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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044839
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B24B 23/06 20060101AFI20240326BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240326BHJP
   B24B 23/00 20060101ALI20240326BHJP
   B24B 55/10 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B24B23/06
B23Q11/00 M
B24B23/00 C
B24B55/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150609
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】小吹 隆之
【テーマコード(参考)】
3C011
3C047
3C158
【Fターム(参考)】
3C011BB03
3C047FF07
3C047FF17
3C047JJ12
3C047JJ16
3C047JJ18
3C158AA05
3C158AC05
3C158CB03
3C158CB04
(57)【要約】
【課題】作業性を向上する。
【解決手段】ベルトサンダ10では、サイドハウジング24に補強部90が設けられ、補強部90は、サイドハウジング24からモータプーリ54及び伝達プーリ56の軸方向一方側へ突出している。具体的には、補強部90は、架空線Lに沿って延在され、サイドハウジング24から左側へ突出すると共に、その長手方向から見て右側へ開放された凹状(U字形状)に形成されている。このため、サイドハウジング24を補強部90によって補強することができる。したがって、サイドハウジング24において補強部90を省略した場合と比べて、左右方向におけるサイドハウジング24の曲げ剛性を高くすることができる。その結果、サイドハウジング24によるモータプーリ54及び伝達プーリ56への支持状態を良好に維持しつつ、ベルトサンダ10を良好に動作させることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プーリ、第2プーリ、前記第1プーリ及び前記第2プーリに張架されるベルトを含む動力伝達機構と、
前記第1プ―リ及び前記第2プ―リを支持する支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記第1プーリの軸方向に突出するとともに、前記軸方向から見て前記第1プーリの軸線と前記第2プーリの軸線とを結ぶ架空線に沿って延在される補強部と、
を備えた作業機。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、モータと、前記モータの駆動によって回転して空気流を生成するファンと、を有しており、
前記支持部材は、前記空気流が通過する通路部を有しており、前記補強部によって前記通路部が拡張される請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記動力伝達機構から伝達される駆動力によって作動して加工材を加工する加工部を有し、
前記空気流は、加工時に生じる粉塵を集塵するための集塵風である請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記第1プーリ、前記第2プーリ、及び前記ベルトは、前記支持部材に対して前記軸方向の一方側に位置し、
前記補強部は、前記支持部材から前記軸方向の一方側へ突出しており、
前記軸方向から見て、前記補強部が、前記第1プーリ及び前記第2プーリの間で且つ前記ベルトの内側に位置している請求項2に記載の作業機。
【請求項5】
前記第1プーリ及び前記ファンは、前記モータの駆動軸に一体回転可能に設けられており、
前記ファンは、前記通路部の内部に位置しており、
前記補強部は、長手方向から見て前記通路部側へ開放された凹状に形成されている請求項4記載の作業機。
【請求項6】
前記第2プーリの外径が、前記第1プーリの外径よりも大きく設定されており、
前記軸方向と前記架空線の延在方向の双方に直交する方向で、前記補強部は前記第2プ―リに向かって徐々にまたは段階的に拡大する請求項1記載の作業機。
【請求項7】
前記支持部材には、前記空気流の流れをガイドするガイド機構部が設けられている請求項2に記載の作業機。
【請求項8】
前記モータは、左右方向を軸方向としてハウジング部に収容され、前記ハウジング部は、前記空気流によって前記ハウジング部の外部の空気を吸引する吸引室を有し、
前記支持部材が前記ハウジング部に左右方向の一方側から組付けられて、前記通路部が前記吸引室と連通され、
前記通路部の前後方向の一端部には、前記ファンを収容するファン収容部が設けられており、
前記ガイド機構部は、前後方向に延在されて、前記空気流を前記ファンに向けてガイドする第1ガイド部を有している請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前第1ガイド部は、前記通路部の下壁を構成している請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
左右方向から見て、前記第1ガイド部が、前記補強部の長手方向中間部と交差している請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
前記第1プーリ及び前記第2プーリは、左右方向を軸として回転可能に構成され、
前記補強部は、前記支持部材から左右方向一方側へ突出しており、
前記ガイド機構部は、前記補強部に設けられた第2ガイド部を有しており、前記第2ガイド部によって前記空気流を左右方向他方側へガイドする請求項8に記載の作業機。
【請求項12】
前記第2ガイド部が、前記ファン収容部に位置している請求項11に記載の作業機。
【請求項13】
加工部は、
前記動力伝達機構から伝達される駆動力によって回転するドライブプーリと、
前記ドライブプーリと平行に配置されたドリブンプーリと、
前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに張架され、前記ドライブプーリが回転することで周方向に回転する研磨ベルトと、
を含んで構成されている請求項3に記載の作業機。
【請求項14】
前記支持部材には、第1プーリ、第2プーリ、及び前記ベルトを覆うカバー部材が組付けられており、
前記カバー部材の一部が、前記補強部に対して前記補強部の突出方向に隣接して配置されている請求項1に記載の作業機。
【請求項15】
