(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044864
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】気球
(51)【国際特許分類】
B64B 1/40 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
B64B1/40
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150652
(22)【出願日】2022-09-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】520365229
【氏名又は名称】株式会社岩谷技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 圭介
(57)【要約】
【課題】ロードケーブルを気嚢によって支持する気球において、ロードケーブルからの力が気嚢にかかることによって生じる気嚢の破損を回避する。
【解決手段】各々の下端にロード12が吊り下げられる複数のロードケーブル14と、各々気嚢11の外面に沿って延伸し、複数のロードケーブル14を各々通過させ、複数のロードケーブル14の上端を気嚢11の天頂付近に案内する複数の筒状のロードケーブルガイド13と、複数のロードケーブルガイド13を通過した複数のロードケーブル14の上端と連結される連結部材
16とを備え、連結部材
16は、複数のロードケーブル14から受ける力によって気嚢11の外面上を移動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の下端にロードが吊り下げられる複数のロードケーブルと、
各々気嚢の外面に沿って延伸し、前記複数のロードケーブルを各々通過させ、前記複数のロードケーブルの上端を前記気嚢の天頂付近に案内する複数の筒状のロードケーブルガイドと、
前記複数のロードケーブルガイドを通過した前記複数のロードケーブルの上端と連結される連結部材と
を備え、
前記連結部材は、前記複数のロードケーブルから受ける力によって前記気嚢の外面上を移動可能である
気球。
【請求項2】
前記連結部材は、前記複数のロードケーブルの各々との連結位置の位置決めをするガイド部を有する
請求項1に記載の気球。
【請求項3】
前記連結部材はリング状の部材を有する
請求項1に記載の気球。
【請求項4】
前記連結部材の外縁の形状が円形である
請求項1に記載の気球。
【請求項5】
前記連結部材は、前記気嚢の外面に沿うように湾曲した底面を有する
請求項1に記載の気球。
【請求項6】
前記気嚢は、複数の流線形の球皮片の各々の幅方向両端の縁部が積層されて熱溶着により連結されてなるものであり、
前記複数のロードケーブルの各々は、前記熱溶着のために前記球皮片に加えられる温度において溶融しない素材からなり、
前記ロードケーブルガイドは、前記複数の球皮片のうち幅方向に隣り合う2枚の球皮片の縁部の積層体であって、各縁部の内側に、熱溶着されず、前記ロードケーブルを通過させる部分を有する
請求項1に記載の気球。
【請求項7】
前記気嚢は、複数の流線形の球皮片の各々の幅方向両端の縁部が積層されて熱溶着により連結されてなるものであり、
前記複数のロードケーブルの各々は、前記熱溶着のために前記球皮片に加えられる温度において溶融しない素材からなり、
前記ロードケーブルガイドは、積層された球皮片の縁部に対して積層されて熱溶着されるチューブであり、内側に、熱溶着されず、前記ロードケーブルを通過させる部分を有する
請求項1に記載の気球。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気球に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス気球、熱気球等、気球の多くは、気嚢にかかるロード、すなわち、気球により上空へと搬送される荷物、乗客等の荷重を分散し、気球の吊り下げ耐荷重を増強する役割を果たす複数の索体であるロードケーブルを備えている。ここで、複数のロードケーブルの上端は気嚢の天頂部分において集合する。そのため、気嚢の天頂部分に対し、複数のロードケーブルから大きな力が加わり、気嚢がその力によって破損する場合がある。
