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  • 特開-有機ランキンサイクル冷却システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044881
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】有機ランキンサイクル冷却システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6569 20140101AFI20240326BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20240326BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240326BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240326BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20240326BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240326BHJP
【FI】
H01M10/6569
F25B27/00 E
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/663
H01M10/625
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150673
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179453
【弁理士】
【氏名又は名称】會田 悠介
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】小川 進
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】外部からの熱供給を必要とせず、有機ランキンサイクルにおける冷媒熱を、外燃機関を駆動するための熱源として利用することが可能な有機ランキンサイクル冷却システムを提供する。
【解決手段】有機物を冷媒とし、冷媒が蒸発と凝縮を繰り返しながら循環する回路において冷却対象の冷却を行う有機ランキンサイクル冷却システム1であって、冷媒を圧縮することにより冷媒の温度を上昇させる圧縮機2と、冷媒を冷却して凝縮させる凝縮器5と、圧縮機2の下流側かつ凝縮器5の上流側に設けられた外燃機関と、を備え、冷却対象は、凝縮器5の下流側かつ圧縮機2の上流側に配され、冷却された冷媒と熱交換を行うように構成され、外燃機関は、圧縮機2を通過した冷媒を熱源として作動することを特徴とする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を冷媒とし、該冷媒が蒸発と凝縮を繰り返しながら循環する回路において冷却対象の冷却を行う有機ランキンサイクル冷却システムであって、
前記冷媒を圧縮することにより前記冷媒の温度を上昇させる圧縮機と、
前記冷媒を冷却して凝縮させる凝縮器と、
前記圧縮機の下流側かつ前記凝縮器の上流側に設けられた外燃機関と、を備え、
前記冷却対象は、前記凝縮器の下流側かつ前記圧縮機の上流側に配され、前記冷却された前記冷媒と熱交換を行うように構成され、
前記外燃機関は、前記圧縮機を通過した前記冷媒を熱源として作動する
ことを特徴とする、有機ランキンサイクル冷却システム。
【請求項2】
前記圧縮機は、前記外燃機関により駆動された発電機により発電された電力を動力源として作動することを特徴とする、請求項1に記載の有機ランキンサイクル冷却システム。
【請求項3】
前記外燃機関は、作動気体が充填されたシリンダ内でピストンが往復運動することにより動力を生成するスターリングエンジンであり、前記冷媒が流れる前記回路の一部が前記シリンダに近接して設けられていることにより、前記冷媒と前記作動気体との間で熱交換が可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の有機ランキンサイクル冷却システム。
【請求項4】
前記冷却対象は、少なくともバッテリを含む電源装置であり、前記外燃機関により駆動された発電機により発電された電力が、前記バッテリに充電されることを特徴とする、請求項1に記載の有機ランキンサイクル冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物の冷媒が循環する回路において冷却対象の冷却を行う有機ランキンサイクル冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する研究開発が行われている。
【0003】
従来、種々の産業プロセスにおいて利用されるエネルギーのうちの相当量が、廃熱として大気放出されることなどにより失われてきた。こうした廃熱を二次エネルギー源として活用しようとする試みにおいて、有機物を作動流体として用いる有機ランキンサイクル(ORC:Organic Rankine Cycle)への注目が高まっている。