前記軸方向と直交する方向で見て、前記補強部の少なくとも一部は、前記第1プーリまたは前記第2プ―リ、または前記ベルトと重なるように構成されている請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のベルトサンダ(作業機)では、モータの駆動力を伝達する機構部としてベルトを用いた伝達機構部が採用されている。具体的には、伝達機構部が、第1プーリと、第2プーリと、第1プーリ及び第2プーリに架け回されるベルトと、を有しており、第1プーリがモータの駆動力によって回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-207295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ベルトを用いた伝達機構部では、ベルトの張力が、第1プーリ及び第2プーリを介して、第1プーリ及び第2プーリを支持する部材に作用する。具体的には、ベルトの長手方向内側への力が支持部材に作用する。このとき、仮に、支持部材に作用する力によって支持部材が変形すると、ベルトに対する支持性能の低下し、ベルトサンダの作業性が低下する虞がある。また別の課題として、ベルトサンダに集塵機能を持たせた場合、粉塵によって発生した静電気が作業性に影響を与える虞がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、作業性を向上することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、第1プーリ、第2プーリ、前記第1プーリ及び前記第2プーリに張架されるベルトを含む動力伝達機構と、前記第1プ―リ及び前記第2プ―リを支持する支持部材と、前記支持部材に設けられ、前記第1プーリの軸方向に突出するとともに、前記軸方向から見て前記第1プーリの軸線と前記第2プーリの軸線とを結ぶ架空線に沿って延在される補強部と、を備えた作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記動力伝達機構は、モータと、前記モータの駆動によって回転して空気流を生成するファンと、を有しており、前記支持部材は、前記空気流が通過する通路部を有しており、前記補強部によって前記通路部が拡張される作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記動力伝達機構から伝達される駆動力によって作動して加工材を加工する加工部を有し、前記空気流は、加工時に生じる粉塵を集塵するための集塵風である作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1プーリ、前記第2プーリ、及び前記ベルトは、前記支持部材に対して前記軸方向の一方側に位置し、前記補強部は、前記支持部材から前記軸方向の一方側へ突出しており、前記軸方向から見て、前記補強部が、前記第1プーリ及び前記第2プーリの間で且つ前記ベルトの内側に位置している作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1プーリ及び前記ファンは、前記モータの駆動軸に一体回転可能に設けられており、前記ファンは、前記通路部の内部に位置しており、前記補強部は、長手方向から見て前記通路部側へ開放された凹状に形成されている作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2プーリの外径が、前記第1プーリの外径よりも大きく設定されており、前記軸方向と前記架空線の延在方向の双方に直交する方向で、前記補強部は前記第2プ―リに向かって徐々にまたは段階的に拡大する作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記支持部材には、前記空気流の流れをガイドするガイド機構部が設けられている作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記モータは、左右方向を軸方向としてハウジング部に収容され、前記ハウジング部は、前記空気流によって前記ハウジング部の外部の空気を吸引する吸引室を有し、前記支持部材が前記ハウジング部に左右方向の一方側から組付けられて、前記通路部が前記吸引室と連通され、前記通路部の前後方向の一端部には、前記ファンを収容するファン収容部が設けられており、前記ガイド機構部は、前後方向に延在されて、前記空気流を前記ファンに向けてガイドする第1ガイド部を有している作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前第1ガイド部は、前記通路部の下壁を構成している作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、左右方向から見て、前記第1ガイド部が、前記補強部の長手方向中間部と交差している作業機である。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1プーリ及び前記第2プーリは、左右方向を軸として回転可能に構成され、前記補強部は、前記支持部材から左右方向一方側へ突出しており、前記ガイド機構部は、前記補強部に設けられた第2ガイド部を有しており、前記第2ガイド部によって前記空気流を左右方向他方側へガイドする作業機である。
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2ガイド部が、前記ファン収容部に位置している作業機である。
【0018】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、加工部は、前記動力伝達機構から伝達される駆動力によって回転するドライブプーリと、前記ドライブプーリと平行に配置されたドリブンプーリと、前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに張架され、前記ドライブプーリが回転することで周方向に回転する研磨ベルトと、を含んで構成されている作業機である。
【0019】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記支持部材には、第1プーリ、第2プーリ、及び前記ベルトを覆うカバー部材が組付けられており、前記カバー部材の一部が、前記補強部に対して前記補強部の突出方向に隣接して配置されている作業機である。
【0020】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記軸方向と直交する方向で見て、前記補強部の少なくとも一部は、前記第1プーリまたは前記第2プ―リ、または前記ベルトと重なるように構成されている作業機である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るベルトサンダを示す上側から見た平面図である。
図2図1に示されるベルトサンダの左側から見た側面図である。
図3図1に示されるベルトサンダの右側から見た側面図である。
図4図3に示される本体ハウジングの加工凹部と吸引室との連通状態を示す右側から見た断面図である。
図5図2に示されるベルトサンダのサイドハウジングの周辺を、ベルトカバーを取外した状態で示す側面図である。
図6図1に示されるサイドハウジングの内部を示す左側から見た断面図(図1の6-6線断面図)である。
