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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044877
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20240326BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240326BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20240326BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B41J2/32 C
B41J3/36 T
B41J2/325 A
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150667
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲
【テーマコード(参考)】
2C055
2C060
2C065
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C060BC02
2C060BC12
2C060BC35
2C060BC37
2C060BC99
2C065AA01
2C065AD07
2C065CC09
2C065CC12
2C065CC27
2C065CC33
2C065DA03
2C065DA29
2C065DA37
2C065DA38
(57)【要約】
【課題】周囲の温度が変化したとしても、優れた印刷品位で印刷媒体に印刷対象を印刷する印刷装置および印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷装置は、印刷部120と、搬送部130と、温度計測部140、押圧部150と、制御部と、を備える。印刷部120は、筐体内に固定されて取り付けられ、印刷媒体に印刷対象を印刷する印刷ヘッド121を有する。搬送部130は、印刷ヘッド121に印刷媒体を押圧させた状態で、送出方向または引戻方向に印刷媒体を搬送するローラ131を有する。温度計測部140は、印刷部120の近傍の温度を計測する。押圧部は、印刷媒体に接触するローラ131を押圧することにより、印刷媒体を印刷ヘッド121に向けてローラ131に押圧させる。制御部は、温度計測部140により計測された温度に基づいて、押圧部150によるローラ131への圧力を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に固定されて取り付けられ、印刷媒体に印刷対象を印刷する印刷ヘッドを有する印刷部と、
前記印刷ヘッドに前記印刷媒体を押圧させた状態で、送出方向または引戻方向に前記印刷媒体を搬送するローラを有する搬送部と、
前記印刷部の近傍の温度を計測する温度計測部と、
前記印刷媒体に接触する前記ローラを押圧することにより、前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに向けて前記ローラに押圧させる押圧部と、
前記温度計測部により計測された前記温度に基づいて、前記押圧部による前記ローラへの圧力を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度計測部により計測された前記温度が基準温度未満である場合に、前記ローラによって前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに第1の圧力で押圧させるように前記押圧部を制御し、前記温度が前記基準温度以上である場合に、前記ローラによって前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに前記第1の圧力とは異なる第2の圧力で押圧させるように前記押圧部を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度計測部により計測された前記温度が高くなるにつれて、前記ローラによって前記印刷ヘッドを押圧する力が小さくなるように、前記押圧部を制御する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷媒体の種別を示すデータを取得する印刷媒体種別取得部を備え、
前記制御部は、前記印刷媒体種別取得部により取得された前記印刷媒体の種別と、前記温度計測部により計測された前記温度と、に基づいて前記押圧部によってかけられる圧力を決定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、予め記憶した、前記温度および印刷媒体毎に設定された圧力を示すテーブルを参照し、前記印刷媒体種別取得部により取得した前記印刷媒体の種別と、前記温度計測部により計測された前記温度と、に基づいて前記押圧部によってかけられる圧力を決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め記憶した、前記印刷媒体毎に前記温度から圧力を導く関数に基づいて、前記印刷媒体種別取得部により取得した前記印刷媒体の種別と、前記温度計測部により計測された前記温度と、に基づいて前記押圧部によってかけられる圧力を決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記押圧部は、第1のカム面と第2のカム面とを有するカムと、前記カムにより移動するカムフォロワと、前記ローラを支持するローラ支持部と、前記カムフォロワとの間に配置された弾性体と、を備え、
前記第1のカム面が前記カムフォロワを押圧すると、前記カムフォロワが前記弾性体を押圧し、前記ローラ支持部が前記弾性体に付勢され、前記ローラは前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに前記第1の圧力で押圧し、前記第2のカム面が前記カムフォロワを押圧すると、前記カムフォロワが前記弾性体を押圧し、前記ローラ支持部が前記弾性体に付勢され、前記ローラは前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに前記第2の圧力で押圧する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記押圧部は、前記温度計測部により計測された前記温度が第1の基準温度未満である場合に、前記ローラに前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに第1の圧力で押圧させ、前記温度が前記第1の基準温度以上、前記第1の基準温度より高い第2の基準温度未満である場合に、前記ローラに前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに前記第1の圧力より小さい第2の圧力で押圧させ、前記温度が前記第2の基準温度以上である場合に、前記ローラに前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに前記第2の圧力より小さい第3の圧力で押圧させる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項9】