【0004】
ランキンサイクルは、作動流体(通常は水が用いられる)の蒸発と凝縮という相変化を利用してタービンを動かし、その出力を用いて発電等を行う熱力学サイクルである。このうち、有機ランキンサイクルでは、作動流体として水よりも沸点が低いベンゼンやトルエン、シリコンオイルなどの有機媒体を用いる。これにより、通常のランキンサイクルよりも低温の熱源を利用してサイクルを稼働させることが可能となるため、有機ランキンサイクルを用いた廃熱回収技術の開発が進められている。
【0005】
こうした有機ランキンサイクルに外燃機関を組み込み、熱効率を向上させようという試みとして、例えば特許文献1では、有機ランキンサイクルにおいて、ヒートポンプの往復圧縮機とディスプレーサ形のスターリングエンジンとを一体的に形成し、スターリングエンジンのパワーピストンにより往復圧縮機を駆動することで熱効率を向上させた熱源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-233569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術では、スターリングエンジンの駆動のために、外部から供給された燃料を燃焼させ、それによりシリンダ内の作動気体を膨張させてパワーピストンを動かす必要がある。しかしながら、有機ランキンサイクルを用いたシステムにおける熱効率の更なる向上のために、外部からの熱供給を必要としない外燃機関を組み込んだ有機ランキンサイクルシステムの開発が要望されている。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、外部からの熱供給を必要とせず、有機ランキンサイクルにおける冷媒熱を、外燃機関を駆動するための熱源として利用することが可能な有機ランキンサイクル冷却システムを提供することを目的とする。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、有機物を冷媒とし、冷媒が蒸発と凝縮を繰り返しながら循環する回路において冷却対象(実施形態における(以下、本項において同じ)バッテリ9、電源装置IPU)の冷却を行う有機ランキンサイクル冷却システム1であって、冷媒を圧縮することにより冷媒の温度を上昇させる圧縮機2と、冷媒を冷却して凝縮させる凝縮器5と、圧縮機2の下流側かつ凝縮器5の上流側に設けられた外燃機関(スターリングエンジン3)と、を備え、冷却対象は、凝縮器5の下流側かつ圧縮機2の上流側に配され、冷却された冷媒と熱交換を行うように構成され、外燃機関は、圧縮機2を通過した冷媒を熱源として作動することを特徴とする。
【0010】
この有機ランキンサイクル冷却システムにおいては、冷媒が循環する有機ランキンサイクル冷却システムの回路に外燃機関が備えられる。冷媒は、冷却対象と熱交換を行い、冷却対象から熱を受け取って昇温することで冷却対象を冷却した後、圧縮機を通過する際に、断熱圧縮により更に温度が上昇する。そして、このようにして高温となった冷媒を熱源として外燃機関が駆動される。したがって、本発明の有機ランキンサイクル冷却システムによれば、外部からの熱供給を必要とせず、有機ランキンサイクルにおける冷媒熱を、外燃機関を駆動するための熱源として利用することができ、エネルギー効率を向上させることができる。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の有機ランキンサイクル冷却システムにおいて、圧縮機2は、外燃機関により駆動された発電機4により発電された電力を動力源として作動することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、高温の冷媒を熱源として駆動された外燃機関は、その出力によって発電機を駆動する。そして、発電機によって発電された電力は圧縮機に供給され、圧縮機は供給された電力を動力源として作動する。したがって、本構成によれば、圧縮機を駆動するための動力源を別途、備える必要がない。そして、従来は外部に放出するだけであった有機ランキンサイクルにおける熱エネルギーを、外燃機関によって生成した機械エネルギーを介して、電気エネルギーに変換して利用することができる。したがって、エネルギー効率を更に向上させることができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1に記載の有機ランキンサイクル冷却システムにおいて、外燃機関は、作動気体が充填されたシリンダ内でピストンが往復運動することにより動力を生成するスターリングエンジン3であり、冷媒が流れる回路の一部がシリンダに近接して設けられていることにより、冷媒と作動気体との間で熱交換が可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、有機ランキンサイクルの回路の一部がスターリングエンジンのシリンダに近接して設けられ、有機ランキンサイクルの冷媒とスターリングエンジンの作動気体との間で熱交換が可能に構成されているので、スターリングエンジンのシリンダを加熱するためのヒータ等の加熱器を別途、備える必要がない。そして、簡易な構成により、従来は外部に放出するだけであった熱エネルギーを用いて外燃機関を駆動し、機械エネルギーを生成することができる。したがって、エネルギー効率を更に向上させることができる。