図7図6に示されるサイドハウジングを示す右斜め前方から見た斜視図である。
図8図2に示されるベルトサンダの内部を模式的に示す上側から見た断面図(図2の8-8線断面図)である。
図9図4に示される本体ハウジングの吸引室とサイドハウジングの集塵風路部との連通状態を示す上側から見た断面図(図4の9-9線断面図)である。
図10図2に示されるベルトカバーのサイドハウジングへの組付状態を示す後側から見た断面図(図2の10-10線断面図)である。
図11図8に示される補強部のサイドハウジングからの突出量を変更した例を示す図8に対応する断面図である。
図12】ベルトカバーとサイドハウジングを取り外して左斜め前方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る作業機としてのベルトサンダ10について説明する。なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印LHは、ベルトサンダ10の上側、前側、左側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ベルトサンダ10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0024】
図1図3、及び図8に示されるように、ベルトサンダ10は、加工材に対して研磨加工等を施す電動工具として構成されている。ベルトサンダ10は、ハウジング20と、動力伝達機構40と、加工部としてのドライブプーリ66及びドリブンプーリ72と、カバー部材としてのベルトカバー80と、を含んで構成されている。また、ベルトサンダ10は、ハウジング20におけるサイドハウジング24の曲げ剛性を高くするための補強部90を有している。以下、ベルトサンダ10の各構成について説明する。
【0025】
(ハウジング20について)
図1図4に示されるように、ハウジング20は、ベルトサンダ10の外郭を構成している。ハウジング20は、ハウジング部としての本体ハウジング22と、ハウジング20の左端部を構成する支持部材としてのサイドハウジング24と、を含んで構成されている。
【0026】
(本体ハウジング22について)
本体ハウジング22は、左右方向に分割されたハウジング部材によって構成されており、当該ハウジング部材を互いに組付けることで、本体ハウジング22が形成されている。本体ハウジング22は、上下方向を厚み方向とし且つ前後方向を長手方向とする中空の略直方体箱状に形成されている。本体ハウジング22の下端部には、後述するドライブプーリ66、ドリブンプーリ72、及び研磨ベルト78を収容するための加工凹部22A(図3及び図4参照)が形成されており、加工凹部22Aは、下側及び右側へ開放された凹状に形成されている。加工凹部22Aの前後方向中間部には、研磨ベルト78を支持するベルト支持部22Bが設けられており、ベルト支持部22B(図3及び図4参照)は、加工凹部22Aの左側面から右側へ突出している。ベルト支持部22Bの下面は、上下方向に直交する面に沿って形成されている。
【0027】
本体ハウジング22の後部には、加工凹部22Aの上側において、コントローラハウジング部22Cが設けられている。図6図8、及び図9にも示されるように、コントローラハウジング部22Cの下部には、研磨加工時に生じる粉塵を吸引するための吸引室22Dが設けられており、吸引室22Dは、左側へ開放された凹状に形成されている。吸引室22Dの後端部は、後側へ開放された吸引口部22D1(図4及び図9参照)として構成され、吸引口部22D1によって、吸引室22Dと加工凹部22Aとが連通している。具体的には、加工凹部22Aの後壁が、側面視で前側へ開放された略C字形状に形成されており、当該後壁の上端部が、吸引室22Dの上壁22D2に接続されている(図4参照)。吸引室22Dの前壁22D3における右部は、左右方向に延在されており、吸引室22Dの前壁22D3における左部は、平面視で左側へ向かうに従い前側へ傾斜している(図9参照)。吸引室22Dの左端部は、他の部分と比べて上側へ突出すると共に、左側へ開放されている(図6及び図10参照)。なお、吸引室22Dの下壁22D4が、加工凹部22Aの上壁を構成している。
【0028】
図10に示されるように、コントローラハウジング部22Cの上部には、コントローラ収容室22Eが形成されている。コントローラ収容室22Eは、吸引室22Dの左端部の右側に隣接して配置され、吸引室22Dとコントローラ収容室22Eとの間には、隔壁22Fが設けられている。コントローラ収容室22Eの右壁には、複数の吸気口22Gが形成されている。コントローラ収容室22Eには、コントローラ30が収容されており、コントローラ30は、上下方向を厚み方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形偏平状に形成されている。
【0029】
図1図3、及び図8に示されるように、本体ハウジング22の前部には、加工凹部22Aの上側で且つ吸引室22D及びコントローラ収容室22Eの前側において、モータハウジング部22Hが設けられている。モータハウジング部22Hは、左側へ開放された略有底円筒状に形成されており、モータハウジング部22Hの上部が、コントローラハウジング部22Cよりも上側へ突出している。モータハウジング部22Hの右部とコントローラ収容室22Eの右部とは、前後方向に連通している。
【0030】
本体ハウジング22の後端部には、バッテリ32が上側から着脱可能に装着されている。バッテリ32は、コントローラ30及び後述するモータ42に電力を供給する。本体ハウジング22の上部には、ハンドル部22Jが一体に設けられている。ハンドル部22Jは、本体ハウジング22の後端部から上斜め前方側へ延出されており、ハンドル部22Jの前端部が下方側へ屈曲されて、モータハウジング部22Hに接続されている。ハンドル部22Jの前端部には、ノブ部22Kが設けられており、ノブ部22Kは、平面視で略T字形状に形成されている。具体的には、ノブ部22Kは、ハンドル部22Jの前端部から前側へ延出されると共に、ノブ部22Kの前端部が左右方向外側へ突出している。ハンドル部22Jの前端部には、トリガ34が設けられており、トリガ34は、上側へ引き操作可能にハンドル部22Jから下側へ突出している。ハンドル部22Jの前端部には、図示しないスイッチが設けられており、トリガ34が引き操作されることで、スイッチが、作動してオン信号をコントローラ30へ出力する。
【0031】
(サイドハウジング24について)
図1図2図5図10に示されるように、サイドハウジング24は、樹脂製とされている。サイドハウジング24は、右側へ開放された比較的底の浅い箱状に形成されると共に、左側から見て、前側へ向かうに従い上側へ傾斜する方向に沿って延在されている。サイドハウジング24は、本体ハウジング22の左側に隣接配置されて、本体ハウジング22に締結固定されると共に、モータハウジング部22H及び吸引室22Dを左側から閉塞している。
【0032】