【0003】
そのような問題の発生を抑制するために、ある部材を気嚢の天頂部分に取り付けて、この部材により複数のロードケーブルからの力を受ける技術がある。例えば、特許文献1には、気嚢の天頂部分に熱溶着されたロードリングと呼ばれる環状の部材を備える気球が記載されている。特許文献1に記載の気球において、ロードケーブルの上端は、気嚢に直接固着されることはなく、ロードリングに対して連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の気球では、ロードリングが気嚢に固着されている。従って、気嚢のうちロードリングに固着されている部分にロードケーブルからの大きな力がかかり、気嚢が破損する危険性がある。
【0006】
この発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ロードケーブルからの力が気嚢にかかることによって生じる気嚢の破損を回避する技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様である気球は、各々の下端にロードが吊り下げられる複数のロードケーブルと、各々気嚢の外面に沿って延伸し、前記複数のロードケーブルを各々通過させ、前記複数のロードケーブルの上端を前記気嚢の天頂付近に案内する複数の筒状のロードケーブルガイドと、前記複数のロードケーブルガイドを通過した前記複数のロードケーブルの上端と連結される連結部材とを備え、前記連結部材は、前記複数のロードケーブルから受ける力によって前記気嚢の外面上を移動可能であることを特徴とする。
【0008】
この態様によれば、ロードケーブルからの力が連結部材に加わった場合に、連結部材はこの力によって気嚢の外面上を移動可能であるので、ロードケーブルからの力が気嚢に加わることに起因した気嚢の破損を回避することができる。
【0009】
好ましい態様において、前記連結部材は、前記複数のロードケーブルの各々との連結位置の位置決めをするガイド部を有してもよい。この態様によれば、連結部材における複数のロードケーブルの連結位置が一部の領域に偏るのを回避し、複数のロードケーブルの連結位置を安定化することができる。
【0010】
他の好ましい態様において、前記連結部材はリング状の部材を有してもよい。この態様によれば、連結部材のエッジにより気嚢の外面が傷つけられるのを回避することができる。
【0011】
他の好ましい態様では、前記連結部材の外縁の形状が円形である。この態様においても連結部材のエッジにより気嚢の外面が傷つけられるのを回避することができる。
【0012】
他の好ましい態様において、前記連結部材は、前記気嚢の外面に沿うように湾曲した底面を有する。この態様においても連結部材により気嚢の外面が傷つけられるのを回避することができる。また、この態様によれば、気嚢の頂上付近に載せられた連結部材を安定化することができる。
【0013】
他の好ましい態様において、前記気嚢は、複数の流線形の球皮片の各々の幅方向両端の縁部が積層されて熱溶着により連結されてなるものであり、前記複数のロードケーブルの各々は、前記熱溶着のために前記球皮片に加えられる温度において溶融しない素材からなり、前記ロードケーブルガイドは、前記複数の球皮片のうち幅方向に隣り合う2枚の球皮片の縁部の積層体であって、各縁部の内側に、熱溶着されず、前記ロードケーブルを通過させる部分を有する。この態様によれば、気嚢を構成する球皮片の連結部分をロードケーブルガイドとするので、ロードケーブルガイドを構成するための追加の部品が不要であり、製造コストを低くすることができる。
【0014】
他の好ましい態様において、前記気嚢は、複数の流線形の球皮片の各々の幅方向両端の縁部が積層されて熱溶着により連結されてなるものであり、前記複数のロードケーブルの各々は、前記熱溶着のために前記球皮片に加えられる温度において溶融しない素材からなり、前記ロードケーブルガイドは、積層された球皮片の縁部に対して積層されて熱溶着されるチューブであり、内側に、熱溶着されず、前記ロードケーブルを通過させる部分を有する。この態様によれば、チューブによりロードケーブルガイドが構成されるので、ロードケーブルガイドの強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の一実施形態である気球の構成を示す斜視図である。
