(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044824
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】照明計画の評価方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01J 3/46 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150587
(22)【出願日】2022-09-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)学会予稿 開示日 :令和4年9月2日 開示場所 :2022年度(第55回)照明学会 全国大会予稿
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢部 周子
(72)【発明者】
【氏名】小島 義包
(72)【発明者】
【氏名】大木 知佳子
(72)【発明者】
【氏名】河原 大輔
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA02
2G020DA03
2G020DA04
2G020DA12
2G020DA13
2G020DA22
2G020DA32
2G020DA34
(57)【要約】
【課題】材料に反射した光を適切に評価できる照明計画の評価方法を提供する。
【解決手段】物体の表面で反射した反射光の色を取得する取得処理と、前記反射光の色を、色空間上の座標に変換する処理と、前記色空間における、予め設定された第1座標と前記座標との距離である第1距離を計測する処理と、前記第1距離に基づいて前記反射光を評価する評価処理と、を含む、照明計画の評価方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面で反射した反射光の色を取得する取得処理と、
前記反射光の色を、色空間上の座標である反射光座標に変換する処理と、
前記色空間における、予め設定された第1座標と前記反射光座標との距離である第1距離を計測する処理と、
前記第1距離に基づいて前記反射光を評価する評価処理と、を含む、
照明計画の評価方法。
【請求項2】
前記第1座標は、前記物体で層内反射した光の色を示す前記色空間上の座標である、
請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記色空間における、前記物体で表皮反射した光の色を前記色空間上の座標に変換して得られる第2座標と前記反射光座標との距離である第2距離を計測する処理をさらに含み、
前記評価処理において、前記第1距離及び前記第2距離に基づいて、前記反射光を評価する、
請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項4】
前記第1座標は、前記反射光の光源の分光分布と前記物体の分光拡散反射率とを用いて計算される、
請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項5】
前記物体に光を照射する処理をさらに含み、
前記取得処理は、
前記反射光の色を計測機を用いて計測する処理を有する、
請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項6】
前記取得処理は、
分光シミュレーションによって前記反射光の色を取得する処理を含む、
請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の評価方法を制御装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明計画の評価方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、照明を適切に使用するために、照明の照度等を計測する装置が用いられている(一例として、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、照明が発した光の計測が可能であっても、建材等に反射した光を適切に評価し、照明計画を策定することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を鑑み、本発明は一態様として、物体の表面で反射した反射光の色を取得する取得処理と、前記反射光の色を、色空間上の座標に変換する処理と、前記色空間における、予め設定された第1座標と前記座標との距離である第1距離を計測する処理と、前記第1距離に基づいて前記反射光を評価する評価処理と、を含む、照明計画の評価方法を提供する。
