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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044855
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】部品管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240326BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150639
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 和洋
(72)【発明者】
【氏名】山内 一生
(72)【発明者】
【氏名】松木 繁昌
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 敦行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】部品交換管理の向上を図る部品管理システムを提供する。
【解決手段】部品管理システム1は、船舶3に搭載された管理対象機器3a,3bの部品交換に関する管理情報を生成する管理装置10と、管理情報を表示する表示装置20とを備える。管理装置10は、受信された管理対象機器3a,3bの部品の状態情報に基づいて、部品の交換推奨度を算出し、部品の交換推奨度を含む管理情報を生成する管理部を備える。表示装置20は、受信された管理対象機器3a,3bの管理情報に含まれた部品の交換推奨度を表示する表示部を備える。部品の交換推奨度は、部品の推奨寿命に相当する状態情報に対する、部品の現時点の状態情報の割合であって、交換時点を0とし、推奨交換時点を100とする増加方式の交換推奨度である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載された管理対象機器の部品管理を遠隔で行う部品管理システムであって、
前記船舶に対して遠隔の地に設けられており、前記管理対象機器の部品交換に関する管理情報を生成する管理装置と、
前記管理情報を表示する表示装置と、
を備え、
前記管理装置は、
前記管理対象機器の部品の状態情報を受信し、前記管理対象機器の前記管理情報を送信する通信部と、
受信された前記状態情報に基づいて、前記部品の交換推奨度を算出し、前記部品の交換推奨度を含む前記管理情報を生成する管理部と、
を備え、
前記表示装置は、
前記管理対象機器の前記管理情報を受信する通信部と、
受信された前記管理情報に含まれた前記部品の交換推奨度を表示する表示部と、
を備え、
前記部品の交換推奨度は、前記部品の推奨寿命に相当する状態情報に対する、前記部品の現時点の状態情報の割合であって、交換時点を0とし、推奨交換時点を100とする増加方式の交換推奨度である、
部品管理システム。
【請求項2】
前記管理装置の前記管理部によって生成される前記管理情報は、WEBブラウザに対応する表示データであって、前記部品の交換推奨度をグラフ形式で表示する表示データであり、
前記表示装置は、WEBブラウザを用いて、前記表示データを表示する、
請求項1に記載の部品管理システム。
【請求項3】
船舶に搭載された前記管理対象機器は、複数の前記部品を有し、
前記表示装置における前記表示部は、前記複数の部品を所定の複数のグループごとに纏めて表示し、前記複数のグループごとに前記複数の部品の交換推奨度を棒グラフで並べて表示する、
請求項1または2に記載の部品管理システム。
【請求項4】
前記管理装置における前記管理部は、前記表示装置からの、前記部品の交換の完了情報に基づいて、前記部品の交換推奨度をリセットし、
前記部品の交換の完了情報は、交換日および交換者の情報を含む、
請求項1または2に記載の部品管理システム。
【請求項5】
前記管理装置における前記管理部は、
前記部品の状態情報の変化速度に基づいて、前記部品の消耗速度を算出し、
前記部品の消耗速度が予め設定した基準値を超える場合、前記部品の消耗速度の異常を示す異常信号を生成し、
前記表示装置における前記表示部は、前記異常信号に応じて、前記部品の交換推奨度の棒グラフの表示属性を変更する、
請求項1または2に記載の部品管理システム。
【請求項6】
前記管理装置における前記管理部は、
前記船舶への交換部品の補充履歴情報を有し、
前記交換部品の補充履歴情報に基づいて前記交換部品の交換期限を設定し、前記交換期限を経過しても前記表示装置からの前記部品の交換の完了情報がない場合、催促を通知する、
