(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044870
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】製造ラインの管理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240326BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240326BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150660
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天王寺 輝彦
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA43
3C100BB02
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100EE06
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】一つの実施形態は、ジョブに応じた処理を効率的に行うことができる製造ラインの管理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、製造ラインの管理方法が提供される。製造ラインの管理方法では、製造ラインにおける工程エリアのスループットの実績に基づき、各リソースの能力変動特性を求める。製造ラインは、複数の工程エリアが配される。複数の工程エリアのそれぞれは、複数のリソースを含む。製造ラインの管理方法では、工程エリアのリソース数と求められた能力変動特性とに基づき、工程エリアのノルマを達成するための追加リソース数を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが複数のリソースを含む複数の工程エリアが配される製造ラインにおける前記工程エリアのスループットの実績に基づき、各リソースの能力変動特性を求めることと、
前記工程エリアのリソース数と前記求められた能力変動特性とに基づき、前記工程エリアのノルマを達成するための追加リソース数を決定することと、
を備えた製造ラインの管理方法。
【請求項2】
前記追加リソース数を決定することは、
リソースが追加可能である場合、前記工程エリアのリソース数と前記求められた能力変動特性とに基づき、前記工程エリアのノルマを達成するための前記工程エリアの追加リソース数を決定することを含み、
前記管理方法は、
リソースが追加可能でない場合、前記工程エリアのリソース数に基づき、前記工程エリアのノルマを達成するための前記工程エリア又は各リソースの許容スループット変動を決定することをさらに備えた
請求項1に記載の製造ラインの管理方法。
【請求項3】
前記工程エリアのリソース数と前記工程エリアのスループットの実績とに基づき、ジョブの種類と工程エリアとの組み合わせに対応するレシピについて、前記工程エリアで動作し得るリソース数の確率分布を求めることと、
前記求められた確率分布に基づき、前記工程エリアのノルマを達成するための前記レシピの必要リソース数を求めることと、
をさらに備えた
請求項1に記載の製造ラインの管理方法。
【請求項4】
前記レシピの必要リソース数に応じて、前記レシピの重みを求めることと、
前記レシピの重みに応じて、前記各リソースの総処理能力を前記レシピに配分することと、
をさらに備えた
請求項3に記載の製造ラインの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、製造ラインの管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造ラインでは、複数のリソースを含む工程エリアにジョブが投入されると、リソースが稼働して、ジョブを処理する。製造ラインでは、ジョブを効率的に処理できることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10734261号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2021/0366749号明細書
【特許文献3】米国特許第8423168号明細書
【特許文献4】特許第4019462号公報
【特許文献5】特開2003-162313号公報
【特許文献6】特許第3563230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、ジョブを効率的に処理できる製造ラインの管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、製造ラインの管理方法が提供される。製造ラインの管理方法では、製造ラインにおける工程エリアのスループットの実績に基づき、各リソースの能力変動特性を求める。製造ラインは、複数の工程エリアが配される。複数の工程エリアのそれぞれは、複数のリソースを含む。製造ラインの管理方法では、工程エリアのリソース数と求められた能力変動特性とに基づき、工程エリアのノルマを達成するための追加リソース数を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態における製造ラインの構成を示す図。
【
図2】第1の実施形態におけるリソースのスループット及びジョブの流れ込みの変動を示す図。
【
図3】第1の実施形態における管理システムの機能構成を示す図。
【
図4】第1の実施形態における工程エリアのスループットの確率分布を示す図。
【
図5】第1の実施形態における管理システムのハードウェア構成を示す図。
【
図6】第1の実施形態における管理システムの動作を示すフローチャート。
【
図7】第1の実施形態の変形例における管理システムの機能構成を示す図。
【
図8】第1の実施形態の変形例における工程エリアのスループットの確率分布を示す図。
【
図9】第1の実施形態の変形例における管理システムの動作を示すフローチャート。
【
図10】第2の実施形態における管理システムの機能構成を示す図。
【
図11】第2の実施形態におけるレシピに対して動作し得るリソース数の確率分布を示す図。
【
図12】第2の実施形態における管理システムの動作を示すフローチャート。
【
図13】第3の実施形態における管理システムの機能構成を示す図。
【
図14】第3の実施形態における管理システムの動作を説明するための図。
【
図15】第3の実施形態における管理システムの動作を示すフローチャート。
【
図16】第1の実施形態~第3の実施形態を組み合わせた管理システムの機能構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる製造ラインの管理方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかる製造ラインの管理方法は、複数の工程エリアが配される製造ラインを管理する。各工程エリアは、複数のリソースを含む。製造ラインでは、工程エリアにジョブが投入されると、リソースが稼働して、ジョブを処理する。製造ラインの管理方法では、ジョブの処理が製造ラインで効率的に行われるようにするための工夫が施される。ここで、ジョブとは、リソースで処理される対象物を指す。
【0009】
図1は、第1の実施形態における製造ラインの構成を示す図である。製造対象を製造するための製造工場には、複数の製造ラインP,P’が存在する。
図1では、2つの製造ラインP,P’を例示するが、製造工場には、3以上の製造ラインが配されてもよい。
【0010】
製造ラインPには、
図1に示すように、複数の工程エリアS
1,S
2,・・・S
Qが配される。Qは、2以上の整数である。複数の工程エリアS
1,S
2,・・・S
Qは、製造対象の製造方法における複数の工程に対応する。同様に、製造ラインP’には、複数の工程エリアS1’,S2’,・・・S
Q’が配される。製造対象が半導体装置である場合、複数の工程は、半導体基板の塗布・露光・現像・エッチング・洗浄・不純物導入・熱処理などの工程を含む。
【0011】
以下では、1つの製造ラインPを中心に説明するが、他の製造ラインP’についても同様である。
【0012】
各工程エリアS1~SQには、リソース群Mから1以上のリソースEが配される。リソース群Mは、複数のリソースEiを含む。iは、リソースEの識別子であり、1以上の整数であってもよい。製造対象が半導体装置である場合、各リソースEは、その工程の処理を行う半導体製造装置である。工程が塗布工程である場合、リソースEは、塗布装置を含む。工程が露光工程である場合、リソースEは、露光装置を含む。工程が現像工程である場合、リソースEは、現像装置を含む。工程がエッチング工程であれば、リソースEは、エッチング装置を含む。工程が洗浄工程であれば、リソースEは、洗浄装置を含む。工程が不純物導入工程であれば、リソースEは、イオン注入装置を含む。工程が熱処理工程であれば、リソースEは、熱処理装置を含む。