筐体内に固定されて取り付けられ、印刷媒体に印刷対象を印刷する印刷ヘッドを有する印刷部と、
前記印刷ヘッドに前記印刷媒体を押圧させた状態で、送出方向または引戻方向に前記印刷媒体を搬送するローラを有する搬送部と、
前記印刷部の近傍の温度を計測する温度計測部と、
を備える印刷装置を用いて印刷する方法であり、
前記温度計測部により計測された前記温度に基づいて、予め設定された圧力で、前記ローラに前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに押圧させる、
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ状の印刷媒体に文字、記号、ロゴ、キャラクタ、マーク等の印刷対象を印刷する印刷装置が特許文献1に開示されている。この印刷装置は、サーマルヘッドを備え、テープ状の印刷媒体を搬送しながらインクリボンに塗布されたインクを熱によって印刷媒体に転写することで印刷対象が印刷される。
【0003】
テープ状の印刷媒体に印刷する印刷装置では、印刷装置の周囲の温度が低い場合には、印刷媒体の温度も低下することで硬化し、印刷媒体のコシが強くなり、柔軟性や搬送経路に対する追従性が損なわれ、プラテンローラとサーマルヘッドによる印刷媒体とインクリボンの圧接、挟持力が低下し、印刷品位が低下するという問題がある。一方、印刷装置の周囲の温度が高い場合には、印刷媒体の温度も高くなることで軟化し、印刷媒体のコシが弱くなり、規定のプラテンローラとサーマルヘッドによる印刷媒体とインクリボンの圧接、挟持力ではテープが潰れ、変形し、印刷品位が低下するという問題がある。
【0004】
印刷装置の周囲の温度の変化に対応するため、特許文献1に開示された印刷装置は、サーマルヘッド周辺の温度変化に応じてサーマルヘッドのプラテンローラヘの抑圧力を調整する調整手段を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1-1559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された印刷装置では、サーマルヘッドは、ヘッドサポートの一端部に保持されており、ヘッドサポートの他端部に設けられたピンを支点として、調整手段により、周囲の温度変化に応じて、プラテンローラヘの抑圧力が調整される。サーマルヘッドはピンを支点として回動するため、温度変化に応じてサーマルヘッドのプラテンローラヘの抑圧力が調整されると、印刷媒体およびリボンの搬送方向に対して、サーマルヘッドの角度が変化する。サーマルヘッドの角度が変化すると、サーマルヘッドからインクリボンに熱が適切に伝達できず、印刷品位が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、周囲の温度が変化したとしても、優れた印刷品位で印刷媒体に印刷対象を印刷する印刷装置および印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の一様態は、
筐体内に固定されて取り付けられ、印刷媒体に印刷対象を印刷する印刷ヘッドを有する印刷部と、
前記印刷ヘッドに前記印刷媒体を押圧させた状態で、送出方向または引戻方向に前記印刷媒体を搬送するローラを有する搬送部と、
前記印刷部の近傍の温度を計測する温度計測部と、
前記印刷媒体に接触する前記ローラを押圧することにより、前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに向けて前記ローラに押圧させる押圧部と、
前記温度計測部により計測された前記温度に基づいて、前記押圧部による前記ローラへの圧力を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の目的を達成するため、本発明に係る印刷方法の一様態は、
筐体内に固定されて取り付けられ、印刷媒体に印刷対象を印刷する印刷ヘッドを有する印刷部と、
前記印刷ヘッドに前記印刷媒体を押圧させた状態で、送出方向または引戻方向に前記印刷媒体を搬送するローラを有する搬送部と、
前記印刷部の近傍の温度を計測する温度計測部と、
を備える印刷装置を用いて印刷する方法であり、
前記温度計測部により計測された前記温度に基づいて、予め設定された圧力で、前記ローラに前記印刷媒体を前記印刷ヘッドに押圧させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、周囲の温度が変化したとしても、優れた印刷品位で印刷媒体に印刷対象を印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムを示す図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置を示す図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置を示す正面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る印刷ヘッドを示す断面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置を示す拡大断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置のカムの動きを示す図である(その1)。
図7】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置のカムの動きを示す図である(その2)。
図8】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第1の実施の形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置が実行する印刷処理を示すフローチャートである。
図11】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る印刷装置を示す図である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
図13】(A)~(C)は、本発明の第2の実施の形態に係る印刷媒体を示す断面図である。
