+Na3、NaS≧0.5×NT)。図11(b)の例においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPに含まれる(NbS=Nb1+Nb2+Nb3、NbS≧0.5×NT)。図11(c)の例においては、凸部60のサイズ範囲SCは、柄サイズ範囲SPよりも小さい(NdS=Nd1+Nd2+Nd3、NdS≧0.5×NT)。
【0106】
実施形態においては、凸部60のサイズの範囲SCは、図11(a)のように柄サイズ範囲SP以上であることが好ましく、図11(b)のように柄サイズ範囲SPに含まれることがより好ましい。これにより、浴室床において、凹凸が使用者から見えにくくなり、デザイン性を向上させることができる。
【0107】
図11(d)~図11(f)の例においては、8つの大きさ別柄標準偏差SDnのうち1~4番目に大きい標準偏差は、大きい順に、第1大きさ別柄標準偏差SD1、第5大きさ別柄標準偏差SD5、第7大きさ別柄標準偏差SD7、第3大きさ別柄標準偏差SD3である。そのため、図11(d)~図11(f)の例において、柄サイズ範囲SPは、長さ範囲S1と、長さ範囲S7と、長さ範囲S5と、長さ範囲S3と、を合わせた範囲となる。すなわち、図11(d)~図11(f)の例における柄サイズ範囲SPは、50mm以上200mm未満の範囲と、1.1mm以上2.2mm未満の範囲と、4.3mm以上8.3mm未満の範囲と、16.7mm以上28.6mm未満の範囲と、を合わせた範囲である。
【0108】
図11(d)においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SP以上である(NaS=Na1+Na2+Na3、NaS≧0.5×NT)。図11(e)の例においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPに含まれる(NbS=Nb1+Nb2+Nb3、NbS≧0.5×NT)。図11(f)の例においては、凸部60のサイズの範囲SCは、柄サイズ範囲SPよりも小さい(NdS=Nd1+Nd2+Nd3、NdS≧0.5×NT)。
【0109】
実施形態においては、凸部60のサイズの範囲SCは、図11(d)のように柄サイズ範囲SP以上であることが好ましく、図11(e)のように柄サイズ範囲SPに含まれることがより好ましい。これにより、浴室床において、凹凸が使用者から見えにくくなり、デザイン性を向上させることができる。
【0110】
使用者から凹凸を見えにくくするためには、8つの大きさ別柄標準偏差SDnのうち1番大きい大きさ別柄標準偏差は1.4以上である柄が好ましく、8つの大きさ別柄標準偏差SDnのうち4番目に大きい大きさ別柄標準偏差が1.4以上である柄がより好ましい。また、使用者から凹凸を見えにくくするためには、柄の最低の輝度値は174以下であることが好ましい。さらに、使用者から凹凸を見えにくくするためには、8つの大きさ別柄標準偏差SDnのうち1番大きい大きさ別柄標準偏差が1.4以上かつ柄の最低輝度値が174以下である柄がより好ましい。
【0111】
第1凸サイズ、第2凸サイズ、第3凸サイズの少なくともいずれかが40mm以下であることが好ましい。例えば、複数の凸部60が第1凸部81及び第2凸部82を有する場合には、第1凸サイズ及び第2凸サイズの両方が40mm以下であることが好ましい。例えば、複数の凸部60が第2凸部82及び第3凸部83を有する場合には、第2凸サイズ及び第3凸サイズの両方が40mm以下であることが好ましい。
【0112】
凸サイズが大きいほど、使用者の視界にある凸部60の総数が少なくなり、使用者から凹凸10bが視認されにくくなる。一方で、凸サイズが大きいほど、凹部50が減るため、排水性が低下するおそれがある。そこで、第1凸サイズ、第2凸サイズ、及び第3凸サイズの少なくともいずれかを40mm以下とすることで、排水性を維持しつつ、樹脂層10の全面で凹凸10bを目立ちにくくすることができる。
【0113】
例えば、1つの撮影領域内の複数の第1凸部81のうちの半数以上の第1凸部81において、第1凸サイズが40mm以下であることが好ましい。好ましくは、撮影領域内の90%以上(より好ましくは全て)の第1凸部81において、第1凸サイズが40mm以下であることが好ましい。
例えば、1つの撮影領域内の複数の第2凸部82のうちの半数以上の第2凸部82において、第2凸サイズが40mm以下であることが好ましい。好ましくは、撮影領域内の90%以上(より好ましくは全て)の第2凸部82において、第2凸サイズが40mm以下であることが好ましい。
例えば、1つの撮影領域内の複数の第3凸部83のうちの半数以上の第3凸部83において、第3凸サイズが40mm以下であることが好ましい。好ましくは、撮影領域内の90%以上(より好ましくは全て)の第3凸部83において、第3凸サイズが40mm以下であることが好ましい。
【0114】
図12(a)及び図12(b)は、実施形態に係る樹脂層の一例を表す平面図及びこの樹脂層における輝度値の分布を表すヒストグラムである。
図13(a)及び図13(b)は、参考例に係る樹脂層の一例を表す平面図及びこの樹脂層における輝度値の分布を表すヒストグラムである。
図12(a)、図12(b)、図13(a)及び図13(b)においては、上述の方法で、17個の撮影領域(第1~第17撮影領域MR1~MR17)を撮影した撮影画像から輝度値を求める場合について説明する。ただし、撮影領域の数は、例えば、浴室床の大きさに応じて変更可能である。例えば、少なくとも第1~第9撮影領域MR1~MR9の9箇所の撮影領域(中心測定部CM)を測定対象とすればよく、浴室床が小さく撮影領域が確保できない場合には、第10~第17撮影領域MR10~MR17は、省略してもよい。また、図12(a)、図12(b)、図13(a)及び図13(b)に関する説明において、撮影する画像の解像度は、65.02dpi(512px=200mm)とする。
【0115】
図12(b)は、図12(a)に示した樹脂層10を上述の方法で撮影して得られた17個のなかの一つの撮影画像を8ビットにグレースケール変換した画像における凸部60のみの領域の輝度値のヒストグラム(凸領域画像の輝度値のヒストグラム)を表している。
図13(b)は、図13(a)に示した樹脂層10Xを上述の方法で撮影して得られた17個のなかの一つの撮影画像を8ビットにグレースケール変換した画像における凸部60のみの領域の輝度値のヒストグラム(凸領域画像の輝度値のヒストグラム)を表している。