【0013】
製造ラインPは、達成すべきノルマtを有する。ノルマtは、製造ラインPから単位時間当たりに出力すべき生産数(例えば、基板枚数)を示す。単位時間は、1日であってもよい。各工程エリアS1~SQのノルマは、製造ラインPのノルマtに均等であってもよい。複数の工程エリアS1~SQ間における処理に要する時間の違いは、各工程エリアS1~SQのリソース数を変えることで吸収可能である。
【0014】
製造ラインPにおいて、リソースEの能力とリソースEへのジョブの流れ込みとが変動するため、製造ラインPのスループットがノルマtを達成できないことがある。リソースEの能力は、リソースEによるジョブの処理率であり、リソースEが単位時間当たりに処理可能であるジョブ数(例えば、基板枚数)を示す。ジョブは、リソースEで処理すべき対象物(例えば、基板)である。単位時間は、1日であってもよい。ジョブの流れ込みとは、単位時間当たりにリソースEに投入されるジョブ数を示す。製造ラインPのスループットは、製造ラインPが単位時間当たりアウトプットするジョブ数を示す。
【0015】
例えば、製造ラインPが
図2に示す工程エリアS
1及び工程エリアS
2を含むとする。
図2は、リソースの能力及びジョブの流れ込みの変動を示す図である。工程エリアS
1及び工程エリアS
2は、連続する工程とする。
【0016】
工程エリアS
1では、リソースEの能力が
図2(a)に示すように経時変動し、ジョブの流れ込みが
図2(b)に示すように経時変動する。次の工程エリアS
2では、リソースEの能力が
図2(c)に示すようにほとんど経時変動しないが、ジョブの流れ込みが
図2(d)に示すように経時変動する。この場合、工程エリアS
1,S
2を含む製造ラインPのスループットは、
図2(e)に示すように、経時変動し、ノルマtを達成できないときがある。
【0017】
図1、
図2に示すような各製造ラインPは、
図3に示すような管理システム1で管理され得る。
図3は、管理システム1の機能構成を示す図である。管理システム1は、製造ラインPにおける各工程エリアSのスループットの実績に基づき、各リソースEの能力変動特性を求める。管理システム1は、各工程エリアSのリソース数と各リソースEの能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための追加リソース数を決定する。管理システム1は、機能的に、制御部6、取得部5、記憶部2、評価部3、計算部4を有する。
【0018】
記憶部2は、管理プログラムPGを記憶する。管理プログラムPGは、所定の管理を行うための複数の処理を含む。所定の管理は、各工程エリアSにおいてノルマtを達成できるようにするにはリソースEを何個追加したらいいのかについての管理を含む。
【0019】
制御部6は、管理プログラムPGに従い、管理システム1の各部を統括的に制御する。 取得部5は、制御部6による制御のもとで、パラメータ2aを取得する。パラメータ2aは、製造ラインPの各工程エリアS1~SQのリソース数・スループットの履歴・達成すべきノルマ等を含む。取得部5は、ユーザからの入力に応じて、パラメータ2aを取得してもよい。取得部5は、有線通信回線又は無線通信回線などの通信媒体を介して、パラメータ2aを取得してもよい。
【0020】
記憶部2は、制御部6による制御のもとで、パラメータ2aを取得部5から受けてデータベースとして記憶してもよい。データベースは、リソース情報、スループット情報、ノルマ情報などを含む。リソース情報は、リソース数と製造ラインPの識別子と工程エリアSの識別子とが複数の製造ラインP及び複数の工程エリアSについて対応づけられた情報である。スループット情報は、時刻情報とスループットの実績と製造ラインPの識別子と工程エリアSの識別子とが複数の製造ラインP及び複数の工程エリアSについて対応づけられた情報である。ノルマ情報は、達成すべきノルマと製造ラインPの識別子と工程エリアSの識別子とが複数の製造ラインP及び複数の工程エリアSについて対応づけられた情報である。また、記憶部2は、計算部4の計算結果を記憶してもよい。
【0021】
評価部3は、制御部6による制御のもとで、評価を行う。評価部3は、記憶部2からスループット情報を取得する。評価部3は、スループット情報に基づき、製造ラインPの各工程エリアS1~SQについて、工程エリアSのスループットの実績を特定できる。評価部3は、各工程エリアS1~SQについて、工程エリアSのスループットの実績に基づき、工程エリアSの各リソースEの能力変動特性を求める。評価部3は、能力に応じたアウトプットとしての各リソースEのスループットを分析し、スループットの分布を示すパラメータ(例えば、平均値、標準偏差)をリソースEの能力変動特性を示すパラメータとして求めることができる。
【0022】
例えば、工程エリアS
1には、n台のリソースE1~Enが配されるとする。n台のリソースEのスループットの分布は、スループットの発生確率の分布としてとらえることができる。n台のリソースEのスループットの分布は、近似的に、
図4(a)に示すような正規分布に従うとみなすことができる。
図4は、工程エリアSのスループットの確率分布を示す図である。
図4(a)では、縦軸がスループットの発生確率を示し、横軸がスループットの多さを示す。
図4(a)は、n台のリソースE1~Enについてスループットの発生確率の分布を示すが、個々のリソースEのスループットの発生確率も、近似的に、
図4(a)に示すような正規分布に従うとみなすことができる。
【0023】
評価部3は、所定の期間(例えば、過去3か月)におけるリソースE1のスループットの実績を平均し、リソースE1の平均スループットμ1を求める。評価部3は、所定の期間におけるリソースE1のスループットの実績と平均スループットμ1との差の2乗平均を取り、リソースE1のスループットの標準偏差σ1を求める。
【0024】
評価部3は、所定の期間におけるリソースE2のスループットの実績を平均し、リソースE2の平均スループットμ2を求める。評価部3は、所定の期間におけるリソースE2のスループットの実績と平均スループットμ2との差の2乗平均を取り、リソースE2のスループットの標準偏差σ2を求める。
【0025】
評価部3は、所定の期間におけるリソースEnのスループットの実績を平均し、リソースEnの平均スループットμnを求める。評価部3は、所定の期間におけるリソースEnのスループットの実績と平均スループットμnとの差の2乗平均を取り、リソースEnのスループットの標準偏差σnを求める。
【0026】
図3に示す評価部3は、他の工程エリアS
2~S
Qについても、同様に工程エリアSの各リソースEの能力変動特性を求めることができる。
【0027】
評価部3は、求められた能力変動特性を工程エリアSの識別情報とともに計算部4へ供給する。
【0028】
計算部4は、制御部6による制御のもとで、計算を行う。計算部4は、製造ラインPの各工程エリアS1~SQのリソース数を記憶部2から読み出す。計算部4は、製造ラインPの各工程エリアS1~SQの各リソースEの能力変動特性を評価部3から取得する。計算部4は、各工程エリアS1~SQについて、工程エリアSのリソース数と工程エリアSのリソースの能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための工程エリアSの追加リソース数を決定する。
【0029】
例えば、計算部4は、工程エリアS
1について、ノルマtを達成するための追加リソース数mを、工程エリアSのリソースEのスループットの分布における全体のp%に相当する境界がノルマt以上となるような値として求めることができる。計算部4は、工程エリアS
1について、ノルマtを達成するための追加リソース数mを、次の数式1を満たすmとして求めることができる。計算部4は、追加リソース数mを、次の数式1を満たす最大の整数mとして求めてもよい。
【数1】
【0030】
数式1において、iは、リソースEの識別子を示す。iは、1以上n+m以下の値(整数)を取り得る変数である。
【0031】
μi(i=1~n)は、リソースE1~Enの平均スループットであり、評価部3から取得される。μi(i=n+1~m)は、追加すべきリソースEi(i=n+1~m)の平均スループットであり、計算部4により求められる。計算部4は、リソースE1~Enの平均スループットμ1~μnを平均して、追加すべき各リソースEi(i=n+1~m)の平均スループットμi(i=n+1~m)としてもよい。
【0032】
σi(i=1~n)は、リソースE1~Enのスループットの標準偏差であり、評価部3から取得される。σi(i=n+1~m)は、追加すべきリソースEi(i=n+1~m)のスループットの標準偏差であり、計算部4により求められる。計算部4は、リソースE1~Enのスループットの標準偏差σ1~σnを平均して、追加すべき各リソースEi(i=n+1~m)のスループットの標準偏差σi(i=n+1~m)としてもよい。
【0033】
tは、工程エリアS1のノルマである。ノルマtは、記憶部2から読み出されるノルマ情報から抽出され得る。
【0034】