図14】本発明の第2の実施の形態に係る温度および印刷媒体の種類毎に設定された圧力との関係を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態に係る印刷システムおよび印刷装置を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る印刷システム1は、図1に示すように、テープ状の印刷媒体Rに文字、記号、ロゴ、キャラクタ、マーク等の印刷対象Sを印刷するものである。印刷システム1は、印刷装置100と、端末装置200と、を備える。印刷装置100は、リボンに塗布されたインクを熱によって印刷媒体Rに転写する熱転写型プリンタである。端末装置200は、ディスプレイ230を有し、例えばスマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)から構成される。印刷装置100と端末装置200とは、無線回線を通じて相互に通信可能に構成され、端末装置200は、印刷装置100に印刷対象Sを示すデータを送信する。
【0014】
理解を容易にするために、印刷媒体Rが搬送される方向をx方向、印刷媒体Rに垂直な方向をy方向、x方向およびy方向に垂直な方向をz方向とする直交座標系を設定し、適宜参照する。
【0015】
印刷装置100は、図2示すように、筐体101と、印刷部120と、搬送部130と、温度計測部140と、押圧部150と、切断部160と、を備える。
【0016】
筐体101は、印刷部120、搬送部130、温度計測部140、押圧部150、および切断部160を収容するものである。また、筐体101は、図3に示すテープ状の印刷媒体Rとインクが塗布されたリボンがロール状に巻かれて格納されたカートリッジ300を格納するカートリッジ格納部102を備える。印刷媒体Rは、例えば、粘着剤が塗布された紙または樹脂と、剥離紙と、を有する。
【0017】
印刷部120は、図3に示すように、筐体101に固定されて取り付けられ、印刷ヘッド121と、下ガイド122と、を有し、テープ状の印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷するものである。印刷ヘッド121は、サーマルプリントヘッドを含み、剛性を高めるため、アルミダイカストなどの金属製の固定部123に取り付けられている。これにより、印刷媒体Rおよびリボンの搬送方向に対して、印刷ヘッド121の位置および向きが固定される。印刷ヘッド121は、図4に示すように、複数の発熱抵抗体124を備え、アルミナセラミックなどの基板上に複数の発熱抵抗体124をライン状に配置したものである。印刷ヘッド121は、印刷対象Sに対応した通電により、複数の発熱抵抗体124を選択的に発熱させ、リボン310の基材311に塗布されたインク312を熱によって印刷媒体Rに転写することで印刷を行う。温度が低い場合、リボン310と印刷媒体Rが硬化するため、温度が高い場合に比べて、ローラ131によって印刷ヘッド121に印刷媒体Rをより大きい力で押圧することが好ましい。図3に戻って、下ガイド122は、熱伝導率の高い金属で作成された放熱板であり、印刷ヘッド121と切断部160との間であり、且つ、印刷ヘッド121の近傍に配置されている。これにより、下ガイド122は、印刷ヘッド121と印刷媒体Rおよびリボン310をガイドし、印刷ヘッド121で加熱された印刷媒体Rおよびリボン310を冷却する。
【0018】
搬送部130は、ローラ131と、ローラ支持部132と、テープガイド133と、図2に示す巻取軸134と、を有し、印刷媒体Rを送出方向(x方向)または引戻方向(-x方向)に搬送するものである。ここでは、搬送部130が、主に、印刷媒体Rを送出方向に搬送する例について説明する。また、搬送部130は、印刷媒体Rと共にインク312が塗布されたリボン310を搬送する。
【0019】
ローラ131は、金属製の芯金と芯金の周りに形成された樹脂とを有するプラテンローラを含み、サーボモータなどに駆動されて回転する。ローラ131を駆動するモータはサーボモータに限定されず、ステッピングモータやDC(Direct Current)モータであってもよい。ローラ131は、印刷ヘッド121に印刷媒体Rを押圧すると共に、印刷媒体Rを搬送する。
【0020】
ローラ支持部132は、アーム132aと、ローラ軸支部132bと、を備える。アーム132aは、一端部132cが回転軸132dに回転可能に軸支され、他端部132eにローラ軸支部132bが取り付けられている。アーム132aが回転軸132dを中心に回転することで、ローラ軸支部132bがy方向または-y方向に移動する。ローラ軸支部132bは、ローラ131を回転可能に軸支する。
【0021】
テープガイド133は、図5に示すように、固定部133aと、弯曲部133bと、先端部133cと、を有する。テープガイド133は、ローラ131より送出方向(ローラ131と切断部160との間)、且つ、ローラ131の近傍である位置に配置され、印刷媒体Rが撓むことを抑制するものである。固定部133aは、ローラ131に対して固定された位置にテープガイド133を配置するために、ローラ軸支部132bに固定されている。弯曲部133bは、一端部が固定部133aに固定され、ローラ131の回転を妨げないように弯曲した形状を有する。先端部133cは、弯曲部133bの他端部に配置され、印刷媒体Rが撓むと接触する位置に配置される。印刷ヘッド121から先端部133cまでの距離L1は、例えば、5mmである。また、テープガイド133の先端部133cは、上述した下ガイド122に対向して配置され、先端部133cと下ガイド122との間に空間を有する。これにより、印刷媒体Rおよびリボン310は、テープガイド133の先端部133cと下ガイド122との間を通過し、温度変化により印刷媒体Rに反りが発生したとしても、印刷媒体Rおよびリボン310の撓みが抑えられる。
【0022】
図2に示す巻取軸134は、インク312が塗布されたリボン310を巻き取り、リボン310を印刷媒体Rと共に送出方向に搬送する。リボン310に撓みが生じないように、巻取軸134の回転数は、リボン310にテンションが与えられる回転数に調整される。巻取軸134の回転数は、例えば、ローラ131の回転数より大きく設定され、好ましくは、巻取軸134の回転数は、ローラ131の回転数の1.1倍以上に設定される。また、印刷媒体Rが引戻方向に搬送される場合、巻取軸134は空回りし、リボン310は印刷媒体Rと共に引戻方向に搬送される。
【0023】
温度計測部140は、温度を電気的に計測するものであり、筐体101に配置され、筐体101の内部または外部の温度を計測する温度センサと、計測した温度を示すデータを出力する温度データ出力部と、を備える。これにより、温度計測部140は、印刷部120の近傍の温度を計測することができる。なお、温度計測部140は、印刷部120の近傍の温度を計測できるものであればよく、筐体101の外に配置されてもよい。