サイドハウジング24の内部には、上下方向中間部において、後述する集塵風W2の流れをガイドするためのガイド機構部92を構成する第1ガイド部としての第1ガイド壁24Aが形成されている。第1ガイド壁24Aは、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在された略長尺板状に形成されて、サイドハウジング24の底壁24K(左壁)から右側へ突出している。底壁24Kは、サイドハウジング24における前後上下に延びる平板上の部分である。これにより、第1ガイド壁24Aによってサイドハウジング24の内部が上下に区画されている。第1ガイド壁24Aの上下位置は、本体ハウジング22における吸引室22Dの下壁22D4の上下位置と略一致しており、サイドハウジング24の上部内が通路部としての集塵風路部24Bとして構成されている。これにより、集塵風路部24Bの下壁が、第1ガイド壁24Aによって構成されると共に、集塵風路部24Bが吸引室22Dと連通している。集塵風路部24Bは、吸引室22Dと共に、後述するファン48によって生成される集塵風W2の通路部として構成されている。
【0033】
集塵風路部24Bの前端部は、後述するファン48を収容するファン収容部24Cとして構成されている。左側から見たファン収容部24Cの外形は、モータハウジング部22Hに対応して、略円形状に形成されており、集塵風路部24Bにおけるファン収容部24C以外の部分と比べて上側へ突出している。ファン収容部24Cの底壁24Kの略中央部には、第1支持筒部24D(広義には、第1支持部として把握される要素である)が形成されており、第1支持筒部24Dは、左右方向を軸方向とする円筒状に形成されて、サイドハウジング24から右側へ突出している。
【0034】
ファン収容部24Cにおける上端部の後部には、粉塵を排出するための排出筒部24E(広義には、排出部として把握される要素である)が設けられている。排出筒部24Eは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されており、排出筒部24Eの後端部がファン収容部24Cの上端後部に接続されて、排出筒部24Eとファン収容部24Cとが連通している。排出筒部24Eの後端部は、ダストボックスや集塵機の接続ホース等の集塵アタッチメントが取付可能に構成されており、排出筒部24Eから排出される粉塵をダストボックス等に集塵できるようになっている(図2では、ダストボックス100が排出筒部24Eに取付けられた例を示している)。集塵アタッチメントとしては、上記のほかに可撓性の集塵バッグも含まれる。排出筒部24Eには様々な集塵アタッチメントが択一的に装着可能である。排出筒部24Eの後端には、後述する折曲部120Bが引っ掛かる(係合する)被係合部24Jが設けられる。
【0035】
サイドハウジング24の後端側部分には、第1ガイド壁24Aの下側において、第2支持筒部24F(広義には、第2支持部として把握される要素である)が形成されており、第2支持筒部24Fは、左右方向を軸方向とする円筒状に形成されて、サイドハウジング24の底壁から右側へ突出している。サイドハウジング24には、第2支持筒部24Fの後斜め下方側において、リヤ筒部24Gが設けられており、リヤ筒部24Gは、左右方向を軸方向とする円筒状に形成されて、サイドハウジング24の底壁から右側へ突出している。リヤ筒部24Gは、第2支持筒部24Fと重なるように配置されており、第2支持筒部24Fの一部が、リヤ筒部24Gの径方向内側に重なるように位置している。
【0036】
図8に示されるように、サイドハウジング24の後端部の右側には、後述するドライブプーリ66を支持するためのインナハウジング26が設けられている。インナハウジング26は、左側へ開放された略段付き円筒状に形成されて、リヤ筒部24G及び第2支持筒部24Fを右側から覆うように、サイドハウジング24に固定されている。インナハウジング26には、右側へ突出したシャフト支持部26Aが一体に形成されている。シャフト支持部26Aは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、リヤ筒部24Gと同軸上に配置されている。
【0037】
図5に示されるように、サイドハウジング24には、後述する伝達ベルト64を囲む囲繞壁24Hが形成されている。囲繞壁24Hは、左側から見て、第1支持筒部24D(後述するモータプーリ54)の軸線と第2支持筒部24F(後述する伝達プーリ56)の軸線とを結ぶ架空線Lに沿って延在された枠状に形成されており、サイドハウジング24から左側へ突出している。すなわち、囲繞壁24Hは、左側から見て、前側へ向かうに従い上側へ傾斜する方向に沿って延在している。囲繞壁24Hの幅寸法は、前側へ向かうに従い小さくなるように設定されている。
【0038】
(動力伝達機構40について)
図8に示されるように、動力伝達機構40は、モータ42と、第1プーリとしてのモータプーリ54と、第2プーリとしての伝達プーリ56と、を含んで構成されている。モータ42は、ブラシレスモータとして構成され、本体ハウジング22のモータハウジング部22Hに収容されている。モータ42は、コントローラ30に電気的に接続されており、コントローラ30の制御によって駆動する。モータ42は、左右方向を軸方向とする駆動軸42Aを有している。駆動軸42Aの右端部は、モータハウジング部22Hに保持されたモータ軸受44によって回転可能に支持されており、駆動軸42Aの左端側部分が、サイドハウジング24の第1支持筒部24Dに保持されたモータ軸受46によって回転可能に支持されている。駆動軸42Aの左端部は、サイドハウジング24よりも左側へ突出して、囲繞壁24Hの前端部内に配置されている。
【0039】
駆動軸42Aの左端側部分には、ファン48が一体回転可能に設けられており、ファン48は、本体ハウジング22のモータハウジング部22H及びサイドハウジング24のファン収容部24C内に配置されている。ファン48は、ファンベース48Aを有しており、ファンベース48Aは、左右方向を板厚方向とする略円板状に形成されている。ファン48の右部(ファンベース48Aよりも右側部分)は、冷却ファン部48Bとして構成され、ファン48の左部は、集塵ファン部48Cとして構成されている。
【0040】
冷却ファン部48Bは、遠心ファンとして構成されており、モータハウジング部22H内に配置されている。具体的には、冷却ファン部48Bは、ファンベース48Aから右側へ突出した複数の羽根部を有しており、冷却ファン部48Bの中央側から流入される空気を径方向外側へ流出するようになっている。これにより、吸気口22Gから本体ハウジング22内に流入される冷却風W1が発生して、冷却風W1がコントローラ30及びモータ42を通過して、冷却ファン部48Bに流入されるように構成されている。なお、冷却ファン部48Bの径方向外側には、リング状の第1ファンガイド50が設けられており、冷却ファン部48Bの径方向外側へ流出された冷却風W1が、第1ファンガイド50の前部に形成された排気口50Aから本体ハウジング22の外部へ排気されるようになっている。
【0041】