nは、工程エリアS1のリソース数である。リソース数nは、記憶部2から読み出されるリソース数情報から抽出され得る。
【0035】
kは、工程エリアSのリソースEのスループットの分布におけるノルマt達成のためにカバーしたい範囲を示す係数である。カバーしたい範囲は、予め実験的に決められ、計算部4に設定され得る。
【0036】
例えば、工程エリアS
1の複数のリソースE1~Enのスループットが
図4(a)に示すように分布し、その分布におけるスループットが多い側から全体のp%をカバーしたいとする。そのp%に対応するスループットをμpとすると、数式1の左辺の第2項は、分布の中心のスループットμavgからスループットμpまでの距離を表す。
【0037】
図4(b)に例示するように、p=99.9%であれば、k=3.00である。p=97.7%であれば、k=2.00である。p=95.0%であれば、k=1.65である。p=90.0%であれば、k=1.28である。p=84.1%であれば、k=1.00である。
【0038】
同様に、計算部4は、工程エリアS2~SQについても、ノルマtを達成するための追加リソース数mを数式1により求める。計算部4は、各工程エリアS1~SQの追加リソース数mの計算結果2bを記憶部2へ供給する。
【0039】
これにより、記憶部2は、各工程エリアS1~SQの追加リソース数mの計算結果2bを記憶する。制御部6は、計算結果2bが記憶部2に記憶されたことに応じて、又は、ユーザからの要求等に応じて、各工程エリアS1~SQの追加リソース数mの計算結果2bを視覚的な及び/又は聴覚的な手段によりユーザに報知してもよい。
【0040】
管理システム1は、
図5に示すようなハードウェアにより実現可能である。
図5は、管理システム1のハードウェア構成を示す図である。
【0041】
管理システム1は、ハードウェアの構成として、プロセッサ17、ROM(Read Only Memory)18、RAM(Random Access Memory)13、ヒューマンインターフェース14、通信インターフェース15、記憶装置16、バス19を有する。
【0042】
プロセッサ17は、CPU(Central Processing Unit)などを含む。プロセッサ17は、制御部6、評価部3、計算部4に対応する。制御部6、評価部3、計算部4は、プロセッサ17による管理プログラムPGの実行により、コンパイル時に一括して又は処理の進行に応じて逐次的にRAM13上に展開され機能的に構成される。
【0043】
ROM18は、固定的なデータを記憶する。ROM18は、記憶部2に対応する。
【0044】
RAM13は、一時的に情報を記憶可能であり、プロセッサ17に対してワークエリアなどを提供する。RAM13は、記憶部2に対応する。
【0045】
ヒューマンインターフェース14は、人間とコンピュータとの間の仲介を行う。ヒューマンインターフェース14は、入力装置14a及び出力装置14bを有する。
【0046】
入力装置14aは、キーボード、マウス、タッチパネルなど人間からの要求を受け付け可能な装置を含む。入力装置14aは、取得部5に対応する。
【0047】
出力装置14bは、ディスプレイ、プリンタ、表示器、スピーカなど人間へ視覚的及び/又は聴覚的な情報を出力可能な装置である。
【0048】
通信インターフェース15は、通信媒体を介して外部装置と接続可能である。通信媒体を介して外部装置が接続された際、通信インターフェース15は、外部装置からの情報を受信したり、外部装置へ情報を送信したりすることができる。
【0049】
記憶装置16は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)など不揮発に情報を記憶可能な装置である。記憶装置16は、プロセッサ17を動作させるためのプログラムや各種データを記憶する。記憶装置16は、管理プログラムPGを記憶してもよい。記憶装置16は、記憶部2に対応する。
【0050】
プロセッサ17、ROM18、RAM13、ヒューマンインターフェース14、通信インターフェース15、記憶装置16は、バス19を介して互いに通信可能に接続される。
【0051】
次に、管理システム1の動作について
図6を用いて説明する。
図6は、管理システム1の動作を示すフローチャートである。
【0052】
管理システム1において、取得部5は、パラメータ2aを取得する(ST1)。例えば、取得部5は、ユーザからの入力に応じて、又は、有線通信回線又は無線通信回線などの通信媒体を介して、パラメータ2aを取得する。パラメータ2aは、製造ラインPの各工程エリアS1~SQのリソース数・スループットの履歴・達成すべきノルマ等を含む。記憶部2は、パラメータ2aを取得部5から受けてデータベースとして記憶してもよい。データベースは、リソース情報、スループット情報、ノルマ情報などを含む。
【0053】
評価部3は、各工程エリアS1~SQの各リソースEの能力変動特性を求める(ST2)。例えば、評価部3は、スループット情報を取得する。評価部3は、スループット情報に基づき、製造ラインPの各工程エリアS1~SQについて、工程エリアSのスループットの実績を特定できる。評価部3は、各工程エリアS1~SQについて、工程エリアSのスループットの実績に基づき、工程エリアSの各リソースEの能力変動特性を求める。
【0054】
計算部4は、各工程エリアS1~SQのリソース数とST2で求められた能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための工程エリアSの追加リソース数mを決定する(ST3)。
【0055】
例えば、計算部4は、リソース数情報を記憶部2から読み出し、リソース数情報から製造ラインPの各工程エリアS1~SQのリソース数を抽出する。計算部4は、製造ラインPの各工程エリアS1~SQの各リソースEの能力変動特性を評価部3から取得する。計算部4は、各工程エリアS1~SQについて、工程エリアSのリソース数と工程エリアSのリソースEの能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための工程エリアSの追加リソース数mを決定する。計算部4は、各工程エリアS1~SQについて、ノルマtを達成するための追加リソース数mを数式1により求めてもよい。計算部4は、追加リソース数mを、数式1を満たす最大の整数mとして求めてもよい。計算部4は、各工程エリアS1~SQの追加リソース数mの計算結果2bを記憶部2へ供給する。記憶部2は、各工程エリアS1~SQの追加リソース数mの計算結果2bを記憶する。
【0056】
制御部6は、各工程エリアS1~SQの追加リソース数mの計算結果2bをユーザに向けて報知する(ST4)。例えば、制御部6は、計算結果2bが記憶部2に記憶されたことに応じて、又は、ユーザからの要求等に応じて、各工程エリアS1~SQの追加リソース数mの計算結果2bを視覚的な及び/又は聴覚的な手段によりユーザに報知してもよい。
【0057】
以上のように、第1の実施形態では、管理システム1において、製造ラインPの各工程エリアSについて、工程エリアSのリソース数と工程エリアSの能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための追加リソース数mが決定される。これにより、工程エリアSの追加リソース数mを適切なレベルで決定でき、それをユーザに向けて報知でき、適切なレベルでリソースの追加がなされるようにユーザに促すことができる。したがって、各製造ラインPについて、ノルマtを達成するためのリソース数が確保されるようにすることができる。
【0058】
なお、第1の実施形態の変形例にかかる管理システム1aは、追加リソース数mに代えて工程エリア又は各リソースの許容スループット変動を求めてもよい。この場合、管理システム1aは、リソースが追加可能である場合、例えば
図6に示した手順に従って、工程エリアSのリソース数と各リソースEの能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための工程エリアSの追加リソース数mを決定する。管理システム1aは、リソースが追加可能でない場合、以下に説明するように、工程エリアSのリソース数に基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための工程エリアS又は各リソースEの許容スループット変動を決定する。
【0059】
管理システム1aは、
図7に示すように、計算部4(
図3参照)に代えて計算部4aを有する。
図7は、第1の実施形態の変形例における管理システム1aの機能構成を示す図である。
【0060】
管理システム1aにおいて、制御部6は、リソースが追加可能かどうか判断し、判断結果を計算部4aへ供給する。リソースが追加可能である場合、計算部4aは、工程エリアSのリソース数と評価部3で求められた能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための追加リソース数mを決定する。リソースが追加可能でない場合、計算部4aは、工程エリアSのリソース数と評価部3で求められた能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための工程エリア又は各リソースの許容スループット変動を決定する。