【0024】
押圧部150は、図3に示すように、カム151と、カム151により移動するカムフォロワ152と、カムフォロワ152とローラ支持部132との間に配置された弾性体153と、を備える。押圧部150は、温度計測部140により計測された温度に対応する圧力で、ローラ131で印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧する装置であり、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力または第1の圧力より小さい第2の圧力で押圧する。具体的には、温度計測部140により計測された温度が基準温度未満である場合、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力で押圧する。基準温度は、例えば、10℃である。第1の圧力は、例えば、500gf/cmである。これにより、印刷媒体Rの温度が基準温度未満であっても、印刷媒体Rに印刷対象Sが鮮明に印刷される。温度計測部140により計測された温度が基準温度以上である場合、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第2の圧力で押圧する。第2の圧力は、例えば、360gf/cmである。これにより、印刷媒体Rの温度が基準温度以上であることで、印刷媒体Rが軟化したとしても、印刷媒体Rに印刷対象Sが鮮明に印刷される。なお、第1の圧力および第2の圧力はローラ131の軸方向の長さあたりの力で表される。また、カートリッジ300を交換する際には、押圧部150は、ローラ131を印刷ヘッド121から離間させる。
【0025】
カム151は、y軸方向に延びる回転軸を中心にステッピングモータ等により回転し、第1のカム面151aと、第2のカム面151bと、第3のカム面151cと、を有する。第1のカム面151aと印刷部120との間隔D1は、第2のカム面151bと印刷部120との間隔D2より小さい。第2のカム面151bと印刷部120との間隔D2は、第3のカム面151cと印刷部120との間隔D3より小さい。また、第3のカム面151cは、嵌合部151dを有する。ここでは、カム151がy軸方向に延びる回転軸を中心に回転する例について説明するが、カム151の回転軸の方向やカム151の形状はここで説明する以外のものであってもよい。
【0026】
カムフォロワ152は、接触部152aと、嵌合部151dに嵌合する被嵌合部152bとを有し、カム151により押圧され、y方向または-y方向に移動する。カムフォロワ152の接触部152aが、第1のカム面151aに接触している場合、ローラ軸支部132bが弾性体153に付勢され、ローラ131は印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力で押圧する。図6に示すように、カムフォロワ152の接触部152aが、第2のカム面151bに接触している場合、ローラ支持部132が弾性体153に付勢され、ローラ131は印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第2の圧力で押圧する。図7に示すように、カムフォロワ152の接触部152aが、第3のカム面151cに接触している場合、被嵌合部152bは嵌合部151dに嵌合し、ローラ131は印刷ヘッド121から離間する。
【0027】
弾性体153は、カムフォロワ152とローラ軸支部132bの間に配置され、ローラ支持部132を付勢するものであり、例えば、板バネまたはコイルバネを含む。
【0028】
切断部160は、印刷部120により印刷対象Sが印刷されたテープ状の印刷媒体Rを切断する。切断部160は、切断刃と切断刃を駆動する駆動部とを有する。印刷ヘッド121から切断部160までの距離は、例えば、20mmである。
【0029】
印刷装置100は、電気的構成として、図8に示すように、上述した印刷部120と、搬送部130と、押圧部150と、切断部160と、に加えて、制御部110と、通信部170と、ROM(Read Only Memory)180と、RAM(Random Access Memory)190と、を備える。
【0030】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等から構成される。制御部110は、ROM180に記憶したプログラムを実行することにより、印刷対象取得部111と、印刷制御部112と、押圧制御部113として機能する。
【0031】
印刷対象取得部111は、通信部170を介して、端末装置200から送信された印刷対象のデータを取得し、RAM190に記憶させる。
【0032】
印刷制御部112は、搬送部130が印刷媒体Rを送出方向に搬送した搬送距離に基づいて、印刷部120を制御して印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷させる。具体的には、印刷制御部112は、搬送部130を制御し、送出方向に印刷媒体Rおよびリボン310を搬送させ、印刷媒体Rが副走査方向に1ドットピッチに相当する距離を搬送される度、RAM190に記憶された印刷対象Sの画像を、主走査方向にライン状に並んだ1画素のラインである1ドットラインを印刷ヘッド121に印刷させる。また、印刷制御部112は、印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷した後、搬送部130を制御し、印刷媒体Rの切断予定位置が切断部160の切断刃の位置に配置するまで送出方向に印刷媒体Rを搬送する。その後、印刷制御部112は、切断部160を制御し、印刷媒体Rの切断予定位置を切断する。
【0033】
押圧制御部113は、押圧部150を制御し、温度計測部140により計測された温度に対応する圧力で、押圧部150にローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させる。詳細には、押圧制御部113は、温度計測部140により計測された温度が基準温度未満である場合に、ローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力で押圧させ、温度が基準温度以上である場合に、ローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力より小さい第2の圧力で押圧させる。また、押圧制御部113は、押圧部150を制御し、ローラ131を印刷ヘッド121から離間させる。
【0034】