この「輝度値」は、デジタルデータの画像上で真っ黒(R:0、G:0、B:0)のものを「0」、真っ白(R:255、G:255、B:255)のものを「255」、としている。
【0116】
図12(b)及び図13(b)のヒストグラムにおいて、輝度値が0以上25以下の領域を第1領域R1、輝度値が26以上230以下の領域を第2領域R2、輝度値が231以上255以下の領域を第3領域R3とする。第1領域R1は、黒寄りの(すなわち、輝度値が小さい)領域である。第3領域R3は、白寄りの(すなわち、輝度値が大きい)領域である。第2領域R2は、中間色の(すなわち、輝度値が中程度の)領域である。
【0117】
図12(b)の例では、第2領域R2の画素数は、全体の画素数(すなわち、第1領域R1の画素数、第2領域R2の画素数、及び第3領域R3の画素数の合計値)の約97%である。図13(b)の例では、第2領域R2の画素数は、全体の画素数(すなわち、第1領域R1の画素数、第2領域R2の画素数、及び第3領域R3の画素数の合計値)の約45%である。第2領域R2の画素数は、全体の画素数の50%を超えることが好ましい。
【0118】
例えば、グレースケール変換したN個の画像のうちの1つの画像において、第2領域R2の画素数が、全体の画素数の50%を超えることが良い。またグレースケール変換したN個の撮影画像すべてにおいて、第2領域R2の画素数が、全体の画素数の50%を超えることがより好ましい。
【0119】
凹凸10bによってできる陰影にはグラデーションがかかるため、撮影画像CIをグレースケール変換した画像では、凹凸10bの陰影によって輝度値のヒストグラムの中間色の割合が高くなりやすい。そのため、凸領域画像の輝度値のヒストグラムの中間色の第2領域R2の画素数が全体の画素数の50%を超えるような、中間色の割合が高い柄を採用することで、柄の濃淡の特徴を凹凸10bの陰影の濃淡の特徴に近づけることができる。これにより、凹凸10bの陰影を柄と見せかけることができ、凹凸10bを目立ちにくくすることができる。
【0120】
また、各撮影領域に対応する撮影画像(例えばグレースケール変換後の画像)のうち凸部60のみの領域の画素の輝度値から算出される標準偏差を一次標準偏差SDaとする。一次標準偏差SDaとしては、第1~第17撮影領域MR1~MR17に対応する17個の標準偏差が求められる。これらの17個の一次標準偏差SDaの標準偏差を二次標準偏差SDbとした場合に、二次標準偏差SDbは、1以下であることが好ましい。
【0121】
十分な排水性を得るためには、樹脂層10の全面に偏りなく凹凸10bを形成することが好ましい。17個の撮影領域に対応する輝度値の標準偏差(一次標準偏差SDa)の標準偏差(二次標準偏差SDb)を1以下とすることで、柄の濃淡を樹脂層10の全面でより均一にすることができる。これにより、樹脂層10の全面に偏りなく形成された凹凸10bに対して濃淡の偏りが抑制された柄を重ねることができ、凹凸10bによる排水性を持たせながら、樹脂層10の全面で凹凸10bを目立ちにくくすることができる。
【0122】
以下、樹脂層10の凸部60の形状について、説明する。
図14(a)~図14(c)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図14(a)及び図14(b)に表したように、凸部60の上面視における形状は、例えば、曲線を含む。凸部60の上面視における形状は、図14(a)に表したように、曲線のみからなっていてもよいし、図14(b)に表したように、一部のみが曲線であってもよい。また、図14(c)に表したように、凸部60の上面視における形状は、例えば、直線を含んでいてもよい。図14(c)の例では、凸部60の上面視における形状は、直線のみからなっている。凸部60の少なくとも1つの上面視における形状は、曲線を含むことが好ましい。
【0123】
凸部60の少なくとも1つの上面視における形状が、曲線を含むことで、凹凸10bによる排水性を持たせながら、直線模様の少ない自然テクスチャの柄に凹凸10bの様相を合わせることができ、より凹凸10bを目立ちにくくすることができる。
【0124】
また、凸部60の上面視における形状は、不定形であることが好ましい。つまり、凸部60は、特定の形状を有する凸部60が連続して配置されたものではないことが好ましい。凸部60は、隣り合う凸部60同士で、形状が異なっていたり、同じ形状であっても向きや大きさが異なっていたりすることが好ましい。言い換えれば、凸部60は、使用者に幾何学的な形状や配置であるという印象を与えないものであることが好ましい。
【0125】
凹凸10bの陰影は凹凸10bの形状によって決まるため、凹凸10bの形状が規則的であれば、凹凸10bの陰影も規則的となる。一方で、浴室床100の柄として人気の高い木目や石目などの自然テクスチャの柄は不規則的であるため、規則的な形状を有する凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ねると、凹凸10bの陰影が目立ってしまう。これに対し、複数の凸部60の上面視における形状を不定形とすることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸を自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0126】
図15(a)及び図15(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図15(a)及び図15(b)の例では、凸部60の外周の全部が凹部50により囲まれている。
図15(a)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60eが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60eにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60eのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60eの上面視における形状は、それぞれ、曲線を含んでいる。凸部60aの上面視における形状は、凸部60b~60eの上面視における形状と、それぞれ異なっている。
【0127】