【0061】
例えば、計算部4aは、工程エリアS
1について、ノルマtを達成するための工程エリアS
1の許容スループット変動Σσ
2を、次の数式2を満たすΣσ
2として求めることができる。計算部4aは、工程エリアS
1の許容スループット変動Σσ
2を、次の数式2を満たす最大のΣσ
2として求めてもよい。
【数2】
【0062】
数式2において、μi(i=1~n)は、リソースE1~Enの平均スループットであり、評価部3から取得される。μi(i=n+1~m)は、追加すべきリソースEi(i=n+1~m)の平均スループットであり、計算部4aにより求められる。
【0063】
tは、工程エリアS1のノルマである。ノルマtは、記憶部2から読み出されるノルマ情報から抽出され得る。
【0064】
nは、工程エリアS1のリソース数である。nは1以上の整数である。リソース数nは、記憶部2から読み出されるリソース数情報から抽出され得る。
【0065】
kは、工程エリアSのリソースEのスループットの分布におけるノルマt達成のためにカバーしたい範囲を示す係数である。カバーしたい範囲は、予め実験的に決められ、計算部4aに設定され得る。
【0066】
例えば、工程エリアS
1の複数のリソースE1~Enのスループットが
図8に示すように分布し、その分布におけるスループットが多い側から全体のp%をカバーしたいとする。
図8は、工程エリアSのスループットの確率分布を示す図である。分布全体のp%に対応するスループットをμpとすると、数式2の左辺は、分布の中心のスループットμavgからスループットμpまでの距離の2乗の1/k
2を表す。
【0067】
図4(b)に例示するように、p=99.9%であれば、k=3.00である。p=97.7%であれば、k=2.00である。p=95.0%であれば、k=1.65である。p=90.0%であれば、k=1.28である。p=84.1%であれば、k=1.00である。
【0068】
また、計算部4aは、工程エリアS
1の各リソースE1~Enについて、ノルマtを達成するための各リソースE1~Enの許容スループット変動σを、次の数式3を満たすσとして求めることができる。計算部4aは、各リソースE1~Enの許容スループット変動σを、次の数式3を満たす最大のσとして求めてもよい。
【数3】
【0069】
なお、計算部4aは、工程エリアSのリソース数と評価部3で求められた能力変動特性とに基づき、さらに、閾値スループットを決定してもよい。計算部4aは、工程エリアS
1について、ノルマtを達成するための工程エリアS
1の閾値スループットμtを、次の数式4により求めることができる。
【数4】
【0070】
数式4に示す閾値スループットμtは、
図8に示すように、工程エリアS
1の各リソースE1~Enのスループットの分布におけるスループットが多い側から全体のp%をカバーしたい場合の最低ラインとなるスループットに対応する。
【0071】
また、管理システム1aの動作が、
図9に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。
図9は、第1の実施形態の変形例における管理システム1aの動作を示すフローチャートである。
【0072】
管理システム1aにおいて、
図6を用いて説明したST1~ST2と同様の処理が行われた後、制御部6は、リソースが追加可能かどうか判断する(ST11)。
【0073】
例えば、取得部5は、ユーザからの入力に応じて、又は、有線通信回線又は無線通信回線などの通信媒体を介して受信することで、リソースが追加可能であることを示す情報を取得してもよい。制御部6は、リソースが追加可能であることを示す情報を取得部5経由で受けた場合、リソースが追加可能であると判断し(ST11でYes)、その旨を計算部4aへ通知する。計算部4aは、ST3~ST4の処理を行う。
【0074】
取得部5は、ユーザからの入力に応じて、又は、有線通信回線又は無線通信回線などの通信媒体を介して受信することで、リソースが追加不可能であることを示す情報を取得してもよい。制御部6は、取得部5を介してリソースが追加不可能であることを示す情報を取得部5経由で受けた場合、リソースが追加可能でないと判断し(ST11でNo)、その旨を計算部4aへ通知する。
【0075】
リソースが追加可能でない旨の通知に応じて、計算部4aは、工程エリアSのリソース数と評価部3で求められた能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための工程エリア又は各リソースE1~Enの許容スループット変動を決定する(ST12)。
【0076】
例えば、計算部4aは、製造ラインPの各工程エリアS1~SQのリソース数を記憶部2から読み出す。計算部4aは、製造ラインPの各工程エリアS1~SQの各リソースEの能力変動特性を評価部3から取得する。
【0077】
計算部4aは、各工程エリアS1~SQについて、工程エリアSのリソース数と工程エリアSのリソースEのスループット変動の特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための工程エリアSの許容スループット変動Σσ2を決定する。計算部4aは、各工程エリアS1~SQについて、ノルマtを達成するための工程エリアSの許容スループット変動Σσ2を数式2により求めてもよい。計算部4aは、工程エリアS1の許容スループット変動Σσ2を、数式2を満たす最大のΣσ2として求めてもよい。
【0078】
計算部4aは、各工程エリアS1~SQについて、工程エリアSのリソース数と工程エリアSのリソースE1~Enのスループット変動の特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための各リソースE1~Enの許容スループット変動σを決定する。計算部4aは、各工程エリアS1~SQについて、ノルマtを達成するための各リソースE1~Enの許容スループット変動σを数式3により求めてもよい。計算部4aは、各リソースE1~Enの許容スループット変動σを、数式3を満たす最大のσとして求めてもよい。
【0079】
計算部4aは、各工程エリアSの許容スループット変動Σσ2又は各リソースEの許容スループット変動σの計算結果2bを記憶部2へ供給する。記憶部2は、各工程エリアSの許容スループット変動Σσ2又は各リソースEの許容スループット変動σの計算結果2bを記憶する。
【0080】
制御部6は、各工程エリアSの許容スループット変動Σσ2又は各リソースEの許容スループット変動σの計算結果2bをユーザに向けて報知する(ST13)。例えば、制御部6は、計算結果2bが記憶部2に記憶されたことに応じて、又は、ユーザからの要求等に応じて、各工程エリアSの許容スループット変動Σσ2又は各リソースEの許容スループット変動σの計算結果2bを、視覚的な及び/又は聴覚的な手段によりユーザに報知してもよい。
【0081】
このように、管理システム1aにおいて、リソースの追加が可能である場合、製造ラインPの各工程エリアSについて、工程エリアSのリソース数と工程エリアSの能力変動特性とに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するための追加リソース数mが決定される。これにより、工程エリアSの追加リソース数mを適切なレベルで決定でき、それをユーザに向けて報知でき、適切なレベルでリソースの追加がなされるようにユーザに促すことができる。
【0082】
また、管理システム1aにおいて、リソースの追加が不可能である場合、製造ラインPの各工程エリアSについて、工程エリアSのリソース数と工程エリアSの能力変動特性とに基づき、工程エリアSの許容スループット変動Σσ2又は工程エリアSの各リソースEの許容スループット変動σが決定される。これにより、工程エリアSの許容スループット変動Σσ2又は各リソースEの許容スループット変動σをユーザに向けて報知でき、各リソースE1~Enを一定間隔で停止しメンテナンスさせるなどスループット変動を抑制するための対策をユーザに促すことができる。
【0083】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる管理システム101について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0084】
第1の実施形態では、ノルマ達成のための工程エリアの追加リソース数が求められるが、第2の実施形態では、ノルマ達成のための各レシピの必要リソース数が求められる。レシピは、ジョブの種類及び工程エリアの組み合わせに対応する。ここでは、ジョブの種類を品名と呼ぶことにする。ジョブは、リソースEで処理すべき対象物を指す。品名は、リソースEで処理すべき対象物の種類を指す。
【0085】
管理システム101は、
図10に示すように構成され得る。