請求項4に記載の部品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、船舶に搭載されるバラスト水処理装置およびボイラ装置等の種々の機器の管理を、船舶側だけでなく、管理センタ等の陸上側でも行う技術がある(例えば、特許文献1および2)。このような技術において、陸上の管理センタは、船舶に搭載されたバラスト水処理装置およびボイラ装置の状態情報を船舶から取得し、取得した状態情報に基づいて、バラスト水処理装置およびボイラ装置の管理情報を生成し、管理情報を船舶に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-103637号公報
【特許文献2】特開2022-17036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような管理対象機器の管理は、管理対象機器の部品交換管理を含む。本願発明者らの知見によれば、部品交換管理における管理情報として、部品の交換推奨度を使用することがある。このような部品の交換推奨度としては、交換時点を100とし、推奨交換時点を0とする減少方式(減算式)がある。
【0005】
一般に、部品の推奨交換時点、すなわち推奨寿命は、例えば20%のマージンを考慮した値である。すなわち、交換推奨度が0となっても、直ちに部品が使用できなくなるわけではない。しかし、上述したような減少方式の部品の交換推奨度では、0となった後、例えば20%のマージンを予測しつつ、部品交換までの使用を管理することが困難であった。更には、交換推奨度が0に近づくにつれて、部品交換作業者の不安を招いていた。
【0006】
本発明は、部品交換管理の向上を図る部品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る部品管理システムは、船舶に搭載された管理対象機器の部品管理を遠隔で行う部品管理システムであって、前記船舶に対して遠隔の地に設けられており、前記管理対象機器の部品交換に関する管理情報を生成する管理装置と、前記管理情報を表示する表示装置と、を備える。前記管理装置は、前記管理対象機器の部品の状態情報を受信し、前記管理対象機器の前記管理情報を送信する通信部と、受信された前記状態情報に基づいて、前記部品の交換推奨度を算出し、前記部品の交換推奨度を含む前記管理情報を生成する管理部と、を備える。前記表示装置は、前記管理対象機器の前記管理情報を受信する通信部と、受信された前記管理情報に含まれた前記部品の交換推奨度を表示する表示部と、を備える。前記部品の交換推奨度は、前記部品の推奨寿命に相当する状態情報に対する、前記部品の現時点の状態情報の割合であって、交換時点を0とし、推奨交換時点を100とする増加方式の交換推奨度である。
【0008】
(2) (1)に記載の部品管理システムにおいて、前記管理装置の前記管理部によって生成される前記管理情報は、WEBブラウザに対応する表示データであって、前記部品の交換推奨度をグラフ形式で表示する表示データであってもよく、前記表示装置は、WEBブラウザを用いて、前記表示データを表示してもよい。
【0009】
(3) (1)または(2)に記載の部品管理システムにおいて、船舶に搭載された前記管理対象機器は、複数の前記部品を有してもよく、前記表示装置における前記表示部は、前記複数の部品を所定の複数のグループごとに纏めて表示し、前記複数のグループごとに前記複数の部品の交換推奨度を棒グラフで並べて表示してもよい。
【0010】
(4) (1)または(2)に記載の部品管理システムにおいて、前記管理装置における前記管理部は、前記表示装置からの、前記部品の交換の完了情報に基づいて、前記部品の交換推奨度をリセットしてもよく、前記部品の交換の完了情報は、交換日および交換者の情報を含んでもよい。
【0011】
(5) (1)または(2)に記載の部品管理システムにおいて、前記管理装置における前記管理部は、前記部品の状態情報の変化速度に基づいて、前記部品の消耗速度を算出し、前記部品の消耗速度が予め設定した基準値を超える場合、前記部品の消耗速度の異常を示す異常信号を生成してもよく、前記表示装置における前記表示部は、前記異常信号に応じて、前記部品の交換推奨度の棒グラフの表示属性を変更してもよい。
【0012】
(6) (4)に記載の部品管理システムにおいて、前記管理装置における前記管理部は、前記船舶への交換部品の補充履歴情報を有し、前記交換部品の補充履歴情報に基づいて前記交換部品の交換期限を設定し、前記交換期限を経過しても前記表示装置からの前記部品の交換の完了情報がない場合、催促を通知してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品交換管理の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る部品管理システムの構成および船舶管理システムの構成を示す概略図である。