【
図2】同実施形態において気嚢の天頂付近に配置された連結部材の構成を示す断面である。
【
図3】同実施形態における連結部材の他の配置態様を示す断面図である。
【
図4】同実施形態における気嚢の製造方法を示す図である。
【
図5】この発明の他の実施形態における連結部材の構成を示す平面図である。
【
図6】この発明の他の実施形態における連結部材の構成を示す平面図である。
【
図7】この発明の他の実施形態における気嚢の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1はこの発明の一実施形態である気球1の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、気球1は、気嚢11と、ロード12と、複数のロードケーブルガイド13と、複数のロードケーブル14と、複数の吊り索15と、連結部材16とを有する。図示の例では、ロードケーブルガイド13と、ロードケーブル14と、吊り索15は、いずれも6本設けられている。
【0018】
ロード12は、気球1により上空へと搬送される荷物、乗客等と、それらを収容する容器である。
【0019】
気嚢11は、空気よりも比重の軽い気体によって満たされる袋状の部材であり、大気中において気球1に浮力を与える役割を果たす。なお、気嚢は球皮と呼ばれる場合もある。本実施形態において、気嚢11は、地球状の中空球体である。そこで、以下では気嚢11の外面に沿って気嚢11の天頂部(最上部)から天底部(最下部)に向かう線を経線と呼ぶ。
【0020】
複数のロードケーブル14の下端には、複数の吊り索15の上端が各々連結される。複数の吊り索15の下端は、ロード12に各々連結される。すなわち、複数のロードケーブル14の下端には、複数の吊り索15を各々介してロード12が吊り下げられる。
【0021】
複数のロードケーブルガイド13は、各々気嚢11の外面に沿って延伸し、複数のロードケーブル14を各々通過させ、複数のロードケーブル14の上端を気嚢11の天頂付近に案内する部材である。さらに詳述すると、ロードケーブルガイド13は、ロードケーブル14が通過可能な中空の筒状体であり、気嚢11の経線方向に沿って、天頂部から経線方向に向かう所定角度(例えば、10度~135度)の範囲に延伸するように配置されている。ロードケーブル14はロードケーブルガイド13内を経線方向に自由に移動できる。
【0022】
連結部材16は、気嚢11の概ね天頂付近の外面上に乗せ置かれるリング状の部材である。複数のロードケーブルガイド13を通過した複数のロードケーブル14の上端は、連結部材16と連結される。連結部材16は、複数のロードケーブル14から受ける力によって気嚢11の外面上を移動可能である。
【0023】
図2は気嚢11の外面上の天頂付近において複数のロードケーブル14に連結された連結部材16を示す断面図である。
図2に示すように、ロードケーブル14の上端は、ケーブル固定具であるコキ17の内部を通過し、連結部材16の内側を下側から上側に通過し、コキ17側に向かう。そして、ロードケーブル14の上端は、コキ17内を再び通過する。コキ17は、連結部材16に向かうロードケーブル14と連結部材16から戻ってくるロードケーブル14とを上下両側から挟み込むことによりロードケーブル14を固定する。このようにしてロードケーブル14が連結部材16に連結される。以上、1本のロードケーブル14について連結部材16への連結方法を説明したが、他のロードケーブル14についても同様である。
【0024】
本実施形態において、連結部材16は、気嚢11の天頂付近に置かれるのみであり、気嚢11に固着されない。このため、連結部材16は、複数のロードケーブル14から受ける力のバランスによって、気嚢11の外面上を、気嚢11の天頂付近のロードケーブルガイド13がない領域内において、自由に移動できる。
【0025】
例えば、
図3(A)や
図3(B)に示すように、連結部材16の位置は、気嚢11の天頂からいずれかの方角にずれたりする。従って、本実施形態によれば、ロードケーブル14からの力が気嚢11にかかることによって生じる気嚢の破損を回避することができる。
【0026】