図10は、第2の実施形態における管理システム101の機能構成を示す図である。管理システム101は、工程エリアSのリソース数と工程エリアSのスループットの実績とに基づき、ジョブの種類と工程エリアとの組み合わせに対応するレシピについて、工程エリアSで動作し得るリソース数の確率分布を求める。管理システム101は、工程エリアSで動作し得るリソース数の確率分布に基づき、工程エリアSのノルマtを達成するためのレシピの必要リソース数を求める。
【0086】
管理システム101は、機能構成として、評価部3、計算部4(
図3参照)に代えて、評価部103、計算部104を有する。
【0087】
記憶部2は、工程エリアSのノルマ情報とレシピRPのノルマ情報とを記憶してもよい。工程エリアSのノルマ情報は、第1の実施形態のノルマ情報と同じ情報である。レシピRPのノルマ情報は、第1の実施形態のノルマ情報がレシピRPごとに細分化されたノルマ情報である。レシピRPのノルマ情報は、達成すべきノルマと製造ラインPの識別子と工程エリアSの識別子とレシピRPの識別子とが複数の製造ラインP、複数の工程エリアS及び複数のレシピRPについて対応づけられた情報である。レシピRPのノルマtRPは、工程エリアSのノルマtに対応して、予め決められている。工程エリアSで複数のレシピRP_1~PR_rが処理される場合、レシピRP_1のノルマtRPは、複数のレシピRP_1~PR_rのノルマtRPの合計が工程エリアSのノルマtに均等になるように決められ得る。
【0088】
評価部103は、制御部6による制御のもとで、評価を行う。評価部103は、リソース数情報を取得する。評価部103は、リソース数情報から各工程エリアSのリソース数を抽出する。評価部103は、スループット情報を取得する。評価部103は、スループット情報に基づき、製造ラインPで処理される複数のレシピRPのそれぞれについて、工程エリアSで動作したリソース数の実績を特定できる。レシピRPは、品名及び工程の組み合わせである。
【0089】
評価部103は、各レシピRPについて、工程エリアSのリソース数と工程エリアSで動作したリソース数の実績とに基づき、工程エリアSで動作し得るリソース数の確率分布を求める。動作し得るリソース数を可動リソース数と呼ぶことにする。可動リソース数の確率分布について、評価部103は、各レシピRPに割り当てるリソース数を変えた複数通りの確率分布を求めてもよい。
【0090】
工程エリアS1で複数のレシピRP_1~PR_rが処理されるとする。rは、2以上の整数である。評価部103は、レシピRP_1について、複数の確率分布DSを求めることができる。
【0091】
可動リソース数の確率分布を求める試行は、取り得る結果が「動作する」「停止する」の2つであり、ベルヌーイ試行としてとらえることができる。このベルヌーイ試行では、レシピに割り当てるリソース数を試行回数とすることができる。リソースが「動作する」か「停止する」かの試行をレシピに割り当てるリソース数の回数で行った確率分布は、二項分布として求めることができる。
【0092】
例えば、評価部103は、工程エリアSで動作したリソース数の実績に基づき、可動リソース数の確率分布を、次の数式5に示す確率を集めた確率分布として求めることができる。
【数5】
【0093】
数式5において、jは、動作するリソース数(可動リソース数)である。
【0094】
vは、工程エリアS1でレシピRP_1に割り当てるリソース数である。評価部103は、記憶部2からリソース数情報を読み出し、リソース数情報から工程エリアSのリソース数nを抽出する。評価部103は、工程エリアSのリソース数nのうちレシピRP_1に割り当てるリソース数vを決める。
【0095】
v-jは、停止するリソース数である。
【0096】
vCjは、v個からj個を選ぶ組み合わせの数を示す。
【0097】
pは、動作する確率である。pは、0以上1以下の値を取り得る。1-pは、停止する確率である。pj(1-p)v-jは、j台のリソースEが動作しv-j台のリソースEが停止する確率を示す。評価部103は、スループット情報を取得し、スループット情報に基づき、工程エリアSで動作したリソース数の実績を特定できる。評価部103は、工程エリアSで動作したリソース数の実績に基づき、確率pj(1-p)v-jを求めることができる。
【0098】
評価部103は、レシピRP_1に割り当てるリソース数vを決めた後、可動リソース数jを0~vまでの整数値で変更しながら数式5に示す確率を求め、可動リソース数jの値ごとにプロットし、確率分布DSを求めることができる。
【0099】
評価部103は、レシピRP_1について、割り当てるリソース数vを変えながら、
図11に示すような複数の確率分布DS1~DS4を求めてもよい。
図11は、レシピRP_1に対して動作し得るリソース数(可動リソース数)の確率分布を示す図である。
図11(a)~
図11(d)それぞれでは、縦軸が可動リソース数を示し、横軸が発生確率を示す。
【0100】
v=5(台)である場合、評価部103は、工程エリアSで動作したリソース数の実績に基づき、
図11(a)に示すように、確率分布DS1を求めることができる。確率分布DS1は、平均値が4台であり、5台の確率が3台の確率より大きい、上下にやや非対称な分布になる。
【0101】
v=6(台)である場合、評価部103は、工程エリアSで動作したリソース数の実績に基づき、
図11(b)に示すように、確率分布DS2を求めることができる。確率分布DS2は、平均値が5台であり、6台の確率が4台の確率より大きい、上下にやや非対称な分布になる。
【0102】
v=8(台)である場合、評価部103は、工程エリアSで動作したリソース数の実績に基づき、
図11(c)に示すように、確率分布DS3を求めることができる。確率分布DS3は、平均値が7台であり、8台の確率が6台の確率より小さい、上下にやや非対称な分布になる。
【0103】
v=11(台)である場合、評価部103は、工程エリアSで動作したリソース数の実績に基づき、
図11(d)に示すように、確率分布DS4を求めることができる。確率分布DS4は、平均値が9台であり、10台の確率が8台の確率より大きい、上下にやや非対称な分布になる。
【0104】
評価部103は、工程エリアS1で処理される他のレシピRP_2~RP_rについても、同様に複数の確率分布DSを求めることができる。評価部103は、他の工程エリアS2~SQで処理される複数のレシピRPのそれぞれについても、同様に複数の確率分布DSを求めることができる。
【0105】
評価部103は、求められた複数の確率分布DSを工程エリアSの識別情報及びレシピRPの識別情報とともに計算部104へ供給する。
【0106】
計算部104は、制御部6による制御のもとで、計算を行う。計算部104は、評価部103で求められた確率分布DSに基づき、工程エリアSのノルマtを達成するためのレシピRPの必要リソース数vを求める。計算部104は、各レシピRPについて、求められた複数の確率分布DSを評価部103から取得し、レシピRPのノルマtRPを記憶部2から読み出す。計算部104は、複数の確率分布DSに基づき、レシピRPのノルマtRPを達成するためのレシピRPの必要リソース数vを求める。レシピRPのノルマtRPは、工程エリアSのノルマtに対応するレシピRP(例えば、レシピRP_1)のノルマである。
【0107】
例えば、計算部104は、工程エリアS
1で処理されるレシピRP_1について、ノルマt
RPを達成するための必要リソース数vを、ノルマt
RPより小さい可動リソース数となる累積確率が全体の100ε%より小さくなるような値として求めることができる。計算部104は、レシピRP_1について、ノルマt
RPを達成するための必要リソース数vを、次の数式6を満たすvとして求めることができる。計算部104は、必要リソース数vを、次の数式6を満たす最小の整数vとして求めてもよい。
【数6】
【0108】
数式6において、vCjpj(1-p)v-jの部分は、数式5と同じである。数式6の左辺は、可動リソース数が0~tRP-1となる累積確率を示す。
【0109】
εは、確率分布DS全体のうちカバーしない範囲の割合を示すエラー率である。確率分布DS全体のうちq%をカバーしたい場合、ε=1-q/100である。q=99(%)である場合、ε=0.01である。
【0110】
計算部104は、評価部103で求められたレシピRP_1の複数の確率分布DS1~DS4について数式6を満たすかどうか判断し、判断結果に応じてレシピRP_1の必要リソース数vを決定してもよい。
【0111】
例えば、ε=0.01とする。v=5(台)である場合、計算部104は、
図11(a)に点線で囲った部分PP1の累積確率を計算する。部分PP1は、確率分布DS1における可動リソース数がノルマt
RPより小さい部分である。計算部104は、部分PP1の累積確率をεと比較する。計算部104は、部分PP1の累積確率がεより大きいので、数式6を満たさず、ノルマt
RPを達成するにはリソース数がv=5(台)では不足していると判断する。
【0112】
v=6(台)である場合、計算部104は、
図11(b)に点線で囲った部分PP2の累積確率を計算する。部分PP2は、確率分布DS2における可動リソース数がノルマt