図6及び図8に示されるように、集塵ファン部48Cは、冷却ファン部48Bと同様に、遠心ファンとして構成されて、ファン収容部24C内に配置されている。集塵ファン部48Cは、ファンベース48Aから左側へ突出した複数の羽根部を有しており、集塵ファン部48Cの中央側から流入される空気を径方向外側へ流出するようになっている。なお、集塵ファン部48Cの径方向外側には、右側へ開放された略有底筒状の第2ファンガイド52が設けられている。第2ファンガイド52の底壁の中央部には、連通孔52Aが貫通形成されており、連通孔52Aには、第1支持筒部24Dの右端部が挿通している。また、第2ファンガイド52には、開口部52Bが貫通形成されており、集塵ファン部48Cから流出される空気を開口部52Bから排出筒部24Eへ流すようになっている。これにより、集塵ファン部48Cによって、本体ハウジング22の吸引口部22D1から吸引室22D内に流入される空気流としての集塵風W2が発生し、集塵風W2は、サイドハウジング24の集塵風路部24B及び第2ファンガイド52の連通孔52A内を通過して、集塵ファン部48Cに流入されるようになっている。集塵ファン部48Cに流入された集塵風W2は、集塵ファン部48Cの径方向外側へ流れて、排出筒部24E内に流入され、排出筒部24Eの後端部からハウジング20の外部へ排気されるようになっている。
【0042】
図5及び図8に示されるように、モータプーリ54は、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成され、モータ42の駆動軸42Aの左端部に一体回転可能に固定されると共に、囲繞壁24Hの前端部内に配置されている。モータプーリ54は、所謂Vベルトプーリとして構成されており、モータプーリ54の左側外周部には、複数の溝部が形成されている。
【0043】
伝達プーリ56は、伝達シャフト58を介して、サイドハウジング24の後端部に回転可能に連結されている。伝達シャフト58は、左右方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。伝達シャフト58の右端部は、インナハウジング26に保持されたシャフト軸受60によって回転可能に支持され、伝達シャフト58の軸方向中間部が、第2支持筒部24Fに保持されたシャフト軸受62に回転可能に支持されており、伝達シャフト58の左端部が、サイドハウジング24から左側へ突出して、囲繞壁24Hの後端部内に配置されている。伝達プーリ56は、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成され、伝達シャフト58の左端部に一体回転可能に固定されている。伝達プーリ56は、モータプーリ54と同様に、所謂Vベルトプーリとして構成されており、伝達プーリ56の外周部には、複数の溝部が形成されている。伝達プーリ56の外径は、モータプーリ54の外径よりも大きく設定されている。
【0044】
モータプーリ54及び伝達プーリ56の外周部には、無端状のベルトとしての伝達ベルト64が架け回され(張架され)ており、伝達ベルト64は、Vベルトとして構成されている。これにより、モータ42が駆動すると、モータプーリ54、伝達ベルト64、及び伝達プーリ56によって、モータ42の駆動力が伝達シャフト58に伝達されて、伝達シャフト58が回転する。伝達シャフト58の右端側部分の外周部には、ピニオンギヤ58Aが形成されている。
【0045】
(ドライブプーリ66及びドリブンプーリ72について)
図3図4、及び図8に示されるように、ドライブプーリ66は、ドライブシャフト68を介してインナハウジング26に回転可能に連結されている。ドライブシャフト68は、左右方向を軸方向とする略円柱状に形成され、インナハウジング26のシャフト支持部26Aに挿入されて、シャフト支持部26Aに回転可能に支持されている。ドライブシャフト68の左端部は、シャフト支持部26Aから左側に突出しており、伝達シャフト58の後方側に位置している。ドライブシャフト68の左端部には、円筒状の伝達ギヤ70が一体回転可能に設けられており、伝達ギヤ70が伝達シャフト58のピニオンギヤ58Aに噛合されている。ドライブシャフト68の右部は、シャフト支持部26Aから右側へ突出されて、本体ハウジング22における加工凹部22Aの後端部内に配置されている。
【0046】
ドライブプーリ66は、左側へ開放された略有底円筒状に形成されている。ドライブプーリ66の底壁(右壁)の中央部には、左右方向を軸方向とする円筒状の連結軸部66Aが形成されており、連結軸部66Aがドライブプーリ66の底壁から左側へ突出している。そして、ドライブシャフト68の右部が、連結軸部66A内に嵌入されて、ドライブプーリ66がドライブシャフト68に一体回転可能に連結されている。これにより、モータ42の駆動時には、モータ42の駆動力が、ドライブシャフト68に伝達されて、ドライブプーリ66が、ドライブシャフト68と共に回転する、具体的には、ドライブプーリ66が、右側から見て、時計回りに回転する。
【0047】
ドリブンプーリ72は、左右方向を軸方向とする円筒状に形成されている。ドリブンプーリ72は、加工凹部22Aの前端部内に配置されており、支持軸74によって、回転可能に支持されている。支持軸74は、ドリブンプーリ72を支持するためのプーリ支持機構76の支持プレート76Aに固定されており、プーリ支持機構76は、本体ハウジング22のベルト支持部22Bに固定されている。
【0048】
ドライブプーリ66及びドリブンプーリ72には、無端状の研磨ベルト78が架け回され(張架され)ており、研磨ベルト78の下端部における前後方向中間部が、ベルト支持部22Bの下側に隣接配置されている。なお、ドライブプーリ66及びドリブンプーリ72の下端は、ベルト支持部22Bの下面よりも若干上側に位置している。これにより、動力伝達機構40によってドライブプーリ66が回転することで、研磨ベルト78が自身の周方向に沿って回転すると共に、ドリブンプーリ72が支持軸74回りに回転する。よって、研磨ベルト78の下端部における前後方向中間部を、加工材に上側から押付けることで、加工材に対して研磨加工を施すことができる。そして、ドライブプーリ66、ドリブンプーリ72、及び研磨ベルト78が、本発明の加工部に対応している。
【0049】
(ベルトカバー80について)
図1図2、及び図8図10に示されるように、ベルトカバー80は、サイドハウジング24と同様に、右側へ開放された比較的底の浅い箱状に形成されている。左側から見たベルトカバー80の外形は、サイドハウジング24の囲繞壁24Hの外形に対応した形状に形成されており、ベルトカバー80は、左側から見て、前側へ向かうに従い上側へ傾斜する方向に沿って延在している。ベルトカバー80は、囲繞壁24Hの左側に隣接配置されると共に、サイドハウジング24に締結固定されている。これにより、囲繞壁24Hがベルトカバー80によって閉塞されて、ベルトカバー80が、モータプーリ54、伝達プーリ56、及び伝達ベルト64を左側から覆っている。
【0050】
(補強部90について)