図2図1に示す部品管理システムにおける管理装置の構成を示す図である。
図3図1に示す部品管理システムにおける表示装置の構成を示す図である。
図4】表示装置による表示の一例、すなわち管理装置による表示データの一例、を示す図である。
図5A】表示装置によるリンク表示の一例であって図4に示す表示にリンクするリンク表示の一例、すなわち管理装置によるリンク表示データの一例であって図4に示す表示データにリンクするリンク表示データの一例、を示す図である。
図5B】表示装置によるリンク表示の一例であって図4に示す表示にリンクするリンク表示の一例、すなわち管理装置によるリンク表示データの一例であって図4に示す表示データにリンクするリンク表示データの一例、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0016】
図1は、本実施形態に係る部品管理システムを示す概略図である。図1には、本実施形態の部品管理システム1とともに、船舶管理システム100が示されている。船舶管理システム100は、例えば船舶管理事業者が船舶の全体管理を行うためのシステムである。一方、部品管理システム1は、船舶に搭載された機器のメーカが船舶管理事業者または船舶乗員による機器の部品管理を支援するためのシステムである。
【0017】
船舶管理システム100は、船舶3と、船上サーバ4と、陸上サーバ5とを備える。船舶3には、種々の機器、例えばボイラ装置3aおよびバラスト水処理装置3b、が搭載されている。船舶乗員によって管理され船舶3に搭載される船上サーバ4は、船舶の運航情報等の種々の情報、および機器の状態情報等の種々の情報を船内LANを介して収集する。船上サーバ4は、船内LANを経由して衛星通信の船舶局に接続し、種々の情報を陸上サーバ5に送信する。陸上サーバ5は、舶用通信プラットフォームベンダーによって管理され、船上サーバ4から送信されたデータ(船舶の運航情報等の種々の情報、および機器の状態情報等の種々の情報を含む)を受信し保存する。陸上サーバ5は、インターネット回線を経由して衛星通信の地上局、または携帯基地局(図示せず)に接続し、船上サーバ4から種々の情報を取得する。
【0018】
部品管理システム1は、船舶3に搭載された管理対象の機器3a,3bにおける、寿命に応じて交換が必要な消耗部品等の部品の管理を遠隔で行うシステムである。部品管理システム1は、インターネットを経由して、陸上サーバ5から機器の状態情報等の種々の情報を取得する。なお、部品管理システム1は、インターネット回線を経由して衛星通信の地上局、または携帯基地局(図示せず)に接続し、船上サーバ4から機器の状態情報等の種々の情報を取得してもよい。部品管理システム1は、管理装置10と表示装置20(船舶表示装置20a)とを備える。また、部品管理システム1は、複数台の表示装置20(陸上表示装置20b,20c)を備えてもよい。例えば、陸上表示装置20bは船舶を管理する管理会社に備えられ、船舶に搭載された機器の管理に利用される。陸上表示装置20cは船舶に搭載された機器のメーカに備えられ、機器の保守管理に利用される。
【0019】
図2は、図1に示す部品管理システムにおける管理装置の構成を示す図である。図2に示す管理装置10は、船舶3に対して遠隔の地に設けられており、船上の管理対象機器3a,3bの部品交換に関する管理情報を生成する。管理装置10は、通信部11と、制御部14と、記憶部15と、管理部17とを備える。
【0020】
通信部11は、船舶管理システム100における陸上サーバ5または船上サーバ4と通信を行い、船上の管理対象機器3a,3bの部品の状態情報を所定間隔(例えば1分間隔)で受信する。部品の状態情報としては、使用ON/OFF回数、稼働時間、部品温度、電圧変化、摩耗度等が挙げられる。また、通信部11は、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)と通信を行い、後述のように生成された管理対象機器3a,3bの管理情報を表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)に送信する。また、通信部11は、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)から、サインの入力情報、部品交換実施情報(図4のボタン)等の情報を受信する。
【0021】