RPより小さい部分である。計算部104は、部分PP2の累積確率をεと比較する。計算部104は、部分PP2の累積確率がεより大きいので、数式6を満たさず、ノルマt
RPを達成するにはリソース数がv=6(台)では不足していると判断する。
【0113】
v=8(台)である場合、計算部104は、
図11(c)に点線で囲った部分PP3の累積確率を計算する。部分PP3は、確率分布DS3における可動リソース数がノルマt
RPより小さい部分である。計算部104は、部分PP3の累積確率をεと比較する。計算部104は、部分PP3の累積確率がεより小さいので、数式6を満たし、ノルマt
RPを達成するのにリソース数がv=8(台)で十分であると判断する。
【0114】
v=11(台)である場合、計算部104は、
図11(d)に点線で囲った部分PP4の累積確率を計算する。部分PP4は、確率分布DS4における可動リソース数がノルマt
RPより小さい部分である。計算部104は、部分PP4の累積確率をεと比較する。計算部104は、部分PP4の累積確率がεより小さいので、数式6を満たす。ここで、v=8(台)ですでに数式6が満たされているので、計算部104は、ノルマt
RPを達成するのにリソース数がv=11(台)で過剰であると判断する。
【0115】
図11(a)~
図11(d)の場合、計算部104は、ノルマt
RPを達成するためのレシピRP_1の必要リソース数をv=8(台)に決定する。
【0116】
同様に、計算部104は、工程エリアS1の他のレシピRP_2~RP_rについても、ノルマtRPを達成するためのレシピRP_2~RP_rそれぞれの必要リソース数vを数式6により求める。計算部104は、工程エリアS2~SQの各レシピRPについても、ノルマtRPを達成するためのレシピRP_2~RP_rの必要リソース数vを数式6により求める。計算部104は、各レシピRPの必要リソース数vの計算結果2cを記憶部2へ供給する。
【0117】
また、管理システム101の動作が、
図12に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。
図12は、第2の実施形態における管理システム101の動作を示すフローチャートである。
図12は、1つの工程エリアS(ここではS
1)についての動作を例示するが、他の工程エリアSについての動作も同様である。
【0118】
管理システム101において、
図6を用いて説明したST1の処理が行われた後、制御部6は、工程エリアS
1で複数のレシピRP_1~PR_rのうち処理対象のレシピRP(ここではレシピRP_1)を選択する(ST21)。制御部6は、選択された処理対象のレシピRPを評価部103及び計算部104に通知する。
【0119】
評価部103は、処理対象のレシピRP_1について、工程エリアS1のリソース数と工程エリアS1で動作したリソース数の実績とに基づき、工程エリアS1で動作し得るリソース数の確率分布を求める(ST22)。
【0120】
例えば、評価部103は、記憶部2からリソース数情報を読み出し、リソース数情報から工程エリアS
1のリソース数nを抽出する。評価部103は、工程エリアS
1のリソース数nのうちレシピRP_1に割り当てるリソース数vを決める。評価部103は、レシピRP_1に割り当てるリソース数vを決めた後、可動リソース数jを0~vまでの整数値で変更しながら数式5に示す確率を求め、可動リソース数jの値ごとにプロットし、確率分布として求めることができる。このとき、評価部103は、レシピRP_1について、割り当てるリソース数vを変えながら、
図11に示すような複数の確率分布DSを求めることができる。
【0121】
計算部104は、ST22で求められた確率分布DSに基づき、工程エリアS1のノルマtを達成するためのレシピの必要リソース数vを求める(ST23)。
【0122】
例えば、計算部104は、処理対象のレシピRPについて、求められた複数の確率分布DSを評価部103から取得する。計算部104は、複数の確率分布DSに基づき、レシピRP_1のノルマtRPを達成するためのレシピRP_1の必要リソース数vを求める。レシピRP_1のノルマtRPは、工程エリアS1のノルマtに対応するレシピRP_1のノルマである。
【0123】
計算部104は、レシピRP_1について、ノルマtRPを達成するための必要リソース数vを、数式6を満たすvとして求めることができる。計算部104は、必要リソース数vを、数式6を満たす最小の整数vとして求めてもよい。
【0124】
計算部104は、レシピRP_1の必要リソース数vの計算結果2cを記憶部2へ供給する。記憶部2は、レシピRP_1の必要リソース数vの計算結果2cを記憶する。
【0125】
制御部6は、複数のレシピRP_1~PR_rのうち未選択のレシピRPが存在するか否かを判断する(ST24)。制御部6は、未選択のレシピRPが存在すれば(ST24でYes)、処理をST21に戻す。制御部6は、未選択のレシピRPが存在しなければ(ST24でNo)、工程エリアS1の各レシピRPの必要リソース数vの計算結果2cをユーザに向けて報知する(ST4)。
【0126】
以上のように、第2の実施形態では、製造ラインPの各工程エリアSで処理される複数のレシピRPのそれぞれについて、工程エリアSのノルマtを達成するための各レシピの必要リソース数vが求められる。各レシピRPについて、可動リソース数の確率分布が求められ、可動リソース数の確率分布に基づき、レシピRPのノルマtRPを達成するためのレシピRPの必要リソース数vが求められる。これにより、工程エリアSで処理される各レシピRPの必要リソース数vを適切なレベルで決定でき、それをユーザに向けて報知でき、適切なレベルで各レシピRPに必要リソース数が割り当てられるようにユーザに促すことができる。
【0127】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる管理システム201について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0128】
第2の実施形態では、レシピごとにノルマ達成のための必要リソース数が求められるが、第3の実施形態では、各リソースEの総処理能力が必要リソース数に応じて重みづけされてレシピごとに配分される。
【0129】
管理システム201は、
図13に示すように構成され得る。
図13は、第3の実施形態における管理システム201の機能構成を示す図である。管理システム201は、各工程エリアSの各レシピRPの必要リソース数vに応じて、各レシピRPの重みを求める。管理システム201は、各レシピRPの重みに応じて、各リソースEの総処理能力をレシピRPに配分する。
【0130】
管理システム201は、機能構成として、計算部4(
図3参照)に代えて、計算部2041,2042,2043を有し、選択部2071,2072をさらに有する。
【0131】
記憶部2は、工程エリアSのノルマ情報とレシピRPのノルマ情報とを記憶してもよい。工程エリアSのノルマ情報は、第1の実施形態のノルマ情報と同じ情報である。レシピRPのノルマ情報は、第2の実施形態におけるレシピRPのノルマ情報と同じ情報である。また、記憶部2は、複数の工程エリアSで処理される複数のレシピRPのそれぞれの必要リソース数vと、計算部2043で求められる各レシピRPの処理能力とを含む計算結果2dを記憶する。
【0132】
計算部2041は、制御部6による制御のもと、計算を行う。計算部2041は、工程エリアSの各リソースEのスループットの実績を記憶部2から読み出す。計算部2041は、各リソースEのスループットの実績に基づき、各リソースEの可動率を求める。リソースEの可動率は、単位時間におけるリソースEの可動時間の割合である。リソースEの可動時間は、リソースEが動作する時間である。リソースEが単位時間における80%の可動時間に動作する場合、可動率は0.80である。単位時間は、第1の実施形態で言及した単位実感と同じであってもよく、1日=1440(min)であってもよい。計算部2041は、各リソースEの可動時間を、次の数式7により求めてもよい。
【数7】
【0133】
例えば、
図14に示すように、リソースE1~E5について、可動率がいずれも0.80であるとする。
図14は、第3の実施形態における管理システム201の動作を説明するための図である。この場合、計算部2041は、リソースE1~E5の可動時間を、いずれも、1440(min)×0.80=1152(min)と求める。
【0134】
図13に示す計算部2041は、求められた各リソースEの可動時間を計算部2043へ供給する。
【0135】
選択部2071は、制御部6による制御のもと、選択処理を行う。選択部2071は、レシピRPのノルマ情報を記憶部2から読み出す。選択部2071は、レシピRPのノルマ情報から工程エリアSで処理される複数のレシピRP_1~RP_rのノルマtRPを抽出する。選択部2071は、各レシピRP_1~RP_rのノルマtRPを計算部2042へ供給する。
【0136】