【0015】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1に記載の有機ランキンサイクル冷却システムにおいて、冷却対象は、少なくともバッテリ9を含む電源装置IPUであり、外燃機関により駆動された発電機5により発電された電力が、バッテリ9に充電されることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、少なくともバッテリを含む電源装置を、有機ランキンサイクルの回路内で冷却することができるとともに、バッテリから熱を受け取った冷媒を熱源として駆動された外燃機関は、その出力によって発電機を駆動し、発電機によって発電された電力がバッテリに充電される。したがって、バッテリの放電の際に生じた熱エネルギーを、外燃機関によって生成した機械エネルギーを介して、電気エネルギーに変換してバッテリの充電に用いることができ、エネルギー効率を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る有機ランキンサイクル冷却システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の有機ランキンサイクル冷却システムの好ましい実施形態を詳細に説明する。以下に説明する構成は本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれに限定されない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る有機ランキンサイクル冷却システム(以下、ORC冷却システムという。)1の構成を示す。このORC冷却システム1は、有機物からなる冷媒が蒸発と凝縮を繰り返しながら循環する回路において、回路内に配置された冷却対象の冷却を行うものである。
【0020】
本実施形態における冷却対象は、バッテリ9、インバータユニット及びDC-DCコンバータユニット(いずれも不図示)等の電気補器部品、並びにこれらの制御を行うECU(Electronic Control Unit)(不図示)を含む電源装置IPUである。こうした電源装置IPU及びこれを含むORC冷却システム1は、例えば電動車両やハイブリッド車両に搭載可能である。
【0021】
本実施形態のORC冷却システム1は、圧縮機2と、スターリングエンジン3と、発電機4と、凝縮器5と、冷媒ポンプ6と、第1膨張弁7と、蒸発器8と、バッテリ9を含む電源装置IPUと、第2膨張弁10と、を有する。以下、ORC冷却システム1の各部の動作と、それに伴う冷媒の状態変化について説明する。
【0022】
圧縮機2は、気化(蒸発)した冷媒を圧縮して昇温させるためのものであり、特に形式は限定されない。本実施形態では、例えば電動モータにより駆動される遠心式のターボ圧縮機を採用することができる。
【0023】
圧縮機2を通過する前の冷媒は、後述するように、中温・低圧の気体の状態である。冷媒は、圧縮機2を通過することで高温・高圧の気体に変化する。
【0024】
スターリングエンジン3は、圧縮機2の下流側、かつ凝縮器5の上流側に配置され、昇温した冷媒蒸気を熱源として駆動される。スターリングエンジン3としては、例えば2ピストン形のスターリングエンジンを採用することができる。2ピストン形のスターリングエンジンは、連通路により互いに連通した高温側シリンダと低温側シリンダを有し、各シリンダ内部は作動気体(例えば、空気)で満たされている。各シリンダ内には、互いに90度の位相差を有して往復運動するピストンが嵌合されている。作動気体は、2つのシリンダ内で、加熱による膨張と冷却による圧縮を繰り返し、それによるシリンダ内の圧力変化に応じて2つのピストンが往復運動する。ピストンの往復運動は、クランク軸により回転運動に変換され、出力として取り出される。
【0025】
ORC冷却システム1の冷媒流路は、スターリングエンジン3の高温側シリンダの近傍を通るように配置され、ORC冷却システム1の冷媒とスターリングエンジン3の作動気体との間で熱交換可能に構成される。例えば、冷媒流路がスターリングエンジン3の高温側シリンダの周囲に巻き付くような配置とすることができる。冷媒は、スターリングエンジン3の高温側シリンダの近傍を流れる際に、高温側シリンダに熱を伝達することで、スターリングエンジン3の作動気体を昇温させ、それによりスターリングエンジン3を駆動させる。すなわち、スターリングエンジン3は、ORC冷却システム1の冷媒熱を熱源として作動する。
【0026】
圧縮機2を通過して高温・高圧の気体の状態となった冷媒は、スターリングエンジン3との熱交換により、中温・高圧の気体の状態に変化する。
【0027】
発電機4は、スターリングエンジン3のクランク軸から取り出された出力により駆動され、発電を行って電力を生成する。生成された電力の一部は、圧縮機2に供給され、圧縮機2の動力源として用いられる。また、生成された電力の他の一部は、バッテリ9に供給され、バッテリ9に充電される。
【0028】