制御部14は、管理装置10の全体制御を行う。制御部14(および、後述する管理部17)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部14(および、後述する管理部17)の各種機能は、例えば記憶部15に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。制御部14(および、後述する管理部17)の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0022】
記憶部15は、制御部14(および、後述する管理部17)により実行される所定のソフトウェア(プログラム)を記憶する。また、記憶部15は、後述するように管理部17によって生成される管理情報を記憶する。後述するように管理情報がWEBブラウザに対応する表示データである場合、記憶部15はWEBサーバとして機能する。この場合、管理装置10は、クラウドサーバ等の仮想サーバに構築されてもよい。また、記憶部15は、通信部11から入力される情報を記憶してもよい。記憶部15は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能なメモリで構成される。
【0023】
管理部17は、船上の管理対象機器3a,3bの部品の状態情報に基づいて、管理対象機器3a,3bの部品の交換推奨度を算出し、部品の交換推奨度を含む管理情報を生成する。例えば、管理情報は、WEBブラウザに対応する表示データであって、部品の交換推奨度をグラフ形式で表示する表示データである。なお、管理情報はこれに限定されず、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)に表示するグラフデータのみならず数値データをも含む表示データであってもよいし、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)が表示データを作成するための種々のデータであってもよい。
【0024】
部品の交換推奨度は、部品の推奨寿命に相当する状態情報(使用ON/OFF回数、稼働時間、部品温度、電圧変化、摩耗度など)に対する、部品の現時点(例えば、上述したように所定間隔(例えば1分間隔)で受信する最新の受信時点、直近の受信時点)の状態情報(使用ON/OFF回数、稼働時間、部品温度、電圧変化、摩耗度など)の割合である。部品の交換推奨度は、交換時点を0とし、推奨交換時点を100とする増加方式(加算式)の交換推奨度である。
【0025】
管理部17は、部品の状態情報に加えて、部品設置環境の日平均温度または湿度等の設置環境要因を考慮して、部品の交換推奨度を算出してもよい。
【0026】
図3は、図1に示す部品管理システムにおける表示装置の構成を示す図である。図3に示す表示装置20(船舶表示装置20a)は、例えば船上の管理対象機器3a,3bの部品管理を行う作業者(例えば、船舶乗員)のための表示装置であり、管理装置10によって生成された管理情報を表示する。管理情報がWEBブラウザに対応する表示データである場合、表示装置20(船舶表示装置20a)としては、PC、タブレット、スマートフォン等のWEBブラウザを実装した情報端末が挙げられる。表示装置20(船舶表示装置20a)は、通信部21と、操作部22と、制御部24と、記憶部25と、表示部28とを備える。
【0027】
通信部21は、管理装置10と通信を行い、管理対象機器3a,3bの部品の管理情報を受信する。また、通信部21は、管理装置10と通信を行い、作業者によって入力される各種情報を、管理装置10に送信する。通信部21は、例えば、船内LAN等の無線通信規格に準拠した通信インタフェースデバイスで構成される。
【0028】
操作部22は、船上の管理対象機器3a,3bの部品管理を行う作業者によって操作されることにより、サインの入力情報、部品交換実施情報(図4のボタン)等の情報を入力する操作部である。操作部22は、例えば、物理的な操作ボタンを有するキーボードまたはマウス等、或いは仮想的な操作ボタンを有するタッチパネル等、で構成される。
【0029】
制御部24は、表示装置20(船舶表示装置20a)の全体制御を行う。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部24の各種機能は、例えば記憶部25に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。制御部24の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0030】
記憶部25は、制御部24により実行される所定のソフトウェア(プログラム)を記憶する。また、記憶部25は、受信された管理情報を記憶してもよい。また、記憶部25は、通信部21または操作部22から入力される情報を記憶してもよい。記憶部25は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能なメモリで構成される。