【0006】
また、本発明は一態様として、上記の評価方法を実行するプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、材料に反射した光を適切に評価できる評価方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態における評価システムの概要図であり、(a)前面図と(b)背面図とを示す。
【
図2】評価システムが模擬するモデルの概要図である。
【
図4】評価システムにおいて実行される処理のフローチャートである。
【
図5】反射光に対応する座標と基準座標とがプロットされた色度図の一例を示す図であり、(a)u
*v
*色度図と、(b)u’v’色度図を示す。
【
図6】刺激値とCIELUV色空間の座標との関係を示す数式である。
【
図8】反射光の距離L1の、建材上における分布を示すコンター図の一例であり、距離L1が閾値より大きくなる範囲を示す。
【
図9】刺激値とCIELAB色空間の座標との関係を示す数式である。
【
図10】刺激値とXYZ表色系の色空間座標との関係を示す数式である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態の一つである評価システム10について、各図を用いて説明する。
【0010】
評価システム10は、
図1及び
図3に示すように、計測機1、保持部2、照明器具32を有する照明部3、制御装置4(
図3に記載)、及び建材5を備える。計測機1、保持部2、照明部3、及び建材5は、作業床Fの上に設置される。なお、以下の説明においては、
図1及び
図2に示すように、重力方向に沿って上下方向を規定する。
【0011】
評価システム10は、照明計画の対象となるモデルMで使用される照明ILと内壁IWとの配置を模擬し、空間内の点MPにおいて知覚される光の反射を計測および評価することにより、適切な照明計画の策定に資するためのシステムである。
【0012】
モデルMは、
図2のように天井に設置された照明ILが上方に配置され、その下方において、内壁IWが上下に延びるように配置される。評価システム10における照明部3、建材5、計測機1、及びX、Y、Z軸は、それぞれ、モデルMにおける照明IL、内壁IW、点MP、及びX、Y、Z軸に相当する。
【0013】
図1及び
図2の各図においてX-Z軸と上下方向の関係に明示されるように、評価システム10では作業を容易とするため、モデルMの構成配置を横倒しにして模擬している。詳細に述べると、モデルMではZ軸が上下方向に一致し、評価システム10においてはY軸が上下方向と一致する。照明器具32、建材5、及び計測機1は、モデルMにおける照明IL、内壁IW、及び点MPに対応する。
【0014】
また、計測機1と建材5の間の距離x1は、点MPと内壁IWの間の距離x11に一致し、照明器具32と建材5の距離x2は、照明ILと内壁IWの距離x12に一致する。建材5上の計測位置と照明器具32の距離z1は、内壁IW上の計測位置と照明ILの距離z11に一致し、照明器具32と建材5の距離z2は、照明ILと内壁IWの距離z12に一致する(
図1、
図2)。
【0015】
計測機1は、二次元色彩輝度計であり、建材5に反射した光(以下、反射光とも称する)の輝度及び色情報の分布を計測する装置である。計測機1は、反射光を構成する3色の刺激値(3刺激値)と、これらの2次元方向の分布を計測することができる。
【0016】
保持部2は、
図1(b)に示すように、Z軸方向視において直角三角形状に形成された部材であり、背面から建材5を保持する。
【0017】
建材5は、平板状に形成された部材である。建材5には、内壁IWと同じ建材が使用される。例えば、内壁IWとして使用される木材などが、建材5として使用される。
【0018】
照明部3は、四角柱状に形成される支持部31と、4つの照明器具32A、32B、32C、32D(照明器具32はこれらの総称である)と、支持部31に回転するための動力を与えるモータ33とを備える(
図1)。なお、支持部31は、四角柱ではなく、六角柱など、その他の多角柱状に形成されてもよいし、円柱形状に形成されてもよい。また、照明部3は、柱状ではなく、内部が中空の筒状に形成されてもよい。
【0019】
支持部31は、上下に延びるように形成され、4つの側面31A-31Dを備える。側面31A-31Dは、それぞれ、照明器具32A-32Dを1つずつ保持する。