印刷部120は、上述したように、印刷制御部112の制御に基づいて、印刷ヘッド121に設けられた発熱抵抗体124を印刷データに応じて選択的に発熱させる。発熱した発熱抵抗体124は、リボン310に塗布されたインク312を印刷媒体Rに転写し、印刷ヘッド121の主走査方向に向けてライン状に並んだ画素(1ドットライン)が印刷される。
【0035】
搬送部130は、上述したように、印刷制御部112の制御に基づいて、印刷ヘッド121に印刷媒体Rを押圧させた状態で、送出方向および引戻方向に印刷媒体Rを搬送する。また、印刷制御部112の制御に基づいて、搬送部130は、巻取軸134を回転して、印刷媒体Rと共にインク312が塗布されたリボン310も搬送される。
【0036】
温度計測部140は、上述したように、筐体101の内部の温度を電気的に計測するものであり、計測した温度を示すデータを押圧制御部113に出力する。
【0037】
押圧部150は、上述したように、押圧制御部113の制御に基づいて、カム151を回転し、温度計測部140により計測された温度が基準温度未満である場合、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力で押圧し、温度が基準温度以上である場合、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第2の圧力で押圧する。また、押圧制御部113の制御に基づいて、カム151を回転し、ローラ131を印刷ヘッド121から離間させる。
【0038】
切断部160は、上述したように、印刷制御部112の制御に基づいて、印刷部120により印刷対象Sが印刷されたテープ状の印刷媒体Rを切断する。
【0039】
通信部170は、端末装置200から印刷対象Sを示すデータを受信する。通信部170は、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信モジュールから構成される。
【0040】
ROM180は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成され、上述したように制御部110が各種機能を実現するためのプログラムおよび基準温度を記憶する。RAM190は、揮発性メモリから構成され、制御部110が各種処理を行うためのプログラムを実行するための作業領域として用いられる。また、RAM190は、印刷対象Sの画像データ、温度計測部140により計測された温度を示すデータなどの情報を記憶する。
【0041】
端末装置200は、図9に示すように、制御部210と、通信部220と、ディスプレイ230と、操作部240と、ROM250と、RAM260と、を備える。
【0042】
制御部210は、CPU等から構成される。制御部210は、ROM250に記憶されたプログラムを実行することにより、印刷対象取得部211と、印刷対象送信部212として機能する。
【0043】
印刷対象取得部211は、操作部240が受け付けた、または通信部220が受信した印刷対象Sを示すデータを取得する。
【0044】
印刷対象送信部212は、通信部220を介して、印刷対象Sのデータを印刷装置100に送信する。また、ユーザが端末装置200を操作して印刷開始の指示が実行されると、印刷開始の指示を示すデータを印刷装置100に送信する。
【0045】
通信部220は、印刷装置100に印刷対象Sを示すデータおよび印刷開始の指示を示すデータを送信する。通信部220は、上述した通信部170と同様に、無線LAN、Bluetooth(登録商標)などの無線通信モジュールから構成される。
【0046】
ディスプレイ230は、操作に必要な画像を表示するものであり、LCD(liquid crystal display)などから構成される。
【0047】
操作部240は、ユーザの入力に基づいて、印刷対象Sのデータや印刷処理の開始、印刷開始、終了、カートリッジ交換の指示を受け付けるものである。なお、操作部240とディスプレイ230とは、タッチパネルディスプレイ装置を構成する。
【0048】
ROM250は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成され、制御部110が各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。RAM260は、揮発性メモリから構成され、制御部110が各種処理を行うためのプログラムを実行するための作業領域として用いられ、印刷対象Sを示すデータを記憶する。
【0049】
つぎに、印刷装置100が、実行する印刷処理について説明する。
【0050】
ユーザによる印刷処理を開始させる指示に応答し、印刷装置100は、図10に示す印刷処理を開始する。
【0051】
まず、印刷対象取得部111は、印刷対象Sを示すデータを受信できる状態で待機し、印刷対象Sを示すデータを受信したか否かを判定する(ステップS101)。印刷対象を示すデータを受信していない場合(ステップS101;No)、ステップS101を繰り返す。
【0052】
ユーザの操作により、端末装置200に印刷対象Sが入力され、端末装置200から印刷対象Sが印刷装置100に送信されると、印刷対象取得部111は、印刷対象Sを示すデータを受信する(ステップS101;Yes)。印刷対象Sを受信すると、印刷対象取得部111は、印刷対象Sを示すデータをRAM190に記憶させ、ユーザにより開始の指示がされれば印刷を開始できる状態で待機する(ステップS102)。
【0053】
つぎに、印刷制御部112は、ユーザが端末装置200を操作して印刷開始の指示が実行されたた否かを判定する(ステップS103)。印刷開始の指示が実行されなかったと判定した場合(ステップS103;No)、ステップS102に戻り、ステップS102とステップS103とを繰り返す。
【0054】
印刷開始の指示が実行されたと判定すると(ステップS103;Yes)、押圧制御部113は、温度計測部140により計測された温度を示すデータを取得する(ステップS104)。温度を示すデータを取得すると、押圧制御部113は、温度を示すデータをRAM190に記憶させ、温度が基準温度未満であるか否かを判定する(ステップS105)。
【0055】
押圧制御部113は、温度計測部140により計測された温度が基準温度未満であると判定すると(ステップS105;Yes)、押圧部150を制御し、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力で押圧する(ステップS106)。詳細には、押圧制御部113は、押圧部150を制御し、図3に示すように、第1のカム面151aがカムフォロワ152の接触部152aに接触する位置にカム151を回転する。これにより、カムフォロワ152とローラ軸支部132bの間に配置された弾性体153に付勢され、ローラ131により第1の圧力で印刷媒体Rが印刷ヘッド121に押圧される。