【0031】
表示部28は、各種情報を表示する表示部である。表示部28は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイで構成される。表示部28は、受信された管理情報に含まれた部品の交換推奨度をグラフ形式で表示する。例えば、表示装置20(船舶表示装置20a)は、WEBブラウザを用いて、表示データを表示する。
【0032】
また、表示装置20(陸上表示装置20b)は、例えば船上の管理対象機器3a,3bの部品管理を行う管理者(例えば、船舶管理会社の部品管理の監督者)のための表示装置であり、管理装置10によって生成された管理情報、例えば上述した部品の交換推奨度をグラフ形式で表示する表示データ、を表示してもよい。管理情報がWEBブラウザに対応する表示データである場合、表示装置20(陸上表示装置20b)としては、上述した表示装置20(船舶表示装置20a)と同様の構成であればよく、PC、タブレット、スマートフォン等のWEBブラウザを実装した情報端末が挙げられる。
【0033】
これによれば、陸上表示装置20bにより、陸上の管理者(例えば、船舶管理会社の部品管理の監督者)は、船舶表示装置20aの部品状態と同じ画面(内容)を見ることができ、部品の交換推奨度を共有できる。
これにより、陸上の管理者(例えば、船舶管理会社の部品管理の監督者)は、部品状態を船舶での作業者と同様に把握でき、作業者からの問い合わせ対応および部品交換などのメンテナンス作業や部品在庫管理の支援を効果的に行うことができ、また、部品異常のリモート監視に利用することもできる。
【0034】
また、表示装置20(陸上表示装置20c)は、例えば船上の管理対象機器3a,3bの部品管理を行う管理者(例えば、機器メーカのメンテナンス管理者)のための表示装置であり、管理装置10によって生成された管理情報、例えば上述した部品の交換推奨度をグラフ形式で表示する表示データ、を表示してもよい。管理情報がWEBブラウザに対応する表示データである場合、表示装置20(陸上表示装置20c)としては、上述した表示装置20(船舶表示装置20a)と同様の構成であればよく、PC、タブレット、スマートフォン等のWEBブラウザを実装した情報端末が挙げられる。
【0035】
これによれば、陸上表示装置20cにより、陸上の管理者(例えば、機器メーカのメンテナンス管理者)は、船舶表示装置20aの部品状態と同じ画面(内容)を見ることができ、部品の交換推奨度を共有できる。
これにより、陸上の管理者(例えば、機器メーカのメンテナンス管理者)は、部品状態を船舶での作業者と同様に把握でき、作業者からの問い合わせ対応および部品交換などのメンテナンス作業や部品在庫管理の支援を効果的に行うことができ、また、部品異常のリモート監視に利用することもできる。
【0036】
以下では、図4図5Bを参照して、管理装置10および表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)について詳細に説明する。図4は、表示装置による表示の一例、すなわち管理装置による表示データの一例、を示す図である。図5Aおよび図5Bは、表示装置によるリンク表示の一例であって図4に示す表示にリンクするリンク表示の一例、すなわち管理装置によるリンク表示データの一例であって図4に示す表示データにリンクするリンク表示データの一例、を示す図である。
【0037】
図4に示すように、管理装置10における管理部17は、WEBブラウザに対応する表示データであって、部品の交換推奨度をグラフ形式で表示するデータ(管理情報)を生成する。また、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)は、WEBブラウザを用いて、データ(管理情報)を表示する。すなわち、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)における表示部28は、受信された管理情報に含まれた部品の交換推奨度をグラフ形式で表示する。
【0038】
例えば、図4では、ボイラ装置の部品管理の表示の一例が示されている。図4の例では、大分類として、メインユニットおよびポンプの部品とバーナの部品とに分けて表示されている。このように、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)における表示部28は、管理対象機器における複数の部品を所定の複数のグループごとに纏めて表示し、複数のグループごとに複数の部品の交換推奨度を棒グラフで並べて表示してもよい。これによれば、部品交換作業者(または陸上の管理者)による部品の交換推奨度の視認性を向上し、部品交換の見落としや判断タイミングの誤りを防止することで、部品交換管理の向上を図ることができる。