図4は本実施形態における気嚢11の製造方法の一例を示す図である。この例において、気嚢11は、
図4(A)に示すように、6枚の流線形(あるいは舟形)の球皮片111A~111Fの幅方向両端の縁部Hが積層されて熱溶着されることにより形成される。以下、球皮片111A~111Fを球皮片111と総称する場合がある。本実施形態において、球皮片111は、熱溶着可能なポリエチレンシート等の素材からなる。また、ロードケーブル14は、球皮片111の素材よりも融点が高く、熱溶着されない素材、例えば、グラスファイバーテープ等からなる。
【0027】
まず、
図4(B)に示すように、例えば
図4(A)の球皮片111Aと球皮片111Bの幅方向端部の縁部Hを各々の間にロードケーブル14を挟んで積層する。次に、
図4(B)における縁部Hに対し加熱を行い、球皮片111Aの縁部Hと球皮片111Bの縁部を熱溶着する。その際、球皮片111Aおよび111Bの各縁部Hのうちロードケーブル14を挟んでいる領域は熱溶着されず、その両側の領域Haのみが熱溶着される。その結果、ロードケーブル14が経線方向に自由に移動可能な筒状のロードケーブルガイド13が形成される。次に例えば球皮片111Bをロードケーブルガイド13側に折り返し、
図4(D)に示す状態にする。これにより、ロードケーブルガイド13が気嚢11の外側(
図4(D)では上側)に形成された状態となる。
【0028】
以下同様の手順により、球皮片111Bにおいて球皮片111Aと連結されていない縁部Hに対し、球皮片111Cの縁部H(
図4(A)において右側の縁部H)を連結し、この縁部H同士の連結部分にロードケーブルガイド13を形成する。次いで球皮片111Cにおいて球皮片111Bと連結されていない縁部Hに対し、球皮片111Dの縁部Hを連結し、この縁部H同士の連結部分にロードケーブルガイド13を形成する。このような手順を残りの全ての球皮片111に対して実行することにより気嚢11が完成する。
【0029】
この態様によれば、気嚢11を構成する球皮片111の連結部分をロードケーブルガイド13とするので、ロードケーブルガイド13を構成するための追加の部品が不要であり、製造コストを低くすることができる。また、この態様によれば、例えば球皮片111Aおよび111Bの各々の右側の縁部Hのように、平面形状が同じである縁部H同士を積層して熱溶着するので、積層および熱溶着の作業が容易である利点がある。
【0030】
図4の例において、ロードケーブルガイド13は、気嚢11の天頂部から底部にかけての全域、すなわち、0度~180度の領域に形成されるが、そのうち、不要な部分(例えば、0度~10度、135度~180度の領域の部分)は切除されてもよいし、例えば、10度の位置において切開により形成された孔からロードケーブル14の上端付近が取り出され、135度の位置において切開により形成された孔からロードケーブル14の下端付近が取り出されてもよい。
【0031】
本実施形態における気球1によれば、連結部材16が気嚢11に固着されていないため、連結部材16にかかる力によって、気嚢11が損傷を受けにくい。また、例えば、複数本のロードケーブル14と、それに連結される吊り索15の長さが正確に一致していなくても、連結部材16が気嚢11の天頂付近において移動することで、ロード12の姿勢を、傾きのない正しい姿勢にすることができる。また、例えば、気嚢11の天頂部に排気弁等の構造物を配置するような場合に、連結部材16をその構造物と干渉しない位置にずらすことができる。
【0032】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0033】
(1)
図1および
図2に示す態様において、ロードケーブル14の上端付近は、リング状の連結部材16に巻かれているので、連結部材16におけるロードケーブル14の連結位置は、連結部材16の周方向に移動可能である。従って、例えば、複数のロードケーブル14が連結部材16の一部の領域に偏り、気球1の動きが不安定になる場合がある。そこで、連結部材16に、ロードケーブル14の連結位置の位置決めをするガイド部を設けてもよい。
【0034】
図5に示す連結部材16Aは、内側の円筒状部材161と、外側の円筒状部材162と、2つの円筒状部材161および162の間に嵌め込まれるリング163とにより構成される。ここで、2つの円筒状部材161および162は、気嚢11の上に乗せられる板状の部材(