図15(b)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60gが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60gにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60gのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60gの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60aの上面視における形状は、凸部60b~60gの上面視における形状と、それぞれ異なっている。
【0128】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状と異なる。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、合同でもなく、相似でもない。合同とは、形状と凸サイズが同じであり、上面視における形状を回転したものや鏡像反転したものも含める。相似とは、形状が同じであるが凸サイズが異なるものであり、上面視における形状を回転したものや鏡像反転したものも含める。
【0129】
隣接凸部67の上面視における形状を任意の凸部66の上面視における形状と異ならせることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0130】
例えば、任意の凸部66及び隣接凸部67は、それぞれ、第1凸サイズが柄サイズ範囲SP以上である第1凸部81、第2凸サイズが柄サイズ範囲SP以上である第2凸部82、及び第3凸サイズが柄サイズ範囲SP以上である第3凸部83のいずれかである。
【0131】
図16(a)及び図16(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図16(a)及び図16(b)の例では、凸部60の外周の全部が凹部50により囲まれている。
【0132】
図16(a)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60gが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60gにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60gのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60gの上面視における形状は、それぞれ、曲線を含んでいる。凸部60b~60gの上面視における形状は、それぞれ、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたもの、または鏡像のものである。凸部60b~60gの凸サイズは、それぞれ、凸部60aの凸サイズと同じである。
【0133】
なお、本願明細書において、「凸サイズが同じ」とは、一方の凸サイズが他方の凸サイズの±10%の範囲内であることを意味する。すなわち、本願明細書において、「凸サイズが異なる」とは、一方の凸サイズが他方の凸サイズの±10%の範囲を超えることを意味する。
【0134】
図16(b)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60hが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60hにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60hのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60hの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60b~60hの上面視における形状は、それぞれ、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたもの、または鏡像のものである。凸部60b~60hの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさと同じである。
【0135】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたもの、または、任意の凸部66の上面視における形状の鏡像である。隣接凸部67の上面視における大きさは、例えば、任意の凸部66の上面視における大きさと同じである。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、合同であり、上下方向を軸に回転させたもの、または鏡像のものである。
【0136】
隣接凸部67の上面視における形状を、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたものまたは任意の凸部66の上面視における形状の鏡像とし、隣接凸部67の上面視における大きさを任意の凸部66の上面視における大きさと同じとすることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0137】
なお、任意の凸部66に隣り合う凸部60のうち、隣接凸部67以外の1つの上面視における形状は、任意の凸部66の上面視における形状と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、任意の凸部66に隣り合う凸部60のうち、隣接凸部67以外の1つの上面視における大きさは、任意の凸部66の上面視における大きさと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0138】
図17(a)及び図17(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図17(a)及び図17(b)の例では、凸部60の外周の全部が凹部50により囲まれている。
【0139】