【0039】
メインユニットおよびポンプの部品としては、
・電極ホルダ(Electrode holder)
・計器ガラス(パッケージ)(Gauge glass)
・圧力計(蒸気)(Pressure gauge)
・圧力計(燃料)(Pressure gauge)
・ベアリング(第1給水ポンプ)(Bearing)
・ベアリング(第2給水ポンプ)(Bearing)
・ベアリング(ファン)(Bearing)
・ベアリング(燃料ポンプモータ)(Bearing)
等が挙げられる。
【0040】
バーナの部品としては、
・ノズルチップ(Nozzle tip)
・点火用変圧器(Ignition transformer)
・スパークロッド(Spark rod)
・イグニションコード(Ignition cord)
・炎検出器(Flame detector)
・燃料ポンプ(Fuel oil pump)
・ギヤモータ(Geared motor)
等が挙げられる。
【0041】
本願発明者らの知見によれば、部品の交換推奨度としては、交換時点を100とし、推奨交換時点を0とする減少方式(減算式)がある。一般に、部品の推奨交換時点、すなわち推奨寿命は、例えば20%のマージンを考慮した値である。すなわち、交換推奨度が0となっても、直ちに部品が使用できなくなるわけではない。しかし、上述したような減少方式の部品の交換推奨度では、0となった後、例えば20%のマージンを考慮して部品の消耗を予測しつつ、部品交換までの使用を管理することが困難であった。更には、交換推奨度が0に近づくことはデッドラインの接近と捉えられ、部品交換作業者(または陸上の管理者)に過剰な不安を与える場合があった。
【0042】
この点に関し、図4に示すように、本実施形態の部品の交換推奨度は、交換時点を0とし、推奨交換時点を100とする増加方式(加算式)の交換推奨度である。これにより、部品の交換推奨度が100となった後でも、例えば120まで交換推奨度を示すことができる。そのため、例えば20%のマージンを考慮して部品の消耗を予測しつつ、部品交換までの使用を管理することができる。更には、交換推奨度が100に近づくにつれて、部品交換作業者(または陸上の管理者)に過剰な不安を与えることを抑制することができる。
【0043】
交換推奨度は、その値に応じて表示属性を異ならせてもよい。表示属性としては、例えば色が挙げられる。例えば、0%から100%(或いは120%)に向けて、表示属性を次第に変更してもよい。例えば、0%から100%に向けて、青色から赤色に次第に変更してもよいし、赤色を次第に濃くなるように変更してもよい。或いは、交換推奨度が所定の基準値を超える場合に、表示属性を変更してもよい。例えば、交換推奨度が所定の基準値以下である場合には青色とし、交換推奨度が所定の基準値を超える場合に赤色に変更してもよい。また、この場合、交換推奨度が所定の基準値を超えた時点から増加するにつれ、赤色を次第に濃くなるように変更してもよい。例えば、図4の例では、交換推奨度の大きさに応じて、ノズルチップの棒グラフA1、燃料ポンプの棒グラブA2、イグニションコードの棒グラフA3の順に赤色が濃くなっている。
【0044】
表示データはリンク表示データを含み、表示装置はリンク表示データを表示してもよい。部品交換実施の際、例えば図4の部品表示におけるギヤモータB1が作業者(または陸上の管理者)によってクリックされると、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)は、図5Aに示すリンク表示データを表示する。この表示データは、日付、部品名、前回交換日付、前回交換者、メンテナンス方法のガイダンス(PDF)、交換確認ボタンDone/Cancel等を含む。
【0045】
部品交換実施の後、例えば図5Aのリンク表示における交換確認ボタンDoneが作業者(または陸上の管理者)によってクリックされると、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)は、図5Bに示すリンク表示データを表示する。この表示データは、日付、部品名、サイン要求、サイン確認ボタンSign/Cancel等を含む。図5Bの表示において、サイン入力およびサイン確認ボタンSignのクリックが作業者(または陸上の管理者)によって行われると、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)から管理装置10へ、部品交換完了情報が送信される。
【0046】