【0056】
押圧制御部113は、温度計測部140により計測された温度が基準温度未満ではないと判定すると(ステップS105;No)、押圧部150を制御し、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第2の圧力で押圧する(ステップS107)。詳細には、押圧制御部113は、押圧部150を制御し、図6に示すように、第2のカム面151bがカムフォロワ152の接触部152aに接触する位置にカム151を回転する。これにより、カムフォロワ152とローラ軸支部132bの間に配置された弾性体153に付勢され、ローラ131により第2の圧力で印刷媒体Rが印刷ヘッド121に押圧される。
【0057】
つぎに、印刷制御部112は、搬送部130が印刷媒体Rを送出方向に搬送した搬送距離に基づいて、印刷部120を制御して印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷させる(ステップS108)。具体的には、印刷制御部112は、印刷媒体Rが副走査方向に1ドットピッチに相当する距離を搬送される度、RAM190に記憶された印刷対象Sの画像を、主走査方向にライン状に並んだ1画素のラインである1ドットラインを印刷ヘッド121に印刷させる。
【0058】
つぎに、印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷した後、印刷制御部112は、搬送部130を制御し、印刷媒体Rの切断予定位置が切断部160の切断刃の位置に配置するまで印刷媒体Rを送出方向に搬送し、切断部160を制御し、印刷媒体Rの切断予定位置を切断する(ステップS109)。
【0059】
つぎに、印刷制御部112は、印刷処理を終了する指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS110)。印刷処理を終了する指示を受け付けない場合(ステップS110;No)、ステップS101に戻り、ステップS101からステップS110を繰り返す。
【0060】
印刷処理を終了する指示を受け付けると(ステップS110;Yes)、押圧制御部113は、押圧部150を制御し、ローラ131を印刷ヘッド121から離間させる(ステップS111)。詳細には、押圧制御部113は、押圧部150を制御し、図7に示すように、カムフォロワ152の接触部152aが、第3のカム面151cに接触する位置にカム151を回転する。これにより、カムフォロワ152の被嵌合部152bはカム151の嵌合部151dに嵌合し、ローラ131は印刷ヘッド121から離間する。なお、この状態では、カートリッジ300を交換することが可能である。その後、押圧制御部113は、印刷処理を終了する。
【0061】
以上のように、第1の実施の形態の印刷システム1および印刷装置100によれば、押圧部150が、温度計測部140により計測された温度に基づいて、予め設定された圧力で、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧することにより、周囲の温度が変化したとしても、優れた印刷品位で印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷できる。また、印刷ヘッド121は、印刷媒体Rおよびリボン310の搬送方向に対して、位置および向きが固定されていることにより、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧する圧力が変化したとしても、印刷ヘッド121からリボン310および印刷媒体Rに熱が適切に伝達でき、優れた印刷品位で印刷できる。詳細には、押圧部150は、温度計測部140により計測された温度が基準温度未満である場合、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力で押圧し、温度が基準温度以上である場合、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力より小さい第2の圧力で押圧する。これにより、印刷装置100の周囲の温度が低い場合、印刷媒体Rの温度も低下することで硬化し、印刷媒体Rのコシが強くなり、柔軟性や搬送経路に対する追従性が損なわれたとしても、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力で押圧することで、優れた印刷品位で印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷できる。一方、印刷装置100の周囲の温度が高い場合、印刷媒体Rの温度も高くなることで軟化し、印刷媒体Rのコシが弱くなったとしても、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第2の圧力で押圧することで、優れた印刷品位で印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷できる。
【0062】
(第1の実施の形態の変形例)
上述の実施の形態の印刷装置100では、押圧部150が、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力または第1の圧力より小さい第2の圧力で押圧する例について説明した。押圧部150は、温度計測部140により計測された温度に基づいて、予め設定された圧力で、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧することができればよい。第2の圧力は、第1の圧力と異なればよく、第1の圧力より大きくてもよい。第1の圧力および第2の圧力は、印刷媒体Rの温度特性などによって決定される。
【0063】
上述の実施の形態の印刷装置100では、押圧部150が、カム151と、カム151により移動するカムフォロワ152と、を備える例について説明した。押圧部150は、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力または第1の圧力より小さい第2の圧力で押圧し、また、ローラ131を離間することができればよく、カム構造以外のリニアモータを用いた構造や油圧または空気圧などの流体を用いた構造を有してもよい。
【0064】