図17(a)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60jが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60jにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60jのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60jの上面視における形状は、それぞれ、曲線を含んでいる。凸部60b~60jの上面視における形状は、それぞれ、凸部60aの上面視における形状と同じである。凸部60b~60dの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさよりも小さい。凸部60e~60jの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさと同じである。
【0140】
図17(b)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60eが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60eにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60eのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60eの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60b~60eの上面視における形状は、それぞれ、凸部60aの上面視における形状と同じである。凸部60b~60eの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさよりも大きい。
【0141】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状と同じである。隣接凸部67の上面視における大きさは、例えば、任意の凸部66の上面視における大きさと異なる。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、相似である。
【0142】
隣接凸部67の上面視における形状を任意の凸部66の上面視における形状と同じとし、隣接凸部67の上面視における大きさを任意の凸部66の上面視における大きさと異ならせることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0143】
図18(a)及び図18(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図18(a)及び図18(b)の例では、凸部60の外周の全部が凹部50により囲まれている。
図18(a)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60eが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60eにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60eのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60eの上面視における形状は、それぞれ、曲線を含んでいる。凸部60b~60eの上面視における形状は、それぞれ、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたもの、または鏡像のものである。凸部60b~60eの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさよりも大きい。
【0144】
図18(b)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60eが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60eにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60eのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60eの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60b~60eの上面視における形状は、それぞれ、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたもの、または鏡像のものである。凸部60b~60eの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさよりも大きい。
【0145】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたもの、または、任意の凸部66の上面視における形状の鏡像である。隣接凸部67の上面視における大きさは、例えば、任意の凸部66の上面視における大きさと異なる。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、相似であり、上下方向を軸に回転させたもの、または鏡像のものである。
【0146】
隣接凸部67の上面視における大きさを任意の凸部66の上面視における大きさと異ならせ、さらに、隣接凸部67の上面視における形状を、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたものまたは任意の凸部66の上面視における形状の鏡像とすることで、凹凸10bの陰影をより不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0147】
なお、撮影領域の範囲内で欠けていない凸部60を、「撮影領域に全体が含まれる凸部60」という。例えば、図15(a)の例で示される範囲が1つの撮影領域だとすると、凸部60a、60e、60dは、「撮影領域に全体が含まれる凸部60」に相当する。一方、凸部60b、60cは、「撮影領域に全体が含まれる凸部60」に相当しない。
【0148】
実施形態は、以下の構成を含んでも良い。
(構成1)
柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、
前記樹脂層の表面には、複数の凸部を含む凹凸が設けられ、
前記複数の凸部は、
外周の全部が凹部に囲まれた第1凸部と、