管理装置10における管理部17は、部品交換完了情報に基づいて、管理情報(表示データ)における対応の部品の交換推奨度をリセットする。部品交換完了情報は、上述した交換日および交換者の情報を含むことが好ましい。これによれば、部品交換作業者によって二段階の完了処理が行われることとなるので、部品交換作業の確実性を向上することができる。
【0047】
また、管理装置10における管理部17は、船舶3への交換部品の補充履歴情報を有し、交換部品の補充履歴情報に基づいて交換部品の交換期限を設定し、交換期限を経過しても表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)からの部品交換完了情報がない場合、催促を通知してもよい。例えば、管理装置10における管理部17は、船舶3への交換部品の補充履歴情報として、船舶3(或いは船舶3の停泊港)に対する、交換部品の発注・発送履歴、出荷予定日、または、入庫履歴などを管理している。管理装置10における管理部17は、この補充履歴情報から、設定された交換期間(例えば1か月)を経過しても表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)からの部品交換完了情報がない場合、作業者(または陸上の管理者)に催促を通知する。通知の方法としては、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)における表示部28へのメッセージ表示であってもよいし、電子メール等の別手段による通知であってもよい。これによれば、部品交換作業者(または陸上の管理者)が部品交換作業を失念することを低減でき、その結果、部品交換作業の確実性を向上することができる。
【0048】
また、管理装置10における管理部17は、部品の状態情報の変化速度に基づいて、部品の消耗速度を算出し、部品の消耗速度が予め設定した基準値を超える場合、部品の消耗速度の異常を示す異常信号を生成してもよい。この場合、表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)における表示部28は、異常信号に応じて、部品の交換推奨度の棒グラフの表示属性を変更してもよい。表示属性の変更としては、色の変更、点灯から点滅への変更等が挙げられる。これによれば、部品の異常(例えば部品使用状態の異常)を容易に検知することができ、部品交換管理の向上を図ることができる。
【0049】
また、表示データは、交換部品の発注のための見積りフォームのリンク表示データを含み、表示装置は、交換部品の発注のための見積りフォームのリンク表示データを表示してもよい。例えば、管理装置10における管理部17または表示装置20(船舶表示装置20a、陸上表示装置20b,20c)は、図4の見積作成(Make quote)C1が作業者(または陸上の管理者)によってクリックされたことに応じて、例えば交換推奨度が所定値(例えば80%)を超えている部品の発注のための見積りを自動で生成してもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の部品管理システム1によれば、交換時点を0とし、推奨交換時点を100とする増加方式(加算式)の部品の交換推奨度を用いる。これにより、部品の交換推奨度が100となった後でも、例えば120まで交換推奨度を示すことができる。そのため、例えば20%のマージンを考慮して部品の消耗を予測しつつ、部品交換までの使用を管理することができる。更には、交換推奨度が100に近づくにつれて、部品交換作業者(または陸上の管理者)に過剰な不安を与えることを抑制することができる。そのため、部品交換管理の向上を図ることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、管理装置10における管理部17は、管理情報として、WEBブラウザに対応する表示データを生成する形態を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、管理装置10における管理部17は種々の管理情報を生成し、表示装置が管理情報に基づいて種々の表示を行う種々の形態にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 部品管理システム
3 船舶
3a,3b 機器(管理対象機器)
4 船上サーバ
5 陸上サーバ
10 管理装置
11 通信部
14 制御部
15 記憶部
17 管理部
20,20a 表示装置(船舶表示装置)
20,20b,20c 表示装置(陸上表示装置)
21 通信部
22 操作部
24 制御部
25 記憶部
28 表示部
100 船舶管理システム
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B