【0020】
支持部31は、上下に延びる軸を中心に、モータ33の動力を用いて回転可能である。支持部31が回転することにより、これに支持される照明器具32A-32Dの位置も変更される。そのため照明器具32A-32Dのうち1つが、建材5へ光を照射できる照射位置EPへと移動することができる。
【0021】
照射器具32A-32Dには、照明計画の対象となる空間で使用予定の照明器具が使用される。照明器具32A-32Dは、それぞれ種類の違う器具であり、具体例としては、ダウンライト、スポットライトなどが考えられる。なお、「照明器具の種類の違い」とは、出力や発光素子の違いだけでなく、照明器具32の設置角度、光の照射方向や光の広がりなどの違いも含まれる。
【0022】
側面31A-31Dそれぞれにおける照明器具32A-32Dの設置位置は、実際に想定される照明計画に基づいて設定される。例えば、
図1のように照射位置EPに設置された場合において、照明器具32Aの建材5からの距離x2と、照明器具32Bの建材5からの距離x2とは、異なった寸法となり得る。
【0023】
モータ33は、その出力軸が減速機を介して支持部31に接続されており、支持部31を上下に延びる軸を中心に回転させることができる。
【0024】
制御装置4は、
図3に示すように、計測機1と通信可能に接続され、計測機1が計測した反射光の計測結果を取得することができる。また、制御装置4は、取得したデータを解析することができる。
【0025】
加えて、制御装置4は、照明部3と通信可能に接続されており、照明部3の動作を制御することができる。具体的に述べると、制御装置4は、モータ33の動作を制御するとともに、照明器具32の出力を制御することができる。なお、制御装置4が照明部3とは通信せず、照明部3の動作が手動で制御される構成とされてもよい。
【0026】
制御装置4は、CPU(Central Processing Unit)などの、計算処理を実行する処理装置41と、HDD(Hard Disk Drive)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置42とを備えたコンピュータである。制御装置4の処理装置41は、記憶装置42に保存されたプログラムを起動させることにより、下記に示すような各種処理を実行することができる。
【0027】
<実施フロー>
評価システム10において実施される評価方法に関する処理を、
図4のフローを用いて説明する。
【0028】
まずステップS1において、制御装置4は、照明及び計測位置の設定を行う。制御装置4の制御に基づいて支持部31が回転し、照明器具32A-32Dのうち1つの器具が、計測の対象照明として照射位置EPに配置される。また、計測機1の位置が調整される。これにより、距離x1、x2、z1、z2が適切な値に設定される。なお、以下では、
図1のように照明器具32Aが照射位置EPに設置された場合を想定し、説明を行う。
【0029】
次のステップS2では、照射器具32Aから建材5へ光が照射され、計測機1によって、反射光が計測される。
【0030】
制御装置4は、計測機1から計測結果として3つの刺激値を取得し、以下のように色空間上の座標への変換を行う(S3)。制御装置4は、計測機1の計測結果を色空間上の座標として変換する。また、制御装置4は、反射光の色を色空間上にプロットする。その結果、反射光の色は、
図5のように色空間上に表示される。
【0031】
3刺激値から色空間上の座標への変換は、
図6の式1から式10に基づいて実行される。もしくは、式4から式6については、建材5の位置に置いた標準白色板(可視光域において、どの波長においても反射率が約1となる板)のXYZの測定値から求めても良い。
【0032】
図5は、L
*u
*v
*表色系の色空間でのu
*v
*色度図と、u
*v
*色度図において反射光の色を示す座標に位置する点P1を示している。
図5では、横軸がu
*を示し、縦軸がv
*を示している。
【0033】
なお、反射光のプロットに用いられる色空間、表色系の種別は特に限定されない。具体的な表色系の例としては、上記のL
*u
*v
*表色系の他、L
*a
*b
*表色系、XYZ表色系などがある。使用される色空間は、例えばユーザによって予め設定される。例として、L
*a
*b
*表色系、XYZ表色系における座標の計算式を、それぞれ、
図9、
図10に示す。
【0034】
(基準点)
制御装置4は、次に反射光の評価を行う(S4)。評価は、反射光の色を示す座標と基準点の座標との比較によって実行される。