凝縮器5は、スターリングエンジン3の近傍を通過した冷媒蒸気を冷却することで凝縮させる。凝縮器5としては、空冷式と水冷式のいずれを採用してもよい。本実施形態では、例えば水冷式のシェルアンドチューブ式の熱交換器が用いられる。なお、スターリングエンジン3の近傍を通過した冷媒蒸気は、高温側シリンダ内の作動気体との熱交換により熱の一部を失っているので、凝縮器5による冷却により、比較的容易に凝縮させることができる。そのため、凝縮器5を従来よりも小型化することができる。
【0029】
中温・高圧の気体の状態で凝縮器5に入った冷媒は、凝縮器5との熱交換により、中温・高圧の液体の状態に変化する。
【0030】
冷媒ポンプ6は、凝縮器5を通過して液体となった冷媒に圧力をかけて蒸発器8へと送り込む。冷媒ポンプ6の形式は特に限定されず、設計に応じて任意の公知のポンプを用いることが可能である。
【0031】
第1膨張弁7は、凝縮器5により凝縮した冷媒の圧力を大きく低下させることにより、冷媒の温度を大きく低下させる。
【0032】
中温・高圧の液体の状態で第1膨張弁7に入った冷媒は、第1膨張弁7により減圧されることで、低温・低圧の液体(又は気液混合)の状態に変化する。
【0033】
蒸発器8は、低温・低圧の冷媒を蒸発させて冷却効果をもたらす熱交換器である。蒸発器8は、第1膨張弁7の下流側、かつ圧縮機2の上流側に配置され、蒸発器8と隣接するように、冷却対象である電源装置IPUが配置される。こうした配置により、冷媒と電源装置IPUの間で熱交換を行うことが可能な構成となっている。なお、隣接とは、直接的に接触するものに限定されず、間に例えば熱伝導性の高い物質を挟んだ構造であってもよい。
【0034】
低温・低圧の液体の状態で蒸発器8に入った冷媒は、電源装置IPUとの熱交換により、中温・低圧の気体の状態に変化する。
【0035】
第2膨張弁10は、蒸発器8の下流側、かつ、圧縮機2の上流側に配置される。第2膨張弁10は、冷媒の圧力を調整することにより冷媒の気化を促進し、冷媒が完全に気体となった状態で圧縮機2に入るようにする。
【0036】
このようにして、中温・低圧の気体の状態の冷媒は圧縮機2へと戻り、上述したサイクルを繰り返すこととなる。
【0037】
このように、本実施形態のORC冷却システム1によれば、回路を循環する冷媒が冷却対象である電源装置IPUと熱交換を行い、電源装置IPUを冷却すると同時に、電源装置IPUから熱を受け取って昇温する。昇温した冷媒は、続けて圧縮機2へと入り、断熱圧縮により更に大きく昇温する。そのようにして高温となった冷媒は、スターリングエンジン3の高温側シリンダの近傍を通過する際に、スターリングエンジン3の作動気体と熱交換を行い、作動気体を加熱することでスターリングエンジン3を駆動する。したがって、本実施形態のORC冷却システム1によれば、外部からの熱供給を必要とせず、ORC冷却システム1の冷媒熱を、スターリングエンジン3を駆動するための熱源として利用することができ、高いエネルギー効率を実現することができる。
【0038】
また、本実施形態では、ORC冷却システム1の冷媒熱を熱源として駆動されたスターリングエンジン3は、その出力によって発電機4を駆動する。発電機4によって発電された電力は、その一部が圧縮機2に供給され、圧縮機2の動力源となる。これにより、圧縮機2を駆動するための動力源を別途、用意する必要がなく、また、従来は外部に放出するだけであった熱エネルギーを、機械エネルギーを介して電気エネルギーに変換し、利用することができる。したがって、エネルギー効率を更に向上させることができる。
【0039】
また、ORC冷却システム1の回路の一部がスターリングエンジン3の高温側シリンダに近接して設けられ、ORC冷却システム1の冷媒とスターリングエンジン3の作動気体との間で熱交換可能に構成されているので、ヒータ等の加熱器を別途、用意する必要がない。
【0040】
さらに、本実施形態では、バッテリ9から熱を受け取った冷媒を熱源として駆動されたスターリングエンジン3が、その出力によって発電機を駆動し、それにより発電された電力の一部がバッテリに充電される。これにより、バッテリ9の放電の際に生じた熱エネルギーを、機械エネルギーを介して電気エネルギーに変換し、バッテリの充電に用いることができるので、エネルギー効率を更に向上させることができる。
【0041】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、圧縮機に入る冷媒が確実に気体となるように、蒸発器の下流側に第2膨張弁を配置する構成としたが、冷媒が蒸発器を通過することで完全に気化できるのであれば、第2膨張弁を省略した構成とすることも可能である。
【0042】
また、実施形態では、バッテリ等を含む電源装置を冷却対象としたが、これに限らず、冷却が必要な任意の装置等を冷却対象とすることが可能である。
【0043】
その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…ORC冷却システム(有機ランキンサイクル冷却システム)
2…圧縮機
3…スターリングエンジン(外燃機関)
4…発電機
5…凝縮器
6…冷媒ポンプ
7…第1膨張弁
8…蒸発器
9…バッテリ(冷却対象)
10…第2膨張弁
IPU…電源装置(冷却対象)
図1