選択部2072は、制御部6による制御のもと、選択処理を行う。選択部2072は、工程エリアSで処理される複数のレシピRPのそれぞれの必要リソース数vの計算結果2dを記憶部2から読み出す。選択部2072は、計算結果2dに応じて、各レシピRPの必要リソース数の逆数1/vを求める。
【0137】
例えば、
図14に示す場合、レシピRP_1,RP_2,RP_3の必要リソース数が5,4,5であり、レシピRP_1,RP_3がリソースE1~E5で処理され、レシピRP_2がリソースE1~E4で処理される。選択部2072は、レシピRP_1,RP_2,RP_3の必要リソース数の逆数1/vを、それぞれ0.20,0.25,0.20と求める。
【0138】
図13に示す選択部2072は、各レシピRPの必要リソース数の逆数1/vを計算部2042へ供給する。
【0139】
計算部2042は、各工程エリアSの各レシピRPの必要リソース数の逆数1/vに応じて、各レシピRPの重みを求める。計算部2042は、各レシピRP_1~RP_rのノルマtRPを選択部2071から取得し、各レシピRPの必要リソース数の逆数1/vを選択部2072から取得する。
【0140】
計算部2042は、各レシピRPの必要リソース数の逆数1/vに応じて、複数のレシピRP_1~RP_r間でスループットが均等化されるように、各レシピRPの重みを求めてもよい。計算部2042は、調和平均の考え方をベースにして、重みを求めてもよい。計算部2042は、各工程エリアSについて、複数のレシピRP_1~RP_rの必要リソース数の逆数1/vの合計に対する当該レシピRPの必要リソース数の逆数1/vの割合に応じた重みを求めてもよい。
【0141】
計算部2042は、複数のレシピRP_1~RP_rのうち注目レシピRP(例えば、レシピRP_1)を選択し、注目レシピRPの重みを次の数式8により求めてもよい。
【数8】
【0142】
数式8において、[picth]は、リソースEによるジョブの単位量(例えば、基板1枚)当たりの処理速度である。[MAXチャージ数]は、リソースEによる並行して処理可能なジョブの量(例えば、並行処理可能な基板枚数)である。ノルマ(個数)に[picth](時間/個数)をかけて[MAXチャージ数](並行処理数)で割れば、ノルマを時間に換算できる。
【0143】
数式8の右辺の分子は、ノルマから換算された時間と必要リソース数の逆数1/vとの積を示し、必要リソース数vが少ないほど大きな値になる。数式9の右辺の分母は、ノルマから換算された時間と必要リソース数の逆数1/vとの積を複数のレシピRP_1~RP_rについて足し合わせた合計を示す。数式8の右辺は、必要リソース数vが少ないレシピRPほど大きくなるような重みを表す。
【0144】
例えば、
図14に示すリソースE1に注目する。MAXチャージ数=1とすると、各レシピRP_1~RP_3のノルマt
RPがいずれも69、レシピRP_1,RP_2,RP_3のpicthが20,30,24である。レシピRP_1,RP_2,RP_3の必要リソース数の逆数1/vが0.20,0.25,0.20である。計算部2042は、レシピRP_1~RP_3の重みを、数式8により、次のように求める。
レシピRP_1の重み=(69×20÷1×0.20)/(69×20÷1×0.20+69×30÷1×0.25+69×24÷1×0.20)≒0.26
レシピRP_2の重み=(69×30÷1×0.25)/(69×20÷1×0.20+69×30÷1×0.25+69×24÷1×0.20)≒0.48
レシピRP_3の重み=(69×20÷1×0.20)/(69×20÷1×0.20+69×30÷1×0.25+69×24÷1×0.20)≒0.26
【0145】
レシピRP_1~RP_3の重みを比較すると、必要リソース数の少ない(4台である)レシピRP_2の重みが必要リソース数の多い(5台である)レシピRP_1,RP_3の重みより大きくなっている。
【0146】
計算部2042は、他のリソースE2~E5についても、レシピRP_1~RP_3の重みを、数式8により求めることができる。
【0147】
同様に、
図13に示す計算部2042は、他のレシピRPの重みを数式8により求めてもよい。計算部2042は、工程エリアSの各レシピRPの重みを計算部2043へ供給する。
【0148】
計算部2043は、制御部6による制御のもと、計算を行う。計算部2043は、各レシピRPの重みに応じて、各リソースEの総処理能力を各レシピRPに配分し、各レシピRPの処理能力を求めてもよい。
【0149】
ここで、各リソースEの総処理能力は、各リソースEの可動時間に対応する。計算部2043は、各リソースEの可動時間を各リソースEで処理される複数のレシピRPの重みに応じた処理時間として配分し、配分された処理時間を処理能力に換算する。これにより、計算部2043は、各レシピRPの重みに応じて、各リソースEの総処理能力を、各レシピRPに配分できる。
【0150】
計算部2043は、各リソースEの可動時間を計算部2041から取得する。計算部2043は、各レシピRPの重みを計算部2042から取得する。計算部2043は、リソースEの可動時間とレシピRPの重みとを用いて、レシピRPの処理時間を求める。
【0151】
計算部2043は、複数のレシピRP_1~RP_rのうち注目レシピRP(例えば、レシピRP_1)を選択し、注目レシピRPの処理時間を次の数式9により求めてもよい。
【数9】
【0152】
数式9の右辺は、リソースEの可動時間を、レシピRPの重みに応じてレシピRPの処理時間として配分することを表す。
【0153】
例えば、
図14に示すリソースE1に注目する。計算部2043は、レシピRP_1~RP_3の処理時間を、数式9により、次のように求める。
レシピRP_1の処理時間=1152(min)×0.26≒299(min)
レシピRP_2の処理時間=1152(min)×0.48≒553(min)
レシピRP_3の処理時間=1152(min)×0.26≒299(min)
【0154】
計算部2043は、他のリソースE2~E5についても、レシピRP_1~RP_3の処理時間を、数式9により求めることができる。
【0155】
図13に示す計算部2043は、レシピRPの処理時間をレシピRPの処理能力に換算する。
【0156】
計算部2043は、複数のレシピRP_1~RP_rのうち注目レシピRP(例えば、レシピRP_1)を選択し、注目レシピRPの処理時間を次の数式10によりレシピRPの処理能力に換算してもよい。
【数10】
【0157】
数式10の右辺は、レシピRPの処理時間をリソースEの処理速度で除算することでレシピRPの処理能力に換算することを表す。
【0158】
例えば、
図14に示すリソースE1に注目する。MAXチャージ数=1とすると、レシピRP_1,RP_2,RP_3のpicthが20,30,24である。計算部2043は、レシピRP_1~RP_3の処理時間を、数式10により、次のようにレシピRPの処理能力に換算する。
レシピRP_1の処理能力=299÷(20÷1)≒15.0
レシピRP_2の処理能力=553÷(30÷1)≒18.4
レシピRP_1の処理能力=299÷(24÷1)≒12.4
【0159】
計算部2043は、他のリソースE2~E5についても、レシピRP_1~RP_3の処理時間を、数式10により、レシピRPの処理能力に換算することができる。
【0160】
レシピRPごとの処理能力を複数のリソースE1~E5について合計した値を処理能力計と呼ぶことにする。レシピRP_1~RP_3の処理能力計は、それぞれ88.8,73.6,73.6である。処理能力計÷ノルマをノルマの達成率と呼ぶことにすると、レシピRP_1~RP_3のノルマの達成率は、それぞれ1.28,1.06,1.06である。いずれのレシピRP_1~RP_3もその達成率が1より大きくそのノルマを達成できていることが確認される。
【0161】
同様に、計算部2043は、他のレシピRPの処理時間を、数式10により、レシピRPの処理能力に換算してもよい。計算部2043は、各レシピRPの処理能力の計算結果2dを記憶部2へ供給する。
【0162】
また、管理システム201の動作が、
図15に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。
図15は、第3の実施形態における管理システム201の動作を示すフローチャートである。
図15は、1つの工程エリアS(ここではS
1)についての動作を例示するが、他の工程エリアSについての動作も同様である。
【0163】
管理システム201において、
図6を用いて説明したST1の処理が行われた後、制御部6は、工程エリアS
1で複数のレシピRP_1~PR_rのうち処理対象のレシピRP(ここではレシピRP_1)を選択する(ST31)。制御部6は、選択された処理対象のレシピRP_1を選択部2071,2072及び計算部2041,2042,2043に通知する。
【0164】
選択部2071,2072及び計算部2042は、処理対象のレシピRP_1の必要リソース数vに応じて、処理対象のレシピRP_1の重みを求める(ST32)。
【0165】