【0035】
基準点には、
図5(a)に示すように、基準点RP1が用意される。反射光は、建材5の表層で反射した表皮反射成分と層内反射成分とに分離してとらえることができるが、基準点RP1は、反射光が層内反射成分だけで形成される場合の色を示す座標上の点である。
【0036】
基準点RP1は、光を照射した照明器具32(この場合は照明器具32A)の分光分布または想定する光源の分光分布と、計測器により測定可能な建材5の分光拡散反射率(SCE方式:正反射光除去)とを用いて計算できる。
【0037】
表皮反射成分は、光を照射した照明器具32Aの出射光のスペクトルから推定可能である。
【0038】
(距離の測定)
さらに制御装置4は、点P1の、基準点RP1に対する距離L1を計算する。距離は、u
*、v
*を軸とする直交座標系における、2点の座標間距離として計算することができる(
図5、
図7の式11)。
【0039】
制御装置4は、点P1の基準点RP1に対する距離L1を用いて、反射光の評価を行う。
【0040】
距離L1が短ければ、反射光に建材5の色味が反映されていると評価できる。一方、距離L1が長ければ、反射光は色飛びをおこしており、建材5の色味が良好に反映されていないと評価できる。評価には様々な計算式や閾値が用いられ得る。例えば、制御装置4は、L1が閾値より短いという関係が成り立つとき、反射光が一定の色味を確保していると評価することができる。
【0041】
計測機1が反射光の分布を2次元で計測できる場合、制御装置4は、上記のような評価結果を、
図8のように建材5上における2次元の分布として表示することができる。
図8は、反射光の距離L1の建材5上での分布を示すコンター図の一例を表している。
【0042】
制御装置4は、閾値THより大きい(または小さい)距離L1を有する反射光の範囲を
図8のように示すことにより、一定の色味を保持していない(または保持している)と評価された反射光の範囲を表示することができる。
【0043】
ユーザは、評価処理の結果を見ることによって、反射光の色、またはその分布を把握することができる。これにより、照明器具32A-32Dの選択や、建材5の選択、またはこれらの配置を好適に設計することができる。
【0044】
評価終了後、照明器具32A-32Dのすべてについて、また、予定の計測位置(距離x1、x2、z1、z2の設定)の全てについて計測完了したか、確認がなされる(S5)。
【0045】
計測予定が残っている場合(S5:NO)、制御装置4はステップS1に処理を戻す。制御装置4は、照射位置EPに配置させる対象照明を照明器具32B-32Dのいずれかに変更し、または、計測機1の位置を変更し、ステップS2以下の処理を実行する。
【0046】
計測完了と判断された場合(S5:YES)、制御装置4は評価方法に関する処理を完了する。
【0047】
<変形例>
反射光の評価においては、
図5(b)に示すように、u’、v’による色度図が用いられてもよい。この場合、反射光の色を示す点P11の座標が、
図6の式7、8に基づいて求められる。
【0048】
また、反射光の評価において基準点が2つ使用されてもよい。例えば、u’、v’による色度図が例として用いられる場合においては、基準点RP11と基準点RP22との2種が用意される(
図5(b))。基準点RP11は、基準点RP1と同様、反射光が層内反射成分だけで形成される場合の色を示す座標上の点である。基準点RP22は、反射光が表皮反射成分だけで形成される場合の色を示す座標上の点である。
【0049】
表皮反射成分は、光を照射した照明器具32Aの出射光のスペクトルから推定可能である。そのため、基準点RP22は、照明器具32Aの出射光を計測することや、照明器具32Aの特性を製造者などから取得することによって、特定可能である。
【0050】
評価においては、点P11の、基準点RP11、RP22それぞれに対する距離L11、L22が計算される。距離L11、L22は、u’、v’を軸とする直交座標系における、2点の座標間距離として計算することができる。距離L11が短く距離L22が長ければ、反射光に建材5の色味が反映されていると評価できる。一方、距離L11が長く距離L22が短ければ、反射光は色飛びをおこしており、建材5の色味が良好に反映されていないと評価できる。評価には様々な計算式や閾値が用いられ得る。例えば、制御装置4は、L11<L22という関係が成り立つとき、反射光が一定の色味を確保していると評価することができる。
【0051】