上述の実施の形態の印刷装置100では、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力または第1の圧力より小さい第2の圧力で押圧する例について説明したが、印刷装置100は、温度計測部140により計測された温度に対応する圧力で、ローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させることができればよい。例えば、基準温度は、第1の基準温度と第1の基準温度より高い第2の基準温度とを含んでもよい。この場合、例えば、第1の基準温度は、10℃であり、第2の基準温度は、30℃である。また、押圧部150は、温度計測部140により計測された温度が第1の基準温度未満である場合に、ローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力で押圧させ、温度が第1の基準温度以上第2の基準温度未満である場合に、ローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第1の圧力より小さい第2の圧力で押圧させ、温度が第2の基準温度以上である場合に、ローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に第2の圧力より小さい第3の圧力で押圧させる。これにより、温度により印刷媒体Rが硬化または軟化したとしても、より適切な圧力でローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させることができる。
【0065】
また、図11に示すように、押圧部150’は、ローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させる力を連続的に変化させてもよい。この場合、押圧部150’は、傾斜面151eを備えるカム151’と、カム151’の回転角を検出するポテンショメータ154と、を備える。ポテンショメータ154は、カム151’の回転角を検出し、回転角を示すデータを押圧制御部113に出力する。また、押圧制御部113は、温度に基づいて、予め設定された圧力で、ローラ131により印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧するように、押圧部150’を制御する。このような構成により、カムフォロワ152の接触部152aは、カム151’の傾斜面151eにより押圧され、y方向または-y方向に移動する。押圧部150’は、押圧制御部113に制御され、カムフォロワ152がカム151’の傾斜面151eに押されることで、ローラ軸支部132bが弾性体153に付勢され、カム151’の回転角に応じた圧力で、ローラ131は印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧する。この場合、温度計測部140により計測された温度が高くなるにつれて、押圧させる力を小さくすることが好ましい。このようにすることで、温度により印刷媒体Rが硬化または軟化したとしても、さらに適切な圧力でローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させることができる。なお、押圧部150’は、ローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させる力を連続的に変化させることができればよく、カム構造以外のリニアモータを用いた構造や油圧または空気圧などの流体を用いた構造を有してもよい。
【0066】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る印刷装置500は、図12に示すように、第1の実施の形態に係る印刷装置100が有する構成に加えて、制御部110に印刷媒体種別取得部114を備える。第2の実施の形態に係る印刷装置500のその他の構成は、第1の実施の形態に係る印刷装置100が有する構成と同じである。
【0067】
印刷媒体種別取得部114は、印刷媒体Rの種別を示すデータを取得し、印刷媒体Rの種別を示すデータをRAM190に記憶させる。例えば、図2に示すカートリッジ格納部102は、図示しないカートリッジ形状検出部を備える。カートリッジ形状検出部は、カートリッジ300に格納された印刷媒体Rの種別を示す特徴的形状を検出し、検出した特徴的形状に基づいて、印刷媒体Rを示すデータを印刷媒体種別取得部114に出力する。また、カートリッジ300は、印刷媒体Rの種別を示す特徴的形状を有する。この場合、印刷媒体種別取得部114は、カートリッジ形状検出部により、カートリッジ300における印刷媒体Rの種別を示す特徴的形状を検出し、検出した特徴的形状に基づいて、印刷媒体Rの種別を示すデータを取得できる。また、印刷媒体種別取得部114は、ユーザの操作により、端末装置200に印刷媒体Rの種別が入力され、端末装置200から印刷装置500に送信された印刷媒体Rの種別を示すデータに基づいて、印刷媒体種別取得部114は、印刷媒体Rの種別を示すデータを取得してもよい。印刷媒体Rの種別は、例えば、図13(A)に示す印刷媒体R1と、図13(B)に示す印刷媒体R2と、図13(C)に示す印刷媒体R3と、を含む。印刷媒体R1は、標準テープであり、38μmの厚さを有するPETフィルム411と、15μmの厚さを有する粘着剤412と、68μmの厚さを有する剥離紙413とを備える。印刷媒体R2は、マグネットテープであり、38μmの厚さを有するPETフィルム421と、15μmの厚さを有する粘着剤422と、300μmの厚さを有するポリエチレン磁気シート423と、を備える。印刷媒体R3は、収縮チューブであり、300μmの厚さを有するポリオレフィンチューブ431を備える。なお、印刷媒体Rは、印刷装置500により印刷可能なものであれば特に限定されず、印刷媒体R1、R2、R3以外のものを含んでもよい。
【0068】
押圧制御部113は、印刷媒体種別取得部114により取得した印刷媒体Rの種別と、温度計測部140により計測された温度と、に基づいて決定した圧力で、押圧部150にローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させる。この場合、印刷装置500は、ローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させる力を連続的に変化できる、図11に示す押圧部150’を備えることが好ましい。詳細には、図14に示す、温度および印刷媒体R1、R2、R3毎に設定された圧力P11~P33との関係を示すテーブルを予めROM180に予め記憶する。圧力P11~P33は、温度および印刷媒体R1、R2、R3毎に設定された最適値である。押圧制御部113は、印刷媒体種別取得部114により取得した印刷媒体Rの種別と、温度計測部140により計測された温度と、に基づいて、圧力P11~P33を決定する。その後、押圧制御部113は、決定した圧力P11~P33で押圧部150にローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させる。例えば、印刷媒体R1を用い、温度が第1の基準温度未満である場合、押圧制御部113は、決定した圧力P11で押圧部150にローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させる。また、印刷媒体R3を用い、温度が第3の基準温度以上である場合、押圧制御部113は、決定した圧力P33で押圧部150にローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させる。