図5においては、円筒状部材161、円筒状部材162及びリング163の背面にあり、見えない)の上に形成される。
【0035】
リング163には6本のロードケーブル14の上端が連結される。外側の円筒状部材162には、その周方向6カ所にロードケーブル14を通過させる切り欠き164が設けられている。この切り欠き164は、連結部材16Aにおけるロードケーブル14の連結位置の位置決めをするガイド部として機能する。
【0036】
この例のように、連結部材16Aが板状の部材を備える場合、その板状の部材の底面は、気嚢11に接するので、気嚢11の外面に沿うように湾曲していることが望ましい。また、その底面には凹凸がないことが望ましい。さらに、底面が、気嚢11の外面との間に生じる摩擦力が小さい滑り材で覆われていてもよい。
【0037】
(2)上記実施形態や
図5の態様では、連結部材16をリング状としたが、それらの例のように、連結部材16は、平面視した場合(気嚢11の外面に接する平面に垂直な方向に見た場合)の外縁の形状が円形であることが望ましい。連結部材16の外縁の形状が円形であれば、連結部材16が気嚢11の外面に沿って移動する際、角がないため、連結部材16が気嚢11を傷つけにくいからである。
【0038】
(3)連結部材16は、リング状の部材を有しなくてもよい。
図6に示す連結部材16Bは、円盤状をなしており、その周方向6カ所に孔165が形成されている。そして、この6個の孔165にロードケーブル14が通されて連結されている。この態様によれば、連結位置の位置決めをするためのガイド部は不要である。なお、この態様においても、連結部材16Bの底面部が気嚢11の外面に沿うように湾曲していることが望ましい。
【0039】
(4)ロードケーブルガイド13を気嚢11の経線方向に沿った位置に形成する方法は、
図4を用いて説明した方法に限られない。例えば、チューブ状に形成されたプラスチックフィルム(例えば、ポリチューブと通称されるポリエチレン製のチューブ等)の一部を球皮片111に熱溶着することで、ロードケーブルガイド13を形成してもよい。
【0040】
図7に、その製造方法の例を示す。まず、
図7(A)に示すように、球皮片111Bの縁部Hに対し、幅方向端部を揃えて球皮片111Aの縁部Hを積層させ、球皮片111Aの上における幅方向端部寄りの領域にポリチューブPを積層させる。この場合、例えば、経線方向におけるロードケーブルガイド13が必要な範囲(例えば、10度~135度の範囲)にのみ、ポリチューブPを積層させる。
【0041】
次に、球皮片111Bの縁部Hと、球皮片111Aの縁部Hと、ポリチューブPとの積層体への過熱を行うことにより、ポリチューブPの内側においてポリチューブPの幅方向端部寄りに属する領域HHaと、ポリチューブPおよび球皮片111Aとが接する領域のうちポリチューブPの幅方向端部寄りに属する領域HHbと、球皮片111Aおよび111Bが接する領域のうちポリチューブPの幅方向端部寄りに属する領域HHcに熱溶着層を形成する。
【0042】
次に、
図7(B)に示すように、球皮片111Bを折り返す。これにより、ポリチューブPの内側において領域HHa以外の領域に、熱溶着されていない部分が、ロードケーブルガイド13として形成される。
【0043】
この場合において、熱溶着の前に、ポリチューブPにロードケーブル14を通しておいてもよいし、熱溶着により形成されたロードケーブルガイド13に対し、ロードケーブル14を通す作業が行われてもよい。
【0044】
(5)ロードケーブル14の形状は、テープ状でなくてもよい。例えば、断面が概ね円形の紐状でもよい。
【0045】
(6)ロードケーブル14と連結部材16の連結方法は、コキを用いる方法でなくてもよい。例えば、縫製により、ロードケーブル14と連結部材16が連結されてもよい。その場合、ロードケーブル14が直接、連結部材16に縫い付けられてもよい。また、連結部材16の周りを囲むように環状にしたロードケーブル14の端部の重なり部分が縫い付けられてもよい。また、接着により、ロードケーブル14と連結部材16が連結されてもよい。また、ロードケーブル14を連結部材16に直接、結びつけることにより、それらの連結が行われてもよい。また、ロードケーブル14の先端と、連結部材16の各々に、互いに係合し合う連結機構が設けられてもよい。