もちろん、距離L11のみ、あるいは距離L22のみによって反射光の評価が行われてもよい。例えば、距離L1の場合と同様、距離L11を所定の閾値と比較して評価を実行可能である。また、距離L22が閾値より大きければ反射光が材料の色味を反映していると評価でき、距離L22が閾値より小さければ反射光が色飛びをおこしていると評価できる。
【0052】
<その他変形例>
反射光の計測は、シミュレーションによって実行されてもよい。例えば、
図2のように、モデルMを分光シミュレーションによって模擬し、反射光の分布を点MPにおいて計測することが可能である。このような方法によっても、色空間に点P1をプロットし、上記と同様の評価を実行できる。
【0053】
上記の処理の一部または全部は、制御装置4だけでなく人間によって実行されてもよい。例えば、評価処理の少なくとも一部は、ユーザの作業によっても実行され得る。
【0054】
式11(
図7)においては、u
*、v
*を軸とする2次元の色空間上で2点の座標間距離を求めたが、式12のように3次元空間での座標間距離(色差)を求めてもよい。これは、他の表色系においても同様である(
図9の式24、25、及び、
図10の式37)。
【0055】
ただし、L*u*v*表色系、L*a*b*表色系においては、L*を考慮から除外し、式11、24のように2次元座標における距離を求める方が、評価方法としては好ましい。照明器具32の出力差によって発生し得る反射光の明るさの差異に影響されずに、反射光の色を評価することが可能となるからである。
【0056】
基準点RP1は上記以外の方法によって設定されてもよい。例えば、設計上理想とする色を示す座標の点を基準点RP1とすることができる。
【0057】
距離L1を計測する際、距離は直交座標系における距離だけでなく、例えば極座標系における距離が計測されてもよい。
【0058】
<効果>
上記各実施形態においては、以下のような態様が開示される。
【0059】
(態様1)評価システム10は、建材5の表面で反射した反射光の色を取得する取得処理(S3)と、反射光の色を、色空間上の点P1、P11に変換する処理と、色空間における、予め設定された基準点RP1、RP11の座標と点P1、P11の座標との距離である距離L1、L11を計測する処理と、距離L1に基づいて前記反射光を評価する処理(S4)と、を含む評価方法を実行する。
【0060】
上記構成とすることにより、建材等に反射した光を適切に評価することが可能となり、好適な照明計画を策定できる。
【0061】
(態様2)態様1において、基準点RP1、RP11は、建材5で層内反射した光の色を示す色空間上の座標である。
【0062】
上記構成では、基準点RP1、RP11を層内反射した光の色に基づいて設定されるので、基準点RP1、RP11からの近さを計測することによって、反射光を適切に評価できる。
【0063】
(態様3)態様1または2において実行される評価方法は、色空間における、建材5で表皮反射した光の色を色空間上の座標に変換して得られる基準点RP22と点P11との距離である距離L22を計測する処理をさらに含む。また、距離L11及び距離L22に基づいて、反射光を評価する。
【0064】
上記構成では、距離L11と距離L22との大きさを比較するなどの方法によって、反射光の色をより適切に評価することが可能となる。
【0065】
(態様4)態様1から3のいずれかにおいて、基準点RP1、P11の座標は、反射光の光源の分光分布と建材5の分光拡散反射率とを用いて計算される。
【0066】
上記構成では、実際の反射光を計測することなく、基準点RP1、P11の座標を得ることができる。容易に正確な座標を得ることが可能である。
【0067】
(態様5)態様1から4のいずれかにおいて、建材5に光を照射する処理(S2)をさらに含み、取得処理は、反射光の色を、計測装置を用いて計測する処理(S3)を有する。
【0068】
上記構成では、実物の建材5の反射光を計測することにより、正確に反射光の評価が可能である。
【0069】
(態様6)態様1から5のいずれかにおいて、分光シミュレーションによって反射光の色を取得する処理を含む。
【0070】
上記構成では、
図1に示す実物の評価システムを用意することなく、反射光の正確な評価が可能である。
【0071】
(態様7)態様1から6のいずれかにおいて、評価処理は、プログラムを起動した制御装置4によって実行される。
【0072】
上記構成では、評価処理を正確、迅速に実行することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
評価システム10、計測機1、保持部2、照明部3、制御装置4、建材5