外周の一部が1つの凹部に囲まれ、外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかに囲まれた第2凸部と、
外周の一部が複数の凹部に囲まれ、外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかと接する第3凸部と、
の少なくともいずれかを有し、
前記浴室床の上面視における200mm四方の撮影領域を撮影した65.02dpiとなる解像度の撮影画像を、グレースケールに変換して2次元フーリエ変換した画像を、変換画像とし、
通過率が最大値となる周波数が2のn乗である8つの第nバンドパスフィルタ(nは1から8までの整数)のそれぞれを、前記変換画像に掛けた画像を、8つの第n帯域別変換画像とし、
8つの前記第n帯域別変換画像のそれぞれを逆フーリエ変換した画像を、8つの第n大きさ別柄画像とし、
8つの前記第n大きさ別柄画像のそれぞれの輝度値の標準偏差の常用対数を、8つの第n大きさ別柄標準偏差とし、
前記第nバンドパスフィルタの通過帯域に対応した長さの範囲を、第nバンドパスフィルタの長さ範囲とし、
8つの前記第n大きさ別柄標準偏差のうち1~4番目に大きい標準偏差を有する第n大きさ別柄画像のそれぞれを算出するときに前記変換画像に掛けられた前記第nバンドパスフィルタの4つの前記長さ範囲を合わせた範囲を、前記撮影領域における柄サイズ範囲とし、
上面視において前記第1凸部の最大長さを長辺とし前記第1凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを前記第1凸部の第1凸サイズとし、上面視において前記第2凸部の最大長さを長辺とし前記第2凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを前記第2凸部の第2凸サイズとし、上面視において前記第3凸部を囲み向かい合う2つの凹部の間の最小距離を前記第3凸部の第3凸サイズとした場合に、
前記浴室床の上面視において互いに重ならないように配置されたN個(Nは9以上の整数)の前記撮影領域のうち少なくとも1つの前記撮影領域内において、前記第1凸サイズが前記柄サイズ範囲以上である第1凸部の数と、前記第2凸サイズが前記柄サイズ範囲以上である第2凸部の数と、前記第3凸サイズが前記柄サイズ範囲以上である第3凸部の数と、の合計値は、前記撮影領域内の前記複数の凸部の総数の半分以上であることを特徴とする浴室床。
(構成2)
前記浴室床の上面視において互いに重ならないように配置されたN個(Nは9以上の整数)の前記撮影領域のうち少なくとも1つの前記撮影領域内において、前記第1凸サイズが前記柄サイズ範囲に含まれる第1凸部の数と、前記第2凸サイズが前記柄サイズ範囲に含まれる第2凸部の数と、前記第3凸サイズが前記柄サイズ範囲に含まれる第3凸部の数と、の合計値は、前記撮影領域内の前記複数の凸部の総数の半分以上であることを特徴とする、構成1に記載の浴室床。
(構成3)
前記複数の凸部は、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、
前記隣接凸部の上面視における形状は、前記任意の凸部の上面視における形状と合同でないことを特徴とする構成1または2に記載の浴室床。
(構成4)
前記撮影画像を8ビットにグレースケール変換したグレースケール画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値において、前記輝度値が0以上25以下の領域を第1領域、前記輝度値が26以上230以下の領域を第2領域、前記輝度値が231以上255以下の領域を第3領域とした場合に、
前記浴室床の上面視において互いに重ならないように配置されたN個(Nは9以上の整数)の前記撮影領域のうち少なくとも1つの前記撮影領域内において、前記第2領域の画素数は、前記第1領域の画素数、前記第2領域の画素数、及び前記第3領域の画素数の合計値の50%を超え、
前記N個それぞれの画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値から算出される標準偏差を一次標準偏差とし、N個の前記一次標準偏差の標準偏差を二次標準偏差とした場合に、前記二次標準偏差が1以下であることを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の浴室床。
【0149】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室ユニット、浴室床などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0150】
10、10X 樹脂層
10a 表面
10b 凹凸
11 本体部
11a 表面
11b 凹凸
12 柄層
12a 表面
12b 凹凸
20 クッション層
30 コーティング層
31 微細粒子
33 親水層
50 凹部
51 底部
52 第1湾曲部
55 傾斜面
60、60a~60j 凸部
61 頂部
62 第2湾曲部
66 凸部
67 隣接凸部
81 第1凸部
82 第2凸部
83 第3凸部
θ 傾斜角度
λna、λnb 長さ
100 浴室床
100a 表面
100h 排水口
110 支持脚
200 浴槽
210 支持脚
220 排水配管
230 バスエプロン
240、250 小パネル
300a~300f 壁パネル
400 照明装置
500 浴室ユニット
A、C 領域
C1、C2 中心
CI 撮影画像
CM 中心測定部
CR カメラ
D 領域
F1~F8 第1~第8バンドパスフィルタ
Fn 第nバンドパスフィルタ
H1~H8、Hn ヒストグラム
IR 仮想長方形
L1、L2、L3 長さ
LD 照明装置
MR1~MR17 第1~第17撮影領域
PI1~PI8 第1~第8大きさ別柄画像
PIn 第n大きさ別柄画像
R1~R3 第1~第3領域
RP 基準面
S 設置面
S1~S8 長さ範囲
SC 凸部のサイズの範囲
SD1~SD8 第1~第8大きさ別柄標準偏差
SDa 一次標準偏差
SDb 二次標準偏差
SDn 第n大きさ別柄標準偏差
SP 柄サイズ範囲
Sn 第nバンドパスフィルタの長さ範囲
TI 変換画像
TI1~TI8 第1~第8帯域別変換画像
TIn 第n帯域別変換画像
fna 第n半値低周波数
fnb 第n半値高周波数
r1 曲率半径
r2 曲率半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18