図5、及び図7図10に示されるように、補強部90は、サイドハウジング24の底壁24Kに設けられている。補強部90は、左側から見て、伝達ベルト64の内部に配置されると共に、モータプーリ54と伝達プーリ56との間に位置している。補強部90は、架空線Lに沿って延在されており、その長手方向(架空線Lの延在方向)で見て、右側へ開放された略U字形状(凹形状)に形成されると共に、サイドハウジング24から左側へ突出している。すなわち、補強部90は、板状となるサイドハウジング24の一部が、左方向に膨らんだ形状を成している。補強部90の幅寸法は、後側へ向かうにつれて大きくなるように設定されている。具体的には、補強部90の長手方向に延在される上下の側壁90Aが、伝達ベルト64に平行となるように配置されている。補強部90は上下方向で見たとき伝達ベルト64と一部が重なる程度に底壁24Kから突出している。また、前後方向(または架空線Lの延在方向)で見たとき、補強部90はモータプーリ54と伝達プーリ56と少なくとも一部が重なるように突出している。すなわち、モータプーリ54(または伝達プーリ56)の軸方向と直交する方向(前後または上下方向)で見たとき、補強部90の少なくとも一部は、伝達ベルト64、またはモータプーリ54、または伝達プーリ56と重なるように構成されている。
【0051】
また、補強部90の上部は、左右方向から見て、サイドハウジング24の集塵風路部24Bと重なっている。すなわち、第1ガイド壁24Aが補強部90の長手方向中間部を交差しており、補強部90によって集塵風路部24Bの体積を増加するように構成されている。補強部90の前端部には、第2ガイド部としての傾斜部90Bが形成されており、傾斜部90Bは、補強部90の長手方向外側(前方)へ向かうに従い右側(モータプーリ54から離れる方向)へ傾斜している(突出する量が減少している)。傾斜部90Bは、ファン収容部24Cに位置しており、傾斜部90Bの前端部が、第1支持筒部24Dの左端部に接続されている。これにより、補強部90内を前側へ流れる集塵風W2を、傾斜部90Bによって右側へガイドして、ファン収容部24C側(ファン48側)へ導くようになっている。なお、傾斜部90Bは、前述した第1ガイド壁24Aと共に、集塵風W2をガイドするガイド機構部92を構成している。また、補強部90の後端部は、第2支持筒部24Fの左端部に接続されている。さらに、補強部90の後端部には、傾斜部90Cが形成されており、傾斜部90Cは、補強部90の長手方向外側(後方)に向かうに従い右側(伝達プーリ56から離れる方向)へ傾斜している。
【0052】
また、前述したベルトカバー80には、補強部90に対応する位置において、上下一対の第1カバーリブ80Aが設けられており、第1カバーリブ80Aは、左右方向から見て、補強部90と重なる位置に配置されている(図5参照)。第1カバーリブ80Aは、補強部90の長手方向に沿って延在すると共に、ベルトカバー80から右側へ突出している。具体的には、一対の第1カバーリブ80Aは、後側へ向かうに互いに離間する方向に傾斜している。第1カバーリブ80Aの間には、複数(本実施の形態では、3箇所)の第2カバーリブ80B(図5参照)が形成されている。第2カバーリブ80Bは、補強部90の長手方向に対して直交する方向に沿って延在されており、第2カバーリブ80Bによって第1カバーリブ80Aが連結されている。第1カバーリブ80A及び第2カバーリブ80Bは、補強部90の左側に隣接して配置されている。
【0053】
(導電テープ110、導電プレート120について)
図12に示されるように、第2ファンガイド52の外周部には、導電テープ110が設けられている。導電テープ110は導電性を有する。導電テープ110はアルミ製のテープである。導電テープ110は一方の面に粘着剤が塗布されている。粘着剤が塗布された導電テープ110の一方の面を第2ファンガイド52の外周部に貼り付けることで、導電テープ110が第2ファンガイド52に固定されている。導電テープ110は開口部52Bの範囲を除いて第2ファンガイド52の外周において全体的に設けられる。導電テープ110の一端には延長部110aが設けられる。延長部110aは導電テープ110の一部であり、第2ファンガイド52の外周部分から内方に向かう方向に延びる。延長部110aは第2ファンガイド52の周方向と交差する方向に延びる部分である。図示は省略するが、延長部110aは面積の大きな部分と小さな部分がある。
【0054】
図12に示されるように、ベルトサンダ10は導電プレート120を有する。導電プレート120はその大部分がサイドハウジング24の内部に位置するものである。導電プレート120は、金属製の板をプレス等により加工されたものである。導電プレート120は前後方向の中心位置で屈曲されている。導電プレート120は前方に縦壁部120aを有する。縦壁部120aは前後上下に延びる平板上の部分である。縦壁部120aの前端部分は延長部110aと接触している。縦壁部120aの左面はサイドハウジング24に当接し、右面は第2ファンガイド52に当接している。すなわち、縦壁部120aは左右方向で、サイドハウジング24と第2ファンガイド52によって挟まれて保持されている。導電プレート120は後方に折曲部120bを有する。折曲部120bは導電プレート120の後端を上に折り曲げた部分であり、上側は山なりの形状を成している。折曲部120bは、被係合部24Jに係合する。すなわち、導電プレート120は、前端部分がサイドハウジング24と第2ファンガイド52によって挟まれて保持され、かつ後端部分が被係合部24Jに係合することでベルトサンダ10に保持される。折曲部120bは上下方向(排出筒部24Eの径方向)で、排出筒部24Eと集塵アタッチメントの間に介在し、これらを接続するように構成されている。折曲部120bの上端は山なりになっているため、接続された集塵アタッチメントによって弾性変形可能となっており、これによって排出筒部24Eと集塵アタッチメント間の接続を好適に保てるようになっている。
【0055】
(作用効果)
上記のように構成されたベルトサンダ10の研磨加工時には、作業者がベルトサンダ10のトリガ34を引き操作することで、モータ42が駆動し、動力伝達機構40によってモータ42の駆動力がドライブプーリ66に伝達され、研磨ベルト78が周方向に回転する。これにより、研磨ベルト78の下面を加工材に押し付けることで、加工材に対して研磨加工が施される。
【0056】
また、モータ42の駆動時には、ファン48が、モータ42の駆動軸42Aと共に回転する。これにより、ファン48の冷却ファン部48Bによって、冷却風W1が発生すると共に、ファン48の集塵ファン部48Cによって、集塵風W2が発生する。
【0057】
具体的には、ハウジング20の吸気口22Gからコントローラハウジング部22C内に流入される冷却風W1が発生する。コントローラハウジング部22Cに流入された冷却風W1は、モータハウジング部22H内を左側へ流れて、冷却ファン部48Bに引き込まれる。これにより、冷却風W1によって、コントローラ30及びモータ42が冷却される。
【0058】