【0046】
(7)ロードケーブルガイド13、ロードケーブル14、吊り索15、気嚢11を構成する球皮片111の数は6に限られない。
【0047】
(8)ロードケーブルガイド13が気嚢11の経線方向に占める領域は、10度~135度に限られず、適宜、変更されてよい。
【0048】
(9)連結部材16の形状は、図に例示された形状に限られず、様々な形状であってよい。
【0049】
(10)気嚢11の形状は真球でなくてもよい。
【0050】
(11)球皮片111、ロードケーブル14等の素材は、上述した素材に限られない。
【0051】
(12)気嚢11の外面上にロードケーブルガイド13を形成する方法は上述した方法に限られない。例えば、気嚢11の外面上に、ポリチューブが接着材又は粘着テープにて接着されることにより、ロードケーブルガイド13が形成されてもよい。
【0052】
(13)上述した複数の実施形態のうち2以上の構成が適宜、組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1……気球、11……気嚢、12……ロード、13……ロードケーブルガイド、14……ロードケーブル、15……吊り索、16,16A,16B……連結部材、17……コキ、111,111A~111F……球皮片、H……縁部、Ha……熱溶着層、161,162……円筒状部材、163……リング、164……切り欠き、165……孔、Ha,HHa,HHb,HHc……領域。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の下端にロードが吊り下げられる複数のロードケーブルと、
各々気嚢の外面に沿って延伸し、当該外面に固定され、前記複数のロードケーブルを各々通過させ、前記複数のロードケーブルの上端を前記気嚢の天頂付近に案内する複数の筒状のロードケーブルガイドと、
前記複数のロードケーブルガイドを通過した前記複数のロードケーブルの上端と連結される連結部材と
を備え、
前記連結部材は、前記複数のロードケーブルから受ける力によって前記気嚢の外面上を移動可能である
気球。
【請求項2】
前記連結部材は、前記複数のロードケーブルの各々との連結位置の位置決めをするガイド部を有する
請求項1に記載の気球。
【請求項3】
前記連結部材はリング状の部材を有する
請求項1に記載の気球。
【請求項4】
前記連結部材の外縁の形状が円形である
請求項1に記載の気球。
【請求項5】
前記連結部材は、前記気嚢の外面に沿うように湾曲した底面を有する
請求項1に記載の気球。
【請求項6】
前記気嚢は、複数の流線形の球皮片の各々の幅方向両端の縁部が積層されて熱溶着により連結されてなるものであり、
前記複数のロードケーブルの各々は、前記熱溶着のために前記球皮片に加えられる温度において溶融しない素材からなり、
前記ロードケーブルガイドは、前記複数の球皮片のうち幅方向に隣り合う2枚の球皮片の縁部の積層体であって、各縁部の内側に、熱溶着されず、前記ロードケーブルを通過させる部分を有する
請求項1に記載の気球。
【請求項7】
前記気嚢は、複数の流線形の球皮片の各々の幅方向両端の縁部が積層されて熱溶着により連結されてなるものであり、
前記複数のロードケーブルの各々は、前記熱溶着のために前記球皮片に加えられる温度において溶融しない素材からなり、
前記ロードケーブルガイドは、積層された球皮片の縁部に対して積層されて熱溶着されるチューブであり、内側に、熱溶着されず、前記ロードケーブルを通過させる部分を有する
請求項1に記載の気球。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この発明の一態様である気球は、各々の下端にロードが吊り下げられる複数のロードケーブルと、各々気嚢の外面に沿って延伸し、当該外面に固定され、前記複数のロードケーブルを各々通過させ、前記複数のロードケーブルの上端を前記気嚢の天頂付近に案内する複数の筒状のロードケーブルガイドと、前記複数のロードケーブルガイドを通過した前記複数のロードケーブルの上端と連結される連結部材とを備え、前記連結部材は、前記複数のロードケーブルから受ける力によって前記気嚢の外面上を移動可能であることを特徴とする。