【0069】
また、印刷媒体R1、R2、R3毎に、温度から圧力の最適値を導く関数をROM180に予め記憶してもよい。印刷媒体R1の温度毎の圧力P100の最適値を導く式(1)、印刷媒体R2の温度毎の圧力P200の最適値を導く式(2)、印刷媒体R3の温度毎の圧力P300の最適値を導く式(3)を以下に示す。
P100=f(t) (1)
P200=g(t) (2)
P300=h(t) (3)
f(t)、g(t)およびh(t)は、それぞれ、温度tの関数であればよく、それぞれ、温度tの一次関数または二次関数であってもよい。この場合、押圧制御部113は、印刷媒体種別取得部114により取得した印刷媒体Rの種別と、温度計測部140により計測された温度tと、に基づいて、圧力P100~P300を決定する。その後、押圧制御部113は、決定した圧力P100~P300で押圧部150にローラ131に印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧させる。
【0070】
以上のように、第2の実施の形態の印刷装置500によれば、押圧部150が、印刷媒体種別取得部114により取得した印刷媒体Rの種別と、温度計測部140により計測された温度とに基づいて決定された圧力で、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧することにより、印刷媒体Rおよび周囲の温度が変化したとしても、優れた印刷品位で印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷できる。特に、印刷媒体Rの厚みや温度特性が異なったとしても、印刷媒体R毎に最適な圧力で、ローラ131によって印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧することが可能である。
【0071】
(変形例)
上述の実施の形態の印刷装置100、500では、リボンに塗布されたインク312を熱によって印刷媒体Rに転写する熱転写型プリンタである例について説明した。印刷装置100、500は、印刷ヘッド121が熱転写できるプリントヘッドであればよく、リボンに塗布されたインク312を熱によって印刷媒体Rに転写する代わりに、熱を感知して色が変化する感熱紙に印刷する感熱方式のプリンタであってもよい。この場合、リボンが不要であるため、ランニングコストを下げることが可能である。また、レジのレシートなどの感熱紙に印刷することも可能である。印刷媒体Rに感熱紙を用いる場合、温度毎に感熱紙に最適な圧力を設定し、該圧力でローラ131により印刷媒体Rを印刷ヘッド121に押圧することが好ましい。
【0072】
上述の実施の形態の印刷システム1では、印刷装置100、500と、端末装置200と、を備える例について説明した。印刷装置100、500は、ディスプレイと操作部とを備え、端末装置200なしで、単体で印刷媒体Rに印刷対象Sを印刷できるものであってもよい。
【0073】
また、CPU、RAM、ROM等から構成される端末装置200が実行する印刷補助処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常の情報携帯端末(スマートフォン、タブレットPC)、パーソナルコンピュータなどを用いて実行可能である。たとえば、上述の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等)に格納して配布し、このコンピュータプログラムを情報携帯端末などにインストールすることにより、上述の処理を実行する情報端末を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置にこのコンピュータプログラムを格納しておき、通常の情報処理端末などがダウンロード等することで情報処理装置を構成してもよい。
【0074】
また、印刷補助装置の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションプログラムとの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0075】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にこのコンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してこのコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【0076】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0077】
1…印刷システム、100、500…印刷装置、101…筐体、102…カートリッジ格納部、110、210…制御部、111、211…印刷対象取得部、112…印刷制御部、113…押圧制御部、120…印刷部、121…印刷ヘッド、122…下ガイド、123…固定部、130…搬送部、131…ローラ、132…ローラ支持部、132a…アーム、132b…ローラ軸支部、132c…一端部、132d…回転軸、132e…他端部、133…テープガイド、133a…固定部、133b…弯曲部、133c…先端部、134…巻取軸、140…温度計測部、150、150’…押圧部、151、151’…カム、151a…第1のカム面、151b…第2のカム面、151c…第3のカム面、151d…嵌合部、151e…傾斜面、152…カムフォロワ、152a…接触部、152b…被嵌合部、153…弾性体、154…ポテンショメータ、160…切断部、170、220…通信部、180、250…ROM、190、260…RAM、200…端末装置、212…画像取得部、213…マーカ検出部、214…画像生成表示部、230…ディスプレイ、240…操作部、300…カートリッジ、310…リボン、311…基材、310…インク、320…リブ、330…カートリッジ爪、411…PETフィルム、412…粘着剤、413…剥離紙、421…PETフィルム、422…粘着剤、423…ポリエチレン磁気シート、431…ポリオレフィンチューブ、R、R1、R2、R3…印刷媒体、S…印刷対象、D1~D3…間隔、L1…距離、P11~P33、P100、P200、P300…圧力、t…温度
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14