選択部2071は、レシピRPのノルマ情報を記憶部2から読み出す。選択部2071は、レシピRPのノルマ情報から工程エリアS1で処理される複数のレシピRP_1~RP_rのノルマtRPを抽出する。選択部2071は、各レシピRPのノルマtRPを計算部2042へ供給する。
【0166】
選択部2072は、工程エリアS1で処理される複数のレシピRP_1~RP_rのそれぞれの必要リソース数vの計算結果2dを記憶部2から読み出す。選択部2072は、計算結果2dに応じて、各レシピRPの必要リソース数の逆数1/vを求める。選択部2072は、各レシピRPの必要リソース数の逆数1/vを計算部2042へ供給する。
【0167】
計算部2042は、各レシピRPの必要リソース数の逆数1/vを選択部2072から取得する。
【0168】
計算部2042は、各レシピRPの必要リソース数の逆数1/vに応じて、複数のレシピRP_1~RP_r間でスループットが均等化されるように、各レシピRPの重みを求めてもよい。計算部2042は、調和平均の考え方をベースにして、重みを求めてもよい。計算部2042は、各工程エリアSについて、複数のレシピRP_1~RP_rの必要リソース数の逆数1/vの合計に対する処理対象のレシピRP_1の必要リソース数の逆数1/vの割合に応じた重みを求めてもよい。計算部2042は、レシピRP_1の重みを数式8により求めてもよい。
【0169】
計算部2042は、工程エリアS1の処理対象のレシピRP_1の重みを計算部2043へ供給する。
【0170】
計算部2041,2043は、各レシピRPの重みに応じて、リソースEの総処理能力を処理対象のレシピRP_1に配分する(ST33)。
【0171】
計算部2041は、工程エリアS1の各リソースEのスループットの実績を記憶部2から読み出す。計算部2041は、各リソースEのスループットの実績に基づき、各リソースEの可動率を求める。リソースEの可動率は、単位時間(例えば、1日)におけるリソースEの可動時間の割合である。リソースEの可動時間は、リソースEが動作する時間である。計算部2041は、各リソースEの可動時間を、数式7により求めてもよい。
【0172】
計算部2041は、求められた各リソースEの可動時間を計算部2043へ供給する。
【0173】
計算部2043は、各リソースEの可動時間を計算部2041から取得する。計算部2043は、レシピRP_1の重みを計算部2042から取得する。計算部2043は、リソースEの可動時間とレシピRP_1のノルマtRPの比率とレシピRP_1の重みとを用いて、レシピRP_1の処理時間を求める。計算部2043は、レシピRPの処理時間を数式9により求めてもよい。
【0174】
計算部2043は、レシピRP_1の処理時間をレシピRP_1の処理能力に換算する。計算部2043は、レシピRP_1の処理時間を数式10によりレシピRP_1の処理能力に換算してもよい。
【0175】
計算部2043は、レシピRP_1の処理能力の計算結果2dを記憶部2へ供給する。記憶部2は、レシピRP_1の処理能力の計算結果2dを記憶する。
【0176】
制御部6は、複数のレシピRP_1~PR_rのうち未選択のレシピRPが存在するか否かを判断する(ST34)。制御部6は、未選択のレシピRPが存在すれば(ST34でYes)、処理をST31に戻す。制御部6は、未選択のレシピRPが存在しなければ(ST34でNo)、各レシピRPの処理能力の計算結果2dをユーザに向けて報知する(ST4)。
【0177】
以上のように、第3の実施形態では、各リソースEの総処理能力が必要リソース数に応じて重みづけされてレシピRPごとに配分される。例えば、複数のレシピRP_1~RP_rの必要リソース数の逆数1/vの合計に対する対象のレシピRPの必要リソース数の逆数1/vの割合に応じた重みが求められてもよい。これにより、複数のレシピRP_1~RP_r間でスループットを均等化でき、各リソースEをできるだけ動作させながら各リソースEの総処理能力を効率的に複数のレシピRPへ配分できる。この結果、製造ラインPにおいて、ノルマtを達成しながらそのロバスト性を向上できる。
【0178】
例えば、複数のリソースEの総処理能力を複数のレシピRPに配分する際にトータルの処理時間ができるだけ短くなるように配分することが考えられる。この場合、レシピRPごとに特定のリソースEに処理を集中させた方が短時間で処理できる傾向にある。このため、各レシピRPの処理が特定のリソースEに偏り、停止するリソースEの台数が増加したり、リソースEの停止時間が長くなったりする。これにより、製造ラインPのロバスト性が低下する可能性がある。すなわち、製造ラインPの複数のリソースEにおける一部のリソースEがトラブル等により停止した際に製造ラインPのスループットが大幅に低下する可能性がある。
【0179】
それに対して、第3の実施形態では、複数のレシピRP_1~RP_r間でスループットを均等化でき、各リソースEをできるだけ動作させながら各リソースEの総処理能力を効率的に各レシピRPへ配分できる。この結果、製造ラインPにおいて、停止するリソースEの台数を抑制でき、リソースEの停止時間を短縮できる。したがって、製造ラインPについて、ノルマtを達成しながらそのロバスト性を向上できる。
【0180】
なお、
図16に示すように、第1の実施形態~第3の実施形態を組み合わせた管理システム301が構築されてもよい。
図16は、第1の実施形態~第3の実施形態を組み合わせた管理システム301の機能構成を示す図である。
【0181】
管理システム301は、機能構成として、制御部6、取得部5、記憶部2、評価部3、計算部4(又は計算部4a)、評価部103、計算部104、計算部2041,2042,2043を有し、選択部2071,2072を有する。
【0182】
制御部6の構成及び動作は、第1の実施形態における制御部6の構成及び動作と第2の実施形態における制御部6の構成及び動作と第3の実施形態における制御部6の構成及び動作とをマージして得られる。
【0183】
取得部5の構成及び動作は、第1の実施形態における取得部5の構成及び動作と第2の実施形態における取得部5の構成及び動作と第3の実施形態における取得部5の構成及び動作とをマージして得られる。
【0184】
記憶部2の構成及び動作は、第1の実施形態における記憶部2の構成及び動作と第2の実施形態における記憶部2の構成及び動作と第3の実施形態における記憶部2の構成及び動作とをマージして得られる。記憶部2に記憶される計算結果2eは、第1の実施形態の計算結果2aと第1の実施形態の計算結果2bと第3の実施形態の計算結果2cとをマージして得られる。
【0185】
評価部3の構成及び動作は、第1の実施形態における評価部3の構成及び動作と同様である。
【0186】
計算部4の構成及び動作は、第1の実施形態における計算部4の構成及び動作と同様である。計算部4は、第1の実施形態の変形例における計算部4aに置き換えられてもよい。計算部4aの構成及び動作は、第1の実施形態の変形例における計算部4aの構成及び動作と同様である。
【0187】
評価部103の構成及び動作は、第2の実施形態における評価部103の構成及び動作と同様である。
【0188】
計算部104の構成及び動作は、第2の実施形態における計算部104の構成及び動作と同様である。
【0189】
計算部2041の構成及び動作は、第3の実施形態における計算部2041の構成及び動作と同様である。
【0190】
計算部2042の構成及び動作は、第3の実施形態における計算部2042の構成及び動作と同様である。
【0191】
計算部2043の構成及び動作は、第3の実施形態における計算部2043の構成及び動作と同様である。
【0192】
選択部2071の構成及び動作は、第3の実施形態における選択部2071の構成及び動作と同様である。
【0193】
選択部2072の構成及び動作は、第3の実施形態における選択部2072の構成及び動作と同様である。
【0194】
このような管理システム301によっても、工程エリアSの追加リソース数mを適切なレベルで決定でき、それをユーザに向けて報知でき、適切なレベルでリソースEの追加がなされるようにユーザに促すことができる。したがって、各製造ラインPについて、ノルマtを達成するためのリソース数が確保されるようにすることができる。
【0195】
このような管理システム301によっても、工程エリアSで処理される各レシピRPの必要リソース数vを適切なレベルで決定でき、それをユーザに向けて報知でき、適切なレベルで各レシピRPに必要リソース数が割り当てられるようにユーザに促すことができる。
【0196】
このような管理システム301によっても、複数のレシピRP_1~RP_r間でスループットを均等化でき、各リソースEをできるだけ動作させながら各リソースEの総処理能力を効率的に複数のレシピRPへ配分できる。この結果、製造ラインPにおいて、ノルマtを達成しながらそのロバスト性を向上できる。
【0197】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0198】
1,1a 管理システム、2 記憶部、3、103 評価部、4,4a,104,2041~2043 計算部、2071,2072 選択部、5 取得部、6 制御部。