一方、集塵ファン部48Cが回転することで、ハウジング20の集塵風路部24B及び吸引室22Dにおいて、集塵ファン部48C側へ流れる集塵風W2が発生する。具体的には、本体ハウジング22における加工凹部22A内の空気が吸引口部22D1から吸引室22D内に流れて、加工凹部22Aから吸引室22D内に流れる集塵風W2が発生する。また、研磨加工時に生じる粉塵が、研磨ベルト78の後端部において巻き上げられる。このため、粉塵を含む集塵風W2が吸引口部22D1から吸引室22D内に流入される。吸引室22Dに流入された集塵風W2は、サイドハウジング24の集塵風路部24Bを通過し、第2ファンガイド52の連通孔52A内を通過して、集塵ファン部48Cに流入される。集塵ファン部48Cに流入された集塵風W2は、集塵ファン部48Cの径方向外側へ流れ、排出筒部24Eの内部を通過して、排出筒部24Eの後端部から後側へ排気される。したがって、研磨加工時に生じる粉塵が、排出筒部24Eから排出されつつ、ダストボックス100等に集塵される。
【0059】
ところで、ベルトサンダ10では、樹脂製のサイドハウジング24によって、モータプーリ54及び伝達プーリ56が支持されており、モータプーリ54及び伝達プーリ56には、伝達ベルト64が架け回されている。すなわち、サイドハウジング24には、モータプーリ54及び伝達プーリ56に架け回された伝達ベルト64の張力によって、架空線Lに沿った圧縮力が作用する。このため、当該圧縮力によってサイドハウジング24が仮に変形すると、モータプーリ54及び伝達プーリ56に対する支持性能が低下して、ベルトサンダ10の動作に影響を与える可能性がある。この場合には、ベルトサンダ10の作業性が低下する虞がある。
【0060】
ここで、サイドハウジング24には、補強部90が設けられており、補強部90は、サイドハウジング24からモータプーリ54及び伝達プーリ56の軸方向一方側(左側)へ突出している。具体的には、補強部90は、モータプーリ54の軸線と伝達プーリ56の軸線とを通過する架空線Lに沿って延在されており、サイドハウジング24から左側へ突出すると共に、その長手方向から見て右側へ開放された凹状(U字形状)に形成されている。このため、サイドハウジング24における第1支持筒部24Dと第2支持筒部24Fとの間の部位を、補強部90によって補強することができる。また、補強部90は上下方向で見たとき伝達ベルト64と一部が重なる程度に底壁24Kから突出している。また、前後方向(または架空線Lの延在方向)で見たとき、補強部90はモータプーリ54と伝達プーリ56と少なくとも一部が重なるように突出している。すなわち、モータプーリ54(または伝達プーリ56)の軸方向と直交する方向(前後または上下方向)で見たとき、補強部90の少なくとも一部は、伝達ベルト64、またはモータプーリ54、または伝達プーリ56と重なるように構成されている。こうすることで、従来デッドスペースであったベルトの張架空間を有効利用するとともに、サイドハウジング24の強度向上を図ることができる。したがって、サイドハウジング24において補強部90を省略した場合と比べて、左右方向におけるサイドハウジング24の曲げ剛性を高くすることができる。その結果、サイドハウジング24によるモータプーリ54及び伝達プーリ56への支持状態を良好に維持しつつ、ベルトサンダ10を良好に動作させることができる。以上により、ベルトサンダ10の作業性を向上することができる。なお、後述する集塵効率向上のため、本実施の形態では補強部90を一方側(左側)では突出し、他方側(右側)では凹となる形状としたが、単に強度向上を目的とするだけであれば凹を設ける必要はなく、単にベルトの張架方向に延びるリブによってサイドハウジング24の強度向上を図ってもよい。
【0061】
また、サイドハウジング24は、樹脂製とされている。これにより、ベルトサンダ10の軽量化を図りつつ、左右方向の重量バランスを良好にすることができる。すなわち、例えば、サイドハウジング24を金属製とすることで、サイドハウジング24の曲げ剛性を高くして、モータプーリ54及び伝達プーリ56に対する支持性能を向上することができる。しかしながら、サイドハウジング24を金属製とすると、サイドハウジング24及びベルトサンダ10の重量が増加する。また、サイドハウジング24は、ハウジング20の左端部を構成しているため、左右方向におけるベルトサンダ10の重量バランスが悪化する可能性がある。具体的には、サイドハウジング24は、研磨ベルト78に対して左側に位置している。これにより、加工材に対して研磨ベルト78を上側から押付けて研磨加工を行うベルトサンダ10では、研磨ベルト78の左側部による研磨量が研磨ベルト78の右側部による研磨量よりも大きくなる。このため、左右方向における研磨量を均一にするために、作業者がベルトサンダ10の姿勢を補正しながら作業する必要があり、ベルトサンダ10の作業性が悪化する可能性がある。これに対して、本実施形態では、サイドハウジング24が、樹脂製とされてため、サイドハウジング24及びベルトサンダ10の軽量化を図ることができる。また、サイドハウジング24を樹脂製とすることで、左右方向におけるベルトサンダ10の重量バランスを良好にしつつ、加工材に対する研磨ベルト78による研磨量を左右方向において均一化することができる。したがって、ベルトサンダ10の作業性を一層向上することができる。
【0062】
また、サイドハウジング24の上部内は、ファン48(集塵ファン部48C)によって生成される集塵風W2が通過する集塵風路部24Bとして構成されている。さらに、補強部90が、集塵風路部24Bと重なる位置に配置され、サイドハウジング24から左側(集塵風路部24Bとは反対側)へ突出して、集塵風路部24Bを拡張している。これにより、集塵風路部24B内を流れる集塵風W2に対する流路抵抗を低くすることができる。その結果、集塵風W2を、ファン48側へ良好に流して、排出筒部24Eから排出することができる。したがって、ファン48による集塵効率を高くすることができる。図10では集塵風W2の動きを簡略化して表現しているが、上記するように、集塵風W2は補強部90(凹部)によって拡張された空間を通ることが可能に構成されている。従って、吸引室22Dからの集塵風W2は、左方向に移動して補強部90(凹部)を通り、そこから右方向に移動して第2ファンガイド52の内側に至り、そこから左方向に移動して排出筒部24Eに至ることが可能に構成されている。
【0063】
また、補強部90は、自身の長手方向から見て、集塵風路部24B側へ開放された凹状(U字形状)に形成されている。このため、補強部90の長手方向に延在する上下の側壁90Aが、補強部90内の集塵風W2をファン48側へガイドするガイド壁として機能する。したがって、補強部90内の集塵風W2をファン48側へ良好に流すことができる。
【0064】
また、補強部90は、左側から見て、伝達ベルト64の内側に配置されている。したがって、伝達ベルト64の内側空間内を有効に活用して、補強部90をサイドハウジング24に設けることができる。
【0065】
また、補強部90の幅寸法が後側へ向かうに従い大きくなるように設定されている。すなわち、補強部90の側壁90Aの外側面(上面及び下面)が伝達ベルト64に平行に配置されている。これにより、補強部90の幅寸法を前端部の幅寸法で一定に設定した場合と比べて、左右方向から見た補強部90の外形を大きくすることができる。これにより、サイドハウジング24の曲げ剛性を効果的に高くすることができると共に、集塵風路部24Bの体積を有効に増加させることができる。なお、補強部90の外形を可能な限り大きくするために側壁90Aの外側面(上面及び下面)が伝達ベルト64に対して平行となるようにしたが、後側(伝達プーリ56側)に向かって徐々にまたは段階的に幅が大きくなるように構成すればよい。こうすることで、伝達ベルト64の張架空間を有効活用して補強部90を大きくすることが容易となる。
【0066】
また、サイドハウジング24の内部には、第1ガイド壁24Aが形成されている。第1ガイド壁24Aは、上下方向を板厚方向として、前後方向に延在されている。これにより、集塵風路部24B内に流入される集塵風W2を、第1ガイド壁24Aによって前側へガイドして、ファン48側へ良好に流すことができる。また、第1ガイド壁24Aによって、サイドハウジング24を補強することができる。これにより、サイドハウジング24の曲げ剛性を一層高くすることができる。
【0067】
また、第1ガイド壁24Aの上下位置が本体ハウジング22における吸引室22Dの下壁と略一致しており、第1ガイド壁24Aが集塵風路部24Bの下壁を構成している。このため、集塵風W2によってサイドハウジング24内に流れる粉塵がサイドハウジング24の下部に滞留することを抑制できる。
【0068】
また、第1ガイド壁24Aが補強部90の長手方向中間部と交差している。これにより、第1ガイド壁24Aによって補強部90をも補強することができる。したがって、サイドハウジング24の曲げ剛性を効果的に高くすることができる。
【0069】
また、補強部90の底壁の前端部には、傾斜部90Bが設けられており、傾斜部90Bは、補強部90の長手方向外側へ向かうに従い右側へ傾斜している。これにより、補強部90内に流入された集塵風W2を、傾斜部90Bによってファン収容部24C側へガイドすることができる。したがって、集塵風W2を一層良好にファン収容部24C側へ流すことができる。
【0070】
また、傾斜部90Bは、ファン収容部24Cに設けられており、傾斜部90Bの前端部が、第1支持筒部24Dの左端部に接続されている。これにより、集塵風W2を効果的にファン48側に流すことができる。
【0071】
また、補強部90の端部には、傾斜部(傾斜部90B,90C)が設けられている。このように構成することで、モータプ―リ54または伝達プ―リ56と補強部90が干渉してしまうことを抑制しながら、2つのプーリの近くまで補強部(凸部)90を配置し、その長さによってさらなる耐久性向上を図ることができる。
【0072】
また、モータプーリ54、伝達プーリ56、及び伝達ベルト64を覆うベルトカバー80には、第1カバーリブ80A及び第2カバーリブ80Bが設けられており、第1カバーリブ80A及び第2カバーリブ80Bは、補強部90の左側に隣接して配置されている。このため、例えば、ベルトカバー80が右側(サイドハウジング24側)へ撓んだときには、第1カバーリブ80A及び第2カバーリブ80Bが、補強部90に当接して、補強部90によってベルトカバー80を左側から支持することができる。すなわち、突出する補強部90が直接的または間接的にベルトカバー80と接触することで、ベルトカバー80の変形を抑制することができる。従って、例えば落下した際にベルトカバー80に衝撃が加わったとしても、補強部90がベルトカバー80の変形を抑制し、ベルトカバー80の破損を抑制することができる。ひいては、ベルトカバー80の耐久性向上を図ることができる。したがって、サイドハウジング24の曲げ剛性を高くし且つ粉塵に対する集塵効率を高くするための補強部90によって、ベルトサンダ10の全体の剛性を高くすることができる。
【0073】
また、導電テープ110と導電プレート120とによって静電気を集塵アタッチメントへ逃がすことが可能となっている。上記したように、本実施の形態では集塵効率の向上を図ることができるが、集塵効率を上げると粉塵が高速では流れることにより、樹脂部分と粉塵との摩擦によって静電気が発生しやすい。静電気が蓄積されると、内部の電子部品に悪影響を与える恐れがある。そこで本実施の形態では、特に静電気が発生しやすい第2ファンガイド52の外周に導電テープ110を設けることで、導電テープ110を介して第2ファンガイド52に蓄積された静電気(電荷)を移動させることができる。さらに、導電テープ110の端部に設けられた延長部110aには導電プレート120(縦壁部120a)が接続されており、第2ファンガイド52に蓄積された静電気を導電プレート120に移動させることができる。そして導電プレート120の後端には折曲部120bが設けられ、折曲部120bには集塵アタッチメントが接続される。従って、第2ファンガイドに蓄積された静電気を、集塵アタッチメントに逃がすことができる。また、本実施の形態では、静電気を移動させるため、柔軟なテープ状の導電テープ110と、硬めの性質を有する金属のプレートである導電プレート120とを組み合わせて構成している。すなわち、柔軟性の異なるものを組み合わせて静電気の導電構成を構築している。こうすることで、ファンガイドのような円形状を有するものには柔軟性の高い導電材を配置し、直線的な導電には柔軟性の低いものを採用することで好適に静電気を移動させることができる。また、導電プレート120は集塵アタッチメントとの接続されるため、硬めの方が有利である。特に本実施の形態では導電プレート120の弾性を集塵アタッチメントとの接続、及び静電気の移動に利用しているため、テープなどと比較して金属板材など硬めの方が好適である。
【0074】
なお、本実施の形態では、補強部90のサイドハウジング24からの左側への突出量は、任意に設定することができる。例えば、図11に示されるように、ベルトカバー80において、第1カバーリブ80A及び第2カバーリブ80Bを省略して、補強部90がベルトカバー80の右側に隣接配置するように、補強部90の突出量を設定してもよい。これにより、サイドハウジング24の曲げ剛性を一層効果的に高くすることができると共に、サイドハウジング24における集塵風路部24Bの体積を一層有効に増やすことができる。また、この場合には、補強部90がベルトカバー80の右側に隣接配置されるため、上述と同様に、ベルトサンダ10の全体の剛性も高くすることができる。
【符号の説明】
【0075】
10 ベルトサンダ(作業機)
22 本体ハウジング(ハウジング部)
22D 吸引室
24 サイドハウジング(支持部材)
24A 第1ガイド壁(第1ガイド部)
24B 集塵風路部(通路部)
24C ファン収容部
24D 第1支持筒部(第1支持部)
24F 第2支持筒部(第2支持部)
40 動力伝達機構
42 モータ
48 ファン
54 モータプーリ(第1プーリ)
56 伝達プーリ(第2プーリ)
64 伝達ベルト(ベルト)
66 ドライブプーリ(加工部)
72 ドリブンプーリ(加工部)
78 研磨ベルト(加工部)
80 ベルトカバー(カバー部材)
90 補強部
90B 傾斜部(第2ガイド部)
92 ガイド機構
L 架空線
W2 集塵風(空気流)
図1
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図12